JP4668005B2 - 分析システム - Google Patents

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Description

本発明は、分析システムに関し、特に、機能性タンパク質と、機能性タンパク質に特異的に結合する結合物質との結合状態の変化を表す指標を求める分析システムに関する。
従来、溶媒中の粒子のブラウン運動を散乱光から検出し、その散乱光に基づいて粒度分布を求める動的散乱光法(光子相関法)を用いた粒度分布測定装置が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
上記非特許文献1には、粒度分布測定装置による機能性タンパク質の評価方法が開示されており、粒子径が0.6nm〜6000nmまでの幅広い範囲での測定が可能である。この非特許文献1に開示された粒度分布測定装置による評価方法は、レクチン(機能性タンパク質)と、レクチンに特異的に結合する糖(結合物質)との結合前と結合後の粒度分布を動的散乱光法(光子相関法)により求め、求められた粒度分布の変化によってレクチンが糖との結合状態にあるか否かを評価する方法である。
発明協会公開技報公技番号2003−501687号
しかしながら、非特許文献1に開示された従来の粒度分布測定装置を用いたレクチン(機能性タンパク質)の評価方法では、機能性タンパク質(レクチン)が結合物質(糖)と結合したか否かしか分からないため、結合状態の変化などについて知ることが困難である。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、機能性タンパク質の結合状態の変化を分析することが可能な分析システムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による分析システムは、機能性タンパク質と機能性タンパク質に特異的に結合する結合物質とを収容して反応させるための検出セルに光を照射するための光源と、検出セルから散乱光を検出するための検出器と、検出器で検出された散乱光の強度に基づいて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標を求めるための制御部とを備え、制御部は、散乱光の強度と、自己相関関数の値とに基づいて、指標を求め、自己相関関数G(Δt)は、時間tにおける散乱光の強度I(t)と、時間tから所定時間Δt経過後の散乱光の強度I(t+Δt)とにより、以下の式を満たすように定義され、
G(Δt)=<I(t)×I(t+Δt)>/<I(t)>
検出器が散乱光の強度を検出可能な最小サンプル時間をt1とした場合、制御部は、散乱光の強度と、自己相関関数G(Δt)(0.95×G(t1)≦G(Δt)≦1.05×G(t1))の値とに基づいて、指標を求める。
この一の局面による分析システムでは、上記のように、検出セルから散乱光を検出するための検出器と、検出器で検出された散乱光の強度に基づいて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標を求めるための制御部とを設けることによって、制御部により求められた機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標に基づいて機能性タンパク質の結合状態の変化を分析することができる。なお、本発明における自己相関関数G(Δt)は、粒子(機能性タンパク質)がブラウン運動により位置を変える場合に、ある基準時間の粒子の位置から時間の変化に伴って粒子の位置が変化していく際の時間毎の粒子の重なりの度合いを時間の関数として表したものであり、Δt=0では粒子が完全に重なるので、自己相関関数G(0)=1となり、時間が経つにつれて粒子の重なり度合いは少なくなるため、自己相関関数G(Δt)は0に向かって減衰する上記した式のような関数になる。本願発明者は、機能性タンパク質の粒子径のバラツキなどに起因して光学的ノイズが発生する場合に粒子の散乱光の強度が増加する一方、自己相関関数G(Δt)のt=0近傍の値が光学的ノイズがある場合に低下するということを考慮して、散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値とを組み合わせることによって、正確に機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができることを見出した。また、0.95×G(t1)≦G(Δt)≦1.05×G(t1)の範囲の自己相関関数G(Δt)は、機能性タンパク質の粒子径のバラツキなどによる光学的なノイズが主な要因となって低下するt=0近傍の自己相関関数G(Δt)であるので、この自己相関関数の値G(Δt)(0.95×G(t1)≦G(Δt)≦1.05×G(t1))と、光学的なノイズに起因して上昇する散乱光の強度とを組み合わせることによって、より正確に機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができる。
上記一の局面による分析システムにおいて、好ましくは、指標は、結合速度を反映する指標、結合力を反映する指標、および、親和性を反映する指標からなるグループより選択される少なくとも1つの指標である。このように結合速度を反映する指標を用いれば、結合速度が増加している場合には、機能性タンパク質と結合物質との結合が途中の段階であると判断(分析)することができるとともに、結合速度が一定である場合には、機能性タンパク質と結合物質との結合が終了したと判断(分析)することができるので、結合速度を反映する指標に基づいて、容易に、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を分析することができる。また、結合力を反映する指標を用いれば、十分な結合物質が存在する条件下において、所定の濃度の機能性タンパク質の結合力が増加する場合には、所定の濃度の機能性タンパク質が結合物質と活発に結合していると判断(分析)することができるので、結合力を反映する指標に基づいて、容易に、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を分析することができる。また、親和性を反映する指標を用いれば、機能性タンパク質が複数の結合物質の中のいずれの結合物質と容易に結合するのかを判断(分析)することができるので、親和性を反映する指標に基づいて、容易に、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を分析することができる。
上記一の局面による分析システムにおいて、好ましくは、制御部は、機能性タンパク質と結合物質との反応状態が異なる複数のポイントにおいて検出された散乱光の強度に基づいて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標を求める。このように構成すれば、機能性タンパク質と結合物質との反応状態が異なる複数のポイントにおいて検出された散乱光の強度(複数散乱光強度)を取得することにより、結合物質に機能性タンパク質を加えて反応を行う場合には、異なる反応時間において検出された複数の散乱光強度を取得することができる。また、十分な結合物質の存在する条件で機能性タンパク質を段階的に加えて反応を行う場合には、機能性タンパク質の添加量が異なる状態で検出された複数の散乱光強度を取得することができる。また、第1の結合物質と機能性タンパク質とを反応させ、その第1の結合物質および機能性タンパク質に、第1の結合物質と機能性タンパク質との結合を解離させるとともに、機能性タンパク質と競合反応を示す第2の結合物質を段階的に加えて反応を行う場合には、第2の結合物質の添加量が異なる状態で検出された複数の散乱光強度を取得することができる。
上記一の局面による分析システムにおいて、好ましくは、散乱光は後方散乱光である。このように構成すれば、後方散乱光からは感度の高い信号を得られるため、検出器が検出セルから後方散乱光を検出することによって、その後方散乱光に基づいて結合物質に結合する機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができるので、信頼性の高いデータを得ることができる。
上記一の局面による分析システムにおいて、好ましくは、自己相関関数G(Δt)の値は、時間tから検出器が散乱光の強度を検出可能な最小サンプル時間t1経過後の自己相関関数の値G(t1)である。このように構成すれば、Δt=t1のときの自己相関関数の値G(t1)は、機能性タンパク質の粒子径のバラツキなどによる光学的なノイズが主な要因となって低下するt=0近傍の自己相関関数G(Δt)であるので、検出器が散乱光の強度を検出可能な最小サンプル時間t1経過後の自己相関関数の値G(t1)と、散乱光の強度とを組み合わせることによって、より正確に機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができる。
