JP4647874B2 - 注射装置 - Google Patents

Description

【０００１】
発明の技術分野
本発明は、注射装置に関係するものである。
【０００２】
発明の背景
吸引作用を用いる注射装置は、米国特許第４１１４６１９号で提案されている。提案されたデバイスは、開放されたキャビティを持っており、前記キャビティの底部から注射針が突き出ている。開放されたキャビティは、皮膚にあてがわれる。キャビティの開口が正しく置かれると、キャビティの中に真空を作り出す吸引ピストンをセンサが作動させる。この真空が、皮膚をキャビティの底部のほうへ引き寄せ、そしてその時キャビティの底部から突き出ている注射針に突き刺させる。圧力変換器からなる第二の検出器が、注射器のピストンを作動させる。
【０００３】
米国特許第４１１４６１９号の装置の目的は、キャビティの開口が、一旦この組織と正しく接触して置かれた後の注射プロセスの完全な自動化を達成することである。その結果、この自動プロセスを実行するための装置の構造は比較的複雑である。
【０００４】
本発明の概要
本発明の目的は、簡素化された構造の注射装置を提供することである。
【０００５】
本発明の更なる目的は、簡単に、低コストで製造できる注射装置を提供することである。
【０００６】
本発明の更なる目的は、容易に持ち運びできる注射装置を提供することである。
【０００７】
本発明は、針が皮膚組織に入り込むのではなく、皮膚組織が針に入り込むことからなる構造概念を従来の注射器と同様に利用している。本発明は、低コストで製造できて使用が単純で容易であるような、可能な限り最も簡素な構造の装置を提供する。この結果は、上述した装置と同様に、開口キャビティを使用することにより注射領域に真空を作り出すことで達成され、前記キャビティの開口は、皮膚を引き上げてキャビティの低部から突き出ている注射針に接するように、皮膚にあてがわれる。
【０００８】
本発明は、開放キャビティと、注射針と、第一密封隔室と、第一移動手段と、少なくとも一個の連通流路と、第二密封隔室と、第二移動手段と、孔とを持つ注射装置を提供するもので、前記開放キャビティの開口は、治療中の患者の皮膚に当てることが意図された環状縁により範囲を定められていて、前記注射針は、キャビティの底部から突き出ていて、その先端が環状縁に対して引っ込められていて、前記第一密封隔室は、第一可動隔壁により区切られていて、前記第一移動手段は、第一隔室の容積を変化させるように第一可動隔壁を移動させる手段であり、前記少なくとも一個の連通流路は、第一密封隔室とキャビティとの間の流路であり、前記第二密封隔室は、注射される薬品のための隔室であり、前記第二移動手段は、第二密封隔室の容積を変化させるように前記可動隔壁の第二部分を移動させる手段であり、前記孔は、第二密封隔室が前記注射針と連通することを可能にする孔である。
【０００９】
本発明の詳細な説明
自己注射の場合、注射を実行する人は、その人自身が針を皮膚組織に刺し込ませる必要はなく、このことは心理的観点から判断すると著しい改良である。皮膚を引き上げることは、針の刺し込みにより生じる痛みの知覚を減少させる。針の刺し込み深さは、針がキャビティの底部から突き出る長さで完全に調整され、このことは、特に自己注射を実行しなければならない人に、安心を与えると思われる安全機能である。
【００１０】
添付図は、本発明が言及する注射装置の一つの実施例を概略的に、また一例として図示したものである。
【００１１】
図で示された装置は、管状円筒状本体１を持っており、前記管状円筒状本体１の一方の端に開放キャビティ２があり、開放キャビティ２の底部は、管状本体１の縦軸を中心とする円筒状壁４の周囲に広がる環状壁３により区切られている。この円筒状壁４は、開放キャビティ２に対向している管状本体１の開放端から開放キャビティ２の内部に延びて、開放キャビティ２の底部において円筒状壁４の４ａ部が突き出ている。
【００１２】
円筒状壁４は、環状壁３に隣接していて開放キャビティ２と対向する側の管状本体１の内部空間を二つの細長い隔室に分割し、前記細長い隔室の一方である５は、管状本体１の軸と同軸であるシリンダを形作る環状部分を持っており、もう一方の６は、円筒状隔室５と同軸の環状部分を持っていて、円筒状隔室５を取囲んでいる。
【００１３】
隔室６が開放キャビティ２と連通するように、環状壁３を貫通する穴７が開けられている。円筒状隔室５は、環状壁３のレベルで隔壁８によって閉じられており、前記隔壁８は、開放キャビティ２の内部に延びている注射針９と一体になっていて、前記注射針９の先端は、キャビティ２の開口に境界を設ける縁２ａから奥へ引っ込められている。隔壁８を、管状本体１とともに成形された単一ピースによって直接的に形成しない場合には、それは、ろう付け又は接着しても良い。隔壁８の中心には、注射針の穴を円筒状隔室５と連通させるための穿孔８ａがある。
【００１４】
