以下、この実施例における車両用灯具の構成について説明する。この例は、たとえば、プロジェクタタイプのヘッドランプなどの自動車用前照灯について説明する。図において、符号1は、この実施例における車両用灯具である。前記車両用灯具1は、ヒートシンク部材18と、ランプユニット2と、モータ23と、配光パターン切替レンズ19と、2本のシャフト32と、一対の支持部材22と、駆動力伝達機構としての第1ギア24および第2ギア25と、図示しない自動車用前照灯のランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、を備えるものである。
前記ヒートシンク部材18および前記ランプユニット2および前記モータ23および前記配光パターン切替レンズ19および前記2本のシャフト32および前記一対の支持部材22および前記駆動力伝達機構としての第1ギア24および第2ギア25は、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画される灯室(図示せず)内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット2以外の他のランプユニットであって、前記ランプユニット2から照射される配光パターン以外の配光パターンを照射する他のランプユニットを1個もしくは複数個配置しても良い。
前記ヒートシンク部材18は、熱伝導や放射伝熱などの熱伝達効率が大きい部材、たとえば、ダイカスト部材から構成されている。前記ヒートシンク部材18は、図5〜図7の側面から見て、前側が低く、後側が高く、中央が前側から後側にかけて高くなるように傾斜した複数枚の薄板部材180から構成されている。前記ヒートシンク部材18は、図1〜図3、図9に示すように、前記複数枚の薄板部材180を左右に間隔を開けて垂直にかつ前後方向に配列させた状態で、前記複数枚の薄板部材180の上縁を水平繋部材181により一体に繋げ、かつ、前記複数枚の薄板部材180の前縁を垂直繋部材182により一体に繋げてなるものである。
前記ヒートシンク部材18は、取付ブラケット3、4と一体に兼用されている。すなわち、前記ヒートシンク部材18には、前記ランプユニット2が取り付けられている第1取付部3と、前記モータ23および前記シャフト32が取り付けられている第2取付部4とが、それぞれ一体に設けられている。前記第1取付部3は、前記ヒートシンク部材18の前側の前記水平繋部材181および前記垂直繋部材182からなる。前記第2取付部4は、前記ヒートシンク部材18の後側の前記複数枚の薄板部材180のうち左右両外側の2枚の薄板部材180からなる。前記左外側の薄板部材180の前記第2取付部4の上部が前記水平繋部材181より上方に突出している。前記ヒートシンク部材18の前側の前記第1取付部3と、前記ヒートシンク部材18の後側の前記第2取付部4とは、前後に相互に離れている。
前記ランプユニット2は、前記ヒートシンク部材18に取り付けられている。前記ランプユニット2は、半導体型光源を光源としてカットオフラインを有する配光パターンを照射するプロジェクタタイプのランプユニットから構成されている。たとえば、前記ランプユニット2は、図12に示すように、カットオフラインCL3を有する集光系の配光パターンP3を照射する。以下、前記プロジェクタタイプのランプユニット2の基本構成について図8を参照して説明する。
前記プロジェクタタイプのランプユニット2は、図8に示すように、プロジェクタタイプであって、ユニット構造をなす。前記プロジェクタタイプのランプユニット2は、上側のメインリフレクタ5と、下側のサブリフレクタ6と、半導体型光源7と、シェード8と、投影レンズ(凸レンズ、集光レンズ)9と、から構成されている。
前記メインリフレクタ5および前記サブリフレクタ6は、光不透過性の樹脂部材などから構成されており、ケーシングやハウジングやホルダなどの保持部材と兼用である。また、前記メインリフレクタ5および前記サブリフレクタ6は、前記プロジェクタタイプのランプユニット2の光軸Z−Zに沿って水平(ほぼ水平も含む)に上下に2分割してなるものである。前記メインリフレクタ5と前記サブリフレクタ6とは、固定手段(たとえば、ボルトナット、スクリュー、加締め、クリップなど)により、一体に固定されている。なお、前記メインリフレクタ5と前記サブリフレクタ6とを一体に形成しても良い。
前記メインリフレクタ5は、前側の部分が半円形に開口し、また、下側の部分が開口し、さらに、上側の部分および左右両側の部分および後側の部分が閉塞している。前記メインリフレクタ5の閉塞部の中央のから後側までの部分の凹内面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていてメイン反射面10が設けられている。
