JP4663117B2 - 修飾されたキトサンポリマーおよびその製造方法 - Google Patents

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    • C08B37/00272-Acetamido-2-deoxy-beta-glucans; Derivatives thereof
    • C08B37/003Chitin, i.e. 2-acetamido-2-deoxy-(beta-1,4)-D-glucan or N-acetyl-beta-1,4-D-glucosamine; Chitosan, i.e. deacetylated product of chitin or (beta-1,4)-D-glucosamine; Derivatives thereof

Description

【0001】
1.発明の属する技術分野
本発明は天然のオリゴマーおよびポリマーの酵素触媒による修飾、および、特には、酵素および一種以上のフェノール化合物の存在下での反応によって天然ポリマーのキトサンを修飾する均一相工程に関する。また、本発明は、有用な機能特性を有する新しい修飾キトサンポリマーおよびオリゴマーにも関する。
【0002】
2.発明の背景
天然ポリマーおよび合成ポリマーの双方における修飾は、有用な特性を有する新しい種類のポリマーを作成する重要な方法である。天然に存在するポリマーにおけるこのような修飾は、所望の機能特性を有するポリマーを製造する可能性を提供し、また、石油化学の出発材料に基づくポリマー合成に伴う、経費および環境を犠牲にする可能性を避けられる。従って、例えば最も豊富に存在する天然ポリマーであるセルロースは、カルボキシアルキル化誘導体およびヒドロキシアルキル化誘導体のような修飾型で広く利用されている。
【0003】
セルロースおよびその誘導体は広範に利用されているが、天然に豊富に存在する他のポリサッカライドポリマーは、相対的に十分に活用されていない。天然資源に由来して有用な特性を有する可能性のあるポリマーの一つは、キトサンである。キトサンは、キチン((C8H13 NO)をN-脱アセチル化することにより得られ、構造的にセルロースと類似したグルコサミンポリサッカライドである。キチンは甲殻類の殻の主成分であり、ある種の、昆虫、菌類、藻類、および酵母等他の天然資源にも認められる。米国特許第4,282,351号、第4,368,322号、第4,835,265号になど記載されているような周知の方法によってキチンを脱アセチル化して、キトサン(Ia)を生成する。
【0004】
【化2】
Figure 0004663117
キトサンはグルコサミン単位の直鎖状ポリマーである。構造的には、第一級アミン基が存在することにより、セルロースとは相違する。キトサンは、さまざまなグレードおよびさまざまな平均分子量のものが、市販品として入手可能である(例えばSigma、Aldrich)。
【0005】
キトサンにおけるアミン基の存在が、興味深い潜在的に有用な化学的および物理的特性をポリマーに付与している。キトサンは中性およびアルカリ性条件では水溶性ではないが、弱酸性条件下(pH約6未満)では、アミノ基がプロトン化し、そのポリカチオン性ポリマーが水溶性となる(Ib)。中性およびアルカリ性のpHにおいては、アミン基は脱プロトン化されており、中性キトサンポリマーは水に不溶性である(Ia)。プロトン化-脱プロトン化、およびそれに伴う水溶性の変化、は可逆的な過程である。
【0006】
【化3】
Figure 0004663117
これらの天然ポリマーを十分に活用できないのは、必要とする機能特性を提供するようにポリマーを修飾するための、清潔で効果的かつ多用途に使える方法がないということが一つの原因である。そのような機能特性の一つに、水溶性がある。水溶性ポリマーが、広範囲の応用において、有用な化合物としての重要性を増しつつある。これらの重要性は、一部には、それらの環境に対して「優しい」方法で機能しうるという能力にある。しかし、天然または合成ポリマーのいずれにおいても、水溶性のものは比較的少数のポリマーに限られる。例えば、最も豊富に存在する天然のポリマーであるポリサッカライドセルロースおよびキチンは、水溶性に乏しい直鎖状ポリマーである。キトサンは水性溶液に実質的に可溶性を呈するが、低いpHにおいてのみ可溶性である。中性あるいは塩基性水性溶液において、キトサンは本質的に不溶性である。
【0007】
いくつかの方法で、水に不溶性の天然ポリマーを可溶化することができる。一つの方法は、単純に、ポリマー鎖を小さな鎖に切断して、ポリマーの平均分子量を小さくすることである。このような分子量を減らす方法は、結果として得られるポリマーが所望の物理的または生化学的特性を失うかもしれないため、実用的でない場合がある。
【0008】
天然ポリマーを化学的に修飾し、所望の程度の水溶性をポリマーに付与するのに十分な親水性または荷電された側基を付加することが、より実用的な方法である。例えば、天然セルロースは水に不溶性であるが、カルボキシメチルセルロースのようなそのカルボキシル化誘導体は、水溶性の天然ポリマーの一つの重要な種類である。しかし残念なことに、ポリマーを修飾する反応は、典型的には、使用に際して環境問題を有する試薬を必要とする。例えば、セルロースのカルボキシメチル化に関する一般的なスキームは、塩素化剤であるクロロ酢酸を使用するが、これは毒性および腐食性の高い塩素化合物である。ポリマー性の出発材料自身が天然ポリマーである場合より合成ポリマーである場合の方が、潜在的な環境問題および安全性の問題は悪化する。なぜなら、そのようなポリマーは、典型的には、有機溶媒、および石油化学に基づくモノマーを利用して製造され、その広範な使用はさらなる環境に対する影響を生むからである。
【0009】
数種のキトサンの化学的修飾のスキームが、報告されている。キトサンのカルボキシメチル化は、セルロースの場合と同様にクロロ酢酸を用いる処理(ヒドロキシ求核反応)により、またはシアノホウ水素ナトリウム(sodium cyanoborohydride)を用いてキトサングリオキシレートの還元(アミノ求核反応)により達成できる。「N-(カルボキシメチリデン)キトサンおよびN-(カルボキシメチル)キトサン:キトサングリオキシレートから得られた新しいキレート化ポリ両性イオン性物質(N-(carboxymethylidene)chitosans and N-(carboxymethyl)chitosans: Novel Chelating Polyampholytes Obtained from Chitosan Glyoxylate)」Carbohydrate Research, 107, 199-214 (1982)を参照のこと。報告によると、このN-(カルボキシメチル)キトサンという生成物は、あらゆるpH値で水性溶液に対して可溶性である。同様に、キトサンの可溶性炭水化物誘導体は、再度シアノホウ水素ナトリウムを使用する還元アルキル化の工程によって報告されている。Yalpaniら、「ポリサッカライド修飾の数種の化学的および分析的態様、3. 分岐鎖の形成、可溶性キトサン誘導体(Somo Chemical and Analytical Aspects of Polysaccharide Modifications. 3. Formation of Branched-Chain, Soluble Chitosan Derivatives)」Macromolecules, 17, 272-281 (1984)を参照されたい。他にも可溶性キトサン誘導体が公知である。例えば、米国特許第5,378,472号は、報告によると水性アルカリ性溶液に可溶性である5-メチルピロリジノンキトサンを開示している。これらの化学的修飾方法は、機能特性(例えば塩基可溶性)の変化したキトサン誘導体を産生するが、これらの修飾を行うのに使用する試薬(例えば、クロロ酢酸、およびシアノホウ水素ナトリウム)は、健康および安全性に関して望ましくない特性を有する。さらに、キトサンを修飾して他の有用な機能特性を提供する効果的で多目
的な方法もまた必要とされる。
【0010】
修飾天然ポリマーを生産する一つの確実な方法は、不純物を含まない、選択的な酵素反応を利用することである。例えば、ポリマーに親水性側基または電荷を帯びた基を付加して水溶性を増大させるのに、このような方法が利用できるであろう。酵素触媒反応によって、他の側基も付加することができ、ポリマーの物理化学的特性を変えられる。酵素修飾は、従来の化学的修飾を上回る多くの利点を提供する。酵素反応は、典型的には、反応性の高い試薬の使用を含まないので、従って、多くの潜在的な健康および安全面の危険性を回避する。さらに、酵素反応は、選択性が高く、このような選択性を利用して、所望の産物の生産に必要な反応工程の数を削減できる(例えば、無駄な保護化工程、および脱保護化工程の必要性を排除することによる)。
