JP4649068B2 - 2原料油の同時水素処理方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は2つの炭化水素原料油の同時水素処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
製油所では、例えば、原油から抽出された炭化水素原料油を水素化分解することによってタービン燃料、ディーゼル燃料、及び中間留分として知られている他の望ましい製品と同時に、ナフサやガソリンなどの低沸点炭化水素液を生産することが多い。最も多く水素化分解で処理される原料油は原油から蒸留によって回収される軽油と重質軽油である。典型的な重質軽油は沸点が371℃以上の炭化水素成分のかなりの部分、通常は沸点371℃以上の成分が重量で50%以上を含んでいる。一般的な減圧軽油は通常315℃から565℃の沸点範囲を有している。
【0003】
水素化分解は、通常、軽油又は他の原料油を精油業者が望む一連の炭化水素製品を製品をつくるために、水素化分解反応容器又はゾーン内で、水素の存在下、昇温、昇圧の条件下で適切に処理するように水素化分解触媒に接触することによって行われる。水素化分解反応器内の操作条件及び水素化分解触媒は水素化分解された製品の収率に影響を及ぼす。
【0004】
米国特許出願第5,720,872号は別個の反応容器内で行われる2つ、あるいはそれ以上の水素化分解段階で液体原料油を水素処理するための工法を開示しており、それらの各反応段階は1つの水素処理触媒床を含んでいる。第1の反応段階からの液体生成物は低圧ストリッピングゾーンに送られて、硫化水素、アンモニア及び他の溶解ガスのストリッピングされる。ストリッピングされた生成物ストリームは次の下流反応段階に送られて、そこからの生成物も溶融ガスのストリッピングが行われて、さらに次ぎの段階へと、次々に最終反応段階まで送られて、そこからの液体生成物も溶解ガスのストリッピングが行われて、回収され、あるいはさらに処理するために送られる。処理ガスの流れは反応段階が液体の流れに沿って配列されているのとは反対の方向である。各ストリッピング段階は別個の段階であるが、すべての段階は同じストリッパー容器内に含まれている。
【0005】
国際特許出願公開公報第WO97/38066号(PCT/US/97/04270)は水素処理反応器システムにおける逆段階配列構成の工法を開示している。
【0006】
米国特許出願第3,328,290号は原料油が第1の段階で予備処理される炭化水素水素化分解のための2段階工法を開示している。
【0007】
米国特許出願第5,114,562号は、2つの反応ゾーンを直列に用いて低硫黄及び低芳香族製品を製造するために中間留分石油ストリームが処理される工法を開示している。第1の反応ゾーン(脱硫ゾーン)からの流出液が冷却されて水素ストリッピングゾーンに送られて、そこで、硫化水素がそのストリッピングゾーンに存在している状態下で蒸気である少量の炭化水素と共に上部から除去される。ストリッピングゾーンからのボトムストリームは再度加熱されて、硫黄感受性貴金属水素化触媒を含む第2の反応ゾーン(芳香族飽和ゾーン)内に導入される。第1の反応ゾーンと比較して、第2の反応ゾーンでは操作圧力は増加され、操作温度は減少する。用いられる脱硫条件は非常に限定的な分解だけが必要な場合は比較的緩やかである。第2の反応ゾーンで何らかの本格的分解を行うのは望ましくない。ストリッピングゾーンの蒸気段階でディーゼル燃料などの重質製品留分炭化水素をできるだけ少なくすることが特に望ましい。
【0008】
【発明解決しようとする課題】
