JP4635123B2 - 電磁波シールド構造体の施工方法 - Google Patents

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Description

この発明は、電磁波シールド構造体の施工方法に関し、コンクリート躯体の構造体であっても施工が容易で、電磁波の漏洩がなく安定したシールド性能を長期間維持できるようにしたものである。
近年、オフィスビルでは、OA化にともない無線LANなどや他の通信回線によるワイヤレス化など電波の利用が目覚ましく、倉庫などでもICタグを利用した無線管理システムなどの普及が目覚しい。
このようなオフィスビルや倉庫などでの無線化により外部から到来する電波によるノイズなどの問題や内部の通信機器により発生した電波が外部へ漏洩する問題など様々な問題が発生している。
そこで、オフィスビルや倉庫などで快適な無線利用環境をつくるための有効手段のひとつとして電磁波シールドが採用されており、この電磁波シールドにより外部から到来する電波強度を弱めたり、建物の内部の通信機器により発生した電波の外部への漏洩を制御することを可能としている。
従来、このような電磁波シールドをオフィスビルや倉庫などの構造体に施す場合には、パネルを用いるのが一般的であり、例えば、コンクリート躯体に銅,銀,アルミなどの金属シートや金属箔シート、あるいは金属板を電磁波シールド材として壁、床、天井の表面に隙間なく取り付けて被覆し、電磁波シールド材の目地部を金属箔テープで覆って接合したり、或いはハンダ付けによって接合し、この電磁波シールド材の上に、石膏ボードや壁紙クロスなどの内装材を施工するようにしたものがある。
また、特許文献1には、電磁波シールド部材としてのメッシュやフェライトをコンクリートに入れてビルの躯体を構成することで電磁波シールドを施すことが開示されている。
また、無線LAN やブルーツースで用いられる電波のギガ周波数帯(GHz)での混信や情報漏洩の危険を回避するためには、電磁波のシールド性能として少なくとも30dBが必要とされ、金属シートや金属箔シートを壁紙クロスに複合化したり、特許文献2,3に開示されているように、コンクリート躯体に導電性塗料を直接塗布した構造体が提案されている。
特公平6−99972号公報 特開平9−223893号公報 特開平9−283978号公報
しかし、コンクリート躯体に金属シートなどの電磁波シールド材を取り付け、目地部を金属箔テープやハンダによって接合する構造体では、シールド材の取り付けや目地部の施工が煩雑であり、工期,コスト面での負担が大きいという問題がある。
また、金属シートや金属箔シートと壁紙クロスとを複合化した場合にも、上記の場合と同様に、目地部を金属箔テープなどで接合しないと、電波が漏洩することから目地部の施工に手間と時間がかかるという問題がある。
一方、コンクリート躯体に直接導電性塗料を塗布して電磁波シールドとする場合には、塗布作業だけでよく簡便な施工で工期を短くすることができるが、コンクリート躯体の伸縮作用に塗膜が追随できずに、亀裂や破損が生じて電磁波シールド性を維持することが難しいという問題がある。その上、環境問題(VOC)の観点から導電性塗料として溶剤が水系の導電性塗料を用いることが多く、コンクリートの養生水によって、導電材料が腐食するために電磁波シールド性能を損なう問題がある。また耐水性の弱い水系の塗膜が剥離し、電磁波シールド性能が低下するという問題がある。
この発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、コンクリート躯体の構造体であっても施工が容易で、建物の内部の通信機器などにより発生した電波と外部から到来する電波とが混信して機器の誤動作を招いたり、外部への電波漏洩による情報漏れなどがなく安定した電磁波シールド性能を長期間維持することができる電磁波シールド構造体の施工方法を提供しようとするものである。
