JP4659122B2 - 血小板測定用試薬、血小板測定用試薬キット及び血小板測定方法 - Google Patents
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Description
このような測定方法として、例えば、米国特許第6114173号公報(特許文献1)には、全血試料中の網状赤血球、赤血球及び血小板の計数及び同定の方法、並びにその方法に用いる試薬組成物が開示されている。具体的には、カチオン性色素、特にオキサジン750を含む試薬混合物で網状赤血球を染色し、フローサイトメトリを用いて散乱光信号及び光吸収信号を測定する。そして、血液試料中の赤血球と網状赤血球とを吸収信号の違いによって、赤血球及び網状赤血球からなる群と血小板とを散乱光信号の違いによって分類し、それぞれの総数を決定するというものである。
また、本発明は、血小板を染色するための色素としてカウンターイオンが硫酸水素イオンであるナイルブルーを含む第1の試薬と、緩衝剤を含有する第2の試薬と、を含む血小板測定用試薬キットを提供する。
さらに、本発明は、血小板を染色するための色素としてカウンターイオンが硫酸水素イオンであるナイルブルーを含む第1の試薬と、検体とを、緩衝剤を含有する第2の試薬を加えるか又は加えずに混合して測定用試料を調製するステップと、
得られた測定用試料中の細胞に光を照射して、該細胞から発せられる散乱光及び蛍光を検出するステップと、
検出された散乱光及び蛍光に基づいて測定用試料に含まれる血小板を検出するステップと、
を含む血小板測定方法を提供する。
本発明は、さらに、血小板を染色するための色素としてのナイルブルーと、酸とを含有する第1の試薬と、緩衝剤を含有する第2の試薬とを含む血小板測定用試薬キットを提供する。
さらに、本発明は、ナイルブルーと、酸とを含有する血小板測定用試薬と、検体とを、緩衝剤を含有する第2の試薬を加えるか又は加えずに混合して測定用試料を調製するステップと、
得られた測定用試料中の細胞に光を照射して、該細胞から発せられる散乱光及び蛍光を検出するステップと、
検出された散乱光及び蛍光に基づいて測定用試料に含まれる血小板を検出するステップと、
を含む血小板測定方法も提供する。
で表され、X-で表されるカウンターイオンとの塩を形成した状態の化合物からなる色素のことをいう。本明細書では、X-で表されるカウンターイオンを特に限定しない場合には、式(II)で示される色素を単に「ナイルブルー」と呼称し、カウンターイオンが特定のイオンを示す場合には、式(II)で示される色素を「ナイルブルー(特定のイオン名)塩」と呼称する。例えば、カウンターイオンが硫酸イオン(1/2SO4 2-)であるナイルブルーを「ナイルブルー硫酸塩」と呼称し、カウンターイオンが硫酸水素イオン(HSO4 2-)であるナイルブルーを「ナイルブルー硫酸水素塩」と呼称する。
B 第2の容器
1 試料分析装置
2 測定ユニット
3 データ処理ユニット
4 制御部
5 検出部
6 試料調製部
7 インターフェース
8 制御部
9 データ分析部
10 表示部
11 操作部
12 インターフェース
51 フローセル
52 レーザ光源
53 照射レンズ系
54、57 フォトダイオード
54a ビームストッパ
54b アンプ
55 側方集光レンズ
56 ダイクロイックミラー
57 フォトダイオード
57a、58b アンプ
58 フォトマルチプライヤ
58a 光学フィルタ
本発明者らは、フローサイトメトリを用いる血小板測定方法において、ナイルブルーを血小板染色用色素として用いることにより、血小板を他の血球成分や脂質粒子などの血液中の夾雑物から明確に区別できることを見出した。
さらに、本発明者らは、ナイルブルーを用いる血小板の測定条件について鋭意研究を重ねた結果、血小板測定用試薬が、(1)ナイルブルー硫酸水素塩を含有するか、又は(2)ナイルブルーと酸とを含有する場合に、保存安定性に優れることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
このようなナイルブルーは、市場で入手可能であり、例えば、シグマアルドリッチ社、東京化成、ナカライテスク社、和光純薬工業、キシダ化学社などから入手できる。
