JP4662369B2 - 泥フェイスパックの製造方法 - Google Patents

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本発明は、泥フェイスパックの製造方法に関する。
顔面に泥を塗って覆うことにより、皮脂を吸着するとともに、新陳代謝を促して肌に張りと潤いを与える、いわゆる泥パックと呼ばれる美顔法が知られている。かかる泥パックによく用いられる化粧品の一つに、チューブ容器に泥様の化粧剤を収容した泥パック化粧剤がある。この形態の泥パック化粧剤は、チューブ容器から5g程度の化粧剤を押し出して、手で顔面の必要部位に塗布して使用するため、使用の度に化粧剤が手や衣服に付着して扱いが面倒である。そこで、化粧剤をシート状に加工して顔面に貼り付けるようにした泥フェイスパックが提案されている(特許文献1,2)。
そこでは、粘土粉体を含む化粧剤をシート状のゲル体に固めたり(特許文献1)、不織布等を基材にして、そこに粘土粉体を含む化粧剤を層状に積層したり(特許文献2)してシート状に加工している。なお、粘土粉体を含まない、化粧水だけを含浸させた化粧水フェイスパックもある。
特開平11−322535号公報(段落番号0005) 特開平11−228344号公報(段落番号0009、図6)
しかし、特許文献1の泥フェイスパックは、ゲル体だけでシート状に加工されているため、使用時にくっつき、ちぎれ等して扱い難い。生産するうえでも、ゲル化させる加熱工程などが必要で生産性に欠け、実用化されるまでには至っていない。
その点、特許文献2の泥フェイスパックは、不織布を基材に用いている分、扱い易い。ところが、本発明者において、フェイスパックの主たる利用である30歳未満の女性65名をモニターとして、特許文献2のタイプの泥フェイスパックと、化粧水だけを含む化粧水フェイスパックとで、使用感について比較調査を行ったところ、65名中52名(80%)が、化粧水フェイスパックの方が使用感に優れるとの評価が得られ、泥フェイスパックの使用感に課題があることがわかった。また、各モニターの意見から、泥フェイスパックには、使用時に化粧剤の乾燥に伴って顔面が突っ張る不快感がある、しっとり感が少ない、使用後に化粧剤が剥がれて顔面に残る等の課題があることもわかった。
そこで、かかる結果に基づいて、本発明者は、泥フェイスパックと化粧水フェイスパックとをうまく組み合わせ、両者の特長を活かした新たなフェイスパックを見出すべく検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の目的は、扱い易くて、使用感に優れる泥フェイスパックを品質よく安定して製造でき、実用化も容易な製造方法を提供することにある。
本発明は、基材となる不織布に、化粧水が不織布に対して250〜800重量%含まれており、ベントナイトを含む粘土粉体が、前記化粧水に対して5.0〜15.0重量%含まれている泥フェイスパックの製造方法であり、粉末状のベントナイトを不織布に付着させる付着工程と、化粧水にベントナイト以外の粘土粉体を混合して分散溶液を形成する混合工程と、攪拌しながら前記分散溶液に前記不織布を浸漬する浸漬工程とを含むことを特徴とする。粘土粉体の化粧水に対する含有量は、8.0〜12.0重量%に設定するのがより好ましい。
具体的には、粘土粉体にベントナイトを含ませ、そのベントナイトの化粧水に対する含有量が、0.7重量%以下になるよう設定することができる。不織布には、メッシュタイプの不織布を使用することができる。なお、ここでいうメッシュタイプとは、文字通り不織布に孔群が形成されて網目状になっているものに限らず、凹凸が形成されてしぼ模様状や、エンボス模様状になっているものも含む。
ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、チタンブラック、カーボンブラック、酸化クロムのうち、少なくともいずれか一つの着色顔料を含むようにしてもよい。金箔、魚鱗箔、金雲母のうち、少なくともいずれか一つの光沢剤を含むようにしてもよい。