そこで、上記課題を解決するために、電磁波シールド性の維持(塗膜の気密性)に着目し、鋭意研究した結果、導電性塗料を現場にて発泡させたウレタン発泡体などの合成樹脂発泡体でサンドイッチした構造とするとともに、現場発泡により目地部をなくすことで、コンクリート躯体の伸縮作用の影響を回避して必要な電磁波シールド性を確保でき、長期に亘る電磁波シールド性を維持できることを見出し、この発明を完成したもので、その具体的な構成は以下のとおりである。
すなわち、上記課題を解決するため、この発明の請求項1記載の電磁波シールド構造体の施工方法は、コンクリート躯体の表面にウレタンを吹き付けて発泡厚みが3〜15mmの合成樹脂発泡下地層を形成し、次いでこの合成樹脂発泡下地層の表面に導電性塗料を目付け量が50〜200g/m2となるように塗布して導電性塗料層を形成したのち、この導電性塗料層の表面にウレタンを吹き付けて合成樹脂発泡保護層を形成するようにし、前記合成樹脂発泡下地層の縦方向および横方向の伸縮と厚さ方向の伸縮とで前記コンクリート躯体の伸縮変化を吸収可能として前記導電性塗料層を保護するように構成したことを特徴とするものである。
この電磁波シールド構造体の施工方法によれば、合成樹脂発泡体としてウレタンを用い、先ず、コンクリート躯体に、現場発泡にてウレタンを発泡厚みが3〜15mmとなるように吹きつけ、その後、導電性塗料を目付け量が50〜200g/m2となるように塗布し、さらに現場発泡にてウレタンを吹き付けることによって導電性塗料をサンドイッチ構造とする。
これにより、この構造体では、現場でウレタンを吹き付けることによってコンクリート躯体のあばれ(縦方向と横方向の伸縮)から導電性塗料を保護できるようになるとともに、優れた電磁波シールド性を長期間にわたり確保できるようになる。
さらに、現場でウレタンを吹き付けることによって、導電性塗料層(塗膜)を外部からの衝撃や施工時の切りつけから保護できるようになる。
また、ウレタンの現場での吹きつけは、壁、天井、床部をシームレスに施工でき、後からの目地処理もいらず、工期を短縮でき、コストも大幅に低減できるようになる。
さらに、この電磁波シールド構造体の施工方法によれば、一般のオフィスビルやIT倉庫などのコンクリート躯体に広く適用して優れた電磁波シールド性を確保することができるようになる。
また、この発明の請求項2記載の電磁波シールド構造体の施工方法は、請求項1記載の構成に加え、前記合成樹脂発泡下地層および前記合成樹脂発泡保護層を前記コンクリート躯体の断熱層と兼用し、これら合成樹脂発泡下地層と合成樹脂発泡保護層との合計厚みを断熱性能に必要な厚みとするようにしてなることを特徴とするものである。
この電磁波シールド構造体の施工方法によれば、合成樹脂発泡下地層と合成樹脂発泡保護層をコンクリート躯体の断熱層と兼用することで、電磁波シールド性と同時に断熱性を確保することができ、施工などの工数の増大を招くことなく、一層オフィスビルや倉庫などの機能を高めることができるようになる。
この発明の請求項1記載の電磁波シールド構造体の施工方法によれば、合成樹脂発泡体としてウレタンを用い、先ず、コンクリート躯体に、現場発泡にてウレタンを発泡厚みが3〜15mmとなるように吹きつけ、その後、導電性塗料を目付け量が50〜200g/m2となるように塗布し、さらに現場発泡にてウレタンを吹き付けることによって導電性塗料をサンドイッチ構造としたので、現場で、ウレタンを吹き付けることによってコンクリート躯体のあばれ(縦方向と横方向の伸縮)から導電性塗料を保護することができるとともに、優れた電磁波シールド性を長期間にわたり確保することができる。
さらに、現場でウレタンなどを吹き付けることによって、導電性塗料層(塗膜)を外部からの衝撃や施工時に誤って傷つけたりすることから保護することができ、優れた電磁波シールド性を長期間にわたり確保することができる。