特に、ナイルブルー硫酸水素塩は、和光純薬工業、キシダ化学社などから入手できる。
このような濃度範囲であれば、血小板と、他の血球成分及び夾雑物との区別がより良好になる。
(A)ナイルブルー硫酸塩とオキソ酸又は水素酸;
(B)ナイルブルークロリドと硫酸;及び
(C)ナイルブルー硫酸水素塩とオキソ酸又は水素酸
の組み合わせがより好ましい。
(1)ナイルブルーは、硫酸水素塩の形の場合に安定性が高いと考えられる。
ナイルブルー硫酸塩の場合は、酸を添加することにより、酸が解離して生じるプロトン(H+)がナイルブルー硫酸塩のSO4 2-とHSO4 -を形成し、HSO4 -とナイルブルーとのバランスが1:1になって安定化できる。
ナイルブルーが上記以外の塩である場合は、硫酸を添加することにより、硫酸から生じるHSO4 -がナイルブルーを安定化できると考えられる。
よって、本発明の血小板測定用試薬は、硫酸水素イオンが存在することとなるように、ナイルブルーと必要に応じて酸とを含む血小板測定用試薬でもあり得る。
すなわち、ナイルブルー硫酸水素塩の場合は、カウンターアニオンである硫酸水素イオン(HSO4 -)が解離してプロトン(H+)と硫酸イオン(SO4 2-)を生じ得る。このプロトンが、ナイルブルーのいずれかの窒素原子と結合してプロトン性窒素原子を生じ得る。このプロトン性窒素原子が、硫酸イオンを介して分子間塩を形成することにより、色素の溶解性が向上して、安定性が向上し得ると考えられる。
また、硫酸水素塩以外のナイルブルーに酸を添加すると、酸が解離して生じるプロトン及びアニオンが、ナイルブルーの分子間塩の形成に寄与でき、色素の溶解性及び安定性を向上できると考えられる。
よって、本発明の血小板測定用試薬は、ナイルブルーが分子間塩を形成できるようにナイルブルーと必要に応じて酸とを含む血小板測定用試薬でもあり得る。
上記の血小板測定用試薬は、色素を含む血小板測定用試薬を希釈するための緩衝剤を含有する試薬と組み合わせて、試薬キットとすることができる。
すなわち、ナイルブルー硫酸水素塩、又はナイルブルー及び酸を含む第1の試薬(以下、「色素試薬」ということがある)と、緩衝剤を含む第2の試薬(以下、「希釈試薬」ということがある)とを含む血小板測定用試薬キットも、本発明の一つである。
上記の第2の試薬は、よって、pH6.0〜11.0の緩衝液であることが好ましい。
浸透圧補償剤は、希釈試薬の浸透圧を150〜600mOsm/kgに調整するように希釈試薬に含まれていることが好ましく、より好ましくは200〜300mOsm/kgである。このような範囲の浸透圧とすることにより、試薬キットの各試薬と検体とが混合されたときの浸透圧を生理的浸透圧に近づけることができ、赤血球の低張溶血などを防ぐことができるため、破砕赤血球の増加が抑制され、より精度よく血小板を測定することができる。なお、上記の緩衝剤を用いて希釈試薬の浸透圧を上記の範囲に調整できる場合には、浸透圧補償剤は用いなくてもよい。
好ましいカチオン界面活性剤は、以下の式(I):
で表されるものである。
R12、R13又はR14としての炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシル基が挙げられる。なかでも、メチル又はエチル基が好ましい。
Y-のアニオンとしては、臭素イオン又は塩素イオンが好ましい。
上記の血小板測定用試薬又は血小板測定用試薬キットは、血小板を含み得る検体と混合することにより、該血小板を染色できる。
よって、本発明は、上記の血小板測定用試薬又は血小板測定用試薬キットを用いる血小板測定方法をさらに提供する。
ナイルブルー硫酸水素塩、又はナイルブルー及び酸を含有する第1の試薬と、検体とを混合して測定用試料を調製するステップと、
得られた測定用試料中の細胞に光を照射して、該細胞から発せられる散乱光及び蛍光を検出するステップと、
検出された散乱光及び蛍光に基づいて測定用試料に含まれる血小板を検出するステップと、
を含む。
上記の第1の試薬及び第2の試薬については、上記の血小板測定用試薬キットについて述べたことと同じである。
よって、第2の試薬を用いる場合、上記の第1の試薬及び第2の試薬と、検体とは、第1の試薬+第2の試薬:検体=100:1〜1000:1の容量比で混合することが好ましい。