不織布に化粧水を十分に湿潤させて、そこに粘土粉体を所定量含ませるようにした請求項1又は2記載の本発明によれば、不織布を基材としたことによって、生産時や使用時の取り扱いが楽である。多孔質構造の不織布に化粧水が十分量含浸されているので、乾燥し難く、使用中に粘土粉体が乾いて肌の突っ張り感を生じることがない。保湿性も高く、常にしっとり感を保持することができる。化粧水中に粘土粉体を分散させることができるため、比較的少量の粘土粉体であっても、化粧水を介して不織布中に粘土粉体を均一に分散させることができ、それだけ効率よく皮脂を吸着させることができる。不織布の内外に粘土粉体を分散付着させてあるので、使用後に粘土成分が顔面に残り難いし、残っても不快感を少なくできる。
皮脂吸着性に優れるベントナイトが粘土粉体に含まれていると、それだけ美顔効果を向上させることができる。しかし、ベントナイトは、水を含むと膨潤し、粘性を生じるため、不織布に対して均一に分散配合するのは難しく、配合量にも限界がある。その点、化粧水に対するベントナイトの含有量が0.7重量%以下に設定してあれば、不織布に対して効果的に分散配合させることができる。
不織布をメッシュタイプにすることで、孔や凹凸を介して粘土粉体を不織布の内部にまで効率よく均一に分散させることができる。
ベンガラ等の所定の着色顔料が含まれていると、粘土粉体によって、くすんで見た目の悪い色合いになるフェイスパックに対し、焼き物様の落ち着いた自然感のある色合いを付与することができ、商品価値を向上させることができる。これら着色顔料は、いずれも微粉体から構成されていて、皮脂吸着能があるため、その点でも有利である。
金箔等の光沢剤が含まれていると、装飾性を向上させることができる。
このような泥フェイスパックを製造するに際し、いったん化粧水に粘土粉体を混合して分散溶液を形成し、その分散溶液に攪拌しながら不織布を浸漬して、不織布に化粧水及び粘土粉体を含ませるようにしてあると、十分量の化粧水に均一に分散させた状態で粘土粉体を不織布に含浸させることができるので、不織布全体に均一に粘土粉体を付着させることができる。複雑な工程が不要で、一定の品質を確保しながら安定して量産できる。
浸漬工程に先立って、粘土粉体のうち、ベントナイトだけ粉末状のまま不織布に付着させ、その不織布を、その他の粘土粉体を分散させた分散溶液に浸漬するようにしてあると、皮脂吸着性に優れていても、水を含むと膨潤して粘り気があるために配合量に限界のあったベントナイトを、不織布の内部深くまで行き渡らせることができ、それだけ多量のベントナイトを不織布に付着させることができるため、美顔効果をよりいっそう向上させることができる。
以下、本発明の泥フェイスパックについて具体的に説明する。本発明の泥フェイスパックは、基材となる不織布に、化粧水を不織布に対して250〜800重量%含浸させるが、その化粧水に、粘土粉体を5.0〜15.0重量%含ませてある。
基材となる不織布の素材は、主として天然パルプ、コットン、シルク、レーヨンなどの天然あるいは化学繊維が挙げられるが、これらにポリエステルやポリプロピレンなどの合成繊維を混合した混合素材も使用できる。不織布の形態は、メッシュタイプが好ましい。孔や凹凸を介して粘土粉体を不織布の内部にまで効率よく分散させることができるからである。なお、不織布の製法は、スパンレース法やスパンボンド法、サーマルボンド法など、とくに限定はされないが、なかでもスパンレース法による不織布が好適である。不織布全体の繊維密度が比較的均一に形成されるため、粘土粉体を分散させ易く、かつ固定させ易いからである。
化粧水には公知の化粧水が使用できるが、例えば次の表1に示す配合からなる化粧水が好適に使用できる。以下、表中の%はいずれも重量%を示す。
Figure 0004662369
ここで、化粧水の不織布に対する含浸量を250〜800重量%に設定したのは、泥フェイスパックを顔面に装着したときに、顔面の皮膚に対して密着するのに必要な最低限の液量と、使用時に液だれが発生するおそれのない最大限の液量とを考慮したものである。250重量%は、吸水性が小さいレーヨンとポリエステル繊維との混合不織布における最低限の液量から求めたものであり、800重量%は、吸水性が大きいコットン繊維単体の不織布における最大限の液量から求めたものである。要は、フェイスパックが顔面に密着し、使用時に液だれが生じない化粧水の量であればよい。
