JP4632148B2 - 立体画面構成および調整方式とその装置 - Google Patents
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なお、この縦型立体画面LRIをカメラ側からの視点となる画面出力基点Pから見ると、画面の光軸はαの角度を持ち、従って、これをそれぞれ俯角,仰角とする上下画面LI,RIが両画面の画角差2αを持って配列されることになる。ここで、左画面を上側画面LIとしてやや見上げるために接眼反射鏡2Lをやや下向きに角度を持たせることにより仰角αLの光軸屈折を行うが、この時実際の画面である上側画面LIは出力側から見て反時計方向に(反射鏡の傾き角度の約2倍に相当する)回転してやや傾いた状態になってしまう。なおこの場合、反射鏡2Lを俯角となるようにやや上向きに傾けると、画面は逆に時計方向に回転することになる。他方の右画面Rについては、光軸を反対の方向から移動しかつ下側画面RIとしてやや見下ろして見るために、接眼反射鏡2Rを左画面とは反対にやや上向きに角度を持たせることにより俯角αRの光軸屈折を行う。この場合、先の左画面とは逆の方向から光軸移動がなされかつ接眼反射鏡も逆の上向きに傾斜されるため、画面の回転は逆の逆となって、右画面である下側画面RIは出力側から見るとちょうど左画面と同じ反時計方向に回転した状態となる。即ち、上下に並んだ左右立体画面が同じ方向に回転した状態となり、この回転の度合いを同じ値βに設定することにより上下画面は同じだけ回転するので、上下画面が一体となって両画面の画角差のαL+αR(2αに相当)を持った縦型立体画面LRIがそのままβだけ回転した状態で得られる事になる。
なお、左右画面はその中心点が縦型画面での各画面の高さだけ上下に離れて位置するので、その光軸の移動は正確には水平からはややずれる。このため、光軸の垂直方向屈折による画面の回転は厳密にはやや少なくなる。 また、接眼反射鏡2L,2Rはお互いに水平反対方向から集まる光軸を合せて正面の画面出力基点Pの方向に向けるために、一般的にはX字状のクロスした形状で設定される。このため、他画面の接眼反射鏡のクロスして前面に出た部分が画面の光路にかかってしまい画面端部に陰を作ってしまう場合がある。しかし本発明の回転を持つ縦型立体画面を導入した場合は、この全体画面の回転に伴い他画面接眼反射鏡の端辺も回転し、画面の光路から離れる方向になるので、この他画面接眼反射鏡による陰の発生を防ぐ効果が得られる。
これまでの説明は、入力画面の光軸移動が左右水平方向からなされ、これを上下方向に光軸屈折を行う場合について述べた。しかし、一般的には図2に示すように入力画面の光軸が斜め方向から移動する光学系も可能である。なお、図2における光軸の移動は厳密には対物反射鏡の中心から縦型上下画面となる各接眼反射鏡の中心に向かうことになるが、僅かのズレであるので説明の便宜上上下画面の中心点に向かうことで説明する。
この場合は、例えば接眼反射鏡で上下方向への光軸屈折を行うとき、その水平方向成分のみが画面回転に関連する。従って、この移動光軸の水平面からの傾斜をθとすると、画面回転への寄与の度合いは水平方向からの光軸移動の場合に比べその水平方向成分のcosθ分となる。即ち、傾斜がゼロで通常の水平方向からの場合で画面回転が最大となる状態から、傾斜が垂直に近づけば画面回転の度合いは少なくなり、直角の垂直になれば画面の回転はゼロとなる。従って、この傾斜角を適切に取ることにより光軸屈折に伴う画面回転の度合いをこの傾斜角に応じ小さく設定することが出来る。具体的には、例えば左画面Lでの光軸傾斜θLを大きく取れば垂直屈折角αLを大きくとっても画面の回転角は比較的少なく設定出来、逆に例えば右画面Rのように光軸傾斜θRが小さく水平に近づけば少なめの光軸屈折角αRでも画面の回転は大きくなる。これは左右各画面の光軸に各々独立して設定出来るので、各光軸移動の傾斜角を各々調整することにより、上下各画面の回転の度合いを同じに保ちつつ、これらの仰角俯角(この場合αL,αR)の和が画面画角差2αとなるように設定することが可能となる。なお、仰角俯角の大きさが異なる場合は厳密には両画面の中心光軸が上下方向に大きい方(図2の場合αLの方)に両者の差の半分にあたるΔαだけずれる。また、この入力光軸の斜め移動はここで示される上方向からの移動のみでなく、反対に下方向からの移動(傾斜角がマイナスθ)の場合でも水平方向成分は同じなので全く同じであり、さらに左右入力画面の水平光軸面での一致を無視しても良い場合なら一方が上からで他方が下からでも同じに取り扱うことが出来る。