【0011】
いくつかのグループが、酵素に基づいたポリマー修飾の成功を報告している。一つの方法では、加水分解酵素を非水性条件下で使用して、濃縮やエステル基転移のような反応を触媒させる。Brunoらは、イソオクタン溶媒中でプロテアーゼを使用するアミロース上へのカプレート基のエステル基転移を報告している(Brunoら、「有機溶媒中での不溶性アミロースの酵素的修飾(Enzymatic modification of insoluble amylose in organic solvents) 」Macromolec. , 28:8881-8883(1995)を参照のこと)。この方法は、しかしながら、厳しい立体的な制限を受ける。反応機構にアシル-酵素中間体の形成を含み、それが酵素の活性部位で求核攻撃を受けて、アシル中間体およびポリマー基質の双方が酵素の活性部位に結合する必要がある。これらの立体的制限のために、このような反応は選択的ではあるが、極めて遅い。
【0012】
別の方法では、二段階反応を用いることにより、上述の立体的制限は排除される。第一反応で、酵素と基質が反応して、反応性の中間体を生成する。この中間体は、非酵素結合性分子種であり、反応溶媒中を自由に拡散して、遠くのポリマー表面と反応する。この方法は、ペルオキシダーゼを使って、リグニンポリマーにフェノールをグラフトさせるのに使用される。Poppら、「非水性溶媒中でのペルオキシダーゼ触媒性コポリマー化によるリグニンへのp-クレゾールの取り込み(Incorporation of p-cresol into lignins via peroxidase-catalyzed copolymerization in nonaqueous media)」Enzyme Microb. Technol., 13:964-968(1991);Blinkovskyら、「リグニン-フェノールコポリマーのペルオキシダーゼ触媒合成(peroxidase-catalyzed synthesis of lignin-phenol copolymers)」J. Polym. Sci. 31:1839-1846(1993)を参照されたい。同様に、この方法は、過酸化水素とともにリパーゼを使用して酵素的に反応性のペルオキシカルボン酸中間体を生成して、酵素的にポリブタジエン中にエポキシド基を作るのに使用されてきた。Jarvieら、「ポリブタジエンの酵素的エポキシド化(Enzymatic epoxidation of polybutadiene)」Chem. Comm., 177-178(1998)を参照のこと。
【0013】
他の研究は、酵素触媒性の不均一相の水による処理の応用においてキトサンのフィルムやゲルを利用することに注目してきた。例えば、米国特許第5,340,483号は、キトサン存在下で酵素であるチロシナーゼを用いてフェノール化合物を反応させることにより、廃水混合物中のフェノール成分を選択的に除去する方法を開示する。チロシナーゼ、フェノールオキシダーゼ、およびポリフェノールオキシダーゼなどの酵素は、非常に多種のフェノール化合物と反応することが知られている。理論に結びつけることを望むものではないが、(II)に示すように、これらの酵素が作用してフェノールを反応性o-キノンに還元すると考えられる。
【0014】
【化4】
Figure 0004663117
次いで、キノンはキトサンフィルムあるいはキトサンゲルと反応して、堅く結合した化学吸着性分子種を形成する。これにより、酵素触媒性キトサン反応により溶液からフェノールが効率的に除去される。このような反応スキームは、廃水処理および廃棄物管理への重要な適用性を有している。
【0015】
チロシナーゼ触媒反応を活用して、重要な機能特性を有するキトサン誘導体を生成する成果が報告されている。Rayneら、「酵素に基づくポリマー修飾:キトサンフィルムとフェノール化合物の反応(Enzyme-based polymer modification: Reaction of phenolic compounds with chitosan films)」Polymer, 37, 4643-4648(1996)を参照のこと。これらの修飾方法は、不溶性キトサンフィルムを用いており、この方法は、この不均一相工程においてキトサンゲルまたはフィルムの表面だけがキノン中間体に暴露されるので、問題がある。「ポリマー合成における酵素(Enzymes in Polymer Synthesis)」(Grossら編)American Chemical Society (1998)の188〜198頁にあるLenhartら著、「チロシナーゼによるキトサンの酵素的修飾(Enzymatic Modification of Chitosan by Tyrosinase)」などに、他の不均一相キトサン-チロシナーゼ反応のスキームが記載されており、その開示を、本明細書において全文を参照として組み込むこととする。
【0016】
ポリマーの酵素修飾に関する成功例があるが、これらのバイオテクノロジー的方法は実用的な面で多くの不利な点があり、問題がある。このような多くの反応は遅すぎて商業的実用性に欠け、管理が容易ではなく、非常に高価な試薬を必要とし、または、上述の不均一相反応の表面に規定される性質によって制限される。
【0017】
従って、広範な水溶性などの重要な機能特性を有する新しいキトサン誘導体を開発することが、望ましい。有害な化学物質を使用せず、または環境に対して有害である可能性を有する廃水を作らないような、このようなポリマーを製造する新しい方法を開発することは、さらに望ましい。特に、単純で、多用途に利用可能で、かつ環境を汚さないで、天然に存在するポリマーを修飾して所望の機能特性を付与する方法の開発が望まれている。
【0018】
3.発明の概要
本発明は、修飾キトサンオリゴマーまたはキトサンポリマーを製造する方法、ならびにその方法により製造した修飾キトサンオリゴマーおよびポリマーに関する。一つの態様では、本発明は、キトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下でフェノール化合物と酵素の反応を含む方法に関する。その際の反応は、十分にキトサンの出発材料を可溶化するpHの溶液中で行う。フェノール化合物はフェノール部分を有するいかなる化合物であってよく、フェノールまたは置換フェノール、並びにペプチド、タンパク質および天然のまたは合成のポリマーであって、一以上のフェノール置換基を有するものを含みうる。キトサン出発材料は、低分子量、中分子量、高分子量のキトサンポリマー、キトサンオリゴマー、キトサンモノマー(つまりグルコサミン)、または現行の方法でまたはほかの方法で修飾あるいは誘導体化されたあらゆる上述のキトサン材料であってよい。酵素は酸化剤として酸素分子を利用し、フェノールをキノンに変換するいかなる酵素でもよく、例えば、チロシナーゼ、フェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼなどが挙げられる。
【0019】
別の態様では、本発明は、水性アルカリ溶液に可溶性である修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを生産する方法に関する。該方法は、酵素がキトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下でフェノール化合物と反応することを含み、その際の反応は、十分にキトサンポリマーを可溶化するpHの水性溶液中で行う。
【0020】
もう一つの態様では、本発明は、高い粘度を有する修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを製造する方法に関する。該方法は、酵素がキトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下でフェノール化合物と反応することを含み、その際の反応は、十分にキトサンポリマーまたはオリゴマーを可溶化するpHの水性溶液中で行う。
別の態様では、本発明は修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを生産する方法に関する。該方法は以下のことを含む。
【0021】
(a)水性溶液中で、キトサンポリマーまたはオリゴマーを可溶化する;
(b)キトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下で酵素をフェノール化合物と反応させて、修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを製造する;