上記一の局面による分析システムにおいて、好ましくは、制御部は、指標として、散乱光の強度と、自己相関関数G(Δt)の値との積を求める。このように構成すれば、光学的なノイズに起因して増加した散乱光の強度に、光学的なノイズに起因して減少した自己相関関数G(Δt)の値を掛け合わせることによって、光学的なノイズに起因して増加した散乱光の強度のうちの光学的なノイズによる増加分を相殺することができる。その結果、より正確に、機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができる。
上記散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積に基づいて指標を求める分析システムにおいて、好ましくは、散乱光の強度は、時間tから所定時間の間に検出された複数の散乱光の強度の平均値である。このように構成すれば、検出時点の直後の時点で散乱光の強度が外部からのごみなどによる光学的なノイズにより特異的に上昇した場合でも、検出時点から所定の時間分の複数の散乱光の強度の平均値を求めることにより、その特異的に上昇した散乱光の強度を捉えることができる。その結果、自己相関関数G(Δt)と、散乱光の強度の平均値との積を求めることによって、より正確に機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができる。
上記散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積に基づいて指標を求める分析システムにおいて、好ましくは、分析結果を出力するための出力部をさらに備え、制御部は、機能性タンパク質と結合物質との反応時間に対する散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積をプロットしたグラフを出力部に表示する。このように構成すれば、機能性タンパク質と結合物質との反応時間の経過に対する、散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積の推移を表示することができるので、そのグラフに基づいて反応時間に対する機能性タンパク質と結合物質との結合状態を知ることができる。
上記散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積に基づいて指標を求める分析システムにおいて、好ましくは、分析結果を出力するための出力部をさらに備え、制御部は、十分な結合物質の存在する条件下で、複数の濃度に設定された機能性タンパク質を混在させたときの機能性タンパク質の濃度に対する散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積をプロットしたグラフを出力部に表示する。このように構成すれば、機能性タンパク質の各濃度に対する、散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積を表示することができるので、そのグラフに基づいて機能性タンパク質の濃度に対する機能性タンパク質と結合物質との結合状態を知ることができる。
上記散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積に基づいて指標を求める分析システムにおいて、好ましくは、分析結果を出力するための出力部をさらに備え、制御部は、機能性タンパク質および結合物質を混在させた条件下で、機能性タンパク質と結合物質との結合を解離させる複数の濃度に設定された阻害糖を添加したときの阻害糖の濃度に対する散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積をプロットしたグラフを出力部に表示する。このように構成すれば、阻害糖の添加量に対する、散乱光の強度と自己相関関数G(Δt)の値との積を表示することができる。その結果、検出セルに収容される機能性タンパク質が、結合物質または阻害糖のいずれに容易に結合するのかを示したグラフを表示することができるので、そのグラフに基づいて阻害糖の濃度に対する機能性タンパク質と結合物質との結合状態を知ることができる。
上記一の局面による分析システムにおいて、好ましくは、検出セルに照射される光源からの光を集光するとともに、集光する光の焦点位置を移動することが可能なレンズ部をさらに備えている。このように構成すれば、検出セルに濃度が高い機能性タンパク質および結合物質が収容された場合に、レンズにより集光される光の焦点位置を光源側にすることによって、機能性タンパク質および結合物質に散乱される散乱光の強度を抑制することができる。また、検出セルに濃度が低い機能性タンパク質および結合物質が収容された場合に、レンズにより集光される光の焦点位置を光源側とは反対側に設定することによって、機能性タンパク質および結合物質に散乱される散乱光の強度を増大させることができる。これらの結果、検出セルに収容される機能性タンパク質および結合物質の濃度に依存せずに、検出器により、適切な散乱光の強度を検出することができる。
上記一の局面による分析システムにおいて、好ましくは、光源と、検出器とを有する分析装置と、制御部を有するとともに、分析装置に通信可能に接続されるコンピュータとを備え、コンピュータの制御部は、検出器で検出された散乱光の強度を受信して、受信した散乱光の強度に基づいて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標を求める。このように構成すれば、機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることが可能な分析システムを、分析装置とコンピュータとにより構築することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による機能性タンパク質分析システムの全体構成を示した斜視図であり、図2は、図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置のブロック図である。図3〜図8は、図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの構成を説明するための図である。まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態による機能性タンパク質分析システム1の構成について説明する。
本発明の一実施形態による機能性タンパク質分析システム1は、溶媒中でブラウン運動をする機能性タンパク質および機能性タンパク質に特異的に結合する結合物質から検出される散乱光強度に基づいて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標を求めるシステムである。なお、本実施形態による分析システム1では、機能性タンパク質としては糖鎖と特異的に結合するレクチン(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV、マンノース・グルコース特異性レクチンConA)が用いられるとともに、結合物質としては糖(ラクトース所有ポリマー、グルコース所有ポリマー)が用いられる。本実施形態による分析システム1は、図1に示すように、分析装置2と、分析装置2にUSBケーブル3を介して接続されるパーソナルコンピュータ(PC)4とから構成されている。なお、分析装置2とパーソナルコンピュータ4とを無線により通信可能に構成してもよい。
図1に示した分析装置2は、機能性タンパク質および結合物質を含む測定用試料を収容して反応させる検出セル5(図3参照)にレーザー光を照射することによって、検出セル5に収容される測定用試料から散乱光強度を検出するとともに、その散乱光強度に基づいて求められる後述する自己相関関数G2(τ)を取得する機能を有している。なお、本実施形態では、検出セル5に収容される測定用試料に照射されるレーザー光が、レーザー光の進行方向とは反対方向に反射される後方散乱光を用いて、散乱光強度を検出している。この分析装置2は、図2に示すように、レーザー21と、複数のミラー22と、減衰器23と、可動レンズ24と、測定部25と、遮光板26と、吸収器27と、集光光学部28と、光ファイバ29と、光ファイバカプラ30と、アバランシェ・フォトダイオード(APD)31と、コリレータ32と、制御部33と、レーザー駆動回路34とを備えている。
レーザー21は、測定用試料が収容される検出セル5にレーザー光を照射するために設けられている。このレーザー21から照射されるレーザー光は、He−Neレーザー光であり、633(nm)の周波数を有している。また、複数のミラー22は、レーザー21から照射されるレーザー光が測定部25に保持される検出セル5に向かって進行するように所定の位置に設置されている。