粘土粉体とは、岩石が風化や熱水作用によって分解してできた微細な鉱物粉体のことをいう。例えば、ベントナイト、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、無水珪酸、ゼオライト、火山石泥、活性白土、軽石粉末、酸化亜鉛、酸化チタンを挙げることができる。なかでも、ベントナイトは、皮脂吸着性に優れているため、粘土粉体として好ましい。ただし、粉末状のベントナイトは、水を含むと膨潤し、粘性を生じるため、不織布に対して均一に分散配合するのは難しい。
粘土粉体を化粧水に対し5.0〜15.0重量%含ませることとしたのは、次のモニター試験の結果に基づく。試験での各サンプル及び結果の詳細を表2に示す。
Figure 0004662369
〈サンプル調整〉
基材となる不織布には、コットン100%のメッシュタイプの不織布をフェイスパック形状に加工したものを使用した。先の表1に示した配合の化粧水に、表2に示す各配合割合で調整した粘土粉体(ベントナイト、タルク、カオリン、酸化チタン)及び着色顔料(ベンガラ、黄酸化鉄)を混合して分散溶液をそれぞれ作製し、これらを先のフェイスパック形状に加工した不織布に、含浸量が600重量%となるように含浸させ、1〜10のサンプルを得た。
〈モニター試験〉
女子16名をモニターとし、各モニターに1〜10の各サンプルを使用させ、その使用感を比較評価した。使用感の評価項目及び評価基準は表2に示す。評価項目は、泥パックとしてみたときの泥の量感、使用後の泥残り感、サッパリ感(肌の皮脂が取れた感覚)、しっとり感の4項目であり、それぞれ1〜5点(最高5点、最低1点)の表2に示す評価基準に基づいて比較評価を行った。
〈モニター試験結果〉
各モニターの各サンプルに対する使用感の評価点の平均値を四捨五入して1〜5の数値に置き換え、これを総合評価とした(表2参照)。各粘土粉体の総計(重量%)と各総合評価の総計との関係について調べた結果を図1のグラフに示す。グラフの縦軸が総合評価の総計値を、横軸が粘土粉体の総計量を示している。このグラフからも明らかなように、粘土粉体の総計量と使用感の総合評価の総計値との間には、一定の関係が認められ、粘土粉体の総計量がおよそ10重量%となるところに、総合評価の総計値のピークが認められた。
以上の試験結果によって明らかになった使用感と粘土粉体量との関係から、化粧水に対し、粘土粉体は5.0〜15.0重量%の範囲で含ませるのが好ましく、より好ましくは、8.0〜12.0重量%の範囲で含ませるのが好ましいことを見出したものである。
粉末状のベントナイトは、水を含むと膨潤し、粘性を生じるため、不織布に対して均一に分散配合するのは難しい点は先に説明したとおりである。この点、化粧水に対してベントナイトの含量が0.7重量%を超えなければ、水分を含んで膨潤したベントナイトであっても、不織布に対して均一に分散配合させることができた。
着色顔料を含ませることで、見た目を改善することができ、商品価値を向上させることができる。着色顔料としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、チタンブラック、カーボンブラック、酸化クロムを挙げることができる。これらのいずれかを単独で使用することも、あるいは複数を組み合わせて使用することもできる。ここでは、ベンガラと黄酸化鉄を使用して、薄赤系の色合いとなるように調整した。また、装飾性を向上させるために、例えば、金箔や魚鱗箔、金雲母の光沢剤を含ませておくこともできる。
次にかかる泥フェイスパックの製造方法について説明する。まず、最初に、所定配合の化粧水に所定配合の粘土粉体を混合して、化粧水に粘土粉体を分散させた分散溶液を形成する(混合工程)。分散溶液は浸漬槽に貯留する。このとき、分散溶液を静置しておくと、粘土粉体は沈降して凝集するため、攪拌羽などを用いて常時攪拌しておく。
