(第1実施形態・・図1〜図16)
図1は本発明の第1実施形態の中継器(ダブルホップ中継器)を使用する衛星移動体通信システムの概念図である。図1中、7、8はユーザが使用する通信装置である携帯端末、9は中継器を搭載した人工衛星、10は地上中継局であり、11は衛星アンテナ、12は本発明の第1実施形態の中継器である。
本発明の第1実施形態の中継器12において、13は発呼側の携帯端末から着呼側の携帯端末への一方向の信号中継を行う中継器(以下、中継器マスタという)、14は着呼側の携帯端末から発呼側の携帯端末への一方向の信号中継を行う中継器(以下、中継器スレーブという)であり、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14としては、携帯端末が利用される。
図1に示す衛星移動体通信システムでは、携帯端末7、8間の通信は、シングルホップ中継による通信(人工衛星9のみを介した通信)とダブルホップ中継による通信(人工衛星9及び地上中継局10を介した通信)の2種類が可能とされる。
ここで、例えば、携帯端末7、8間の通信がシングルホップ中継により行われる場合、携帯端末7から携帯端末8への信号経路は、[携帯端末7→人工衛星9→携帯端末8]となり、携帯端末8から携帯端末7への信号経路は、[携帯端末8→人工衛星9→携帯端末7]となる。
これに対して、携帯端末7、8間の通信がダブルホップ中継により行われる場合には、携帯端末7から携帯端末8への信号経路は、[携帯端末7→人工衛星9→衛星アンテナ11→中継器マスタ13→衛星アンテナ11→人工衛星9→携帯端末8]となり、携帯端末8から携帯端末7への信号経路は、[携帯端末8→人工衛星9→衛星アンテナ11→中継器スレーブ14→衛星アンテナ11→人工衛星9→携帯端末7]となる。
図1に示す衛星移動体通信システムは、SCPC(single channel per carrier:周波数固定割り当て)システムを採用するものであり、例えば、図2に示すようなチャネル構成を有するものとする。図2中、fcom、fcom’は携帯端末に共通に割り当てられる周波数、f1〜fn、f1’〜fn’は携帯端末に固定的に割り当てられる周波数である。
また、図1に示す衛星移動体通信システムは、携帯端末間の通信に、図3に示す4つのCH(チャネル)、すなわち、共通CH、応答CH、無線リンク接続用ダミーCH、無線リンク通話CHを使用するものである。
共通CHは、呼び出しで使用するCHである。各携帯端末は待ち受け状態の時、共通チャネルの周波数をセンスしている。応答CHは、呼び出しに対して応答を返すためのCHである。
無線リンク接続用ダミーCHは、擬似通話CHで、携帯端末間の無線リンク接続のために擬似的な信号の送受を行うために使用されるCHであり、単に「通話ダミーCH」とも呼ばれる。無線リンク通話CHは、ユーザが通話を行う専用個別CHであり、単に「通話CH」とも呼ばれる。
また、フレーム・フォーマット中のCW(Continuous Waveの略)はモデムが搬送波の周波数同期や位相同期を取り易くする信号フィールドである。CR(Carrier Recoveryの略)はモデムが搬送波の位相同期を取り易くする信号フィールドである。
BTR(Bit Timing Recoveryの略)はモデムが復調するデータの伝送クロックの時間タイミングの同期を取り易くする信号フィールドである。UW(Unique Wordの略)はフレーム同期とモデムの位相不確定性除去を行う信号フィールドである。
CTRL(Controlの略)は送信電力制御、終話処理等の通信制御を行う制御データ・フィールドである。ID(Identityの略)は自局の周波数チャネルを示すコードである。dis_ID(dis_Identityの略)は相手局の周波数チャネルを示すコードである。
Dummy Dataは無線リンク接続のために使用する擬似通話チャネルである。Traffic Dataは無線リンク接続確立後のユーザが使用するデータ・フィールドであり、課金対象となるフィールドであるので、Pay loadとも呼ばれている。
図4は携帯端末7、8等、図1に示す衛星移動体通信システムで使用される携帯端末の構成を示す回路図である。図4中、15はアンテナ、16はRF(高周波)部、17はADC(アナログ・デジタル・コンバータ)・DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)部である。
RF部16は、アンテナ15で受信したRF信号のIF信号への変換や、ADC及びDAC部17から与えられるIF信号のRF信号への変換等を行う。ADC・DAC部17は、RF部16から与えられるIF信号のデジタル信号(ベースバンド信号)への変換や、後述するモデムから与えられるベースバンド信号のアナログ信号(IF信号)への変換を行う。
18はベースバンド信号処理部であり、19は信号の変調・復調を行うモデム、20は信号の符号化・復号等を行うDSP(digital signal processor)、21は音声等の信号を扱うアナログ音声処理部である。
22はモデム19、DSP20、アナログ音声処理部21等を制御するCPU(central processing unit)、23は通信処理プログラム等を格納するメモリ、24はタイマーである。また、25は携帯端末の制御状態を示すLCD(liquid crystal display)、26はユーザ・インタフェースとしてのキー・パッド、27は携帯端末内の内部バスである。
図5は本発明の第1実施形態の中継器12の構成を示す回路図である。本発明の第1実施形態の中継器12を構成する中継器マスタ13及び中継器スレーブ14は共に携帯端末から構成されており、中継器マスタ13の内部バス27と中継器スレーブ14の内部バス27は、外部バス28で接続されている。
なお、携帯端末のメモリ23には携帯端末に必要とされる通信処理プログラム等が格納されるが、中継器マスタ13のメモリ23には中継器マスタとして必要な通信処理プログラム等が格納され、中継器スレーブ14には中継器スレーブに必要な通信処理プログラム等が格納される。
ここで、ダブルホップ中継は、携帯端末と人工衛星9間のアップ・リンク、ダウン・リンクによる信号の損失劣化をモデム19で信号を一旦復調し再生することでリカバーし、この再生した信号をモデム19で再度復調して人工衛星9にアップすることにより行われる。図5に示す矢印線SAは中継器マスタ13側の中継経路を示し、矢印線SBは中継器スレーブ14側の中継経路を示している。
図6〜図8は携帯端末7、8等、図1に示す衛星移動体通信システムで使用される携帯端末で行われる通信処理手順を示すフローチャートである。携帯端末は、電源を投入(パワーオン)すると、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する(ステップN1〜N4)。
ここで、携帯端末は、共通CHを受信する前に、キー・パッドを介して発呼命令を受けると、発呼側の携帯端末としての通信処理を行う。これに対して、発呼命令を受ける前に、共通CHを受けると、着呼側の携帯端末としての通信処理を行う。