また、第2の試薬を用いる場合、第1の試薬と第2の試薬との容量比は、1:10〜1:100が好ましく、より好ましくは1:20〜1:75である。
上記の混合するステップにおいて、第2の試薬を加える場合、第1の試薬、第2の試薬及び検体の混合順序は、特に限定されない。
光を照射するための装置としては、フローサイトメータが好ましい。フローサイトメータを用いる場合、該測定用試料は、フローサイトメータのフローセルに導入され、フローセル内を流れる測定用試料中の細胞に光が照射されることとなる。
用いるフローサイトメータの光源は特に限定されず、ナイルブルーの励起に好適な波長(例えば600〜680nm付近)の光源を用いることができる。光源としては、例えば、赤半導体レーザ、He−Neレーザなどが挙げられる。特に半導体レーザは気体レーザに比べて非常に安価であり、好適である。
図2は、試料分析装置の概略構成を示す正面図である。この試料分析装置1は、例えば血液検査に使用される装置であり、図2に示すように、測定ユニット2と、データ処理ユニット3とによって主として構成されていて、測定ユニット2によって血液検体中に含まれる成分について所定の測定を行い、この測定データをデータ処理ユニット3で受信して分析処理を行うようになっている。
かかる前方散乱光信号は、被検粒子の大きさを反映しており、データ分析部9がこの前方散乱光信号を信号処理することによって、被検粒子の大きさ等を得るようになっている。
この側方散乱光信号は、被検粒子の内部情報(例えば白血球の核の大きさ等)を反映しており、データ分析部9がこの側方散乱光信号を信号処理することによって、白血球の核の大きさ等を得るようになっている。
この側方蛍光信号は、被検粒子の染色度合いに関する情報を反映しており、データ分析部9がこの側方蛍光信号を信号処理することによって、被検粒子の染色性等を得るようになっている。
まず、試料調製部6において、検体と血小板測定用試薬、あるいは検体と血小板測定用試薬キットに含まれる各試薬とが混合されて、測定用試料が調製される。ここで使用される血小板測定用試薬又は血小板測定用試薬キットとして上記の血小板測定用試薬、又は血小板測定用試薬キットを使用することができる。上記の血小板測定用試薬又は血小板測定用試薬キットの色素試薬には、ナイルブルーが含まれており、このナイルブルーが、検体に含まれる血小板を染色する。
試料調製部6は、測定用試料中のナイルブルーの濃度が0.05〜5.0ppm(0.00014〜0.014mmol/L)、好ましくは0.1〜0.6ppm、さらに好ましくは0.2〜0.5ppmとなるように、検体と上記血小板測定用試薬又は上記血小板測定用試薬キットに含まれる各試薬とを混合して、測定用試料を調製することが好ましい。測定用試料を調製する際の反応温度及び反応時間は、血小板測定用試薬の説明において記載した反応温度及び反応時間が好ましい。
なお、ここでは前方散乱光信号と蛍光信号とに基づいて血小板を検出する構成を示したが、このような構成に限らず、例えば側方散乱光信号と蛍光信号とに基づいて血小板を検出する構成であってもよい。
実験例1〜8 ナイルブルー硫酸水素塩を含む血小板測定用試薬の保存安定性
ここでは、色素試薬の保存安定性を検証するため、表1に記載のナイルブルーを、表1に記載の濃度になるよう含有させた血小板測定用試薬(色素試薬)を調製し、色素試薬中のナイルブルーの有効色素成分濃度を反映するパラメータである吸光度を測定して、色素試薬中のナイルブルーの保存安定性を評価した。
血小板測定用試薬
色素 以下に記載の濃度
エチレングリコール 5mL
なお、「吸光度変化率」とは、当該実験例から得られた複数の吸光度の測定値のうち、最も測定値の高いものを基準値として、吸光度の変化の割合をパーセンテージで表したものである。
一方、カウンターイオンが硫酸水素イオンでないナイルブルーを用いた実験例3〜8の色素試薬は、2ヶ月目において10%以上、4ヶ月目において20%以上、7ヶ月目において30%以上も吸光度が低下していた。