前記メイン反射面10は、楕円反射面である。すなわち、前記メイン反射面10は、楕円を基本(基準、基調)とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面である。前記の楕円を基本とする自由曲面(NURBS曲面)の反射面とは、図8の垂直断面が楕円をなし、かつ、図示しない水平断面が放物線ないし変形放物線をなす反射面からなるものである。前記メイン反射面10は、第1焦点F1と、第2焦点F2と、光軸Z−Zと、を有する。前記第2焦点F2は、水平断面上の焦線、すなわち、上(平面)から見て両端が前側に位置し中央が後側に位置するような湾曲した焦線となる。前記メイン反射面10の自由曲面(NURBS曲面)は、「Mathematical Elemennts for Computer Graphics」(Devid F. Rogers、J Alan Adams)に記載されているNURBSの自由曲面(Non-Uniform Rational B-Spline Surface)である。なお、前記メイン反射面10は、第1焦点と第2焦点と光軸とを有する単なる回転楕円面からなる反射面であっても良い。この場合、第2焦点は、焦線ではなく焦点となる。
前記サブリフレクタ6は、前側の部分が半円形に開口し、また、上側の部分の前側半分の部分が開口し、さらに、下側の部分の前側半分の部分および左右両側の部分の前側半分の部分および後側の部分および上側の部分の後側半分の部分が閉塞している。前記サブリフレクタ6の閉塞部分は、前側の下水平板部11と、中間の垂直板部12と、後側の上水平板部13と、からなる。前記サブリフレクタ6の上水平板部13の上面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、前記光軸Z−Zに沿う平面(ほぼ平面も含む)をなすサブ反射面14が設けられている。
前記半導体型光源7は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記半導体型光源7は、基板と、前記基板の一面に固定された微小な矩形形状(正方形形状)の光源チップ(半導体チップ)の発光体と、前記発光体を覆う光透過部材と、から構成されている。
前記シェード8は、前記サブリフレクタ6と一体に設けられている。すなわち、前記シェード8は、前記サブリフレクタ6の上水平板部13と兼用するものである。前記シェード8は、前記メイン反射面10の第2焦点F2もしくはその近傍と前記半導体型光源7との間に配置されている。また、前記シェード8は、前記半導体型光源7から放射された光L1であって前記メイン反射面10において反射された光L2の一部をカットオフして残りの反射光L2でカットオフラインCL3を有する配光パターンP3を形成するものである。
前記投影レンズ9は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ9の前方側(外部側)は、曲率が大きい(曲率半径が小さい)凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ9の後方側(前記半導体型光源7側)は、曲率が小さい(曲率半径が大きい)凸非球面をなす。このような投影レンズ9を使用することにより、前記投影レンズ9の焦点距離が小さくなるので、その分、前記プロジェクタタイプのランプユニット2の前記投影レンズ9の光軸Z−Z方向の寸法がコンパクトとなる。なお、前記投影レンズ9の後方側は、平非球面(平面)をなすものであっても良い。
前記メインリフレクタ5および前記サブリフレクタ6および前記半導体型光源7および前記シェード8および前記投影レンズ9からなる前記ランプユニット2は、前記ヒートシンク部材18と一体に兼用されている取付ブラケットの前記第1取付部3に、直接もしくは円筒形状のホルダ部材(レンズフレーム)17を介して、例えばスクリュー33、21などの取付手段により取り付けられている。
すなわち、前記メインリフレクタ5および前記サブリフレクタ6および前記半導体型光源7および前記シェード8は、前記ヒートシンク部材18の前記水平繋部材181の前記第1取付部3に直接スクリュー33により取り付けられている。なお、前記スクリュー33は、前記メインリフレクタ5と前記サブリフレクタ6とを一体に固定する固定手段として兼用しても良い。一方、前記投影レンズ9の全周縁は、前記ホルダ部材17の一方(前方)の開口部の縁に加締め付けなどにより取り付けられている。前記ホルダ部材17の他方(後方)の開口部の縁は、前記ヒートシンク部材18の前記垂直繋部材182の前記第1取付部3にスクリュー21により取り付けられている。
