JP4644995B2 - Parallel shaft gear transmission - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平行軸式歯車変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両に用いられる自動変速装置としては、トルクコンバータと遊星ギアによる変速機構とを併用するオートマチック・トランスミッション(A・T)が広く用いられている。そうしたA・Tを搭載する車両では、トルクコンバータの動力伝達効率があまり高くないため、平行軸式歯車変速装置を採用するマニュアルトランス・ミッション(M・T)搭載車に比して、燃費性能が低くなる。
【0003】
一方、平行軸式歯車変速装置では、変速時にクラッチを開放して内燃機関から変速機への動力伝達を遮断しなければならず、変速毎に自動車の動力性能が大きく低下してしまう。
【0004】
そのため、燃費性能の確保の容易な平行軸式歯車変速装置を用いながらも、内燃機関から駆動輪への動力伝達を遮断することなく変速可能な自動変速装置が要望されている。
【0005】
従来、そうした自動変速装置として、特開平6−201027号公報に記載の変速装置が提案されている。同公報に記載の変速装置は同図12に示すように、通常の平行軸式歯車変速装置と同様に、変速機入・出力軸201,202間に、各変速段に対応した複数のギア対203〜206を備えている。そして、スリーブ207,208の作動により、両軸201,202間のトルク伝達を行うギア対を切り替えて、変速を行っている。
【0006】
ただし、この変速装置では、変速機入・出力軸201,202間に、各変速段に対応したギア対203〜206に加え、更にもう1つのギア対209が介設されている。このギア対209は、油圧駆動式の摩擦クラッチ210を介して変速機入力軸201に連結されており、摩擦クラッチ210への油圧供給の制御により、そのギア対209を通じて変速機入力軸201から変速機出力軸102へと伝達されるトルクを調整可能となっている。
【0007】
そしてこの変速装置では、変速中に上記各変速段に対応したギア対203〜206のギア連結が全て開放されてニュートラル状態となったときに、摩擦クラッチ210を作動してギア対209を通じて変速機入力軸201から変速機出力軸202へとトルクを伝達することで、変速中の動力遮断を回避している。
【0008】
例えば1速ギア対203から2速ギア対204へのギア切替を行う場合、まずスリーブ207を解除して1速ギア対203による変速機入・出力軸201,202間のギア連結を開放し、変速機をニュートラル状態とする。そしてそれと同時に、摩擦クラッチ210を作動させて、その摩擦板間の摩擦を通じて変速機入力軸201から変速機出力軸202へのトルク伝達を維持する。ここで油圧を増して摩擦クラッチ210の摩擦力を大きくしていけば、負荷が増大して内燃機関の回転速度が徐々に低下する。そして変速機入・出力軸201,202間の回転速度比が変速される2速ギア対204に対応する速度比まで内燃機関の回転速度が低下した時点で、スリーブ207を駆動して、変速機入力軸201に2速ギア対204を連結するとともに、摩擦クラッチ210への油圧供給を停止する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
こうした変速装置であれば、動力伝達を維持したまま変速を行うことは確かに可能ではあるが、次のような問題も無視できないものとなっている。
【0010】
まずこの変速装置では、変速中に摩擦クラッチ210の摩擦板間の摩擦力を通じて多大なトルクを伝達しなければならず、そうした摩擦クラッチ210を作動させるためにA・T搭載車並みの大型の油圧ポンプが必要となる。そのため、油圧ポンプの稼働にかかる動力損失の増大は避けられず、結局はM・T搭載車ほどの高い燃費性能を確保することはできない。
【0011】
またこの変速装置では、摩擦クラッチ210の摩擦板間の摩擦力を調整することで、両軸201,202の回転速度制御を行っているが、摩擦熱によって摩擦板の温度が上昇するにつれ、摩擦板間の摩擦係数が低下するため、そうした回転速度制御は非常に困難である。
【0012】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動力伝達の遮断の内変速を良好に行うことのできる平行軸式歯車変速装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、変速機入力軸及び変速機出力軸を連結するギア対の切り替えにより変速を行う平行軸式変速装置であって、第1要素、第2要素及び第3要素の3つの要素に対して、それらのうちの2つの要素の回転速度差に応じて残る要素を差動回転させる差動機を備え、その差動機の第1要素を前記変速機入力軸に連結し、同差動機の第2要素を前記変速機出力軸に連結するとともに、前記差動機の第3要素に連結された回転電気機と、前記差動機の第2要素と前記入力軸とを一体回転可能に連結する連結機構とを更に備えるものである。
【0014】
上記構成では、変速機入・出力軸間のトルク伝達経路として、変速機入・出力軸間に連結されたギア対を通じた第1の経路と、差動機を通じた第2の経路とが形成されており、回転電気機の運転制御により、それら両経路を伝達されるトルクの分配を調整することができる。これにより、変速中の変速機入・出力軸間のトルク伝達を第2の経路を通じて維持できる。したがって、変速機入・出力軸間の動力伝達を維持しながらも、回転電気機の運転制御を通じて、円滑に変速を行うことができる。また上記構成では、連結機構により差動機の第2要素を変速機入力軸に一体回転可能に連結することで更なる変速段を設定でき、ギア対を追加することなく設定可能な変速段を増やすことができる。
請求項2に記載の発明は、変速機入力軸及び変速機出力軸を連結するギア対の切り替えにより変速を行う平行軸式変速装置であって、第1要素、第2要素及び第3要素の3つの要素に対して、それらのうちの2つの要素の回転速度差に応じて残る要素を差動回転させる差動機を備え、その差動機の第1要素を前記変速機入力軸に連結し、同差動機の第2要素を前記変速機出力軸に連結するとともに、前記差動機の第3要素に連結された回転電気機と、前記差動機の第3要素の回転を固定する固定機構と、を更に備えるものである。
上記構成では、変速機入・出力軸間のトルク伝達経路として、変速機入・出力軸間に連結されたギア対を通じた第1の経路と、差動機を通じた第2の経路とが形成されており、回転電気機の運転制御により、それら両経路を伝達されるトルクの分配を調整することができる。これにより、変速中の変速機入・出力軸間のトルク伝達を第2の経路を通じて維持できる。したがって、変速機入・出力軸間の動力伝達を維持しながらも、回転電気機の運転制御を通じて、円滑に変速を行うことができる。また上記構成では、固定機構により差動機の第3要素の回転を固定することで更なる変速段を設定でき、ギア対を追加することなく設定可能な変速段を増やすことができる。
【0015】
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の平行軸式歯車変速装置において、前記差動機の第2要素と前記変速機出力軸との間に複数のギア対を介設するとともに、前記第2要素と前記変速機出力軸とを連結するギア対を、それら複数のギア対の中から選択可能に構成したものである。
【0016】
上記構成では、差動機の第2要素と変速機出力軸とを連結するギア対の選択により、差動機の各要素の回転速度比を変更できるため、それら各要素の回転速度の変化範囲の拡大を抑えることができる。よって、差動機の各要素の回転速度の上限による制約を好適に回避し、変速比の設定範囲を拡大できる。
【0021】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の平行軸式歯車変速装置において、遊星ギアにより前記差動機を構成したものである。
差動機としても機能する遊星ギアを用いることで、変速機入・出力軸間の動力伝達を遮断することなく変速可能な平行軸式歯車変速装置を実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜8を参照して詳細に説明する。本実施形態は、前進2段の変速を行う簡易構成の車両用の平行軸式歯車変速装置として構成されている。ここでは、この平行軸式歯車変速装置を例に本発明の動作原理を説明する。
【0023】
図1に示すように、この変速装置では、内燃機関に接続された変速機入力軸10と駆動輪に接続された変速機出力軸11とを有している。変速機入・出力軸10,11の間には、1速ギア対12,13と2速ギア対14,15とが介設されている。1速ギア対12,13のギア比(=[ギア13の歯数]/[ギア12の歯数])は、2速ギア対14,15のギア比(=[ギア15の歯数]/[ギア14の歯数])よりも大きいギア比が設定されている。
【0024】
変速機入力軸10には、ドッグクラッチ(噛み合いクラッチ)16が配設されている。ドッグクラッチ16は、例えば油圧式アクチュエータにより駆動され、変速機入力軸10への1速ギア12及び2速ギア14の連結/切離しを行っている。
【0025】
一方、変速装置には、図2に示すような遊星ギア17が設けられている。遊星ギア17は、中央に設けられたサンギア18、その周囲を囲むリングギア20、及びそれらの間に介設されたプラネタリギア19a、19bを有している。プラネタリギア19a、19b同士は、プラネタリキャリア19によって互いに連結されている。サンギア18、プラネタリキャリア19及びリングギア20の遊星ギア17を構成する3要素は、同心を有して互いに相対回転可能となっている。
【0026】
そして図1に示すように、遊星ギア17のプラネタリキャリア19は変速機入力軸10に接続され、そのリングギア20はギア対22,23を介して変速機出力軸11に接続されている。更に遊星ギア17のサンギア18は、モータ・ジェネレータ(M/G)21に接続されている。M/G21は、図示しないバッテリからの電力供給により力行運転させることで、サンギア18に回転トルクを発生する電動機として機能し、またサンギア18の回転により回生運転させることで発電を行う発電機としても機能する回転電気機である。こうしたM/G21の運転制御(トルク制御や回転速度制御など)は、図示しないインバータによる電力供給量や発電電力量の調整を通じて行われる。
【0027】
続いて、図3〜図5を併せ参照して、この変速装置の変速動作を説明する。図3〜図5は、1速から2速への変速にかかる各段階における本変速装置の動作態様を示している。なおこれら図3〜図5では、各段階において、変速機入力軸10から変速機出力軸11へのトルク伝達に寄与する要素をハッチングで示すようにしている。
【0028】
1速時には、図3(a)に示すように、変速機入力軸10にはドッグクラッチ16によって1速ギア12が連結されている。このとき、変速機入・出力軸10,11間の回転速度比は、1速ギア対12,13のギア比に応じた回転速度比に固定される。また、ギア対22,23を通じて変速機出力軸11とリングギア20が連結されていることから、更に遊星ギア17の各要素18,19,20の回転速度比も一定に固定される。
【0029】
そうした状態でM/G21の運転を停止しておけば、すなわちM/G21を力行運転も回生運転もしなければ、ギア対22,23は変速機出力軸11及びリングギア20の回転に応じて連れ回りするだけで、変速機入・出力軸10,11間のトルク伝達は、1速ギア対12,13のみを通じて行われることとなる。
【0030】
一方、M/G21を力行運転又は回生運転すれば、サンギア18の回転にトルクが生じることから、図3(b)に示すように、リングギア20に接続されたギア対22,23を通じても、変速機入・出力軸10,11間のトルク伝達が行われるようになる。そしてM/G21の回転トルクの調整により、1速ギア対12,13を通じて伝達されるトルクと、リングギア20に連結されたギア対22,23を通じて伝達されるトルクとの配分率を任意に制御することができる。そして、内燃機関のトルク反力の全てをM/G21で受けるようにすれば、図4(a)に示すように、1速ギア対12,13を通じたトルク伝達をほぼゼロとし、実質的に遊星ギア17及びギア対22,23を通じてのみ、両軸10,11間のトルク伝達が行われるようにすることもできる。
【0031】
本実施形態では、そうして1速ギア対12,13を通じたトルク伝達を無くし、同ギア対12,13が両軸10,11の回転に応じて単に連れ回りする状態となったところで、図4(b)に示すように、ドッグクラッチ16による変速機入力軸10と1速ギア12との連結を解除している。
【0032】