また、ウレタンなどの現場での吹きつけは、壁、天井、床部をシームレスに施工でき、後からの目地処理もいらず、工期を短縮でき、コストも大幅に低減することができる。
さらに、この電磁波シールド構造体の施工方法によれば、施工が容易であり、一般のオフィスビルやIT倉庫などのコンクリート躯体に広く適用して優れた電磁波シールド性を確保することができる。
また、この発明の請求項2記載の電磁波シールド構造体の施工方法によれば、合成樹脂発泡下地層と合成樹脂発泡保護層をコンクリート躯体の断熱層と兼用することで、電磁波シールド性と同時に断熱性を確保することができ、両方を別々に施工する場合に比べ、施工などの工数の増大を招くことなく、一層オフィスビルや倉庫などの機能を高めることができる。
以下、この発明の電磁波シールド構造体の施工方法の一実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2は、この発明の電磁波シールド構造体の施工方法の一実施の形態にかかり、図1はコンクリートの建物に適用した電磁波シールド構造体の外観図およびB−B矢視断面図、図2は施工工程の説明図である。
この電磁波シールド構造体10では、コンクリート躯体11に対して電磁波シールドを施すためのものであり、コンクリート躯体11の表面に現場発泡により設けられる合成樹脂発泡下地層12と、この合成樹脂発泡下地層12の表面に塗布される導電性塗料層13と、この導電性塗料層13の表面に設けられる合成樹脂発泡保護層14とで構成されるものである。
また、この電磁波シールド構造体10では、合成樹脂発泡下地層12と合成樹脂発泡保護層14とをコンクリート躯体11の断熱層15として兼用するようにし、電磁波シールドと同時に断熱施工ができるようにしている。
この電磁波シールド構造体10では、コンクリート躯体11に現場発泡で合成樹脂発泡体を吹き付けて合成樹脂発泡下地層12を形成する。
この合成樹脂発泡下地層12としては、例えばウレタンフォームが用いられ、現場での吹きつけ発泡は、現場に持ち込んだ発泡機でポリオールとイソシアネートとの2成分を同時に混合して常温で発泡させるようにする。
これにより、どんなコンクリート躯体11の形状でも合成樹脂発泡下地層12を形成できるとともに、断熱層15の一部とすることができる。
特に、コンクリート躯体11のようにあばれ(縦方向と横方向の伸縮)が大きいものであっても、ウレタンフォームを現場発泡させることで、自己接着させることができるとともに、開口部のサッシュ廻りにもウレタンフォームを充填することが可能であり、壁、天井、床に目地部のないシームレスに施工が可能である。
この合成樹脂発泡下地層12としてのウレタンフォームのコンクリート躯体11への吹きつけ厚さは、発泡後の状態で3mm(発泡厚み)以上あれば良く、コンクリート躯体11のあばれ(縦方向と横方向の伸縮)に充分追随することができる。
なお、合成樹脂発泡下地層12と合成樹脂発泡保護層14とでコンクリート躯体11の断熱層15とする場合には、断熱層15として必要な厚さを両方の合成樹脂発泡層12,14で確保するようにすれば良い。
この合成樹脂発泡下地層12としてのウレタンフォームの密度としては、一般的には30kg/m3程度のものがコンクリート躯体11のあばれに対する追従性および断熱性の確保の点で好ましく、使用可能な密度の範囲としては10〜100kg/m3である。
合成樹脂発泡下地層12の密度が10kg/m3未満であると、接着強度が不足する傾向があり、密度が100kg/m3を超えて大きくなると、コンクリート躯体11のあばれに対する追従性が損なわれる傾向にある。
このような合成樹脂発泡下地層12として用いる合成樹脂発泡体は、ウレタンフォームの他、ウレタン変成イソシアヌレートフォーム、フェノール変成イソシアヌレートフォーム、フェノールフォームなどを挙げることができる。