以後、まず、携帯端末が発呼側となる場合に行われる通信処理手順を説明する。携帯端末は、共通CHを受信する前に発呼命令を受けると、発呼側の携帯端末となり、発呼のリトライ回数をカウントするリトライカウンタを初期化する(ステップN4でYES、N5)。
そして、相手側を呼び出すための共通CH(周波数fcom)を送信し、タイマーを起動し、着呼側の携帯端末からの応答CH(周波数は発呼側の携帯端末に割り当てられている周波数)の受信の有無を判断する(ステップN6〜N8)。
なお、共通CHのIDフィールドには、発呼側の携帯端末のIDが書き込まれ、dis_IDフィールドには、着呼側の携帯端末のIDが書き込まれており、これらから接続に使用する周波数チャネルが判別される。
ここで、発呼側の携帯端末は、所定時間内に着呼側の携帯端末からの応答CHを受信しないと、乱数発生器を初期化して動作させ、リトライすべき時刻として刻んでいくリトライ時刻(RTY_time)を0に設定する(ステップN9でYES、N10、N11)。
そして、リトライ時刻(RTY_time)が乱数で決められた時刻(例えば、4秒)に一致すると、リトライカウンタの値を参照し、リトライカウンタのカウント値が予め設定されているリトライ回数(例えば、10回)を超えていないときは、共通CH送信のリトライを行う(ステップN12でYES、N13でNO、N6)。
これに対して、リトライ回数(例えば、10回)を超えているときは、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN13でYES、N14、N1〜N4)。
また、発呼側の携帯端末が着呼側の携帯端末からの応答CHの受信の有無を判断している場合(ステップN8)において、発呼側の携帯端末が所定時間内に着呼側の携帯端末からの応答CHを受信すると、発呼側の携帯端末は、着呼側の携帯端末に対して通話ダミーCHの送信を行い、タイマーを起動し、着呼側の携帯端末からの通話ダミーCHの受信の有無を判断する(ステップN8でYES、N15〜N17)。
ここに、発呼側の携帯端末は、所定時間内に通話ダミーCHを受信しないと、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN18でYES、N14、N1〜N4)。
これに対して、発呼側の携帯端末が所定時間内に着呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信すると、発呼側の携帯端末は、着呼側の携帯端末に通話CHを送信し、タイマーを起動し、着呼側の携帯端末からの通話CHの有音認識ができるか否かを判断する(ステップN17でYES、N19〜N21)。
ここで、発呼側の携帯端末は、所定時間内に着呼側の携帯端末からの通話CHの有音認識ができないと、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN22でYES、N14、N1〜N4)。
これに対して、発呼側の携帯端末が所定時間内に着呼側からの通話CHの有音認識ができると、通話状態となる(ステップN23)。そして、発呼側の携帯端末の終了ボタンが押されるか、着呼側の携帯端末からの通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドが書き込まれていることを確認するまで、発呼側の携帯端末は通話状態を維持することになる(ステップN23、N24でNO、N25でNO)。
その後、着呼側の携帯端末の通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドが書き込まれていることを確認する前に、発呼側の携帯端末の終了ボタンが押されると、発呼側の携帯端末は、自己の通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドを書き込み、その後の通話CHの送信を終了する(ステップN24でYES、N26、N27)。
また、発呼側の携帯端末の終了ボタンが押される前に、発呼側の携帯端末が着呼側の携帯端末からの通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドが書き込まれていることを確認すると、発呼側の携帯端末は、通話CHの送信を終了する(ステップN25でYES、N27)。
なお、発呼側の携帯端末は、通話CHの送信を終了すると、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN27、N14、N1〜N4)。
ここで、通話CHのCTRLフィールドに書き込まれた終了コマンドは、無線区間の伝送でビット誤り等を起こすおそれがあるが、この不都合は、例えば、2フレーム連続してCTRLフィールドに同一の終話コマンドが書き込まれている場合に通話終了とする等の保護を掛けることで回避することができる。また、CTRLフィールドに終了コマンドを書き込んだ方の端末は、相手から終了コマンドを待たなくとも終了することができる。
次に、携帯端末が着呼側となる場合に行われる通信処理手順を説明する。携帯端末が発呼命令を受ける前に共通CHを受信すると、携帯端末は、着呼側の携帯端末となり、受信した共通CH(発呼側の携帯端末からの発呼)が自局宛であるか否かを判断する(ステップN3でYES、N28)。
そして、自局宛でない場合には、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN28でNO、N14、N1〜N4)。
これに対して、受信した共通CHが自局宛である場合には、着呼側の携帯端末は、発呼側の携帯端末に対して応答CHを送信し、タイマーを起動し、発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHの受信の有無を判断する(ステップN28でYES、N29〜N31)。
ここで、着呼側の携帯端末は、所定時間内に発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信しないと、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN32でYES、N14、N1〜N4)。
これに対して、着呼側の携帯端末が所定時間内に発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信すると、着呼側の携帯端末は、発呼側の携帯端末に対して通話ダミーCHを送信し、タイマーを起動し、着呼側の携帯端末の通話ボタンが押されるか(オン・フックされるか)否かを判断する(ステップN31でYES、N33〜N35)。
ここで、着呼側の携帯端末の通話ボタンが所定時間内に押されないと、終話処理が行われ、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN36でYES、N14、N1〜N4)。
