JP4639391B2 - 微小液滴の溶合による液滴の形成方法及びその装置 - Google Patents
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Description
さらに、ナノおよびピコリッター(picoliter)のスケールでの液滴の操作のためには、電極の集積化及び制御が大幅に変更されるべきである。
〔1〕微小液滴の溶合による液滴の形成方法において、両親媒性分子を含む連続相液中に第1の分散相液と第2の分散相液を供給し、前記第1の分散相液からなる第1の液滴と前記第2の分散相液からなる第2の液滴とを生成させ、この第1の液滴とこの第2の液滴の接触を促すように、その容積が連通する上流及び下流のチャンネルの容積より大きくなるように形成された融合チャンバーに前記第1の液滴と前記第2の液滴を導き、前記融合チャンバー内で前記第1の液滴と前記第2の液滴とを接触させ、前記融合チャンバーの両側に形成された電極を介して前記接触した第1の液滴と第2の液滴とに電界を印加して、前記第1の液滴と前記第2の液滴を融合させることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の微小液滴の溶合による液滴の形成方法において、前記第1の液滴はβ−ガラクトシダーゼ反応物を含み、前記第2の液滴はdi−β−D−ガラクトピラノース(FDG)反応物を含むことを特徴とする。
(1)液滴の形成にあたって、その反応の開始を正確に決定し制御することができる。
(2)簡便、的確に、微小液滴の溶合による液滴の形成を行うことができる。
(3)反応の連続的な観察が可能である。実際に、β−ガラクトース液滴とdi−β−D−ガラクトピラノース(FDG)液滴との融合を行い、蛍光顕微鏡を用いて酸素化反応を観察した。
図1は本発明の実施例を示す微小液滴の融合による液滴の形成装置の模式図である。
この図において、1は両親媒性分子を含む連続相液〔両親媒性分子を含む有機連続相液(例えば、ヘキサデカン、リキッドパラフィンなどの油)〕2を供給する第1のチャンネル、3は第1のチャンネル1に対して垂直に交わり第1の分散相液(第1の反応物を含む第1の水溶液)4を供給する第2のチャンネルであり、連続相液2中に第1の分散相液4が供給されることにより第1の分散相液4からなる液滴5が生成される。一方、6は第1のチャンネル1に対して垂直に交わり第2の分散相液(第2の反応物を含む第2の水溶液)7を供給する第3のチャンネルであり、連続相液2中に第2の分散相液7が供給されることにより第2の分散相液7からなる液滴8が生成される。9は第1のチャンネル1に連通される融合チャンバー、10,11は融合チャンバー9を挟むように対向して配置されるシリコン電極、12は融合チャンバー9に連通される排出のための第4のチャンネル、13はシリコン電極10,11に接続されるパルス電圧発生器(電界発生器)、14は制御装置である。ここで、第1のチャンネル1から融合チャンバー9に移動した第1の分散相液4からなる液滴5と第2の分散相液7からなる液滴8は幅の広い容積が大きい融合チャンバー9内で互いに接触する。このとき、第1の分散相液4からなる液滴5と第2の分散相液7からなる液滴8とは、連続相液2の両親媒性分子(界面活性剤的機能を有する)が介在することにより容易には融合しないが、制御装置14によって制御したパルス電圧発生器13から50−200Vの直流電圧で10μsの間隔のパルスを、シリコン電極10と11の間に、印加すると、接触した第1の分散相液4からなる液滴5と第2の分散相液7からなる液滴8は、印加されたパルス状の電界により初めて融合し、融合液滴15が生成される。なお、図示しないが、連続相液及び分散相液はシリンジポンプにより本装置内に導入されている。
図2は本発明の微小液滴の溶合による液滴の形成装置のシリコン電極の製造方法を示す断面図、図3はSU−8の型にPDMS(ポリジメチルシロキサン)を入れてチャンネルを生成している際の断面図、図4はそれらが組み合わされた液滴の形成装置の断面図、図5はその液滴の形成装置の外面を示す図面代用写真、図6はその液滴の形成装置の内部の構造を示す図面代用写真である。
そこで、図4に示すように、図2(c)に示したパイレックス(登録商標)ガラス板21上の一対のシリコン電極24の上に、図3に示したPDMS(ポリジメチルシロキサン)スラブ33を配置する。ここで、PDMSスラブ33は顕微鏡を用いて下部のシリコン電極24に位置決めされる。そして、リード線41は導電性の接着剤を用いてシリコン電極24に接続される。分散相液及び連続相液チャンネルの幅は、それぞれ100μm及び250μmであり、融合チャンバーの大きさは750μm×1000μmである。全てのチャンネルが深さ200μmである。チャンネルはヘキサデカンによってPDMSが膨張するのを防止するためにCYTOP(商標)で被覆されている。被覆することで実験の時間中(略1時間)著しい膨張を招くことなく使用できる。これらの装置は、図4に示すように、2枚のアクリル板42の間に挟まれる。