前記半導体型光源7の前記発光体(発光部)は、前記メイン反射面10の前記第1焦点F1もしくはその近傍に位置する。前記半導体型光源7は、前記サブリフレクタ6の前記上水平板部13の開口部15に配置されている。
前記投影レンズ9は、前側焦点(前記半導体型光源7側の焦点)および後側焦点(外部側の焦点)と、前記前側焦点と前記後側焦点とを結ぶ光軸Z−Zとを有する。前記メイン反射面10の光軸Z−Zと前記投影レンズ9の光軸Z−Zとは、一致(ほぼ一致も含む)する。前記メイン反射面10の光軸Z−Zおよび前記投影レンズ9の光軸Z−Zは、前記プロジェクタタイプのランプユニット2の光軸Z−Zでもある。前記投影レンズ9の前側焦点は、レンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)FLである。前記投影レンズ9の前記レンズ焦点FLは、前記メイン反射面10の第2焦点F2もしくはその近傍に位置する。なお、前記半導体型光源7の光は、高い熱を持たないので、前記投影レンズ9として樹脂製のレンズを使用することができる。前記投影レンズ9は、この例ではアクリルを使用する。前記投影レンズ9は、カットオフラインCL3を有する配光パターンP3および前記サブ反射面14からの反射光L3で形成される所定の補助配光パターン(図示せず)を前方に投影する。
前記シェード8のうち前記メイン反射面10の第2焦点F2もしくはその近傍の部分には、配光パターンP3のカットオフラインCL3およびエルボー点を形成するエッジ16が前記投影レンズ9のレンズ焦点FLに沿って設けられている。前記エッジ16は、前記垂直板部12と上水平板部13との角部に一体に設けられている。
前記モータ23は、前記ヒートシンク部材18の左右両外側の前記薄板部材180の前記第2取付部4の間に配置されている。前記モータ23は、前記ヒートシンク部材18の左外側の前記薄板部材180の前記第2取付部4の上部にスクリュー34により取り付けられている。前記モータ23の出力軸35は、前記第2取付部4に回転可能に突出している。前記モータ23は、前記シャフト32よりも上方に配置されている。
前記配光パターン切替レンズ19は、前記ランプユニット2の光照射側すなわち前記第3ランプユニット4の前方側に位置していて、前記ランプユニット2から照射される第1配光パターンを第2配光パターンに切り替えるものである。前記第1配光パターンは、図12に示すカットオフラインCL3を有する集光系の配光パターンP3である。また、前記第2配光パターンは、図11に示すカットオフラインCL4を有する拡散系の配光パターンP4である。
前記一対の支持部材22の一端の間には、前記ランプユニット2の前方側に位置する前記配光パターン切替レンズ19が挟み込まれた状態で支持されている。前記一対の支持部材22の一端と前記配光パターン切替レンズ19とは、一体構造をなす。前記一対の支持部材22の他端は、前記ヒートシンク部材18の左右両外側の前記薄板部材180の前記第2取付部4に、前記2本のシャフト32を介してそれぞれ回転可能に取り付けられている。前記一対の支持部材22は、前記2本のシャフト32の中心線を結ぶ中心軸O回りに回転可能である。
この結果、前記一対の支持部材22の一端側の前記配光パターン切替レンズ19は、前記ランプユニット2の光照射側、すなわち、前記ランプユニット2の前方側に位置する。一方、前記一対の支持部材22の他端側の前記2本のシャフト32は、前記ランプユニット2を挟んで前記配光パターン切替レンズ19と反対側に位置する。
前記2本のシャフト32は、図9に示すように、ネジ部36と、軸部37と、頭部38と、から構成されている。前記2本のシャフト32の前記ネジ部36が前記ヒートシンク部材18の左右両外側の前記薄板部材180の前記第2取付部4にねじ込まれていて、前記2本のシャフト32が前記ヒートシンク部材18の左右両外側の前記薄板部材180の前記第2取付部4にそれぞれ取り付けられている(固定されている)。前記2本のシャフト32の前記軸部37には、前記一対の支持部材22の他端がブッシュ39を介してそれぞれ回転可能に取り付けられている。なお、組付工程としては、まず、前記ブッシュ39を前記一対の支持部材22の他端に差し込み、つぎに、前記シャフト32の前記軸部37を前記ブッシュ39中に差し込み、それと同時に、前記シャフト32の前記ネジ部36を前記ヒートシンク部材18の前記第2取付部4にねじ込んで取り付けるものである。
