JP4657334B2 - フツリン酸ガラスおよび光学素子それぞれの製造方法、およびフツリン酸ガラスの供給方法 - Google Patents

フツリン酸ガラスおよび光学素子それぞれの製造方法、およびフツリン酸ガラスの供給方法 Download PDF

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Description

本発明はフツリン酸ガラスの製造方法と供給方法、ならびに前記ガラスからなる光学素子の製造方法に関する。
フツリン酸ガラスは低分散ガラスとして非常に有用なものであり、このようなガラスとしては特許文献1に記載されているようなガラスが知られている。
特開平10−139454号公報
ところで、所要の光学特性が得られる組成に基づきガラス原料を調合し、加熱、熔融してフツリン酸ガラスを生産する場合、フツリン酸ガラスは高温で著しい揮発性を示すため、ガラス製造時に揮発性物質が失われ、実際に得られるガラスの組成が調合時の組成から外れてしまう。その結果、所要の光学特性が得られず、高価なフッ化物原料を用いて生産したガラスが使えないという問題がおこる。
こうした問題を解決するには、予め揮発によって失われる成分を調合時に多めに加える方法がとられることがある。
しかし、光学ガラスの光学特性は極めて高精度であることが求められるため、この方法ではガラスの生産条件が少しでも変わると所望の光学特性を実現できなくなってしまう。
また、熔融状態のガラスを成形する場合、著しい揮発によりガラス表面が変質して表面脈理が生じたり、変質した部分がガラスの流動によって巻き込まれガラスの内部にも脈理ができてしまう。こうした脈理は極めて高い均質性が要求される光学ガラスでは許容されず、成形したガラスの表面を深く削り取るなど脈理部分を除去する加工が必要になる。
こうした問題を解消するには、ガラスの組成を工夫して揮発性を抑えることができればよいが、そのような方法は見つかっていない。また、このような方法が見つかったとしても、汎用ガラスと光学特性が大きく異なるガラスだと光学設計の大幅な見直しを迫られることになる。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、光学設計の変更という負担を軽減しつつ、高温における揮発性を低減して生産性を向上することができるフツリン酸ガラスの製造方法および前記ガラスの出荷方法、前記ガラスを使用する光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明は、
(1) ガラス原料を調合し、前記原料を熔融してフツリン酸ガラスを作製するフツリン酸ガラスの製造方法において、
第1のフツリン酸ガラスの組成を、第1のフツリン酸ガラスの屈折率ndをnd (a) 、アッベ数νdをνd (a) 、第2のフツリン酸ガラスの屈折率ndをnd (b) 、アッベ数νdをνd (b) としたとき、|nd (b) −nd (a) |が0.00700以下、|νd (b) −νd (a) |が1.0以下になるように、B3+を含まず、P5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+を増加して3.5以上にした第2のフツリン酸ガラスの組成を定め、第2のフツリン酸ガラスの組成に基づきガラス原料を調合し、ガラスを生産することを特徴とするフツリン酸ガラスの製造方法、
(2) 前記ガラス原料が少なくともフッ素、酸素、リンを含み、前記原料中に含まれるリンの含有量Pに対する酸素の含有量Oのモル比O/Pが3.5以上になるように前記ガラス原料を調合して第2のフツリン酸ガラスを生産する上記(1)項に記載のフツリン酸ガラスの製造方法、
(3) ガラスの屈折率ndの値をnd(1)、該ガラスを窒素雰囲気中において900℃、1時間再熔融し、ガラス転移温度まで冷却し、その後、毎時30℃の降温速度で25℃まで冷却した後の屈折率ndの値をnd(2)としたときに、nd(1)とnd(2)との差nd(2)−nd(1)の絶対値が0.00300以内であるガラスを生産する上記(1)項または(2)項に記載のフツリン酸ガラスの製造方法、
) Li成分を導入または増量して第1のガラスよりもガラス転移温度の低い第2のガラスを作製することを特徴とする上記(1)項〜()項のいずれか1項に記載のフツリン酸ガラスの製造方法、
) 上記(1)項〜()項のいずれか1項に記載の方法により第2のフツリン酸ガラスを作製し、第2のフツリン酸ガラスに第1のフツリン酸ガラスと同一または共通する名称を付けて供給することを特徴とするフツリン酸ガラスの供給方法、
) 上記(1)項〜()項のいずれか1項に記載の方法によりフツリン酸ガラスを作製し、前記ガラスを成形および/または加工する光学素子の製造方法、
) 上記()項に記載の方法により供給されたフツリン酸ガラスを受け取り、前記ガラスを成形および/または加工する光学素子の製造方法、
) 第1のフツリン酸ガラスを用いて作製した光学素子の形状データに基づき、第2のフツリン酸ガラスからなる光学素子の成形および/または加工を行うことを特徴とする上記()項または()項に記載の光学素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、光学設計の変更という負担を軽減しつつ、高温における揮発性を低減して生産性を向上することができるフツリン酸ガラスの製造方法および前記ガラスの出荷方法、前記ガラスを使用する光学素子の製造方法を提供することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
これまで光学素子の設計者は、レンズ、プリズムなどの各種光学素子に使用されてきた汎用ガラスの光学特性に基づき、所要の目的に合うように光学設計を行い、光学素子の形状、各部の寸法、角度などの仕様を定め、これら仕様に基づき光学素子を生産してきた。
しかし、フツリン酸ガラスは、一般に製造時に著しい揮発性を示す。熔融ガラスの揮発がもたらす悪影響としては、ガラスの表面近傍や内部に脈理が生じるという問題、揮発の進行によってガラス組成が変化するため、ガラスの特性が時間とともに変動するという問題をあげることができる。光学ガラスとして有用なフツリン酸ガラスでは、屈折率などの光学特性に高い精度が要求されるが、揮発は前記精度を低下させ、屈折率などの光学特性のばらつき、ひいては光学素子の性能のばらつきを大きくする。また、脈理はガラス内部を透過する光の波面を乱し、光学素子を撮像光学系や投射光学系に組み込む場合は画質低下の要因となり、光ディスクなどの光記録媒体への情報の書込み・読取用光学系に組み込む場合は、光線の集光性能低下の要因となる。
フツリン酸ガラスは、上記問題を惹き起こすため、ガラスの生産者にとっては低い歩留まりで生産したガラスを光学素子の設計者もしくは光学素子の生産者に安定して提供しなくてはならなかった。
こうした問題を解決する上で、フツリン酸ガラスの揮発性が著しい理由を考察することは非常に意義深い。