これに対して、着呼側の携帯端末の通話ボタンが所定時間内に押されると、着呼側の携帯端末は、発呼側の携帯端末に対して通話CHを送信し、タイマーを起動し、着呼側の携帯端末からの通話CHの有音認識ができるか否かを判断する(ステップN35でYES、N19〜N21)。
ここで、着呼側の携帯端末は、所定時間内に着呼側の携帯端末からの通話CHの有音認識ができないと、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN22でYES、N14、N1〜N4)。
これに対して、着呼側の携帯端末が所定時間内に発呼側からの通話CHの有音認識ができると、通話状態となる(ステップN23)。そして、着呼側の携帯端末の終了ボタンが押されるか、発呼側の携帯端末からの通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドが書き込まれていることを確認するまで、着呼側の携帯端末は通話状態を維持することになる(ステップN23、N24でNO、N25でNO)。
その後、発呼側の携帯端末の通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドが書き込まれていることを確認する前に、着呼側の携帯端末の終了ボタンが押されると、着呼側の携帯端末は、自己の通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドを書き込み、その後の通話CHの送信を終了する(ステップN24でYES、N26、N27)。
また、着呼側の携帯端末の終了ボタンが押される前に、着呼側の携帯端末が発呼側の携帯端末からの通話CHのCTRLフィールドに終了コマンドが書き込まれていることを確認すると、着呼側の携帯端末は、通話CHの送信を終了する(ステップN25でYES、N27)。
なお、着呼側の携帯端末は、通話CHの送信を終了すると、終話処理を行い、モデム19等、携帯端末内の各部の初期化を行い、待ち受け状態及び発呼可能状態となり、共通CHの受信の有無及び発呼命令の有無を判断する状態に戻る(ステップN27、N14、N1〜N4)。
以上のような携帯端末における通信処理は、携帯端末のメモリ23に書き込まれている通信処理プログラムをソフトウエア資源、CPU22等をハードウエア資源として行われるが、このような通信処理が行われることから、携帯端末の状態遷移は図9に示すようになる。なお、図10及び図11は携帯端末間の通信がシングルホップ中継で行われる場合の通信シーケンス例を示している。
図10及び図11において、RXは携帯端末の受信信号、TXは携帯端末の送信信号、RSSI(received signal strength indicatorの略)は、携帯端末で生成される受信信号強度表示信号であり、受信している電波信号の強度を数値化したものであるが、ここでは、説明の便宜上、受信信号がある場合をRSSI=Hレベル、受信信号が無い場合をRSSI=Lレベルと表している。以下、同様である。
図12〜図14は本発明の第1実施形態の中継器12で行われる通信処理手順を示すフローチャートである。まず、中継器マスタ13で行われる通信処理について説明する。中継器マスタ13は、電源を投入(パワーオン)すると、モデム19等、中継器マスタ13の各部の初期化を行い、共通CHの待ち受け状態となり、共通CHの受信の有無を判断する(ステップP1〜P3)。
そして、中継器マスタ13が共通CHを受信すると、中継器マスタ13は、中継器スレーブ14に対して、受信した共通CHのIDフィールド及びdis_IDフィールドに書き込まれている発呼側の携帯端末のID及び着呼側の携帯電話のdis_IDを通知する(ステップP4)。中継器スレーブ14は、この通知により、周波数CHを知ることができる。
次に、中継器マスタ13は、受信した共通CHをホッピング(送信)し、受信した共通CHをホッピング(送信)したことを中継器スレーブ14に通知する(ステップP5、P6)。中継器スレーブ14は、この通知により、周波数CHを応答・通話ダミー・通話CH用に設定することが可能となる。
次に、中継器マスタ13は、周波数CHを通話ダミー・通話CH用に設定し、タイマーを起動し、中継器スレーブ14からの応答CH送信通知の受信の有無を判断する(ステップP7〜P9)。
そして、中継器マスタ13は、所定時間内に中継器スレーブ14からの応答CH送信通知を受信しなかったときは、モデム19等、中継器マスタ13の各部の初期化を行い、待ち受け状態となり、共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップP10でYES、P1〜P3)。
これに対して、中継器マスタ13が所定時間内に中継器スレーブ14からの応答CH送信通知を受信すると、中継器マスタ13は、タイマーを起動し、発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHの受信の有無を判断する(ステップP9でYES、P11、P12)。
そして、中継器マスタ13は、所定時間内に発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信しないと、モデム19等、中継器マスタ13の各部の初期化を行い、待ち受け状態となり、共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップP13でYES、P1〜P3)。
これに対して、中継器マスタ13が所定時間内に発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信すると、中継器マスタ13は、発呼側の携帯端末から受信した通話ダミーCHをホッピング(送信)し、発呼側の携帯端末から着呼側の携帯端末への中継通信中となる(ステップP12でYES、P14、P15)。
そして、中継器マスタ13の内部で生成しているRSSI信号がLレベルとなると、中継器マスタ13は、中継器スレーブ14のRSSI信号がLレベルになっているか否かを判断し、Lレベルになっていると、タイマーを起動し、所定時間が経過すると、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14のRSSI信号が共にLレベルであるか否かを判断する(ステップP16でYES、P17でYES、P18〜P20)。
ここで、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14のRSSI信号が共にLレベルの場合には、終話処理開始を中継器スレーブ14に通知し、モデム19等、中継器マスタ13の各部の初期化を行い、待ち受け状態となり、共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップP20でYES、P21、P1〜P4)。これ以外の場合は、中継器マスタ13は、中継通信を継続する(ステップP15、P16でNO、P17でNO、P20でNO)。