減衰器23は、レーザー21から照射されるレーザー光の光量を調整する機能を有している。具体的には、検出セル5に収容される測定用試料が高濃度である場合や、測定用試料に収容される機能性タンパク質の粒子径にバラツキがある場合には、検出セル5の収容される測定用試料から取得される散乱光強度が大きくなるため、減衰器23による減衰量を増加させてレーザー21から照射されるレーザー光の光量を抑制する。また、検出セル5に収容される測定用試料が低濃度である場合や、測定用試料に含まれる粒子が非常に小さい場合には、検出セル5の収容される測定用試料から取得される散乱光強度が小さくなるため、減衰器23による減衰量を減少させてレーザー21から照射されるレーザー光の光量を増大している。
ここで、本実施形態では、図4および図5に示すように、可動レンズ24は、レーザー21から照射されるレーザー光を、検出セル5に収容される測定用試料に集光するために設けられている。そして、この可動レンズは、検出セル5に向かって進行するレーザー光の進行方向に沿った方向(図4および図5のA方向)に移動可能に設けられている。これにより、検出セル5に濃度が高い測定用試料が収容された場合に、図4に示すように、可動レンズ24をレーザー21側に移動させることにより、可動レンズ24により集光されるレーザー光の焦点位置を検出セル5の可動レンズ24側にすることが可能となる。その結果、散乱される後方散乱光の強度を抑制することが可能となる。また、検出セル5に濃度が低い測定用試料が収容された場合に、図5に示すように、可動レンズ24を検出セル5側に移動させることにより、可動レンズ24により集光されるレーザー光の焦点位置を検出セル5の後述する吸収器27(図2参照)側にすることが可能となる。その結果、散乱される後方散乱光の強度を増大させることが可能となる。したがって、検出セル5に収容される測定用試料の濃度に依存せずに、アバランシェ・フォトダイオード(APD)31により、散乱光の強度を検出することが可能となる。また、可動レンズ24は、レーザー光の進行方向とは反対方向に反射された散乱光(後方散乱光)を平行光にする機能も有している。これにより、測定用試料から得られた散乱光を後述する集光光学部28に導いている。
測定部25には、図1および図2に示すように、測定用試料が収容される検出セル5を保持するためのセル保持孔251aを含む、セル設置部251が設けられている。また、測定部25には、測定時に、セル設置部251のセル保持孔251aに保持される検出セル5に外部からの光が入射しないように蓋部252(図1参照)が開閉可能に設けられている。したがって、測定時に、セル保持孔251aに測定用試料が収容される検出セル5を保持させるとともに、蓋部252を閉めることによって、セル設置部251の内部は外部からの光が遮断された状態となる。これにより、外部からの光が遮断された条件下で測定を行うことが可能となる。また、図2に示すように、測定部25と可動レンズ24との間には、測定部25の蓋部252の開閉動作と連動するように移動する遮光板26が設けられている。この遮光板26は、測定部25の蓋部252が開けられた状態では、レーザー21から照射されるレーザー光が検出セル5に入射するのを遮断するように配置されるとともに、測定部25の蓋部252が閉じられた状態では、レーザー光が検出セル5に入射するようにレーザー光の光路上から取り除かれるように構成されている。
吸収器27は、検出セル5に収容される測定用試料に反射されずに透過した光を吸収するように、検出セル5が保持される測定部25を挟んで可動レンズ24に対向するように配置されている。これにより、検出セル5に収容される測定用試料に散乱された後方散乱光のみを可動レンズ24側の方向に進行させることが可能となる。
集光光学部28は、検出セル5に収容される測定用試料に照射されるとともに反射した散乱光(後方散乱光)を光ファイバ29に導くために設けられている。また、光ファイバ29は、集光光学部28によって導かれた散乱光を、光ファイバカプラ30を介して、アバランシェ・フォトダイオード(APD)31に伝搬するために設けられている。
アバランシェ・フォトダイオード(APD)31は、検出セル5に収容される測定用試料にレーザー光を照射することにより取得された散乱光(アナログ信号)を検知して、その検知した散乱光をA/D変換部31aにより電気信号(デジタル信号)に変換する機能を有している。そして、変換された電気信号(デジタル信号)は、散乱光強度データとして経過時間毎に後述する制御部33のRAM333に格納されるとともに、後述するコリレータ32に送信される。また、アバランシェ・フォトダイオード31は、検知した散乱光を増幅する機能も有しており、測定用試料から検知された散乱光が微弱な信号であっても、その微弱な信号を増幅することが可能である。
ここで、本実施形態では、コリレータ32は、図6および図7に示すように、アバランシェ・フォトダイオード31により検知された経過時間毎の散乱光強度データに基づいて以下の式(1)で定義される自己相関関数G2(τ)を出力する機能を有している。
G2(τ)=<I(t)×I(t+τ)>/<I(t)>・・・(1)
なお、上記式(1)で定義される自己相関関数G2(τ)は、時間tにおける散乱光強度データI(t)および時間tからの経過時間τ(μsec)をパラメータとする関数である。そして、自己相関関数G2(τ)は、検出セル5に収容される機能性タンパク質がブラウン運動により位置を変える場合に、ある基準時間の機能性タンパク質の位置から時間の変化に伴って機能性タンパク質の位置が変化していく際の時間毎の機能性タンパク質の重なりの度合いを時間の関数として表したものであり、τ=0では機能性タンパク質が完全に重なるので、自己相関関数G2(0)=1となり、時間が経つにつれて機能性タンパク質の重なり度合いは少なくなるため、自己相関関数G2(τ)は0に向かって減衰する上記した式(1)のような関数になる。
また、自己相関関数G2(τ)は、溶媒中をブラウン運動する粒子の大きさを評価するものとして用いられている。検出セル5に収容される機能性タンパク質および結合物質が結合していない状態または結合の初期段階では、機能性タンパク質および結合物質は分子量の小さい粒子となり、溶媒中で活発にブラウン運動を行う。このため、活発にブラウン運動を行う分子量の小さい粒子に照射されたレーザー光は、この粒子のブラウン運動に起因して、激しく揺らいだ散乱光強度データとしてアバランシェ・フォトダイオード31により検出される。これに対して、検出セル5に収容される機能性タンパク質および結合物質が結合した状態または結合の完了段階では、機能性タンパク質および結合物質は分子量の大きい粒子となり、溶媒中で緩やかにブラウン運動を行う。このため、緩やかにブラウン運動を行う分子量の大きい粒子に照射されたレーザー光は、この粒子のブラウン運動に起因して、緩やかに揺らいだ散乱光強度データとしてアバランシェ・フォトダイオード31により検出される。これにより、分子量の小さい粒子に関する自己相関関数G2(τ)は、急速に低下(減衰)するとともに、分子量の大きい粒子に関する自己相関関数G2(τ)は、緩やかに低下(減衰)する。
また、コリレータ32は、0.5μsec(最小サンプル時間)毎にアバランシェ・フォトダイオード31により検知された散乱光強度データを取得して、上記式(1)により定義される自己相関関数G2(τ)を出力する。そして、本実施形態では、図6および図7に示した自己相関関数G2(τ)の時間tから0.5μsec(最小サンプル時間)経過後の自己相関関数G2(τ)の値G2(0.5)を含む、時間経過毎の値が取得される。
制御部33は、図2に示すように、レーザー駆動回路34を介して、レーザー21を制御することにより、レーザー21を発振させるとともにレーザー光を出射させる機能を有している。この制御部33は、ROM331と、CPU332と、RAM333と、入出力インターフェイス334とから構成されている。
また、ROM331には、オペレーティングシステム、分析装置2の分析動作を制御するための制御プログラム、および、制御プログラムの実行に必要なデータ(レーザー21を発振させるための制御信号など)が格納されている。また、CPU332は、ROM331に格納される制御プログラムをRAM333にロードしたり、ROM331から直接実行したりするために設けられている。これにより、CPU332が、制御プログラムを実行することにより、分析装置2の分析動作の制御を行うことが可能となる。そして、CPU332が処理したデータは、入出力インターフェイス334を介して、分析装置2の各部、または、パーソナルコンピュータ(PC)4(図8参照)へと送信される。CPU332の処理に必要なデータは、分析装置2の各部、または、パーソナルコンピュータ(PC)4から入出力インターフェイス334を通じて受信される。たとえば、CPU332により呼び出されたROM331に記憶された制御信号は、入出力インターフェイス334およびレーザー駆動回路34を介して、レーザー21に送信される。また、CPU332は、アバランシェ・フォトダイオード31により検知された経過時間毎の散乱光強度データと、コリレータ32により取得された時間経過毎の自己相関関数G2(τ)の値とをRAM333に記憶する機能も有している。
