JP4639373B2

JP4639373B2 - Radiation-modified polytetrafluoroethylene and method for producing the same

Info

Publication number: JP4639373B2
Application number: JP2000155902A
Authority: JP
Inventors: 昂宇田川; 明博大島
Original assignee: 独立行政法人日本原子力研究開発機構
Priority date: 2000-05-26
Filing date: 2000-05-26
Publication date: 2011-02-23
Anticipated expiration: 2020-05-26
Also published as: JP2001335643A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンの電離放射線照射による改質に関し、更に詳しくはポリテトラフルオロエチレンを穏和な条件下で電離放射線照射により改質する方法に関し、更に特定的にはポリテトラフルオロエチレンに対して空気中で穏和な温度条件下、例えば常温付近、殊に室温において、０．５〜１．５ｋＧｙの範囲内の比較的低い線量で電離放射線を照射することによりその引き裂き強度を増大させることを特徴とする機械的性質が改善されたポリテトラフルオロエチレンを製造する方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ポリテトラフルオロエチレンは、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、撥水性、潤滑性などの優れた諸性質を持つ故に広範な応用分野で使用されてきている。ポリテトラフルオロエチレンの用途の中で重要なものの一つとして、金属、特に鉄鋼製のパイプ、タンク、容器等の基体表面（内及び／または外表面）に粉体ポリテトラフルオロエチレンを塗装技術により塗布し、あるいはポリテトラフルオロエチレンシートをライニング技術により貼り付けることがなされている。またポリテトラフルオロエチレンは、チューブ、パッキン、摺動部材等の工業材料あるいは耐熱性絶縁材としても既に定着している。同様に日常生活で身近に多用されるアイロンのような家庭用品、フライパンのような調理器具にもコーティングされている。
【０００３】
しかしながら、他の高分子材料と異なり、ポリテトラフルオロエチレンは単独で種々の形に成型して用いられることは少ない。この理由は、ポリテトラフルオロエチレンはその耐熱性や耐薬品性が高いことが災いして、熱や溶媒で溶かして成形加工することが困難であるためであり、さらにはその単体の成形品が柔らかくかつ脆い性質を示すためである。従って、ポリテトラフルオロエチレンは全てに優れているわけではなく、成形加工性や機械的特性に関して欠点が認められる。例えば、図１中に示されるように、ポリテトラフルオロエチレンを短冊状試験片と成して、その一方の長辺縁に切り込みを付けて引っ張ると弱い力で簡単に切れてしまう欠点がある。すなわち、図１のグラフは、切り込み付きポリテトラフルオロエチレン試験片の引っ張り強度（及び破断伸び率）がその切り込みの深さに殆んど関係なく極度に低減して、殆んど伸びなくなることを示している。この性質は、少しの傷をきっかけにして簡単に引き裂かれたり、切れたり、折れたりすること（脆性的破壊）を意味し、ポリテトラフルオロエチレンの実用上の弱点となっている。
【０００４】
従って、このようなポリテトラフルオロエチレンの好ましくない性質を改善してその加工性を向上させるための種々の試みがなされてきている。そのような試みの有力な候補手段の一つとして、従来種々の高分子材料について適用された放射線照射による改質がある。しかしながら、種々の高分子材料の中でもポリテトラフルオロエチレンは、放射線照射をうけた場合に、最も劣化し易く、引張り強度と破断伸びは照射線量の増大とともに著しく低下することが古くから知られている。そのために種々の研究、試験の結果からの一般的な認識として、ポリテトラフルオロエチレンは特殊な条件を採用しなければ材料特性を放射線照射によって改善できないとされている。そのような特殊条件を用いる最近開発された方法は、ポリテトラフルオロエチレンを高温（融点付近）、無酸素雰囲気中で放射線架橋することからなる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如き従来技術において実現された特殊条件下でのポリテトラフルオロエチレンの放射線照射による材料特性改善を、更に容易、簡便な条件下での放射線照射により可能とし、それによってポリテトラフルオロエチレンの加工応用性を改善し、利用分野を拡大することは大いに望ましいことである。
【０００６】
そこで、本発明は、ポリテトラフルオロエチレン成形体が僅かな傷、ヒビ等をきっかけにして簡単に引き裂かれたり、切れたり、折れたりする本来の性質から、改質されて根本的に粘り強い機械的性質を備えるように放射線改質するために容易、簡便な条件下での照射を可能とすることを主要な目的とする。
【０００７】
本発明の一目的は、放射線照射により機械的性質が改善されたポリテトラフルオロエチレンを提供することであり、本発明の他の一目的は容易、簡便な条件下での放射線照射により機械的性質が改善されたポリテトラフルオロエチレンを製造する方法を提供することであり、本発明の更なる一目的は容易、簡便な条件下での放射線照射により機械的性質が改善された成形用ポリテトラフルオロエチレン粉体またはポリテトラフルオロエチレン成形体を提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ポリテトラフルオロエチレンの放射線改質と照射諸条件との関係を広範に研究、検討した結果、空気雰囲気中であっても、しかも高温度を採用しなくても、極めて少ない線量の放射線を照射することにより、本来ならば（すなわち従前の学術研究報告から常識的に信じられる線量と伸び・引張り強度の関係から推定すれば）著しく低下する筈の伸びが顕著に増大する線量範囲が存在するという予想外の事実を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、この伸びが増大する通常０．５〜１．５ｋＧｙの線量範囲でポリテトラフルオロエチレン成形体に直接、または成形前に原料となるポリテトラフルオロエチレン粉体に、空気中で電離放射線を照射することにより容易にポリテトラフルオロエチレンの機械的性質、殊に伸び特性の改善を達成する。
【０００９】
かくして本発明は、その一態様において、ポリテトラフルオロエチレンに対して空気中で０．５〜１．５ｋＧｙの範囲内の線量で電離放射線を照射することによりその引き裂き強度を増大させることを特徴とする機械的性質が改善されたポリテトラフルオロエチレンの製造方法を提供する。
【００１０】
この照射処理は、従来法の高温条件（融点付近）と比較して低温で、一般的には、例えば常温付近、殊に室温で実施でき、殆どの場合に温度制御装置／操作は実質的に不要である。しかしながら、特殊な効果あるいは正確な製品品質の達成のために、やや加熱した空気雰囲気ややや低温とした空気雰囲気を使用すること、あるいは照射中の全期間または一部の期間にわたり特定温度値を維持または変動せしめる温度制御を行うことも本発明の範囲内である。
【００１１】
また本発明では、従来法における無酸素雰囲気中ではなく、空気中で照射を行うことができるので、一般的には特別の組成の雰囲気を準備、維持する必要がない。しかし、例えば空気にある割合の窒素、アルゴン等のような不活性ガスを添加した雰囲気組成を用いて、照射ポリテトラフルオロエチレンにおいてある特定のの性質を発現させたり、強調し、あるいは弱めることも本発明の範囲内である。従って本発明において「空気」とは、通常の大気圏空気のみならず、上記ように意図的に組成を調整ないし改変した空気をも包含するものである。
【００１２】
本発明において、電離放射線とは、γ線、電子線、Ｘ線、中性子線、高エネルギーイオンの単独、または２以上の混合放射線を包含する。
【００１３】
かくして本発明の改質ポリテトラフルオロエチレンは、未照射時の降伏点強度の値を保持したまま、もはや傷をきっかけとする脆性的な破壊がなくなる引張り特性が達成される０．５〜１．５ｋＧｙの電離放射線を大気中で照射することにより得られる。この照射は常温、例えば室温で都合よく行うことができるが、これよりも高い温度及び低い温度での実施も可能である。ポリテトラフルオロエチレンに対する電離放射線の照射は、チューブ、パイプ、シート、テープなどの成形体に直接行うほか、成形前の原料粉体に照射処理を行い、しかる後にこれを用いて所望の成形体を得ることもできる。
【００１４】
後者の原料粉体照射法は、本発明をより効果的に利用することができ、特に好ましい。この場合、加工すべき原料のポリテトラフルオロエチレン粉体は、１００％が本発明によって照射処理を受けた粉体である必要はなく、適宜な割合で未照射の粉体と混合して使用しても本発明の効果、目的を達成できる。ここで、粉体を用いて成形加工するプロセスは、何ら従来法を改変する必要はない。
【００１５】
通常、ポリテトラフルオロエチレンのテープあるいはシートに対して本発明による線量範囲で電離放射線を空気中で照射すると、例えば１ｋＧｙの照射で引張り強度は初期値の３分の１程度まで低下する。ところが本発明に基づいて照射した原料粉体から成形したシートあるいはテープは、未照射の原料粉体から成形したものの引張り強度の値の８０％程度以上の引張り強度を保持したまま、引き裂き強度が大幅に向上する。このような引き裂き強度の改善は、本発明の最大の特徴である。
【００１６】
【実施例】
以下にいくつかの実施例を揚げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に具体的に示された事項、数値等に限定されるものではない。
【００１７】
実施例１
原料粉体試料として平均粒子系３５０μｍの市販ポリテトラフルオロエチレンモールディングパウダー（旭ガラスフロロポリマー株式会社製；「Ｇ３５０」）を紙封筒に入れ、空気中室温で、線量率２ｋＧｙ／ｈのγ線を０．５時間にわたり照射した。かくして１ｋＧｙの線量（線量率×照射時間）照射した粉体を３００ｋｇ／ｃｍ²の圧力下に１時間予備成形した後に、３６０℃で３０分間焼結し、厚さ０．５ｍｍのシートに成形した。比較のために、照射を受けない同じ粉体試料を同様に予備成形、焼結に付してシートに成形した。このように調製した両者のシートの引張り強度をインストロン試験機で測定した。これらの結果を表１に示す。
【００１８】
ポリテトラフルオロエチレンの引張り強度は、従来の空気中室温条件下での照射法で、通常１ｋＧｙ照射すると未照射の場合の約３分の１まで低下するところ、本発明によって１ｋＧｙ照射して成形したシートの破断強度は、未照射の場合の約８０％を保持し、そして破断伸びは未照射の場合の約１．３倍に向上した。
【００１９】
【表１】

