JP4655752B2 - 位置角度検出装置およびこれを用いたヘッドモーショントラッカ - Google Patents
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Description
本発明の位置角度検出装置は、例えば、ヘルメットに磁気センサを装着して頭部の位置や角度を検出して頭部の動きをモニタリングするヘッドモーショントラッカ等に利用される。
例えば、VR技術では、頭部装着型表示装置を装着する者の頭部の動きに応じて変化する画像を視認させることで、VR空間を体験させる。この場合、装着者の頭部の位置と向き(角度)とを測定し、測定結果に対応させて頭部装着型表示装置の表示画像を変化させるようにするために、ヘッドモーショントラッカを用いている。
そして磁気センサからの検出信号に基づいて、上述した算出方法により、座標原点(磁気ソース101の中心)から磁気センサ104までの位置移動量であるX、Y、Zの位置座標情報、および磁気センサの基準方向に対する角度移動量であるアジマス方向(X軸に対する回転)、エレベーション方向(Y軸に対する回転)、ロール方向(Z軸に対する回転)の角度情報を求めるようにして、これら位置角度情報から磁気センサを固定してある頭部装着型表示装置、さらには頭部の位置や角度を求めている。
磁気ソースと磁気センサとが存在する空間で電磁ノイズが発生すると、その影響は、交流磁界にも及ぶこととなる。例えば、交流基準信号として正弦波を生成して、磁気ソースから正弦波波形の交流磁界を発生させているときに、これに電磁ノイズが重畳すると、磁気センサは、正弦波波形にパルス的なノイズ波形が重畳された信号(図2参照)を受信することとなり、ノイズ成分を含んだ検出信号に基づいて位置や角度を算出することになる。
このような場合に、時系列的に検出信号を採取し、移動平均処理を行うことでノイズの影響を低減することもできるが、その場合は、本来の信号自体も平均化されてしまうので、応答性が鈍くなってしまう。
何らかのノイズが発生して検出信号に電磁ノイズに起因するパルス状ノイズ成分が含まれている場合に、ノイズ成分抽出部は、検出信号の波形と交流基準信号の波形とを比較して、両信号の位相を揃えた上で一方の信号強度が他方の信号強度と同じになるように信号レベルを拡大、縮小した上で差分を算出することにより検出信号に含まれているノイズ成分を抽出する。そして、訂正検出信号作成部は、検出信号から前記ノイズ成分抽出部により抽出されたノイズ成分を除去する演算を行い、訂正検出信号を生成する。そして、位置角度演算部は、ノイズ成分が除去された訂正検出信号に基づいて位置および角度を算出する。
また、上記発明において、訂正検出信号作成部は、検出信号におけるパルス状ノイズ成分が重畳した部分を補間データに置換することによりノイズ成分を除去した訂正検出信号を作成するようにしてもよい。
これにより、ノイズ成分が重畳していないときに検出されると推定される信号を、訂正検出信号として得ることができるので、位置、角度の正確な演算を行うことができる。
この発明によれば、電磁ノイズが発生した場合でも、正確な位置、角度を算出することができるヘッドモーショントラッカとすることができる。
図1は、本発明の一実施形態である位置角度検出装置10の構成を示すブロック図である。この位置角度検出装置10は、磁気ソース11と、ヘルメット13に装着された磁気センサ14と、磁気ソース11と磁気センサ14とに接続され、これらを制御する制御部20から構成される。
磁気ソース11は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の方向に向けられた3軸コイル12を有しており、後述する基準信号生成部21で生成された交流基準信号に基づいて3軸コイル12を、X,Y,Z軸それぞれ1軸ごと励磁する動作を繰り返すようにして、周囲の空間に、時間的に分解された3種類の交流磁界(交流磁場)を繰り返し発生する。
磁気センサ14は、磁気ソース11と同様の3軸コイル16を有しており、磁気ソース11の3軸コイル12のいずれか1軸が励磁されて発生した交流磁界を、磁気センサ14の3軸コイル16がそれぞれ検出し、さらに3軸コイル12の残り2つの軸がそれぞれ励磁されたときに発生する交流磁界についても同様に検出し、合計3×3の9個の測定データで、(一地点についての一時点の)1回測定分の磁気センサ14の検出信号として出力する。なお、これら9個の測定データは、いずれもノイズが重畳していない限り、波形形状は交流基準信号と同じであり、信号強度が異なるだけの相似形状となっている。
制御部20が磁気ソース11および磁気センサ14を用いて実行する機能を説明するために、制御部20を機能ブロック的に分けて説明すると、制御部20は、基準信号生成部21と、ノイズ抽出部22と、訂正検出信号生成部23と、位置角度算出部24とから構成される。
