JP4652760B2 - リクライニング椅子 - Google Patents

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Description

本発明は、背凭れの後傾に連動して、座が後下方に移動するようにしたリクライニング椅子に関する。
従来のこの種のリクライニング椅子には、座を支持する座受けフレームの後部を、背凭れを支持する背凭れ支持杆における支基への枢着部より若干後方の部分に連結し、かつ座受けフレームの前部を、支基の前部側面に設けた水平または後下方を向く長孔に摺動自在に貫通させた左右方向を向く軸の両端部をもって支持するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
特公平2−24527号公報
しかし、上述のような従来のリクライニング椅子においては、座の前部を支持する左右方向を向く軸を、支基の側面に設けた長孔に側方より貫通した後、上記軸の両端部に座受けフレームを取り付けなければならないので、それらの部品の組み立てが面倒であり、組み立て作業に時間がかかる。
また、着座時の座の前部の荷重が、座受けフレームより、左右方向を向く軸を介して、支基の長孔の下縁に集中するので、上記軸および長孔の下縁の摩耗が激しく、耐久性が悪い。
特許文献1に記載されているものにおいては、このような軸および長孔の下縁の摩耗を低減するため、長孔を支基の側面に直接設けるのではなく、支基の側面に固着した厚肉の腕片に設けているが、このような腕片を設けると、部品点数が増加するとともに、組み立て作業がさらに複雑化し、しかも重量が増大する等の問題が生じる。
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、座受けフレームの前部下面と支基の前部上面とを面接触させることにより、座の前部に掛かる荷重を支基により安定して受支することができるとともに、耐摩耗性および耐久性を向上することができ、しかも、少ない部品点数で、簡単に組み立てることができるようにしたリクライニング椅子を提供することを目的としている。
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1) 脚によって支持された支基に、背凭れを支持する背凭れ支持杆における前方を向く下部の前端部を、左右方向を向く枢軸をもって枢着するとともに、前記背凭れ支持杆を、背凭れが起立する方向に向けて付勢し、座を支持する前後方向を向く座受けフレームの後部を、前記背凭れ支持杆における枢軸より若干後方の部分に左右方向を向く軸をもって連結し、前記座受けフレームの前部下面に設けた後下方に向かって傾斜する傾斜面を、前記支基の前部上面に設けた後下方に向かって傾斜する傾斜受け面に前後方向に摺動自在に載置し、かつ前記支基と座受けフレームの前部との間に、前記傾斜面に設けた前後方向を向く長孔と、前記傾斜受け面に突設され、前記長孔に摺動自在に嵌合されるとともに、前記長孔の幅より大きい拡大頭部を有する有頭軸とを備える外れ止め手段を設け、前記傾斜面が傾斜受け面から上方に離脱するのを阻止することにより、背凭れの後傾に連動して、座が後下方に移動するようにし、さらに、前記傾斜面の後端に起立壁を設け、この起立壁に、前記長孔と連続するとともに、前記拡大頭部が通過可能であって、この拡大頭部の長孔に対する相対移動方向と同方向を向く開口を設ける。
() 上記(1)項において、座受けフレームの前部を、底面が傾斜面をなし、かつ上面が開口する箱状に形成する。
() 上記(1)または(2)項において、背凭れ支持杆、座受けフレーム、および支基における傾斜受け面をそれぞれ左右1対ずつ設け、左右の座受けフレームにより、座の両側部を支持するようにする。
() 上記()項において、支基の前部に、両側方に延出する腕部を設け、両腕部の先端部上面に傾斜受け面を形成し、それらによって、左右の座受けフレームの傾斜面を受支する。
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
(1) 請求項1記載の発明によると、座受けフレームの前部下面と支基の前部上面とを面接触させることができるので、座の前部に掛かる荷重を支基により安定して受支することができるとともに、耐摩耗性および耐久性を向上することができ、しかも、少ない部品点数で、簡単に組み立てることができる。
また、外れ止め手段の構成を簡素化することができるとともに、座受けフレームを、その起立壁に設けた開口より、支基の前部上面の傾斜受け面に突設した有頭軸を挿通させつつ、後下方に移動させ、座受けフレームの後部を背凭れ支持杆に連結するだけで、座受けフレームを短時間で簡単に支基に装着することができる。