なお、中継器マスタ13のRSSI信号及び中継器スレーブ14のRSSI信号が共にLレベルとなった場合に直ちに終話処理を行わない理由は、発呼側の携帯端末及び着呼側の携帯端末が共に陸橋等の下に入り、一時的に人工衛星9との通信が途絶えた場合に、直ちに終話処理を開始するのは妥当でないからである。
他方、中継器スレーブ14は、電源を投入(パワーオン)すると、モデム19等、中継器スレーブ14の各部の初期化を行い、共通CHの待ち受け状態となり、共通CHの受信の有無を判断することになる(ステップQ1、Q2)。
そして、中継器スレーブ14は、中継器マスタ13から発呼側の携帯端末のID及び着呼側の携帯端末のID(dis_ID)の情報を貰うと、中継器マスタ13からの中継器マスタ13が受信した共通CHのホッピング(送信)の通知の有無を判断し、このホッピング(送信)の通知を受けると、周波数CHを応答・通話ダミー・通話CH用に設定し、タイマーを起動し、着呼側の携帯端末からの応答CHの受信の有無を判断する(ステップQ3〜Q7)。
そして、中継器スレーブ14は、所定時間内に着呼側の携帯端末からの応答CHを受信しないと、モデム19等、中継器スレーブ14の各部の初期化を行い、共通CHの待ち受け状態となる(ステップQ8でYES、Q1、Q2)。
これに対して、中継器スレーブ14が所定時間内に着呼側の携帯端末からの応答CHを受信すると、中継器スレーブは、受信した応答CHをホッピング(送信)し、受信した応答CHをホッピング(送信)したことを中継器マスタ13に通知し、自己の状態を通話ダミーCH待ち状態に設定し、タイマーを起動し、着呼側の携帯端末からの通話ダミーCHの受信の有無を判断する(ステップQ7でYES、Q9〜Q13)。
ここで、中継器スレーブ14は、所定時間内に着呼側からの通話ダミーCHを受信しないと、モデム19等、中継器スレーブ14の各部の初期化を行い、共通CHの待ち受け状態となる(ステップQ13aでYES、Q1、Q2)。
これに対して、中継器スレーブ14が着呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信すると、中継器スレーブ14は、受信した通話ダミーCHをホッピング(送信)し、着呼側の携帯端末から発呼側の携帯端末への中継通信中となる(ステップQ13でYES、Q14、Q15)。
そして、中継器スレーブ14のRSSI信号がLレベルとなると、中継器スレーブ14は、中継器マスタ13にRSSI信号がLレベルになったことを通知し、タイマーを起動し、中継器マスタ13からの中継器12の終話処理開始通知の有無を判断する(ステップQ16でYES、Q17〜Q19)。
そして、中継器スレーブ14は、所定時間内に中継器マスタ13からの中継器12の終話処理開始通知を受けた時は、モデム19等、中継器スレーブ14の各部の初期化を行い、待ち受け状態となり、共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップQ19でYES、Q1、Q2)。これ以外の場合は、中継器スレーブ14は、中継通話を継続する(ステップQ16でNO)。
なお、図14に示す通信処理フローにおいて、中継器マスタ13が行う通信処理P16〜P21を中継器スレーブ14が行い、中継器スレーブ14が行う通信処理Q16〜Q20を中継器マスタ13が行うようにしても良い。
以上のような中継器マスタ13の通信処理は、中継器マスタ13のメモリ23に書き込まれている通信処理プログラムをソフトウエア資源、CPU22等をハードウエア資源として行われ、中継器スレーブ14の通信処理は、中継器スレーブ14のメモリ23に書き込まれている通信処理プログラムをソフトウエア資源、CPU22等をハードウエア資源として行われる。
そして、このような通信処理が行われることから、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14の状態遷移は図15に示すようになる。なお、図16は携帯端末間の通信がダブルホップ中継で行われる場合の通信シーケンス例を示している。
以上のように、本発明の第1実施形態の中継器12においては、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14は、発呼側の携帯端末及び着呼側の携帯端末が中継器マスタ13及び中継器スレーブ14を意識しないで通信することを可能とする制御情報のやり取りを行う機能を有している。
即ち、中継器マスタ13は、発呼側の携帯端末から受信した発呼CHに含まれる発呼側の携帯端末及び着呼側の携帯端末のID情報を中継器スレーブ14に通知する機能を有している(ステップP4)。これによって、中継器スレーブ14は、接続周波数CHを知ることができる。
また、中継器マスタ13は、発呼側の携帯端末から受信した共通CHを着呼側の携帯端末に向けてホッピング(送信)したことを中継器スレーブ14に通知する機能を有している(ステップP6)。これによって、中継器スレーブ14は、周波数CHを着呼側の携帯端末からの応答・通話ダミー・通話CH用に設定することができる。
また、中継器スレーブ14は、着呼側端末から受信した応答CHを発呼側の携帯端末に向けてホッピング(送信)したことを中継器マスタ13に通知する機能を有している(ステップQ10)。これによって、中継器マスタ13は、発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信可能とする状態に設定した後、中継器スレーブ14が着呼側の携帯端末から受信した応答CHを発呼側の携帯端末に向けてホッピング(送信)したことの通知を所定時間内に受信しないときは、発呼信号受信可能状態に戻る機能を備えることができる(ステップP10でYES)。
また、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14は、中継通信中、RSSI信号を使用して自己の受信信号の有無を判断する機能を有し、中継器スレーブ14は、中継通信中に、RSSI=Lレベルになったとき(受信信号が無くなったとき)は、これを中継器マスタ13に通知する機能を有している(ステップQ17)。
これによって、中継器マスタ13は、自己のRSSI=Lレベル、中継器スレーブ14のRSSI=Lレベルのときは、所定時間経過後に、自己のRSSI=Lレベル、中継器スレーブ14のRSSI=Lレベルであるか否かを判断し、共にLレベルのときは、中継器終話処理開始を中継器スレーブ14に通知し(ステップP21)、自己も中継器終話処理を開始する機能を備えることができる。
なお、通話の終了時は、中継器マスタ13も中継器スレーブ14もそれぞれの受信信号からCTRLフィールドの監視が可能であるから、それぞれで通話終了を確認することができそうである。しかしながら、発呼側の携帯端末がCTRLフィールドに終話コマンドを書き込んで、これに応答して着呼側の携帯端末が終話処理を行うと、着呼側の携帯端末はCTRLフィールドに終話コマンドを書き込むことはないので、中継器マスタ13は中継器終話処理を開始することができるが、中継器スレーブ14は、着呼側の携帯端末の終話処理の事実を確認できず、中継器終話処理を開始することができないことになる。