これらの合成樹脂発泡体を用いることで、合成樹脂発泡下地層12とコンクリート躯体11との接着強度を、吹きつけ直後で0.1MPa以上確保することができ、必要な接着性を確保することができる。
このような合成樹脂発泡下地層12をコンクリート躯体11の表面に現場発泡で吹きつけることで、目地部のない状態で施工することができる。
次に、こうして目地部のないシームレス状態の合成樹脂発泡下地層12の表面には、導電性塗料による導電性塗料層13が設けられる。なお、導電性塗料層13は、合成樹脂発泡下地層12の表面に導電性塗料をスプレーやローラー等を用いて塗布し形成される。
この導電性塗料層13に用いる導電性塗料は、例えば塗料自体の電磁波シールド性能が10〜10,000MHz周波数域で50〜60dB程度のものを使用する。
このような導電性塗料に用いる導電性材料としては、銅、銀、アルミ、ニッケル、鉄などの金属粉あるいはガラス繊維やポリエステル繊維などに金属めっきしたものを挙げることができ、これらの導電性材料をバインダーに分散して塗料化して導電性塗料とする。
この導電性材料の粒径としては、100μm以下、好ましくは、100nm〜50μmが良い。導電性材料の粒径が100μmを超えて大きくなると、塗料液が分離沈降し易くなり、長期貯蔵安定性が悪く、合成樹脂発泡下地層12などのウレタンフォームとの接着性が低下する傾向にある。一方、導電性材料の粒径が100nmより小さくなると、導電性粒子が塗膜中に点在するために、導電性が欠落して所望の電磁波シールド性能が得られなくなる傾向にある。
導電性塗料に使用するバインダーとしては、建物内部のコンクリート躯体11の表面に塗布するため環境問題(VOC)の観点から、水系のエマルジョンが好ましく、アクリル系、ウレタン系、ゴム系などのものが使用できる。
このような導電性塗料による導電性塗料層13としての目付け量は、50〜200g/m2が良い。導電性塗料層13としての目付け量が50g/m2より少ないと、塗布時に局部的に薄い塗膜となる可能性があり、電磁波シールド性能を確保できなくなる可能性がある。一方、導電性塗料層13としての目付け量が200g/m2を超えて多くなると、電磁波シールド性能は確保できるが、目付け量を増やすことによる性能の向上は期待できず、コストの増大を招くだけになる。
次に、このようにして導電性塗料を塗布することで形成された導電性塗料層13の表面には、導電性塗料層13を保護するための合成樹脂発泡保護層14が設けられ、導電性塗料層13を合成樹脂発泡層12,14でサンドイッチ状態とする。
この合成樹脂発泡保護層14は、合成樹脂発泡下地層12と同一もしくは異なる合成樹脂発泡体が用いられ、例えば合成樹脂発泡下地層12と同一のウレタンフォームを用い、現場発泡により形成する。
なお、この合成樹脂発泡保護層14として使用できる合成樹脂発泡体としては、すでに説明した合成樹脂発泡下地層12として使用できる合成樹脂発泡体をそのまま用いることができる
このように導電性塗料層13の表面に合成樹脂発泡体をもう一度上から吹き付けるが、吹き付け厚さは少なくとも導電性塗料層13を外部からの衝撃や施工時の切り付けから保護でき、損傷や傷を防止できる厚さであれば良い。
なお、この合成樹脂発泡保護層14と合成樹脂発泡下地層12とでコンクリート躯体11の断熱層15とする場合には、これらの厚さを断熱基準に応じて決定すれば良く、合成樹脂発泡下地層12を3mm程度とした場合には、断熱性能は、合成樹脂発泡保護層14の厚さによってほぼ決まることから、合成樹脂発泡保護層14の厚さを必要な断熱性能を確保できるように決定すれば良いことになる。
