JP4675130B2 - 盛土堤体のドレーン構造及びその施工方法 - Google Patents
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また、盛土堤体に押え盛土をする方法では、新たな用地買収の必要があり、盛土堤体の法面にシートを貼り付けて遮水する方法は、豪雨時にあまり効果が無いなどの問題がある。
そして、特許文献1のように、盛土堤体内に天然材料のドレーン・フィルター材(礫、砂等)を敷設して排水する方法の場合には、礫、砂等の天然材料の枯渇化に伴い良質な材料の入手が困難であり、礫、砂等の採取に際しては自然破壊につながる恐れがあり、長期的には礫、砂等によるドレーン・フィルター材の目詰まりの問題もあり、容易に交換等のメンテナンスができない。また、礫、砂等の敷設には大型重機や大量の材料が必要となるため、材料や重機の運搬のための工事用道路を建設する必要があることから、コストが増大する問題がある。
しかも、浸透水を通すパイプ状ドレーン材または面状ドレーン材の少なくとも一方からなる人工ドレーン材を埋設すれば良いことから、礫、砂等の天然材料を埋設する場合と比べて、施工性に優れるとともに、ドレーン材の洗浄や交換等のメンテナンス性にも優れる。
本発明を適用した一実施形態の構成を示す図1及び図2において、1は貯水、2は盛土堤体、3は底樋(樋管)、4は人工ドレーン材、5は人工フィルター材、Lは浸潤線である。
また、人工ドレーン材4は、集水面積を増やすため、裏法面側と反対側が盛土堤体2内で立ち上げられている。図2の例において、人工ドレーン材4は、水平部41と、浸潤線L部分で水平部41に連続する垂直な立ち上がり部42とから構成されている。
このモノドレン(登録商標)は、チューブ並列構造であるため集水性に優れ、フレキシブルで地山の凹凸になじみ、耐寒性・耐微生物性・耐薬品性に優れ、長尺・軽量で運搬・取付けが容易といった特長を具備する。
この人工フィルター材5としては、水を通し細流土砂を通さないフィルター材を使用する。例えばPETボトルリサイクルのポリエステルを素材に、ニードルパンチ及びバインダー加工した不織布で、ファイルター性、耐久性及び強度をあわせ持ち、各種土木工事(河川、造成等)において効果を発揮するサンドフ(登録商標)を使用する。
このサンドフ(登録商標)は、不織布構造のため目詰まりを起こさない、土圧により圧縮されても高い透水性を保持する、腐食しない、軽量のため取り扱い容易で施工が簡単といった特長を具備する。
本発明は水みちAによるパイピングの発生・進行を防止するドレーン施工である。図1では、エロージョンゾーンBの問題を防止するため、底樋3の周りに遮水部31を施工している。すなわち、底樋3の周りの漏水に対して盛土堤体2を掘削することなく、薬液やモルタルなどを注入することにより遮水部31を施工している。
図4は掘削工程を示しており、まず、図示のように、底樋3から排水して貯水1の水位を低下させてから、盛土堤体2の裏法面を部分的に地盤まで掘削して部分掘削部21を形成する。この部分掘削部21は地盤までの掘削底面22から掘削法面23が連続している。
ここで、部分掘削部21から出た土砂は一時仮置きする。また、掘削法面23は安定勾配を確保しておきもしくは場合によっては補強材で支保する。
このようにして、人工ドレーン材4を、部分掘削部21に間隔を置いて平面視で櫛形に敷設していく。図示例は部分掘削部21に人工ドレーン材4を並べて5本敷設したものである。
ここで、底樋3の周辺の埋め戻しの際には、底樋3にベンドナイト等で吹き付け処理を行っておく。
以上のドレーン構造によれば、盛土堤体2の一部を掘削改良するため、供用中の施工が可能である。
しかも、ドレーン及びフィルターに人工材料を使用することにより軽量で施工性が優れているので、大型の重機や大型ダンプが不要であり、狭隘な地形や敷地が狭いサイトであっても施工が可能である。従って、工期・コストともに縮減できる。