前記シャフト32の前記中心軸Oを通る垂直線V−V上に前記モータ23の前記出力軸35が位置する。前記モータの前記出力軸35には、前記第1ギア24が固定されている。一方、前記左側のシャフト32の前記軸部37には、前記第2ギア25が回転可能に取り付けられている。前記第2ギア25は、前記左側の支持部材22の他端にスクリュー40により固定されている。前記第1ギア24と前記第2ギア25とは、それぞれ扇形状をなし、相互に噛み合っている。
前記第1ギア24と前記第2ギア25とから構成されている前記駆動力伝達機構は、前記モータ23の駆動力を前記一対の支持部材22に伝達させて前記一対の支持部材22を前記2本のシャフト32の中心軸Oを中心に回転させて、前記配光パターン切替レンズ19の位置を、前記第1配光パターンP3をそのまま通過させる第1位置と前記第1配光パターンP3を前記第2配光パターンP4に切り替える第2位置とに、切り替えるものである。
前記配光パターン切替レンズ19の前記第1位置は、図2および図6に示すように、前記配光パターン切替レンズ19が前記ランプユニット2に対して下側に位置していて前記ランプユニット2から照射される前記第1配光パターンP3(すなわち図13に示すカットオフラインCL3を有する集光系の配光パターンP3)が前記配光パターン切替レンズ19によって影響を受けない位置である。一方、前記配光パターン切替レンズ19の前記第2位置は、図1、図3、図4、図5、図7に示すように、前記配光パターン切替レンズ19が前記ランプユニット2の前方に位置していて前記ランプユニット2から照射される第1配光パターンP3を第2配光パターンP4(すなわち図12に示すカットオフラインCL4を有する拡散系の配光パターンP4)に切り替える位置である。
前記配光パターン切替レンズ19は、複数のシリンダ部、この例では、前面側が3個の凸円柱部に分割されていてかつ後面側が平面からなるシリンドリカルレンズである。前記配光パターン切替レンズ19の中心軸Oを中心とする円弧軌跡上の切替方向Aと、前記配光パターン切替レンズ19の3個の凸円柱部の分割線方向Bとは、上下方向に一致(ほぼ一致も含む)する。
前記モータ23と、前記2本のシャフト32と、前記一対の支持部材22と、前記駆動力伝達機構としての第1ギア24および第2ギア25とは、前記配光パターン切替レンズ19の位置を前記第1位置と前記第2位置とに切り替える前記レンズ位置切替機構20を構成する。
前記ヒートシンク部材18の前記垂直繋部材182の左右両側縁の上下には、前記一対の支持部材22の中間部の下部が当接して前記配光パターン切替レンズ19の前記第1位置を規制する第1ストッパ26と、前記一対の支持部材22の中間部の上部が当接して前記配光パターン切替レンズ19の前記第2位置を規制する第2ストッパ27と、それぞれ設けられている。
前記右側のシャフト32の前記軸部37および前記ブッシュ39には、コイル状のテンションスプリング41が配置されている。前記テンションスプリング41の両端は、前記ヒートシンク部材18の右外側の前記薄板部材180の前記第2取付部4に固定されている第1突起42と、前記右側の支持部材22の他端に固定されている第2突起43とに、それぞれ係合されている。前記テンションスプリング41のテンションにより、前記一対の支持部材22の一端側および前記配光パターン切替レンズ19には、図1、図2、図5〜図7中の時計方向に持ち上げられる力が常時作用する。
ここで、前記の一対の支持部材22の中間部の下部が前記第1ストッパ26に当接して前記配光パターン切替レンズ19の位置が第1位置に規制されているときの前記テンションスプリング41のテンションは、相互に噛み合っている第1ギア24および第2ギア25を介して、前記一対の支持部材22および前記配光パターン切替レンズ19が図1、図2、図5〜図7中の時計方向に回転しない程度の力とする。
図10は、モータの駆動を制御する制御装置について示すブロック図である。前記制御装置は、車両(図示せず)の車速や舵角などに基づいて、前記モータ23を駆動停止させて、前記配光パターン切替レンズ19の位置を前記第1位置と前記第2位置とに切り替えるものである。前記制御装置は、操舵角センサ28と、車速センサ29と、位置センサ30と、コントロールユニット31と、を備えるものである。前記操舵角センサ28および前記車速センサ29は、車両の周囲の環境を検知して環境検知信号を出力する環境検知装置である。
前記操舵角センサ28は、ステアリングハンドル(ステアリングホイール、ハンドル)の操舵角(舵角)および操舵方向および角速度を検出して、操舵角信号および操舵方向信号および角速度信号を前記コントロールユニット31に出力するものである。すなわち、前記操舵角センサ28は、たとえば、車両が曲路(左カーブの道路や右カーブの道路)を走行する場合に、また、車両が交差路を左折したり右折したりする場合に、ドライバーが操舵するステアリングハンドルの操舵角(回転角)および操舵方向(回転方向)および角速度(回転速度)を検出して、操舵角信号および操舵方向信号および角速度信号を前記コントロールユニット31に出力するものである。