隔室５、６の各々にはピストン１０、１１がそれぞれ入っている。ピストン１０は、プランジャ１２と一体に形作られており、一方ピストン１１はプランジャ１３と一体に形作られていて、前記プランジャ１３は断面が環状の扇形をとっていて、その凹面が円筒状壁４の外面にきつく嵌め込まれている。管状本体１の外に位置しているプランジャ１３の端部は、扇形１３ａと一体に形作られていて、前記扇形１３aの外側先端はリップ１３ｂで終わっており、次に前記リップ１３ｂはラグ１３ｃと一体に形作られている（図２）。
【００１５】
固定要素１３ｄが、リップ１３ｂの中に設けられ、そして斜面１３ｅで終わっている。管状本体１の壁の端部は環状リップ１ａからなり、この環状リップ１ａは斜面１ｂにより外側を区切られている。図２に示されるように、二つの斜面１ｂと１３ｅは、戻り止めとしての構造であって、つまり、それらが互いにロックされた場合、プランジャ１３とピストン１１とが、プランジャ１３を管状本体１の外へ押出す傾向のある軸方向力を受けているとき、プランジャ１３とピストン１１とを管状本体１の軸に沿った所定の位置に留めることを確実にするための構造となっている。他方では、プランジャ１３とピストン１１がそれらの軸に沿って隔室６の開放端からその閉鎖端の方へ移動したときに、斜面１ｂと１３ｅは、リップ１３ｄが管状本体１のリップ１ａに固定されることを可能とし、またリップ１３ｄが管状本体１のリップ１ａを通過することを可能にするために斜面１３ｅがリップ１ａの斜面を押し分けて進むときに、リップ１３ｂを変位させることが可能な求心力成分を生み出し、やがてリップ１３ｂがリップ１ａの下で止まる。これは勿論、扇形１３ａの適切な弾性を前提としている。この目的のために、弾性変形が可能な材料を使用することが有利である。
【００１６】
コイルばね１４が、隔室６の中で、環状壁３によって区切られる隔室の底部とピストン１１との間に設けられる。ピストン１１が、隔室６の底部３に対してばね１４を圧縮するとき、ピストン１１のプランジャ１３と一体に形作られた扇形１３ａが、上述したように管状本体１ａのリップ１ａに固定される。未使用のときの、説明された装置の様々な要素が、所定の位置で図１に示されている。
【００１７】
この装置を使って注射を実行するために、注射針９の先端を適切な薬品の中に入れ、そして図３に示されるようにプランジャ１２を使ってピストン１０を移動させて薬品の所要量を吸い上げることにより、注射される薬品の所要量が、在来の注射器の場合と同様に吸い込まれる。
【００１８】
次いでキャビティ２の開口２ａが、そこを通して注射が実施される皮膚（図示されない）の表面にあてがわれる。ラグ１３ｃを上方に変形させて、扇形１３ａのリップ１３ｄを管状本体１のリップ１ａから外すことにより、ピストン１１が自由になる。自由になったピストン１１は、それ自身がばね１４の解放により生み出される圧力により隔室６の開放端の方へ押されることを可能にする。縁２ａが当てられている皮膚により、キャビティ２が閉じられているので、ピストン１１の移動により、隔室６、及び穴７を介して隔室６と連通しているキャビティ２の中に真空状態が生み出される。この真空状態は、キャビティ２の縁２ａの内側にある皮膚の部分をキャビティ２の底部の方向に変形させる作用を有しているので、注射針９と同軸にキャビティ２の底部から突き出ている円筒状壁４の縁部分４ａに接して置かれている皮膚を針の先端部に突き刺させる。本装置の様々な要素が、その時の所定の位置で、図４に示す位置になり、注射自体の準備が完了する。
【００１９】
この目的のために、次にプランジャ１２が、円筒状隔室５の中に押し戻され、やがてそれは、図５に示されるように、円筒状隔室５の底部を仕切っている隔壁８に接して置かれる。装置は、ピストン１１と一体に形作られたプランジャ１３を押し戻すことにより簡単に引き離される。つまりもう一度圧力を高めることにより、もはやキャビティ２の真空により引き込まれない皮膚からキャビティ２の開口２ａを離すことを可能にする。そして固定要素１３ｄは、ピストン１１を図１の所定の位置に保持するために、環状隔室６の底部に再び圧縮されているばね１４によってピストン１１の上に作用する圧力に対抗して、再び円筒状本体１のリップ１ａの下で固定される。
【００２０】
本発明の装置は、プラスチック、金属、若しくはガラスから作られることがある。ピストン及び円筒状本体が、プラスチックから作られることが好ましい。
【００２１】
好ましい実施例では、装置が使い捨てとして設計されている。
【００２２】
更に好ましい実施例では、針の長さが可変であり、従って刺し込み深さの調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、本実施例の軸方向断面図であり、第一状態における装置を示している。
【図２】 図２は、図１の細部の拡大図である。
【図３】 図３は、図１と同様の図であり、第二状態における装置を示している。
【図４】 図４は、図１と同様の図であり、第三状態における装置を示している。
【図５】 図５は、図１と同様の図であり、第四状態における装置を示している。