ノイズ抽出部22は、検出信号Dからノイズ成分を抽出する演算する制御を行う。本実施形態のノイズ抽出部22は、磁気センサ14からの検出信号Dを交流基準信号Eと比較する信号比較部25を有しており、図2に示すように、2つの信号波形を比較することにより、検出信号Dと交流基準信号Eとの波形が相似形状であるか否かを判定する。具体的には、一方の信号強度が、他方の信号強度と同じになるように信号レベルを拡大、縮小して差分を算出し、有意な差分が存在すれば、その差分が発生した部分にノイズが重畳していると判定する。差分がなければノイズ成分はないと判定される。
位置角度検出装置10を起動して、交流基準信号Eに基づいて磁気ソース11の3軸コイル12を励磁し、交流磁界を発生させる。磁気センサ14が現在存在する場所、時点での磁界データを検出し、その検出信号Dを保存する(S101)。
保存された検出信号Dを、交流基準信号Eと比較し、2つの波形が相似であるかを判定する(S102)。相似であると判定されたときはS104に進み、相似でないと判定されたときはS103に進む。
相似でないとないと判定されたときは、ノイズが重畳していることになるので、ノイズが重畳している部分について、ノイズを削除するとともに補間した訂正検出信号を作成し、S104に進む(S103)。
以上の演算処理を実行することにより、ノイズを削除した測定データに基づいて、位置や角度を求めることができる。
図5は、本発明の他の一実施形態である位置角度検出装置30の構成を示すブロック図である。図5において、図1で示したものと同じ構造部分については、同符号を付すことにより、説明の一部を省略する。
この位置角度検出装置30では、ノイズ抽出部22が、図1のように信号比較部25ではなく、閾値比較部26を備えている。閾値比較部26は、検出信号に含まれる交流波形のピーク値の変動が閾値を超えるか否かに基づいて、ノイズ成分であるか否かを判定する。
すなわち、図6(a)に示すような変調されていない正弦波の場合、図6(b)に示すような変調された正弦波(窓関数による変調)の場合のいずれにおいても、予め、交流波形のピーク値の許容変動幅をひとつ前のピーク値の±10%とし(閾値が前ピーク値の±10%と設定した場合である)、これを超えた変動がある場合には、ノイズ成分であると判定する。
ノイズ成分が抽出された後の、訂正検出信号生成部23、位置角度抽出部24による処理については、実施形態1と同様である。
位置角度検出装置30を起動して、交流基準信号Eに基づいて磁気ソース11の3軸コイル12を励磁し、交流磁界を発生させる。磁気センサ14が存在する場所、時点での磁界データを検出し、その検出信号Dを保存する(S201)。
保存された検出信号Dに含まれる交流ピーク値を順次抽出し、ピーク値の変動がひとつ前のピーク値の±10%を超えているか否かを判定する(S202)。超えてないと判定されたときはS204に進み、超えていると判定されたときはS203に進む。
超えていると判定されたときは、ノイズが重畳していることになるので、ノイズが重畳している部分について、図3で説明した処理と同様の処理を実行することにより、ノイズを削除するとともに補間した訂正検出信号を作成し、S204に進む(S203)。
以上の演算処理を実行することにより、ノイズを削除した測定データに基づいて、位置や角度を求めることができる。
本実施形態では、ピーク変動の閾値をひとつ前のピークとの比較で定めたが、これに限られない。例えば、検出信号の微分係数は、検出信号におけるピーク位置を反映するので、検出信号の微分係数をモニタすることにより、ピークの変動特性をモニタすることができる。
11:磁気ソース
12:3軸コイル(送信側)
13:ヘルメット
14:磁気センサ
16:3軸コイル(受信側)
20:制御部
21:基準信号生成部
22:ノイズ抽出部
23:訂正検出信号生成部
24:位置角度算出部
25:信号比較部
26:閾値比較部
Claims (3)
- 交流基準信号を生成する基準信号生成部と、
交流基準信号に基づいてコイルを励磁することにより空間に交流磁界を発生する磁気ソースと、
交流磁界が発生している空間内の任意の地点における交流磁界を検出する磁気センサと、
検出信号の波形と交流基準信号の波形とを比較して、両信号の位相を揃えた上で一方の信号強度が他方の信号強度と同じになるように信号レベルを拡大、縮小した上で差分を算出することにより磁気センサから出力される検出信号に含まれる電磁ノイズに起因するパルス状ノイズ成分を抽出するノイズ成分抽出部と、
検出信号から前記ノイズ成分抽出部により抽出されたノイズ成分を除去した訂正検出信号を生成する訂正検出信号作成部と、
訂正検出信号に基づいて磁気センサの位置および角度を算出する位置角度演算部とを備え、
算出した磁気センサの位置および角度から磁気センサを取り付けた物体の位置および角度を求めることを特徴とする位置角度検出装置。
- 訂正検出信号作成部は、検出信号におけるパルス状ノイズ成分が重畳した部分を補間データに置換することによりノイズ成分を除去した訂正検出信号を作成することを特徴とする請求項1に記載の位置角度検出装置。
- 請求項1〜請求項2のいずれかに記載の位置角度検出装置の磁気センサをヘルメットに装着し、ヘルメットの位置および角度を検出することを特徴とするヘッドモーショントラッカ。
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