JP4631543B2 - 物質間の相互作用検出部と該検出部を用いるセンサーチップ、並びに電界を用いるバイオアッセイ方法 - Google Patents

物質間の相互作用検出部と該検出部を用いるセンサーチップ、並びに電界を用いるバイオアッセイ方法 Download PDF

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本発明は、物質間の相互作用を検出するときに有用な技術に関する。より詳しくは、電気力学的作用を有効に利用して、プローブ物質の固定化や相互作用の促進を達成するときに有用な技術に関する。
近年、マイクロアレイ技術によって所定のDNAが微細配列された、いわゆるDNAチップ又はDNAマイクロアレイ(以下、本願では「DNAチップ」と総称。)と呼ばれるバイオアッセイ用の集積基板が、遺伝子の変異解析、SNPs(一塩基多型)分析、遺伝子発現頻度解析等に利用されるようになり、創薬、臨床診断、薬理ジェノミクス、進化の研究、法医学その他の分野において広範囲に活用され始めている。
この「DNAチップ」は、ガラス基板やシリコン基板上に多種・多数のDNAオリゴ鎖やcDNA(complementary DNA)等のヌクレオチド鎖が集積されていることから、ハイブリダイゼーションの網羅的解析が可能となる点が特徴とされている。その他、核酸分子以外の生体分子間の相互作用を検出するセンサーチップ(例えば、プロテインチップ)や検出装置が種々開発されている。
ここで、所定の反応領域において、物質間の相互作用を進行させてこれを検出するアッセイ系において、電気泳動や誘電泳動などの電気的力学的効果を利用する技術が近年提案され始めている。以下、当該技術を例示する。
まず、特許文献1には、鋳型基板上に固定された核酸プローブ鋳型鎖を用い、該鋳型鎖に沿って核酸プローブ鎖を合成し、この合成されたプローブを、電界を利用して別のアレイ基板上に固定することにより、簡易かつ低コストで核酸鎖固定化アレイを製造する技術が開示されている。
特許文献2には、互いに着脱可能な本体部とフレームとから構成され、本体部の内側にはマトリックス状に多数のピン電極が突出され、このピン電極には異なる遺伝子配列から成るオリゴヌクレオチドを固定し、このピン電極と接触しないようにフレームの窪みに共通電極が配設し、共通電極とピン電極間に電圧を印加し、電流を検出して前記オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションにより得られた二本鎖DNAを検出する技術が開示されている。
特許文献3には、検出用ヌクレオチド鎖と該検出用ヌクレオチド鎖と相補性のある塩基配列を備える標的ヌクレオチド鎖との間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域が、前記検出用ヌクレオチド鎖を電界により伸長させながら、誘電泳動の作用によって走査電極の端部に固定できる構成とされたハイブリダイゼーション検出部が開示されている。
特開2001−330608号公報。 特開2001−242135号公報。 特開2004−135512号公報。
上掲した先行技術では、いずれも反応領域に対向配置された電極又は電極群を利用するものであるが、このような技術では、反応領域中に貯留される場合があるイオン溶液による電気化学的な反応を防止する必要性があり、また、電極と溶媒との間の電子授受を防いで電極の腐食を防止する必要もあるため、反応領域に臨む電極面を絶縁層(絶縁膜)で覆うことが望ましい。さらには、絶縁層は、電気分解による気泡の発生によって起こり得る電極の剥離を防止することもできる。
しかし、電極に絶縁層を設けると、該絶縁層の蓄電作用(キャパシタとしての作用)により、反応領域に実投入できる電界強度が低下してしまうので、この実電圧ロスを予め見込んで投入電圧を高くしておく必要がある。このため、エネルギー効率が悪化し、高電圧投入のための装置的工夫が必要になってしまうという技術的課題があった。また、反応領域において、例えば、物質の双極子に対する不均一電場の駆動力を利用する誘電泳動という電気力学的効果を用いる場合を想定すると、電極近傍に不均一電界を形成するために電極形状に電界が集中し易いエッジ部分を形成する方法が有効であるが、このような電極の微細加工は煩雑である。
そこで、本発明は、簡易な構成により反応領域に対する電界印加を効率的、効果的に行うことができる相互作用検出部、特に、反応領域に臨む電極の特定部位に電界を効果的に集中させることができる相互作用検出部などを提供することを主な目的とする。