(c)水性溶液中で、修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを可溶化する;
(d)修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下で酵素をフェノール化合物と反応させて、さらに修飾したキトサンポリマーまたはオリゴマーを製造する。
この態様において、工程(c)および(d)を繰り返して、修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーをさらに修飾することも可能である。
他の態様では、本発明は本明細書に開示する工程によって製造した修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを含む。
【0022】
4.図面の簡単な説明
(図面の説明については下記参照)
5.発明の詳細な説明
本発明は、水性アルカリ溶液中における可溶性、高い粘度、生物学的活性、あるいは生物学的安定性または活性の増大などを含む、有用な機能特性を有するキトサンポリマーまたはオリゴマーを製造する方法を提供する。これらの修飾キトサンポリマーおよびオリゴマーは均一相の工程によって製造されるが、この工程において、酵素はキトサンの存在下でフェノール化合物と反応して修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを形成する。本方法は、有機溶媒または反応性の高い試薬を用いずに、天然に存在するポリマーであるキトサンを基にした新規のポリマーまたはオリゴマーの合成を可能にする。さらには、酵素およびフェノール化合物を含む溶液(つまり均一相)内でキトサンとの反応が起こるので、本方法は、不溶性(例えば、粉末、フィルム、ゲル状などの)キトサンを使用する不均一相の反応における反応速度および不均一性の問題を回避する。本発明は、本明細書に開示する方法により製造される新規のキトサンポリマーまたはオリゴマーも、提供する。
【0023】
5.1 キトサンの酵素触媒による修飾
ある実施様態においては、本発明は、酵素触媒反応を使うキトサンポリマーまたはオリゴマーを修飾するプロセスに関する。該プロセスは溶液中でかつキトサンポリマーを可溶化するのに十分なpHにおいて、均一相条件のもとで実施する。
本明細書に使われる用語「キトサンポリマーまたはオリゴマー」は、天然物から単離されるキトサン、または様々な供給者(例えば、Aldrich、Sigma)などから市販されるキトサンのいずれのキトサンも含み、ポリマーの特定の平均分子量に関わらない;すなわちオリゴマーおよび「低」(典型的には約10,000g/mol)、「中」(典型的には約100,000〜300,000g/mol)、または「高」(典型的には約300,000を超える)分子量キトサンポリマーを使うことができる。当業界で周知のように、キトサンは通常、キチンの脱アセチル化により生産され、異なる平均分子量と異なる脱アセチル化の程度を有する様々なグレードのキトサンを調製することができる。したがって、用語「キトサンポリマーまたはオリゴマー」は、完全もしくはほぼ完全に(例えば、90〜100%)脱アセチル化されたキトサン、またはそれほど完全でない脱アセチル化を受けたキトサンを同様に含む。用語「キトサンポリマーまたはオリゴマー」はまた、反応溶液中で必要な溶解性を有しかつ少なくとも反応に利用できるアミノ官能基の一部分を有するキトサンの様々な誘導体を含む。特に、「キトサンポリマーまたはオリゴマー」は、本明細書に記載のプロセスにより修飾を受けたキトサンを含む;すなわち、本明細書に記載のプロセスを反復して使用し、ある反復における産物として生産された修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを次の反復における反応物「キトサンポリマーまたはオリゴマー」として使用することができる。用語「キトサンポリマーまたはオリゴマー」はまた、他のプロセスにより修飾したまたは誘導したキトサンも含む。このように、用語「キトサンポリマーまたはオリゴマー」は修飾したおよび未修飾のキトサンの両方を含む。
【0024】
本発明のプロセスではキトサンを修飾するために、キトサンポリマーまたはオリゴマーを可溶化して、次の反応が均一(溶液)相条件のもとで起こるようにしなければならない。キトサンポリマーが中または高分子量の未修飾キトサンであるとき、ほとんどのキトサンが溶解するまで、溶液中において酸性pHで混合することができる。該pHは約6.5以下でありうる。好ましくは、キトサンをpH約2〜3の溶液中で数時間または一夜攪拌し、残留する不溶物質を濾過および/または遠心分離で除去して均一なキトサン溶液を得る。キトサンポリマーが修飾キトサンまたはキトサンオリゴマーであるとき、キトサンポリマーを可溶化する溶液のpHは、可溶化を達成するために必要なpHに調節することができる。キトサンポリマーはまた、該混合物を可溶化できるのであれば、分子量の異なるキトサンポリマーの混合物、異なる修飾を受けたキトサンの混合物または修飾したおよび未修飾のキトサンの混合物であってよい。
【0025】
キトサンを可溶化する溶液は、キトサンの溶解特性に依って、アルコールと水の混合物を含む水性溶液、またはアルコール溶液であってよい。該溶液は、キトサンと反応しない任意の塩、バッファー、または他の成分を含むことができる。該溶液はまた、1つ以上のフェノール化合物とアルコールまたは水との混合物であってよい。中および高分子量キトサンポリマーに対しては、該溶液は典型的には水性溶液である。
【0026】
キトサンポリマーまたはオリゴマーが可溶化されると、所望のとおりに都合のよい作業濃度になるように希釈することができる。約1〜3%(重量%)のキトサン溶液を調製し、該溶液をいくらか希釈して約0.1〜約0.5%の作業溶液を得るのが好都合である。所望であれば、より高いまたはより低い濃度のキトサン溶液を使うことができる。キトサン濃度の1つの基準はアミノ基の当量モル濃度である。キトサンモノマーはそれぞれ1つのアミノ基を有するので、溶液中のアミノ基の当量濃度は計算することができる。この基準を使うと、約10mMの当量アミノ基濃度は0.16%キトサン溶液に相当する。説明のために、本発明者らは約0.1〜0.6%(5〜30mM)のキトサン水溶液を使った。
【0027】
キトサンポリマーまたはオリゴマー、フェノール化合物、および酵素からなる反応溶液を準備する。混合の順序は任意の都合のよい順序でよい;すなわち、フェノール化合物、キトサン、および酵素を任意の順序で混ぜることができるし、または既にフェノール化合物および/またはチロシナーゼを含有する溶液中でキトサンを可溶化することができる。本発明で使うために適当なフェノール化合物を以下に詳細に記載する。フェノール化合物の混合物も本発明の方法に適当である。使われるフェノール化合物の量はキトサンポリマーまたはオリゴマーのアミノ部の全てまたは一部分を消費するために十分な任意の量であることができる。特定の説明として挙げれば、非ポリマー性フェノール化合物に対しては、該量は典型的には約1〜500%である(このパーセントはキトサンポリマー中に存在するアミノ基の全モル数に基づくフェノール化合物のモルパーセントを表す)。例えば、もし当量アミノ基濃度が10mMであれば、フェノール化合物の50%濃度は5mMであり、フェノール化合物を約0.1〜約50mM(10mMの1〜500%)の範囲のいずれかの濃度となるように加えることができる。好ましくは、このような場合、該フェノール化合物は、キトサンアミノ基の数に基づいて、約5〜約80%、さらに好ましくは約30〜80%、そして最も好ましくは約60%の量で存在する。
【0028】
上記に考察したように、キトサンのアミノ基は、溶液のpHに依って、プロトン化および脱プロトン化されうる。低pHで、アミノ基はプロトン化され、キトサンは水溶性となる。このように、未修飾のキトサンを酸性溶液中で可溶化することは好都合である。しかし、低pHでは、プロトン化したアミノ基はキノンのような求電子試薬に対する反応性を有しない。より塩基性のpHでは、アミノ基は中性かつ求核性である;しかし電荷をもたないキトサンは水溶性に乏しい。このように、本発明の重要な様態は、キトサンを水溶性にするために十分なアミノ基はプロトン化されているが求電子キノンと反応するために十分なアミノ基が中性にあるようなpHに、溶液pHを注意深く調節することである。このように、キトサンが都合よく可溶化するpHは、反応を行わせるpHと同じである必要はない。さらに、pHは、酵素が活性でかつ安定に留まるように選ばなければならない。本発明者らは、未修飾キトサンに対する溶解性と反応性の間のこのpH「バランス」は未修飾キトサンポリマーのpKaに近接したpH、6.3にあることを見出した。この場合、pHは約5.5〜約6.5、好ましくは約5.8〜約6.3であってよい。修飾キトサンポリマーは容易に決定できる様々な溶解性特性を有しうるので、溶解性、中性アミノ基、および酵素活性を許容するように適当な溶液pHを調節する。