【００２０】
実施例２
実施例１同様に処理して成形したシートの引き裂き強度を測定したところ、同じ厚さの未処理シート（比較試料）の最大荷重が１５１．０ｋｇｆであったのに対して、本発明により１ｋＧｙ照射して成形したシートは２４８．６ｋｇｆの値を示し、約１．７倍まで向上した。
【００２１】
実施例３
実施例１同様、本発明により１ｋＧｙ照射したポリテトラフルオロエチレン粉体と未照射のポリテトラフルオロエチレン粉体とを、重量比１：１で混合した。この混合物を実施例１の成形操作によりシートとしたものの引き裂き強度は、最大荷重２５２．６ｋｇｆであり、同じ厚さの未処理シートの値と比較して約２．７倍に向上し、実施例２同様の効果が認められた。
【００２２】
参考例４
厚さ約０．０５ｍｍの市販ポリテトラフルオロエチレンテープ（ニチアス株式会社製；「ナフロンテープ」）に線量率７０Ｇｙ／ｈのγ線を空気中で照射し（研究室室温）、照射時間（線量）のことなる試料を調製した。これらの照射テープ試料を図１に示すような短冊試験片寸法とし、各試験片の全幅に対して２０％の切り込みを付けた。このような切り込み付き試験片についてインストロン引張り試験機により引張り速度２００ｍｍ／ｍｉｎの降伏点強度及び破断伸びを測定した。比較のために未照射の試料についても同様な測定を行った。これらの測定結果を表２にまとめて示す。この表から明らかなように、未照射試料が殆ど伸びることなく脆性的に破断するのに対して、本発明の線量範囲では線量の増加に伴って直線的に伸びが増大し、破壊は一層延性的に変化した。
【００２３】
【表２】