こうしてドッグクラッチ16による連結を解除すれば、M/G21の回転速度制御によって、変速機出力軸11の回転速度を任意に調整できるようになる。そこで、変速機入・出力軸10,11間の回転速度比が2速ギア対14,15のギア比に応じた回転速度比となるように、すなわち両軸10,11の回転速度を2速ギア対14,15に同期させるように、M/G21の回転速度を制御する。そして、変速機入・出力軸10,11間の回転速度が同期した時点で、図5(a)に示すように、ドッグクラッチ16により、変速機入力軸10と2速ギア14とを連結する。その後、M/G21の駆動を徐々に低減し、図5(b)に示すように、2速ギア対14,15を通じて変速機入・出力軸10,11間のトルク伝達が行われるようにすることで、1速から2速への変速が完了する。
【0033】
この変速装置では、2速から1速へのダウンシフトについても、上記1速から2速へのアップシフトと同様のプロセスを通じて行うことができる。
以上のように、この変速装置では、遊星ギア17及びギア対22,23を通じて内燃機関から駆動輪への動力伝達を維持したまま、変速を行える。しかも、変速時のドッグクラッチ16によるギア係合を、変速機入・出力軸10,11の回転速度を完全に同期させた状態で行うことができる。そのため、ドッグクラッチ16を低い油圧で駆動でき、比較的小型・小容量のオイルポンプでも変速装置を動作させることが可能である。
【0034】
更に、変速機入・出力軸10,11の回転速度の同期を、M/G21の回転速度制御によって行えるため、一般の変速装置において変速時のギア連結を円滑とすべく採用されているシンクロ機構が無くとも滑らかに変速を行うことができる。そしてこれにより、構成の複雑化を抑えながらも、動力遮断無く変速を行うことのできる変速装置を実現できる。
【0035】
(第2実施形態)
続いて本発明を具体化した第2実施形態について、図を参照して詳細に説明する。本実施形態の平行軸式歯車変速装置は、第1実施形態の変速装置の変速動作原理を踏襲しつつ、前進6段、後進1段の変速を行う車両用変速装置として本発明を具体化したものである。
【0036】
図6は、本実施形態の平行軸式歯車変速装置の全体構造を示すスケルトン図である。
同図6に示される内燃機関50の出力は、機関出力軸(クランクシャフト)51から発進クラッチ52を介して変速機入力軸53に伝えられ、更に変速機出力軸54からファイナルギア55及びディファレンシャルギア56を介して駆動輪軸(アクスルシャフト)57へと伝えられる。
【0037】
発進クラッチ52は、油圧により駆動されて、2枚の摩擦板を互いに押し付けたり、離したりすることで、機関出力軸51と変速機入力軸53との動力伝達を断接する。また発進クラッチ52では、駆動油圧の制御によって摩擦板間の押し付け荷重を調整することで、両軸51,53間の動力伝達率を調整できるようになっている。なお、本実施形態では、発進クラッチ52は、車両の発進時(前進発進時、後進発進時の双方)以外には、摩擦板を互いに係合した状態に保持されている。
【0038】
一方、本実施形態の変速装置にも、図2に示したものと同様の遊星ギア58が設けられている。そして遊星ギア58のサンギア58aはM/G60に、プラネタリキャリア58bは変速機入力軸53にそれぞれ接続されている。また遊星ギア58のリングギア58cは、5速ギア対67に接続され、更にそのギア対67を介して変速機出力軸54に連結可能となっている。
【0039】
また、変速機入力軸53と変速機出力軸54との間には、前進走行用の4つのギア対、すなわち1速ギア対61、2速ギア対62、3速ギア対63及び4速ギア対64と、後進ギア対65とが介設されている。ちなみに、1速〜5速の各ギア対のギア比(=[変速機出力軸54側のギアの歯数]/[変速機入力軸53側のギアの歯数])は、1速ギア対61→2速ギア対62→3速ギア対63→4速ギア対64→5速ギア対67の順に、小さいギア比が設定されている。
【0040】
こうした変速装置の変速動作は、油圧駆動式のシフトアクチュエータS1〜S5によるギア列の組替えを通じて行われる。
シフトアクチュエータS1は、ドッグクラッチ68を駆動して、1速ギア対61及び2速ギア対62のそれぞれについて、変速機入力軸53との連結/切離しを行う。シフトアクチュエータS2は、ドッグクラッチ69を駆動して、3速ギア対63及び4速ギア対64のそれぞれについて、変速機入力軸53との連結/切離しを行う。
【0041】
シフトアクチュエータS3は、ドッグクラッチ70を駆動して、変速機入力軸53とリングギア58cとの連結/切離しを行う。ドッグクラッチ70により変速機入力軸53とリングギア58cとが連結されると、プラネタリキャリア58b及びリングギア58cが一体回転されるようになる。このため、遊星ギア58の各要素58a〜58cの相対回転が禁止され、それら各要素58a〜58cが一体回転するよう遊星ギア58がロックされた状態となる。
【0042】
シフトアクチュエータS4は、ドッグクラッチ71を駆動して、変速機出力軸54と5速ギア対67との連結/切離しを行う。またシフトアクチュエータS4は、後進ギア対65間への後進ピニオンギア66の噛み合わせ、及びその切離しも行う。
【0043】
更にシフトアクチュエータS5は、ドッグクラッチ72を駆動して、M/G60の回転軸の固定/固定解除を行う。M/G60の回転軸が固定されれば、M/G60に連結された遊星ギア58のサンギア58aも固定される。
【0044】
なお、この変速装置では、発進クラッチ52及び各アクチュエータS1〜S5は、図示しない小型電動油圧ポンプにより蓄圧された油圧が供給されるようになっている。この小型電動油圧ポンプは、蓄圧された油圧が低下したときにのみ、運転される。一方、この変速装置には、変速機入力軸53の回転により駆動される油圧ポンプ53aが設けられており、同ポンプ53aにより発生された油圧は主に遊星ギア58の潤滑に供される。
【0045】
図7は、この変速装置の制御系の構成を示している。この変速装置の制御は、同図7に示される電子制御装置80によって行われる。電子制御装置80は、変速装置の制御を行う一方、内燃機関50の運転制御等、車両走行にかかる各種制御全般を実施する。
【0046】
電子制御装置80には、内燃機関50、M/G60及び変速機入・出力軸53,54の回転速度や、アクセルペダルの踏み込み量、シフトレバーの操作位置(シフト位置)、発進クラッチ52の動作位置、車速等を検出する各種センサ類の検出信号が入力されている。電子制御装置80は、それらの検出信号に基づき、発進クラッチ52、各シフトアクチュエータS1〜S5及びM/G60等を駆動制御して、変速装置の制御を行っている。
【0047】
こうした電子制御装置による変速装置の制御は、シフト位置等に応じて、図8に示されるような態様で各シフトアクチュエータS1〜S5を駆動することで行われる。
【0048】
なお、図8及び図10において、図中の記号「→」/「←」は、そのシフトアクチュエータによって駆動されるドッグクラッチが、対応する変速装置のスケルトン図においてそのドッグクラッチの右方/左方に位置する要素を係合していることを示している。また同図表中の記号「|」は、そのシフトアクチュエータによって駆動されるドッグクラッチが開放されていることを、すなわちそのドッグクラッチがいずれの要素も係合されていないことを示している。ただし、シフトアクチュエータS4、S11については、記号「←」は、後進ギア対間に後進用ピニオンギアを連結していることを示している。
【0049】
例えば、図8は、パーキング(P)レンジ時には、シフトアクチュエータS3により駆動されるドッグクラッチ70に対して、図6においてその右方に位置する5速ギア対67が変速機入力軸53に連結されることを示している。またリバース(R)レンジ時には、シフトアクチュエータS4により駆動される後進ピニオンギア66が、図6においてその左方に位置する後進用ギア対65間に噛み合わされることを示している。
【0050】
以下、図8を併せ参照して、電子制御装置80により行われる変速制御の詳細を説明する。
<パーキング(P)レンジ>
シフト位置がPレンジに設定されているときには、シフトアクチュエータS3により駆動されるドッグクラッチ70によって、変速機入力軸53とリングギア58cとを連結した状態とし、遊星ギア58の各要素58a〜58cが一体回転するようにロックする。また図示しないパーキングロック機構により、変速機出力軸54を固定して、駆動輪軸57の回転をロックする。
【0051】
<ニュートラル(N)レンジ>
シフト位置がNレンジに設定されているときにも、Pレンジと同様に、ドッグクラッチ70によって遊星ギア58の各要素58a〜58cが一体回転するようにロックする。ただしNレンジ時には、パーキングロックは解除しておき、駆動輪軸57の回転は許容するようにしている。
【0052】
<リバース(R)レンジ>
シフト位置がRレンジに設定されると、シフトアクチュエータS3によってドッグクラッチ70を駆動して、変速機入力軸53とリングギア58cとを連結させた状態とし、遊星ギア58の各要素が一体回転するようにロックする。これとともに、シフトアクチュエータS4によってドッグクラッチ71を駆動して、後進用ギア対65間に後進ピニオンギア66を噛み合わせる。これにより、変速機出力軸54は、前進走行時とは逆方向に回転されるようになる。
【0053】
<ドライブ(D)レンジ>
シフト位置がドライブ(D)レンジに設定されているときには、シフトアクチュエータS4により駆動されるドッグクラッチ71によって、リングギア67に接続されたギア対67を変速機出力軸54に連結する。そして電子制御装置80は、更に次のドッグクラッチ操作によって、車速等に応じて最適な変速比が得られるように1速〜6速の間で自動変速を行う。
【0054】
この変速装置では、1速〜4速は、ドッグクラッチ68又は69によって、その変速段に対応するギア対(ギア対61〜64のいずれか)を変速機入力軸53に連結することで設定される。
【0055】
一方、5速は、シフトアクチュエータS3により駆動されるドッグクラッチ70により、変速機入力軸53とリングギア58cとを固定して、遊星ギア58の各要素58a〜58cを一体回転するようロックすることで設定される。
【0056】
更に6速は、シフトアクチュエータS5により駆動されるドッグクラッチ72によって、M/G60の回転軸を固定し、リングギア58cを固定することで設定される。この変速装置では、サンギア58aを固定した状態でプラネタリキャリア58b及びリングギア58cを回転させると、プラネタリキャリア58bの回転速度よりもリングギア58cの回転速度が高くなるように遊星ギア58が構成されている。このため、上記設定により、5速設定時よりも小さい変速比が得られる。
【0057】
こうした本変速装置におけるDレンジでの変速動作を説明する。
<1> 1速〜4速間の変速
1速〜4速間の変速は、第1実施形態と同様の態様で行われる。すなわち、変速が必要となった場合、まずは内燃機関50のトルク反力を吸収するようにM/G60を回生運転、或いは力行運転させる。そしてM/G60の回転トルクと内燃機関50のトルク反力とを釣り合わせて、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、変速前の変速段のギア対からリングギア58cに連結された5速ギア対67に移し替える。これにより、変速前の変速段のギア対が単に連れ回りするだけの状態となった時点で、アクチュエータS1又はS2によってドッグクラッチ68又は69を駆動し、現状の変速段のギア対と変速機入力軸53との連結を切り離す。
【0058】
次に、変速機入・出力軸53,54の回転速度を参照しつつM/G60の回転速度を制御して、変速後の変速段に応じた回転速度比となるように変速機入・出力軸53,54の回転速度比を調整する。そしてそれらの回転速度比の調整が完了した時点で、すなわち変速機入・出力軸53,54の回転速度が同期した時点で、アクチュエータS1又はS2によってドッグクラッチ68又は69を駆動して、変更する変速段のギア対を変速機入力軸53に連結する。その後、M/G60の回生運転を除減することで、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、5速ギア対67から変更された変速段のギア対(ここで変速機入力軸53に係合されたギア対)に移すことで、変速が完了する。
【0059】
<2> 4速、5速間の変速
4速から5速への変速は、次のように行われる。
まず、M/G60の回生運転、或いは力行運転によって内燃機関50のトルク反力をM/G60に吸収させることで、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、4速ギア対64から5速ギア対67に移し替える。それが完了した時点で、アクチュエータS2によりドッグクラッチ69を駆動して、変速機入力軸53から4速ギア対64を切り離す。
【0060】
次に、M/G60の回転速度と変速機入力軸53の回転速度とが一致するように、M/G60の回転速度を制御する。そして、それらの回転速度が一致した時点で、シフトアクチュエータS3によりドッグクラッチ70を駆動して、5速ギア対67を変速機入力軸53と連結させる。