これに対して、着呼側の携帯端末がCTRLフィールドに終話コマンドを書き込んで、これに応答して発呼側の携帯端末が終話処理を行うと、発呼側の携帯端末はCTRLフィールドに終話コマンドを書き込むことはないので、中継器スレーブ14は中継器終話処理を開始することができるが、中継器マスタ13は、発呼側の携帯端末の終話処理の事実を確認することができず、中継器終話処理を行うことができないことになる。そこで、本発明の第1実施形態の中継器12では、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14でRSSIを監視して終話処理を行うとしている。
以上のように、本発明の第1実施形態の中継器12によれば、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14は、発呼側の携帯端末及び着呼側の携帯端末が中継器マスタ13及び中継器スレーブ14を意識しないで通信することを可能とする制御情報のやり取りを行う機能を有しているので、衛星移動体通信システムにおいて、携帯端末間のダブルホップ中継をトランスペアレントに行うことができ、通信シーケンスの簡略化を図ることができると共に、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14として、携帯端末を利用することができるので、資源の有効利用を図ることができる。
(本発明の第2実施形態・・図17)
図17は本発明の第2実施形態の中継器の構成を示す回路図である。本発明の第2実施形態の中継器は、中継器マスタ13の内部バス27と中継器スレーブ14の内部バス27を外部バス28で接続する代わりに、中継器マスタ13のモデム19と中継器スレーブ14のモデム19とをシリアル通信線29で接続し、このシリアル通信線29を使用して中継器マスタ13と中継器スレーブ14との間の通信を行うようにし、その他については、本発明の第1実施形態の中継器12と同様に構成したものである。
本発明の第2実施形態の中継器によっても、本発明の第1実施形態の中継器12と同様に、衛星移動体通信システムにおいて、携帯端末間のダブルホップ中継をトランスペアレントに行うことができ、通信シーケンスの簡略化を図ることができると共に、中継器マスタ13及び中継器スレーブ14として、携帯端末を利用することができるので、資源の有効利用を図ることができる。
(第3実施形態・・図18〜図24)
図18は本発明の第3実施形態の中継器を使用する衛星移動体通信システムの概念図である。図18に示す衛星移動体通信システムは、図1に示す地上中継局10と構成の異なる地上中継局30を設け、その他については、図1に示す衛星移動体通信システムと同様に構成したものである。地上中継局30は、本発明の第3実施形態の中継器31を備えるものであり、本発明の第3実施形態の中継器31は携帯端末を利用するものではない。
図19は本発明の第3実施形態の中継器31の構成を示す回路図である。図19中、32、33はアンテナ、34、35はRF(高周波)部、36はADC・DAC部である。RF部34は、アンテナ32で受信したRF信号のIF信号への変換や、ADC・DAC部36から与えられるIF信号のRF信号への変換等を行う。ADC・DAC部36は、RF部34から与えられるIF信号のデジタル信号(ベースバンド信号)への変換や、後述するモデムから与えられるベースバンド信号のアナログ信号(IF信号)への変換を行う。
RF部35は、アンテナ33で受信したRF信号のIF信号への変換やADC・DAC部37から与えられるIF信号のRF信号への変換等を行う。ADC・DAC部37は、RF部35から与えられるIF信号のデジタル信号(ベースバンド信号)への変換や、後述するモデムから与えられるベースバンド信号のアナログ信号(IF信号)への変換を行う。
また、38はベースバンド信号処理部であり、39、40は信号の変調・復調を行うモデム、41はモデム39、40等を制御するCPU、42は通信処理プログラム等を格納するメモリ、43、44はタイマー、45は内部バスである。
本発明の第3実施形態の中継器31においては、アンテナ32、PF部34、ADC・DAC部36、モデム39、CPU41、メモリ42、タイマー43及び内部バス45で中継器マスタ46が構成され、アンテナ33、RF部35、ADC・DAC部37、モデム40、CPU41、メモリ42、タイマー44及び内部バス45で中継器スレーブ47が構成される。なお、矢印線SCは中継器マスタ46側の中継経路を示し、矢印線SDは中継器スレーブ47側の中継経路を示している。
図20〜図24は本発明の第3実施形態の中継器31で行われる通信処理手順を示すフローチャートである。本発明の第3実施形態の中継器31は、電源を投入(パワーオン)すると、モデム39、40等、中継器各部の初期化が行われ、共通CHの待ち受け状態となり、モデム39が共通CHの受信の有無を判断する(ステップS1〜S3)。
そして、モデム39が共通CHを受信すると、モデム40に対して、モデム39が受信した共通CHのIDフィールド及びdis_IDフィールドに書き込まれている発呼側の携帯端末のID情報及び着呼側の携帯電話のID情報が通知される(ステップS4)。
次に、モデム39は、受信した共通CHをホッピング(送信)し、受信した共通CHのホッピング(送信)が終了すると、モデム40は、周波数CHを通話ダミーCH用に設定し、タイマー44を起動し、着呼側の携帯端末からの応答CHの有無を判断する(ステップS5〜S9)。
そして、モデム40が所定時間内に着呼側の携帯端末からの応答CHを受信しなかったときは、モデム39、40等、中継器各部の初期化を行い、共通CHの待ち受け状態となり、モデム39が共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップS10でYES、S1〜S3)。
これに対して、モデム40が所定時間内に着呼側の携帯端末からの応答CHを受信すると、タイマー44が起動され、モデム40は,受信した応答CHをホッピング(送信)する(ステップS9でYES、S11、S12)。
そして、モデム39に対して、所定時間内にモデム40が受信した応答CHをホッピング(送信)したことを通知しないと、モデム39、40等、中継器各部の初期化が行われ、待ち受け状態となり、モデム39が共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップS14でYES、S1〜S3)。
これに対して、モデム40が所定時間内に受信応答CHをホッピング(送信)したことをモデム39に通知すると、モデム39、40の周波数CHが通話ダミーCH用に設定される(ステップS13でYES、S15)。