フツリン酸ガラスを作製する場合、一般にリン酸塩原料が用いられるが、アニオン成分としてフッ素イオンの導入量をなるべく多くするために、リン酸塩としてリン原子1個に対する酸素原子数の比(酸素原子/リン原子)が小さい、メタリン酸塩(酸素原子/リン原子=3)が用いられている。こうした理由から、これまでフツリン酸系の汎用ガラスでは、リン原子の量に対する酸素原子の量の比が3となっていた。
しかし、本発明者が検討したところ、メタリン酸塩を用いてガラスを作ると、熔融ガラス中において原料に由来するメタリン酸とフッ素が反応することにより、著しい揮発性を示すフッ化ホスホリル(POF)が発生してしまうことがわかった。これに対し、熔融ガラス中のリン1原子当たりの酸素原子の原子比を3.5以上(酸素原子/リン原子≧3.5)に調整すると、揮発物質の発生量が大幅に低減することが判明した。これは、熔融ガラス中に存在するリン酸として、リン1原子に対する酸素原子数の比(酸素原子/リン原子)が3であるメタリン酸よりも、酸素原子/リン原子が3.5である2リン酸(ピロリン酸)の方が安定であるためと考えられる。
こうした知見に基づき、フツリン酸ガラスの揮発性を抑制しつつ、汎用ガラスの光学特性を維持したガラスを提供することができれば、ガラス生産者の負担が軽減されるとともに、光学設計者の負担をも軽減することができる。さらに、組成を変更しても光学素子の形状、寸法が変わらなければ、光学素子を成形、加工する者にとっても、NC加工時のプログラムやプレス成形に使用するプレス成形型を大幅に作り直さずに済み、負担を強いることない。
光学素子の材料として使用されてきたフツリン酸ガラス、例えば、汎用ガラスを第1のフツリン酸ガラスと呼ぶことにし、第1のフツリン酸ガラスの光学特性を一定もしくは略一定に維持しつつ、P5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+を増加して3.5以上にしたガラスを第2のフツリン酸ガラスと呼ぶことにすると、第2のフツリン酸ガラスは揮発性が抑制されたガラスでありながら、その光学特性は第1のフツリン酸ガラスと同じであるから、第2のフツリン酸ガラスを製造、供給することにより、上記課題を解決することができる。
こうして完成した本発明のフツリン酸ガラスの製造方法は、ガラス原料を調合し、前記原料を熔融してフツリン酸ガラスを作製するフツリン酸ガラスの製造方法において、
第1のフツリン酸ガラスの組成を、光学特性を一定もしくは略一定に維持しつつ、P5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+を増加して3.5以上にした第2のフツリン酸ガラスの組成を定め、第2のフツリン酸ガラスの組成に基づきガラス原料を調合し、ガラスを生産することを特徴とするフツリン酸ガラスの製造方法である。
例えば、ガラス原料として少なくともフッ素、酸素、リンを含むものを用い、ガラス原料中に含まれるリンの含有量Pに対する酸素の含有量Oのモル比O/Pが3.5以上になるようにガラス原料を調合して第2のフツリン酸ガラスを生産する。
なお、上記酸素の含有量は、ガラスに導入される酸素の量であり、ガラス熔融中にCOガス、NOガス、酸素ガス、水蒸気等として熔融物外へ出て行く酸素の量を含まない。
例えば、ガラス原料として、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物などを使用する場合、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物はガラス原料の加熱によって分解し、上記ガスを生成し、これらガスがガラス熔融物外へ出て行くため、前記ガス中に含まれる酸素はガラス化反応に寄与しない。また、ガラス原料中に結合水が存在する場合、ガラス原料の加熱によって結合水が脱離し、水蒸気となってガラス熔融物外へ出て行くため、水蒸気中の酸素もガラス化反応に寄与しない。したがって、上記ガスとなってガラス熔融物外へ出て行く酸素は、上記酸素の含有量から除外する。
炭酸塩、硝酸塩、水酸化物を使用する場合、これら化合物に含まれるガラス成分となるカチオンと酸素からなる酸化物を考え、前記酸化物として上記化合物に含まれる酸素の量をガラスに導入される酸素の量と考えればよい。
光学設計者の負担、光学素子生産者の負担をより軽減する上から、第1のフツリン酸ガラスの屈折率ndをnd(a)、アッベ数νdをνd(a)、第2のガラスの屈折率ndをnd(b)、第2のガラスのアッベ数νdをνd(b)としたとき、nd(b)−nd(a)|を0.00700以下にすることが好ましく、0.00650以下にすることがより好ましく、0.00500以下にすることがさらに好ましく、0.00400以下にすることが一層好ましく、0.00300以下にすることがより一層好ましい。同様に、|νd(b)−νd(a)|を1.0以下にすることが好ましく、0.9以下にすることがより好ましく、0.8以下にすることがさらに好ましい。
なお、モル比O2−/P5+が3.5未満のフツリン酸ガラスは、熔融状態で著しい揮発性とともに著しい反応性、侵蝕性を示す。こうした侵蝕性により、耐蝕性の優れた白金もしくは白金合金製のルツボを用いても、白金が侵蝕されてガラス中に混入する。フツリン酸ガラスは、比較的白金を溶かし込みにくいガラスであるため、混入した白金は固形物としてガラス中に残留し、光散乱源となる。
本発明によれば、揮発性だけでなく反応性、侵蝕性も抑制することができるので、白金などの異物混入を低減、防止可能なフツリン酸ガラスの製造方法を提供することもできる。
本発明の方法により製造されるフツリン酸ガラスの内部に含まれる粒径が10μm以上の異物、例えば白金粒子、白金を含む粒子、金粒子、金を含む粒子の数密度が5個/cm未満であるガラスが好ましい。前述の粒子は光線、例えば可視光を散乱する異物となり、光学素子の性能を低下させる。本発明によれば、光散乱源となる異物が大幅に低減もしくは存在しないので、高品質な光学ガラスを提供することができる。ガラス内部に含まれる粒径が10μm以上の異物の好ましい数密度は5個/cm未満、より好ましくは3個/cm未満、さらに好ましくは2.5個/cm以下、一層好ましくは2個/cm以下、特に好ましくは0個/cmである。
本発明において、熔融ガラスの揮発性、侵蝕性をより一層抑制し、品質、光学特性および熱的特性をより一層安定化し、ガラスやガラス製の光学素子の量産性をより一層向上させる上から、ガラスの屈折率ndの値をnd(1)、該ガラスを窒素雰囲気中において900℃、1時間再熔融し、ガラス転移温度まで冷却し、その後、毎時30℃の降温速度で25℃まで冷却した後の屈折率ndの値をnd(2)としたときに、nd(1)とnd(2)との差nd(2)−nd(1)の絶対値Δndが0.00300以内となるフツリン酸ガラスが第2のフツリン酸ガラスとして好ましく、0.00250以内である第2のフツリン酸ガラスがより好ましく、0.00200以内である第2のフツリン酸ガラスがさらに好ましく、0.00150以内である第2のフツリン酸ガラスが一層好ましく、0.00120以内である第2のフツリン酸ガラスがより一層好ましく、0.00100以内である第2のフツリン酸ガラスがなお一層好ましい。逆に、モル比O/Pを3.5以上にしないと、再熔融前後における屈折率変化の絶対値Δndを上記範囲内にすることが困難である。