【0029】
より広pH範囲にわたって可溶性である、より低分子量のキトサンポリマーおよびオリゴマーに対しては、該pHは中性アミノ基および酵素活性が見合うように選択しなければならない。このように、修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを含む任意のキトサンポリマーまたはオリゴマーに対して、溶液のpHは、当業者であれば容易に決定することができる次の因子により拘束される:
(1)選ばれた酵素は所望のpHで活性でなければならない;
(2)キトサンアミノ基の少なくとも1部分は脱プロトン化していなければならない(中性である);そして
(3)均一相条件のもとで反応を行うために、キトサンは所望のpHで可溶でなければならない。
【0030】
キトサンポリマーの溶液のpHは、もし必要であれば、非反応性塩基、好ましくは水酸化ナトリウムのような非反応性無機塩基、または塩酸もしくは酢酸のような非反応性酸の添加により、酵素触媒による反応を実施するための望ましい値に調節することができる。フェノール化合物は溶液pHに影響を与えうるので、フェノール化合物およびキトサンポリマーまたはオリゴマーを溶液に一緒に入れた後に、溶液pHを調節するのが都合がよい。
【0031】
本発明の使用に適当である特定の酵素を以下に詳細に記載する。適当な酵素の混合物も本発明の範囲内にある。
可溶化したキトサンポリマーまたはオリゴマー、フェノール化合物および酵素が溶液中に存在し、pHを所望の値に調節すると、反応が開始する。使用する酵素の特異的活性によってどれだけの量の酵素を添加すべきかが決定される。例として、マッシュルームチロシナーゼ酵素における都合のよいレベルは約10〜約200 U/mL、好ましくは約20〜約100 U/mL、そして最も好ましくは約60 U/mLである。より高い酵素の量は溶液中のフェノール化合物または分子酸素の枯渇を生じうる。その後、一夜攪拌して反応を進行させるのが好都合である。
【0032】
得られる反応産物は、酵素およびフェノール化合物の存在下で反応して修飾を受けたキトサンポリマーまたはオリゴマーである。本明細書で使われる用語「修飾」は、キトサンが溶液中で化学的に1つ以上の種と反応したことを意味する。何らかの特定の理論に束縛されることなく、酵素はフェノール化合物を反応性キノン種に転換し、その後、キトサンポリマーまたはオリゴマーはキノンまたはキノンから誘導される種と共有結合すると考えられる。1つ以上のタイプのキトサン-キノン相互作用が可能であり;例えば、キノン-キトサン反応がSchiff塩基中間物もしくは産物、またはマイケル付加体(Michael's adduct)の中間物または産物を経由して起こることが示唆されている。さらに、フェノール化合物およびキノン中間物の特定の化学構造と反応性に依存して、キトサンはキノンと反応してまたは溶液中の種とさらなる化学反応を起こしてさらなる立体配置変化を受けうる。例えば、チロシナーゼがp-クレゾール、カテコールおよびドーパミンのようなある特定のフェノール化合物と反応すると、得られる修飾キトサンポリマーは、恐らくは化学的架橋および/またはキトサンポリマー鎖の物理的絡み合いによると思われる、粘性の高いヒドロゲルを形成する。このように、「修飾した」キトサンポリマーは、キノンまたはキノン誘導種と共有結合した(すなわち、単純な誘導体)キトサンポリマー、ならびに酵素的に作製したキノンと反応し続いてさらなる化学反応または物理的変化を受けたキトサンポリマーを含む。
【0033】
本発明のプロセスにより作製された修飾キトサンポリマーおよびオリゴマーは、もし所望であれば、当業者に周知の通常の技術を使って単離することができる。本明細書の実施例に記載されたもののような塩基溶解性、および中性pHにおける不溶性を有する修飾キトサンポリマーは、もし所望であれば、修飾キトサンが沈殿するように溶液pHを調節して単離することができる。好ましくは、最初に水酸化ナトリウムのような塩基を添加して、該水溶液をpHが約8以上、さらに好ましくはpHが約13〜14を超えるようにpHを移行させる。該溶液を約24時間攪拌して修飾キトサンポリマーを完全に溶解することができる。高いpHでは、未修飾のキトサンは不溶性であるが、修飾キトサンポリマーは溶解する。したがって、沈殿(未修飾キトサン)は遠心分離または濾過により分離し、除去することができる。そして、修飾キトサンを含有する上清溶液を、HClのような酸を添加して、pHを約7に中和することができ、修飾キトサンポリマーは沈殿するであろう。その沈殿を濾過および/または遠心分離により回収し、脱イオン水を用いて数回洗浄する。
【0034】
修飾キトサンはさらに所望のように処理することができる。例えば、修飾キトサンを、さらなる酵素修飾または通常の化学修飾のような他の修飾方法に供することができる。後者の場合、最初の酵素的修飾を使って所望の物理的または化学的特性(例えば、適当な溶解性または化学官能性)をもつ修飾キトサンを作成することができる。上記のように、他の技術(通常の化学修飾のような)によって修飾を受けたキトサン誘導体を本発明の酵素処理に供することも可能である。
【0035】
他の実施様態においては、本発明は修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを生産する反復的方法に関し、該方法においては、キトサンポリマーまたはオリゴマーを可溶化し、それを酵素により生成した反応性キノン種を用いて修飾する工程を所望の回数だけ繰返し、所望の機能特性を有する修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを取得する。この様態においては、該方法は、
(a)キトサンポリマーまたはオリゴマーを可溶化し;
(b)キトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下で酵素をフェノール化合物と反応させ、修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを作成し;
(c)修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを可溶化し;そして
(d)修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下で該酵素をフェノール化合物と反応させてさらに修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーを作成することを含んでなる。
【0036】
反復プロセスにおいては、各反復における(d)からの反応産物を次の反復の工程(c)に使う修飾キトサン試薬として用い、工程(c)と(d)を繰り返すことができる。工程(b)と(c)の間で修飾キトサンを単離し、精製し、またはもし所望であれば特性を決定することができる。あるいは、(b)で生産した修飾キトサンを溶液に残し、続いて中間的単離または精製のプロセスなしにさらに修飾することができる。そのような場合、「可溶化」工程(c)は、溶液pHを所望のとおりに、上記の反応性と溶解性と酵素活性とのバランスを最適化する適当な値に調節することにより簡単に実施することができる。同様に、もし工程(c)および(d)を繰返せば、一度の反復における(d)の産物を単離し、精製しもしくは所望により特性を決定することができるし、または単に溶液に保持して工程(c)のプロセスを続けることができる。適当な酵素は以下に記載する。
【0037】
工程(b)の反応は上記の所望のpHで実施することができる。工程(d)の反応溶液のpHは同様に修飾キトサンの溶解特性、中和アミノ基を与える必要性、および酵素活性に依存する。
他の様態においては、本発明は、本発明のプロセスにより作製された修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーに関する。これらの修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーは、驚くべきかつ予期しない機能特性および/または物理的特性を有する。理論に束縛されることは望まないが、キトサン修飾のために例えばキトサンフィルムまたはゲルを使う通常の不均一相プロセスを使うとき、修飾は外側キトサン表面上でしか起こらず、溶液層がアクセスしにくい領域ではほとんど未修飾のまま残ると考えられる。対照的に、本発明の均一相プロセスによる修飾は、より均一な修飾をもたらし、独特でかつ驚くべき特性を有する修飾キトサンポリマーまたはオリゴマーの作製を可能にすると考えられる。