本発明は2つの原料油を同時に水素処理して、より高い液体製品収率をもたらし、同時に液体製品の品質を向上させる触媒利用水素化方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、第1の炭化水素原料油と水素が水素化分解反応ゾーンに送られて、低沸点炭化水素化合物を含むストリームがつくりだされ、そのストリームが次に加熱された水素を大量に含むストリッピングガスを用いた高温の高圧ストリッパーに送られて水素と、沸点が上記第1の原料油以下の温度である炭化水素化合物を含む蒸気ストリームと、沸点が第1の供給原料と同じ沸点範囲にある炭化水素化合物を含む液体ストリームがつくりだされる。上記第1の炭化水素原料油より低い沸点範囲を有する第2の炭化水素ストリームは還流として上記ストリッパーの上部端部に送られる。水素及び沸点が第1の供給原料より低い温度である炭化水素化合物を含む蒸気ストリームは、好ましくはその内部に含まれている芳香族化合物の少なくとも一部を飽和させるために分離した容器を含む後処理水素化反応ゾーン内に導入される。第2の原料油の少なくとも一部はそのストリッパー内で蒸気化されて、後処理水素化ゾーン内に入り、芳香族化合物を飽和させて、それによって上記後処理ゾーンからの炭化水素系流出液の品質が向上する。後処理水素化反応ゾーンからの流出液の少なくとも一部は濃縮されて、沸点が第1の原料油の沸点以下の温度である炭化水素化合物を含む第2の液体ストリームと水素及び硫化水素を含む第2の蒸気ストリームがつくりだされる。好ましい実施の形態においては、その硫化水素の少なくとも一部は水素化分解ゾーンに循環される前に上記第2の蒸気ストリームから除去される。分離した後処理水素化ゾーンは、第2の原料油が高温高圧ストリッパーの上部では高い温度を必要とするので分離容器に保持され、その後後処理水素化ゾーンに適した状態になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
1つの実施の形態で、本発明は異なった沸点範囲を有する2つの原料油を同時に水素処理する方法であって、(a)水素化分解触媒を含み、204℃から482℃の温度、3.44MPaから17.2MPaの圧力、そして0.1h-1から15h-1の液空間速度で操作する水素化分解ゾーンに第1の炭化水素原料油と水素を送って、そこから水素化分解ゾーン流出液を回収するステップと、(b)前記水素化分解ゾーン流出液を加熱された水素を多量に含むガスを用いる高温高圧ストリッパーに直接送り、水素、硫化水素、及び、沸点が前記第1の炭化水素原料油の沸点以下の温度である炭化水素化合物を含む第1の蒸気ストリームと、沸点が前記第1の炭化水素原料油の沸点範囲にある炭化水素化合物を含む第1の液体ストリームとつくりだすステップと、(c)前記第1の炭化水素原料油より沸点範囲が低い第2の炭化水素原料油を還流として前記ストリッパーの上端に送るステップと、(d)ステップ(b)で回収された前記第1の蒸気ストリームの少なくとも一部を後処理水素化反応ゾーンを含む分離容器に送って芳香族化合物を飽和させるステップと、(e)前記後処理水素化反応ゾーンから得られる流出液の少なくとも一部を凝縮させて、沸点が前記第1の炭化水素原料油の沸点以下の温度である炭化水素化合物を含む第2の液体ストリームと、そして水素と硫化水素を含む第2の蒸気ストリームをつくりだすステップと、そして(f)前記水素化分解ゾーンに第2の蒸気ストリームの少なくとも一部を再循環させるステップを含む方法に関係している。
【0011】
別の実施の形態で、上記第1の液体ストリームの少なくとも一部は水素化分解ゾーンに再循環される。
【0012】
本発明は2つの原料油を水素処理してより高い液体製品収率とより低い製造コストを達成する上で特に有益である。これらの原料油はより低い平均的沸点とより改良されたセタンや煙点、そして硫黄や窒素などの汚染物質含有量の低下などより優れた性質を有する製品を製造するための炭化水素及び/又はその他の有機物質を含んでいる。本発明による水素処理にかけることができるこれらの炭化水素原料油にはすべての鉱油及び合成油(けつ岩油やタール・サンド産物など)及びそれらの留分を含んでいる。より高い沸点を有する炭化水素原料油には常圧軽油、減圧軽油、脱アスファルト油、減圧残さ油、常圧残さ油、水素処理残さ油、コーカー留分、直留留分、高温分解油、高沸点合成油、そして接触分解留分など沸点が288℃以上の物質を含んでいる。1つの好ましい水素化分解原料油は軽油、又は、その成分の少なくとも50重量%、そして最も一般的には少なくとも75重量%が望ましい製品の終点より高い温度での沸点を有する他の炭化水素分画であり、その終点とは、重質軽油の場合、通常193℃から215℃の範囲である。最も好ましい軽油供給原料の1つは沸点が288℃以上の炭化水素成分を含んでおり、最良の結果は成分の少なくとも25体積%が315℃から538℃の範囲で沸騰する場合に達成される。成分の少なくとも90%が149℃から426℃の範囲の沸点を有する石油留分も含まれる。