パーソナルコンピュータ(PC)4は、分析装置2からUSBケーブル3を介して送信された散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)とを受信して、受信した散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)とに基づいて、機能性タンパク質と糖との結合状態の変化を表す指標(結合速度を反映する指標、結合力を反映する指標、親和性を反映する指標)を求めるために設けられている。パーソナルコンピュータ4は、図1および図8に示すように、本体部41と、入力部42と、表示部43とから構成されている。
本体部41は、図8に示すように、ROM411と、CPU412と、RAM413と、ハードディスク414と、入出力インターフェイス415と、画像出力インターフェイス416とを含む制御部41aと、読出装置41bとから構成されており、それらの間はバス417によってデータ通信可能に接続されている。
ここで、本実施形態では、制御部41aは、分析装置2の入出力インターフェイス334(図2参照)を介して送信された散乱光強度データと、時間tから0.5(μsec)経過後の自己相関関数G2(τ)の値G2(0.5)との積に基づいて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標を求める機能を有している。
制御部41aのROM411は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどにより構成されている。また、CPU412は、RAM413にロードされた後述するハードディスク414にインストールされる機能性タンパク質を分析する分析用アプリケーションプログラム414aを実行するために設けられている。また、RAM413は、SRAMまたはDRAMなどにより構成されており、ROM411および後述するハードディスク414に記憶されているコンピュータプログラムや分析用アプリケーションプログラム414aの読み出しに用いられる。また、RAM413は、ハードディスク414にインストールされる分析用アプリケーションプログラム414aを実行する場合に、CPU412の作業領域として利用される。
ハードディスク414は、オペレーティングシステム、後述する機能性タンパク質を分析するための分析用アプリケーションプログラム414aがインストールされるとともに、分析用アプリケーションプログラム414aの実行に必要なデータ(散乱光強度データ、自己相関関数G2(τ))が格納されている。
ここで、パーソナルコンピュータ4のハードディスク414にインストールされる分析用アプリケーションプログラム414aについて説明する。この分析用アプリケーションプログラム414aは、分析装置2のアバランシェ・フォトダイオード31により検知された経過時間毎の散乱光強度データから得られる平均散乱光強度データI(intensity)と、コリレータ32により取得される自己相関関数G2(τ)の値G2(0.5)(intercept)との積で定義される下記の式(2)を満たすI2を用いて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標を求めるプログラムである。
I2=I×G2(0.5)・・・(2)
なお、上記式(2)で用いられるIは、所定時間t(sec)から所定時間t+1(sec)までの間に複数取得される散乱光強度データの平均値であり、アバランシェ・フォトダイオード31により検知される経過時間毎の散乱光強度データに基づいて、分析用アプリケーションプログラム414aにより算出される。また、上記式(2)のG2(0.5)は、図6および図7に示した所定時間tから0.5μsec経過後の自己相関関数G2(τ)の値である。
また、入出力インターフェイス415は、たとえば、USB、IEEE1394、RS−235Cなどのシリアルインターフェイスや、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェイス、および、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェイスなどから構成されている。この入出力インターフェイス415には、入力部42が接続されている。また、入出力インターフェイス415は、分析装置2の制御部33の入出力インターフェイス334にUSBケーブル3を介して接続されており、分析装置2で検出された散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)とをパーソナルコンピュータ4に入力することが可能である。また、画像出力インターフェイス416は、LCD(液晶表示装置)またはCRTなどにより構成される表示部43に接続されており、CPU412から与えられた画像データに応じた映像信号を表示部43に出力するように構成されている。
また、読出装置41bは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブなどにより構成されており、可搬型記録媒体6に記憶されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことが可能である。これにより、たとえば、読出装置41bを用いて可搬型記録媒体6から分析用アプリケーションプログラム414aを読み出し、その読み出された分析用アプリケーションプログラム414aをハードディスク414にインストールすることが可能である。なお、分析用アプリケーションプログラム414aやその他のパーソナルコンピュータ4で用いられるコンピュータプログラムは、可搬型記録媒体6によって提供されるのみならず、本実施形態によるパーソナルコンピュータ4と通信可能に接続された外部のPCなどから電気通信回線(有線、無線を問わない)を通じて提供されることも可能である。たとえば、分析用アプリケーションプログラム414aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータに本実施形態によるパーソナルコンピュータ4が電気通信回線を通じてアクセスするとともに分析用アプリケーションプログラム414aをダウンロードして、このダウンロードした分析用アプリケーションプログラム414aをハードディスク414にインストールすることも可能である。また、ハードディスク414には、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインターフェイス環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。なお、本実施形態による分析用アプリケーションプログラム414aは、上記したオペレーティングシステム上で動作する。
入力部42は、ユーザが入力部42を使用することにより、パーソナルコンピュータ4にデータを入力することが可能なように構成されている。
また、本実施形態では、表示部43は、画像出力インターフェイス416から入力された映像信号に従って、画像(画面)を表示するために設けられている。具体的には、表示部43は、結合速度を反映する指標として機能性タンパク質と結合物質との反応時間に対する上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフを表示する機能を有している。また、表示部43は、結合力を反映する指標として十分な結合物質の存在する条件下で、複数の濃度に設定された機能性タンパク質を混在させたときの機能性タンパク質の濃度に対する上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフを表示する機能も有している。さらに、表示部43は、親和性を反映する指標として機能性タンパク質および結合物質を混在させた条件下で、機能性タンパク質と結合物質との結合を解離させる複数の濃度に設定された阻害糖を添加したときの阻害糖の濃度に対する上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフを表示する機能も有している。
図9は、図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置の制御部による機能性タンパク質の測定フローを示したフローチャートである。次に、図9を参照して、本発明の一実施形態による機能性タンパク質分析システム1の分析装置2の制御部33による機能性タンパク質の測定フローについて詳細に説明する。