【0038】
例えば、p-クレゾール、カフェイン酸およびクロロゲン酸のようなフェノール化合物を本発明で使うとき、得られる修飾キトサンポリマーは、驚くべきでありかつ有利であることに、アルカリ水溶液および酸性水溶液中で可溶性であって、中間の中性に近いpHにおいては不溶性となる「窓(window)」を有するような有用な溶解特性を有する。
【0039】
さらなる例として、p-クレゾール、カテコールおよびドーパミンのようなフェノール化合物を本発明に使うと、得られる修飾キトサンポリマーは、驚くべきでありかつ有利であることに、粘性の高いヒドロゲルを形成する能力のような有用な流体力学的特性を有する。これらの予期しない機能的および物理的特性を有する修飾キトサンポリマーの特定の例を以下の実施例の節に記載する。
【0040】
5.1.1 フェノール化合物
フェノール化合物は、所望のpHにある溶液中に入れることができ、以下に記載の酵素と反応する任意の化合物であってよい。該溶液は、上記のように、水溶液、アルコール、または水/アルコール混合物であってよい。有機溶媒を含む他の溶媒または溶媒混合物も使うことができる;適当な溶媒は、試薬を溶解して均一相条件を与える能力がありかつ酵素による反応を可能にする溶媒である。当業者は特定の組成とpHの溶液中におけるフェノール化合物の溶解性を容易に決定することができる。フェノール化合物の混合物を使うこともできる。本明細書に記載の酵素と反応するフェノール化合物は当業界では周知であり、例えば米国特許第5,340,483号に開示されている。さらに、チロシナーゼ、フェノールオキシダーゼおよびポリフェノールオキシダーゼのような以下に記載の酵素は、フェノール部分をもち、ポリマー、ペプチドおよびタンパク質を含む広範囲の基質と反応することは公知である。このように、本発明の使用に適当なフェノール化合物は、限定されるものでないが、フェノールおよび置換フェノール;少なくとも1つのフェノール部分をもつ天然または合成ポリマーまたはオリゴマー;少なくとも1つのフェノール部分をもつペプチド;および少なくとも1つのフェノール部分をもつタンパク質を含む。
【0041】
本発明に適当なフェノールおよび置換したフェノールの非限定の例は以下の式を有する化合物である:
【化5】
Figure 0004663117
この際、R1はキトサンと高度な反応性を持たない部分であり、例えば、水素、ヒドロキシル、アルキルまたは置換したアルキル、アルケニルまたは置換アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換シクロアルケニル、アリールまたは置換したアリール、アミノまたは置換アミノ、カルボン酸またはカルボン酸エステル、アルデヒドまたはケトン基、または2つ以上の上述の官能基を有する多官能性置換基であることができ;
R2はHまたはOHであり;そして
Xは1つ以上の追加の置換基であり、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキルまたは置換アルキル、アルケニルまたは置換アルケニル、シクロアルキルまたは置換シクロアルキル、シクロアルケニルまたは置換シクロアルケニル、アリールまたは置換アリール、アミノまたは置換アミノ、カルボン酸またはカルボン酸エステル、アルデヒドまたはケトン基、2つ以上の上述の官能基を有する多官能性置換基、または接続して環を形成する2つの隣接する置換基である。このような化合物は市販されているか、または当業界で知られている方法により合成することができる。
【0042】
例えば、XがHである場合、R1はHでありうるが、その場合、該フェノール化合物はフェノール(R2=H)またはカテコール(R2=OH)である。R1はメチルのような小さいアルキル基であることができ、その場合、該フェノール化合物はp-クレゾール(R2=H)またはメチルカテコール(R2=OH)である。R1はエチルアミン(-CH2CH2NH2)のような置換アルキル基でありうるが、その場合、該フェノール化合物はチラミン(4-(2-アミノエチル)フェノール)(R2=H)またはドーパミン(3-ヒドロキシチラミン)(R2=OH)である。
【0043】
R1はまた、多官能置換基であってもよい。例えば、XはHであってよく、R1はビニル酢酸基、CH=CHC(O)OHであってもよいが、その場合、該フェノール化合物は4-ヒドロキシケイ皮酸(R2=H)もしくはカフェー酸(3,4-ジヒドロキシケイ皮酸)(R2=OH)またはそれらのエステルである。
【0044】
さらなる例として、Xは塩素のようなハロゲンであることができ、その場合、該フェノール化合物はクロロフェノールであり、R1およびR2が上記のように選択される。Xはまたヒドロキシ基であってもよく;例えば、Xが3位のOHでありかつR1およびR2がHであるとき、該フェノール化合物はレゾルシノールである。Xが環を形成する2つの隣接した置換基であるとき、該フェノール化合物は例えばナフトールでありうる。
【0045】
したがって、本発明の使用に適当なフェノール化合物の特定の非限定的な例は、少数であるが挙げると、フェノール、2-クロロフェノール、2,2'-ジヒドロキシビフェニル、8-ヒドロキシキノリン、3-アミノ-フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3-ジメチルフェノール、2-メトキシフェノール、レゾルシノール、1-ニトロソナフトール、ヒドロキノン、4-クロロフェノール、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、2-アミノフェノール、3-メトキシフェノール、1-ナフトール、4-フェニルフェノール、p-ヒドロキシフェノキシ酢酸、5-メチルレゾルシノール、tert-ブチルカテコール、カテコール、メチルカテコール、チラミン、ドーパミン、カフェー酸、ヒドロキシケイ皮酸およびクロロゲン酸を含む。
【0046】
該フェノール化合物はまた、少なくとも1つのフェノール部分を有するポリマーもしくはオリゴマー、または少なくとも1つのフェノール部分もしくはチロシン残基を有するペプチドもしくはタンパク質であることができる。このような種は当業者には周知である。
【0047】
本発明はまた、本明細書に開示したプロセスにより作成された修飾キトサンポリマーにも関する。アルカリ水溶液に可溶性である修飾キトサンポリマーを所望する場合は、該フェノール化合物は、例えばp-クレゾール、クロロゲン酸またはカフェー酸であってよい。高い粘度を有する修飾キトサンポリマーを所望する場合は、該フェノール化合物は、例えばp-クレゾール、カテコールまたはドーパミンであってよい。
【0048】
5.1.2 酵素類
本発明での使用に好適な酵素類は、当業界で公知であり、(1)酸化剤として分子酸素を用い;そして(2)フェノール性部分と反応して、キトサンと反応する反応種を生成する性質を有する酵素類を含む。理論に拘束されることを意図しないが、このような酵素類は、フェノール類をキノン類に変換し、次いで、キノン類がキトサン上の中性アミノ基と反応すると考えられる。このような酵素類は、市販のものが容易に入手でき、そして自然の供給源にも至る所に存在する。そのような酵素類の例としては、限定されないが、チロシナーゼ類、フェノールオキシダーゼ類、及びポリフェノールオキシダーゼ類が挙げられる。上記で検討したように、本明細書に開示された方法(process)は、中性アミノ基及びキトサンの溶解性、並びに酵素活性を適応させるために選択されたpHで行うことができる。上記の反応性基準に合致する酵素類は、天然に容易に見い出され、反応性及び溶解性の理由で特定のpHが望ましい場合、当業者であれば、所望のpHで必要な反応性を有する適切な酵素を容易に同定し見い出すことができる。実例として、本明細書中の実施例では、チロシナーゼ、具体的には市販のマッシュルーム・チロシナーゼ(Sigma社製)を用いる。しかしながら、本明細書中に記載のように、他の好適な酵素類も用いることができる。
【0049】
5.2. 修飾キトサンの使用
本発明の修飾キトサンポリマー類及びオリゴマー類は、それらの機能的特性によって、多様な用途に用いることができる。例えば、塩基溶解性キトサンポリマー類は、そのような溶解性が有利である任意の用途に用いることができる。さらに、下記の実施例で示されるように、置換度の低い修飾キトサンポリマーを製造することができるので、本発明の塩基溶解性修飾キトサンポリマーは、まだ多数の非修飾アミノ部位を含んでいる。従って、反応性が非修飾キトサンポリマー類よりも大きい場合、塩基溶解性修飾キトサンポリマー類は、アルカリ性溶液中で反応でき誘導体化できるので、より酸性で反応性の低い条件下で製造することが不可能であるか又は実用的でない多様なキトサン誘導体の製造を可能にする。このようなさらなる反応及び誘導体化は、本発明の方法、又は化学反応を含むキトサン修飾の他の方法によって行うことができる。さらにまた、そのような追加的な修飾は、キトサンに結合する部分の反応性を利用することができる。例えば、キトサンが本発明に従ってフェノール化合物としてドーパミンで修飾されるとき、さらなる誘導体化は、ドーパミン部分のアミノ官能基を利用することができる。反応に用いるフェノール化合物によって多様な官能基が結合された部分に存在し、そのような部分の化学的、物理的及び生物学的特性が所望のように利用できることは当業者には明らかであろう。
