JP4660059B2 - 冷却貯蔵庫 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結露防止用の加熱手段を備えた冷却貯蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば4ドアタイプの冷蔵庫は、断熱箱製の冷蔵庫本体の前面開口に、十字形をなす断熱性の仕切枠が装着されることで4個の出入口が形成され、各出入口にそれぞれ断熱扉が開閉可能に装着された構造である。一方、各出入口の口縁は庫内冷気で冷却されやすく、特に外部に面した表面で結露が生じるおそれがあるために、裏面にヒータを配して口縁の表面側を加熱し、もって結露を防止するようにしている。
ここで結露の可能性は、外気の温度や湿度等の条件で変わるのであるが、ヒータを常に一定の発熱状態にしていたのでは、電力を無駄に消費する場合も出る。そこで従来では、外気温度や外気湿度を検知するセンサを備え、その検知温度または検知湿度に基づいてヒータへの通電率、すなわちヒータの発熱量を制御するようにし、電力の浪費を抑えた上で、確実な結露防止を図るものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−3034号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに従来のものでは、結露防止用としてわざわざ外気温度や外気湿度を検知するセンサを設ける必要があり、コスト低減を期する上からは、必ずしも好適とは言えなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、結露防止用の加熱手段の加熱量制御をより安価に対応できるようにするところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、断熱箱製の貯蔵庫本体には扉により開閉される開口部が形成され、この開口部の口縁の内部に結露防止用の加熱手段が配設された冷却貯蔵庫において、当該冷却貯蔵庫に装備された冷凍装置における凝縮器の温度を検知するべく同凝縮器の出口付近の冷媒配管上に取り付けられた温度センサと、冷凍装置を停止して行われる除霜運転が終了したのちの水切り時間における前記温度センサの検知温度を外気温度として出力する外気温度検知手段と、庫内温度を検知する庫内温度センサと、前記外気温度検知手段から取り込まれた外気温度と、前記庫内温度センサで検知された庫内温度との差に基づいて前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、が設けられている構成としたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記制御手段は、前記冷凍装置の駆動時における前記温度センサの検知温度から前記冷凍装置の異常を認めた場合に、前記加熱手段の加熱量を減少させる機能を有しているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用および効果】
<請求項1の発明>
温度センサは、凝縮器の出口付近の冷媒配管上に設けられ、この温度センサは、元々は凝縮器に装備されたフィルタが目詰まりしたり、凝縮器ファンが故障したりしたときに、凝縮器が温度上昇したことを検知し、もって異常の発生を認めることに使用される。一方、冷凍装置を停止して行われる除霜運転が終了したのちの水切り時間すなわち冷凍装置が再駆動するまでの間では、冷媒の流動がほとんどないために、凝縮器の温度は外気温度に匹敵するものになる。
そのため、冷凍装置の停止時における温度センサの検知温度を、外気温度として制御手段に取り込み、この外気温度と庫内温度センサで検知された庫内温度との差に基づいて加熱手段の加熱量を制御して、開口部の口縁の表面温度を結露しない温度に維持する。
以上により、電力の浪費を抑えた上で結露防止を図ることができ、しかも外気温度を検知する温度センサを、凝縮器の温度を検知する既存の温度センサで兼用したから、新たな部品を設ける必要が無くて安価に対応することができる。
【0007】
<請求項の発明>
冷凍装置の駆動中には、温度センサは本来の冷凍装置の異常を検知することに用いられる。冷凍装置の異常が認められると、加熱手段の加熱量が減少制御される(加熱量無しも含む)。冷凍装置の異常時には正規の冷却機能が発揮されず、従って庫内の冷却も不足勝ちとなるが、加熱手段の加熱量が減少されることで、開口部の表面温度が過剰に上昇することが防止され、また庫内への熱負荷も抑制されて、庫内温度の上昇を小さく抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を4ドアタイプの冷蔵庫に適用した一実施形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
図1及び図2において、符号10は、前面を開口した断熱箱体からなる冷蔵庫本体であって、断熱箱体は、間隔を開けて組み付けた外箱と内箱との間に発泡ウレタン樹脂からなる断熱材を充填して形成されている。この冷蔵庫本体10の開口11には、横枠12Aと縦枠12Bとを十字に組んだ仕切枠12が嵌められて4個の出入口13が形成され、各出入口13にはそれぞれ断熱扉14が揺動開閉可能に装着されている。