このようにサンドイッチ構造とした断熱層15の断熱性能は、導電性塗料層13のない合成樹脂発泡体単体の場合とほとんど変わらず、例えばサンドイッチ構造のウレタンフォームの断熱性能は、24℃で0.022W/mKであり、単体の場合とほとんど変わらない値である。
このような電磁波シールド構造体10では、合成樹脂発泡下地層12とコンクリート躯体11との接着強度は確保されることについては、既に説明したが、合成樹脂発泡下地層12と導電性塗料層13と合成樹脂発泡保護層14とでサンドイッチ構造となった部分については、両側の合成樹脂発泡層12,14とその間の導電性塗料層13との界面剥離はなく、合成樹脂発泡保護層14での破壊が生じ、例えばウレタンフォームの場合でその破壊強度は、少なくとも0.1MPaを維持することができる。
また、この電磁波シールド構造体10での電磁波シールド性能は、10MHz〜10,000MHz周波数域で30〜40dBとなり、最低必要な30dBを確保することができる。これは導電性塗料層13を合成樹脂発泡保護層14で覆うことによる電磁波シールド性能の低下と考えられるが、電磁波シールド性能の値そのものとしては、必要な電磁波シールド性能を十分確保することができる。
次に、このように構成した電磁波シールド構造体10において、コンクリート躯体11と合成樹脂発泡下地層12および合成樹脂発泡保護層14と導電性塗料層13との寸法変化の関係について説明する。
先ず、コンクリート躯体11は、年間を通じて体積変化で±4〜5%の伸縮変化があり、特に床、壁、天井の縦方向と横方向で±3%程度の伸縮変化がある。
また、合成樹脂発泡下地層12および合成樹脂発泡保護層14とを構成する、例えば硬質ポリウレタンフォーム層は、体積変化で±3%程度の伸縮変化があり、フォームの縦方向と横方向で±2%程度の伸縮変化がある。
そして、本発明のように、たとえばポリウレタン樹脂をコンクリート躯体11に吹き付け、合成樹脂発泡下地層12を形成した場合、コンクリート躯体11が縦方向と横方向で±3%程度伸縮変化するが、合成樹脂発泡下地層12はコンクリート躯体11と密着性がよいため、合成樹脂発泡下地層12の縦方向と横方向で、コンクリート躯体11の縦方向と横方向の伸縮を±2%程度吸収し、残り±1%程度の伸縮を合成樹脂発泡下地層12の厚さ方向にて吸収する。よって、合成樹脂発泡下地層12がコンクリート躯体11から剥離したり、亀裂が生じたりすることはない。
さらに、この電磁波シールド構造10では、施工後に発生する養生水と導電性塗料層13が直接コンクリート躯体11に接することがなく、合成樹脂発泡下地層12が接することで、例えばウレタンフォームを使用すれば耐水性があるため、導電性塗料層13や合成樹脂発泡下地層12が剥がれることはない。
また、導電性塗料層13は、厚さが薄いため厚さ方向の寸法変化はほとんどなく、縦方向と横方向で、±2%程度の伸縮変化がある。
そして、本発明のように、例えば硬質ポリウレタンフォーム層からなる合成樹脂発泡下地層12上に導電性塗料層13を形成した場合、合成樹脂発泡下地層12の縦方向と横方向で、±2%程度の伸縮変化があるため、充分追随することができ、導電性塗料層13の亀裂や剥がれが発生することなく、所望の導電性能を維持することができ、外部からの衝撃や施工時に誤って傷つけたりすることに対しても合成樹脂発泡保護層14で覆ってあるので保護することができ、損傷や傷ができることもない。
以上のように、この発明の電磁波シールド構造体によれば、例えば合成樹脂発泡体としてウレタンを用い、先ず、コンクリート躯体に、現場発泡にてウレタンを吹きつけ、その後、導電性塗料を塗布し、さらに現場発泡にてウレタンを吹き付けることによって導電性塗料をサンドイッチ構造としたので、現場で、例えばウレタンを吹き付けることによってコンクリート躯体のあばれ(縦方向の伸縮)から導電性塗料を保護することができるとともに、優れた電磁波シールド性を長期間にわたり確保することができる。