【0050】
さらに、塩基溶解性修飾キトサンポリマー類を、本発明の方法によってさらに修飾し、さらにより驚くべき有用な機能特性を有する修飾キトサンポリマー類を作り出すことができる。ほんの1つの例として、修飾塩基溶解性キトサンポリマー類は、酵素及び得られるさらに修飾されたキトサンポリマーに高い粘度を付与するように選択されたフェノール化合物の存在下での反応によってさらに修飾することができる。このように、本明細書中に記載された高粘度のゲルは、出発物質として塩基溶解性修飾キトサンを用いてアルカリ性溶液中で形成できる。
【0051】
本発明の高粘度の修飾キトサンポリマー類及びオリゴマー類は、それらの機能特性が望まれるどのような場合でも同様に用いることができる。例えば、これらのポリマー類は、天然起源のキトサン、又は修飾キトサンポリマー類に基づくので、それらは、合成ポリマーの使用が環境的に問題があるような環境でも使用することができる。ほんの1つの例では、本発明の方法及び化合物は、その中で多孔性地質構造物(porous geological structures)(透水性ゾーン)が高粘度の修飾キトサンゲルによって満たされているか、又は密封されている、歯形修正(profile modification)などの用途に用いることができる。この例では、キトサンポリマー及びフェノール化合物の水溶液を、より透水性のゾーン(例えば、揚水による)に提供することができる。次いで、チロシナーゼ水溶液を、より透水性のゾーンに提供することもでき、チロシナーゼ及びフェノール化合物がキトサンポリマーの存在下に反応して、高粘度のゲルを形成し、該透水性ゾーンを効果的に密封することができる。キトサンポリマー溶液が該ポリマーを沈殿させるアルカリ性ゾーンでは、本発明の溶液の修飾塩基溶解性キトサンポリマーを用いることができる。そのようなゲルは、透水性ゾーンを密封するのに望ましいので、歯形修正に特に有用である一方、他のポリマー系の使用は、実用的でないか又は環境に有害である。キトサンは、当業者に公知の天然起源の酵素によって分解できるので、高粘度キトサン系(chitosan-based)ゲルは、所望ならば、環境への有害な影響無しに酵素的に除去できる。本発明の修飾キトサンポリマー類のそのような多数の他の有用な用途は当業者には明らかであり、本発明の範囲内にある。
本発明の特定の実施形態を以下の実施例によって例示するが、それらに限定されるものではない。
【0052】
6. 実施例
下記実施例においては、特に示さない限り、材料、方法及び条件は、以下のとおりである:
材料
用いる全ての試薬及び溶媒は、種々の業者から商業的に入手可能である。キトサン及びクロロゲン酸はSigma Chemical Co.社から入手した。これらの実施例で用いたキトサンは、NMR分析による測定で、約300,000 g/モルの平均分子量、及び約90%の脱アセチル化度を有していた。NMR研究のために、Cambridge Isotope Laboratories社からD2Oを入手した。用いたチロシナーゼは、Sigma社から入手したマッシュルーム・チロシナーゼであり、3,000 U/mgの比活性を有すると業者が報告したものである。用いた他の全ての化学物質は、Fisher Scientific社から入手した。
【0053】
方法
キトサン水溶液は、(脱イオンされた)水100 mL中にキトサン1.6 gを懸濁させ、2 Mの塩酸をゆっくりと添加して溶液のpHを約2まで酸性化することによって調製した。この溶液を一晩混合し、次いで溶解しない物質を減圧濾過によって溶液から除去した。得られた溶液は、キトサン1.6%(重量/容量)の粘性水溶液であった。
【0054】
均質相(homogenous phase)反応のために、1.6%キトサン溶液を10倍に希釈して0.16%溶液を得た。この0.16%の濃度で、この溶液は約10 mMの濃度と等量のアミノ基を含んでおり、キトサンに対するキチンの脱アセチル化は100%であると推定された。NMRによる分析によって、やや低い程度の脱アセチル化(約90%)が示され、それ故、実際の等量のアミノ基濃度は計算された10 mMの濃度よりわずかに低かった。
不均質相(heterogeneous phase)比較反応のために、0.25 N NaOH中に1.6%のキトサン溶液を含むペトリ皿(3.5 cm)を約4〜5時間浸すことによって不溶性キトサンゲルを調製した。次いで、得られたゲルを皿から取り出し、脱イオン水で十分に洗浄した。
【0055】
6.1. 実施例 1 :酸性条件下でのチロシナーゼの酵素活性
穏やかな酸性条件下でのチロシナーゼの活性を検討し、該酵素が酸性溶液中で活性を維持していることを確認した。反応の進行は、Mayerら、「カテコールオキシダーゼのアッセイ:方法の重要な比較(Assay of catechol oxidase: A critical comparison of methods)」、Phytochem., 5:783-789 (1966)に記載の方法を用いて溶解した酸素の消費量をモニターすることによって測定した。これらの測定で用いた溶存酸素プローブは、Microelectrodes, Londonderry, NH社から入手した。クロロゲン酸(6 mM)を0.16%キトサン溶液に添加し、pHを約5.8〜6.0に調整した。チロシナーゼ(60 U/mL)を添加し、反応容器を密封し、溶存酸素含量を時間の関数として測定した。2つの対照溶液を調製し、同様にモニターした。対照の1つはチロシナーゼとキトサンのみを含み(フェノール化合物を含まない)、対照のもう一つは、クロロゲン酸とキトサンのみを含んでいた(酵素を含まない)。これらの測定の結果を、それぞれ「チロシナーゼのみ」及び「クロロゲン酸のみ」と表示された2つの対照溶液と共に図1に示す。図が示すように、対照溶液の両者では、測定期間を通して、溶存酸素含量は変化しないままであった。しかしながら、チロシナーゼ及びクロロゲン酸の両者を含む溶液では、酸素濃度は、最初の数分で急激に低下し、約10〜12分後には本質的に0に達した。この測定は、チロシナーゼがこのpH領域で活性を維持しており、フェノール性基質の対応するキノンへの酸化を触媒し、これによって溶液中の溶存酸素を使い果たすことを示している。
【0056】
6.2. 実施例 2 :塩基溶解性修飾キトサンポリマー類の製造及び特徴付け
クロロゲン酸によって修飾されたキトサンポリマーを製造した。0.16%キトサン溶液をクロロゲン酸(6 mM)とチロシナーゼと共にインキュベートした。反応溶液に含まれるキトサンのアミノ基に対するクロロゲン酸のモル比が0.6であった(すなわち、等量のアミノ基濃度は10 mMであった)ので、得られた修飾キトサンポリマーを「60%」と示す。反応は、150 mLビーカー中で総量約25 mLの溶液を用い、絶えず攪拌しながら行い、溶液中の酸素の枯渇に関係する幾つかの問題を最小化するために、このビーカーを空気中に解放したままにした。溶存酸素プローブを用いて、反応をモニターし、測定は、溶存酸素量が空気飽和値に対して約70%残っていることを示した。
反応が進むにつれて、最初は無色の溶液が褐色に変わり、暗色の沈殿物が生成した。一晩反応させた後、修飾キトサンポリマーを回収し分析した。
【0057】
修飾キトサンを以下のように特徴付けした。水酸化ナトリウム水溶液を用いて溶液のpHを約13〜14に調整し、溶液を24時間混合した。暗色の沈殿が溶解するのを観察した。未反応のクロロゲン酸が除去されたことを確認するために、溶液のpHを約7に再度調整すると、沈殿が再び現れた。遠心分離によって沈殿を回収し、脱イオン水で2回洗浄した。観察されたキトサンの修飾が、酵素触媒反応によって実際に起きており、続く塩基処理によるものではないことを確認するために、対照実験も行った。キトサン及びクロロゲン酸を含む溶液を調製し、チロシナーゼを添加せずに上記工程に付した。チロシナーゼ含有溶液とは異なり、対照溶液は塩基処理の24時間後でも溶解しない不溶性沈殿物を含んでいた。対照溶液の中和によって沈殿が生成したが、(遠心分離によって)回収された沈殿はキトサンと同じ白色であり、クロロゲン酸修飾キトサンと同じ褐色ではなかった。
【0058】