【0009】
仕切枠12は、例えば横枠12Aを例に取ると、図3に示すように、チャンネル形をなすステンレス鋼板等の磁性金属板製の外装板20の庫内側に、一回り大きいチャンネル形をなす合成樹脂製の内装板21が嵌められて角筒状に形成され、内部に同様に、発泡ウレタン樹脂からなる断熱材22を充填して形成されている。
上記した各出入口13は、その4辺の口縁のうちの2辺が仕切枠12により、残りの2辺が冷蔵庫本体10の開口11により形成されており、断熱扉14が閉じられた場合には、断熱扉14の裏側の周縁に装着されたマグネットパッキン15が、対応する出入口13の口縁の全周にわたって密着されるようになっている。
【0010】
一方、本実施形態の冷蔵庫には冷凍装置40が装備されている。この冷凍装置40は、図4に模式的に示すように、圧縮機41、凝縮器42、ドライヤ43、膨張弁44及び冷却器45(蒸発器)を冷媒配管46によって循環接続した構造となっている。そして、図7に参照して示すように、凝縮器ファンともども圧縮機41が駆動されると、冷却器45付近で冷気が生成され、この冷気が庫内ファンで庫内に吹き出されることにより、庫内が所定温度に冷却されるようになっている。
また、適宜に除霜運転が行われるようになっており、そのために冷却器45には除霜ヒータが装備され、冷凍装置40等を停止する一方で除霜ヒータを発熱させることで除霜が行われるようになっている。
【0011】
さて、上記した仕切枠12における外装板20の前面部24の裏面には、この前面部24の表面に結露することを防止するための結露防止ヒータ25が配設されている。
なお、冷蔵庫本体10の開口11の裏側にも、同様に結露防止用のヒータが配設されていてもよいが、以下には、仕切枠12側に配された結露防止ヒータ25について説明する。
結露防止ヒータ25は基本的には、電力の浪費を抑えた上で有効に結露防止を図るべく、発熱量が制御されるようになっている。
【0012】
そのため、図5に示すように、マイクロコンピュータ、タイマ51等を搭載した制御手段50を備えている。この制御手段50の入力側には、外気温度を検知する外気温度センサ52、庫内温度を検知する庫内温度センサ53、並びに当冷蔵庫の運転制御部54が接続されている。
特に外気温度センサ52は、図4に示すように、凝縮器42の出口付近の冷媒配管46上に取り付けられ、元々は冷凍装置40の故障等を検知すべく設けられたものを兼用している。したがって冷凍装置40の駆動中には、外気温度センサ52は故障検知用として使用され、例えば一定温度以上の状態が一定時間以上継続したことが検知されると、凝縮器42に装備されたフィルタが目詰まりしたか、あるいは凝縮器ファンが故障した等で、凝縮能力が低下する異常があったと見なされ、これがエラー表示部55で表示される。また、一定温度以下の状態が一定時間以上継続したことが検知されると、圧縮機41の故障等の異常があったと見なされ、同じくエラー表示部55で表示されるようになっている。
【0013】
一方制御手段50には、上記のように当冷蔵庫の運転制御部54からの信号が取り込めるようになっており、詳しくは後記するように、電源の投入後で通常運転が開始されるまでの間の所定のタイミングと、除霜運転が終了したのちの水切り時間の間(例えば、除霜ヒータがオフとなったのち2分後(図7のタイミングA))においては、外気温度センサ52からの検知温度が外気温度として取り込まれるようになっている。
すなわち、上記の両タイミングでは、冷媒配管46内における冷媒の流動がほとんどないために、凝縮器42の出口付近の冷媒配管46の温度は、外気温度に匹敵したものになる。よって、検知温度が外気温度として取り込まれる。
【0014】
そして制御手段50は、この取り込まれた外気温度と、庫内温度センサ53で検知された庫内温度との差を演算して、この温度差に応じて通電率を設定し、通電率調整部56を介して結露防止ヒータ25に対して設定された通電率を適用する機能を有している。この通電率は、例えば100%、80%……20%といった、複数段階のパターンを有しており、外気温度と庫内温度との差が大きい程、通電率が大きいパターンが設定されるようになっている。
また制御手段50は、上記のように冷凍装置40の駆動中において異常が認められた場合、結露防止ヒータ25への通電率を強制的に減少させる機能を有しており、例えば、凝縮能力低下の異常が認められた場合には通電率を半減し、また圧縮機41の故障等の異常が認められた場合には、通電を停止するようになっている。
【0015】
続いて、本実施形態の作用を図6及び図7を参照して説明する。
電源がオンされると、まず外気温度センサ52により外気温度が検知されるとともに、庫内温度センサ53により庫内温度が検知され、その温度差が演算されたのち演算値に応じて通電率が設定され、結露防止ヒータ25に対して設定された通電率により通電され、出入口13の口縁が相応した発熱量で加熱される。引き続き、冷凍装置40(圧縮機41、凝縮器ファン)と庫内ファンが駆動されることで通常運転に入る。