前記車速センサ29は、車速を検出して車速信号として前記コントロールユニット31に出力するものである。前記位置センサ30は、前記配光パターン切替レンズ19の第1位置と第2位置とを検出して第1位置信号と第2位置信号として前記コントロールユニット31に出力するものである。
前記コントロールユニット31は、車両に搭載されているコンピュータ、たとえば、カーナビゲーション(ナビゲーションシステム)のコンピュータ、また、制御回路部やECU・電子制御ユニットのコンピュータなどを使用する。前記コントロールユニット31は、前記操舵角センサ28からの操舵角信号および操舵方向信号および角速度信号と、前記車速センサ29からの車速信号と、前記位置センサ30からの第1位置信号および第2位置信号と、に基づいて、モータ駆動信号とモータ駆動停止信号とを前記モータ23に出力するものである。
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
まず、ランプユニット2の半導体型光源7の発光体を点灯発光させる。すると、半導体型光源7の発光体から光L1が放射される。この光L1は、メイン反射面10で反射され、この反射光L2がメイン反射面10の第2焦点F2に集中する。第2焦点F2に集中する反射光L2の一部は、シェード8によりカットオフされる。このシェード8によりカットオフされた反射光L2は、シェード8と一体であるサブ反射面14により反射され、その反射光L3で所定の補助配光パターンが形成される。一方、残りの反射光L2で所定の主配光パターンが形成される。
所定の補助配光パターンと所定の主配光パターンとは、投影レンズ9を透過して合成され、所定の配光パターン。すなわち、ランプユニット2からは、図12に示すように、カットオフラインCL3を有する集光系の配光パターンP3、または、ランプユニット2および配光パターン切替レンズ19からは、図11に示すカットオフラインCL4を有する拡散系の配光パターンP4が照射される。
ここで、車両が低速走行時(通常走行時)においては、制御装置の作用により、配光パターン切替レンズ19は図1、図3、図4、図5、図7に示す第2位置に位置する。このために、ランプユニット2からは、図11に示すカットオフラインCL4を有する拡散系の配光パターンP4が照射される。この拡散モードの配光パターンP4は、カーブや路肩の視認性が向上され、車両の低速走行(通常走行)に適している。
そして、前記の一対の支持部材22の中間部の上部が第2ストッパ27に当接して配光パターン切替レンズ19の位置が第2位置に規制されているとき。このときにおいては、テンションスプリング41のテンションにより、一対の支持部材22の中間部の上部が第2ストッパ27に当接している状態で、一対の支持部材22の一端側および配光パターン切替レンズ19には、図1、図2、図5〜図7中の時計方向(一対の支持部材22の中間部の上部が第2ストッパ27に当接する方向)に持ち上げられる力が常時作用している。
車両が低速走行(通常走行)から高速走行に移行すると、制御装置の作用により、モータ23が駆動し、第1ギア24および第2ギア25を介して一対の支持部材22が中心軸Oを中心として、図1、図2、図5〜図7中の反時計方向に回転する。この一対の支持部材22の回転に伴って、配光パターン切替レンズ19が図1、図3、図4、図5、図7に示す第2位置から図2、図6に示す第1位置に円弧状に切り替わる。
配光パターン切替レンズ19の位置が第2位置から第1位置に切り替わった時点で、図6に示すように、一対の支持部材22の中間部の下部が第1ストッパ26に当接する。すると、制御装置の作用により、モータ23の駆動が停止して、配光パターン切替レンズ19の位置が第1位置に規制される。
配光パターン切替レンズ19の位置が第2位置から第1位置に切り替わると、ランプユニット2からは、図12に示すカットオフラインCL3を有する集光系の配光パターンP3が照射される。この集光モードの配光パターンP3は、前方(遠方)の視認性が向上され、車両の高速走行に適している。
