JP4626895B2 - 履物用防滑底 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種作業用或は釣り用等の履物に用いられる防滑底に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
林業等の作業現場や岩場における釣りにおいては、滑りやすさを防ぐためにゴム底の底面に多数のピンを埋設した地下たび方式等の履物が実用化されており、多くの提案もなされている。(例えば、実開平4−79501号公報参照。)
【0003】
このような履物に用いる底は、その底面にスパイクの役目を果たす多数のピンと体重を支える支持座が点在して設けられており、履用して底に荷重がかかるとピンが接地面に食い込んで防滑性を発揮し、併せて身体を支えるようになっている。
【0004】
しかしながら、従来の防滑底は底全面が平板状になっていて、足裏の形状、とりわけ踏まず部の形状に配慮がなされていないため、履用時に足に十分フィットせず、接地感覚が劣る恨みがあった。しかもこの底は、ピンを埋め込む関係上他の履物の場合より硬くなりがちで、一層履き心地を低下させる問題を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこのような防滑底にあっても、足にフィットして十分な接地感覚を備えていることは、作業の安全性を確保し、疲労を少なくする観点からも必要なことであり、本発明はこのような問題点を解決する履物用の防滑底を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その要旨とするところは、底の底面に多数のピン及び支持座が点在して設けられた防滑底であって、該底の踏まず部が上方湾曲状に形成されていると共に、該踏まず部に設けられるピンが垂直に保持されて埋設されており、同様に踏まず部に設けられる支持座がその中心軸を垂直とするように形成されてなることを特徴とする履物用防滑底にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例として示す図面に従って説明する。
図1ないし図3は、地下たび形式の履物に供する防滑底の例を示し、このうち図1が底面図、図2が図1のII−II線端面図、図3が図1のIII−III線端面図であり、図4ないし図6は各部の拡大断面図である。
【0008】
図において1が底本体で、ゴム又は合成樹脂により成形され、その底面1Aには後述するピン及び支持座が設けられている。又1Bは略平滑面に仕上げられた背面で、常法に従いこの面を介してアッパー(図示略)が接合されるようになっている。図中1Cは仮想線に囲まれた踏まず部、1Dは踏付け部,1Eは爪先股部である。
なお、この例では地下たび形式の履物に供する防滑底であって、底本体1の指股部に薄肉状の爪先指股部1Eが形成されているが、これを省略して分離した指股にしたり、或は逆に靴形式にして指股を形成しないようにすることも可能である。
【0009】
そして本発明は、このような底本体1の底面1Aに多数のピン2及び支持座3が点在して設けられている。このうちのピン2は、図4に示すように逆門型をなし水平部がへ字状に折曲したピン本体2Aが保持部2Bを介して埋設されている。このようなピン本体2Aを用いると、ピンの素抜けを防ぐことができて好都合であるが、1本構成のピン本体を単独に用いたり、2本以上を撚り合わせて用いて埋設するようにしても構わない。なおこのピン本体2Aは、ステンレス等金属材を所定の形状に成形したものが使用され、場合によっては底素材との接着性を高めるためのコーティング処理を表面に施したピンを用いることもできる。
【0010】
又図中3は、図5に示すように断面が台形状の支持座で、底本体1の成形時に一体的に形成されている。この支持座3は、防滑底を備えた履物を履用した際に、体重を支える機能を有しており、ピンのみで底を構成した場合のように、踏み付けたときの荷重によりピンが傾いたり、折れ曲がったりするのを防ぐ役割を果たしている。したがってこの支持座3の長さ1は、履用時にピンの先端が作用するように、上記ピン2を含む長さL(図4参照)に等しいかこれより若干短くなるように設けるとよい。なお図の例では、この支持座3の底面形状が三角形となっているが、これを円、長円、正方形、長方形等任意の形状にすることもできる。さらに支持座3の接地面3Aに、滑り止めのための細かい凹凸面を形成することもできる。又支持座3は、その中心軸が垂直とするように形成するものであれば、先端が平坦ばかりでなく、丸くなったり尖っていても構わない。