【0061】
一方、5速から4速への変速は、次のように行われる。
まず、エンジン10のトルク反力と釣り合うようにM/G60のトルク制御運転を行う。すなわち、ドッグクラッチ70による変速機入力軸53とリングギア58cとの連結が切り離された状態でも、M/G60が自力で変速機入力軸53と同じ回転速度で回転可能なようにする。そして、そうした状態となった時点で、ドッグクラッチ70により、5速ギア対67を変速機入力軸53から切り離す。
【0062】
次に、変速機入・出力軸53,54の回転速度比が、4速の変速比に応じた回転速度比となるようにM/G60の回転速度制御を行い、それらの回転速度が同期した時点で、ドッグクラッチ69により4速ギア対64を変速機入力軸53に連結する。その後、M/G60の回生運転、或いは力行運転を除減して、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、5速ギア対67から4速ギア対64に移し替えることで、5速から4速への変速が完了する。
【0063】
<3> 5速、6速間の変速
5速から6速への変速は、次のように行われる。
まず、M/G60のトルク制御により、M/G60が自力で変速機入力軸53と同じ回転速度で回転可能な状態となったところで、ドッグクラッチ70により5速ギア対67を変速機入力軸53から切り離す。次にM/G60の回転速度制御により、M/G60の回転速度をゼロとし、シフトアクチュエータS5によりドッグクラッチ72を駆動して、M/G60の回転軸の固定する。
【0064】
以上のように、この変速装置では、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達を継続し、内燃機関50から駆動輪への動力伝達を維持したまま変速を行うことができる。
【0065】
なお、本平行軸式歯車変速装置を備える車両では、M/G60を変速以外の用途にも用いられている。
Dレンジで変速段が1速〜5速に設定されているときには、M/G60を力行運転することで、トルクアシストを実施して、内燃機関50の出力により得られる以上の駆動力を得ることができる。また、M/G60を回生運転すれば、内燃機関50の出力の一部を利用して発電を行うことができる。また車両の減速時にM/G60を回生運転すれば、減速エネルギを利用した回生発電を実施することができる。
【0066】
またM/G60は、内燃機関50の始動のためのスタータモータとしても用いられる。内燃機関50の始動は、次のようにして行われる。
内燃機関50の始動は、Pレンジ、又はNレンジに設定されていることを条件に行われる。Pレンジ、Nレンジでは、図12に示したように、ドッグクラッチ70以外のドッグクラッチ68,69,71,72は開放されており、変速機入・出力軸53,54は互いに切り離されている。一方、ドッグクラッチ70によっては、変速機入力軸53と5速ギア対67とが係合されており、M/G60の回転軸は、変速機入力軸53に一体回転可能に連結されている。更に変速機入力軸53は、発進クラッチ52によって機関出力軸51に連結されている。そのため、M/G60の駆動により機関出力軸51を回転して、内燃機関50を始動することができる。
【0067】
更に本実施形態では、次のようにして、車両を発進するようにしている。
Dレンジで車両が停車状態(車速ゼロ又は徐行走行)にあるとき、変速装置の変速段は1速に設定されており、1速ギア対61が変速機入力軸53に連結されるとともに、5速ギア対67がリングギア58c及び変速機出力軸64に連結されている。ここでは、その状態で、アクセルペダルが踏み込まれていなければ、発進クラッチ52を開放して機関出力軸51と変速機入力軸53とを切り離すとともに、M/G60を力行運転することで、所望とするクリープ力を駆動輪に発生させるようにしている。
【0068】
アクセルペダルが踏み込まれると、内燃機関50の出力がある程度に上昇した時点より、発進クラッチ52の係合を開始する。そして、発進クラッチ52に供給される駆動油圧の制御により、機関出力軸51及び変速機入力軸53間の動力伝達率を徐々に高めることで、車両の前進発進が可能になる。またこのときM/G60を力行運転してトルクアシストをすることで、より円滑に車両を発進することができるようになる。
【0069】
なお、Rレンジ設定時の後進発進についても、以上の前進発進時と同様にして行われる。
ちなみに、こうした本実施形態では、内燃機関50の停止状態からの車両の発進及び内燃機関50の始動を、M/G60を利用して迅速且つ円滑に行うことができる。このため、信号待ち等の車両の一時停車時に、内燃機関50を自動停止/自動再始動する制御、いわゆるエコラン制御を容易に実現することができるようにもなる。
【0070】
以上説明した本実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達を行うギア対の変更により変速を行う平行軸式歯車変速装置において、遊星ギア58とM/G60とを設けるようにしている。そして、遊星ギア58のサンギア58aをM/G60に、プラネタリキャリア58bを変速機入力軸53に連結するとともに、5速ギア対67を介してリングギア58cを変速機出力軸54に連結可能としている。このため、内燃機関50から駆動輪への動力伝達を維持しながらも、M/G60の駆動制御を通じて、円滑に変速を行うことができる。
【0071】
(2)本実施形態では、変速時のギア係合を、M/G60の回転速度制御により、変速機入・出力軸53,54の回転速度を同期させた状態で行っている。そのため、変速機入・出力軸53,54の回転速度を同期させるためのシンクロ機構を特に持たせずとも、ギア対の連結/切離しを円滑に行うことができる。またそのため、ドッグクラッチ16を低い油圧で駆動でき、比較的小型・小容量のオイルポンプでも変速装置を動作させることが可能である。
【0072】
(3)本実施形態では、ドッグクラッチ70により変速機入力軸53と5速ギア対67とを係合して、遊星ギア58のリングギア58cと変速入力軸53とを一体回転可能に連結することができる。これにより、1速〜4速間の変速中の動力伝達の維持に用いられる5速ギア対67を、変速用のギア対として使用可能となり、ギア対を追加することなく設定可能な変速段を増やすことができる。
【0073】
(4)本実施形態では、ドッグクラッチ72により、M/G60の回転を係止することができる。これにより、遊星ギア58での回転速度変換を利用して更なる変速比の設定が可能となり、ギア対を追加することなく設定可能な変速段を増やすことができる。
【0074】
(5)本実施形態では、車両走行中に、M/G60を力行運転や回生運転させることで、トルクアシストや回生発電が実施可能であり、車両の運転効率を向上して燃費性能を高めることができる。
【0075】
(6)本実施形態では、M/G60による車両停車状態でのクリープ力の発生、及びM/G60のトルクアシストによる発進中の動力補助が可能であり、車両の発進が円滑に行える。またそれにより、発進クラッチ52の制御を容易としたり、その耐久性を向上したりすることもできる。
【0076】
(7)本実施形態では、M/G60による内燃機関50の始動が可能であり、格別のスタータモータが不要となる。
(第3実施形態)
続いて、本発明を具体化した第3実施形態について、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0077】
本実施形態は、第2実施形態の平行軸式歯車変速装置における遊星ギア58の各要素58a〜58cの連結対象を一部変更したものである。本実施形態では、遊星ギア58のリングギア58cが変速機入力軸53に接続され、プラネタリキャリア58bがギア対67に接続されている。
【0078】
本実施形態の変速装置でも、Dレンジの1速〜4速の変速段の設定は、第2実施形態と同様に行われる。またそれら1速〜4速間の変速も、第2実施形態と同様の態様で行われている。
【0079】
また本実施形態においても、遊星ギア58の各要素58a〜58cを一体回転可能にロックすること、及びM/G60及びそれに連結されたサンギア62の回転を係止すること、によって更なる2つの変速段の設定が可能である。なお、本実施形態では、ドッグクラッチ70により、プラネタリキャリア58bを変速機入力軸53に連結することで、遊星ギア58の各要素58a〜58cが一体回転可能にロックされる。
【0080】
ただし、上述のようにこの遊星ギア58は、サンギア62の回転を係止した状態でプラネタリキャリア58b及びリングギア58cを回転させると、プラネタリキャリア58bの回転速度よりもサンギア58aの回転速度が高くなるように遊星ギア58が構成されている。そのため、本実施形態では、遊星ギア58の各要素58a〜58cを一体回転可能にロックしたときに得られる変速比が、M/G60及びサンギア62の回転を係止したときに得られる変速比よりも小さくなる。そこで、本実施形態では、シフトアクチュエータS5によりM/G60及びサンギア62の回転を係止することで5速の設定を行い、シフトアクチュエータS3により遊星ギア58の各要素58a〜58cを一体回転可能にロックすることで6速の設定を行うようにしている。
【0081】
ちなみに、こうした本実施形態において、第2実施形態と同じ変速特性を得るには、ギア対67のギア比を第2実施形態のものよりも小さくする必要がある。
また、こうした変速段の設定態様の違い応じて、4速〜6速間の変速態様も、次の通りに変更される。
【0082】
<1> 4速、5速間の変速
4速から5速への変速は、次のように行われる。
まず、M/G60の回生運転、或いは力行運転により、内燃機関50のトルク反力をM/G60に吸収させて、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を4速ギア対64からギア対67に移し替えて、4速ギア対64を変速機入力軸53から切り離す。次にM/G60の回転速度を徐々に減速するようにM/G60の回転速度を制御して、M/G60の回転速度がゼロとなった時点でシフトアクチュエータS5により、M/G60の回転軸を固定することで、4速から5速への変速が完了する。
【0083】
また5速から4速への変速は、次のように行われる。
まずアクチュエータS5によるM/G60の回転軸の固定を解除した後、変速機入・出力軸53,54の回転速度比が4速ギア対64のギア比に応じた回転速度比となるようにM/G60の回転速度制御を行い、変速機入・出力軸53,54の回転速度を同期させる。そして、変速機入・出力軸53,54の回転速度が同期した時点で、シフトアクチュエータS2により、4速ギア対64を変速機入力軸53に連結する。その後、M/G60の運転を除減していき、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路をギア対67から4速ギア対64に移し替えることで、5速から4速への変速が完了する。
【0084】
<2> 5速、6速間の変速
本実施形態における5速、6速間の変速は、第2実施形態における変速プロセスを逆に行うことによって行われる。すなわち本実施形態での5速から6速への変速は、第2実施形態での6速から5速への変速と同様のプロセスにより行われ、6速から5速への変速は、第2実施形態での5速から6速への変速と同様のプロセスにより行われる。
【0085】
こうした本実施形態でも、第2実施形態と同様、或いはそれに準じた効果を奏することができる。
(第4実施形態)
続いて、本発明を具体化した第4実施形態について、第2実施形態及び第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0086】
図9は、本実施形態の平行軸式歯車変速装置の全体構造を示すスケルトン図である。
同図9に示すように、本実施形態の変速装置においても、内燃機関50の出力は、発進クラッチ52を介して変速機入力軸53に伝達され、更に変速機出力軸54からファイナルギア55及びディファレンシャルギア56を介して駆動輪軸(アクスルシャフト)57へと伝えられる。また、この変速装置にも、遊星ギア58が備えられ、そのサンギア58aにM/G60が、そのプラネタリキャリア58bに変速機入力軸53がそれぞれ接続されている。
【0087】
この変速装置では、変速機入・出力軸53,54間に、1速ギア対100、4速ギア対101及び後進ギア対102が介設されている。また遊星ギア58のリングギア58cは、2速ギア対104及び5速ギア対105の2つのギア対を介して変速機出力軸54と連結可能となっている。後進ギア対102以外のギア対のギア比は、1速ギア対100→2速ギア対104→4速ギア対101→5速ギア対102の順に、小さいギア比が設定されている。
【0088】