本発明は、まず、物質間の相互作用の場となる反応領域と、該反応領域に対する電界印加に用いられる電極と、該電極の表面を覆う絶縁層と、を備え、前記絶縁層に、誘電率(比誘電率)の高い特定絶縁部を設けた相互作用検出部、並びに該相互作用検出部が設けられたセンサーチップを提供する。なお、本発明において「特定絶縁部」とは、周囲に比して電界強度を高めたり、電界を集中させたりする目的で形成した絶縁層の所定部位を意味する。
ここで、特定絶縁部は、周囲の絶縁層よりも誘電率の高い材料で形成した部位や周囲の絶縁層よりも薄膜に形成した部位が好適である。この特定絶縁部には、周囲の絶縁層領域よりも電界強度を高めたり、あるいは電界を集中させて不均一電場を局所的に形成したりできる。
そこで、本発明では、物質間の相互作用の場となる反応領域と、該反応領域に対する電界印加に用いられる電極と、該電極の表面を覆う絶縁層と、を備える検出部を用いて、前記絶縁層に設けた誘電率の高い特定絶縁部に電界を集中させて、プローブ物質の固定化促進又は前記相互作用の促進を行うバイオアッセイ方法を提供する。
この方法によれば、電界が集中し易い特定絶縁部には、電気力学的に、電荷や双極子を形成するプローブ物質を周辺から泳動させて引き寄せたり、当該プローブ物質が存在する場所にターゲット物質を泳動させて引き寄せて濃度を高めたりすることができる。あるいは、物質の高次構造や配向(トランスフォーメーション)を、電気力学的作用を利用して調整できる。
ここで、本発明に関連する主たる技術用語について説明する。
「相互作用」とは、物質間の非共有結合、共有結合、水素結合を含む化学的結合あるいは解離を広く意味し、例えば、核酸分子間のハイブリダイゼーション、タンパク質間の相互作用、抗原抗体反応などの物質間の化学的結合あるいは解離を広く含む。なお、「ハイブリダイゼーション」は、相補的な塩基配列構造を備える間の相補鎖(二本鎖)形成反応を意味する。
「核酸鎖」とは、プリンまたはピリミジン塩基と糖がグリコシド結合したヌクレオシドのリン酸エステルの重合体(ヌクレオチド鎖)を意味し、プローブDNAを含むオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチオドが重合したDNA(全長あるいはその断片)、逆転写により得られるcDNA(cプローブDNA)、RNA、ポリアミドヌクレオチド誘導体(PNA)等を広く含む。
「反応領域」は、ハイブリダイゼーションなどの相互作用の場を提供できる領域であり、一例を挙げるなら、液相やゲルなどを貯留できるウエル形状を有する反応場である。
「誘電泳動」は、電界が一様でない場において、分子が電界の強い方へ駆動する現象である。交流電圧をかけた場合も、かけた電圧の極性の反転につれて分極の極性も反転するので、直流の場合と同様に駆動効果が得られる(監修・林 輝、「マイクロマシンと材料技術(シーエムシー発行)」、P37〜P46・第5章・細胞およびDNAのマニピュレーション参照)。特に、高周波交流電界中においては、時間的平均電場の自乗の勾配に比例して双極子に力が働き、泳動する。
例えば、核酸分子は、液相中において電界の作用を受けると伸長又は移動することが知られている。その原理は、骨格をなすリン酸イオン(陰電荷)とその周囲にある水がイオン化した水素原子(陽電荷)とによってイオン曇を作っていると考えられ、これらの陰電荷及び陽電荷により生じる分極ベクトル(双極子)が、高周波高電圧の印加により全体として一方向を向き、その結果として伸長し、加えて、不均一電界が印加された場合、電気力線が集中する部位に向かって移動する(Seiichi Suzuki,Takeshi Yamanashi,Shin-ichi Tazawa,Osamu Kurosawa and Masao Washizu:“Quantitative analysis on electrostatic orientation of DNA in stationary AC electric field using fluorescence anisotropy”,IEEE Transaction on Industrial Applications,Vol.34,No.1,P75-83(1998))。
「センサーチップ」は、基板上の所定の反応領域において、物質間の相互作用を進行させ、該相互作用を検出するための基板を意味し、前記物質の種類に関係なく広く包含し、前記相互作用の検出原理は問わない。このセンサーチップには、DNAプローブなどの核酸鎖が固定化されて微細配列された状態とされたDNAチップ(DNAマイクロアレイ)やタンパク質間の相互作用や抗原抗体反応などの検出に適するたんぱくチップなどを少なくとも含む。