そして、中継器マスタ46では、タイマー43が起動され、モデム39は発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHの有無を判断し(ステップS16、S17)、中継器スレーブ47では、タイマー44が起動され、モデム40が着呼側の携帯端末からの通話ダミーCHの受信の有無を判断する(ステップS18、S19)。
そして、モデム39が所定時間内に発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信しないと、モデム39、40等、中継器各部の初期化が行われ、共通CHの待ち受け状態となり、モデム39が共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップS20でYES、S1〜S3)。
これに対して、モデム39が所定時間内に発呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信すると、モデム39は、受信した通話ダミーCHを着呼側の携帯端末に向けてホッピング(送信)し、発呼側の携帯端末から着呼側の携帯端末への中継通信中となる(ステップS17でYES、S21、S22)。
他方、モデム40が所定時間内に着呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信しないと、モデム39、40等、中継器各部の初期化が行われ、共通CHの待ち受け状態となり、モデム39が共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップS23でYES、S1〜S3)。
これに対して、モデム40が所定時間内に着呼側の携帯端末からの通話ダミーCHを受信すると、モデム40は、受信した通話ダミーCHを発呼側の携帯端末に向けてホッピング(送信)し、着呼側の携帯端末から発呼側の携帯端末への中継通信中となる(ステップS19でYES、S24、S25)。
ここで、モデム39側のRSSI_1信号がLレベルとなるか、モデム40側のRSSI_2信号がLレベルになると、RSSI_1信号及びRSSI_2信号が共にLレベルであるか否かが判断され、共にLレベルになっていると、タイマーが起動される(ステップS26でYES、S27でYES、S28でYES、S29)。
そして、RSSI_1及びRSSI_2が共にLレベルの状態が所定時間継続すると、中継器の終話処理が行われ、モデム39、40等、中継器各部の初期化が行われ、共通CHの待ち受け状態となり、モデム39が共通CHの受信の有無を判断する状態に戻る(ステップS30でYES、S31でYES、S32、S1〜S3)。これ以外の場合には、中継通信が継続される(ステップS26でNO、S27でNO、S28でNO、S33)。
このように構成された本発明の第3実施形態の中継器31によっても、本発明の第1実施形態の中継器12と同様に、衛星移動体通信システムにおいて、中継器マスタ46のモデム39及び中継器スレーブ47のモデム40は、発呼側の携帯端末及び着呼側の携帯端末が中継器を意識しないで通信することを可能とする制御情報のやり取りを行う機能を有しているので、衛星移動体通信システムにおいて、携帯端末間のダブルホップ中継をトランスペアレントに行うことができ、通信シーケンスの簡略化を図ることができる。
(本発明の第4実施形態・・図25〜図29)
図25は本発明の第4実施形態の中継器を使用するCDMA(Code Division Multiple Access)システムの概念図である。図25中、50はCDMA基地局装置、51はユーザが使用する通信装置である非トランシーバ型の携帯端末、52、53はユーザが使用する通信装置であるトランシーバ型の携帯端末、54は本発明の第4実施形態の中継器である。
本発明の第4実施形態の中継器54において、55はCDMA基地局装置50と非トランシーバ型の携帯端末51との間では、CDMA基地局装置50から携帯端末51への一方向の信号中継を行い、トランシーバ型の携帯端末52、53間では、発呼側の携帯端末から着呼側の携帯端末への一方向の信号中継を行う中継器(以下、中継器マスタという)である。
また、56はCDMA基地局装置50と非トランシーバ型の携帯端末51との間では、携帯端末51からCDMA基地局装置50への一方向の信号中継を行い、トランシーバ型の携帯端末52、53間においては、着呼側の携帯端末から発呼側の携帯端末への一方向の信号中継を行う中継器(以下、中継器スレーブという)である。
即ち、図25に示すCDMAシステムの場合には、CDMA基地局装置50から携帯端末51への信号経路は、[CDMA基地局装置50→中継器マスタ55→携帯端末51]となり、携帯端末51からCDMA基地局装置50への信号経路は、[携帯端末51→中継器スレーブ56→CDMA基地局装置50]となる。
また、携帯端末52から携帯端末53への信号経路は、[携帯端末52→中継器マスタ55→携帯端末53]となり、携帯端末53から携帯端末52への信号経路は、[携帯端末53→中継器スレーブ56→携帯端末52]となる。
本発明の第4実施形態の中継器54においては、中継器マスタ55は、CDMA基地局装置50又は発呼側の携帯端末からの着呼側の携帯端末の呼び出し時に、中継器スレーブ56にアサイン命令及び使用する拡散コードの種類、チャネル識別コードの情報を通知し、また、無線リンク解放時には、中継器スレーブ56に無線リンク解放のための解放命令を通知する機能を有するものである。
また、中継器スレーブ56は、中継器マスタ55に着呼側の携帯端末のユーザの登録情報を通知し、また、着呼側の携帯端末からの呼切断要求があったことをCDMA基地局装置50又は発呼側の携帯端末に通知する機能を有するものである。
図26は図25に示すCDMAシステムで使用される携帯端末の構成を示す回路図である。図26中、58はアンテナ、59はRF(高周波)部、60はADC(アナログ・デジタル・コンバータ)・DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)部である。
RF部59は、アンテナ58で受信したRF信号のIF信号への変換や、ADC及びDAC部60から与えられるIF信号のRF信号への変換等を行う。ADC・DAC部60は、RF部59から与えられるIF信号のデジタル信号(ベースバンド信号)への変換や、後述するモデムから与えられるベースバンド信号のアナログ信号(IF信号)への変換を行う。
61はベースバンド信号処理部であり、62は信号の変調・復調を行うモデム、63は信号の符号化・復号等を行うDSP、64は音声等の信号を扱うアナログ音声処理部、65はモデム62、DSP63、アナログ音声処理部64等を制御するCPU、66は通信処理プログラム等を格納するメモリである。また、67は携帯端末の制御状態を示すLCD、68はユーザ・インタフェースとしてのキー・パッド、69は携帯端末内の内部バスである。
図27は本発明の第4実施形態の中継器54の構成を示す回路図である。本発明の第4実施形態の中継器54では、中継器マスタ55及び中継器スレーブ56として、それぞれ図26に示す携帯端末と同一構成の携帯端末が使用され、中継器マスタ55の内部バス69と中継器スレーブ56の内部バス69は、外部バス71で接続される。