まず、分析装置2の電源を入れると、分析装置2の制御部33からレーザー駆動回路34に制御信号が送られ、レーザー21が発振し、レーザー光が出射される。レーザー21の発振が安定すると、制御部33は、測定スタンバイになったことをパーソナルコンピュータ4に送信し、パーソナルコンピュータ4のCPU412は、表示部43に画像インターフェイス416を介して測定スタンバイになったことを表示する。次に、検出セル5に機能性タンパク質と機能性タンパク質に特異的に結合する結合物質とを入れ、混合した後、測定部25の蓋部252を開け、検出セル5を測定部25のセル保持孔251aにセットし、蓋部252を閉める。このとき、蓋部252を開けた状態では、遮光板26がレーザー光の光路を遮断し、蓋部252を閉めた状態では、遮光板26がレーザー光の光路から取り除かれ、レーザー光は検出セル5に照射される。そして、検出セル5からの散乱した後方散乱光は、アバランシェ・フォトダイオード31で受光され、アバランシェ・フォトダイオード31は、散乱光強度に対する電気信号をA/D変換部31aに出力する。その後、A/D変換部31aは、電気信号をA/D変換し、散乱光強度データを時間単位毎に出力し、コリレータ32に送る。
次に、ステップS1において、分析装置2の制御部33のCPU332は、パーソナルコンピュータ4から測定開始信号を受信したか否かを判断する。そして、ステップS1において、パーソナルコンピュータ4から測定開始信号を受信していないと判断した場合には、測定開始信号を受信するまで上記判断が繰り返される。一方、ステップS1において、パーソナルコンピュータ4から測定開始信号を受信したと判断した場合には、ステップS2において、分析装置2のCPU332は、アバランシェ・フォトダイオード31から出力された散乱光強度データおよびコリレータ32から出力された自己相関関数G2(τ)をRAM333に保存する。なお、RAM333に保存される散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)とは、機能性タンパク質と結合物質との反応時間の経過毎に順番に格納される。
次に、ステップS3において、散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)とが、分析装置2のCPU332により、入出力インターフェイス334を介して、パーソナルコンピュータ4に送信される。そして、ステップS4において、分析装置2のCPU332は、パーソナルコンピュータ4から測定終了信号を受信したか否かを判断する。そして、ステップS4において、パーソナルコンピュータ4から測定終了信号を受信していないと判断した場合には、測定終了信号を受信するまで、上記したステップS2およびステップS3の処理が繰り返される。一方、ステップS4において、測定終了信号を受信したと判断した場合には、ステップS5において、分析装置2のCPU332は、パーソナルコンピュータ4へのデータ(散乱光強度データおよび自己相関関数G2(τ))の送信を停止して、データ送信フローの処理を終了する。
図10は、図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムのパーソナルコンピュータ(PC)の制御部による結合速度グラフの表示フローを示したフローチャートである。次に、図10を参照して、本発明の一実施形態による機能性タンパク質分析システム1のパーソナルコンピュータ(PC)4の制御部41aによる結合速度グラフの表示フローについて詳細に説明する。
まず、測定部25のセル保持孔251aに検出セル5をセットすることにより、測定開始準備が整う。そして、ステップS11において、パーソナルコンピュータ4の制御部41aのCPU412は、表示部43に表示されたスタートキーがON(クリック)されたか否かを判断する。そして、ステップS11において、スタートキーがONされていないと判断した場合には、スタートキーがONされるまで、ステップS11の判断を繰り返す。一方、ステップS11において、スタートキーがONされたと判断した場合には、ステップS12において、測定開始信号を分析装置2に送信する。次に、パーソナルコンピュータ4のCPU412は、ステップS13において、分析装置2から送信されるデータ(散乱光強度データおよび自己相関関数G2(τ))を受信したか否かの判断をする。そして、ステップS13において、分析装置2からデータを受信していないと判断した場合には、データを受信するまで、ステップS13の判断が繰り返される。一方、ステップS13において、分析装置2からデータを受信したと判断した場合には、ステップS14において、分析装置2から送信された散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)とをハードディスク414に保存する。次に、ステップS15において、CPU412は、表示部43に表示されたストップキーがON(クリック)されたか否かの判断をする。そして、ステップS15において、ストップキーがONされていないと判断した場合には、ストップキーがONされるまで、上記ステップS14の処理およびステップS15の判断が繰り返される。一方、ステップS15において、ストップキーがONされたと判断した場合には、ステップS16において、測定終了信号を分析装置2に送信する。次に、ステップS17において、パーソナルコンピュータ4のCPU412は、ハードディスク414から自己相関関数G2(τ)(0.5μsecにおける自己相関関数データG2(0.5)(intercept))と、散乱光強度データとを呼び出す。この際、本実施形態では、検出時の時間tから1sec間に検知された複数の散乱光強度データの平均値I(intensity)を算出する。
次に、ステップS18において、CPU412は、算出された平均散乱光強度データIと呼び出された自己相関関数データG2(0.5)とに基づいて、反応時間毎の上記式(2)で定義されるI2を求め、ハードディスク414に保存する。そして、ステップS19において、パーソナルコンピュータ4のCPU412は、ハードディスク414に保存された反応時間毎のI2を呼び出し、反応時間に対するI2のグラフ(結合速度グラフ(図11および図12参照))を作成する。その後、ステップS20において、CPU412は、結合速度グラフを画像出力インターフェイス416を介して表示部43に表示して、機能性タンパク質の結合速度グラフを表示フローの処理を終了する。
次に、上記した本発明の一実施形態の機能性タンパク質分析システム1の分析用アプリケーションプログラム414aにより取得されたI2(=I×G2(0.5))を用いて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を観察するために行った実験について説明する。この実験では、機能性タンパク質と結合物質との結合状態を示す指標として、結合速度を反映する指標、結合力を反映する指標、および、親和性を反映する指標を、I2により評価した。以下、詳細に説明する。
[結合速度を反映する指標を求める実験]
上記した本発明の一実施形態の結合速度を反映する指標を求めるために行った実験について説明する。この実験では、結合物質に機能性タンパク質を加えて、機能性タンパク質を加えた時間から所定時間経過するまで、上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフを作成することにより、実施例1および2と、比較例1および2とによる機能性タンパク質と結合物質との結合速度を評価した。なお、実施例1および2と、比較例1および2とでは、それぞれ、10mMTris−HCl、150mMNaClおよび20mMCaCl(pH7.5)からなる緩衝液が用いられた。
(実施例1)
10pmolのラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに、1μmolのガラクトース特異性レクチンCEL−IVを加え、15sec間隔毎に上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフ(図11参照)を作成してパーソナルコンピュータ(PC)4(図1参照)の表示部43に表示した。
(実施例2)
10pmolのラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに、1μmolのマンノース・グルコース特異性レクチンConAを加え、15sec間隔毎に上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフ(図12参照)を作成してパーソナルコンピュータ(PC)4(図1参照)の表示部43に表示した。
(比較例1)
10pmolのラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに、1μmolのガラクトース特異性レクチンCEL−IVを加え、15sec間隔毎に制御部41aにより求められる平均散乱光強度データI(intensity)をプロットしたグラフを作成した。この結果を図13に示す。
(比較例2)
10pmolのラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに、1μmolのマンノース・グルコース特異性レクチンConAを加え、15sec間隔毎に制御部41aにより求められる平均散乱光強度データI(intensity)をプロットしたグラフを作成した。この結果を図14に示す。
上記図11に示されるように、実施例1によるラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに加えられたガラクトース特異性レクチンCEL−IVは、ラクトース所有ポリマーについてのI2が上昇していることが分かった。一方、ガラクトース特異性レクチンCEL−IVは、グルコース所有ポリマーについてのI2が上昇していないことが分かった。このように、ガラクトース特異性レクチンCEL−IVは、ラクトース所有ポリマーにのみI2の特異的な増加が観察され、添加直後から約2min間にかけてI2の増加を示した後、ほぼ一定の値を示した。これにより、添加直後から約2min間にかけてガラクトース特異性レクチンCEL−IVとラクトース所有ポリマーとが結合して、その後ガラクトース特異性レクチンCEL−IVとラクトース所有ポリマーとの結合が終了したと考えられる。
上記図12に示されるように、実施例2によるラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに加えられたマンノース・グルコース特異性レクチンConAは、グルコース所有ポリマーについてのI2が上昇していることが分かった。一方、マンノース・グルコース特異性レクチンConAは、ラクトース所有ポリマーについてのI2が上昇していないことが分かった。このように、マンノース・グルコース特異性レクチンConAは、グルコース所有ポリマーにのみI2の特異的な増加が観察され、添加後約1min〜約3min間にかけてI2の増加が観察された。これにより、添加後約1min〜約3min間にかけてマンノース・グルコース特異性レクチンConAとグルコース所有ポリマーとが結合して、その後マンノース・グルコース特異性レクチンConAとグルコース所有ポリマーとの結合が終了したと考えられる。また、図11に示したラクトース所有ポリマーに対するガラクトース特異性レクチンCEL−IVのI2の推移と、図12に示したグルコース所有ポリマーに対するマンノース・グルコース特異性レクチンConAのI2の推移とを比較すると、ラクトース所有ポリマーに対するガラクトース特異性レクチンCEL−IVのI2は、添加直後から増加しているのに対して、グルコース所有ポリマーに対するマンノース・グルコース特異性レクチンConAのI2は、添加後約1minから増加しているのが観察された。これにより、機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV、マンノース・グルコース特異性レクチンConA)の種類によって、結合し始める早さが異なることを示していると考えられる。
図15は、図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの表示部に表示されるマンノース・グルコース特異性レクチンConAとガラクトース特異性レクチンCEL−IVとの所定時間tにおける自己相関関数G2(τ)の値G2(0.5)を経過時間毎にプロットしたグラフである。図15を参照して、マンノース・グルコース特異性レクチンConAおよびガラクトース特異性レクチンCEL−IVのG2(0.5)の値が経過時間とともに減少していることが分かる。機能性タンパク質と結合物質とが共存している状態であれば、機能性タンパク質と結合物質との間には化学的な平衡状態が生じる。このため、機能性タンパク質と結合物質とが平衡状態では、機能性タンパク質と結合物質との競争反応(結合反応および解離反応)により、アバランシェ・フォトダイオード31で検出される散乱光強度データは、競争反応による光学的ノイズを含んだ状態で検出されて、自己相関関数G2(τ)の値が経過時間とともに小さくなると考えられる。
上記図13に示されるように、比較例1によるラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに加えられたガラクトース特異性レクチンCEL−IVは、ラクトース所有ポリマーについてのI(平均散乱光強度データ)が上昇していることが分かった。一方、ガラクトース特異性レクチンCEL−IVは、グルコース所有ポリマーについてのI(平均散乱光強度データ)が上昇していないことが分かった。この結果、ガラクトース特異性レクチンCEL−IVは、ラクトース所有ポリマーにのみI(平均散乱光強度データ)の特異的な増加が観察された。しかしながら、図13に示したラクトース所有ポリマーに対するガラクトース特異性レクチンCEL−IVのI(平均散乱光強度データ)の推移には、上記した競争反応(結合反応および解離反応)に伴って検出される光学的ノイズが加味されていない。それに対して、図11に示した実施例1および2では競争反応に伴って検出される光学的ノイズが加味されているので、ガラクトース特異性レクチンCEL−IVとラクトース所有ポリマーとの反応を正確に分析することが可能であると考えられる。
上記図14に示されるように、比較例2によるラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーに加えられたマンノース・グルコース特異性レクチンConAは、グルコース所有ポリマーについてのI(平均散乱光強度データ)が上昇していることが分かった。一方、マンノース・グルコース特異性レクチンConAは、ラクトース所有ポリマーについてのI(平均散乱光強度データ)が上昇していないことが分かった。この結果、マンノース・グルコース特異性レクチンConAは、グルコース所有ポリマーにのみI(平均散乱光強度データ)の特異的な増加が観察された。しかしながら、グルコース所有ポリマーに対するマンノース・グルコース特異性レクチンConAのI(平均散乱光強度データ)の推移は、約1minから約10minにかけて上昇するとともに、その後約1min間減少して、約11min以降上昇しており、I(平均散乱光強度データ)が安定している個所を確認することができなかった。このため、マンノース・グルコース特異性レクチンConAとグルコース所有ポリマーとの反応が終了したのか否かについては判断できなかった。これは、上記した競争反応(結合反応および解離反応)が頻繁に起きたために、競争反応に伴う光学的ノイズがI(平均散乱光強度データ)の推移に表れて、マンノース・グルコース特異性レクチンConAとグルコース所有ポリマーとの反応が終了してもI(平均散乱光強度データ)が安定しないためだと考えられる。
このように、実施例1および2では、機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV、マンノース・グルコース特異性レクチンConA)に特異的に結合する結合物質(ラクトース所有ポリマー、グルコース所有ポリマー)を収容した検出セル5に機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV、マンノース・グルコース特異性レクチンConA)が添加された後、所定時間毎に検出セル5からの散乱光をアバランシェ・フォトダイオード31で検出することにより、アバランシェ・フォトダイオード31で検出された散乱光の強度に基づいて機能性タンパク質と結合物質との結合速度を反映する指標をパーソナルコンピュータ4の制御部41aで求めることが可能である。
[結合力を反映する指標を求める実験]
上記した本発明の一実施形態の結合力を反映する指標を求めるために行った実験について説明する。この実験では、ラクトース所有ポリマーに、ガラクトース特異性レクチンCEL−IVを段階的に添加していき、上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフを作成することにより、実施例3による機能性タンパク質と結合物質との結合力を評価した。なお、実施例3では、10mMTris−HCl、150mMNaClおよび20mMCaCl(pH7.5)からなる緩衝液が用いられた。
(実施例3)
10pmolのラクトース所有ポリマーに、10pmolを最小量とするガラクトース特異性レクチンCEL−IVを倍量ずつ(10、20、40、80、160、320、640、1280、2560、3840(pmol))添加して、添加後5分後に測定し、上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフ(図16参照)を作成してパーソナルコンピュータ(PC)4(図1参照)の表示部43に表示した。なお、結合速度を反映する指標を求める実験において、上記したように、添加直後から約2min間で、ガラクトース特異性レクチンCEL−IVとラクトース所有ポリマーとの結合が終了していることから、十分に反応が進んでいる添加5分後に測定した。