() 請求項記載の発明によると、座受けフレームの前部を、底面が傾斜面をなし、かつ上面が開口する箱状に形成することにより、座受けフレームの構造の簡素化と強度の向上を図ることができる。
() 請求項記載の発明によると、座を安定して強力に支持することができる。
() 請求項記載の発明によると、左右の座受けフレームの傾斜面を、支基の前部より両側方に延出する腕部の先端部上面に設けた傾斜受け面により受支するようにしたので、座の下方に、着座時に座の中央が沈み込むための空間を容易に確保することができる。座をメッシュ張りとした場合には、この座の沈み込みのための空間が必要であるので、特に有意義である。
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、このリクライニング椅子は、先端部にキャスタ(1)が設けられた放射状をなす5本の脚杆(2)を有する脚体(3)を備えている。脚体(3)の中央には、ガススプリング(4)を備える伸縮式の脚柱(5)が立設されており、脚柱(5)の上端には、支基(6)の後部が固着されている。
支基(6)は、前半部の上面が開口する平面視菱形のほぼ中空箱状をなし、上面の開口部は、着脱可能な上部カバー(7)により覆われている。支基(6)の前部両側面には、左右両側方に延出する腕部(6a)が一体的に形成されている。
支基(6)の前後方向のほぼ中央には、左右方向を向く六角軸よりなる枢軸(8)が貫通しており、支基(6)より両側方に突出する枢軸(8)の両端部には、背凭れ(9)を支持する左右1対の背凭れ支持杆(10)(10)における前方を向く下部の前端部に形成された左右方向を向く筒部(10a)(10a)が固嵌され、枢軸(8)と背凭れ支持杆(10)(10)と背凭れ(9)とは、枢軸(8)の軸線を中心として、互いに一体となって支基(6)に対して回動しうるようになっている。
支基(6)の内部には、枢軸(8)を、図2おける反時計回り方向に付勢するゴムトーションユニット(11)(図3参照)とその付勢力調節手段(図示略)とが、また支基(6)の前部下面の中央には、ゴムトーションユニット(11)と連係されて、ゴムトーションユニット(11)の付勢力を補助するガススプリングユニット(12)がそれぞれ設けられ、これらによって、背凭れ(9)を起立する方向に向けて付勢する付勢手段が形成されている。
しかし、ゴムトーションユニット(11)およびガススプリングユニット(13)は、本発明には直接関係しないので、その詳細な図示および説明は省略する。
ゴムトーションユニット(11)の下面は、支基(6)の下面に着脱可能に設けられた左右1対の下部カバー(13)(13)により覆われている。
図3〜図6に示すように、左右の背凭れ支持杆(10)(10)における枢軸(8)より若干後方の部分には、短寸の起立腕(10b)(10b)が上向き突設されており、各起立腕(10b)の上端部には、座(14)の両側部を支持する前後方向を向く左右1対の座受けフレーム(15)(15)の後端部が、左右方向を向く軸(16)をもって、それぞれ連結されている。
各座受けフレーム(15)の前部は、上面が開口する箱状をなして下方に延出し、その下端面が後下方に向かって傾斜する傾斜面(17)をなし、かつその傾斜面(17)の後端に連続して、後上方を向く起立壁(18)が形成されている。
各傾斜面(17)は、支基(6)における腕部(6a)の先端部上面に形成された後下方に向かって傾斜する傾斜受け面(19)に前後方向に摺動自在に載置されている。
支基(6)における腕部(6a)の先端部と、座受けフレーム(15)の前部との間には、傾斜面(17)が傾斜受け面(19)から上方に離脱するのを阻止する外れ止め手段(20)が設けられている。
この例では、外れ止め手段(20)は、傾斜面(17)に設けた前後方向を向く長孔(21)と、傾斜受け面(19)に突設され、かつ長孔(21)に摺動自在に嵌合されるとともに、長孔(21)の幅より大きい拡大頭部(22a)を有する有頭軸(22)とを備えるものとしてあるが、長孔(21)を傾斜受け面(19)に設け、かつ有頭軸(22)を傾斜面(17)に設けて実施してもよい。また、図示の例では、有頭軸(22)の軸部に相当する部分を、前後方向を向く垂直板状としてあるが、これを円形軸としてもよい。
長孔(21)は、傾斜面(17)の前端近傍から後方に延び、後端が起立壁(18)より後方に開口している。起立壁(18)には、長孔(21)と連通し、かつ傾斜受け面(19)突設した有頭軸(22)の拡大頭部(22a)が通過可能の開口(23)が設けられている。
したがって、開口(23)より有頭軸(22)を導入させつつ、傾斜面(17)を傾斜受け面(19)に沿って後方に摺動させ、かつ各座受けフレーム(15)の後端部を、軸(16)をもって各背凭れ支持杆(10)に連結することにより、各座受けフレーム(15)を簡単かつ迅速に、支基(6)および背凭れ支持杆(10)に組み付けることができる。