【００２４】
参考例５
参考例４同様に、空気中で線量率７０Ｇｙ／ｈのγ線を照射したポリテトラフルオロエチレンテープを幅２ｃｍ、長さ５ｃｍの短冊試験片と成し、短辺の中央に長さ方向へ２ｃｍの切り込みを付け、残る３ｃｍの部分をインストロン引張り試験機により引き裂き試験した。その引き裂き最大荷重は、未照射試料テープ（比較）が２．２６ｋｇｆであったのに対して、本発明により照射した試料テープの値は９８０Ｇｙ照射で２５．７９ｋｇｆに増大し（約１１倍強）、そして１４００Ｇｙ照射で未照射の場合の約２０倍に相当する４４．１３ｋｇｆにまで大幅に増大した。
【００２５】
【発明の効果】
本発明による照射方法によりポリテトラフルオロエチレンの引き裂き強度や破断伸びを、共重合などの化学的手段によることなく、著しく高めることができ、これにより従来狭められていたポリテトラフルオロエチレンの用途の有効な拡大が期待でき、更には加工性の改善が実現される。かくして改質されたポリテトラフルオロエチレンは、高延伸倍率を達成するための手段として、また放射線架橋の原料や、他の高分子材料と分子複合材を形成するための効果的な原料となり得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】ポリテトラフルオロエチレンテープの切り込み付き引張り試験片（未照射）の切り込み長さの割合（横軸）と引張り強度（左縦軸）及び破断伸び（右縦軸）の関係を示すグラフであり、右上余白部に引張り試験片平面図を含む。
【符号の説明】
Ｐ試験片引張り力[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to modification of polytetrafluoroethylene by ionizing radiation irradiation, and more particularly to a method of modifying polytetrafluoroethylene by ionizing radiation irradiation under mild conditions, more specifically to polytetrafluoroethylene. On the other hand, increasing the tear strength by irradiating with ionizing radiation at a relatively low dose in the range of 0.5 to 1.5 kGy under moderate temperature conditions in the air, for example, near normal temperature, especially at room temperature. And a process for producing polytetrafluoroethylene with improved mechanical properties.
[0002]
[Prior art]
Polytetrafluoroethylene has been used in a wide range of applications because it has excellent properties such as heat resistance, chemical resistance, electrical insulation, water repellency, and lubricity. As one of the important applications of polytetrafluoroethylene, powder polytetrafluoroethylene is applied to the surface of the substrate (inner and / or outer surface) of metals, especially steel pipes, tanks, containers, etc. by coating technology. It is applied or a polytetrafluoroethylene sheet is pasted by a lining technique. Polytetrafluoroethylene has already been established as an industrial material such as a tube, packing, sliding member, or a heat-resistant insulating material. Similarly, it is coated on household items such as irons and cooking utensils such as frying pans that are frequently used in daily life.
[0003]
However, unlike other polymer materials, polytetrafluoroethylene is rarely used alone in various forms. This is because polytetrafluoroethylene suffers from its high heat resistance and chemical resistance, and is difficult to be molded by melting with heat or a solvent. This is to show a soft and brittle nature. Therefore, polytetrafluoroethylene is not excellent in all, and there are drawbacks regarding moldability and mechanical properties. For example, as shown in FIG. 1, when polytetrafluoroethylene is formed into a strip-shaped test piece and one long side edge is cut and pulled, there is a drawback that it is easily cut by a weak force. That is, the graph of FIG. 1 shows that the tensile strength (and elongation at break) of the polytetrafluoroethylene test piece with notch is extremely reduced regardless of the depth of the notch, and hardly stretches. Show. This property means that it can be easily torn, cut or broken (brittle fracture) after a few scratches, which is a practical weakness of polytetrafluoroethylene.
[0004]
Accordingly, various attempts have been made to improve the undesired properties of such polytetrafluoroethylene and improve its processability. One of the promising candidate means for such attempts is a modification by irradiation applied to various polymer materials in the past. However, among various polymer materials, polytetrafluoroethylene has been known for a long time to be most easily degraded when irradiated, and the tensile strength and elongation at break decrease remarkably with increasing irradiation dose. . Therefore, as a general recognition from the results of various studies and tests, it is said that polytetrafluoroethylene cannot improve material properties by irradiation unless special conditions are adopted. A recently developed method using such special conditions consists of radiation-crosslinking polytetrafluoroethylene in a high temperature (near melting point) and oxygen-free atmosphere.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The material properties improvement by irradiation of polytetrafluoroethylene under the special conditions realized in the prior art as described above can be further facilitated by irradiation under simple conditions, thereby processing the polytetrafluoroethylene. It is highly desirable to improve the applicability and expand the field of use.
[0006]
Therefore, the present invention is a mechanically modified and fundamentally tenacious mechanical material that is easily torn, cut or broken due to slight scratches, cracks, etc. The main purpose is to enable irradiation under easy and simple conditions for radiation modification so as to have properties.
[0007]
One object of the present invention is to provide polytetrafluoroethylene having improved mechanical properties by irradiation, and another object of the present invention is to provide mechanical properties by irradiation under easy and simple conditions. It is another object of the present invention to provide a method for producing polytetrafluoroethylene having improved mechanical properties by irradiation under easy and simple conditions. It is to provide an ethylene powder or a polytetrafluoroethylene molded body.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventor has extensively studied and studied the relationship between the radiation modification of polytetrafluoroethylene and various irradiation conditions. As a result, even in an air atmosphere and without adopting a high temperature, an extremely small dose The dose range in which the elongation of the cocoon is significantly reduced if it is originally irradiated (ie, estimated from the relationship between the dose that is commonly known from previous academic research reports and the relationship between elongation and tensile strength). The present inventors have found an unexpected fact that there is a problem, and have completed the present invention. That is, the present invention increases the elongation in a dose range of 0.5 to 1.5 kGy, usually directly on the polytetrafluoroethylene molded body or on the polytetrafluoroethylene powder as a raw material before molding in the air. By irradiating with ionizing radiation, the mechanical properties of polytetrafluoroethylene, in particular the elongation properties, are easily achieved.