そして、前記の一対の支持部材22の中間部の下部が第1ストッパ26に当接して配光パターン切替レンズ19の位置が第1位置に規制されているとき。このときにおいては、テンションスプリング41のテンションにより、一対の支持部材22の一端側および配光パターン切替レンズ19には、図1、図2、図5〜図7中の時計方向に持ち上げられる力が常時作用している。しかしながら、の一対の支持部材22の中間部の下部が第1ストッパ26に当接して配光パターン切替レンズ19の位置が第1位置に規制されているときのテンションスプリング41のテンションは、相互に噛み合っている第1ギア24および第2ギア25を介して、一対の支持部材22および配光パターン切替レンズ19が図1、図2、図5〜図7中の時計方向に回転しない程度の力である。このために、一対の支持部材22の一端側および配光パターン切替レンズ19が、テンションスプリング41のテンションにより、図1、図2、図5〜図7中の時計方向に回転して、第1位置から第2位置に切り替わるようなことはない。
車両が高速走行から低速走行(通常走行)に移行すると、制御装置の作用により、モータ23が駆動し、第1ギア24および第2ギア25を介して一対の支持部材22が中心軸Oを中心として回転する。この一対の支持部材22の回転に伴って、配光パターン切替レンズ19が図2、図6に示す第1位置から図1、図3、図4、図5に示す第2位置に円弧状に切り替わる。
配光パターン切替レンズ19の位置が第1位置から第2位置に切り替わった時点で、図5に示すように、一対の支持部材22の中間部の上部が第2ストッパ27に当接する。すると、制御装置の作用により、モータ23の駆動が停止して、配光パターン切替レンズ19の位置が第2位置に規制される。この結果、図12に示す集光モードの配光パターンP3から図11に示す拡散モードの配光パターンP4に切り替わる。
この実施例における車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施例における車両用灯具1は、ランプユニット2やモータ23において発生する熱を外部に放出(放射)するためのヒートシンク部材18と、ランプユニット2やモータ23を取り付けるための取付ブラケットとしての第1取付部3および第2取付部4とが一体で兼用されているものであるから、部品点数を軽減することができる。しかも、この実施例における車両用灯具1は、部品点数を軽減することにより、製造コストを安価にすることができ、かつ、灯具を小型化することができる。
その上、この実施例における車両用灯具1は、モータ23と一対の支持部材22とが取付ブラケットとしての第1取付部3および第2取付部4と一体で兼用されているヒートシンク部材18に直接にもしくは2本のシャフト32を介して取り付けられているものである。このために、この実施例における車両用灯具1は、モータ23と一対の支持部材22とを取付ブラケットとしての第1取付部3および第2取付部4と一体で兼用されているヒートシンク部材18にそれぞれ精度良く取り付けることができ、かつ、そのモータ23と一対の支持部材22とに駆動力伝達機構としての第1ギア24と第2ギア25とをそれぞれ精度良く設けることができる。これにより、この実施例における車両用灯具1は、モータ23の駆動力を駆動力伝達機構としての第1ギア24および第2ギア25を介して一対の支持部材22にスムーズに伝達することができるので、この一対の支持部材22を介して配光パターン切替レンズ19の位置を第1位置と第2位置とに精度良く切り替えることができ、配光パターンを第1配光パターンP3と第2配光パターンP4とに精度良く切り替えることができる。
特に、この実施例における車両用灯具1は、モータ23と一対の支持部材22と駆動力伝達機構としての第1ギア24および第2ギア25とにより、配光パターン切替レンズ19の位置を第1位置に切り替えると第1配光パターンP3が得られ、また、配光パターン切替レンズ19の位置を第2位置に切り替えると第2配光パターンP4が得られるものである。このように、この実施例における車両用灯具1は、従来の車両用灯具と比較して、構成部品が少なく、しかも、配光パターン切替レンズ19の位置の切替が第1位置と第2位置との切替で簡単である。この結果、この実施例における車両用灯具1は、従来の車両用灯具と比較して、構造が簡単であり、製造コストが安価である。その上、この実施例における車両用灯具1は、配光パターンを車両の走行状況に応じて第1配光パターンP3と第2配光パターンP4とに切り替えることができるので、車両の走行状況に応じた視認性を確保することができ、交通安全に貢献することができる。
また、この実施例における車両用灯具1は、第1ギア24が固定されているモータ23の出力軸35が、第2ギア25が回転可能に取り付けられているシャフト32を通る垂直線V−V上に、位置する。このために、この実施例における車両用灯具1は、モータ23の出力軸35側の第1ギア24とシャフト32側の第2ギア25とが、モータ23の出力軸35を中心とする時計方向および反時計方向とシャフト32を中心とする時計方向および反時計方向とにおいて、均等な力で相互に噛み合うので、片当たりせずに、モータ23の駆動力を一対の支持部材22にスムーズに伝達することができる。これにより、この実施例における車両用灯具1は、モータ23、第1ギア24および第2ギア25、一対の支持部材22を介して、配光パターン切替レンズ19の位置を第1位置と第2位置とに精度良く切り替えることができ、配光パターンを第1配光パターンP3と第2配光パターンP4とに精度良く切り替えることができる。
