JP4622903B2 - 添加剤供給装置 - Google Patents
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Description
例えば、三元触媒を用いて排気中の未燃燃料(HC),CO及びNOxとを反応させ、二酸化炭素(CO2)や無害の窒素ガス(N2)へ還元する方法や、排気中へ尿素〔CO(NH2)2〕を添加することで発生するアンモニア(NH3)により、触媒上でNOxをN2へと還元する方法が知られている。また、PMに関しては、フィルタを用いてPMを物理的に捕集するとともに、捕集されたPMとNO2とを触媒上で反応させてPMを焼却除去する方法が公知である。
このように、従来の技術では流路抵抗を大きくすることなく添加剤を排気ガス中へ十分に混合,拡散させることが困難であり、触媒上での酸化・還元反応を安定化させ難いという課題がある。
また、該噴射装置が、該膨出部の中心軸方向の中央に設けられることが好ましい。
また、該膨出部の内周面に形成された円錐状の窪みをさらに備え、該噴射装置が、該窪みの底部に配置されることが好ましい。
(1)全体構成
図1に示すエンジン8は、軽油(HC)を燃料とするディーゼルエンジンであり、このエンジン8には排気通路7及び吸気通路9が接続されている。エンジン8の各気筒の燃焼室へは、吸気通路9を介して吸気が導入され、燃焼後の排気ガス(以下、単に排気ともいう)は排気通路7を介して外部へ排出されるようになっている。
ターボチャージャー3は、排気通路7及び吸気通路9のそれぞれを跨ぐように介装されており、排気通路7を流通する排気ガスの排気圧を利用してタービンを回転させ、その回転力を利用してコンプレッサを駆動することにより、吸気通路9からの吸気を圧縮してエンジン8への過給を行う過給器である。ターボチャージャー3にはその上流側のエンジン8からの排気が導入されており、一方その下流側からはタービンを回転させた排気がタービンの回転に伴う軸流として排出されている。つまり、ターボチャージャー3の下流側の排気の流れは、排気通路7の延在方向へ直進するような流れではなく、図1中に符号Fで示すように、旋回方向への成分を持って螺旋状に乱れた軸流となっている。
なお、本実施形態のDOC4は、コーディエライト,セラミックス等からなるハニカム状の担体にアルミナ粉末が塗布(コーティング)されて、その上にプラチナ,ロジウム,パラジウム等の触媒貴金属の微粒子が担持された、公知の構造を備えている。
なお、NTC5表面に担持されている触媒貴金属は、HC濃度が比較的高くなると、NOx吸蔵材から放出されたNO2と排気中のCO及びHCをともに酸化・還元させて、CO2,N2及びH2Oを生成する三元触媒として機能するものである。つまり、NTC5は、排気中のHC濃度を制御することでNO2を吸蔵しあるいはNO2を排出して分解する、といったように、化学反応を能動的に制御可能な触媒である。
ターボチャージャー3とDOC4との間の排気通路7上には、膨出部1が介装されている。この膨出部1とは、その前後の排気通路7よりも拡径された内周面を有した部位である。図2,図3に示すように、膨出部1の前後の排気通路7の内周面7aは、排気の流通方向に対して所定径rの円形断面を備えており、一方、膨出部1の内周面1aは、内周面7aよりも大きい所定径Rの円形断面を備えている。
ここで、膨出部1における排気の流れについて説明する。上流側から膨出部1へ導入される排気は、ターボチャージャー3からの軸流として導入される。この排気の流れのうち、排気通路7の延在方向への速度成分に着目すると、図2中に符号Aで示すように、膨出部1において排気通路7の流路面積が増大することになるため、これに伴って排気の流れもその流通方向に垂直な方向へ広がることになる。
このような排気の渦状の旋回流Bは、図3に示すように、内周面1a近傍においてその周方向の全領域で生じることになる。一方、膨出部1の中央部付近では、旋回流Bに巻き込まれない、排気通路7の延在方向への流れが形成される。
本添加剤供給装置は上記のように構成されて、以下のように作用する。
(1)各触媒による作用
まず、エンジン8の通常運転時において、エンジン8から排出される排気が排気通路7を流通すると、ターボチャージャー3のタービンが回転駆動され、その駆動力によって吸気通路9側で過給がなされる。一方、排気通路7側のターボチャージャー3の下流ではタービンの回転によって、図1中に符号Fで示すように、排気が螺旋状の軸流として排出される。
このような作用により排気が浄化され、C−DPF6の下流側の排気通路7にはNOxやPMが取り除かれた清浄な排気が排出されることになる。
一方、NTC5において吸蔵されたNO3 -を排出させて分解したいときには、ノズル2から燃料が噴射される。このとき、図2に示すように、膨出部1の内部において渦状の乱れBが生じている場所へ向かって燃料が噴射されるため、その燃料は、渦状の乱れBの中で十分に混合,拡散された後に気化して、膨出部1よりも下流側へと運ばれることになる。また、図3に示すように、排気の主要通路である膨出部1の中央部付近へは燃料が直接噴霧されないため、渦状の乱れBの中を通過した燃料のみが膨出部1の下流側へ運ばれる。