【0013】
第1の選択された留分は最初に水素化分解反応条件下で水素化分解反応ゾーンに導入される。好ましい水素化分解反応条件は204℃から482℃の範囲の温度、3.44MPaから17.2MPaの範囲の圧力、そして、水素化分解触媒が存在している状況での0.1h-1から10h-1の範囲の新鮮な炭化水素原料油の液空間速度を含んでいる。
【0014】
水素化分解ゾーンは同じあるいは異なった触媒による1つ又は複数の反応床を含んでいる。1つの実施の形態では、好ましい製品が中間留分である場合、好ましい水素化分解触媒は1つ又は複数のVIII族又はVIB族金属水素化成分と結合したアモルファス・ベースあるいは低レベル・ゼオライト・ベースを用いる。別の実施の形態で、好ましい製品がガソリン沸点範囲である場合、水素化分解ゾーンは、通常、その上に少量のVIII族金属水素化成分が沈着される結晶性ゼオライト分解ベースを含む触媒を含んでいる。ゼオライト・ベースを組み込むためにVIB族からさらに別の水素化成分を選択することもできる。ゼオライト分解ベースはこの技術分野ではしばしば分子ふるいと呼ばれ、通常はシリカ、アルミナ、及びナトリウム、マグネシウム、カルシウム、希土類金属などの1つ又は複数の交換可能な陽イオンで構成されている。それらはさらに4〜14オングストローム(10-10メートル)の比較的均一な直径を有する結晶孔を特徴としている。シリカ/アルミナモル比が3〜12と比較的高いゼオライトを用いることが好ましい。自然に見出される適切なゼオライトには、例えば、モルデナイト、スチルバイト、ヒューランダイト、フェリエライト、ダチアルダイト、チャバザイト、エリオナイト、そしてフォージャサイトなどがある。適切な合成ゼオライトには、例えば、合成ファージャサイト及びモルデナイトなどのB、X、Y及びL結晶タイプのものなどがある。好ましいゼオライトには8〜12オングストローム(10-10メートル)の結晶孔直径を有し、シリカ/アルミナモル比が4〜6の範囲のものである。こうした好ましいグループに入るゼオライトで最も主要な例は合成Yモレキュラーシーブである。
【0015】
天然由来のゼオライトは通常ナトリウム型、アルカリ土類金属型、あるいは混合型で見出される。合成ゼオライトはほとんどの場合最初はナトリウム型でつくられる。いずれの場合においても、クラッキングベースとして用いるためには、当初ののゼオライト一価金属のほとんど又はすべてが多価金属及び/又はアンモニウム塩とイオン交換されて、その後、ゼオライトと結合したアンモニウムイオンを分解して、それらのスペースにさらに水分の除去によって実際に脱陽イオン化した水素イオン及び/又は交換サイトを残すようにするのが好ましい。こうした性質の水素又は『脱陽イオン化された』Yゼオライトは米国特許第3,130,006号により具体的に述べられている。
【0016】
混合多価金属−水素ゼオライトは最初にアンモニウム塩とイオン交換を行い、その後、部分的に多価金属塩と逆イオン交換を行って、その後か焼することによってつくることができる。いくつかの場合、合成モルデナイトの場合と同様、アルカリ金属ゼオライトを直接酸処理することで水素型をつくることも可能である。好ましいクラッキングベースは最初のイオン交換容量に基づいて、金属陽イオンが少なくとも10パーセント、そして好ましくは少なくとも20パーセント不足しているものである。特に望ましい、そして安定したクラスのゼオライトはイオン交換容量の少なくとも20パーセントが水素イオンで満たされているものである。
【0017】