フツリン酸ガラスにおいて再熔融時によって含有量が減少するフッ素は、屈折率を相対的に低下させる成分なので、nd(2)−nd(1)の値は一般に正となる。
nd(2)を測定するために行われる再熔融時の雰囲気は、ガラスと雰囲気の反応により揮発以外の要因によりガラスの屈折率が影響を受けないようにするため、窒素とする。再熔融は900℃で1時間の所定条件下で行われ、その後、ガラス転移温度まで冷却する。nd(2)の値は冷却時の降温速度にも影響を受けるので、冷却は毎時30℃の所定の降温速度で行われ、25℃まで冷却される。
屈折率の測定は公知の方法を用いることができ、有効桁数6桁(小数点以下5桁)の精度で測定することが望ましい。屈折率の測定例としては、日本光学硝子工業会規格JOGIOS 01−1994「光学ガラスの屈折率の測定方法」を適用することができる。
ガラスの形状、体積などによっては、例えばガラスが小さな球であったり、肉薄のレンズに成形されている場合には、ガラスを上記規格に定められた形状、寸法の試料に加工できない場合もある。その場合には、ガラスを加熱、軟化してプレス成形し、アニールし、必要に応じて研削、研磨するなどして2つの平面が所定の角度で交わるプリズム形状にする。そして、上記規格と同じ測定原理に基づき、屈折率を測定する。プレス成形によるプレス作製時の加熱温度は高々ガラスを軟化できればよい温度域であって、ガラスを熔融する温度よりも極めて低いから、揮発性物質の濃度への影響は無視できる程度であり、上記加熱前後の屈折率変化量は無視して差支えない。
図1は、モル比O2−/P5+を3.0から4.0の間で変化させたときの屈折率変化量(nd(2)−nd(1))の絶対値Δnd、フツリン酸ガラス中に含まれる粒径10μm以上の白金異物の数密度の変化を示したものである。なお、ガラスの熔融は白金ルツボにて行った。
図1より、モル比O2−/P5+を3.5以下とすることにより、フツリン酸ガラスの揮発性が抑制されてΔndが0.00300以下になるとともに、フツリン酸ガラスの侵蝕性が抑制されて白金異物の数密度を抑制できることがわかる。
なお、本発明によれば熔融ガラスの揮発性が抑制されるので、モル比O2−/P5+とガラス原料中のリン原子の量Pに対する酸素原子の量Oのモル比O/Pは等しくなる。
次に、本発明のフツリン酸ガラスの供給方法について説明する。
前述のように、第1のフツリン酸ガラスと第2のフツリン酸ガラスは、揮発性、反応性および侵蝕性に著しい相違があるものの、屈折率やアッベ数などの光学特性においては互いに等しい、あるいは、近い関係になっている。したがって、光学設計者や光学素子生産者にとっては、第1のフツリン酸ガラスと第2のフツリン酸ガラスとを光学特性上、同種のガラスと認識するほうが都合がよい。そこで、第2のフツリン酸ガラスに第1のガラスと同一の名称あるいは共通する名称を付けて、第2のフツリン酸ガラスを供給することが望ましい。
こうした知見に基づき完成した本発明のフツリン酸ガラスの供給方法は、上記本発明の方法により第2のフツリン酸ガラスを作製し、第2のフツリン酸ガラスに第1のフツリン酸ガラスと同一または共通する名称を付けて供給することを特徴とするフツリン酸ガラスの供給方法である。
例えば、第1のガラスの名称がAであるとすると、第2のガラスの名称もAと命名したり、A−2、M−A、new−A、L−Aなどと命名し、第1のガラスと第2のガラスの光学特性が同じ、あるいは光学特性が近いことをガラスのユーザー、すなわち、光学設計者や光学素子生産者に伝える。光学ガラスメーカーは、光学特性が異なる多種のガラスを用意し、ユーザーに提供する。例えば、A、B、Cなどの名称を持つ既存のガラス(第1のフツリン酸ガラス)が存在する場合、各ガラスに対してガラスA−2、B−2、C−2のように第2のフツリン酸ガラスを命名する。
こうすれば、これまでガラスAを使って光学設計していた設計者はガラスA−2を選択して設計を変更することなく、あるいは設計に微調整を加えれるだけでよいし、ガラスAを研削、研磨して光学素子を生産していた者は、光学設計に基づき、NC加工機などの設定データをそのまま、あるいは微調整して光学素子を加工したり、研磨に使用する研磨皿を加工すればよい。また、精密プレス成形によって光学素子を生産する者は、前記光学設計に基づき、形状、寸法、角度などを変更することなくプレス成形型を作製したり、微調整したプレス成形型を作製し、精密プレス成形を行えばよい。いずれにしても、ガラスA−2を選択、使用することにより、これまでガラスAに基づきなされた光学設計を大幅に変更しなくて済むため、光学設計者をはじめ、光学素子の生産者の負担を軽減することができる。
上記説明は、ガラスAからA−2への切り替えについてのものだが、ガラスBからB−2への切り替え、ガラスCからC−2への切り替えについても同様である。
ガラスの供給形態は、ガラスブロックであったり、ガラス棒であったり、ガラスゴブであったり、プリフォームであったり、ガラス板であったりすることができ、特に限定されず、ユーザーの求めに応じて適宜、選択すればよい。
次に第2のフツリン酸ガラスとして好ましいガラスについて説明する。
フツリン酸ガラスのアッベ数νdを決める主要因は、ガラス中のフッ素成分量である。フッ素成分量を多くするとアッベ数νdは増加し、逆にフッ素成分量を少なくするとアッベ数νdは減少する。アッベ数νdが大きいガラス、すなわち、より低分散のガラスを得るには、アニオン成分中のフッ素成分の割合を高めざるを得ず、酸素成分量が相対的に減少する。その結果、モル比O2−/P5+が小さくなる。特に、アッベ数νdが70を超えるガラスでは、モル比O2−/P5+の減少が顕著になるため、ガラスの揮発性、侵蝕性も顕著になる。このようなガラスの製造に本発明を適用することにより、ガラスの揮発性、侵蝕性を抑制することができ、著しい効果をあげることができる。
したがって、第2のフツリン酸ガラスとして好ましい第1の例は、アッベ数νdが70を超えるフツリン酸ガラス(以下、フツリン酸ガラスIという。)である。低分散になるほど、上記効果の顕著性が大きくなるため、フツリン酸ガラスIとして、アッベ数νdが75を超えるものがより好ましく、アッベ数νdが78を超えるものがさらに好ましく、アッベ数νdが80を超えるものが一層好ましい。
なお、上記各ガラスを製造するには、アッベ数νdが70を超えるように、あるいは、75を超えるように、あるいは78を超えるように、または80を超えるように、未ガラス化原料を調合すればよい。
さらに、フツリン酸ガラスIの中で好ましいガラスは、カチオン成分として含まれる希土類元素の合計含有量が5カチオン%未満であり、アニオン成分として含まれるFとO2−の合計含有量に対するFの含有量のモル比F/(F+O2−)が0.2以上、屈折率ndが1.53を超えるガラス(フツリン酸ガラスI−aという。)である。