これら実験例3〜8との対比によっても明らかなように、カウンターイオンが硫酸水素イオンであるナイルブルーを用いた実験例1及び2の色素試薬は、カウンターイオンが硫酸水素イオンでないナイルブルーを用いた色素試薬に比べ、時間経過に伴う吸光度の低下が小さく、保存安定性に優れていることがわかる。
ここでは、ナイルブルー硫酸水素塩を含有する血小板測定用試薬による血小板の染色性を検証するために、以下の実験を行った。
まず、次の組成からなる色素試薬と、希釈試薬とからなる試薬キットを製造した。
(1)色素試薬
血小板を染色するための色素 以下に記載の濃度
エチレングリコール 1L
(2)希釈試薬
トリシン(緩衝剤) 1.8g
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(LTAC) 0.15g
精製水 1L
(pH9.0、浸透圧200mOsm/kg・H2Oに調整)
これらの色素の化学式は、表3に示すとおりである。
上記の希釈試薬1mLをチューブに分注して40℃の水槽で加温し、さらにこの希釈試薬に、得られた色素試薬20μL及び検体として健康なヒトの全血5μLを添加し、40℃で25秒間反応させて測定用試料を調製した。この測定用試料を、633nm波長の光を発する光源を有するフローサイトメータの検出部に導入し、測定用試料中の細胞に励起光を照射し、該細胞から発せられる散乱光信号及び蛍光信号を検出して、得られた信号を解析して測定用試料中の血小板を測定した。これら測定用試料の調製、並びにフローサイトメータによる血小板測定には、血液分析装置XE−2100(シスメックス社製)を用いた。なお、上記血液分析装置は、光源の出力を通常の3Wから9Wに変更した改造機を用いた。
よって、血小板を染色するための色素としてナイルブルー硫酸水素塩を用いることにより、他の血球成分とより良好に区別して血小板を測定できる。
実験例9及び10の色素試薬を使用して、破砕赤血球含有血液及び脂質粒子含有血液の血小板測定を行った。なお、実験方法は、健康なヒトの全血に代えて、破砕赤血球含有血液及び脂質粒子含有血液を使用した点を除いては上記と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ナイルブルー硫酸水素塩(メルク社製)の色素試薬を、以下の表4に記載する濃度でエチレングリコール中に調製した。
得られた色素試薬を、実験例9〜13に記載したような希釈試薬と組み合わせて用いて、健常なヒトの全血、破砕赤血球含有血液及び脂質粒子含有血液を検体として用いて、実験例9〜13と同様にして血小板を測定した。
図14の結果から、試験した全ての濃度範囲において、ナイルブルー硫酸水素塩を用いて良好に血小板の測定を行うことができたことがわかる。
なかでも、破砕赤血球含有血液を検体として用いた場合に、実験例17〜22の血小板測定用試薬(ナイルブルー硫酸水素塩の最終濃度:0.24〜0.44mg/L)を用いて測定すると、血小板と他の血球成分及び夾雑物との分離がより明確であることがわかる。
ナイルブルー硫酸水素塩(メルク社製)の色素試薬を、14.4ppm濃度となるようにエチレングリコール中に調製した。この色素試薬を45℃の温度条件下で16週間保存し、保存後の色素試薬を使用して検体を測定した。
図15のスキャッタグラムから明らかなように、いずれの検体においても、夾雑物と明確に区別して血小板を染色できていることがわかる。
この結果から、血小板を染色するための色素としてナイルブルー硫酸水素塩を用いることにより、色素にとって不利な条件下で長期間保存した場合であっても、夾雑物の影響を抑えて血小板を精度よく測定できることが示された。
色素試薬の調製直後、及び保存後16週目における色素試薬をエタノールで10倍に希釈し、628nmにおける吸光度を測定した以外は、実験例1〜8と同様にして吸光度を測定した。さらに、測定された吸光度の低下率に基づいて、保存後16週目における色素試薬中の色素の濃度を求めた。これらの結果を以下の表5に示す。
ここでは、ナイルブルーを溶解した溶液(ナイルブルー溶液)に塩酸、又は水酸化ナトリウムを含有させた場合のナイルブルー溶液の保存安定性を調べる実験を行った。ナイルブルー溶液の保存安定性は、溶液中のナイルブルーの有効色素成分濃度を反映するパラメータである吸光度を測定することによって評価した。