さらに、現場でウレタンなどを吹き付けることによって、導電性塗料層(塗膜)を外部からの衝撃や施工時に誤って傷つけたりすることから保護することができ、優れた電磁波シールド性を長期間にわたり確保することができる。
また、ウレタンなどの現場での吹き付けは、壁、天井、床部をシームレスに施工でき、後からの目地処理もいらず、工期を短縮でき、コストも大幅に低減することができる。
さらに、この電磁波シールド構造体によれば、施工が容易であり、一般のオフィスビルやIT倉庫などのコンクリート躯体に広く適用して優れた電磁波シールド性を確保することができる。
また、この発明の電磁波シールド構造体によれば、合成樹脂発泡下地層と合成樹脂発泡保護層をコンクリート躯体の断熱層と兼用することで、電磁波シールド性と同時に断熱性を確保することができ、両方を別々に施工する場合に比べ、施工などの工数の増大を招くことなく、一層オフィスビルや倉庫などの機能を高めることができる。
次に、この発明の電磁波シールド構造体の実施例について、比較例とともに具体的に説明するが、この発明はこれら実施例に何ら限定するものでない。
実施例1
厚さ150mmで300×300mmサイズのコンクリート躯体を用意した。
このコンクリート躯体の表面に硬質ポリウレタン断熱材1を発泡機(ガスマー社FF1600)を用いて15mmの厚さに吹き付け発泡させ、常温で1昼夜養生して合成樹脂発泡下地層を形成した。
次に、この硬質ポリウレタン断熱材1の表面に導電性塗料(ポリエステル繊維に銀メッキした導電性粉体をアクリルエマルジョンに分散した塗料)1をエアスプレーガン(アネストイワタ社製W-200)で目付量を100g/m2として塗布し、導電性塗料層とした。
この導電性塗料層を常温で1昼夜乾燥後、合成樹脂発泡下地層と同一の硬質ポリウレタン断熱材1を塗料層表面に15mmの厚さで吹き付けて合成樹脂発泡保護層とし、導電性塗料層をサンドイッチ構造とし、1昼夜養生した。
なお、合成樹脂発泡下地層および合成樹脂発泡保護層として用いた硬質ポリウレタン断熱材1は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を1:1とし、発泡機によって混合吐出して発泡させ、その発泡密度は30kg/m3のものを使用した。
得られた電磁波シールド構造体を用い、表1の下欄に方法等を記載したように、断熱性能、電磁波シールド性能、躯体との密着性の測定を行うとともに、サイクル試験、衝撃試験などでウレタンと塗料の伸縮性、躯体と塗料の伸縮性、衝撃による塗膜の破損を確認し、その結果を表1に示した。
この電磁波シールド構造体によれば、電磁波シールド性能は30dBであり、断熱性能は21mW/mK、躯体との接着強度は0.1MPaでいずれも必要な性能を確保できた。
また、サイクル試験後のウレタンと塗料の伸縮性、躯体と塗料の伸縮性になんら問題がなく、躯体の伸縮に追随し、塗膜に亀裂などは発生せず良好であった。
さらに、衝撃試験による塗膜の破損も見られず、良好であった。
実施例2
実施例1と同一のコンクリート躯体を用意し、合成樹脂発泡下地層として硬質ポリウレタン断熱材を用い、コンクリート躯体に10mmの厚さで吹き付けた後、1昼夜養生した。
この硬質ポリウレタン断熱材として、密度が30kg/m3のものを用いた。
この硬質ポリウレタン断熱材の表面に実施例1と同一の導電性塗料1を目付量を実施例1の1/2の50g/m2としてスプレー塗布し、導電性塗料層を形成した。
さらに、1昼夜養生後、導電性塗料層の表面に合成樹脂発泡下地層と同一の硬質ポリウレタンを10mmの厚さで吹き付け、導電性塗料層をサンドイッチ構造とし、1昼夜養生した。
得られた電磁波シールド構造体を用い、同様にして断熱性能、電磁波シールド性能、躯体との密着性の測定を行うとともに、サイクル試験、衝撃試験などでウレタンと塗料の伸縮性、躯体と塗料の伸縮性、衝撃による塗膜の破損を確認し、その結果を表1に示した。