しかも、この実施例における車両用灯具1は、第1ギア24が固定されているモータ23の出力軸35が、第2ギア25が回転可能に取り付けられているシャフト32を通る垂直線V−V上に、位置する。このために、この実施例における車両用灯具1は、第1ギア24のモータ23の出力軸35への取付および第2ギア25のシャフト32への取付および第1ギア24と第2ギア25との相互の噛み合いなどの組付作業性が向上し、その分、製造コストを安価にすることができる。
さらに、この実施例における車両用灯具1は、ランプユニット2が取り付けられている第1取付部3すなわちヒートシンク部材18の前側と、モータ23が取り付けられている第2取付部4すなわちヒートシンク部材18の後側とが、相互に離れている。このために、この実施例における車両用灯具1は、ランプユニット2において発生する熱とモータ23において発生する熱とが、相互に離れている第1取付部3と第2取付部4とからそれぞれ外部に放出される。このように、この実施例における車両用灯具1は、ランプユニット2において発生する熱をモータ23に影響を与えずに第1取付部3から効率良く外部に放出させることができ、また、モータ23において発生する熱をランプユニット2に影響を与えずに第2取付部4から効率良く外部に放出させることができる。すなわち、この実施例における車両用灯具1は、ランプユニット2において発生する熱とモータ23において発生する熱とを、それぞれ別個のルートである第1取付部3と第2取付部4とから外部に放出するので、放熱効果が大である。
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、一対の支持部材22の一端側の切替レンズ19から一対の支持部材22の他端側のシャフト32までの距離をランプユニット2を挟んで長くすることができる。これにより、この実施例における車両用灯具1は、一対の支持部材22の回転角度を小さくしても、配光パターン切替レンズ19の第1位置と第2位置との切替距離を大きくすることができる。この結果、この実施例における車両用灯具1は、配光パターン切替レンズ19を第1位置と第2位置とに迅速に切り替えることができるので、第1配光パターンP3と第2配光パターンP4とを迅速に切り替えて得ることができる。
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、一対の支持部材22の中間部の上部が第2ストッパ27に当接して配光パターン切替レンズ19の位置が第2位置に規制されているときにおいては、テンションスプリング41のテンションにより、一対の支持部材22の中間部の上部が第2ストッパ27に当接している状態で、一対の支持部材22の一端側および配光パターン切替レンズ19には、図1、図2、図5〜図7中の時計方向(一対の支持部材22の中間部の上部が第2ストッパ27に当接する方向)に持ち上げられる力が常時作用する。これにより、この実施例における車両用灯具1は、一対の支持部材22および配光パターン切替レンズ19が車両の振動などによりぶれるのを確実に防ぐことができるので、一対の支持部材22および配光パターン切替レンズ19の耐久性が向上し、かつ、拡散モードの配光パターンP4に対してぶれや変化を与えることがなく、交通安全に貢献することができる。
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、配光パターン切替レンズ19が一対の支持部材22の一端の間に挟み込まれた状態で設けられているので、一対の支持部材22で配光パターン切替レンズ19を確実に固定することができる。これにより、この実施例における車両用灯具1は、配光パターン切替レンズ19が車両の振動などによりぶれるのを確実に防ぐことができるので、配光パターン切替レンズ19の耐久性が向上し、かつ、拡散モードの配光パターンP4に対してぶれや変化を与えることがなく、交通安全に貢献することができる。
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、一対の支持部材22の一端と配光パターン切替レンズ19とが一体構造をなすので、部品点数をさらに軽減することができる。
