JP4651499B2 - レーダ画像処理装置、レーダ画像識別方法およびレーダ画像識別プログラム - Google Patents
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Description
但し、以下に説明する識別方法において、船舶は識別する地物の一例であり、船舶の代わりに車両や航空機などの移動体または建造物など他の地物を識別してもよい。また、ISAR画像はレーダ画像の一例であり、SARまたは実開口レーダなど他のレーダで観測して生成したレーダ画像でもよい。
以下、図1に示すように船舶がアジマス方向と平行に位置する場合を例に、船舶の動揺の影響によりISAR画像に表れる船舶のアジマス方向の大きさの変化について説明する。
ここで、自機(レーダ)がマイクロ波を発射する方向がレンジ方向であり、レンジ方向に対して垂直で自機が進行する方向がアジマス方向である。
ISAR画像では、ドップラセンタ周波数とドップラ周波数変化率とを用いて表わされる受信波のアジマス方向成分とその複素共役で表わされるアジマス参照関数とを相関積分するアジマス圧縮を行ってアジマス方向の位置を算出する。このため、アジマス方向は、周波数のマッピングとなり、目標物の移動速度に従ってISAR画像上の目標物の位置および大きさが変化する。また、この変化量は、目標物の移動速度に比例し、目標物が海に浮かぶ船舶である場合は波に揺れる速度(角速度)に比例する。
なお、レンジ方向については、目標物の移動速度に比べて非常に速い時間単位でレンジ圧縮処理を行うため、ISAR画像において移動による目標物のぼやけや目標物のレンジ方向の変化は発生しない。このため、レンジ方向においてはISAR画像を用いて目標物の絶対距離を計測することが可能である。
また、図3に示すように船舶の角速度ωLが大きい場合は、ISAR画像上の船舶がアジマス方向に広がり、実体とISAR画像とで構造物のアジマス方向の絶対位置は対応しない。図2・図3において、ΥA・ΥBは中心からの距離、νA・νBは揺れ幅である。
実施の形態1において、絶対位置とは、構造物間の距離の絶対値や構造物の大きさの絶対値を示す。
そこで、ISAR画像に写った目標物を識別する場合、レンジ方向を絶対位置、アジマス方向を相対位置でマッチングを行うとよい。
また、アジマス方向の大きさの変化は識別する目標物がある移動速度(角速度)で移動した際に発生するドップラ周波数に基づくものであるため、構造物の相対位置を用いてISAR画像上の地物を識別する処理は、船舶に限らず車両や航空機などの移動体(地物の一例)を識別する場合に特に有効である。
以下に、構造物の相対位置を用いてISAR画像上の船舶を識別するレーダ画像処理装置100、レーダ画像識別方法、レーダ画像識別処理、レーダ画像識別プログラムについて説明する。
図7において、レーダ画像処理装置100は、システムユニット910、表示装置901、キーボード(K/B)902、マウス903、コンパクトディスク装置(CDD)905、プリンタ装置906、スキャナ装置907を備え、これらはケーブルで接続されている。
さらに、レーダ画像処理装置100は、FAX機932、電話器931とケーブルで接続され、また、ローカルエリアネットワーク(LAN)942、ウェブサーバ941を介してインターネット940に接続されている。
図8において、レーダ画像処理装置100は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、K/B902、マウス903、FDD(Flexible Disk Drive)904、磁気ディスク装置920、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907と接続されている。
表示装置901には液晶ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどがある。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920、光ディスク装置は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶機器、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
通信ボード915は、FAX機932、電話器931、LAN942等に接続されている。
例えば、通信ボード915、K/B902、スキャナ装置907、FDD904などは、入力機器、入力装置あるいは入力部の一例である。
また、例えば、通信ボード915、表示装置901などは、出力機器、出力装置あるいは出力部の一例である。