上記図16を参照して、十分な糖(10pmolのラクトース所有ポリマー)の存在下では、約320pmol〜約640pmolのガラクトース特異性レクチンCEL−IVを添加した場合にI2の増加が観察された。このように、十分な糖の存在下では、約320pmol〜約640pmolの濃度のガラクトース特異性レクチンCEL−IVが活発に糖(ラクトース所有ポリマー)と結合すると考えられる。
このように、実施例3では、機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV)に特異的に結合する結合物質(ラクトース所有ポリマー)を収容した検出セル5に機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV)が段階的に添加された後、機能性タンパク質の添加量毎に検出セル5からの散乱光をアバランシェ・フォトダイオード31で検出することにより、アバランシェ・フォトダイオード31で検出された散乱光の強度に基づいて機能性タンパク質と結合物質との結合力を反映する指標をパーソナルコンピュータ4の制御部41aで求めることが可能である。
[親和性を反映する指標を求める実験]
上記した本発明の一実施形態の親和性を反映する指標を求めるために行った実験について説明する。この実験では、機能性タンパク質に結合物質を加えた状態で、結合物質と機能性タンパク質との結合を解離させる阻害糖(マンノースおよびグルコース)を段階的に添加していき、上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフを作成することにより、実施例4による機能性タンパク質と結合物質との親和性を評価した。なお、実施例4では、10mMTris−HCl、150mMNaClおよび20mMCaCl(pH7.5)からなる緩衝液が用いられた。
(実施例4)
10pmolのグルコース所有ポリマーに、1μmolのマンノース・グルコース特異性レクチンConAを加え10分以上静置させた反応液に、0.1μmolを最小量とする阻害糖(マンノースおよびグルコース)をそれぞれ倍量ずつ(0.1、0.2、0.4、0.8、1.6、3.2、6.4、12.8(μmol))添加して、添加後5分後に測定し、上記式(2)で定義されるI2をプロットしたグラフ(図17参照)を作成してパーソナルコンピュータ(PC)4(図1参照)の表示部43に表示した。なお、結合速度を反映する指標を求める実験において、上記したように、添加直後から約3min間で、マンノース・グルコース特異性レクチンConAとグルコース所有ポリマーとの結合が終了していることから、十分に反応が進んでいる添加5分後に測定した。
上記図17を参照して、マンノース・グルコース特異性レクチンConAは、少量(約0μmol〜約3μmol)の阻害糖(マンノース)に対してI2の減少が観察された。したがって、少量の阻害糖でI2の減少が観察されれば、機能性タンパク質は阻害糖と高い親和性を示すと考えられるので、本実施形態のマンノース・グルコース特異性レクチンConAは、マンノースに対して高い親和性を示していると考えられる。つまり、約0μmol〜約3μmolの少量のマンノースを加えた場合に、マンノース・グルコース特異性レクチンConAとマンノースとが結合し始めると考えられる。
このように、実施例4では、機能性タンパク質(マンノース・グルコース特異性レクチンConA)に特異的に結合する結合物質(グルコース所有ポリマー)と機能性タンパク質(マンノース・グルコース特異性レクチンConA)とを収容した検出セル5に、結合物質と機能性タンパク質との結合を解離させる阻害糖(マンノース)が段階的に添加された後、阻害糖の添加量毎の検出セル5からの散乱光をアバランシェ・フォトダイオード31で検出することにより、アバランシェ・フォトダイオード31で検出された散乱光の強度に基づいて機能性タンパク質と結合物質との親和性を反映する指標をパーソナルコンピュータ4の制御部41aで求めることが可能である。
本実施形態では、上記のように、アバランシェ・フォトダイオード31で検出された散乱光強度データと、コリレータ32により算出される自己相関関数G2(τ)とに基づいて、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を表す指標I2を求めるための分析用アプリケーションプログラム414aをハードディスク414にインストールすることによって、分析用アプリケーションプログラム414aにより求められたI2に基づいて機能性タンパク質の結合状態の変化を分析することができる。
また、本実施形態では、散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)の値G2(0.5)との積により求められるI2を用いれば、図11および図12に示したグラフから、結合速度が増加している場合には、機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV)と結合物質(ラクトース所有ポリマー)との結合が途中の段階であると判断(分析)することができるとともに、結合速度が一定である場合には、機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV)と結合物質(ラクトース所有ポリマー)との結合が終了したと判断(分析)することができるので、I2に基づいて、容易に、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を分析することができる。また、図16に示したグラフから、十分(10mol)な結合物質(ラクトース所有ポリマー)が存在する条件下において、約320pmol〜約640pmolの濃度の機能性タンパク質(ガラクトース特異性レクチンCEL−IV)のI2が増加する場合には、その濃度の機能性タンパク質が結合物質と活発に結合していると判断(分析)することができるのでI2に基づいて、容易に、機能性タンパク質と結合物質との結合状態の変化を分析することができる。また、図17に示したグラフから、機能性タンパク質(マンノース・グルコース特異性レクチンConA)が2つの阻害糖(マンノースおよびグルコース)の中のいずれの阻害糖(マンノース)と容易に結合するのかを判断(分析)することができるのでI2に基づいて、容易に、機能性タンパク質と結合物質(阻害糖)との結合状態の変化を分析することができる。
また、本実施形態では、コリレータ32が、τ=0.5μsecでの自己相関関数の値G2(0.5)を取得することによって、τ=0のときの自己相関関数の値G2(0.5)は、検出セル5に収容される機能性タンパク質の粒子径のバラツキなどによる光学的なノイズ主な要因となって低下するτ=0近傍の自己相関関数G2(τ)であるので、アバランシェ・フォトダイオード31が散乱光強度を検出可能な最小時間(最小サンプル時間)0.5μsec経過後の自己相関関数の値G2(0.5)と、平均散乱光強度データIとを組み合わせることによって、正確に機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができる。
また、本実施形態では、パーソナルコンピュータ4のハードディスク414にインストールされる分析用アプリケーションプログラム414aが、平均散乱光強度データIと、自己相関関数の値G2(0.5)との積に基づいて、I2を求めることによって、光学的なノイズに起因して増加した散乱光の強度に、光学的なノイズに起因して減少した自己相関関数の値G2(0.5)を掛け合わせることによって、光学的なノイズに起因して増加した散乱光の強度のうちの光学的なノイズによる増加分を相殺することができる。その結果、より正確に、機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができる。
また、本実施形態では、時間t(sec)から時間t+1(sec)の間に検出された複数の散乱光強度の平均値である平均散乱光強度データIを用いてI2を算出することによって、検出時点の直後の時点で散乱光の強度が外部からのごみなどによる光学的なノイズにより特異的に上昇した場合でも、検出時点から1min間の複数の散乱光の強度の平均値を求めることにより、その特異的に上昇した散乱光の強度を捉えることができる。その結果、自己相関関数の値G2(0.5)と、平均散乱光強度データIとの積を求めることによって、より正確に機能性タンパク質の結合状態の変化を表す指標を求めることができる。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、パーソナルコンピュータ4の制御部41aは、アバランシェ・フォトダイオード31により検出される散乱光強度データと、コリレータ32により算出される自己相関関数G2(τ)とを用いて、結合速度を反映する指標、結合力を反映する指標、および、親和性を反映する指標を求める例を示したが、本発明はこれに限らず、結合速度を反映する指標、結合力を反映する指標、および、親和性を反映する指標のうちいずれか1つだけを求めてもよい。