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、モータ23をヒートシンク部材18の左右両外側の薄板部材180の第2取付部4の間に配置するので、モータ23とヒートシンク部材18とをコンパクトにまとめることができる。
さらにまた、この実施例における車両用灯具1は、モータ23をシャフト32よりも上方に配置するので、ヒートシンク部材18の後側の上方にモータ23配置用のスペースがありかつ下方にモータ23配置用のスペースがない場合に最適である。しかも、この実施例における車両用灯具1は、モータ23をヒートシンク部材18の後側の上部の第2取付部4に取り付けるので、モータ23において発生する熱を外部に上方に効率良く放出させることができる。
以下、前記の実施例以外の例について説明する。この実施例においては、ヘッドランプなどの自動車用前照灯について説明するものである。ところが、この発明においては、ヘッドランプなどの自動車用前照灯以外の車両用灯具、たとえば、フォグランプ、その他の追加灯や補助灯などであっても良い。
また、前記の実施例においては、ランプユニットして、半導体型光源7を光源としてカットオフラインCL3、CL4を有する配光パターンP3、P4を照射するプロジェクタタイプのランプユニット2を使用するものである。ところが、この発明においては、ランプユニットとして、放電灯やハロゲン電球や白熱電球などを光源とするランプユニットであっても良いし、また、反射タイプ(リフレクタタイプ)や直射タイプなどのランプユニットであっても良い。
さらに、前記の実施例においては、配光パターンを切り替えるランプユニット2を1個使用するものである。ところが、この発明においては、配光パターンを切り替えるランプユニット2を複数個使用しても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、ランプユニット2として、投影レンズ9と半導体型光源7およびメイン反射面10を水平に配置する横型のプロジェクタタイプのランプユニット2を使用するものである。ところが、この発明においては、投影レンズと半導体型光源およびメイン反射面との間に平面反射面を配置して投影レンズおよび半導体型光源およびメイン反射面および平面反射面を垂直に配置する縦型のプロジェクタタイプのランプユニットを使用しても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、配光パターン切替レンズ19として、前面側が3個の凸円柱部に分割されていてかつ後面側が平面からなるシリンドリカルレンズを使用するものである。ところが、この発明においては、配光パターン切替レンズとして、シリンドリカルレンズ以外のレンズを使用しても良いし、また、前面側が平面で後面側が複数のシリンダ部(凸円柱部あるいは凹円柱部あるいは凹凸円柱部)であるシリンドリカルレンズ、もしくは、前後両面側が複数のシリンダ部(凸円柱部あるいは凹円柱部あるいは凹凸円柱部)であるシリンドリカルレンズを使用しても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、制御装置によりランプユニット2の配光パターンを自動的に切り替えるものである。ところが、この発明においては、ランプユニット2の配光パターンを手動で切り替えても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、半導体型光源7を光源とするプロジェクタタイプのランプユニット2にサブ反射面14を設けて補助配光パターンを得るものである。ところが、この発明においては、サブ反射面を設けなくても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、支持部材22として一対の支持部材22を使用するものである。ところが、この発明においては、支持部材として1本の支持部材でも良い。
さらにまた、前記の実施例においては、モータ23をヒートシンク部材18の左右両外側の薄板部材180の第2取付部4の間に配置し、かつ、シャフト32よりも上方に配置するものである。ところが、この発明においては、モータ23を任意の位置に配置しても良い。
さらにまた、前記の実施例においては、第2ギア25と左側の支持部材22の他端とが別体構造をなすものである。ところが、この発明においては、第2ギア25と左側の支持部材22の他端とが一体構造をなすものであっても良い。この場合においては、さらに部品点数を軽減することができる。
さらにまた、前記の実施例においては、一対の支持部材22の一端と配光パターン切替レンズ19とが一体構造をなすものである。ところが、この発明においては、一対の支持部材22の一端と配光パターン切替レンズ19とが別体構造をなすものであっても良い。