レーダ画像処理装置100はレーダ画像データおよび既知地物データを入力機器から入力し、記憶機器に記憶する。また、レーダ画像処理装置100は利用者の指定情報を入力機器から入力し記憶機器に記憶する。また、レーダ画像処理装置100は算出した構造物の相対位置および識別した地物の識別結果を記憶機器に記憶し出力機器に出力する。
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921、ウィンドウシステム922により実行される。
ファイル群924には、実施の形態の説明において、「〜情報」として説明するデータ、「〜部」として説明する機能を実行時の判定結果や演算結果を示すデータ、「〜部」として説明する機能を実行するプログラム間で受け渡しするデータなどが「〜ファイル」として記憶されている。
また、実施の形態の説明において、フローチャートや構成図の矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920、FD(Flexible Disk cartridge)、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)、その他の記憶媒体に記憶される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
図9に示すように、実施の形態1におけるレーダ画像処理装置100は以下のものを備える。
前述のように、ISAR画像において船舶などの移動体が有する構造物は距離の絶対値・大きさの絶対値が変化するため、ISAR画像からは構造物間の距離・構造物の大きさの絶対値を測定することができない。しかし、船舶などの移動体に対しても構造物の相対位置関係は正確である。そこで、従来の判読情報が、図10に示すように、識別する目標物の外観に関して全長・全幅しか記憶しないのに対して、既知地物情報データベース193には、図11や図12に示すように、ISAR画像判読用として、構造的特徴の相対位置関係も定量的に判読情報として登録する。これにより、レーダ画像処理装置100が行うISAR画像の判読の信頼度および効率を向上させる。
図11は、既知地物情報データベース193に、相対位置情報の一例として、構造物間の相対距離を全長・全幅に対するパーセンテージで記憶した場合の相対位置情報が示す相対位置関係を図示したものである。「A+B+C+D」および「E+F+G+H」の値は「100」になる。
また、図12は、既知地物情報データベース193に、相対位置情報の一例として、構造物の相対サイズを全長に対するパーセンテージで記憶した場合の相対位置情報が示す相対位置関係を図示したものである。「I+J+K+L+M+N+O」の値は「100」になる。
実施の形態1におけるレーダ画像処理装置100がレーダ画像識別方法として実行するレーダ画像識別処理の流れを図13に基づいて以下に説明する。
まず、レーダ画像表示部110は被識別情報データベース192からレーダ画像データを取得する。そして、レーダ画像表示部110はレーダ画像データに基づいて複素数の振幅からパワー(輝度)に変換したISAR画像の表示データを生成して入出力端末191に出力する。入出力端末191の表示装置901は表示データに基づいてISAR画像を表示する(S101)。
次に、構造物指定処理部120は、入出力端末191のキーボード902やマウス903により利用者に構造物の位置を指定させる。そして、構造物指定処理部120は、入出力端末191から利用者が指定した構造物の位置を示す構造物指定データを入力しレーダ画像データに対応付けて被識別情報データベース192に記憶する(S102)。
次に、構造物画像位置算出部130は、被識別情報データベース192から構造物指定データを取得し、ISAR画像における構造物の絶対位置情報をCPU911により算出する。そして、構造物画像位置算出部130は算出した構造物の絶対位置情報をレーダ画像データに対応付けて被識別情報データベース192に記憶する(S103)。
次に、構造物相対位置算出部140は、被識別情報データベース192から構造物の絶対位置情報を取得し、ISAR画像における各構造物の絶対位置情報に基づいてISAR画像における各構造物の相対位置情報をCPU911により算出する。そして、構造物相対位置算出部140は算出した構造物の相対位置情報をレーダ画像データに対応付けて被識別情報データベース192に記憶する(S104)。