この変速装置においても、電子制御装置80(図7参照)により駆動制御される油圧式のシフトアクチュエータS11〜S14によってギア列の組替えが行われるようになっている。
【0089】
シフトアクチュエータS11は、ドッグクラッチ106を駆動して、4速ギア対101と変速機入力軸53との連結/切離しを行う。またシフトアクチュエータS11は、後進用ピニオンギア103を駆動して、同ギア103の後進ギア対102間への連結、及びその切離しも行う。
【0090】
シフトアクチュエータS12は、ドッグクラッチ107を駆動して、変速機入力軸53と1速ギア対100との連結/切離しを行う。また同アクチュエータS12は、同クラッチ107の駆動により、変速機入力軸53とリングギア58cとの連結/切離しも行う。
【0091】
シフトアクチュエータS13は、ドッグクラッチ108を駆動して、2速ギア対104及び5速ギア対105のそれぞれについて、変速機出力軸54との連結/切離しを行う。更にシフトアクチュエータS14は、ドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸の固定、及びその解除を行う。
【0092】
電子制御装置80は、シフトレバーの操作位置(シフト位置)の設定、及びDレンジ時の変速段の設定に応じて、図10に示される態様でシフトアクチュエータS11〜S14を制御する。
【0093】
<パーキング(P)レンジ>
シフト位置がPレンジに設定されているときには、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、変速機入力軸53とリングギア58cとを連結し、遊星ギア58の各要素58a〜58cを一体回転可能にロックする。その他のドッグクラッチ106,108,109については、開放した状態、すなわちいずれの要素についても係合を行わない状態としておき、変速機入・出力軸53,54間の動力伝達を遮断する。また図示しないパーキングロックを作動して、変速機出力軸54の回転を係止する。ここで発進クラッチ52により変速機入力軸53と機関出力軸51とを接続すれば、M/G60の回転軸と機関出力軸51とが一体回転するようになり、M/G60の駆動による内燃機関50の始動が可能となる。
【0094】
<ニュートラル(N)レンジ>
シフト位置がNレンジに設定されているときには、パーキングロックを作動させないこと以外は、Pレンジ時と同様の状態とされる。
【0095】
<リバース(R)レンジ>
シフト位置がRレンジに設定されているときには、シフトアクチュエータS11により、後進用ピニオンギア103を後進ギア対102に連結させる。またシフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、リングギア58cを変速機入力軸53に連結し、遊星ギア58の各要素58a〜58cを変速機入力軸53と一体回転可能にロックする。
【0096】
<ドライブ(D)レンジ>
シフト位置がDレンジに設定されているときには、電子制御装置80は、車速等の車両の運転状況に応じて、最適な変速比が得られるように、1速〜6速の間で変速段の自動変速を実施する。各変速段の設定は、以下のように行われる。
【0097】
1速の設定は、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、1速ギア対100を変速機入力軸53に連結するとともに、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、2速ギア対104を変速機出力軸54に連結することで行われる。このときの変速機入・出力軸53,54の回転速度比は、1速ギア対100のギア比に応じた回転速度比となる。なお、このときには、上記両ギア対100,104の係合により遊星ギア58の各要素の回転速度比が固定されるため、M/G60を力行駆動することで、駆動輪に伝達される駆動力を増強するトルクアシストの実施が可能である。またM/G60を回生運転すれば、変速機入・出力軸53,54間に伝達されるトルクの一部を利用して発電を行うことができる。
【0098】
2速の設定は、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、リングギア58cを変速機入力軸53に連結するとともに、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、2速ギア対104を変速機出力軸54に連結することで行われる。これにより、変速機入・出力軸53,54の回転速度比は、2速ギア対104のギア比に応じた回転速度比となる。このとき、M/G60の回転軸は、変速機入力軸53に一体回転可能に固定されているため、M/G60によるトルクアシスト及び発電の実施が可能である。
【0099】
3速の設定は、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、2速ギア対104を変速機出力軸54に係合するとともに、シフトアクチュエータS14によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸及びサンギア58aの回転を固定することで行われる。本実施形態では、サンギア58aを固定した状態でプラネタリキャリア58b及びリングギア58cを回転させると、プラネタリキャリア58bの回転速度よりもリングギア58cの回転速度が高くなるように遊星ギア58が構成されている。このため、こうした設定により、2速設定時よりも小さい変速比が得られるようになる。
【0100】
4速の設定は、シフトアクチュエータS11によりドッグクラッチ106を駆動して、4速ギア対101を変速機入力軸53に連結するとともに、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、5速ギア対105を変速機出力軸54に連結することで行われる。このときの変速機入・出力軸53,54の回転速度比は、4速ギア対101のギア比に応じた回転速度比となる。このときにも、1速設定時と同様にして、M/G60によるトルクアシスト及び発電を行うことができる。
【0101】
5速の設定は、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、リングギア58cを変速機入力軸53に連結するとともに、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、5速ギア対105を変速機出力軸54に連結することで行われる。これにより、変速機入・出力軸53,54の回転速度比は、5速ギア対105のギア比に応じた回転速度比となる。このときは、2速設定時と同様にして、M/G60によるトルクアシスト及び発電の実施が可能である。
【0102】
6速の設定は、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、5速ギア対105を変速機出力軸54に連結するとともに、シフトアクチュエータS14によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸を固定してサンギア58aの回転を係止することで行われる。本実施形態では、上述した遊星ギア58の構成のため、こうした設定によって、5速設定時よりも小さい変速比が得られる。
【0103】
次にこうした本変速装置におけるDレンジでの変速動作を説明する。
<1> 1速、2速間、及び4速、5速間の変速
本実施形態では、1速から2速への変速は、次のように行われる。
【0104】
まず内燃機関50のトルク反力を吸収するようにM/G60を回生運転、或いは力行運転させることで、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、1速ギア対100を通じた経路から遊星ギア58及び2速ギア対104を通じた経路に移し替える。これにより、1速ギア対100が単に連れ回りするだけの状態となった時点で、アクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、1速ギア対100を変速機入力軸53から切り離す。
【0105】
次に、変速機入力軸53とM/G60の回転速度が一致するようにM/G60の回転速度制御を行う。これにより、遊星ギア58の各要素58a〜58cの回転速度が一致したところで、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、リングギア58cを変速機入力軸53に連結させる。これにより1速から2速への変速が完了する。
【0106】
一方、2速から1速への変速は、次の通りとなる。
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、リングギア58cと変速機入力軸53の係合を切り離す。次に、変速機入・出力軸53,54の回転速度比が、1速ギア対100のギア比に応じた回転速度比となるように、M/G60の回転速度を制御する。そして、変速機入・出力軸53,54の回転速度が同期された時点で、シフトアクチュエータS12により1速ギア対100を変速機入力軸53に連結する。これにより、2速から1速への変速が完了する。
【0107】
なお、4速、5速間の変速については、連結/切離しの対象となるギア対が4速ギア対101となり、その連結/切離しを、シフトアクチュエータS11によるドッグクラッチ106の駆動により行うこと以外は、1速、2速間の変速と同様に行われる。
【0108】
<2> 2速、3速間、及び5速、6速間の変速
本実施形態では、2速から3速への変速は、次のように行われる。
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、リングギア58cを変速機入力軸53から切り離す。次に、M/G60の回転速度制御により、M/G60の回転速度がゼロとする。そしてM/G60の回転速度がゼロとなった時点で、シフトアクチュエータS109によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸を固定する。これにより、2速から3速への変速が完了する。
【0109】
一方、3速から2速への変速は、次のように行われる。
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS109によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸の固定を解除する。次に、M/G60の回転速度を上昇して、M/G60の回転速度を変速機入力軸53の回転速度と一致させる。これにより、遊星ギア58の各要素58a〜58cの回転速度が一致するようになった時点で、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、リングギア58cを変速機入力軸53に連結する。これにより、3速から2速への変速が完了する。
【0110】
なお、5速、6速間の変速についても、2速、3速間の変速と同様に行われる。
<3> 3速、4速間の変速
本実施形態では、3速から4速への変速は、次のように行われる。
【0111】
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS14によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸の固定を解除する。次に、変速入力軸53の回転方向の逆方向にM/G60を力行運転して、M/G60の回転速度を下げていき、変速機入・出力軸53,54の回転速度比を4速ギア対101のギア比に応じた回転速度比とする。これにより、両軸53,54の回転速度が同期された時点で、シフトアクチュエータS11によりドッグクラッチ106を駆動して、4速ギア対101を変速機入力軸53に連結する。
【0112】
その後、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、変速機出力軸54に連結されるギア対を2速ギア対104から5速ギア対105に切り替える。以上により、3速から4速への変速が完了する。
【0113】
一方、4速から3速への変速は、次のように行われる。
まず、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、変速機出力軸54に係合されるギア対を5速ギア対105から2速ギア対104に切り替える。次に、内燃機関50のトルク反力を吸収するようにM/G60を回生運転、或いは力行運転して、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、4速ギア対101を通じた経路から遊星ギア58及び2速ギア対105を通じた経路に移し替える。これにより4速ギア対101が単に連れ回りするだけとなった時点で、シフトアクチュエータS11によりドッグクラッチ106を駆動して、4速ギア対101を変速機入力軸53から切り離す。