カチオン成分として含まれる希土類元素の含有量が過剰になるとガラスの熔解温度、液相温度、熔融ガラスの流出温度や成形温度が上昇する。特に、屈折率ndが1.53を超えるガラスで希土類元素の合計含有量が5カチオン%以上になると、ガラスの熔解温度、液相温度、熔融ガラスの流出温度や成形温度が上昇する。本発明はモル比O2−/P5+を3.5以上にすることで、ガラスの揮発性、侵蝕性を抑制しているが、熔解温度、液相温度、成形温度の上昇を抑制することはガラスの揮発性、侵蝕性をより一層抑制する上で有効である。また、液相温度が高いガラスで、流出温度や成形温度を低下しようとすると、流出時や成形時のガラスの粘性が高くなり、熔融ガラスから熔融ガラス塊や熔融ガラス滴を分離することが難しくなったり、成形が難しくなる。こうした理由から、上記希土類元素の合計含有量を5カチオン%未満とすることが好ましく、4カチオン%以下とすることがより好ましく、3カチオン%以下とすることがさらに好ましい。
なお、ガラスを着色させず、熱的安定性を大幅に低下させないで屈折率を高めることができるという点から、フツリン酸ガラスI−aにおいて、希土類元素を導入する場合は、Y、La、Gd、Ybのいずれか1種以上を導入することが好ましい。すなわち、Y3+、La3+、Gd3+およびYb3+の合計含有量を5カチオン%未満にすることが好ましく、4カチオン%以下にすることがより好ましく、3カチオン%以下にすることがさらに好ましい。中でもYは熱的安定性を維持しつつ、屈折率を高める効果に優れることから、Y3+の含有量を5カチオン%未満にすることが好ましく、4カチオン%以下にすることがより好ましく、3カチオン%以下にすることがさらに好ましい。
また、フツリン酸ガラスIにおいて、アニオン成分として含まれるFとO2−の合計含有量に対するFの含有量のモル比F/(F+O2−)が0.2以上になると、酸素含有量が相対的に低下し、モル比O2−/P5+が減少してガラスの揮発性、侵蝕性が高まりやすくなる。本発明によれば、こうしたガラスでもモル比O2−/Fを3.5以上にすることにより、ガラスの揮発性、侵蝕性が抑制され、希土類元素の含有量を上記のように制限したこととあいまって、諸特性のばらつきが抑制された高品質のプリフォームからなるプリフォームロットを提供することができる。
なお、フツリン酸ガラスI−aは屈折率ndが1.53を超え、フツリン酸ガラスとしては高屈折率のガラスであるため、フツリン酸ガラスI−aからなるプリフォームを使用することにより、同じ焦点距離を有するレンズでも光学機能面の曲率半径の絶対値を大きくすることができ、精密プレス成形性を向上させることができるほか、高屈折率ガラスを使用することで、光学素子の高機能化、小型化や、光学素子を組み込んだ光学系のコンパクト化に有利となる。こうした観点から、フツリン酸ガラスI−aとして、屈折率ndが1.54以上のガラスが好ましく、屈折率ndが1.55以上のガラスがより好ましい。
次に第2の例として、カチオン%表示で、
5+ 3〜50%、
Al3+ 5〜40%、
Mg2+ 0〜10%、
Ca2+ 0〜30%、
Sr2+ 0〜30%、
Ba2+ 0〜40%、
ただし、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計量が10%以上、
Li 0〜30%、
Na 0〜20%、
0〜20%、
3+ 0〜10%、
La3+ 0〜10%、
Gd3+ 0〜10%、
Yb3+ 0〜10%、
3+ 0〜10%、
Zn2+ 0〜20%、
In2+ 0〜20%、
を含有するとともに、アニオン%表示で、
20〜95%、
2― 5〜80%
を含有するフツリン酸ガラス(以下、フツリン酸ガラスIIという。)をあげることができる。
フツリン酸ガラスIIを製造するには、上記範囲で組成を定め、前記組成のガラスが得られるように未ガラス化原料を調合すればよい。
以下、特記しない限り、カチオン成分の含有量、合計含有量はカチオン%で表示し、アニオン成分の含有量はアニオン%で表示するものとする。
フツリン酸ガラスII において、P5+ はガラス中でネットワークフォーマーとして働く重要な成分であり3%未満ではガラスが極端に不安定になる。また、50%を超えるとモル比O2−/P5+を3.5以上するために、フッ素の導入量を抑制する必要が生じ、必要な低分散性が得られなくなる。したがって、P5+の含有量は3〜50%の範囲にすることが好ましい。
Al3+はフツリン酸ガラスにおいて安定性を高めるための重要成分であり、5%未満ではガラスが不安定になる。一方、40%を超えると他成分の合計量が少なくなりすぎるために逆に不安定になる。したがって、Al3+の含有量は5〜40%の範囲にすることが好ましい。
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+のようなアルカリ土類金属はガラスの安定性を高め、屈折率を上昇させる成分であり、その合計量を10%以上にすることで安定性に対する効果が高くなる。しかし、特定のアルカリ土類金属成分があまりに多くなると他の成分とのバランスが崩れるため、満遍なく導入することが好ましく、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+の少なくとも2種以上を導入することが好ましい。各成分の好ましい含有量は、Mg2+は0〜10%、Ca2+は0〜30%、Sr2+は0〜30%、Ba2+は0〜40%である。
Li、Na、Kのようなアルカリ金属はガラスの粘性、ガラス転移温度を低下させ、ガラスの製造を容易にすることができる成分であるが、過剰の導入は安定性を低下させる。そこでLiの量を0〜30%、Naの量を0〜20%、Kの量を0〜20%とすることが好ましい。アルカリ金属の中でもLiは安定性を高める効果も大きいため、Liを0.5%以上導入することがより好ましく、1%以上導入することがさらに好ましく、2%以上導入することが特に好ましい。
3+、La3+、Gd3+、Yb3+などの希土類元素はガラスの低分散性を保ちつつ屈折率を高める成分であるが、過剰な導入は熔解温度を上昇させガラスの安定性も低下させてしまう。そのため、上記各成分の量をそれぞれ0〜10%とすることが好ましい。
3+はガラスの耐久性を向上させる成分であるが、熔解中にフッ化物として揮発する傾向があるため、生産性を低下させる成分でもある。そのため導入量は0〜10%にすることが好ましく、0〜5%にすることがより好ましく、導入しないことがさらに好ましい。
Zn2+、In3+はアルカリ土類金属と同様に容易にガラス中に導入できる特性を持ち、Zn2+やIn3+を導入して多成分にすることによる安定性の向上効果が期待できるが、過剰の導入は好ましくない。このため、Zn2+およびIn3+の導入量は、それぞれ0〜20%とすることが好ましく、それぞれ0〜10%とすることがより好ましく、0〜5%とすることがさらに好ましく、導入しないことが特に好ましい。
次にアニオン成分、アニオン添加物について説明する。フツリン酸ガラスIIIにおいて、FとO2−が主要アニオン成分である。所要の光学特性と優れたガラス安定性を実現する上から、Fを20〜95%、O2−を5〜80%導入することが好ましい。