図7より分かるように、電界が印加されない場合、第1の分散相液4からなる液滴5(黒矢印)と第2の分散相液7からなる液滴8(白矢印)は融合チャンバー9で接触はするが、融合することなく、第4のチャンネル12から排出される。一方、図8に示すように、電界が印加される場合は、第1の分散相液4からなる液滴5と第2の分散相液7からなる液滴8は融合チャンバー9で接触し、シリコン電極10,11間に印加された電界によって第1の分散相液4からなる液滴5と第2の分散相液7からなる液滴8が融合し、融合液滴15を得ることができる。ここでは、50V以上の電圧の印加で融合を達成した。高電圧を印加した方が融合の成功率が上がる。なお、移動している液滴よりも静止している液滴の方が低電圧で融合できる(20V程の低い電圧で融合できる)。
この図に示すように、0msでは2つの液滴は接触している。0.5msから4.0msへと移行するにつれて融合が進み、6.0msになると略球状の融合液滴となることがわかる。
図10は本発明の液滴の反応による蛍光の強さと時間との関係を示す図である。
この図から明らかなように、融合液滴を明確に捕らえることができた。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
2 両親媒性分子を含む連続相液〔有機連続相液(例えば、油)〕
3 第2のチャンネル
4 第1の分散相液(第1の反応物を含む第1の水溶液)
5 第1の分散相液からなる液滴
6 第3のチャンネル
7 第2の分散相液(第2の反応物を含む第2の水溶液)
8 第2の分散相液からなる液滴
9 融合チャンバー
10,11,24 シリコン電極
12 第4のチャンネル
13 パルス電圧発生器(電界発生器)
14 制御装置
15 融合液滴
21 パイレックス(登録商標)ガラス板
22 陽極ボンディングシリコン膜
23 アルミニウム
31 チャンネル
32 SU−8モールド
33 PDMSスラブ
41 リード線
42 2枚のアクリル板
Claims (5)
- (a)両親媒性分子を含む連続相液中に第1の分散相液と第2の分散相液を供給し、前記第1の分散相液からなる第1の液滴と前記第2の分散相液からなる第2の液滴とを生成させ、
(b)該第1の液滴と該第2の液滴の接触を促すように、その容積が連通する上流及び下流のチャンネルの容積より大きくなるように形成された融合チャンバーに前記第1の液滴と前記第2の液滴を導き、
(c)前記融合チャンバー内で前記第1の液滴と前記第2の液滴とを接触させ、
(d)前記融合チャンバーの両側に形成された電極を介して前記接触した第1の液滴と第2の液滴とに電界を印加して、前記第1の液滴と前記第2の液滴を融合させることを特徴とする微小液滴の溶合による液滴の形成方法。 - 請求項1記載の微小液滴の溶合による液滴の形成方法において、前記電界の印加は、前記電極へ20−200Vの直流電圧で10μsの間隔のパルスを印加することによって行うことを特徴とする微小液滴の溶合による液滴の形成方法。
- 請求項1又は2記載の微小液滴の溶合による液滴の形成方法において、前記第1の液滴はβ−ガラクトシダーゼ反応物を含み、前記第2の液滴はdi−β−D−ガラクトピラノース(FDG)反応物を含むことを特徴とする微小液滴の溶合による液滴の形成方法。
- (a)両親媒性分子を含む連続相液中に第1の分散相液からなる第1の液滴と第2の分散相液からなる第2の液滴とを生成する手段と、
(b)前記第1の液滴と前記第2の液滴の接触を促すように、その容積が連通する上流及び下流のチャンネルの容積より大きくなるように形成され、前記第1の液滴と前記第2の液滴が導かれる融合チャンバーと、
(c)該融合チャンバー内で前記第1の液滴と前記第2の液滴とを接触させる手段と、
(d)前記融合チャンバーの両側に形成される電極と、
(e)前記電極を介して前記接触した第1の液滴と第2の液滴とを融合するために電界を印加する電界印加手段とを具備することを特徴とする微小液滴の溶合による液滴の形成装置。 - 請求項4記載の微小液滴の溶合による液滴の形成装置において、前記電界印加手段は、20−200Vの直流電圧で10μsの間隔のパルスを印加する手段であることを特徴とする微小液滴の溶合による液滴の形成装置。
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