[0009]
Thus, in one aspect, the present invention is characterized in that the tear strength is increased by irradiating polytetrafluoroethylene with ionizing radiation in air at a dose in the range of 0.5 to 1.5 kGy. And a process for producing polytetrafluoroethylene with improved mechanical properties.
[0010]
This irradiation treatment can be carried out at a low temperature compared to the conventional high temperature conditions (near the melting point), generally at, for example, near room temperature, especially at room temperature, and in most cases the temperature control device / operation is substantially It is unnecessary. However, to achieve special effects or accurate product quality, use a slightly heated or slightly cooler air atmosphere, or maintain a specific temperature value over the entire or partial period of irradiation. It is also within the scope of the present invention to perform temperature control that varies.
[0011]
In the present invention, since irradiation can be performed in the air instead of the oxygen-free atmosphere in the conventional method, it is generally unnecessary to prepare and maintain an atmosphere having a special composition. However, certain properties of irradiated polytetrafluoroethylene may be manifested, emphasized, or weakened using an atmospheric composition with an inert gas such as nitrogen, argon, etc. added to the air. It is within the scope of the present invention. Accordingly, in the present invention, “air” includes not only ordinary atmospheric air but also air whose composition is intentionally adjusted or modified as described above.
[0012]
In the present invention, ionizing radiation includes γ-rays, electron beams, X-rays, neutron beams, high-energy ions alone, or mixed radiation of two or more.
[0013]
Thus, the modified polytetrafluoroethylene of the present invention achieves a tensile property that no longer causes brittle fracture caused by scratches while maintaining the value of the yield strength when not irradiated. It is obtained by irradiating ionizing radiation of 5 kGy in the atmosphere. This irradiation can be conveniently performed at room temperature, for example room temperature, but can also be performed at higher and lower temperatures. Irradiation of ionizing radiation to polytetrafluoroethylene is performed directly on the molded body such as tubes, pipes, sheets, tapes, etc., and the raw material powder before molding is irradiated and then used to form the desired molded body. It can also be obtained.
[0014]
The latter raw material powder irradiation method is particularly preferable because the present invention can be used more effectively. In this case, 100% of the raw material polytetrafluoroethylene powder to be processed does not have to be irradiated by the present invention, and is used by mixing with an unirradiated powder at an appropriate ratio. However, the effects and objects of the present invention can be achieved. Here, the process of molding using powder does not require any modification of the conventional method.
[0015]
Normally, when a polytetrafluoroethylene tape or sheet is irradiated with ionizing radiation in air within the dose range according to the present invention, the tensile strength is reduced to about one third of the initial value by irradiation with, for example, 1 kGy. However, the sheet or tape formed from the raw material powder irradiated according to the present invention has a large tear strength while maintaining a tensile strength of about 80% or more of the tensile strength value of the raw material powder formed from the unirradiated raw material powder. To improve. Such improvement in tear strength is the greatest feature of the present invention.
[0016]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to some examples. However, the scope of the present invention is not limited to the items, numerical values, and the like specifically shown in these examples.
[0017]
Example 1
As a raw material powder sample, a commercially available polytetrafluoroethylene molding powder (Asahi Glass Fluoropolymer Co., Ltd .; “G350”) with an average particle system of 350 μm is put in a paper envelope, and γ-rays with a dose rate of 2 kGy / h are obtained at room temperature in the air. Irradiated for 0.5 hours. The powder thus irradiated with a dose of 1 kGy (dose rate × irradiation time) was preformed for 1 hour under a pressure of 300 kg / cm ² , sintered at 360 ° C. for 30 minutes, and formed into a sheet having a thickness of 0.5 mm. . For comparison, the same powder sample that was not irradiated was similarly subjected to preforming and sintering to form a sheet. The tensile strength of both sheets thus prepared was measured with an Instron testing machine. These results are shown in Table 1.
[0018]
The tensile strength of polytetrafluoroethylene is usually reduced to about one third of the unirradiated state when irradiated with 1 kGy in the conventional irradiation method under room temperature conditions in air. The breaking strength of the sheet was kept about 80% when not irradiated, and the breaking elongation was improved about 1.3 times that when not irradiated.
[0019]
[Table 1]