水素化成分など、本発明の好ましい水素化分解触媒において用いられる活性金属は鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、そして白金などのVIII族のものである。これらの金属に加えて、モリブデンやタングステンなどのVIA族の金属を含む他のプロモータもそれらとの組み合わせで用いることができる。触媒における水素化金属の量は広い範囲内で変えることができる。大雑把に言えば、0.05〜30重量パーセントの範囲の量を用いることができる。貴金属の場合、通常は0.05〜2重量パーセントを用いることが好ましい。水素化金属を組み込むための好ましい方法はこのゼオライト・ベース物質をその金属が陽イオン型で存在している望ましい金属の適切な化合物の水溶液と接触させることである。選択された1つ又は複数の金属の添加に続いて、得られた触媒粉末をろ過、乾燥し、望ましい場合は加えられた潤滑剤、結合剤などと共にペレット化し、例えば371〜648℃の温度下で大気中でか焼して、その触媒を活性化させると共にアンモニウムイオンを分解させる。別の方法として、ゼオライト成分を最初にペレット化して、その後、水素化成分を加えてか焼によって活性化させてもよい。上に述べた触媒は非希釈状態で用いることができ、あるいは粉体化されたゼオライト触媒をアルミナ、シリカゲル、シリカ−アルミナ共ゲル、活性化触媒など他の比較的活性度の低い触媒、希釈剤、あるいは結合剤と5〜90重量パーセントの割合で混合して、共ペレット化してもよい。これらの希釈剤は上に述べたように用いられてもよいし、あるいはVIB族及び/又はVIII族金属などの付加された水素化金属を少量含んでいてもよい。
【0018】
本発明による方法においては、例えば、アルミノホスフェートモレキュラーシーブ、結晶性クロモシリケート、及びその他の結晶性シリケートといったさらに別の金属促進水素化分解触媒を用いることもできる。結晶性クロモシリケートについては米国特許出願第4,363,718号により詳しく述べられている。
【0019】
水素化分解触媒と接触する炭化水素原料油の水素化分解は水素の存在下で、好ましくは232℃から468℃の温度、3.44MPaから20.7MPaの圧力、0.1h-1から30h-1の液空間速度(LHSV)、そして337ノーマルm3/m3から4200ノーマルm3/m3の範囲の水素循環値を含む水素化分解条件で行われる。本発明によれば、「低沸点製品への実質的な転化」とは新鮮な供給原料の最低10体積パーセントの転化を意味する。水素化分解ゾーン内での通過1回あたりでの転化率は好ましくは10%から50%の範囲、そしてより好ましくは20%から40%の範囲である。
【0020】
水素化分解ゾーンから得られる流出液は意図的な熱交換は行わないで(冷却しないで)、水素化分解反応ゾーンと基本的には同じ圧力で維持された高温高圧ストリッピングゾーンに導入される。そこでは、水素リッチなガス状ストリームで向流的にストリップされ、沸点が371℃未満の炭化水素化合物、硫化水素、及び、アンモニアを含む第1のガス状炭化水素ストリームと、沸点の温度が371℃を越える炭化水素化合物を含む第1の液体炭化水素ストリームとが形成される。ストリッピングゾーンは好ましくは232℃から468℃の範囲の温度で維持される。水素化分解反応ゾーンからの流出液は十分に冷却されず、反応ゾーンからストリッピングゾーンへの移送中に不可避的に起きる熱ロスによって多少温度が低くなるだけである。水素化分解反応ゾーン流出液の冷却は84℃以下が好ましく、56℃以下とすることがより好ましい。水素化分解反応ゾーンと基本的には同じ圧力に維持するとは、圧力に差があってもそれは流出液ストリームを反応ゾーンからストリッピングゾーンに流すのに必要な圧力降下によるもの、という意味である。圧力降下は1.03MPa以下、より好ましくは0.69MPa以下であることが好ましい。水素リッチなガス状ストリームは好ましくは炭化水素原料油の5重量%より多い量でストリッピングゾーンに送られる。第2の原料油は還流として機能させるために上記高温高圧ストリッパーの上端に導入され、本発明によってさらに処理される。
【0021】
上記ストリッピングゾーンから回収された沸点が371℃以上の炭化水素化合物を含む第1の液体炭化水素ストリームの少なくとも一部は、好ましい実施の形態においては、添加された水素と共に水素化分解反応ゾーンに循環される。
【0022】
得られた、沸点が371℃以下の炭化水素化合物、水素、硫化水素、アンモニアを含むストリッピング・ゾーンからの第1のガス状炭化水素ストリームは中間留分、特にジェット燃料の品質を改善するために少なくともその芳香族化合物の一部を水素化する目的で後処理水素化ゾーンを含む分離容器内に導入される。上記第1のガス状炭化水素ストリームは上記第2の供給原料の少なくとも一部を含んでいる。この後処理水素化ゾーンは降流、昇流、あるいは放射流などのいずれの操作モードで実施されてもよく、公知のいずれの水素化触媒を用いても差し支えない。