気化した燃料を含む排気がNTC5周辺に達すると、触媒の周囲が還元雰囲気となり、NOx吸蔵材からNO3 -がNO2として放出される。したがって、NTC5表面に担持されている触媒貴金属により、NO2と排気中のCO及びHCがともに酸化・還元されて、CO2,N2及びH2Oが生成される。このように、NTC5の内部に吸蔵されていたNO3 -は排出されて分解される。
本添加剤供給装置によれば、以下のような効果を奏する。
(1)エンジン8の通常運転時
まず、DOC4及びNTC5の作用により、排気中のNOxを取り除くことができ、またC−DPF6の作用により、排気中のPMを取り除くことができる。なお、DOC4においては、燃料の持つ発熱量をDOC4,NTC5及びC−DPF6の昇温に直接利用できるため、良好な熱効率を得ることができ、燃費の悪化を抑えることができる。
一方、NTC5の周囲を還元雰囲気にする場合には、膨出部1において排気の渦状の旋回流Bへ向かって燃料を噴射することで、噴射された燃料を十分に攪拌することができる。つまり、排気中に燃料を混合,拡散させて、容易に燃料液滴を気化させることができる。したがって、燃料の触媒表面への付着を防止することができる。また、排気中の燃料濃度を均一にすることができ、DOC4及びNTC5における触媒の酸化・還元反応を均質化,安定化させることが可能となる。
なお、膨出部1の形状に着目すれば、その内周面1aは前後の排気通路7よりも拡径形成されているため、ほとんど排気流の流路抵抗とならないという利点もある。
また、本添加剤供給装置では、ノズル2が膨出部1に取り付けられているため、加工が容易でありコスト面で有利である。すなわち、排気通路7上にノズル2を設ける場合には、通常何らかの取り付け台座の加工が必要となる。これに対し、本装置では、このようなノズル2の取り付けのための台座を利用して膨出部1を形成することができるため、従来の排気通路7の生産ラインに対しての適用が極めて容易であり、新たな部品を追加する必要もなく、製造過程におけるメリットが大きい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば上述の実施形態では、NTC5に吸蔵されたNOxを放出させるべく、燃料を添加剤として排気中へ噴射するようになっているが、本発明の適用対象はこれに限定されない。例えば、添加剤として尿素を噴射することで触媒上でNOxをN2へと還元する排気浄化装置の場合であっても、添加された尿素を迅速に排気中へ混合,拡散させることができ、触媒における反応を安定化させることが可能である。
また、上述の実施形態では、膨出部1が円筒状の内周面1aを有した形状となっているが、これは排気通路7を流通する排気の流れに乱れを生じさせるための形状の一例であって、形状のバリエーションは多様に考えられる。膨出部1の形状は、好ましくは、渦状の旋回流が形成されるような形状であり、例えば多角柱状であってもよいし、紡錘形状であってもよい。
なお、上述の実施形態では、膨出部1がターボチャージャー3とDOC4との間の排気通路7上に介装されているが、例えばこの排気通路7上に、部分的に屈曲された屈曲部(エルボ部)が設けられていれば、その屈曲部に膨出部1を設けることも考えられる。すなわち、屈曲部の周囲では比較的部品や装置を配置するためのスペースが取りやすいため、このような位置に膨出部1を設けることで、容易にノズル2を取り付けることができるようになり、製造コストを抑えることができる。
1a 膨出部の内周面
2 ノズル(噴射装置)
3 ターボチャージャー(過給器)
4 DOC(酸化触媒)
5 NTC(NOxトラップ触媒)
6 C−DPF(触媒付きフィルタ)
7 排気通路
7a 排気通路の内周面
8 エンジン
9 吸気通路
A 排気通路の延在方向への排気ガスの速度成分
B 排気ガスの旋回流の流通方向
C 添加剤の噴射方向
F 排気ガスの螺旋状の軸流の流通方向
Claims (4)
- エンジンの排気通路に設けられ、排気中の有害成分を浄化する排気浄化装置へ添加剤を供給するための添加剤供給装置であって、
該排気浄化装置の上流側の該排気通路に介装され、前後の該排気通路よりも拡径形成された膨出部と、
該膨出部の内周面及び該排気通路の内周面を接続し、該排気通路を流れる排気が衝突する段差部と、
該膨出部に設けられ、該添加剤を該段差部に衝突した該排気中へ噴射する噴射装置とを備え、
該噴射装置が、該膨出部の内周面に沿って周方向へ該添加剤を噴射するように配向されている
ことを特徴とする、添加剤供給装置。 - 該膨出部が、該排気通路上に介装された過給器の下流側に形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載の添加剤供給装置。 - 該噴射装置が、該膨出部の中心軸方向の中央に設けられる
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の添加剤供給装置。 - 該膨出部の内周面に形成された円錐状の窪みをさらに備え、
該噴射装置が、該窪みの底部に配置される
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の添加剤供給装置。
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