【0114】
続いて、M/G60の回転速度を下げていき、その回転速度がゼロとなった時点で、シフトアクチュエータS109によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸を固定する。これにより、4速から3速への変速が完了する。
【0115】
以上が本実施形態の変速装置における変速動作の詳細である。
ちなみに、本実施形態でも、第2実施形態と同様に、トルクアシストや回生発電、内燃機関50の始動等のM/G60を変速以外の用途に利用することができる。また、第2実施形態と同様の車両発進制御の実施を行うこともできる。
【0116】
なお、上述した第2及び第3実施形態の平行軸式歯車変速装置を採用する車両では、変速比の設定範囲を広くした場合に、低変速段において、内燃機関50の性能を十分に発揮することが困難となることがある。ここでは、第3実施形態と同様に構成された平行軸式歯車変速装置の適用された車両を例に、その理由を説明する。
【0117】
第3実施形態の変速装置では、Dレンジの1速〜4速の設定時には、M/G60の回転速度Nmgは、次の数式に示される通りとなる。
Nmg=NE・γn/γ6
ここで、
「NE」:内燃機関50の回転速度(=変速機入力軸53の回転速度)、
「γn」:そのとき設定されている変速段に対応したギア対(1速ギア対61〜4速ギア対64のいずれか)のギア比、
「γ6」:プラネタリキャリア58bに連結されたギア対67のギア比、
をそれぞれ示している。
【0118】
上記数式から明らかなように、M/G60と内燃機関50との回転速度の比(Nmg/NE)は、そのとき設定されている変速段に対応したギア対と、ギア対67とのギア比の差が大きくなるほど大きくなる。
【0119】
一方、M/G60及び内燃機関50には、使用可能な回転速度に上限がある。車両の加速性能を高めるには、車両の加速時に、各変速段において内燃機関50の回転速度がその上限に達した時点で、次の変速段への変速を行うことが望ましい。
【0120】
ところが上記のように、低速の変速段では、内燃機関50に対するM/G60の回転速度比が大きいため、内燃機関50の回転速度がその上限に達する前にM/G60の回転速度がその上限に達してしまうことがある。特に、高車速に対応すべく、6速ギアとして用いられるギア対67のギア比を小さく設定した場合には、そうした傾向が更に助長される。
【0121】
図11は、第3実施形態の変速装置の適用例において、内燃機関50の回転速度の上限を6000rpm、M/G60の回転速度の上限を10000rpmとしたときの、車速に対応する変速機出力軸54の回転速度(車速に対応)に対しての内燃機関50及びM/G60の推移を示している。同図11の例では、1速及び2速時には、内燃機関50よりも先にM/G60が回転速度の上限に達してしまっている。そのため、1速及び2速時には、使用可能な内燃機関50の回転速度域が制限されてしまい、その性能を十分に発揮できなくなっている。
【0122】
その点、本実施形態の変速装置では、リングギア58cと変速機出力軸54との間にギア比の異なる2つのギア対104,105が介設されており、低速の変速段と高速の変速段とでは、リングギア58cと変速機出力軸54とを連結するギア対を切り替えている。そのため、変速比の設定範囲を広く確保しながらも、低速の変速段においてもM/G60の回転速度を低く抑えて、上記問題を容易に回避することができる。
【0123】
以上の本実施形態によれば、上記(1)〜(7)に記載の効果と同様、或いはそれに準じた効果を奏することができる。また更に、それに加えて以下の効果を奏することができる。
【0124】
(8)本実施形態では、遊星ギア58のリングギア58cと変速機出力軸54とを連結するギア対を、ギア比の異なる2つのギア対104,105のうちから選択可能に構成されている。これにより、遊星ギア58の各要素58a〜58cの回転速度の変化範囲の拡大を抑えることができ、変速比の設定範囲の更なる拡大が許容されるようになる。
【0125】
(9)本実施形態では、2速ギア対104及び5速ギア対105の係合時のそれぞれについて、遊星ギア58の各要素58a〜58cを一体回転可能にロックすること、及びM/G60の回転軸を固定することで、各2速の変速段を設定することができる。これにより、より少ないギア対でより多くの変速段の設定が可能となり、変速装置の大型化を抑えつつ、変速段を増やすことができる。
【0126】
なお、本実施形態の変速装置では、1速及び4速の設定時に、リングギア58cと変速機出力軸54とを、2速ギア対104で連結しても、5速ギア対105で連結しても、変速比は同じである。そこで、1速の設定時に、5速ギア対105を通じてリングギア58cと変速機出力軸54とを連結する、或いは4速の設定時に、2速ギア対104を通じて5速ギア対105を通じてリングギア58cと変速機出力軸54とを連結するように、変速態様を変更することもできる。
【0127】
こうしてリングギア58cと変速機出力軸54とを連結するギア対を変更した場合、変速比は変わらないものの、変速機入力軸53に対するサンギア58a及びM/G60の回転速度比が変化し、M/G60によるトルクアシストや発電の効果が変化する。
【0128】
例えばギア比のより小さい5速ギア対105を連結した場合、M/G60はより高速で回転されることとなる。そのため、より効果的に回生発電を行うことができるようになり、ひいては車両の燃費性能を向上できる。一方、ギア比のより大きい2速ギア対104を連結させた場合、内燃機関50とM/G60との回転速度差がより小さくなるため、より効果的にトルクアシストを行い、車両の動力性能を向上できる。
【0129】
そこで、動力性能を重視する場合には、1速/4速の設定時に2速ギア対104を連結するようにし、燃費性能を重視する場合には(回生発電の効率を高めれば、燃費性能を向上することができる)、1速/4速の設定時に5速ギア対105を連結するように、状況に応じてそれらギア対104,105を使い分けるようにしても良い。そうしたギア対の選択は、例えば、運転者による車両の走行モードの設定や、車両の走行状況などに応じて行うことができる。
【0130】
(第5実施形態)
続いて、本発明を具体化した第5実施形態について、第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0131】
本実施形態は、第4実施形態の平行軸式歯車変速装置における遊星ギア58の各要素58a〜58cの連結対象を一部変更したもので、遊星ギア58のリングギア58cが変速機入力軸53に接続され、プラネタリキャリア58bがギア対104,105に接続されている。また遊星ギア58のロックは、ドッグクラッチ107により、プラネタリキャリア58bを変速機入力軸53に連結することで行われるようになっている。
【0132】
この変速装置では、第4実施形態と遊星ギア58の各要素58a〜58cの歯数が同じであるため、第4実施形態での2速/5速の設定時よりも、同実施形態での3速/6速の設定時の方が、変速機入・出力軸53,54の減速比が大きくなる。このため、本実施形態の各変速段の設定は、第4実施形態の2速/5速の設定と3速/6速の設定とを入れ替えたものとなる。
【0133】
そして、こうした変速段の設定態様の違い応じて、本実施形態でのDレンジ時の変速動作は、以下の通りとなる。
<1> 1速、2速間、及び4速、5速間の変速
本実施形態では、1速から2速の変速は、次の手順で行われる。
【0134】
まず、内燃機関50のトルク反力を吸収するようにM/G60を回生運転して、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、1速ギア対100を通じた経路から遊星ギア58及び2速ギア対104を通じた経路に移し替える。これにより、1速ギア対100が単に連れ回りするだけの状態となった時点で、アクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、1速ギア対100を変速機入力軸53から切り離す。次に、M/G60の回転速度制御により、M/G60の回転速度を下げていき、その回転速度がゼロとなった時点で、シフトアクチュエータS109によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸を固定する。これにより、1速から2速への変速が完了する。
【0135】
一方、2速から1速への変速は、次のように行われる。
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS109によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸の固定を解除する。次に、変速機入・出力軸53,54の回転速度比が、1速ギア対100のギア比に応じた回転速度比となるように、M/G60の回転速度を制御する。そして、変速機入・出力軸53,54の回転速度が同期された時点で、シフトアクチュエータS12により1速ギア対100を変速機入力軸53に連結する。これにより、2速から1速への変速が完了する。
【0136】
なお、4速、5速間の変速については、係合/切離しの対象となるギア対が4速ギア対101となり、その係合/切離しを、シフトアクチュエータS11によるドッグクラッチ106の駆動により行うこと以外は、1速、2速間の変速と同様に行われる。
【0137】
<2> 2速、3速間、及び5速、6速間の変速
本実施形態では、2速から3速への変速は、次のように行われる。
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS109によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸の固定を解除する。次に、変速機入力軸53とM/G60の回転速度が一致するようにM/G60の回転速度制御を行う。これにより、遊星ギア58の各要素58a〜58cの回転速度が一致したところで、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、プラネタリキャリア58bを変速機入力軸53に連結させるることで、2速から3速への変速が完了する。
【0138】
一方、3速から2速への変速は、次の通りとなる。
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、プラネタリキャリア58bを変速機入力軸53から切り離す。次に、M/G60の回転速度制御により、M/G60の回転速度を下げていき、その回転速度がゼロとなった時点で、シフトアクチュエータS109によりドッグクラッチ109を駆動して、M/G60の回転軸を固定する。これにより、1速から2速への変速が完了する。これにより、3速から2速への変速が完了する。
【0139】
なお、5速、6速間の変速についても、2速、3速間の変速と同様の態様で行われる。
<3> 3速、4速間の変速
本実施形態では、3速から4速への変速は、次のように行われる。
【0140】
まず、内燃機関50のトルク反力を受けるようにM/G60を駆動した後、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、プラネタリキャリア58bを変速機入力軸53から切り離す。次に、M/G60の回転速度制御により、変速機入・出力軸53,54の回転速度比を4速ギア対101のギア比に応じた回転速度比とする。これにより、両軸53,54の回転速度が同期された時点で、シフトアクチュエータS11によりドッグクラッチ106を駆動して4速ギア対101を変速機入力軸53に連結する。その後、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、変速機出力軸54に連結されるギア対を2速ギア対104から5速ギア対105に切り替える。以上により、3速から4速への変速が完了する。
【0141】
一方、4速から3速への変速は、次のように行われる。
まず、シフトアクチュエータS13によりドッグクラッチ108を駆動して、変速機出力軸54に連結されるギア対を5速ギア対105から2速ギア対104に切り替える。次に、内燃機関50のトルク反力を吸収するようにM/G60を回生運転して、変速機入・出力軸53,54間のトルク伝達経路を、4速ギア対101を通じた経路から遊星ギア58及び2速ギア対105を通じた経路に移し替える。これにより4速ギア対101が単に連れ回りするだけとなった時点で、シフトアクチュエータS11によりドッグクラッチ106を駆動して、4速ギア対101を変速機入力軸53から切り離す。
【0142】
続いて、M/G60の回転速度と変速機入力軸53の回転速度とを一致させるように、M/G60の回転速度制御を実施する。これにより、遊星ギア58の各要素58a〜58cの回転速度が一致したところで、シフトアクチュエータS12によりドッグクラッチ107を駆動して、プラネタリキャリア58bを変速機入力軸53に連結させるることで、4速から3速への変速が完了する。