キトサン及びクロロゲン酸修飾キトサンの溶解特性を比較した。酸性条件下(pH 1)で、キトサン及び修飾キトサンの両者は溶解性であることが観察された。pHを約9に上昇させると、キトサン溶液はゲルを形成したが、修飾キトサンは溶液のままであった。最後に、pHを約7に調整すると、キトサンは、不溶性ゲル形態のままであり、修飾キトサンは、析出した。修飾キトサンを約30分間放置した後の上清溶液が透明であることを観察した。このように、フェノール化合物としてクロロゲン酸を用いた本発明の方法によって修飾されたキトサンは、酸性及び塩基性溶液に可溶性であるが、中性溶液には不溶性であることが観察された。
【0059】
6.3. 実施例 3 :「 2 回反応させた( twice reacted )」塩基溶解性修飾キトサンポリマー類の製造及び特徴付け
修飾キトサンポリマーを実施例2に従って製造した。回収され洗浄された修飾キトサンポリマーを高いpHで再度溶解させ、次いで塩酸の添加によりpHを約8に調整した。次いで、可溶化された修飾キトサンを、実施例2と同様に、チロシナーゼ及び6 mMのクロロゲン酸と共に一晩インキュベートした。反応後、「2回反応させた」又はさらに修飾されたキトサンポリマーを回収し、洗浄した。それは暗褐色で、出発物質よりも質的に暗く、340 nmでのより強い吸光度を有していることが観察された。
【0060】
6.4. 実施例 4 :塩基溶解性修飾キトサンポリマー類へのフェノール化合物濃度の影響
クロロゲン酸の量を変化させて得られる修飾キトサンポリマーの特性へのフェノール化合物濃度の影響を試験した以外は、実施例2の実験を繰り返した。それぞれキトサンアミノ基の5、30及び60%に対応する0.5 mM、3.0 mM、及び6.0 mMの3つの異なる濃度のクロロゲン酸を用いた。種々のpHレベルで(回収され洗浄された)得られた修飾キトサンポリマーの溶液を調製し、340 nmの波長でのUV分光測光器を用いたUV吸光度によって特徴付けした。便宜上、各溶液は最初に低いpH(約1)又は高いpH(約14)のいずれかで調製した。サンプルを溶液から取り、遠心分離して任意の不溶性物質を分離し、上清溶液の吸光度を測定した。次いで、出発溶液のpHを、ほぼ次の整数値に増加させながら(例えば、pH 1の溶液は、pH 2、次いでpH 3になる)調整し、サンプリング及び測定処置を各pH値で繰り返した。
【0061】
UV測定を図2に示す。非修飾キトサン(図中に示されていない)は、340 nmで吸収を示さない。5%サンプルは、淡褐色であり、低いpHで弱い吸収を示し、このことは、修飾キトサンの存在を示す。30%サンプルは、かなり暗色であり、酸性及びアルカリ性pHの双方で吸収を示し、褐色の沈殿の形成に対応する中性pHで吸収が低下した。60%サンプルは、さらに暗色であり、30%サンプルのそれと類似したUV吸収及びpH−溶解性プロフィールを示した。
【0062】
6.5. 実施例5:塩基可溶性修飾キトサンポリマーの NMR 分析
実施例2の塩基可溶性修飾キトサンポリマーをプロトンNMRにより分析し、塩基可溶性の沈殿物が実際にキトサンポリマーであり、例えばキノン間の副反応から生成された化合物ではないことを確認した。サンプルはキトサンおよび実施例2の修飾キトサンを用いて調製した。サンプルにD20を添加することにより、ヘテロ原子水素を重水素と交換し、さらに溶媒を数回にわたりエバポレートした。スペクトルは300 MHzまたは500 MHzのGeneral Electric NMRを用いて取得した。低pHでは、アノマープロトンからの干渉を避けるため、HODピークが4.8ppmから4.2ppmへシフトするように温度を上げて(80℃)スペクトルを取得した。高pH溶液については、スペクトルを室温にて取得した。
【0063】
対照サンプルとして、酸性溶液(HClを用いてpH2まで酸性化したもの)中に溶解させたD20交換キトサンを調製し、スペクトルを測定した。その結果を図3(a)に示す。ピークが次の通り観察され特定された。4.8および3.1ppmのピークはグルコサミン単位中のC1およびC2のプロトン(図中に示した番号付け方式を採用する)に対応する。2.0ppmのピークはN-アセチル-グルコサミン残基のメチルプロトンに対応し、またそのピークの積分値は、糖残基の約10%がアセチル化されていたこと、すなわちキトサンサンプルは90%が脱アセチル化されていたことを示す。3.4から4.0ppmの間のピークはC3〜C6プロトンに対応する(Rinaudoら, "Substituent distribution on O,N-carboxymethylchitosan by 1H and 13C n.m.r." Int. J. Biol. Macromol., 14, 122-128 (1992)を参照のこと)。実施例2の修飾キトサンに対するスペクトルは、酸性条件(pH1)下のものを図3(b)に、塩基性条件(pH12)下のものを図3(c)に示す。高pHでは、修飾キトサンのピークはアップフィールドにシフトする(アノマープロトンについては4.8ppmから4.4ppmへ、C2プロトンについては3.1ppmから2.6ppmへ)。これらの小さな差異以外は、修飾キトサンサンプルに対するスペクトルは非修飾キトサンのものと本質的に同一であり、このことは塩基可溶性化合物が確かにキトサンポリマーであることを示している。
【0064】
驚くべきことに、図に示した縮尺ではクロロゲン酸に対応するピークは観察されず、このことから修飾度が低かったことが示される。図4(a)は、図3(c)のクロロゲン酸のスペクトル領域(6.0ppm〜7.5ppm)を、あまり顕著ではない特徴が示されるように拡大した縦縮尺で示している。このスペクトル領域において、キトサンポリマーに存在するクロロゲン酸由来の部分に特徴的なキノイドもしくは芳香族プロトンのシグナルを見出すことが予想されていた。この拡大された縮尺では、3つの弱いピークをはっきりと見ることができる。
【0065】
また、実施例3の2回反応型修飾キトサンについてNMRスペクトルを記録した。図4(b)は、pH 12の水溶液中の2回反応型修飾キトサンについての同じスペクトル領域を示している。この図が示すように、キノイドもしくは芳香族のピークは2回反応型キトサンにおいてより大きく(すなわち、シグナル対ノイズ(SN)比がより大きい)、このことは修飾度がより大きいことを示している。
【0066】
6.6. 実施例6:高粘度修飾キトサンポリマーの調製および特性決定
高粘度修飾キトサンポリマーを、得られた修飾キトサンポリマーを沈殿、回収せず、また試薬濃度を下記のように変更したことを除き、実施例2の記載と同じ方法を用いて調製した。修飾キトサンポリマーは、フェノール化合物としてp-クレゾール、カテコール、およびドーパミンを使用して調製した。それらの修飾キトサンポリマーの各々は粘度が増大しており、該粘度はキトサン濃度の増大に伴って増加した。例えば、0.48%キトサン存在下でp-クレゾール(18mM)をチロシナーゼ(100 U/ml)と反応させた。すなわち、キトサンの量は実施例2の場合の3倍であり、またp-クレゾールの量はフェノール化合物濃度がアミノ基当量濃度の60%に維持されるよう調節した。反応の数時間後、溶液粘度は劇的に増加し、サンプルは高粘度ゲル(約400ポアズ)を形成した。
【0067】
図5は、酵素触媒反応が起こっているため、時間の関数として修飾キトサン溶液の粘度を示している。用いたフェノール化合物は濃度12mMのp-クレゾールであり、それは0.32%キトサン溶液の当量アミノ基濃度の60%に相当する。チロシナーゼは80 U/mlの濃度で用いた。粘度測定は、S25スピンドルを備えたBrookfield DV-II+ 粘度計により1rpmで行った。図中、黒丸は、約4時間のインキュベーション後に溶液の粘度が増加し始め、最終的にその約10時間後におよそ450ポアズまで増加することを示している。またいくつかの対照溶液を調製し、同じ反応条件に供した。したがって、キトサンおよびp-クレゾールを含む(チロシナーゼは含まない)溶液、キトサンおよびチロシナーゼを含む(クレゾールは含まない)溶液、およびp-クレゾールおよびチロシナーゼを含む(キトサンは含まない)溶液を用いて、これらの対照溶液について、粘度 対 時間を同様に測定した。図5では、3つの対照溶液の全てが同じ挙動(粘度変化が見られず、図5中でデータポイントが重複している)を示している。
【0068】
図6は、キトサンの濃度を変更した場合の粘度 対 時間を示す。キトサン修飾反応は、0.16%、0.32%、0.48%のキトサン溶液(当量アミノ基濃度で10、20、30mM)を使用し、先に記載の通りに行った。各溶液において、p-クレゾールの濃度を当量アミノ濃度の60%(すなわち、6、12、および18mM)に調整した。
【0069】