また、上記実施形態では、アバランシェ・フォトダイオード31により検出される散乱光強度データと、コリレータ32により算出される自己相関関数G2(τ)との積により算出したI2を指標とする例を示したが、本発明はこれに限らず、散乱光強度データと自己相関関数G2(τ)との積以外の方法で、散乱光強度データおよび自己相関関数G2(τ)に基づいて算出したものを指標として用いてもよい。
また、上記実施形態では、分析装置にUSBケーブル(通信回線)を通じてパーソナルコンピュータ(PC)を接続させることにより、分析装置のアバランシェ・フォトダイオードで検出された散乱光強度データ、および、コリレータで算出された自己相関関数G2(τ)を送信して、パーソナルコンピュータのCPUにより、受信した散乱光強度データおよび自己相関関数G2(τ)に基づいてI2を求める例を示したが、本発明はこれに限らず、分析装置側で、散乱光強度データおよび自己相関関数G2(τ)に基づいてI2を求めるようにしてもよい。
本発明の一実施形態による機能性タンパク質分析システムの全体構成を示した斜視図である。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置のブロック図である。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムに用いられる検出セルの斜視図である。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置の可動レンズを示した模式図である。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置の可動レンズを示した模式図である。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置のコリレータによって出力されるConAについての自己相関関数を示したグラフである。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置のコリレータによって出力されるCEL−IVについての自己相関関数を示したグラフである。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムのコンピュータのブロック図である。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムの分析装置の制御部による機能性タンパク質の測定フローを示したフローチャートである。 図1に示した一実施形態による機能性タンパク質分析システムのパーソナルコンピュータの制御部による結合速度グラフの表示フローを示したフローチャートである。 グルコース所有ポリマーおよびラクトース所有ポリマーとガラクトース特異性レクチンCEL−IVとの反応時間に対してI2がプロットされた実施例1によるグラフである。 グルコース所有ポリマーおよびラクトース所有ポリマーとマンノース・グルコース特異性レクチンConAとの反応時間に対してI2がプロットされた実施例2によるグラフである。 ラクトース所有ポリマーおよびラクトース所有ポリマーとガラクトース特異性レクチンCEL−IVとの反応時間に対してIがプロットされた比較例1によるグラフである。 ラクトース所有ポリマーおよびグルコース所有ポリマーとマンノース・グルコース特異性レクチンConAとの反応時間に対してIがプロットされた比較例2によるグラフである。 マンノース・グルコース特異性レクチンConAとガラクトース特異性レクチンCEL−IVとの所定時間tにおける自己相関関数G2(τ)の値G2(0.5)を経過時間毎にプロットしたグラフである。 十分なラクトース所有ポリマーが存在する条件下でガラクトース特異性レクチンCEL−IVを添加したときのI2がプロットされた実施例3によるグラフである。 マンノース・グルコース特異性レクチンConAに対して、種々の濃度の阻害糖(グルコース、マンノース)を添加した場合のI2をプロットした実施例4によるグラフである。
符号の説明
1 機能性タンパク質分析システム(分析システム)
2 分析装置
4 コンピュータ
5 検出セル
21 光源(レーザー)
24 可動レンズ(レンズ部)
31 アバランシェ・フォトダイオード(検出器)
32 コリレータ
41a 制御部
43 表示部(出力部)

Claims (12)

  1. 機能性タンパク質と前記機能性タンパク質に特異的に結合する結合物質とを収容して反応させるための検出セルに光を照射するための光源と、
    前記検出セルから散乱光を検出するための検出器と、
    前記検出器で検出された前記散乱光の強度に基づいて、前記機能性タンパク質と前記結合物質との結合状態の変化を表す指標を求めるための制御部とを備え
    前記制御部は、前記散乱光の強度と、自己相関関数の値とに基づいて、前記指標を求め、
    前記自己相関関数G(Δt)は、時間tにおける散乱光の強度I(t)と、前記時間tから所定時間Δt経過後の散乱光の強度I(t+Δt)とにより、以下の式を満たすように定義され、
    G(Δt)=<I(t)×I(t+Δt)>/<I(t)>
    前記検出器が前記散乱光の強度を検出可能な最小サンプル時間をt1とした場合、
    前記制御部は、前記散乱光の強度と、前記自己相関関数G(Δt)(0.95×G(t1)≦G(Δt)≦1.05×G(t1))の値とに基づいて、前記指標を求める、分析システム。
  2. 前記指標は、結合速度を反映する指標、結合力を反映する指標、および、親和性を反映する指標からなるグループより選択される少なくとも1つの指標である、請求項1に記載の分析システム。
  3. 前記制御部は、前記機能性タンパク質と前記結合物質との反応状態が異なる複数のポイントにおいて検出された散乱光の強度に基づいて、前記機能性タンパク質と前記結合物質との結合状態の変化を表す指標を求める、請求項1または2に記載の分析システム。
  4. 前記散乱光は後方散乱光である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析システム。
  5. 前記自己相関関数G(Δt)の値は、前記時間tから前記検出器が散乱光の強度を検出可能な最小サンプル時間t1経過後の自己相関関数の値G(t1)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析システム。
  6. 前記制御部は、前記指標として、前記散乱光の強度と、前記自己相関関数G(Δt)の値との積を求める、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分析システム。
  7. 前記散乱光の強度は、前記時間tから所定時間の間に検出された複数の散乱光の強度の平均値である、請求項に記載の分析システム。
  8. 分析結果を出力するための出力部をさらに備え、
    前記制御部は、前記機能性タンパク質と前記結合物質との反応時間に対する前記散乱光の強度と前記自己相関関数G(Δt)の値との積をプロットしたグラフを前記出力部に表示する、請求項またはに記載の分析システム。
  9. 分析結果を出力するための出力部をさらに備え、
    前記制御部は、十分な結合物質の存在する条件下で、複数の濃度に設定された前記機能性タンパク質を混在させたときの前記機能性タンパク質の濃度に対する前記散乱光の強度と前記自己相関関数G(Δt)の値との積をプロットしたグラフを前記出力部に表示する、請求項またはに記載の分析システム。
  10. 分析結果を出力するための出力部をさらに備え、
    前記制御部は、前記機能性タンパク質および前記結合物質を混在させた条件下で、前記機能性タンパク質と前記結合物質との結合を解離させる複数の濃度に設定された阻害糖を添加したときの前記阻害糖の濃度に対する前記散乱光の強度と前記自己相関関数G(Δt)の値との積をプロットしたグラフを前記出力部に表示する、請求項またはに記載の分析システム。
  11. 前記検出セルに照射される前記光源からの光を集光するとともに、集光する光の焦点位置を移動することが可能なレンズ部をさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析システム。
  12. 前記光源と、前記検出器とを有する分析装置と、
    前記制御部を有するとともに、前記分析装置に通信可能に接続されるコンピュータとを備え、
    前記コンピュータの制御部は、前記検出器で検出された前記散乱光の強度を受信して、受信した前記散乱光の強度に基づいて、前記機能性タンパク質と前記結合物質との結合状態の変化を表す指標を求める、請求項1〜11のいずれか1項に記載の分析システム。
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