【0023】
第2の原料油のために必要とされるより高い温度が通常、高温高圧ストリッパーと後処理水素化分解ゾーンの間に中間熱交換器を必要とするので、この反応器には降流が好ましい。第1のガス状ストリームの冷却は降流操作に最も適した混合相状態をつくりだすことができる。後処理水素化分解ゾーンからの流出液は4.4℃から60℃の範囲の温度に冷却されて、部分的に凝縮されて、第2の液体炭化水素ストリームがつくられ、それが回収、分留されて望ましい炭化水素製品ストリームをつくりだす。この第2の液体炭化水素ストリームの一部を第2の原料油と共に高温高圧ストリッパーの上部に循環させることができる。凝縮した第2のストリームは又第2の水素リッチなガス状ストリームもつくりだし、このガス状ストリームが二つに分かれ、上に述べたように水素化分解ゾーン内に導入される添加水素の少なくとも一部と、そしてストリッピングゾーン内に導入される第1の水素リッチなガス状ストリームの少なくとも一部をつくりだす。新鮮な補給水素はいずれの適切かつ好適な場所でもその工程に導入することができるが、好ましくはストリッピングゾーン内に導入される。第2の水素リッチなガス状ストリームを水素化分解ゾーンに導入する前に、硫化水素の少なくともかなりの部分、例えば少なくとも90重量%が公知の好適な方法で除去、回収されることが好ましい。好ましい実施の形態では、水素化分解ゾーンに導入される水素リッチなガス状ストリームは50wppm以下の硫化水素を含んでいる。
【0024】
本発明によれば、第2の原料油は炭化水素及び/又はその他の有機物質を含んでおり、その沸点範囲が第1の原料油の沸点範囲以下か、あるいは少なくともその一部の沸点が第1の原料油の沸点範囲以下である。第2の原料油は好ましくは149℃から382℃の範囲で沸騰する。第2の原料油は高温高圧ストリッパーの上部端部に導入され、還流として機能する。第2の原料油の沸点範囲、及びそのストリッパーの操作条件に応じて、少なくとも一部を蒸気化して、その後、後処理水素化反応ゾーンに送られて、そこで、硫黄と窒素を含むヘテロ原子が炭化水素に添加され、それによって硫化水素及びアンモニアがつくりだされ、芳香族化合物が飽和される。この後処理水素化反応ゾーンは改良された製品品質を有する炭化水素ストリームをつくりだす。
【0025】
図面において、本発明による方法を簡略されたフロー図で示されており、この図ではポンプ、計器、熱交換及び熱回収回路、圧縮機、そして同様のハードウエアは組み込まれた技術の理解に必須ではないので、省略している。こうした雑多の機器の使用は当業者のよく知るところである。
【0026】
減圧軽油の新鮮な原料油はライン1を介して工程に導入され、ライン6を通じて提供される以下に述べる循環液体炭化水素及びライン29を通じてもたらされる水素リッチガス状循環ストリームと混合される。得られた水素化分解された混合物はライン2を介して水素化分解ゾーン3に導入される。そこで得られる水素化分解された流出液は導管4を介して水素化分解ゾーン3から取り出され、高圧製品ストリッパー内に直接導入される。液体炭化水素ストリームはライン6を介して高圧製品ストリッパー5から取り出され、その一部は上に述べたようにライン6を介して水素化分解ゾーン3に循環される。高圧製品ストリッパー5からの底留分炭化水素液の別の部分はライン6とライン25を介して取り出され、回収される。ディーゼルの沸点と同じ範囲の沸点を有する炭化水素を含む第2の新鮮な原料油が高圧製品ストリッパー5の上部端部でライン24を介して還流として導入され、その装置内で処理される。水素化分解された炭化水素化合物とライン24を介して導入される第2の原料油の少なくとも半数を含む蒸気ストリームはライン7を介して高圧製品ストリッパー5から取り出され、後処理ゾーン8内に導入される。得られる水素処理されたガス状炭化水素ストリームはライン9を介して後処理ゾーン8から取り出され、ライン33を介して導入された性浄水ストリームと混合され、得られた混合物を熱交換器10内に導入される。得られた冷却された、そして部分的に凝縮されたストリームはライン11を介して熱交換器10から取り出され、高圧セパレーター12内に導入される。使用済みの洗浄水ストリームはライン34を介して高圧セパレーター12から取り出される。