続いて、攪拌しながら浸漬槽に貯留した分散溶液に、例えば、帯状の不織布を連続的に浸漬する(浸漬工程)。本工程では、常時攪拌しておく点が重要であり、これにより、粘土粉体を不織布に対して均一に分散付着させることが可能となっている。不織布に対する分散溶液の含浸量は、例えば、浸漬時間で調整できる。本工程では、攪拌機構を備えた浸漬槽に分散溶液を貯留し、不織布を所定時間浸漬するだけでよく、複雑な装置は不要で、量産化も容易である。
次に、所定量の分散溶液を含浸させた不織布に対して型抜きを行ってフェイスパック形状に加工する(型抜き工程)。所定形状に加工した泥フェイスパックは、折り畳み工程などを経て個別に袋詰めされて密封される(包装工程)。後は加熱殺菌、冷却を行えば泥フェイスパックの袋入り製品が完成する。
〈ベントナイトの配合量の改善〉
限界量を超えて粉末状のベントナイトを配合するために、次のような製造方法を採用することができる。つまり、先にベントナイトだけを加水せず不織布に分散付着させるのである。具体的には、粉末状のベントナイトを不織布に散布等して均一に付着させる(付着工程)。このとき、不織布に振動を与えると、ベントナイトが不織布内に入り込んで、よりいっそう配合量を大きくできる。その後、先の工程と同様に、化粧水にベントナイト以外の粘土粉体を混合して分散溶液を形成し(混合工程)、攪拌しながらその分散溶液にベントナイトを付着させた不織布を浸漬する(浸漬工程)。なお、混合工程は、必ずしも付着工程の後に行う必要はなく、付着工程に先立って、あるいは同時並行的に行ってもよい。浸漬工程での加水によってベントナイトが膨潤しても、ベントナイトはすでに不織布の内外に付着しているため、膨潤変化や粘性の発生による影響を受けることがなく、従来の限界量を超えて必要なだけベントナイトを配合することができる。とくに乾燥した粉末状のベントナイトは、不織布の内部に入り込み易いうえ、不織布の内部に入り込んで膨潤するベントナイトは繊維間に確りと挟まれて抜け落ちる心配がないため、多量に含ませた場合でも、使用感における顔面への泥残り感は良好な状態に保ったままで、増えた分だけ泥の量感や皮脂吸着性を向上させることができる。膨潤に伴う水分の保持量の向上によってしっとり感も向上する。
そのほかにも、先に不織布に化粧水だけを所定量含浸させてから、調整した粘土粉体を不織布に散布等して付着させるようにして製造することもできる。この製造方法によれば、不織布の表面に粘土粉体が局在化するため、それだけ粘土粉体が肌に接し易くなり、泥の量感や皮脂吸着によるサッパリ感を改善させることができる。
粘土粉体の総計量と各総合評価の総計値との関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 基材となる不織布に、化粧水が不織布に対して250〜800重量%含まれており、
    ベントナイトを含む粘土粉体が、前記化粧水に対して5.0〜15.0重量%含まれている泥フェイスパックの製造方法であって、
    粉末状のベントナイトを不織布に付着させる付着工程と、
    化粧水にベントナイト以外の粘土粉体を混合して分散溶液を形成する混合工程と、
    攪拌しながら前記分散溶液に前記不織布を浸漬する浸漬工程とを含むことを特徴とする泥フェイスパックの製造方法。
  2. ベントナイトを含む粘土粉体の含有量が、前記化粧水に対して8.0〜12.0重量%の範囲に設定されている、請求項1記載の泥フェイスパックの製造方法。
  3. 不織布が、メッシュタイプの不織布である、請求項1又は2記載の泥フェイスパックの製造方法。
  4. 前記分散溶液に、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、チタンブラック、カーボンブラック、酸化クロムのうち、少なくともいずれか一つの着色顔料が含まれている、請求項1乃至3のいずれかに記載の泥フェイスパックの製造方法。
  5. 前記分散溶液に、金箔、魚鱗箔、金雲母のうち、少なくともいずれか一つの光沢剤が含まれている、請求項1乃至4のいずれかに記載の泥フェイスパックの製造方法。
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