組み付け後には、背凭れ(9)が起立状態から後傾させられるのに連動して、各座受けフレーム(15)およびそれによって支持された座(14)は、図4に示す状態から、図5に示すように、傾斜面(17)が傾斜受け面(19)に沿って摺動しつつ、後下方に向かって移動させられる。
このときの背凭れ(9)と座(14)の動きにより、着座者の背と大腿部との間、および大腿部と下腿部との間の角度が自然に広がり、かつ下腿部が、接床した足の踝を中心として、緩やかに後傾し、着座者に無理のない快適な移動感をもたらすことができる。
また、背凭れ(9)を後傾状態から起立状態に移動させた際には、座(14)は上記と逆に移動し、このときにも、着座者に無理のない快適な移動感を与えることができる。
なお、傾斜面(17)と傾斜受け面(19)とを、側方から見て完全な直線とすると、背凭れ(9)の後傾に連動して、座(14)が後下方に移動する際に、面接触から線接触に変わることがあるが、それらが常に広い範囲で面接触するように、傾斜面(17)と傾斜受け面(19)とを、緩やかな曲面とすることが望ましい。
座(14)は、左右1対の座受けフレーム(15)(15)に、前後位置調節可能として装着されているが、そのための具体的な構成は、本発明に直接関係しないので、その詳細な図示および説明は省略する。
各背凭れ支持杆(10)には、肘掛け(24)が設けられているが、これも本発明に直接関係しないので、その詳細な図示および説明は省略する。
以上から明らかなように、この実施形態によると、座受けフレーム(15)の前部下面と支基(6)の前部上面とを面接触させることができるので、座(14)の前部に掛かる荷重を支基(6)により安定して受支することができるとともに、耐摩耗性および耐久性を向上することができ、しかも、少ない部品点数で、簡単に組み立てることができる。
また、各請求項に記載した構成により、発明の効果として上述したような特有の効果を奏することができる。
本発明の一実施形態の正面図である。 同じく、側面図である。 同じく、主要部材の分解斜視図である。 同じく、背凭れを起立位置としたときの要部の拡大側面図である。 同じく、背凭れを後傾させたときの要部の拡大側面図である。 同じく、図4のVI−VI線に沿う部分平面図である。
(1)キャスタ
(2)脚杆
(3)脚体
(4)ガススプリング
(5)脚柱
(6)支基
(6a)腕部
(7)上部カバー
(8)枢軸
(9)背凭れ
(10)背凭れ支持杆
(10a)筒部
(10b)起立腕
(11)ゴムトーションユニット(付勢手段)
(12)ガススプリングユニット(付勢手段)
(13)下部カバー
(14)座
(15)座受けフレーム
(16)軸
(17)傾斜面
(18)起立壁
(19)傾斜受け面
(20)外れ止め手段
(21)長孔
(22)有頭軸
(22a)拡大頭部
(23)開口
(24)肘掛け

Claims (4)

  1. 脚によって支持された支基に、背凭れを支持する背凭れ支持杆における前方を向く下部の前端部を、左右方向を向く枢軸をもって枢着するとともに、前記背凭れ支持杆を、背凭れが起立する方向に向けて付勢し、座を支持する前後方向を向く座受けフレームの後部を、前記背凭れ支持杆における枢軸より若干後方の部分に左右方向を向く軸をもって連結し、前記座受けフレームの前部下面に設けた後下方に向かって傾斜する傾斜面を、前記支基の前部上面に設けた後下方に向かって傾斜する傾斜受け面に前後方向に摺動自在に載置し、かつ前記支基と座受けフレームの前部との間に、前記傾斜面に設けた前後方向を向く長孔と、前記傾斜受け面に突設され、前記長孔に摺動自在に嵌合されるとともに、前記長孔の幅より大きい拡大頭部を有する有頭軸とを備える外れ止め手段を設け、前記傾斜面が傾斜受け面から上方に離脱するのを阻止することにより、背凭れの後傾に連動して、座が後下方に移動するようにし、さらに、前記傾斜面の後端に起立壁を設け、この起立壁に、前記長孔と連続するとともに、前記拡大頭部が通過可能であって、この拡大頭部の長孔に対する相対移動方向と同方向を向く開口を設けたことを特徴とするリクライニング椅子。
  2. 座受けフレームの前部を、底面が傾斜面をなし、かつ上面が開口する箱状に形成した請求項1記載のリクライニング椅子。
  3. 背凭れ支持杆、座受けフレーム、および支基における傾斜受け面をそれぞれ左右1対ずつ設け、左右の座受けフレームにより、座の両側部を支持するようにした請求項1または2記載のリクライニング椅子。
  4. 支基の前部に、両側方に延出する腕部を設け、両腕部の先端部上面に傾斜受け面を形成し、それらによって、左右の座受けフレームの傾斜面を受支するようにした請求項記載のリクライニング椅子。
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