また、Cl、Br、Iは、少量導入することで、ガラスの製造時または流出時に使用する白金容器や白金製ノズル等の白金製品に、フツリン酸ガラスが濡れにくくなるために、ガラスの製造を容易に行うことが可能になる。Cl、Br、Iの過剰の導入は、成分揮発による屈折率変動と白金異物の発生を招くため、導入量は合計で0〜3%とすることが好ましく、0.1〜3%とすることがより好ましい。
なお、発明の目的を達成する上から、F、O2−、Cl、BrおよびIの合計量を98アニオン%以上とすることが望ましく、99アニオン%以上とすることがより望ましく、100アニオン%とすることがさらに望ましい。
なお、フツリン酸ガラスIかつフツリン酸ガラスIIであるガラスも本発明の製造方法および供給方法が好適なガラスである。
なお、フツリン酸ガラスI、IIは、低分散性、異常部分分散性などに加え、可視域において短波長から長波長にかけての広い範囲で光線透過率が高いという性質を有している。
このような性質を利用してレンズ、プリズムなどの各種光学素子を得るための材料として適しているが、このような用途においては可視域に吸収を有するイオン、例えば、Fe、Cu、Ni、Co、Cr、Mn、V、Nd、Ho、Erといった金属元素のイオンを添加しないことが望ましい。
一方、Cu2+を添加することにより近赤外線吸収特性を付与することができるため、外割り添加でCu2+を0.5〜13%添加することが望ましい。Cu2+含有ガラスはCCDやCMOSなどの半導体撮像素子の色補正フィルタ材料として好適である。Cu2+の添加量は、前記フィルタの厚さを考慮し、前記範囲内で適宜定めればよい。Cu2+含有ガラスの場合も、吸収特性を調整する場合を除き、Cu2+以外の可視域に吸収を有するイオンを添加しないことが望ましい。
フツリン酸ガラスI、IIをはじめとする第2のフツリン酸ガラスに、Cl、Br、Iを、少量導入することで、ガラスの製造時または流出時に使用する容器やフィーダー等の白金製物品、白金合金製物品、金製物品、金合金製物品に、フツリン酸ガラスが濡れにくくなり、ガラスの製造を容易に行うことが可能になる。Cl、Br、Iの過剰の導入は、成分揮発による屈折率変動と白金異物の発生を招くため、導入量は合計で0〜5%とすることが好ましく、0〜4%とすることがより好ましく、0〜3%とすることがさらに好ましい。さらにCl、Br、Iのいずれか一種を導入する場合は、上記範囲内で、Cl、BrおよびIの合計量を0.01%以上とすることが好ましく、0.05%以上とすることがより好ましく、0.1%とすることがさらに好ましい。
なお、ガラスの特性、性質に悪影響を及ぼすことなく、上記効果を得る上から、上記いずれのガラスにおいても、F、O2−、Cl、BrおよびIの合計量を98アニオン%以上とすることが望ましく、99アニオン%以上とすることがより望ましく、100アニオン%とすることがさらに望ましい。
なお、未ガラス化原料の加熱、熔融は、窒素ガス等の不活性ガスや乾燥ガスの雰囲気下で行ってもよいし、大気下で行ってもよい。本発明によれば、ガラス熔融雰囲気に影響されることなく、高品質のフツリン酸ガラスを製造、供給することができる。
なお、第2のフツリン酸ガラスの組成を定めるにあたり、Li成分を導入または増量して第1のフツリン酸ガラスよりもガラス転移温度を低くすることが好ましい。ガラス転移温度を低下させるメリットは次のとおりである。
Li成分の有無、量によらず、第2のフツリン酸ガラスは揮発性が低いので、第1のフツリン酸ガラスよりも、精密プレス成形時にガラスからの揮発物がプレス成形型の成形面に付着しにくく、プレス成形品への転写精度を高精度に維持しやすい。第1のメリットは、Li成分を導入または増量してガラス転移温度をより低下させることにより、上記転写精度の維持がより容易になるという点である。
精密プレス成形に使用するプリフォームを作製する方法として、ガラスを研削、研磨する方法と、熔融ガラスをノズルから滴下したり、熔融ガラス流に表面張力によってくびれを作り、くびれ部分で熔融ガラス流を分離して熔融ガラス塊を得、このガラス塊を冷却過程でプリフォームに成形する方法がある。
流出時の熔融ガラスの粘度が高いと、細くくびれた部分が急速に冷やされて硬くなり、糸引きと呼ばれる現象がおきる。糸引き部分は熔融ガラス塊に吸収されずにプリフォーム表面に突起として残ったり、糸状のガラスがプリフォーム表面に巻き付くなどして表面欠陥になってしまう。糸引きによる欠陥を防止するには、熔融ガラスの滴下や熔融ガラス塊の分離を低粘性状態で行えばよい。低粘性状態で分離を行うには、熔融ガラスの温度をより高温にするか、一定温度における粘性が低くなるように、すなわち、高温から低温にわたる広い温度域において粘性がより低くなるようにガラス組成を調整すればよい。ガラス転移温度を低下させる組成調整は、後者、すなわち、高温から低温にわたる広い温度域において粘性をより低くする組成調整に相当する。つまり、第2のメリットは、滴下や表面張力による熔融ガラス塊の分離の際、糸引き現象を抑え、突起などの表面欠陥がない滑らかな表面を有するプリフォームなどのガラス成形体を得ることができる点である。
なお、糸引き現象を抑制する手段して、前述のように熔融ガラスの温度をより高温にしてガラスの分離を行う方法がある。第1のフツリン酸ガラスにこの方法を適用すると、揮発によって脈理の発生が著しくなるが、第2のフツリン酸ガラスは揮発性が低いため、上記方法でも脈理の発生を抑えることができる。
第2のフツリン酸ガラスにおいてLi成分を導入すること、あるいはLiを増量することにより上記メリットを得ることができるが、このようなメリットを得る上からLiの含有量を0.5%以上にすることが好ましく、1%以上にすることがより好ましく、2%以上にすることがさらに好ましい。なお、安定性を維持する上からLiの含有量を30%以下にすることが好ましい。
第1のフツリン酸ガラス、第2のフツリン酸ガラスは、バッチ原料と呼ばれる未ガラス化原料、例えば粉体状の化合物を混合したものや、カレットと呼ばれる原料を熔解し、清澄、均質化して得る。
第2のフツリン酸ガラス作製において、ガラス原料中のリン原子の量に対する酸素原子の量のモル比O/Pを3.5以上にしてガラスを熔融する。
カレット原料を用いる場合も、未ガラス化原料(バッチ原料)を熔融して作るため、上記いずれのガラス原料を使用する場合も最初に未ガラス化原料を調合することになる。その際、リン原子の量に対する酸素原子の量のモル比O/Pが3.5以上になるように調合することが好ましい。
5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+を3.5以上にするため、2リン酸塩を用いてガラス中にP5+成分やO2−成分を導入する。あるいは、2リン酸塩を素熔解して作製したカレットを用いる。