【0016】
通常運転が継続されると、庫内が次第に冷却されて外気温度との差も大きくなるため、通常運転が開始された後の適宜のタイミングにおいて、通電率の変更がなされる。そのためには、庫内温度が改めて検知され、先に取り込まれた外気温度との間でその差が再演算され、その演算値に応じて通電率が変更されて、結露防止ヒータ25に対して新たな通電率により通電される。同様に出入口13の口縁が相応した発熱量で加熱される。
【0017】
一方、適宜に除霜運転が行われる。この除霜運転は、図7に示すように、冷凍装置40(圧縮機41、凝縮器ファン)と庫内ファンの駆動が停止されるとともに、除霜ヒータに通電されることで行われる。所定の除霜運転が終了すると、除霜ヒータが切られて5.5分程度の水切り時間が設けられ、続いて冷凍装置40(圧縮機41、凝縮器ファン)のみが駆動される強制連続運転が5分程度行われ、そののち通常運転が再開される。
この間、除霜運転が終了したのち、水切り時間に入って2分が経過したタイミングAになると、外気温度と庫内温度とが改めて検知され、その温度差が再度演算されて、その演算値に応じて通電率が変更され、結露防止ヒータ25に対して新たな通電率により通電される。出入口13の口縁が相応した発熱量で加熱された状態で、次の通常運転を迎えることになる。
【0018】
なお通常運転中には、外気温度センサ52は冷凍装置40の異常検知用として使用されており、例えば凝縮能力低下の異常が認められた場合には、これがエラー表示部55で表示されるとともに、結露防止ヒータ25への通電率が半減される。また圧縮機41の故障等の異常が認められた場合には、同じくエラー表示部55で表示されるとともに、結露防止ヒータ25への通電が停止される。
冷凍装置40の異常時には正規の冷却機能が発揮されず、従って庫内の冷却も不足勝ちとなるが、結露防止ヒータ25の発熱量が減少されまたは無くなることで、出入口13の表面温度が過剰に上昇することが防止され、また庫内への熱負荷も抑制されて、庫内温度の上昇を小さく抑えることができる。
【0019】
以上説明したように本実施形態によれば、外気温度と庫内温度との差に基づいて結露防止ヒータ25への通電率を変えつつ、出入口13の口縁を必要な温度に加熱するようにしたから、電力の無駄な消費を抑えた上で確実な結露防止を図ることができる。しかも外気温度センサ52を、冷凍装置40の異常等を判別すべく凝縮器42の出口付近の温度を検知する既存の温度センサで兼用したから、新たな部品を設ける必要が無くて安価に対応することが可能となる。
【0020】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)ヒータの発熱量を制御する手段としては、上記実施形態に例示したヒータへの通電率を変えること以外に、ヒータへの供給電力を変える等の他の手段を用いてもよい。
(2)本発明は、出入口等の開口部に結露防止用の加熱手段を配してなる冷却貯蔵庫全般に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る冷蔵庫の外観斜視図
【図2】 断熱箱体の斜視図
【図3】 図2のX−X線拡大断面図
【図4】 冷凍装置の模式図
【図5】 結露防止ヒータの制御系統を示すブロック図
【図6】 結露防止ヒータの制御動作を説明するフローチャート
【図7】 そのタイミングチャート
【符号の説明】
10…冷蔵庫本体 11…開口 12…仕切枠 13…出入口 14…断熱扉25…結露防止ヒータ 40…冷凍装置 41…圧縮機 42…凝縮器 46…冷媒配管 50…制御手段 51…タイマ 52…外気温度センサ 53…庫内温度センサ 54…運転制御部 55…エラー表示部 56…通電率調整部

Claims (2)

  1. 断熱箱製の貯蔵庫本体には扉により開閉される開口部が形成され、この開口部の口縁の内部に結露防止用の加熱手段が配設された冷却貯蔵庫において、
    当該冷却貯蔵庫に装備された冷凍装置における凝縮器の温度を検知するべく同凝縮器の出口付近の冷媒配管上に取り付けられた温度センサと
    凍装置を停止して行われる除霜運転が終了したのちの水切り時間における前記温度センサの検知温度を外気温度として出力する外気温度検知手段と、
    庫内温度を検知する庫内温度センサと、
    前記外気温度検知手段から取り込まれた外気温度と、前記庫内温度センサで検知された庫内温度との差に基づいて前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、
    が設けられていることを特徴とする冷却貯蔵庫。
  2. 前記制御手段は、前記冷凍装置の駆動時における前記温度センサの検知温度から前記冷凍装置の異常を認めた場合に、前記加熱手段の加熱量を減少させる機能を有していることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫。
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