Claims (6)

1. 開放キャビティ（２）と、注射針（９）と、第一密封隔室（６）と、第一手段（１３）と、少なくとも一つの流路（７）と、第二密封隔室（５）と、第二手段（１２）と、孔（８ａ）と、を具備する注射装置であって、前記開放キャビティ（２）の開口が、治療中の患者の皮膚にあてがわれることが意図された環状縁（２ａ）によって区切られていて、前記注射針（９）が、キャビティ（２）の底部から突き出ていて、その先端が前記環状縁（２ａ）に対して奥に引っ込んでいて、前記第一密封隔室（６）が、可動隔壁の第一部分（１１）によって区切られていて、前記第一手段（１３）が、前記第一隔室（６）の容積を変えるために前記可動隔壁の第一部分（１１）を移動させるためのものであり、前記少なくとも一つの流路（７）が、第一密封隔室（６）と前記キャビティ（２）との間で連通していて、前記第二密封隔室（５）が、可動隔壁の第二部分（１０）によって区切られている、注射される薬品のための隔室であり、前記第二手段（１２）が、第二密封隔室（５）の容積を変えるために前記可動隔壁の第二部分（１０）を移動させるためのものであり、前記孔（８ａ）が、第二密封隔室（５）と前記注射針（９）との間で連通しており、前記第一及び第二密封隔室（６、５）が管状本体（１）の中で縦方向に延びている、注射装置であり、前記キャビティ（２）が、管状本体（１）の一方の端に設けられていて、一方、前記第一及び第二密封隔室（６、５）のそれぞれの前記可動隔壁の第一及び第二部分（１１、１０）を移動させるための前記第一及び第二手段（１３、１２）が、前記管状本体（１）のもう一方の端でアクセス可能であることと、を特徴とする注射装置。
2. 前記第一密封隔室（６）が、前記第二密封隔室（５）を取囲んでいる環状部分を持っていることを特徴とする、請求項１に記載の注射装置。
3. 注射装置が、弾性のある加圧素子（１４）と、固定要素（１ａ、１３ｄ）とを含んでいて、前記弾性のある加圧素子（１４）が、前記第一隔室（６）の容積を増大させるために、前記可動隔壁の第一部分（１１）に作用していて、前記固定要素（１ａ、１３ｄ）が、前記可動隔壁の第一部分（１１）を、前記第一密封隔室（６）の最少容積に相当していて前記弾性のある素子（１４）が圧縮される所定の位置に保持することを特徴とする、請求項１又は２のいずれかに記載の注射装置。
4. 前記固定要素（１ａ、１３ｄ）が、前記可動隔壁の第一部分（１１）を移動させるための前記第一装置（１３）、及び前記管状本体（１）の両方と一体形を形作ることを特徴とする、請求項３に記載の注射装置。
5. 前記可動隔壁の第一及び第二部分（１１、１０）の各々が、そのそれぞれの隔室（６、５）の中で滑動するピストンによって形作られていることを特徴とする、請求項１から４のいずれか一項に記載の注射装置。
6. 環状壁（４ａ）が、前記注射針（９）部分の周囲に同軸的に延びていて、前記キャビティ（２）の底部で、底部と前記注射針（９）の先端との間の距離の約半分突き出ていることを特徴とする、請求項１から５のいずれか一項に記載の注射装置。

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