なお、以下の説明において「吸光度変化率」とは、当該実験例から得られた複数の吸光度の測定値のうち、最も測定値の高いものを基準値として、吸光度の変化の割合をパーセンテージで示したものである。「初期吸光度」とは、当該実験例に係る色素試薬の調製直後の吸光度の測定値である。
さらに、このナイルブルー溶液5mLに、以下に記載の物質を、以下に記載の濃度となるよう含有させ、実験例26〜29とした。
実験例
26 塩酸 2mmol/L
27 塩酸 0.02mmol/L
28 水酸化ナトリウム 2mmol/L
29 水酸化ナトリウム 0.02mmol/L
吸光度変化率についてみると、表6−2に示されるとおり、2mmol/L濃度の塩酸を含有している実験例26の吸光度変化率は、2週目において−85.2%、4週目において−99.0%であり、比較例1に比べて、時間の経過に伴う吸光度の低下が顕著になっている。つまり、ナイルブルー溶液の保存安定性が低下していることがわかる。
一方、0.02mmol/L濃度の塩酸を含有している実験例27の吸光度変化率は、2週目において−0.6%、4週目において−10.9%であり、比較例1に比べて、時間の経過に伴う吸光度の低下が緩やかになっていることがわかる。つまり、ナイルブルー溶液の保存安定性が向上していることがわかる。
さらに吸光度変化率についてみると、表6−2に示されるように、実験例28及び29の吸光度変化率は、いずれも調製後4週目において−20%以下であり、比較例1に比べて、時間の経過に伴う吸光度の低下が顕著になっていることがわかる。つまりナイルブルー溶液の保存安定性が低下していることがわかる。
上記実験例26〜29から、塩酸を所定の濃度で添加することにより、ナイルブルー溶液の保存安定性が向上することがわかった。
ここで、ナイルブルー溶液の保存安定性、すなわちナイルブルーの有効色素成分濃度の低下は、溶液中のナイルブルーの有効色素成分の分解によるものと考えられるため、溶液に添加される塩酸の濃度は、ナイルブルーの分子数との関係で検討されるべきである。
そこで、本実験例においては、ナイルブルー溶液中の塩酸とナイルブルーとの比(モル濃度比)を種々変更し、ナイルブルーと塩酸との比(モル濃度比)とナイルブルー溶液の保存安定性との関係を調べた。
なお、ナイルブルー溶液の保存安定性は、実験例26〜29と同様に、ナイルブルー溶液の吸光度を評価することにより行った。
さらに、このナイルブルー溶液5mLに、塩酸を以下に記載の濃度となるよう含有させ、実験例30〜36とした。なお、カッコ内は溶液中のナイルブルーと塩酸のモル濃度比を示している。
実験例
30 塩酸 0.002mmol/L (10:1)
31 塩酸 0.006mmol/L (3:1)
32 塩酸 0.02mmol/L (1:1)
33 塩酸 0.06mmol/L (1:3)
34 塩酸 0.2mmol/L (1:10)
35 塩酸 0.6mmol/L (1:30)
36 塩酸 2mmol/L (1:100)
得られた色素溶液をエタノールで20倍に希釈し、分光光度計を用いて色素の吸光スペクトルが最大となる630nmにおける各色素溶液の吸光度を測定した。さらに、この色素溶液を45℃の温度負荷の条件下で保存し、調製後4週目、9週目及び18週目における吸光度を測定し、その吸光度変化率を求めた。なお、吸光度の測定はエタノールを対照とした。
吸光度測定の結果を表7−1に、吸光度変化率を表7−2に示す。
次に、吸光度変化率についてみると、ナイルブルーと塩酸とのモル濃度比が10:1である実験例30の吸光度変化率は、調製後4週目において−9.0%、調製後9週目において−10.5%、調製後18週目において−23.2%であった。
ナイルブルーと塩酸とのモル濃度比が3:1である実験例31の吸光度変化率は、調製後4週目において−6.9%、調製後9週目において−9.3%、調製後18週目において−20.9%であった。
ナイルブルーと塩酸とのモル濃度比が1:1である実験例32の吸光度変化率は、調製後4週目において−5.6%、調製後9週目において−5.2%、調製後18週目において−16.8%であった。
特に、ナイルブルーと塩酸とのモル濃度比が1:1である実験例32は、他の実験例に比べて、良好な保存安定性が得られた。