【0027】
液体炭化水素ストリームはライン13を介して高圧セパレーター12から取り出され、低圧セパレーター14内に導入される。通常のガス状炭化水素ストリームは導管15を介して低圧セパレーター14から取り出され、回収される。液体炭化水素製品ストリームは導管16を介して低圧セパレーター14から取り出され、回収される。硫化水素を含む水素リッチなガス状ストリームはライン17を介して高圧セパレーター12から取り出され、アミンスクラバー18内に導入される。貧アミン溶液がライン35を介してアミンクラバー18内に導入され、そしてアミンリッチな溶液はライン36を介してそこから取り出される。硫化水素の濃度が低下した水素リッチなガス状ストリームはライン19を介してアミンスクラバー18から取り出され、ライン20を介して提供される水素メイクアップガスと混合される。得られた水素を多量に含むガスの混合物はライン21を介して送られ、圧縮機22内で圧縮される。圧縮されたガスの一部は圧縮機22から取り出されて、ライン23及び29を通じて運ばれ、上に述べたように水素リッチなガス状循環ストリームを提供する。この圧縮された水素リッチなガスの別の部分はライン23と26を介して圧縮機22から取り出され、熱交換器27内に導入される。加熱された水素リッチなガス状ストリームはライン28を介して熱交換器27から取り出され、高圧製品ストリッパーの下部部分に導入されて、そこでストリッピングガス及び後処理反応ゾーン8における反応物質として用いられる。
【0028】
【実施例】
表1に示す特性を有する91.4m3/hrの量の減圧軽油原料油を水素化分解触媒を有し、11.0MPaの圧力と399℃の温度、そして1348nm3/m3の水素循環値を含む条件で操作される水素化分解ゾーンに導入する。水素化分解ゾーンからの流出液を冷却せずに10.7MPaの圧力と399℃の温度で操作される高温高圧ストリッパー内に導入する。表1に示す特性を有する58.94m3/hrの量のディーゼル沸点範囲原料油を高温高圧製品ストリッパーの上部端部に導入して還流として用いると同時に、品質を向上させる。高温で水素リッチなストリッピングガスを上記ストリッパーの下側端部に結合原料油のベースで1264nm3/m3の量で導入する。水素化分解された炭化水素化合物と上記でディーゼル原料油の少なくとも半数を含む蒸気ストリームが高圧製品ストリッパーから取り出されて、芳香族炭化水素化合物を飽和させる能力を持っていることを基準に選択された水素化触媒を含む後処理ゾーン内に導入されて、10.7MPaの圧力と349℃の温度を含む条件下で操作される。得られた水素処理されたガス状炭化水素ストリームを後処理ゾーンから取り出して、洗浄液ストリームと混合させ、冷却する。得られた冷却され、部分的に凝縮されたストリームを分離して、使用済み水性ストリーム、液体炭化水素ストリーム、及び水素リッチなガス状ストリームを回収する。回収された液体炭化水素ストリームを安定させ、分離して、17.2m3/hrの量のナフサ製品と96.7m3/hrの量で、15℃における比重が0.849、セタン指数50のディーゼル製品を得る。45.7m3/hrの量の転化されていないストリームを高圧製品ストリッパーから取り出して、水素化分解ゾーンに循環させる。量が46.4m3/hrで15℃で0.886の比重を有する別のストリームがその高圧製品ストリッパーの底部から取り出され、その後、流体触媒性分解ゾーンに充填するか、あるいはその他の方法で用いられる。
【0029】
【0030】
従来技術の方法と本発明の方法との収率の比較を表2に示す。
【0031】
【0032】
従来技術の方法で得られるディーゼルの品質と本発明の方法でえられるディーゼルの品質の比較を表3に示す。
【0033】
【0034】
【発明の効果】
本発明は2つの供給原料を同時に水素処理して、より高い液体製品収量をもたらすと同時に液体製品の品質を向上させる触媒利用水素化方法である。本発明による方法は装置の経済性を犠牲にせずに1回の通過操作での低転化率によってもたらされる収量上の利点を提供する。