[0020]
Example 2
When the tear strength of a sheet processed and molded in the same manner as in Example 1 was measured, the maximum load of an untreated sheet (comparative sample) of the same thickness was 151.0 kgf, whereas the present invention applied 1 kGy irradiation. The sheet thus formed showed a value of 248.6 kgf and was improved up to about 1.7 times.
[0021]
Example 3
As in Example 1, the polytetrafluoroethylene powder irradiated with 1 kGy according to the present invention and the unirradiated polytetrafluoroethylene powder were mixed at a weight ratio of 1: 1. The tear strength of this mixture made into a sheet by the molding operation of Example 1 is a maximum load of 252.6 kgf, which is about 2.7 times higher than the value of an untreated sheet of the same thickness. 2 The same effect was recognized.
[0022]
Reference example 4
A commercially available polytetrafluoroethylene tape (Nichias Co., Ltd .; “Naflon tape”) with a thickness of about 0.05 mm was irradiated with γ rays at a dose rate of 70 Gy / h in the air (laboratory room temperature), and irradiation time (dose) Different samples were prepared. These irradiated tape samples were made into strip test piece dimensions as shown in FIG. 1, and 20% cuts were made with respect to the full width of each test piece. About such a test piece with a notch, the yield point strength and elongation at break of 200 mm / min were measured with an Instron tensile tester. For comparison, the same measurement was performed on an unirradiated sample. These measurement results are summarized in Table 2. As is apparent from this table, the unirradiated specimen breaks brittlely with little elongation, whereas in the dose range of the present invention, the elongation increases linearly with increasing dose, and the fracture becomes more ductile. Changed.
[0023]
[Table 2]