本発明では、反応領域における絶縁層において、周囲よりも誘電率の高い特定絶縁層を形成する簡易な基板構成によって、反応領域内に電界(電気力線)が特に集中する部位や領域を形成できるため、不均一電場の形成及びこの不均一電場を利用する誘電泳動などの電気力学的効果を簡単に得ることができる。
この効果によって、電界が特に集中し易い特定絶縁部に向けて、電荷や双極子を形成するプローブ物質を周辺から引き寄せて固定することができ、さらには、当該プローブ物質が存在する場所にターゲット物質を引き寄せて、ハイブリダイゼーションなどの相互作用効率を高めることができる。あるいは、物質の高次構造や配向を、電気力学的作用を利用して調整し、ハイブリダイゼーションなどの相互作用時の立体障害の影響を軽減することができる。ひいては、ハイブリダイゼーションなどの相互作用の精度向上も達成できる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる物や方法の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
図1は、本発明に係る相互作用検出部(以下、「検出部」と略称。)として好適な第一実施形態の基本構成を説明する断面図である。
まず、この図1に示された符号1aは、本発明に係る検出部の好適な第一実施形態を示している。この検出部1aは、支持基板11と、この上に積層された導電材料からなる第1電極層12と、この第1電極層12に対向配置された導電材料からなる第2電極層13と、を備えており、第1電極層12と第2電極層13に挟まれた場所(領域)には、溶液やゲルなどの媒体を貯留又は保持できるウエル形状(凹部形状)の反応領域Rが設けられている。
この反応領域2は、ハイブリダイゼーション、タンパク質間の相互作用、抗原抗体反応等の種々の物質間の相互作用の場を提供する領域又は空間として機能する。この反応領域2には、該反応領域2に臨むように対向配置されている電極層12−13を介して、電界が印加される。なお、図1中の符号Gは電源(電圧発生源)、符号Gは電界印加のオンオフを操作するスイッチである(他の図でも同様)。
ここで第1電極層12は、アルミニウムや金などの金属、あるいはITO(インジウム−スズ−オキサイド)等の透明な導体で形成されており、本実施形態の例では、ガラスや光透過性の合成樹脂材料で形成されている支持基板11の上に積層されている。
第1電極層12を光透過性のITOなどで形成すれば、支持基板11の下方から進行してくる所定波長の蛍光励起光Pを反応領域R内へ導くとともに、反応領域R内で励起されて発生した蛍光Fを支持基板11の下側へ導出させることができる(図1参照)。
なお、ここで言う蛍光励起光Pは、反応領域R内に存在する物質に標識された蛍光物質やハイブリダイゼーション(相互作用の一例)によって生成した相補鎖に挿入結合する蛍光インターカレーターを励起させるための光である。第2電極層13に反射層(図示せず。)をさらに形成することによって、蛍光Fを反射させて下方へ導出させることができるので、測定できる蛍光量を増加させることができる。
第1電極層12の反応領域Rに臨む電極表面12aは、SiO、SiC、SiN、SiOC、SiOF、TiO等から選択される材料によって形成された絶縁層14で覆われている。この絶縁層14は、反応領域R中に貯留される場合があるイオン溶液による電気化学的な反応を防止する役割や電極の腐食や剥離を防止する役割などを担っている。なお、特に図示しないが、第2電極層13の反応領域Rを臨む電極面にも絶縁層を設けた方が望ましい。
絶縁層14は、誘電率が周囲よりも高い絶縁部(「特定絶縁部」と称する)141とその周囲の絶縁部142が所定間隔で設けられている。特定絶縁部141の配置数、密度、形状、配置パターンは特に限定されず、また、一つの反応領域R内に複数形成するのも、単独で形成するのも、目的に応じて適宜決定すればよい(他の実施形態でも同様)。
一例を挙げると、図2に示すように、絶縁層14に上方視円形の特定絶縁部141aを所定間隔で整列配置する構成や、図3に示すように、絶縁層14に上方視四角形の特定絶縁部141bを所定間隔で整列配置する構成を採用するのも、目的に応じて自由である。
特定絶縁部141(141a、141b)の材料は、例えば、誘電率(ε)が40である二酸化チタン(TiO)のように誘電率の高い材料で形成し、他の絶縁層142部分は、例えば、誘電率(ε)が4である二酸化ケイ素(SiO)で形成することができる。