なお、本発明の以上の記述では垂直方向の光軸屈折をすべて接眼反射鏡の傾斜で説明してきた。しかし、対物反射鏡の傾斜ないしは両者を合せた傾斜の調整によっても、反射鏡の位置の差に起因するある程度光軸の位置ズレがあるものの、同様に垂直光軸の屈折を行うことが出来て、本発明は同様に機能する。
また、本発明での反射鏡は通常の平面鏡に限らず凸面鏡や凹面鏡でも同様に有効である。
本実施例では、カメラの前に立体左右画面を取込み上下に並べる縦型立体画面として構成する立体アダプタを設置した場合を想定しており、この画像をカメラで入力することにより縦型立体画面が得られ、実際にカメラのモニター画面上で見る事が出来る。従って、この立体アダプタに入力される左右画面画はアダプタでの画角可変機能やカメラでのズーム機能などで画角調整されるが、最終的には縦型立体画面としてカメラのモニター画面に表示される。このモニター画面の出力はそのまま通常の立体視出力画面に対応するものなので、このモニター画面上で正確な上下画面の画角差が得られるような画角調整設定手法を実現する事が必要であり、本発明はこれを実現するための表示マークを用いた画角調整方式を提供するものである。
具体的に図4について説明すると、これは、モニター画面3の側面(この例は左側面だが、左右または両面でもよい)に縦型立体画面において上下画面間画角差を設定するための位置合せの表示マーク5を備えるものである。この表示マーク5はモニター画面上での上下画面の画角差に相当する距離dの長さを示す帯状の位置表示マーク5Cと、その上端と下端にそれぞれ矢印等により位置を示すための位置表示マーク5A,5Bを持つもので、このマーク5A,5Bは上下各画面での同じ水平位置を表示するものである。即ち、マーク上端位置5Aでの上側画面の高さと、マーク下端位置5Bでの下側画面の高さとは各画面上の同じ高さに対応している。従って、上下画面の画角調整は、5Aと5Bの位置に両画面の同じ画像部分を合致させることによりなされる。なお、位置表示マーク5Cは位置表示マーク5A,5Bの間隔dを規定するものなので、これが明確に表示されていれば必ずしもマークとして表示されていなくても良い。
この上下画面における高さの関係はその上下位置に関係なく画面全体で対応しているので、表示マーク5の位置は画面の上端から下端まで上下に任意の位置に平行移動させることが可能であり、従って、このマークをカーソル状に上下に動く可動式とすることにより、画面の中の注目する場所に合せて自由に移動させて設定することが出来る。さらには線の色や形を変えるなど見分けのつきやすい複数組の固定位置マークを用いることも出来る。
また、上下画面を隔てる中央位置には図4の表示マーク4で示されるような上下画面の境界を示す区分表示マークや、境界部分に画面の枠を形成する帯状の遮蔽部分を形成している場合にはこの帯の位置や幅を示す区分表示マークも同時に設定することが出来る。前記立体画角調整の表示マークを固定した場合には、これら境界を示す区分表示マークを合せた表示マークとすることも出来る。
これは、位置表示マークとしてモニター画面3上に上下画面間の画角差に相当する距離dを離した二本の水平線を設けるものである。この二本の水平線の位置表示マーク8A,8Bを、上下方向にカーソル動く表示マーク8として設定すれば、画面の中の注目する場所に合せてこれを自由に移動させ、これらの画像部分で画角を合せる画角調整をすることが出来る。もちろん、この表示マーク8を固定し、位置表示マーク8A,8Bもモニター画面上に固定水平線として設定することも出来る。