【0143】
こうした本実施形態は、第4実施形態と同様、或いはそれに準じた効果を奏することができる。
また本実施形態においても、第4実施形態と同様に、1速の設定時に変速機出力軸54に連結されるギア対を5速ギア105としたり、4速の設定時に変速機出力軸54に連結されるギア対を2速ギア104としたりするようにしても良い。また、1速/4速の設定時に変速機出力軸54に連結されるギア対を、状況に応じて使い分けるようにしても良い。
【0144】
(その他の実施形態)
以上説明した各実施形態は次のように変更することもできる。
・第2〜第5実施形態では、プラネタリキャリア58b又はリングギア58cを変速機入力軸53に連結して遊星ギア58の各要素をロックすること、M/G60の回転軸を固定すること、のそれぞれによって各変速段を設定するようにしている。そうした変速段の設定のいずれか一方又は双方を行わないようにしても良い。その場合、プラネタリキャリア58b又はリングギア58cを変速機入力軸53に連結する機構、或いはM/G60の回転軸を固定する機構を省略することができる。
【0145】
・第2〜第5実施形態では、M/G60によるトルクアシストや回生発電、内燃機関50の始動などを行っているが、そうしたM/G60の制御の採用の有無は任意である。また第2〜第5実施形態での車両発進時の制御の採用の有無についても任意である。
【0146】
・上記各実施形態では、ギア対の連結/切離しをシンクロ機構の無いドッグクラッチで行っているが、シンクロ機構を備える同期連結機構等の任意の連結機構を採用することができる。また第2〜第5実施形態では、変速機入力軸53とプラネタリキャリア58b又はリングギア58cの連結/切離し、或いはM/G60の回転軸(サンギア58a)の固定についてもドッグクラッチで行っているが、そうした連結機構についても任意の連結機構を採用が可能である。
【0147】
・上記各実施形態での各ギア対の配列の順序やその数等は任意に変更することができる。またギア対の数を変更して設定可能な変速段の数を増減することができる。
【0148】
・3つの要素を有して、そのうちの2つの要素の回転速度差に応じて残る要素を差動回転可能なものであれば、任意の差動機を遊星ギアの替わりとして採用しても良い。
【0149】
・本発明の平行軸式歯車変速装置は、車両以外に用いられる変速装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の平行軸式歯車変速装置の全体構成を示す模式図。
【図2】同変速装置の遊星ギアの構成を示す模式図。
【図3】同変速装置についてその変速時の作動態様を示す模式図。
【図4】同変速装置についてその変速時の作動態様を示す模式図。
【図5】同変速装置についてその変速時の作動態様を示す模式図。
【図6】第2実施形態の平行軸式歯車変速装置の全体構成を示す模式図。
【図7】同変速装置の制御系の構成を示す模式図。
【図8】同実施形態のシフトアクチュエータの動作態様を示す図。
【図9】第4実施形態の平行軸式歯車変速装置の全体構成を示す模式図。
【図10】同実施形態のシフトアクチュエータシフトの動作態様を示す図。
【図11】第2実施形態の変速装置での内燃機関、M/G及び駆動輪の各回転速度の関係を示すグラフ。
【図12】従来の平行軸式歯車変速装置の全体構成を示す模式図。
【符号の説明】
10,53…変速機入力軸、11,54…変速機出力軸、12,13…1速ギア対、14,15…2速ギア対、16,68〜72,106〜109…ドッグクラッチ、S1〜S5,S11〜S14…シフトアクチュエータ、17,58…遊星ギア(差動機)、18,58a…サンギア、19,58b…プラネタリキャリア、20,58c…リングギア、21,60…モータ・ジェネレータ(M/G:回転電気機)、52…発進クラッチ、53a…潤滑ポンプ、61〜65,67,100〜102,104,105…ギア対、66,103…後進ピニオン、80…電子制御装置。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a parallel shaft gear transmission.
[0002]
[Prior art]
As an automatic transmission used in a vehicle, an automatic transmission (A · T) that uses both a torque converter and a planetary gear transmission mechanism is widely used. In vehicles equipped with such ATs, the power transmission efficiency of the torque converter is not so high, so fuel efficiency performance is higher than in manual transmissions (MT) equipped with parallel shaft gear transmissions. Lower.
[0003]
On the other hand, in the parallel shaft type gear transmission, the clutch must be opened at the time of shifting to cut off the power transmission from the internal combustion engine to the transmission, and the power performance of the automobile is greatly reduced at every shifting.
[0004]
Therefore, there is a demand for an automatic transmission capable of shifting without interrupting power transmission from the internal combustion engine to the drive wheels while using a parallel shaft gear transmission that can easily ensure fuel efficiency.
[0005]
Conventionally, as such an automatic transmission, a transmission described in JP-A-6-201027 has been proposed. As shown in FIG. 12, the transmission described in the publication has a plurality of gear pairs corresponding to each gear position between the transmission input / output shafts 201 and 202, as in the case of a normal parallel shaft gear transmission. 203-206. Then, the operation of the sleeves 207 and 208 switches the gear pair for transmitting torque between the two shafts 201 and 202 to change the speed.
[0006]
However, in this transmission, another gear pair 209 is interposed between the transmission input / output shafts 201 and 202 in addition to the gear pairs 203 to 206 corresponding to the respective shift stages. The gear pair 209 is connected to the transmission input shaft 201 via a hydraulically driven friction clutch 210, and shifts from the transmission input shaft 201 through the gear pair 209 by controlling the hydraulic pressure supply to the friction clutch 210. The torque transmitted to the
[0007]
In this speed change device, when all gear connections of the gear pairs 203 to 206 corresponding to the respective speed stages are released during the speed change and the neutral state is established, the friction clutch 210 is operated and the speed change is made through the gear pair 209. By transmitting torque from the input shaft 201 to the transmission output shaft 202, power interruption during shifting is avoided.
[0008]
For example, when switching the gear from the first gear pair 203 to the second gear pair 204, first the sleeve 207 is released to release the gear connection between the transmission input / output shafts 201 and 202 by the first gear pair 203, Set the transmission to neutral. At the same time, the friction clutch 210 is operated to maintain torque transmission from the transmission input shaft 201 to the transmission output shaft 202 through the friction between the friction plates. If the hydraulic pressure is increased to increase the frictional force of the friction clutch 210, the load increases and the rotational speed of the internal combustion engine gradually decreases. When the rotational speed of the internal combustion engine decreases to the speed ratio corresponding to the second gear pair 204 to which the rotational speed ratio between the transmission input / output shafts 201 and 202 is changed, the sleeve 207 is driven to The second speed gear pair 204 is connected to the input shaft 201 and the hydraulic pressure supply to the friction clutch 210 is stopped.
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
With such a transmission, it is certainly possible to perform a shift while maintaining power transmission, but the following problems cannot be ignored.