具体的には、所望の組成が得られるように2リン酸塩、フッ化物などを秤量、十分混合して調合原料とし、白金製あるいは白金合金製、もしくは金製あるいは金合金製の耐熱性容器内に調合原料を供給し、加熱、熔融し、清澄、均質化して泡を含まない均質な熔融ガラスを得る。こうして得た熔融ガラスを成形して所望の第2のフツリン酸ガラスからなる成形体を得ることができる。なお、バッチ原料の代わりにカレットを使用してもよいし、バッチ原料とカレットを併用してもよい。
5+の導入を2リン酸塩のみで行えば、モル比O2−/P5+は3.5以上にはならない。その上で、モル比O2−/P5+を3.5よりも大きくするには、酸化物のかたちでP5+以外のカチオン成分を導入すればよい。
次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。
本発明の光学素子の製造方法の第1の態様は、上記各方法のいずれかによりフツリン酸ガラスを作製し、前記ガラスを成形および/または加工する光学素子の製造方法である。
例えば、熔融ガラスを鋳型に流し込んでガラス板、ガラスブロック、ガラス棒などを成形し、アニール後、分割(切断、割断、または切断および割断)してガラス片を作製し、これらガラス片を研削、研磨して精密プレス成形用プリフォームに加工し、このプリフォームを加熱してプレス成形型を用いて精密プレス成形し、光学素子を作る。
あるいは、熔融ガラスを受け型に滴下し、受け型上にてそのガラス滴に風圧を加えて浮上、回転させながら球状の精密プレス成形用プリフォームに成形し、このプリフォームを精密プレス成形して光学素子を作る。
あるいは、パイプ下端の流出口から熔融ガラス流を流下し、前記ガラス流の下端を支持体で受け、熔融ガラスの表面張力により熔融ガラス流の流出口と下端の間にくびれ部を作り、上記支持体を急降下してくびれ部にてガラス流を分離して支持体上にガラス流下端を含む熔融ガラス塊を得る。この熔融ガラス塊を上向きの風圧を加えて浮上させながら精密プレス成形用プリフォームに成形し、このプリフォームを精密プレス成形して光学素子を作る。熔融ガラス塊からプリフォームを成形する工程は、型上で行う。上記支持体として前記型を用い、分離した熔融ガラス塊をそのまま型上で成形してもよいし、支持体と型を別体として支持体を用いて分離した熔融ガラス塊を型に導入してプリフォームに成形してもよい。
あるいは、熔融ガラスを鋳型に流し込んでガラス板、ガラスブロック、ガラス棒などを成形し、アニール後、分割(切断、割断、または切断および割断)してガラス片を作製し、これらガラス片を研削、研磨して光学素子を作る。
あるいは、熔融ガラスを鋳型に流し込んでガラス板、ガラスブロック、ガラス棒などを成形し、アニール後、分割(切断、割断、または切断および割断)してガラス片を作製し、これらガラス片を必要に応じて研削してから、加熱、軟化し、プレス成形型を用いてプレス成形し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作る。そして、このブランクをアニールした後、研削、研磨して光学素子に仕上げる。
あるいは、パイプ下端の流出口から熔融ガラス流を流下してプレス成形型を構成する下型の成形面上でガラス流下端を受け、シアと呼ばれる切断刃で下端と流出口の間でガラス流を切断し、下型上に熔融ガラス塊を得、このガラス塊を下型と対向する上型とでプレス成形し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作る。そして、このブランクをアニールした後、研削、研磨して光学素子に仕上げる。なお、プレス成形では、必要に応じて胴型を用いてもよい。
本発明の光学素子の製造方法の第2の態様は、上記本発明の方法により供給されたフツリン酸ガラスを受け取り、前記ガラスを成形および/または加工する光学素子の製造方法である。
フツリン酸ガラスの供給形態に応じて、光学素子の成形、加工法を決めてもよし、光学素子の成形、加工法に応じてガラスの供給形態を決めてもよいが、一般には、目的とする光学素子の仕様を決めてから、その生産方法を決め、ガラスの供給形態を決める。
非球面レンズなど、研削、研磨によって光学機能面を加工する方法には適さない光学素子の場合は、精密プレス成形法により光学素子を成形する方法が適している。その場合、精密プレス成形品の質量に等しいプリフォームを上記本発明の方法で製造し、プリフォームを光学素子生産プロセスへと供給する。供給されたプリフォームを受け取り、前述のようにプリフォームを加熱し、プレス成形型を用いて精密プレス成形し、非球面レンズなどの光学素子を次々と作製する。こうして得た光学素子は必要に応じて屈折率調整用の精密アニールをしたり、光学機能面に反射防止膜などのコートを施すことができる。
球面レンズの場合、プレス成形用ガラス素材としてゴブ状のガラスを供給し、ガラスゴブの表面に窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布した後、加熱、軟化して、プレス成形型に導入し、プレス成形し、球面レンズに近似する形状の光学素子ブランクを作る。次いで、光学素子ブランクをアニールした後、研削、研磨して球面レンズに仕上げる。
上記の例は、プレス成形用ガラス素材を供給したが、光学素子ブランクを上記方法で作製し、光学素子ブランクを光学素子製造プロセスに供給し、光学素子ブランクを受け取った製造ラインにおいて、光学素子ブランクを研削、研磨して球面レンズに仕上げてもよい。
さらに、球面レンズの場合、前述の熔融ガラスから熔融ガラス塊を分離し、熔融ガラス塊をプレス成形して光学素子ブランクを作製し、光学素子ブランクを供給し、光学素子ブランクを受け取った製造ラインにおいて、光学素子ブランクを研削、研磨して球面レンズに仕上げてもよい。
以上の例は、本発明の一部であり、ガラスの供給元と供給先の生産設備や目的とする光学素子の種類に応じて上記例を適宜変更すればよい。
本発明の光学素子の製造方法の第3の態様は、上記第1の態様または第2の態様であって、第1のフツリン酸ガラスを用いて作製した光学素子の形状データに基づき、第2のフツリン酸ガラスからなる光学素子の成形および/または加工を行う光学素子の製造方法である。
第1のフツリン酸ガラスを用いて作製した光学素子の形状データに基づき、第2のフツリン酸ガラスからなる光学素子の成形および/または加工を行ったり、必要に応じて前記形状データを調整して第2のフツリン酸ガラスからなる光学素子の成形および/または加工を行うことができる。レンズを例にすると、第1のフツリン酸ガラスからなるレンズの形状データ、例えば、外径、有効径、中心肉厚、レンズ面の形状、コバ厚などを第2のフツリン酸ガラスからなるレンズの製造に利用することができる。また、プリズムを例にすると、光入射面と光出射面のなす角度、光入射面、光出射面を含む各部の寸法などの形状データを第2のガラスからなるプリズムの製造に利用することができる。
光学素子の製造工程において、熔融ガラスを扱う工程、加熱、軟化を伴う工程では、第2のフツリン酸ガラスの揮発性が抑制されているので、揮発に伴う不具合を解消することができる。
以下、実施例に基づき本発明を説明する。
(実施例1)