また、画面上の表示マークに垂直の線を設定すれば、上下の画面についてこの垂直線上で一致する画像は立体視画面上で奥行きが画面の位置に対応する画像となる。従って、立体画像入力装置が立体画面の奥行きを調整するために左右画面に水平光軸調整機能を備えている場合には、注目する入力画像部分がこの線に一致するようにこの水平光軸調整を行うことにより、入力対象画像の奥行き位置調整にこの垂直線を利用することが出来る。この垂直線は目指す画像部分に合せるためにカーソルとして水平に自由に移動させる構成にも出来るし、さらには単数または複数の垂直固定線または目印マーク点として構成することも出来る。特にこの固定線や目印マーク点の構成は、先の上下可変のカーソル方式と組み合わせるのに適している。
もちろん、このモニター画面上に表示マークを設定する場合も、先のモニター画面横に設定する場合と同様、モニター画面上に上下画面の区分表示マークまたは上下画面を分離する遮蔽帯に合せる位置マークも併せて設定することが可能である。
図5の実施例は、固定された上下画面の区分表示マークとなる水平線6と立体画面の奥行き調整のための位置表示マークである垂直線7とをモニター画面3上に備えた例を示す。また、図5の平行線8A,8B上に、同じ垂直線上に乗る固定目印マークのペア(この場合は3ペアとして8UA/8DA,8UB/8DB,8UC/8DC)を設定し、このペアとなる点で上下画像を合せることにより、この奥行き位置調整が出来る。
この上下画面間画角差の調整を行う方法として、立体アダプタの左右画面の入力窓となる位置の画面端部分において、例えば上端下端または中央などの一定の部分に画面の端部を示す位置標識マークを設定し、モニター画面上でこのマークが所定の位置に設定されるように画角調整を行う方式を実現した。位置標識マークの設定方法としては、まず、左右画面の入力窓部の両脇部分において両画面の同じ高さになる位置に位置標識マークを設定する方法がある。この場合、映像として取り込まれたこの位置標識マークは左右両画面の同じ位置を示す画像部分に相当するので、これらをこれまで説明されたモニター画面上に設定されている位置表示マークに合わせる事により画角調整をする事が出来る。
さらに別の位置標識マーク設定方として、左右画面の入力窓部での上下側で画面の上下端を示す位置標識マークを設定する方法がある。この場合も、モニター画面上で両画面の各々上端と上端または下端と下端を合せれば、上と同様に画角調整が出来る。しかしここで、縦型立体画面の上側に対応する画面の入力窓では窓部の下端に、また、同画面の下側に対応する画面の入力窓では窓部の上端に位置標識マークを設定すれば、取り込まれたこれらの位置標識マークは、モニター画面上に表示された縦型立体画面の上下画面を分ける中央境界線部分に両マークが一か所に集まる形で構成されるため、画角調整作業が著しく容易になる。これらの方法は、特に画角が固定された光学系の立体アダプタをズーム機能などの画角可変機能を持ったカメラで画角調整して使用する場合に適する方式であり、通常の使用時にもモニター上でこのマークが所定の位置にあることを常に確認しながら撮影することが出来る。もちろん、不要なときにはこのマークを取り外す機能とすることも出来る。
具体的には図6に示される通り、立体アダプタ左右画面の入力窓部9L,9Rに、モニターに表示される縦型立体画面である立体上下画面10LRIの上画面となる側(この場合は10LI)の入力画面(この場合は左画面入力窓9L)ではこれを下端部の端ないし中央(図6では左端)に、また下画面となる側(この場合は10RI)の入力窓(この場合は右画面入力窓9R)については反対の上端部の対応する部分にそれぞれ位置標識マークPLおよびPRを設定する。この結果、図6の上下画面10LRIで示される通り、モニターに表示される立体画面上の位置標識マーク像10PLI,10PRIは、正しく画角調整されると上下画面の中央境界上のほぼ一点(この場合は右端)に集まる。即ち、画角調整は位置標識マーク像10PLI,10PRIを一か所に集める事によりなされる。このように、位置マーク像が一箇所に集まり確認出来るようになるので、大変見易く調整もしやすくなる。これは従来の立体画面を左右に並べる立体画面構成方式にも同様に適用出来る。さらに、位置標識マークの形も、山形の三角や矢印にするなど画角位置にズレが生ずると目立ちやすくする形も選べる。