[0010]
First, in this transmission, a large amount of torque must be transmitted through the frictional force between the friction plates of the friction clutch 210 during the shift, and a large hydraulic pressure similar to that of an AT-equipped vehicle is required to operate the friction clutch 210. A pump is required. For this reason, an increase in power loss due to the operation of the hydraulic pump is unavoidable, and in the end, it is not possible to ensure a fuel efficiency as high as that of a vehicle equipped with MT.
[0011]
In this transmission, the rotational speed of both shafts 201 and 202 is controlled by adjusting the frictional force between the friction plates of the friction clutch 210. However, as the temperature of the friction plates rises due to frictional heat, Such a rotational speed control is very difficult because the friction coefficient between the plates decreases.
[0012]
The present invention has been made in view of such circumstances, and an object of the present invention is to provide a parallel-shaft gear transmission that can satisfactorily perform an internal shift for interrupting power transmission.
[0013]
[Means for Solving the Problems]
In the following, means for achieving the above object and its operational effects are described.
The invention according to
[0014]
In the above configuration, as a torque transmission path between the transmission input / output shafts, a first path through the gear pair connected between the transmission input / output shafts and a second path through the differential are formed. The distribution of torque transmitted through these two paths can be adjusted by the operation control of the rotating electric machine. As a result, torque transmission between the transmission input / output shafts during transmission can be maintained through the second path. Therefore, it is possible to smoothly shift gears through operation control of the rotating electric machine while maintaining power transmission between the transmission input / output shafts.In the above-described configuration, the second element of the differential gear is connected to the transmission input shaft by the coupling mechanism so as to be integrally rotatable, so that the number of gear stages that can be set is increased without adding a gear pair. be able to.
The invention according to
In the above configuration, as a torque transmission path between the transmission input / output shafts, a first path through the gear pair connected between the transmission input / output shafts and a second path through the differential are formed. The distribution of torque transmitted through these two paths can be adjusted by the operation control of the rotating electric machine. As a result, torque transmission between the transmission input / output shafts during transmission can be maintained through the second path. Therefore, it is possible to smoothly shift gears through operation control of the rotating electric machine while maintaining power transmission between the transmission input / output shafts. Further, in the above configuration, a further shift stage can be set by fixing the rotation of the third element of the differential with the fixing mechanism, and the settable shift stages can be increased without adding a gear pair.
[0015]
And claims3The invention described in claim 1Or 2In the parallel shaft type gear transmission according to
[0016]
In the above configuration, since the rotation speed ratio of each element of the differential can be changed by selecting the gear pair connecting the second element of the differential and the transmission output shaft, the range of change of the rotation speed of each of the elements is expanded. Can be suppressed. Therefore, it is possible to preferably avoid the restriction due to the upper limit of the rotational speed of each element of the differential and to enlarge the setting range of the gear ratio.
[0021]
And claims4The invention described in claim 13In the parallel-shaft gear transmission according to any one of the above, the differential is configured by a planetary gear.
By using a planetary gear that also functions as a differential, it is possible to realize a parallel-shaft gear transmission that can shift without interrupting power transmission between the input and output shafts of the transmission.
[0022]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(First embodiment)
Hereinafter, a first embodiment of the present invention will be described in detail with reference to FIGS. The present embodiment is configured as a parallel-shaft gear transmission for a vehicle with a simple configuration that performs two forward speeds. Here, the operation principle of the present invention will be described using this parallel shaft gear transmission as an example.
[0023]
As shown in FIG. 1, the transmission includes a
[0024]
A dog clutch (meshing clutch) 16 is disposed on the
[0025]
On the other hand, the transmission is provided with a
[0026]
As shown in FIG. 1, the
[0027]
Next, the speed change operation of the transmission will be described with reference to FIGS. 3 to 5 show the operation modes of the present speed change device at each stage related to the shift from the first speed to the second speed. 3 to 5, in each stage, elements contributing to torque transmission from the
[0028]
At the first speed, a
[0029]
If the operation of the M /
[0030]
On the other hand, if the M /
[0031]
In the present embodiment, torque transmission through the first-
[0032]
If the connection by the
[0033]
In this transmission, the downshift from the second speed to the first speed can be performed through the same process as the upshift from the first speed to the second speed.
As described above, this transmission can perform a shift while maintaining the power transmission from the internal combustion engine to the drive wheels through the
[0034]
Further, since the rotational speeds of the transmission input /
[0035]
(Second Embodiment)
Next, a second embodiment of the present invention will be described in detail with reference to the drawings. The parallel-shaft gear transmission according to the present embodiment embodies the present invention as a vehicle transmission that shifts six forward speeds and one reverse speed while following the principle of the speed change operation of the transmission according to the first embodiment. Is.
[0036]
FIG. 6 is a skeleton diagram showing the overall structure of the parallel shaft gear transmission of this embodiment.
The output of the
[0037]
The
[0038]
On the other hand, the
[0039]
Further, between the
[0040]
The speed change operation of such a transmission is performed through rearrangement of gear trains by hydraulically driven shift actuators S1 to S5.
The shift actuator S1 drives the
[0041]
The shift actuator S3 drives the
[0042]
The shift actuator S4 drives the
[0043]
Further, the shift actuator S5 drives the
[0044]
In this transmission, the starting
[0045]
FIG. 7 shows the configuration of the control system of this transmission. The transmission is controlled by an
[0046]
The
[0047]
Such transmission control by the electronic control device is performed by driving the shift actuators S1 to S5 in a manner as shown in FIG. 8 according to the shift position and the like.
[0048]
8 and 10, the symbols “→” / “←” in the drawings indicate that the dog clutch driven by the shift actuator corresponds to the right / left side of the dog clutch in the skeleton diagram of the corresponding transmission. It shows that the element located at is engaged. The symbol “|” in the table indicates that the dog clutch driven by the shift actuator is opened, that is, the dog clutch is not engaged with any element. However, for the shift actuators S4 and S11, the symbol “←” indicates that a reverse pinion gear is connected between the reverse gear pair.
[0049]
For example, in FIG. 8, in the parking (P) range, a
[0050]
The details of the shift control performed by the
<Parking (P) range>
When the shift position is set to the P range, the
[0051]
<Neutral (N) range>
Even when the shift position is set to the N range, similarly to the P range, the
[0052]
<Reverse (R) range>
When the shift position is set to the R range, the
[0053]
<Drive (D) range>
When the shift position is set to the drive (D) range, the
[0054]
In this transmission, the first to fourth gears are set by connecting a gear pair (any one of the gear pairs 61 to 64) corresponding to the gear stage to the
[0055]
On the other hand, in the fifth gear, the
[0056]
Further, the sixth speed is set by fixing the rotation shaft of the M /
[0057]
The speed change operation in the D range in this speed change apparatus will be described.
<1> Shift between 1st and 4th gear
The shift between the first speed to the fourth speed is performed in the same manner as in the first embodiment. That is, when shifting is necessary, first, the M /
[0058]
Next, the rotational speed of the M /
[0059]
<2> Shift between 4th and 5th gear
The shift from the fourth speed to the fifth speed is performed as follows.
First, the torque reaction path between the transmission input /
[0060]
Next, the rotational speed of the M /
[0061]
On the other hand, the shift from the fifth speed to the fourth speed is performed as follows.
First, the torque control operation of the M /
[0062]
Next, the rotational speed control of the M /
[0063]
<3> Shift between 5th and 6th gear
The shift from the fifth speed to the sixth speed is performed as follows.
First, when the M /
[0064]
As described above, in this transmission, torque transmission between the transmission input /
[0065]
In a vehicle equipped with the present parallel shaft gear transmission, the M /
When the gear position is set to the 1st to 5th gears in the D range, the M /
[0066]
The M /
The
[0067]
Furthermore, in this embodiment, the vehicle is started as follows.
When the vehicle is in a stopped state (vehicle speed zero or slow running) in the D range, the gear position of the transmission is set to the first speed, the first
[0068]
When the accelerator pedal is depressed, the start clutch 52 starts to be engaged from the time when the output of the
[0069]
The backward start at the time of setting the R range is performed in the same manner as the above forward start.
Incidentally, in this embodiment, it is possible to start the vehicle from the stopped state of the
[0070]
According to this embodiment described above, the following effects can be obtained.
(1) In this embodiment, the
[0071]
(2) In the present embodiment, gear engagement at the time of shifting is performed in a state where the rotation speeds of the transmission input /
[0072]
(3) In this embodiment, the
[0073]
(4) In this embodiment, the rotation of the M /
[0074]
(5) In this embodiment, torque assist and regenerative power generation can be performed by causing the M /
[0075]
(6) In the present embodiment, it is possible to generate a creep force when the vehicle is stopped by the M /
[0076]
(7) In the present embodiment, the
(Third embodiment)
Next, a third embodiment that embodies the present invention will be described focusing on differences from the second embodiment.
[0077]
In the present embodiment, the connection targets of the elements 58a to 58c of the
[0078]
Also in the transmission of this embodiment, the setting of the 1st to 4th gears in the D range is performed in the same manner as in the second embodiment. Further, the shift between the first speed to the fourth speed is performed in the same manner as in the second embodiment.
[0079]
Also in this embodiment, two elements of the
[0080]
However, as described above, when the planetary carrier 58b and the ring gear 58c are rotated while the rotation of the
[0081]
Incidentally, in this embodiment, in order to obtain the same speed change characteristic as that of the second embodiment, it is necessary to make the gear ratio of the
Further, the speed change mode between the fourth speed and the sixth speed is also changed as follows according to the difference in the setting mode of the gears.
[0082]
<1> Shift between 4th and 5th speed
The shift from the fourth speed to the fifth speed is performed as follows.
First, the torque reaction force of the
[0083]
The shift from the fifth speed to the fourth speed is performed as follows.
First, after fixing the rotation shaft of the M /
[0084]
<2> Shift between 5th and 6th gear
The shift between the fifth speed and the sixth speed in the present embodiment is performed by performing the shift process in the second embodiment in reverse. That is, the shift from the 5th speed to the 6th speed in the present embodiment is performed by the same process as the shift from the 6th speed to the 5th speed in the second embodiment. This is performed by the same process as the shift from the fifth speed to the sixth speed in the embodiment.
[0085]
In this embodiment, the same effects as those of the second embodiment or effects equivalent thereto can be obtained.
(Fourth embodiment)
Next, a fourth embodiment that embodies the present invention will be described focusing on differences from the second and third embodiments.
[0086]
FIG. 9 is a skeleton diagram showing the overall structure of the parallel shaft gear transmission of this embodiment.