なお、携帯端末のメモリ66には携帯端末に必要とされる通信処理プログラム等が格納されるが、中継器マスタ55のメモリ66には中継器マスタとして必要な通信処理プログラム等が格納され、中継器スレーブ56には中継器スレーブに必要な通信処理プログラム等が格納される。
ここで、中継器54による中継は、フォアード・リンク、リバース・リンクによる信号の損失劣化をモデム62で信号を一旦復調し再生することでリカバーすることにより行われる。図27に示す矢印線SEは中継器マスタ55側の中継経路を示し、矢印線SFは中継器スレーブ56側の中継経路を示している。
図28はCDMA基地局装置50と非トランシーバ型の携帯端末51との間の通信シーケンス例を示す図である。CDMAシステムでは、CDMA基地局装置50は、常に報知情報(パイロットチャネル、ページングチャネル、呼出し情報、基地局情報)を送信しており(W1)、中継器マスタ55は、常に、この報知情報を中継している(W2)。
携帯端末51等は、この報知情報を受信し、自分がどの基地局の配下に居るのか等を知り、ユーザの登録情報(ユーザ端末情報、位置情報等)を送信し(W3)、中継器スレーブ56は、この登録情報を中継する(W4)。また、中継器スレーブ56は、この登録情報を中継器マスタ55に通知する(W5)。
ここで、CDMA基地局装置50が携帯端末51を呼び出す場合には、CDMA基地局装置50は、携帯端末51を呼び出すための呼出し情報を含めた報知情報を送信する(W6)。中継器マスタ56は、この報知情報を中継する(W7)。
また、中継器マスタ55は、この報知情報を分析し、中継器スレーブ56にアサイン命令及び使用する拡散コードの種類、チャネル識別コードの情報を通知する(W8)。中継器スレーブ56は、中継器マスタ55からのこの通知により、携帯端末51からCDMA基地局装置50への信号伝送のトランスペアレントな中継が可能となる。
携帯端末51は、CDMA基地局装置50からの自分を呼び出すための呼出し情報を含む報知情報を中継器マスタ55を介して受信すると、応答(ACK信号)を送信する(W9)。中継器スレーブ56は、この応答を中継する(W10)。
CDMA基地局装置50は、携帯端末51からの応答を中継器スレーブ56を介して受信すると、携帯端末51との間の無線リンクを確立するために必要な個別制御情報(呼接続情報、個別制御用情報)を送信する(W11)。中継器55は、この個別制御情報を中継する(W12)。
携帯端末51は、CDMA基地局装置50からの個別制御情報を中継器マスタ55を介して受信すると、CDMA基地局装置50との間の無線リンクを確立するために必要な個別制御情報を送信する(W13)。中継器スレーブ56は、この個別制御情報を中継する(W14)。これらCDMA基地局装置50と携帯端末51との間の個別制御情報のやり取りにより、CDMA基地局装置50と携帯端末51との間の無線リンクが確立する。
このようにして、CDMA基地局装置50と携帯端末51との間の無線リンクが確立すると、CDMA基地局装置50と携帯端末51との間での通話が可能となる。ここで、CDMA基地局装置50からの個別通話(通話用トラフィック)は、中継器マスタ55を介して携帯端末51に伝送され(W15、W16)、携帯端末51からの個別通話は、中継器スレーブ56を介してCDMA基地局装置50に伝送される(W17、W18)。
そして、例えば、携帯端末51が呼切断要求を出す場合には、携帯端末51から呼切断要求のための個別制御情報が送信される(W19)。中継器スレーブ56は、この個別制御情報を中継する(W20)。また、中継器スレーブ56は、呼切断要求があったことを中継器マスタ55に通知する(W21)。
CDMA基地局装置50は、携帯端末51からの呼切断要求のための個別制御情報を中継器スレーブ56を介して受信すると、呼切断要求に対するACKを個別制御情報で送信する(W22)。中継器マスタ55は、この個別制御情報を中継する(W23)。
更に、続いて、CDMA基地局装置50は、無線リンクの解放通知を個別制御情報で送信する(W24)、中継器マスタ55は、この個別制御情報を中継する(W25)。また、中継器マスタ55は、中継器スレーブ56に無線リンク解放のための解放命令を通知する(W26)。これにより、CDMA基地局装置50と携帯端末51との間の無線リンクが解放される。
図29はトランシーバ型の携帯端末52、53間の通信シーケンス例を示す図である。例えば、携帯端末52が携帯端末53を呼び出す場合には、携帯端末52は、携帯端末53を呼び出すための呼出し情報を含めた報知情報を送信する(Y1)。中継器マスタ55は、この報知情報を中継する(Y2)。
また、中継器マスタ55は、この報知情報を分析し、中継器スレーブ56にアサイン命令及び使用する拡散コードの種類、チャネル識別コードの情報を通知する(Y3)。中継器スレーブ56は、中継器マスタ55からのこの通知により、携帯端末53から携帯端末52への信号伝送のトランスペアレントな中継が可能となる。
携帯端末53は、携帯端末52からの自分を呼び出すための呼出し情報を含む報知情報を中継器マスタ55を介して受信すると、応答(ACK信号)を送信する(Y4)。中継器スレーブ56は、この応答を中継する(Y5)。
携帯端末52は、携帯端末53からの応答を中継器スレーブ56を介して受信すると、携帯端末53との間の無線リンクを確立するために必要な個別制御情報(呼接続情報、個別制御用情報)を送信する(Y6)。中継器マスタ55は、この個別制御情報を中継する(Y7)。
携帯端末53は、携帯端末52からの個別制御情報を中継器マスタ55を介して受信すると、携帯端末52との間の無線リンクを確立するために必要な個別制御情報を送信する(Y8)。中継器スレーブ56は、この個別制御情報を中継する(Y9)。これら携帯端末52、53間の個別制御情報のやり取りにより、携帯端末52、53間の無線リンクが確立する。
このようにして、携帯端末52、53間の無線リンクが確立すると、携帯端末52、53間での通話が可能となる。ここで、携帯端末52からの個別通話は中継器マスタ55を介して携帯端末53に伝送され(Y10、Y11)、携帯端末53からの個別通話は、中継器スレーブ56を介して携帯端末52に伝送される(Y12、Y13)。
そして、例えば、携帯端末53が呼切断要求を出す場合には、携帯端末53から呼切断要求のための個別制御情報が送信される(Y14)。中継器スレーブ56は、この個別制御情報を中継する(Y15)。また、中継器スレーブ56は、呼切断要求があったことを中継器マスタ55に通知する(Y16)。
携帯端末52は、携帯端末53からの呼切断要求のための個別制御情報を中継器スレーブ56を介して受信すると、呼切断要求に対するACKを個別制御情報で送信する(Y17)。中継器マスタ55は、この個別制御情報を中継する(Y18)。