ここで、図1を再び参照すると、この図1には、符号Eによって示された電界が特定絶縁層141,141に集中して形成されている様子が模式的に示されている。また、特定絶縁層141,141には、オリゴDNAのようなプローブ物質Xが整列固定されている様子が示されている。
これらのプローブ物質Xは、反応領域R内へ導入された直後は、ブラウン運動等によって反応領域Rに遊離散在しているが、高周波交流電界などの電界Eが印加されると、特定絶縁層141,141に向けて泳動して寄せ集められ、その末端部位が該特定絶縁層141,141の表面に化学結合して固定される。
なお、プローブ物質Xの固定は、例えば、特定絶縁層141,141に覆われた電極層12の表面とプローブ物質の末端をカップリング反応等の反応によって行うことができる。例えば、ストレプトアビジンによって絶縁層が表面処理されておる場合には、ビオチン化されたプローブ物質Xの末端の固定に適している。あるいは、チオール(SH)基によって表面処理されている場合には、チオール基が末端に修飾されたプローブ物質をジスルフィド結合(−S−S−結合)で固定することに適している。
図4は、本発明に係る相互作用検出部の第二実施形態の基本構成を説明する断面図である。
この図4に示された第二実施形態と図1に示された第一実施形態では、絶縁層14の構成が異なっているのみであって、この第二実施形態である検出部1bの絶縁層14には、膜厚が周囲の絶縁層144よりも薄い特定絶縁部143が設けられていることが特徴である。
このような膜厚が薄い特定絶縁部143,143は、周囲の絶縁層144よりも誘電率が高くなるので、検出部1aの特定絶縁部141同様に電界Eが集中し、その表面近傍に不均一電場が形成され易い。このため、プローブ物質Xの固定箇所として適している。
反応領域R内へ、例えば核酸鎖のようなターゲット物質Yが導入された後、あるいは導入と同時に、電界Eが印加されると、既にプローブ物質Xが整列固定されている特定絶縁部143,143に向かって前記ターゲット物質Yが泳動し、該特定絶縁部143,143近傍でのターゲット物質Yの濃度が高まるので、この結果、相互作用効率が高まる(検出部1aの特定絶縁部141でも同様)。あるいは、プローブ物質Xやターゲット物質Yの高次構造が電界によって調整されて、相互作用時の立体障害が軽減される。例えば、ランダムコイル状に絡まっている核酸鎖は電界Eの作用によって伸張し、相補結合する塩基が露出し、ハイブリダイゼーションが促進される(検出部1aでも同様)。
続いて、図5は、本発明に係る検出部の第三実施形態を示す図である。
図5に示された第三実施形態である検出部1cは、計二対の対向電極を有している。詳しくは、上下の対向電極12−13と、反応領域Rの図面向かって左右に振り分けられた対向電極15−16と、備え、対向電極12−13とへの電界印加手段としての電源GとスイッチS、対向電極15−16への電界印加手段としての電源GとスイッチSがそれぞれ設けられている。
電極層12を覆う絶縁層14の一部には、特定絶縁層141(又は143)が形成されており、プローブ物質Xの固定箇所や相互作用促進の場として機能している(図5参照)。一方の電極層15と16をそれぞれ覆う絶縁層17,18には、それぞれの一部に誘電率の高い特定絶縁層171,181が形成されている。
ここで、対向電極12−13は、プローブ物質Xを特定絶縁層141(又は143)に覆われた電極部位へ固定したり、ターゲット物質Yを固定されたプローブ物質Xに向けて泳動させたりするために用いられる。
一方の対向電極15−16は、反応領域R内に存在して、相互作用検出時の弊害となり得るような物質、例えば、相互作用することなく反応領域R内に遊離しているターゲット物質などをプローブ物質Xの固定箇所周辺から除去するときに用いることができる。
電極層15と16をそれぞれ覆う絶縁層17,18には、誘電率の高い前記特定絶縁層171,181が形成されており、この特定絶縁層171,181部分に電界を集中させて不均一な電場を形成し、誘電泳動などの電気力学的作用を利用して物質を移動させることができる。
ここで、図1に示すような検出部1aと同様の基板構成に設計し、反応領域Rの垂直方向(上下方向)に5μmの間隔を持って電極層12−13を配置させた検出部を想定し、1MHz,20Vppの交流電圧を印加した場合に、絶縁層14の誘電率(ε)が1.0,4.0(例えば、SiOの絶縁層),10.0,40.0(例えば、TiOの絶縁層)のそれぞれの上部電界強度をシュミュレーション計算した結果を図6に示す。この図6に示すように、絶縁層の誘電率が高くなるほど、絶縁層上部での電界強度が高まることがわかる。