As shown in FIG. 9, also in the transmission of this embodiment, the output of the
[0087]
In this transmission, a first speed gear pair 100, a fourth
[0088]
Also in this transmission, the gear train is rearranged by hydraulic shift actuators S11 to S14 that are driven and controlled by an electronic control unit 80 (see FIG. 7).
[0089]
The shift actuator S11 drives the
[0090]
The shift actuator S12 drives the
[0091]
The shift actuator S13 drives the
[0092]
The
[0093]
<Parking (P) range>
When the shift position is set to the P range, the
[0094]
<Neutral (N) range>
When the shift position is set to the N range, the state is the same as in the P range except that the parking lock is not activated.
[0095]
<Reverse (R) range>
When the shift position is set to the R range, the
[0096]
<Drive (D) range>
When the shift position is set to the D range, the
[0097]
The first speed is set by driving the
[0098]
To set the second speed, the
[0099]
The third speed is set by driving the
[0100]
The fourth speed is set by driving the
[0101]
The fifth speed is set by driving the
[0102]
The sixth speed is set by driving the
[0103]
Next, the shifting operation in the D range in this transmission will be described.
<1> Shift between 1st speed, 2nd speed, 4th speed and 5th speed
In the present embodiment, the shift from the first speed to the second speed is performed as follows.
[0104]
First, the regenerative operation or power running operation of the M /
[0105]
Next, the rotational speed control of the M /
[0106]
On the other hand, the shift from the second speed to the first speed is as follows.
First, after driving the M /
[0107]
For gear shifting between the 4th speed and the 5th speed, the gear pair to be connected / disconnected is the
[0108]
<2> Shift between 2nd speed, 3rd speed, 5th speed, 6th speed
In the present embodiment, the shift from the second speed to the third speed is performed as follows.
First, after driving the M /
[0109]
On the other hand, the shift from the third speed to the second speed is performed as follows.
First, after driving the M /
[0110]
Note that the shift between the fifth speed and the sixth speed is performed in the same manner as the shift between the second speed and the third speed.
<3> Shift between 3rd speed and 4th speed
In the present embodiment, the shift from the third speed to the fourth speed is performed as follows.
[0111]
First, after driving the M /
[0112]
Thereafter, the
[0113]
On the other hand, the shift from the fourth speed to the third speed is performed as follows.
First, the
[0114]
Subsequently, the rotational speed of the M /
[0115]
The above is the details of the speed change operation in the transmission of the present embodiment.
Incidentally, in this embodiment as well, as in the second embodiment, the M /
[0116]
In the vehicle employing the parallel shaft gear transmissions of the second and third embodiments described above, the performance of the
[0117]
In the transmission of the third embodiment, when the 1st to 4th speeds of the D range are set, the rotational speed Nmg of the M /
Nmg = NE · γn / γ6
here,
“NE”: rotational speed of the internal combustion engine 50 (= rotational speed of the transmission input shaft 53),
“Γn”: the gear ratio of the gear pair (any one of the first
“Γ6”: the gear ratio of the gear to 67 connected to the planetary carrier 58b,
Respectively.
[0118]
As is apparent from the above formula, the ratio (Nmg / NE) of the rotational speed between the M /
[0119]
On the other hand, the M /
[0120]
However, as described above, the M /
[0121]
FIG. 11 shows a transmission output shaft corresponding to the vehicle speed when the upper limit of the rotational speed of the
[0122]
In this regard, in the transmission of this embodiment, two gear pairs 104 and 105 having different gear ratios are interposed between the ring gear 58c and the
[0123]
According to the above embodiment, the same effects as those described in the above (1) to (7) or effects equivalent thereto can be achieved. In addition to the above, the following effects can be achieved.
[0124]
(8) In this embodiment, the gear pair that connects the ring gear 58c of the
[0125]
(9) In the present embodiment, each of the elements 58a to 58c of the
[0126]
In the transmission of the present embodiment, the ring gear 58c and the
[0127]
Thus, when the gear pair connecting the ring gear 58c and the
[0128]
For example, when the
[0129]
Therefore, when emphasizing power performance, the
[0130]
(Fifth embodiment)
Next, a fifth embodiment that embodies the present invention will be described focusing on differences from the fourth embodiment.
[0131]
In this embodiment, the connection object of each element 58a to 58c of the
[0132]
In this transmission, since the number of teeth of each element 58a to 58c of the
[0133]
And according to the difference of the setting aspect of such a gear position, the speed change operation | movement at the time of D range in this embodiment is as follows.
<1> Shift between 1st speed, 2nd speed, 4th speed and 5th speed
In the present embodiment, shifting from the first speed to the second speed is performed according to the following procedure.
[0134]
First, the M /
[0135]
On the other hand, the shift from the second speed to the first speed is performed as follows.
First, after driving the M /
[0136]
Note that for gear shifting between the fourth speed and the fifth speed, the gear pair to be engaged / disengaged is the fourth
[0137]
<2> Shift between 2nd speed, 3rd speed, 5th speed, 6th speed
In the present embodiment, the shift from the second speed to the third speed is performed as follows.
First, after driving the M /
[0138]
On the other hand, the shift from the third speed to the second speed is as follows.
First, after driving the M /
[0139]
Note that the shift between the fifth speed and the sixth speed is performed in the same manner as the shift between the second speed and the third speed.
<3> Shift between 3rd speed and 4th speed
In the present embodiment, the shift from the third speed to the fourth speed is performed as follows.
[0140]
First, after driving the M /
[0141]
On the other hand, the shift from the fourth speed to the third speed is performed as follows.
First, the
[0142]
Subsequently, the rotational speed control of the M /
[0143]
Such an embodiment can exhibit an effect similar to or equivalent to the fourth embodiment.
Also in the present embodiment, as in the fourth embodiment, the gear pair connected to the
[0144]
(Other embodiments)
Each embodiment described above can also be changed as follows.
In the second to fifth embodiments, the planetary carrier 58b or the ring gear 58c is connected to the
[0145]
-In 2nd-5th embodiment, although torque assist by M / G60, regenerative electric power generation, the start of the
[0146]
In each of the above embodiments, the gear pair is connected / disconnected by a dog clutch without a synchro mechanism, but any connection mechanism such as a synchronous link mechanism having a synchro mechanism can be employed. Further, in the second to fifth embodiments, the
[0147]
In the above embodiments, the order of arrangement of the gear pairs, the number thereof, and the like can be arbitrarily changed. In addition, the number of gears that can be set can be increased or decreased by changing the number of gear pairs.
[0148]
Any differential machine may be used as a substitute for the planetary gear as long as it has three elements and the remaining elements can be differentially rotated according to the difference in rotational speed between the two elements.
[0149]
-The parallel shaft type gear transmission of this invention is applicable also to the transmission used other than a vehicle.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram showing an overall configuration of a parallel shaft gear transmission according to a first embodiment.
FIG. 2 is a schematic diagram showing a configuration of a planetary gear of the transmission.
FIG. 3 is a schematic diagram showing an operation mode at the time of shifting of the transmission.
FIG. 4 is a schematic diagram showing an operation mode at the time of shifting of the transmission.
FIG. 5 is a schematic diagram showing an operation mode at the time of shifting of the transmission.
FIG. 6 is a schematic diagram showing an overall configuration of a parallel shaft gear transmission according to a second embodiment.
FIG. 7 is a schematic diagram showing a configuration of a control system of the transmission.
FIG. 8 is a view showing an operation mode of the shift actuator of the embodiment.
FIG. 9 is a schematic diagram showing an overall configuration of a parallel shaft gear transmission according to a fourth embodiment.
FIG. 10 is a view showing an operation mode of shift actuator shift according to the embodiment;
FIG. 11 is a graph showing the relationship among the rotational speeds of the internal combustion engine, M / G, and drive wheels in the transmission of the second embodiment.
FIG. 12 is a schematic diagram showing an overall configuration of a conventional parallel shaft gear transmission.
[Explanation of symbols]
10, 53 ... Transmission input shaft, 11, 54 ... Transmission output shaft, 12, 13 ... First gear pair, 14, 15 ... Second gear pair, 16, 68-72, 106-109 ... Dog clutch, S1 S5, S11 to S14: Shift actuator, 17, 58: Planetary gear (differential), 18, 58a ... Sun gear, 19, 58b ... Planetary carrier, 20, 58c ... Ring gear, 21, 60 ... Motor generator (M / G: Rotating electric machine), 52 ... Starting clutch, 53a ... Lubrication pump, 61-65, 67, 100-102, 104,105 ... Gear pair, 66,103 ... Reverse pinion, 80 ... Electronic control device.
Claims (4)
第1要素、第2要素及び第3要素の3つの要素に対して、それらのうちの2つの要素の回転速度差に応じて残る要素を差動回転させる差動機を備え、その差動機の第1要素を前記変速機入力軸に連結し、同差動機の第2要素を前記変速機出力軸に連結するとともに、
前記差動機の第3要素に連結された回転電気機と、前記差動機の第2要素と前記入力軸とを一体回転可能に連結する連結機構とを更に備える
ことを特徴とする平行軸式歯車変速装置。A parallel shaft transmission that performs a shift by switching a gear pair that connects a transmission input shaft and a transmission output shaft,
For the three elements of the first element, the second element, and the third element, a differential machine that differentially rotates the remaining elements according to the difference in rotational speed between the two elements is provided. One element is connected to the transmission input shaft, the second element of the differential is connected to the transmission output shaft, and
A parallel shaft gear further comprising: a rotating electric machine coupled to the third element of the differential; and a coupling mechanism coupling the second element of the differential and the input shaft so as to be integrally rotatable. Transmission device.
第1要素、第2要素及び第3要素の3つの要素に対して、それらのうちの2つの要素の回転速度差に応じて残る要素を差動回転させる差動機を備え、その差動機の第1要素を前記変速機入力軸に連結し、同差動機の第2要素を前記変速機出力軸に連結するとともに、 For the three elements of the first element, the second element, and the third element, a differential machine that differentially rotates the remaining elements according to the difference in rotational speed between the two elements is provided. One element is connected to the transmission input shaft, the second element of the differential is connected to the transmission output shaft, and
前記差動機の第3要素に連結された回転電気機と、前記差動機の第3要素の回転を固定する固定機構と、を更に備える A rotating electric machine coupled to the third element of the differential; and a fixing mechanism for fixing the rotation of the third element of the differential.
ことを特徴とする平行軸式歯車変速装置。A parallel shaft type gear transmission characterized by that.
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