またチロシナーゼ濃度を調節し、0.16、0.32、および0.48%溶液の各々に、60、80、100 U/ml値を用いた。粘度測定は先に記載の通り行った。0.16%キトサン濃度では、粘度は有意に増加して約40〜50ポアズとなった。この増加はこの図の縮尺では示されない。0.32%キトサン溶液についての粘度の増加はより大きく、約5分後におよそ450ポアズ値へ増加したことが示されている。この溶液は図5に示す溶液に対応することに注目すべきであるが、図6の縦軸の方がより広い範囲を含んでいる。0.48%のキトサン溶液については、約24時間後におよそ4000ポアズの粘度を有する修飾キトサンが形成される。
【0070】
6.7. 実施例7:クレゾール修飾キトサンゲルの生分解
p-クレゾール修飾キトサンが生分解性であるか否かを判定するために、本発明者らはこのゲルを市販のキトサナーゼと共にインキュベートした。このキトサナーゼは、キトサンの骨格を加水分解することが知られているものである(Osswaldら, Anal. Biochem. 1992; 204:40)。修飾キトサンは、0.32%キトサン、12mM p-クレゾール、および80 U/mlチロシナーゼを用いて調製し、これらのゲルを、キトサナーゼの存在下(ゲル15ml中に1U)または不在下でインキュベートした。p-クレゾール修飾キトサンゲルの粘度は、キトサナーゼとのインキュベーションにより急速に低下することから、この修飾は生分解を妨げないことが示される。
【0071】
また、Muzzarelliら(Muzzarelliら; Carbohy. Polym. 1994; 24: 295)は、類似のフェノール成分と架橋されたキトサンは様々な加水分解酵素の作用を受けやすいことを観察した。修飾キトサンの生分解のこのような観察結果は、巨大置換基によるセルロースの修飾によってその生分解性が破壊され得るという観察結果(Sakkeら; Progress in the enzymatic hydrolysis of cellulose derivatives. "Cellulose Derivatives Modification, Characterization and Nanostructures"中, Heinze, TJ, Glasser WG. ACS Symposium Series 688巻 American Chemical Society, Washington DC. 1998; 201)とは対照的である。
【0072】
本明細書に記載および特許請求した発明は、本明細書に開示した特定の実施形態による範囲に限定すべきものではない。というのは、これらの実施形態は本発明のいくつかの態様の例示として意図されるものだからである。どのような等価な実施形態も、本発明の範囲内にあるものと意図される。実際に、本明細書に示し、記載したもの以外の本発明の様々な変更が、当業者にはここまでの記載から明らかになるであろう。そのような変更もまた、本出願の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
本出願において引用した参照文献はすべて、その全体を参照により組み入れるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶存酸素含量を、酵素触媒によるキトサン修飾反応の進行中の時間の関数として示す。
【図2】種々のpHの溶液中の修飾キトサンポリマーのUV吸光度を示す。
【図3】キトサン(Sigma)および本発明の修飾キトサンポリマーの1NMRスペクトルを示す。
【図4】6.0〜7.5ppmの範囲での修飾キトサンポリマーの1NMRスペクトル特性を示す。
【図5】本発明の反応溶液の粘度を反応時間の関数として示す。
【図6】種々の濃度のキトサンを含有する溶液の時間に対する粘度を示す。

Claims (26)

  1. 可溶化したキトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下で、チロシナーゼ、フェノールオキシダーゼ、及びポリフェノールオキシダーゼから成る群から選択される酵素と少なくとも1種のフェノール化合物を反応させることを含む、アルカリ性水溶液に可溶性である修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーの製造方法であって、
    (A)前記フェノール化合物が、p−クレゾール、カフェイン酸又はクロロゲン酸であり、
    (B)前記可溶化したキトサンポリマーまたはオリゴマーが水溶液中に溶解され、
    (C)前記反応がpH5.5〜6.5で均一相溶液中において行われ、前記修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーが製造される方法。
  2. 酵素が、当該フェノール化合物を酸化するための酸化剤として酸素分子を用いる酵素である、請求項1に記載の方法。
  3. 当該フェノール化合物が、p−クレゾールである、請求項1に記載の方法。
  4. 当該フェノール化合物が、カフェイン酸である、請求項1に記載の方法。
  5. 当該フェノール化合物が、クロロゲン酸である、請求項1に記載の方法。
  6. 当該水溶液(B)が、水性アルコール溶液である、請求項1に記載の方法。
  7. 当該水溶液(B)のpHが6.5以下である、請求項に記載の方法。
  8. 当該水溶液(B)のpHが8以上である、請求項に記載の方法。
  9. 修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーが8以上のpHのアルカリ性水溶液に可溶性である、請求項1に記載の方法。
  10. 修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーが酸性水溶液に可溶性である、請求項1に記載の方法。
  11. 修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーが中性pHの水溶液に不溶性である、請求項1に記載の方法。
  12. 修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーが、8以上のpHのアルカリ性水溶液に可溶性であり、酸性水溶液に可溶性であり、且つ中性pHの水溶液に不溶性である、請求項に記載の方法。
  13. 修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーが溶液中で高い粘性を示す、請求項1に記載の方法。
  14. 修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーの溶液の粘度が、1ポアズ以上である、請求項13に記載の方法。
  15. 修飾されたキトサンポリマーの溶液の粘度が、40ポアズ以上である、請求項14に記載の方法。
  16. 修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーの溶液の粘度が400ポアズ以上である、請求項15に記載の方法。
  17. 追加のステップとして、
    さらに、可溶化した修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーの存在下で、酵素と当該フェノール化合物のいずれかを反応させ、さらに修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマーを製造することを含む、請求項1に記載の方法。
  18. 追加の反応ステップを繰り返して修飾されたキトサンポリマーをさらに修飾することを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 修飾されたキトサンポリマーの製造が、5.5〜6.5のpHで行われる、請求項17に記載の方法。
  20. 追加の反応ステップが6.5以上のpHで行われる、請求項17に記載の方法。
  21. 追加の反応ステップが8以上のpHで行われる、請求項20に記載の方法。
  22. 請求項1に記載の方法により製造された、可溶化した修飾されたキトサンポリマーまたはオリゴマー。
  23. 請求項13に記載の方法により製造された、可溶化した修飾されたキトサンポリマー。
  24. 請求項17に記載の方法により製造された、可溶化した修飾されたキトサンポリマー。
  25. 酸性水溶液と塩基性水溶液の両方に可溶性である、請求項2224のいずれか1つに記載の修飾されたキトサンポリマー。
  26. 1ポアズ以上の粘度を有する、請求項2224のいずれか1つに記載の修飾されたキトサンポリマー。
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