また、人工ドレーン材4及び人工フィルター材5は経時的に土粒子の流入により目詰まりが発生し排水機能が低下するが、盛土堤体2の裏法面側を掘削することによる人工ドレーン材4及び人工フィルター材5の洗浄・交換等のメンテナンス作業が容易であり、メンテナンスコストを低くして機能を回復することができる。
すなわち、盛土堤体2の裏法面側において、人工ドレーン材4及び人工フィルター材5を圧入したり、水平ボーリングしてから人工ドレーン材4及び人工フィルター材5を挿入する施工方法を採用することも可能である。
こうして、浸潤線Lの位置を定量的に把握することにより、盛土堤体2の力学的安定性を定量的に把握でき、すなわち、盛土堤体2の現在の安定性を定量的に評価・判断することができる。従って、盛土堤体2の維持補修の計画や災害時の現像把握に役立てることができる。
さらに、計測データを電話回線、インターネット等で転送することにより、災害時の避難指示等の判断材料とすることができる。
このモニタリングシステム例では、図示のように、貯水1中に水位計101を沈設して、盛土堤体2内に間隙水圧計102及び浸潤線計測器103を埋設し、盛土堤体2上に雨量計104を設置する。これら水位計101、間隙水圧計102、浸潤線計測器103及び雨量計104の計測データは現地計測システム110に送られる。
すなわち、現地計測システム110は、図示のように、水位計101、間隙水圧計102、浸潤線計測器103及び雨量計104の計測データをスイッチボックス111を介してデータロガー112に取り込む。そして、その計測データは、通信モデム113により電話回線または携帯電話回線116を介して通信モデム120に送信されて、計測用パソコン121に取り込まれる。
また、実施形態では溜池の盛土堤体に適用したが、河川の盛土堤体にも同様に適用可能である。
さらに、人工ドレーン材や人工フィルター材の材質や形状等も実施形態に限らず任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
21 掘削部
22 掘削底面
23 掘削法面
25 埋め戻し土砂
4 人工ドレーン材
41 水平部
42 立ち上がり部
5 人工フィルター材
L 浸潤線
Claims (6)
- 盛土堤体の浸透水を裏法面側に排水するドレーン構造であって、
盛土堤体の裏法面側に埋設され、浸透水を通すパイプ状ドレーン材または面状ドレーン材の少なくとも一方からなる人工ドレーン材と、
盛土堤体の裏法面側において露出する位置に、前記人工ドレーン材の端部に接続される人工フィルター材を備えることを特徴とする盛土堤体のドレーン構造。 - 前記人工ドレーン材は、間隔を置いて平面視で櫛形に設けられることを特徴とする請求項1に記載の盛土堤体のドレーン構造。
- 前記人工ドレーン材は、裏法面側と反対側が盛土堤体内で立ち上げられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の盛土堤体のドレーン構造。
- 盛土堤体の浸透水を裏法面側に排水するドレーン施工方法であって、
盛土堤体の裏法面側を掘削し、
その掘削部に、浸透水を通すパイプ状ドレーン材または面状ドレーン材の少なくとも一方からなる人工ドレーン材を敷設し、
盛土堤体の裏法面側で露出される位置に人工フィルター材を敷設して前記人工ドレーン材の端部に接続した後、
前記掘削部を埋め戻して前記人工ドレーン材と前記人工フィルター材を盛土堤体内に埋設することを特徴とする盛土堤体のドレーン施工方法。 - 盛土堤体の浸透水を裏法面側に排水するドレーン施工方法であって、
盛土堤体の裏法面側に、浸透水を通すパイプ状ドレーン材または面状ドレーン材の少なくとも一方からなる人工ドレーン材を挿入し、
盛土堤体の裏法面側で露出される位置に人工フィルター材を挿入して前記人工ドレーン材の端部に接続することにより、
盛土堤体内に前記人工ドレーン材と前記人工フィルター材を埋設することを特徴とする盛土堤体のドレーン施工方法。 - 前記人工ドレーン材を、間隔を置いて平面視で櫛形に敷設することを特徴とする請求項4又は5に記載の盛土堤体のドレーン施工方法。
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