【0035】
商業的な原料油精製においては、種々のプロセスフロースキーム、操作条件及び触媒が用いられているが、より低いコストでより高い液体製品収率及び品質を提供してくれる新しい水素化分解方法に対する需要は常に存在している。一般的に、触媒水素化分解ゾーンの通過1回あたりの転化率を低くすると(新鮮な原料の60〜90%転化)高い製品選択性が達成できることが知られている。しかしながら、これまでは、1回の通過あたりの転化率60%での操作でどんな利点が得られても、それは無視できる程度か、あるいは回収量の低下につながるだけだと考えられていた。1回あたりの転化率を低くすると一般的にはより高くつくが、本発明は1回の通過工程あたりの低転化率による経済的利点を大幅に改善し、予想外の効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態のフロー図である。
【符号の説明】
1,2,6,7,9,11,13,17,19,20,21 ライン
3 水素化分解ゾーン
4,15,16 導管
5 高圧製品ストリッパー
8 後処理ゾーン
10 熱交換器
12 高圧セパレーター
14 低圧セパレーター
18 アミンスクラバー
22 圧縮機
23,24,25,26,28,29 ライン
27 熱交換器
Claims (10)
- 以下のステップを含む、異なった沸点範囲を有する2つの原料油を同時に水素処理する方法。
(a) 水素化分解触媒を含む水素化分解ゾーンに第1の炭化水素原料油と水素を送り、204℃から482℃の温度、3.44MPaから17.2MPaの圧力、0.1h-1から15h-1の液空間速度で操作し、そこから水素化分解ゾーン流出液を回収するステップと、
(b) 当該水素化分解ゾーン流出液を加熱された水素リッチなストリッピングガスを利用する高温高圧ストリッパーに直接送り、水素、硫化水素、及び、沸点が当該第1の炭化水素原料油の沸点より低い炭化水素化合物を含む第1の蒸気ストリームと、前記第1の炭化水素供給原料の沸点範囲に沸点を有する炭化水素化合物を含む第1の液体ストリームとをつくりだすステップと、
(c) 当該第1の炭化水素原料油より沸点範囲が低い第2の炭化水素原料油を還流として当該ストリッパーの上端に送るステップと、
(d) ステップ(b)で回収された当該第1の蒸気ストリームの少なくとも一部を後処理水素化反応ゾーンを含む分離容器に送って芳香族化合物を飽和させるステップと、
(e) 当該後処理水素化反応ゾーンから得られる流出液の少なくとも一部を凝縮させて、沸点が当該第1の炭化水素原料油の沸点より低い炭化水素化合物を含む第2の液体ストリームと、そして水素と硫化水素を含む第2の蒸気ストリームをつくりだすステップと、そして
(f) 当該水素化分解ゾーンに当該第2の蒸気ストリームの少なくとも一部を再循環させるステップ。 - 水素及び硫化水素を含む第2の蒸気ストリームを処理して当該硫化水素の少なくとも一部を除去する請求項1記載の方法。
- 第2の蒸気ストリームが50wppm以下の硫化水素を含む請求項1記載の方法。
- 第1の炭化水素原料油が315℃から565℃の範囲の温度で沸騰し、そして
第2の炭化水素原料油が149℃から382℃の範囲の温度で沸騰する請求項1記載の方法。 - 高温高圧ストリッパーが実質的に水素化分解ゾーンの温度と等しい温度及び圧力で操作される請求項1記載の方法。
- 高温高圧ストリッパーが、水素化分解ゾーンの出口温度より84℃以上低くない温度、及び、水素化分解ゾーンの出口圧力より1.03MPa以上低くない圧力で操作される請求項1記載の方法。
- 水素化分解ゾーンが通過1回あたり10%から50%の範囲の転化率で操作される請求項1記載の方法。
- 水素化分解ゾーンが通過1回あたり20%から40%の範囲の転化率で操作される請求項1記載の方法。
- 第1の液体ストリームの少なくとも一部が水素化分解ゾーンに再循環される請求項1記載の方法。
- 後処理水素化反応ゾーンが204℃から482℃の温度と、3.44MPaから17.2MPaの圧力を含む反応ゾーン条件下で操作される請求項1記載の方法。
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