次に、塩酸に代えてナイルブルー溶液に硫酸を含有させ、ナイルブルー溶液の保存安定性を検討した。
このナイルブルー溶液5mLに、硫酸を以下に記載の濃度で含有させ、実験例37〜40とした。なお、カッコ内は溶液中のナイルブルーと硫酸のモル濃度比を示している。
実験例
37 硫酸 0.005mmol/L (4:1)
38 硫酸 0.01mmol/L (2:1)
39 硫酸 0.02mmol/L (1:1)
40 硫酸 0.05mmol/L (1:2.5)
このナイルブルー溶液5mLに、硫酸を以下に記載の濃度で含有させ、実験例41〜44とした。なお、カッコ内は溶液中のナイルブルーと硫酸のモル濃度比を示している。
実験例
41 硫酸 0.005mmol/L (4:1)
42 硫酸 0.01mmol/L (2:1)
43 硫酸 0.02mmol/L (1:1)
44 硫酸 0.05mmol/L (1:2.5)
実験例37〜40によって得られた吸光度測定の結果を表8−1に、吸光度変化率を表8−2に示す。
実験例41〜44によって得られた吸光度測定の結果を表9−1に、吸光度変化率を表9−2に示す。
また、表9−2からも明らかなように、ナイルブルーのモル濃度以下の濃度で硫酸を含有する実験例41〜43は、硫酸を含有しない比較例4に比べて、いずれの時点においても吸光度の低下が緩やかになっている。すなわち、ナイルブルー溶液の保存安定性が向上している。
特に、ナイルブルーと硫酸とのモル濃度比が2:1〜1:1である実験例39及び実験例42においては、4ヶ月を経過した時点における吸光度変化率は、それぞれ0.0%と−4.2%であり、極めて良好な保存安定性が得られた。
なお、実験例37〜40と実験例41〜44とでは、ナイルブルー溶液に含まれる硫酸の至適濃度に差異が見られたが、これは市販のナイルブルー試薬に含まれるナイルブルーの純度の違いによるものと考えられ、誤差の範囲内のものと考えられる。
ここでは、ナイルブルーを含有する血小板測定用試薬による血小板の染色性を検証するために、以下の実験を行った。
まず、次の組成からなる血小板測定用試薬と、希釈溶液とを製造した。
(1)血小板測定用試薬
血小板を染色するための色素 以下に記載の濃度
エチレングリコール 1L
(2)希釈溶液
トリシン(緩衝剤) 1.8g
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(LTAC) 0.15g
精製水 1L
(pH9.0、浸透圧200mOsm/kg・H2Oに調整)
血小板の測定は、実験例9〜13について記載したようにして行った。
各実験例の測定結果は表10に示したとおりである。
このことから、血小板を測定するための色素としてナイルブルーを用いることにより、他の色素を用いた場合に比べて、血小板を良好に染色できることが示唆された。そして、ナイルブルーを用いて血小板を染色することにより、前方散乱光強度と蛍光強度とによって血小板を正確に検出できることが示唆された。
Claims (15)
- 前記第2の試薬が、pH6.0〜11.0の緩衝液である請求項2に記載の血小板測定用試薬キット。
- 前記第2の試薬が、150〜600mOsm/kgの浸透圧を有する請求項2又は3に記載の血小板測定用試薬キット。
- 前記第2の試薬が、前記色素による血小板の染色を促進するための染色促進剤をさらに含む請求項2〜4のいずれか1項に記載の血小板測定用試薬キット。
- 前記染色促進剤が、カチオン界面活性剤である請求項5に記載の血小板測定用試薬キット。
- 検出された血小板を計数するステップをさらに含む請求項7に記載の血小板測定方法。
- 前記酸が、無機酸である請求項9に記載の血小板測定用試薬。
- 前記色素と前記酸とのモル濃度比が、10:1〜1:1である請求項9又は10に記載の血小板測定用試薬。
- 前記第1の試薬における前記色素と前記酸とのモル濃度比が、10:1〜1:1である請求項12に記載の血小板測定用試薬キット。
- 検出された血小板を計数するステップをさらに含む請求項14に記載の血小板測定方法。
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