更に、続いて、携帯端末52は、無線リンクの解放通知を個別制御情報で送信する(Y19)、中継器マスタ55は、この個別制御情報を中継する(Y20)。また、中継器マスタ55は、中継器スレーブ56に無線リンク解放のための解放命令を通知する(Y21)。これにより、携帯端末52、53間の無線リンクが解放される。
以上のように、本発明の第4実施形態の中継器54によれば、中継器マスタ55及び中継器スレーブ56は、発呼側の通信装置及び着呼側の通信装置が中継器マスタ55及び中継器スレーブ56を意識しないで通信することを可能とする制御情報のやり取りを行う機能を有しているので、CDMAシステムにおいて、発呼側の通信装置と着呼側の通信装置との間の中継をトランスペアレントに行うことができ、通信シーケンスの簡略化を図ることができる。また、中継器マスタ55及び中継器スレーブ56として、携帯端末を利用することができるので、資源の有効利用を図ることができる。
(本発明の第5実施形態・・図30)
図30は本発明の第5実施形態の中継器の構成を示す回路図である。本発明の第5実施形態の中継器は、CDMAシステムで使用するものであり、1個の中継器マスタ73とn個の中継器スレーブ74−1〜74−nを備えるものである。なお、中継器スレーブ74−2〜74−(n−1)は、図示を省略している。
本発明の第5実施形態の中継器では、中継器マスタ73及び中継器スレーブ74−1〜74−nとして、それぞれ図26に示す携帯端末と同一構成の携帯端末が使用され、中継器マスタ73の内部バス69と中継器スレーブ74−1〜74−nの内部バス69は、外部バス75で接続される。
中継器マスタ73は、CDMA基地局装置又は発呼側の携帯端末からの着呼側の携帯端末の呼び出し時に、中継器スレーブ74−1〜74−nの中の現在使用されていない中継器スレーブにアサイン命令及び使用する拡散コードの種類、チャネル識別コードの情報を通知し、また、無線リンク解放時には、ユーザチャネルをアサインした中継器スレーブに無線リンク解放のための解放命令を通知する機能を有するものである。
即ち、本発明の第5実施形態の中継器においては、中継器マスタ73が中継器スレーブ74−1〜74−n中の現在使用されていない中継器スレーブを固有の装置番号等で管理し、中継器マスタ73からのアサイン命令は、現在使用されていない中継器スレーブに対して行われる。
また、中継器スレーブ74−1〜74−nは、中継器マスタ73に着呼側の携帯端末のユーザの登録情報を通知し、また、着呼側の携帯端末からの呼切断要求があったことをCDMA基地局装置又は発呼側の携帯端末に通知する機能を有するものである。
本発明の第5実施形態の中継器においても、CDMA基地局装置と非トランシーバ型の携帯端末との間の通信は、例えば、図28に示す場合と同様にして行われ、トランシーバ型の携帯端末間の通信は、例えば、図29に示す場合と同様にして行われる。
なお、図30に示す矢印線SGは中継器マスタ73側の中継経路を示し、矢印線SHは中継器スレーブ74−1側の中継経路を示し、矢印線SIは中継器スレーブ74−nの中継経路を示している。
本発明の第5実施形態の中継器によれば、中継器マスタ73及び中継器スレーブ74−1〜74−nは、発呼側の通信装置及び着呼側の通信装置が中継器マスタ73及び中継器スレーブ74−1〜74−nを意識しないで通信することを可能とする制御情報のやり取りを行う機能を有しているので、CDMAシステムにおいて、発呼側の通信装置と着呼側の通信装置との間の中継をトランスペアレントに行うことができ、通信シーケンスの簡略化を図ることができる。また、中継器マスタ73及び中継器スレーブ74−1〜74−nとして、携帯端末を利用することができるので、資源の有効利用を図ることができる。
(本発明の第6実施形態・・図31)
図31は本発明の第6実施形態の中継器の構成を示す回路図である。本発明の第6実施形態の中継器は、CDMAシステムで使用するものであり、1個の中継器マスタ77とn個の中継器スレーブ78−1〜78−nを備えるものである。なお、中継器スレーブ78−2〜78−(n−1)は、図示を省略している。
また、79は受信用アンテナ、80は送信用アンテナ、81はRF(高周波)部、82はRF部81が出力するIF信号を中継器マスタ77及び中継器スレーブ78−1〜78−nに伝送するハイブリッド回路、83は中継器マスタ77及び中継器スレーブ78−1〜78−nが出力するIF信号をRF部81に伝送するハイブリッド回路である。
本発明の第6実施形態の中継器では、中継器マスタ77及び中継器スレーブ78−1〜78−nとして、図30に示す中継器マスタ73及び中継器スレーブ74−1〜74−nからアンテナ58及びRF部59を除外したものが使用され、中継器マスタ77の内部バス69と中継器スレーブ78−1〜78−nの内部バス69は、外部バス84で接続される。
中継器マスタ77は、CDMA基地局装置又は発呼側の携帯端末からの着呼側の携帯端末の呼び出し時に、中継器スレーブ78−1〜78−nの中の現在使用されていない中継器スレーブにアサイン命令及び使用する拡散コードの種類、チャネル識別コードの情報を通知し、また、無線リンク解放時には、ユーザチャネルをアサインした中継器スレーブに無線リンク解放のための解放命令を通知する機能を有するものである。
即ち、本発明の第6実施形態の中継器においては、中継器マスタ77が中継器スレーブ78−1〜78−n中の現在使用されていない中継器スレーブを固有の装置番号等で管理し、中継器マスタ77からのアサイン命令は、現在使用されていない中継器スレーブに対して行われる。
また、中継器スレーブ78−1〜78−nは、中継器マスタ77に着呼側の携帯端末のユーザの登録情報を通知し、また、着呼側の携帯端末からの呼切断要求があったことをCDMA基地局装置又は発呼側の携帯端末に通知する機能を有するものである。
本発明の第6実施形態の中継器においても、CDMA基地局装置と非トランシーバ型の携帯端末との間の通信は、例えば、図28に示す場合と同様にして行われ、トランシーバ型の携帯端末間の通信は、例えば、図29に示す場合と同様にして行われる。
なお、図31に示す矢印線SJは中継器マスタ77側の中継経路を示し、矢印線SKは中継器スレーブ78−1側の中継経路を示し、矢印線SLは中継器スレーブ78−n側の中継経路を示している。
本発明の第6実施形態の中継器によれば、中継器マスタ77及び中継器スレーブ78−1〜78−nは、発呼側の通信装置及び着呼側の通信装置が中継器マスタ77及び中継器スレーブ78−1〜78−nを意識しないで通信することを可能とする制御情報のやり取りを行う機能を有しているので、CDMAシステムにおいて、発呼側の通信装置と着呼側の通信装置との間の中継をトランスペアレントに行うことができ、通信シーケンスの簡略化を図ることができる。
なお、本発明の第1実施形態〜第3実施形態においては、本発明を衛星移動体通信システムに使用するダブルホップ中継器に適用した場合を例にして説明し、本発明の第4実施形態〜第6実施形態においては、本発明をCDMAシステムに使用する中継器に適用した場合を例にして説明したが、本発明は、その他の移動体通信システムにも適用することができるものである。