例えば、誘電率ε=40のTiOで形成された絶縁層(特定絶縁部)では、誘電率ε=4.0のSiOで形成された一般の絶縁層(絶縁部)の2倍弱の電界強度が得られている。誘電泳動時には電界の二乗の勾配に比例して対象物質に駆動力が発生するため、電界印加時には、核酸鎖などの物質は、TiOで形成された絶縁層(特定絶縁部)の近傍に集中的に移動することになる。
次に、図7は、膜厚が異なるSiOで形成した絶縁層で電極を覆ったときの電界強度を計算した結果を示す図(図面代用グラフ)である。絶縁層14の膜厚Wは、250nmと20nmの二種類を想定した。また、この計算シミュレーションでは、図8に示すように、特定絶縁部141の中心軸C上(D=0)と、この中心軸から水平方向に5μm離れた位置(D=5)において、絶縁層表面からの高さ(Z)方向に電界強度を計算した。
この計算の結果、絶縁層の膜厚が薄い20nmの絶縁層の方が電界強度が大きいことが明らかになり、さらに、このような効果は、絶縁層表面からの高さや水平方向の距離によってあまり差がないことがわかった。これにより、絶縁層の膜厚を薄くすることによって、周囲よりも電界強度の大きい電極表面を形成できることを検証できた。また、膜厚の薄い絶縁層(特定異絶縁部)の近傍では、水平、垂直の方向にあまり関係なく一定の電界強度を得ることができることも検証できた。
本発明は、電気力学的作用を利用して、物質間の相互作用を効率良く、短時間で、高精度に検出するための技術として利用できる。例えば、DNAチップやたんぱくチップなどに代表されるセンサーチップ技術や前記相互作用を検出するための技術として利用できる。
本発明に係る相互作用検出部の好適な第一実施形態の基本構成を説明するための断面図ある。 絶縁層(14)における特定絶縁部(141a)の配置構成の一例を示す平面図である。 絶縁層(14)における特定絶縁部(141a)の他の配置構成の一例を示す平面図である。 本発明に係る相互作用検出部の好適な第二実施形態の基本構成を説明するための断面図ある。 本発明に係る相互作用検出部の好適な第三実施形態の基本構成を説明するための断面図ある。 本発明の効果を検証したシュミュレーション計算(誘電率の異なる材料で絶縁層を形成した場合)の結果を示す図面代用グラフである 本発明の効果を検証したシュミュレーション計算(膜厚の異なる絶縁層の場合)の結果を示す図面代用グラフである。 図7のシュミュレーション計算の実施方法の補強説明図である。
符号の説明
1a,1b,1c 相互作用検出部(検出部)
12,13,15,16 電極層
14,17,18,131 絶縁層
141(141a,141b),143 特定絶縁部
E 電界
G 電源
R 反応領域
S スイッチ
X プローブ物質
Y ターゲット物質

Claims (6)

  1. 物質間の相互作用の場となる反応領域と、
    該反応領域に対する電界印加に用いられる1対の電極層と、
    該電極層対の少なくとも一方の電極層上に設けられ、絶縁部と該絶縁部よりも誘電率が高い材料で形成された特定絶縁部とからなる絶縁層と、を備え
    前記相互作用が核酸鎖間のハイブリダイゼーションである相互作用検出部。
  2. 一の電極層上に、前記特定絶縁部が所定間隔で複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の相互作用検出部。
  3. 一の電極層上に、絶縁部と特定絶縁部とがマトリクス状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の相互作用検出部。
  4. 前記特定絶縁部には、プローブ物質が固定されていること特徴とする請求項1記載の相互作用検出部。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の相互作用検出部が設けられたセンサーチップ。
  6. 物質間の相互作用である核酸鎖間のハイブリダイゼーションの場となる反応領域と、該反応領域に対する電界印加に用いられる1対の電極層と、該電極層対の少なくとも一方の電極層上に設けられ絶縁部と該絶縁部よりも誘電率が高い材料で形成された特定絶縁部とからなる絶縁層と、を備える検出部を用いて、
    前記特定絶縁部に電界を集中させることによって、プローブ物質の固定化促進又は前記ハイブリダイゼーションの促進を行うバイオアッセイ方法。
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