なお、これまで述べられた縦型立体画面の構成は、横長画面の画像をそのまま上下に分けて使えば横に広がるパノラマワイド画面になり、また横長画面を縦にして上下に分け立体画面を構成すれば、一般的に縮小されたほぼ同様な横長画面として構成できる。即ち、スチルカメラ,ビデオカメラ,携帯電話カメラなど画面比が従来一般的な4:3に近いものではこれを縦にして上下画面を構成すれば、いわゆるハーフサイズ画面としてほぼ同様な画面比の立体画面が構成でき、さらに16:9のワイド画面でも9:8の横長画面になる。デジタル化の進んだ現在、画面のサイズや回転等の作業は画像処理により容易に処理出来るので、ほぼ同じ画面比の立体画面が得られる本立体方式は、従来の二次元画像とのコンパチビリティーが非常に高いものであり、本発明の立体画面構成方式や画角調整方式はこれらの画面全てに対応するものである。
本発明はこれらの欠点を解消し、通常のスチル/ビデオ等のカメラに装着して立体画像の撮影ができる立体アダプタを、簡単な構造で小型安価に実現することを可能にするものである。これは、これまで得ることが困難であった実映像の立体画像を容易に撮影し利用することを可能にするもので、三次元映像を広く一般に普及させる事に大きく貢献するものである。
2L,2R 接眼反射鏡
3 モニター画面
4 区分表示マーク
5 表示マーク
5A,5B 位置表示マーク
5C 位置表示マーク
6 区分表示マーク
7 奥行き調整の位置表示マーク
8 表示マーク
8A,8B 位置表示マーク
8UA,8UB,8UC,8DA,8DB,8DC 固定目印マーク
9L,9R 画面入力窓部
10LRI 立体上下画面
10LI 立体上下画面の上画面
10RI 立体上下画面の下画面
10PL,10PR 立体画面上の位置標識マーク像
L 左画面
R 右画面
LI 縦型立体画面の左画面
RI 縦型立体画面の右画面
LRI 縦型立体画面
d 画角差に相当する距離
P 画面出力基点
PL,PR 位置標識マーク
αL 上側画面の仰角、垂直屈折角
αR 下側画面の仰角、垂直屈折角
α 縦型立体画面一画面の画面光軸の画角
β 縦型立体画面の回転角
θ,θL,θR 移動光軸の水平面からの傾斜
Δα 上下画面の中心軸のズレ
Claims (3)
- 左右立体画像の入力光束を中央に向けほぼ水平に集める左右の対物ミラーと、これらと対になり両光束を上下に並べた縦型立体画面として正面に出力する上下各画面接眼ミラーとを含む光学系を備え、 該各接眼ミラーにおける反射出力について、上下各画面での出力光軸を垂直方向へ屈折させる際に生ずる画面の横方向への回転をそれぞれ同じ角度に設定する事により、上下画面を一体として斜めに回転した形で、画面出力基点に対し仰角および俯角を持たせた縦型立体出力画面を得る立体画面構成装置。
- 左右立体画像の入力光束をこの光軸水平面から外れた斜め方向の位置に集める光軸移動を行う左右の対物ミラーと、これらと対になり両光束を上下に並べた一つの縦型立体画面出力として正面に出力する上下画面接眼ミラーとを含む光学系を備え、該各接眼ミラーにおける反射出力について、上下各画面での出力光軸を垂直方向へ屈折させる際に生ずる各画面の横方向への回転をそれぞれ同じ角度とするように仰角および俯角を前記斜め方向への光軸移動の傾斜角に対応し設定することにより、該上下画面を一体として斜めに回転した形で、画面出力基点に対し仰角および俯角を持たせた縦型立体出力画面を得る立体画面構成装置。
- 立体画像の左右二つの入力画面を集めて上下に並べた一つの縦型立体画面として取り込むために二つの対物接眼ペアミラーを含んで構成される立体画像構成光学系において、一方の接眼反射鏡に対し他方の接眼反射鏡を、画面出力基点から等距離としない位置さらには相互に交叉しない位置に、前後にずらして設定される事を特徴とする請求項1または請求項2の立体画像構成装置。
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