次に、地物識別部150は、被識別情報データベース192からISAR画像における構造物の相対位置情報を取得し、既知地物情報データベース193から既知地物データを取得する。そして、地物識別部150は、ISAR画像における構造物の相対位置を既知地物データが示す既知の船舶の有する構造物の相対位置と比較し、適合した相対位置に構造物を有する既知の船舶がISAR画像上の船舶であるとCPU911により判定する。地物識別部150は、例えば、構造物の相対位置の差が特定の閾値以内であれば当該構造物が適合すると判定し、適合する構造物の数が当該船舶の有する構造物の数に一致または適合する構造物の数が特定の閾値以上または当該船舶の有する構造物の数に対する適合する構造物の数の割合が特定の閾値以上である場合に、当該既知の地物がISAR画像上の地物であると判定する。また、地物識別部150はISAR画像についてレンジ方向を絶対位置、アジマス方向を相対位置で比較しISAR画像上の地物を識別してもよい。地物識別部150は適合した既知の船舶の名称(識別結果の一例)をレーダ画像データに対応付けて被識別情報データベース192に記憶する。また、地物識別部150は、適合した地物の名称を表わす表示データを生成して入出力端末191に出力する。入出力端末191の表示装置901は表示データに基づいてISAR画像上に地物の名称を表示する(S105)。
また、識別する地物は、船舶に限らず、航空機・車両・建造物など他の地物でもよい。
また、レーダ観測は人工衛星から行ってもよいし、航空機などの飛行体から行ってもよい。
Claims (4)
- レーダ画像に写る地物を識別するレーダ画像処理装置であり、
構造物を有する地物が写ったレーダ画像を表わすレーダ画像データを記憶機器から取得し、取得したレーダ画像データが表わすレーダ画像に基づいて前記地物が有する前記構造物のレンジ方向の絶対位置情報と前記地物が有する前記構造物のアジマス方向の絶対位置情報とを中央処理装置により算出し記憶機器に記憶する構造物画像位置算出部と、
前記構造物画像位置算出部が算出した前記構造物のアジマス方向の絶対位置情報に基づいて前記構造物のアジマス方向の相対位置情報を中央処理装置により算出し記憶機器に記憶する構造物相対位置算出部と、
既知の地物が有する構造物の既知の位置情報として既知の絶対位置情報と既知の相対位置情報とを記憶機器から取得し、前記構造物相対位置算出部が算出したアジマス方向の相対位置情報を既知の相対位置情報と比較すると共に前記構造物画像位置算出部が算出したレンジ方向の絶対位置情報を既知の絶対位置情報と比較し、アジマス方向の相対位置情報に適合する既知の相対位置情報とレンジ方向の絶対位置情報に適合する既知の絶対位置情報とに対応する構造物を有する地物がレーダ画像における地物であると中央処理装置により判定し、判定した識別結果を記憶機器に記憶する地物識別部と
を備えたことを特徴とするレーダ画像処理装置。 - 前記構造物画像位置算出部は、
レーダ画像における地物の有する構造物間の距離の絶対値とレーダ画像における地物の有する構造物のサイズの絶対値との少なくともいずれかを構造物の絶対位置情報として算出し、
前記構造物相対位置算出部は、
レーダ画像における地物の有する構造物間の距離の比率を示す構造物間の相対距離とレーダ画像における地物の有する構造物のサイズの比率を示す構造物の相対サイズとの少なくともいずれかを構造物の相対位置情報として算出し、
前記地物識別部は、
レーダ画像における地物の有する構造物間の距離とレーダ画像における地物の有する構造物のサイズとの少なくともいずれかに基づいてレーダ画像における地物を判定した識別結果を記憶する
ことを特徴とする請求項1記載のレーダ画像処理装置。 - レーダ画像に写る地物を識別するレーダ画像処理装置のレーダ画像識別方法であり、
構造物画像位置算出部が、構造物を有する地物が写ったレーダ画像を表わすレーダ画像データを記憶機器から取得し、取得したレーダ画像データが表わすレーダ画像に基づいて前記地物が有する構造物のレンジ方向の絶対位置情報と前記地物が有する前記構造物のアジマス方向の絶対位置情報とを中央処理装置により算出し記憶機器に記憶する構造物画像位置算出処理を行い、
構造物相対位置算出部が、前記構造物画像位置算出部により算出された前記構造物のアジマス方向の絶対位置情報に基づいて前記構造物のアジマス方向の相対位置情報を中央処理装置により算出し記憶機器に記憶する構造物相対位置算出処理を行い、
地物識別部が、既知の地物の有する構造物の既知の位置情報として既知の絶対位置情報と既知の相対位置情報とを記憶機器から取得し、前記構造物相対位置算出部により算出されたアジマス方向の相対位置情報を既知の相対位置情報と比較すると共に前記構造物画像位置算出部により算出されたレンジ方向の絶対位置情報を既知の絶対位置情報と比較し、アジマス方向の相対位置情報に適合する既知の相対位置情報とレンジ方向の絶対位置情報に適合する既知の絶対位置情報とに対応する構造物を有する地物がレーダ画像における地物であると中央処理装置により判定し、判定した識別結果を記憶機器に記憶する地物識別処理を行う
ことを特徴とするレーダ画像識別方法。 - 請求項3記載のレーダ画像識別方法をコンピュータに実行させることを特徴とするレーダ画像識別プログラム。
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