この電磁波シールド構造体によれば、電磁波シールド性能は35dBであり、断熱性能は23mW/mK、躯体との接着強度は0.2MPaでいずれも必要な性能を確保できた。
また、サイクル試験後のウレタンと塗料の伸縮性、躯体と塗料の伸縮性になんら問題がなく、躯体の伸縮に追随し、塗膜に亀裂などは発生せず良好であった。
さらに、衝撃試験による塗膜の破損も見られず、良好であった。
比較例1
実施例1と同一のコンクリート躯体を用意し、その表面に直接実施例1と同一の導電性塗料をローラー塗りによって目付量を100g/m2として塗布し、導電性塗料層を形成し、1昼夜養生し、電磁波シールド構造体とした。
得られたものを用い、同様にして各種性能評価を行い、その結果を表1に示した。
この電磁波シールド構造体では、電磁波シールド性能は45dBで、躯体との接着強度は0.1MPaであったが、断熱性能は全くない。
また、サイクル試験後の躯体と塗料の伸縮性では、躯体の伸縮に導電性塗料層が追随できずに、塗膜に亀裂を生じ、シールド性能が維持できなかった。
さらに、衝撃試験により塗膜が破損し、シールド性能が失われてしまった。
比較例2
実施例1の合成樹脂発泡保護層を形成しなかった以外、実施例1と同一の電磁波シールド構造体とした。
すなわち、実施例1と同一のコンクリート躯体に硬質ポリウレタン断熱材1を15mmの厚さで吹き付けた後、1昼夜養生し、導電性塗料1をローラー塗りで目付量を100g/m2として塗布し、導電性塗料層を形成し、さらに1昼夜養生して電磁波シールド構造体とした。
得られたものを用い、同様にして各種性能評価を行い、その結果を表1に示した。
この電磁波シールド構造体では、電磁波シールド性能は45dBで、断熱性能は26mW/mKであったが、躯体との接着性では、導電性塗料層と硬質ポリウレタン断熱材との間で層間剥離が生じた。
また、衝撃試験により、1kgのおもりを1m高さから落とした場合には、導電性塗料層が破壊し、シールド性能が失われてしまった。
Figure 0004635123
この発明の電磁波シールド構造体の施工方法の一実施の形態にかかるコンクリートの建物に適用した電磁波シールド構造体の外観図およびB−B矢視断面図である。 この発明の電磁波シールド構造体の施工方法の一実施の形態にかかる施工工程の説明図である。
符号の説明
10 電磁波シールド構造体
11 コンクリート躯体
12 合成樹脂発泡下地層
13 導電性塗料層
14 合成樹脂発泡保護層
15 断熱層

Claims (2)

  1. コンクリート躯体の表面にウレタンを吹き付けて発泡厚みが3〜15mmの合成樹脂発泡下地層を形成し、次いでこの合成樹脂発泡下地層の表面に導電性塗料を目付け量が50〜200g/m2となるように塗布して導電性塗料層を形成したのち、この導電性塗料層の表面にウレタンを吹き付けて合成樹脂発泡保護層を形成するようにし、前記合成樹脂発泡下地層の縦方向および横方向の伸縮と厚さ方向の伸縮とで前記コンクリート躯体の伸縮変化を吸収可能として前記導電性塗料層を保護するように構成したことを特徴とする電磁波シールド構造体の施工方法。
  2. 前記合成樹脂発泡下地層および前記合成樹脂発泡保護層を前記コンクリート躯体の断熱層と兼用し、これら合成樹脂発泡下地層と合成樹脂発泡保護層との合計厚みを断熱性能に必要な厚みとするようにしてなることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド構造体の施工方法。
JP2004221570A 2004-07-29 2004-07-29 電磁波シールド構造体の施工方法 Expired - Fee Related JP4635123B2 (ja)

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