表1に示す第1のガラスが得られるようにメタリン酸塩、フッ化物等の原料を秤量し、十分混合して調合原料とし、白金ルツボ中で加熱、熔融し、続いて清澄、均質化して熔融ガラスを得た。そして、この熔融ガラスをパイプから流出して鋳型に鋳込み、ガラス板に成形した。ガラス板をアニールした後、所望の形状、寸法に加工して屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度Tgを測定した。各測定値を表1に示す。なお、以後の工程を便宜上、後工程と呼ぶことにする。
第1のフツリン酸ガラスの屈折率nd、アッベ数νdに基づき、所望の光学性能を有する両凸形状の非球面レンズ、凸メニスカス形状の非球面レンズを設計する。プレス成形型の成形面の形状がレンズの光学機能面の反転形状になるようNC加工機を用いて、型材を精密に加工する。NC加工機への加工データ入力は、上記設計データをもとに行う。本実施例では、SiC製型材を精密に加工して、型材表面に各レンズの光学機能面を反転した形状の成形面を形成した。そして、成形面上に炭素離型膜をコートして上型、下型、胴型からなるプレス成形型とした。
次に、第1のフツリン酸ガラスからなるガラス板を切断、研削、研磨して精密プレス成形用プリフォームに仕上げ、その表面に炭化水素膜をコートした。そして、プリフォームをプレス成形型内に配置するとともにプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱した。加熱温度は、プリフォームを構成するガラスの粘度が108〜1010dPa・sとなる温度とした。プレスの圧力は8MPa、プレス時間は30秒とした。その後、プレスの圧力を解除し、精密プレス成形品を下型および上型と接触させたままの状態で前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上になる温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷して精密プレス成形品をプレス成形型から取り出し両凸形状の非球面レンズ、凸メニスカス形状の非球面レンズの各レンズを得た。
第1のフツリン酸ガラスは、P5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+が3.00であり、ガラス板製造時に高い揮発性を示し、ガラス板の表面や内部の所々に脈理が認められた。プリフォームの作製にあたっては、脈理のない部分を注意深く選び、その部分を加工してプリフォームに仕上げ、脈理を含む部分は破棄した。
次に、表1に示す第2のフツリン酸ガラスが得られるようにピロリン酸塩、フッ化物等の原料、あるいはメタリン酸塩、酸化物、フッ化物等の原料を秤量し、十分混合して調合原料とし、白金ルツボ中で加熱、熔融し、続いて清澄、均質化して熔融ガラスを得た。そして、この熔融ガラスをパイプから流出して鋳型に鋳込み、ガラス板に成形した。ガラス板をアニールした後、所望の形状、寸法に加工して屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度Tgを測定した。各測定値を表1に示す。
第2のフツリン酸ガラスを作製する場合、ガラス原料中に含まれるリン原子の量Pに対する酸素原子の量の比O/Pが3.5以上なるように調合を行ったが、ここで、酸素原子の量は、ガラスに導入される酸素の量とした。炭酸塩、硝酸塩、水酸化物を使用する場合、これら化合物に含まれるガラス成分となるカチオンと酸素からなる酸化物を考え、前記酸化物として上記化合物に含まれる酸素の量をガラスに導入される酸素の量として扱った。
次に、第1のフツリン酸ガラスを用いた上記レンズの設計データに、第2のフツリン酸ガラスの屈折率nd、アッベ数νdをもとにして僅かな修正を加え、第1のフツリン酸ガラスを用いたレンズと同等の光学性能を有する第2のフツリン酸ガラスからなる両凸形状の非球面レンズ、凸メニスカス形状の非球面レンズを設計した。第1のフツリン酸ガラスと第2のフツリン酸ガラスの屈折率nd、アッベ数νdはそれぞれ接近した値になっているので、レンズ形状の修正を容易に行うことができる。
次いで、上記設計変更データをもとにNC加工機への加工データの調整、変更を行い、SiC製型材をNC加工して得られた成形面上に炭素離型膜をコートして第2のフツリン酸ガラス用のレンズを成形するためのプレス成形型とした。それから、第1のフツリン酸ガラスの場合と同様、第2のフツリン酸ガラスからなるガラス板を切断、研削、研磨して精密プレス成形用プリフォームに仕上げ、その表面に炭化水素膜をコートし、プリフォームをプレス成形型内に配置するとともにプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱して精密プレス成形して、両凸形状の非球面レンズ、凸メニスカス形状の非球面レンズの各レンズを作製した。
第1のフツリン酸ガラスからなるレンズと第2のフツリン酸ガラスからなるレンズは同等の光学性能を有するが、第2のフツリン酸ガラスはP5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+が3.70であり、ガラス板を製造する際の高温状態でも揮発性は極めて低いものであった。そのため、ガラス板の内部に脈理は認められず、切断、研削、研磨時の加工しろを除き、ガラス板の大部分をプリフォームに利用することができた。
また、第1のフツリン酸のガラスは、アルカリ成分フリーであるが、第2のガラスはLi成分を含むため、ガラス転移温度が大幅に低下しており、精密プレス成形温度をいっそう低下させることができる。ガラスの揮発性低減と精密プレス成形温度の低下により精密プレス成形時の成形面とガラスとの反応性が低下し、表面品質が高い光学素子を安定して生産することができるほか、プレス成形型の寿命を延ばすこともできる。
このように第1のフツリン酸ガラスから第2のフツリン酸ガラスに組成を変更することにより、高品質なガラスの製造が容易になり、両ガラスの光学特性も接近していることから、光学設計、プレス成形型の加工の負担も軽減することができる。
なお、上記精密プレス成形では、加熱開始から室温に降温するまでの間、プレス成形型の取り扱いは非酸化性雰囲気中(例えば、フォーミングガス雰囲気中)で行った。
第1のフツリン酸ガラスの屈折率ndをnd(a)、アッベ数νdをνd(a)、第2のガラスの屈折率ndをnd(b)、第2のガラスのアッベ数νdをνd(b)としたとき、同様にして、|nd(b)−nd(a)|が0.00300以下、|νd(b)−νd(a)|が0.8以下の第2のフツリン酸ガラスを作製し、上記のように、精密プレス成形により両凸形状の非球面レンズ、凸メニスカス形状の非球面レンズの各レンズを作製した。
Figure 0004657334
(実施例2)
本実施例では、第1のフツリン酸ガラス、第2のフツリン酸ガラスともにパイプ下端の流出口から熔融ガラス流を流下し、前記ガラス流の下端を支持体で受け、熔融ガラスの表面張力により熔融ガラス流の流出口と下端の間にくびれ部を作り、上記支持体を急降下してくびれ部にてガラス流を分離して支持体上にガラス流下端を含む熔融ガラス塊を得る。この熔融ガラス塊を上向きの風圧を加えて浮上させながら精密プレス成形用プリフォームに成形し、このプリフォームを精密プレス成形して光学素子を作る。