[0024]
Reference Example 5
As in Reference Example 4, a polytetrafluoroethylene tape irradiated with gamma rays with a dose rate of 70 Gy / h in air was formed into a strip test piece having a width of 2 cm and a length of 5 cm, and 2 cm in the length direction at the center of the short side. The remaining 3 cm portion was subjected to a tear test using an Instron tensile tester. The maximum tearing load of the unirradiated sample tape (comparative) was 2.26 kgf, whereas the value of the sample tape irradiated according to the present invention increased to 25.79 kgf with 980 Gy irradiation (approximately 11 times more). , And increased significantly to 44.13 kgf, corresponding to about 20 times that of unirradiated with 1400 Gy irradiation.
[0025]
【The invention's effect】
By the irradiation method according to the present invention, the tear strength and elongation at break of polytetrafluoroethylene can be remarkably increased without using chemical means such as copolymerization. Expansion can be expected, and further improved workability is realized. The polytetrafluoroethylene thus modified can serve as a means for achieving a high draw ratio, and can also be an effective raw material for forming a molecular composite with a raw material for radiation crosslinking and other polymer materials. It is.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a graph showing the relationship between the ratio of notch length (horizontal axis), tensile strength (left vertical axis), and elongation at break (right vertical axis) of a polytetrafluoroethylene tape-notched tensile test piece (unirradiated). And includes a tensile test piece plan view in the upper right margin.
[Explanation of symbols]
P Test specimen tensile force

Claims

Polytetrafluoroethylene powder is irradiated with ionizing radiation at a dose in the range of 0.5 to 1.5 kGy in air at room temperature, then preformed and fired to obtain polytetrafluoroethylene powder. A method for producing a polytetrafluoroethylene molded article, characterized by increasing the tear strength of the fluoroethylene molded article.

A mixture of polytetrafluoroethylene powder irradiated with ionizing radiation at a dose in the range of 0.5 to 1.5 kGy in air at room temperature and polytetrafluoroethylene powder not irradiated with ionizing radiation was preformed. A method for producing a polytetrafluoroethylene molded product, wherein the tear strength of the resulting polytetrafluoroethylene molded product is increased by firing the product.

The method according to claim 2, wherein the polytetrafluoroethylene powder irradiated with ionizing radiation and the non-irradiated polytetrafluoroethylene powder are mixed at a weight ratio of 1: 1.

The method according to any one of claims 1 to 3, wherein the ionizing radiation is γ-ray, electron beam, X-ray, neutron beam, high-energy ion alone, or mixed radiation of two or more.