【0011】
そして本発明では、履用時の足のフィット感を高め接地感覚を向上させるため、底の踏まず部1Cを上方湾曲状に形成させたことを特徴としているが、上記のピン2及び支持座3を踏まず部1Cに漫然と設けたのでは、この部分の湾曲によりピンや支持座が傾いて所期の目的を達成しないことになるため、図6に示すように、この部分に設けるピン2は他の部分と同様に垂直に保持されるように埋設し、又支持座3もその中心軸を垂直とするように形成してなるものである。なお、踏まず部1Cに設けるピン本体2A及び支持座3の下端面は、この部分を上方に湾曲させる関係上図6のように接地レベルの面より若干内側となる。
【0012】
以上のように踏まず部1Cに設けられるピン2及び支持座3を形成すると、履用時に踏まず部1Cが足の土踏まずとフィットし接地感覚が向上し、しかも踏まず部1Cが器物等を踏み込んだ際にも、ピン2及び支持座3が他の部分と同様な防滑及び体重支持の役割を果たすことになり、しかも踏まず部1Cに設けたピン2及び支持座3が、踏まず部1Cの傾斜に拘わらず垂直に形成されているため、接地の際に他の部分と同様に接地面を保持して足を支えることができ、優れた防滑底を提供し得ることとなる。
【0013】
上記図示の例において、踏まず部1Cに設けるピン2及び支持座3を他の部分に設けると実質的に等しい長さにしているため、この部分のピン2及び支持座3の先端は他の部分のものによって決められる接地レベルより上方湾曲している分だけ内側に位置していることになる。底に使用する材料の柔軟性や作業目的に応じて必要があるときは、この先端位置を上記接地レベルの位置と略同一位置の長さの範囲まで適宜変更して設けることが可能である。これにより履用目的に適う接地感覚の調整を図ることも可能となる。このように踏まず部1Cに設けるピン2や支持座3の長さを接地レベルまで長くするときには、当該ピン2及び支持座3の太さ、形状を他のものより太くしたり、保持部2Bの長さを長くすることが強度の面から好ましい。
【0014】
なお図中4は、底の踏付け部1Dの幅方向に延びるように形成された溝で、このように溝4を設けると、踏付け部1Dが前後方向に屈曲し易くなり好都合である。この溝4は図のように2本ないし数本程度設けるとよいが、必ずしも溝ではなく、他の突起物より低く屈曲を助ける働きをする筋状に延びるものであっても構わない。
【0015】
【発明の効果】
本発明は以上詳述した如き構成からなるものであるから、ピンと支持座によって履用時の所定の防滑特性が得られると共に、踏まず部に設けられた上方湾曲部及びこの部分の形状に配慮して設けられたピン及び支持座の存在により、足にフィットして接地感覚の優れた、さらには履き心地がよく疲れにくい履物用の防滑底を提供しうる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す履物用防滑底の底面図である。
【図2】図1のII−II線端面図である。
【図3】図1のIII−III線端面図である。
【図4】本発明のピン部分の拡大断面図である。
【図5】本発明の支持座部分の拡大断面図である。
【図6】本発明の踏まず部の一部を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 底本体
1A 底面
1C 踏まず部
1D 踏付け部
2 ピン
2A ピン本体
3 支持座
3A 接地面
4 溝(筋)
Claims (4)
- 底の底面に多数のピン及び支持座が点在して設けられた防滑底であって、該底の踏まず部が上方湾曲状に形成されていると共に、該踏まず部に設けられるピンが垂直に保持されて埋設されており、同様に踏まず部に設けられる支持座がその中心軸を垂直とするように形成されてなることを特徴とする履物用防滑底。
- 踏まず部に設けられるピン及び支持座の長さを、他の部分のものと同一ないしは若干長くし、当該ピン及び支持座の先端が接地レベルの内側位置ないし略同一位置となるように構成したことを特徴とする請求項1記載の履物用防滑底。
- 踏まず部に設けられるピン及び支持座の長さを、他の部分のものより長くした場合において、当該ピン及び支持座の太さを他の部分のものより太く構成したことを特徴とする請求項2記載の履物用防滑底。
- 底の踏付け部に幅方向に延びる溝又は筋が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3記載の履物用防滑底。
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