この方法は、熔融ガラスを余すところ無く精密プレス成形品にすることができるが、不良部分を除去できないので、本質的に高い揮発性を有するフツリン酸ガラスにこの方法を適用するにはハイレベルの技術が必要になる。しかし、第2のフツリン酸ガラスはP5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+が3.70であるため、フツリン酸ガラスでありながらほとんど揮発性を示さず、上記方法で容易にプリフォームを生産することができる。
なお、上記の点以外については、実施例1と同様である。
(実施例3)
本実施例では、実施例1で作製したガラス板を切断し、バレル研磨してプレス成形用のガラスゴブを作る。そして、ガラスゴブを加熱、軟化してからプレス成形型内に供給してプレス成形し、レンズに近似した形状のレンズブランクを作り、このブランクを研削、研磨して球面レンズを作製する。なお、便宜上、プレス成形型の成形面の加工、プレス成形、プレス成形品の研削、研磨工程を後工程と呼ぶことにする。
第1のフツリン酸ガラスの屈折率nd、アッベ数νdに基づき所望の光学性能を有する両凸形状の球面レンズ、平凸形状の球面レンズを設計する。本実施例ではプレス成形後に研削、研磨を行うので、プレス成形品の形状はレンズの形状に研削、研磨によって除去する加工しろを加えた形状にする。プレス成形型はNC加工機で型材を加工して作られる。NC加工機への加工データ入力は、上記形状のデータをもとに行い、成形面の形状はプレス成形品の反転形状とする。
そして、前述のように第1のフツリン酸ガラスからなるガラスゴブをプレス成形し、型から取り出したプレス成形品をアニールし、研削、研磨して第1のフツリン酸ガラスからなる各レンズを作製した。
次に成形面の加工データに、第2のフツリン酸ガラスの屈折率nd、アッベ数νdをもとに計算したレンズの設計データと、研削、研磨時の加工しろに関するデータに基づく修正を加え、第1のフツリン酸ガラスを用いたレンズと同等の光学性能を有するレンズを作製するためのレンズブランクをプレス成形するためのプレス成形型を作製した。
そして、前述のように第2のフツリン酸ガラスからなるガラスゴブをプレス成形し、型から取り出したプレス成形品をアニールし、研削、研磨して第2のフツリン酸ガラスからなる両凸形状の球面レンズ、平凸形状の球面レンズを作製した。
本実施例でも、第1のフツリン酸ガラスから第2のフツリン酸ガラスに組成を変更することにより、高品質なガラスの製造が容易になり、両ガラスの光学特性も接近していることから、光学設計、プレス成形型の加工の負担も軽減することができる。
なお、本実施例では、ガラスゴブの加熱開始からプレス成形を経てプレス成形品のアニールが終了するまでの工程を大気中で行った。
(実施例4)
FCD−Xという名称をもつ第1のフツリン酸ガラスに対し、上記実施例に示したように揮発性を低減するとともに屈折率nd、アッベ数νdを接近させた第2のフツリン酸ガラスを作り、第2のフツリン酸ガラスの名称をFCD−XあるいはFCD−Yとする。
上記名称のラベルをつけて第2のフツリン酸ガラスを出荷し、実施例1、3における後工程に送る。後工程には、第1のフツリン酸ガラスを用いて各種レンズを生産する際のデータが蓄積されており、名称から第2のフツリン酸ガラスが第1のフツリン酸ガラスの光学特性に接近した光学特性を有するガラスであることも判るので、実施例1、3で説明したように後工程にマイナーな変更を加えることにより第1のフツリン酸ガラス製のレンズを同等の光学性能を有するレンズを第2のフツリン酸ガラスを用いて生産することができる。
フツリン酸ガラスのモル比O2−/P5+、nd(2)−nd(1)の絶対値Δnd、ガラス中に含まれる粒径10μm以上の白金異物の数密度の関係を示すグラフである。 本発明の実施例で用いた精密プレス成形装置の概略図である。
符号の説明
1・・・上型
2・・・下型
3・・・胴型
4・・・プリフォーム
9・・・支持棒
10・・・下型・胴型ホルダー
11・・・石英管
12・・・ヒーター
13・・・押し棒
14・・・熱電対

Claims (8)

  1. ガラス原料を調合し、前記原料を熔融してフツリン酸ガラスを作製するフツリン酸ガラスの製造方法において、
    第1のフツリン酸ガラスの組成を、第1のフツリン酸ガラスの屈折率ndをnd (a) 、アッベ数νdをνd (a) 、第2のフツリン酸ガラスの屈折率ndをnd (b) 、アッベ数νdをνd (b) としたとき、|nd (b) −nd (a) |が0.00700以下、|νd (b) −νd (a) |が1.0以下になるように、B3+を含まず、 5+含有量に対するO2−含有量のモル比O2−/P5+を増加して3.5以上にした第2のフツリン酸ガラスの組成を定め、第2のフツリン酸ガラスの組成に基づきガラス原料を調合し、ガラスを生産することを特徴とするフツリン酸ガラスの製造方法。
  2. 前記ガラス原料が少なくともフッ素、酸素、リンを含み、前記原料中に含まれるリンの含有量Pに対する酸素の含有量のモル比O/Pが3.5以上になるように前記ガラス原料を調合して第2のフツリン酸ガラスを生産する請求項1に記載のフツリン酸ガラスの製造方法。
  3. ガラスの屈折率ndの値をnd(1)、ガラスを窒素雰囲気中において900℃、1時間再熔融し、ガラス転移温度まで冷却し、その後、毎時30℃の降温速度で25℃まで冷却した後の屈折率ndの値をnd(2)としたときに、nd(1)とnd(2)との差nd(2)−nd(1)の絶対値が0.00300以内であるガラスを生産する請求項1または2に記載のフツリン酸ガラスの製造方法。
  4. Li成分を導入または増量して第1のガラスよりもガラス転移温度の低い第2のガラスを作製することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のフツリン酸ガラスの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により第2のフツリン酸ガラスを作製し、第2のフツリン酸ガラスに第1のフツリン酸ガラスと同一または共通する名称を付けて供給することを特徴とするフツリン酸ガラスの供給方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法によりフツリン酸ガラスを作製し、前記ガラスを成形および/または加工する光学素子の製造方法。
  7. 請求項に記載の方法により供給されたフツリン酸ガラスを受け取り、前記ガラスを成形および/または加工する光学素子の製造方法。
  8. 第1のフツリン酸ガラスを用いて作製した光学素子の形状データに基づき、第2のフツリン酸ガラスからなる光学素子の成形および/または加工を行うことを特徴とする請求項またはに記載の光学素子の製造方法。
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