JP4620695B2 - スケーラブル動画像符号化方法,装置,そのプログラムおよびその記録媒体 - Google Patents

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Description

本発明は,スケーラブル動画像符号化方法に関し,特に人間の視覚特性を利用した符号量の削減方法をスケーラブル符号化において適用する方法に関するものである。
従来より,動画像の符号化において,人間の視覚特性を利用することによって符号化効率を向上させる研究がなされている。この研究では,人間の視覚が持つ時間マスキング効果や空間マスキング効果を考慮して,符号化のプロセスにおいて,劣化が目立ちにくい部分の情報量を落とす試みがなされている。
その代表的な例として,符号化処理への入力画像に対してプレフィルタを施すことで,視覚的に劣化が分かりにくい部分の情報を落とした画像をあらかじめ作成し,それを符号化処理への入力画像として符号化する手法が研究されている。
非特許文献1に記載された動画像符号化方式では,入力動画像信号のフレームtとフレームt−1で同じ空間位置にあるブロックの平均画素値の差分より動き量を推定し,推定した動き量の値に応じて2次元空間フィルタを施すことにより,視覚的な劣化を最小限に抑えながら情報を削除している。
また,現在,H.264/AVCのスケーラブル拡張方式,Joint Scalable Video Coding(JSVC) の標準化が,ISOとITU−Tの合同団体であるJVTにおいて取り組まれている。JSVCでは,空間スケーラビリティをサポートするために,以下に示すレイヤ構造をとる。まず,サポートしたい解像度の画像を原画像からの縮小処理によりあらかじめ作成する。次に,1つの解像度を1つのレイヤとみなし,各レイヤに対して,H.264/AVC符号化処理を適用する。最後に,得られた各レイヤの符号化ストリームを統合する。ここで,最も解像度の低い画像を処理するレイヤを基本レイヤ,それより上のレイヤを拡張レイヤと呼ぶ。
非特許文献2に示したJSVC符号化参照ソフトウェアのJSVMでは,下位レイヤから,順次,符号化される。また,その時,レイヤ間の冗長性を除去するためにレイヤ間予測を行う。具体的には,レイヤ間予測として,動きベクトル情報などを導出済みの下位レイヤのものから予測する幾何的情報予測と,下位レイヤにおいて符号化され復号された信号をアップサンプルすることによって画素値を予測するテクスチャ予測を行う。
三反崎暁経,小野尚紀,上倉一人,八島由幸,「フレーム内及びフレーム間における画質変動を考慮した適応型プレフィルタの検討」,信学技法,CS2006-5,IE2006-118,Dec.2006. Joint Scalable Video Model JSVM-5.0 ,ISO/IEC JTC1/SC29/WG11,JVT-R202,2006.
前述したようなプレフィルタによる人間の視覚特性を利用した符号化効率向上のアプローチは,JSVCのようなレイヤ構造により実現されるスケーラブル符号化においても適用可能であり,同様の効果が見込まれる。しかしながら,前述した非特許文献1のような動き量に応じた空間フィルタは,レイヤ間予測の予測誤差の削減にはつながらず,レイヤ間の冗長性は除去されない。
したがって,スケーラブル符号化方式に対して当方式を適用したとしても,大きな符号化効率の向上が望めない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって,基本レイヤと1つ以上の拡張レイヤを含むレイヤ構造を成すスケーラブル符号化処理において,拡張レイヤへの入力画像中の視覚的劣化が目立ちにくい領域における画素を,従属する1つ下位のレイヤにおいて既に符号化され復号された信号をアップサンプルした画素に置き換え,置き換え後の画像信号を符号化処理に入力することによって符号化を行うスケーラブル符号化器の設計法を確立することを目的とする。
本発明は,上記課題を解決するため,ブロック毎に算出する原信号とアップサンプルされた復号信号との視覚的歪み量の大小に応じて,符号化入力信号を切り替えることにより,拡張レイヤにおけるレイヤ間予測の予測残差を削減する。
すなわち,本発明は,原画像信号を最上位拡張レイヤである第nレイヤ(ただし,n≧1)の符号化への入力画像信号とし,第mレイヤ(ただし,1≦m≦n)への入力画像信号に縮小変換を施した画像信号を第m−1レイヤの符号化への入力画像信号とし,基本レイヤである第0レイヤから順番に前記最上位拡張レイヤである第nレイヤまで,各レイヤに対する入力画像信号を符号化するスケーラブル動画像符号化において,第mレイヤにおける入力画像信号を矩形のブロックに分割し,分割された各ブロック毎に,第mレイヤのブロックの入力画像信号と,第m−1レイヤの符号化済み画像信号を復号した復号画像信号をアップサンプルした,前記第mレイヤのブロックと同位置のブロックの画像信号との視覚的歪み量を計算し,前記各ブロック毎に,算出された視覚的歪み量が所定の閾値未満かどうかの判定を行い,閾値未満の場合には,前記第mレイヤにおける当該ブロックの入力画像信号を,アップサンプル後の前記第m−1レイヤの同位置のブロックの画像信号に置き換え,すべてのブロックに対して前記の置き換え判定処理を行って最終的に出力される画像信号を前記第mレイヤの符号化への最終的な入力画像信号として符号化を行うことを特徴とする。
また,本発明は,拡張レイヤの符号化対象となる入力画像信号に対する上記プレフィルタの処理を,指定された特定のフレームについてのみ適用することを特徴とする。
本発明により,レイヤ構造により実現されるスケーラブル符号化において,拡張レイヤにおけるレイヤ間予測の予測残差が削減され,主観画質を劣化させることなく符号量を削減することができる。
以下,本発明の原理および実施形態の処理の詳細を説明する。本発明では,以下の手順により,当該拡張レイヤに入力する画像信号を作成し,スケーラブル符号化を行う。このスケーラブル符号化方式の一例としては,非特許文献2に示したJSVMが適用可能である。ここで,以降の手順の説明にあたり,使用する記号を整理する。
スケーラブル符号化には,基本レイヤから始まり,第n拡張レイヤまでのレイヤを入力すると仮定する。当該拡張レイヤは第m拡張レイヤとする(1≦m≦n)。基本レイヤは,第0拡張レイヤに当たる。第m拡張レイヤに用意した原画像信号の時刻tのフレームにおける座標(x,y)の画素信号をfm,t (x,y)とする。第m拡張レイヤにおいて符号化に入力する時刻tのフレームにおける座標(x,y)の画素信号をf* m,t (x,y)とし,本発明ではこの信号を生成することが課題となる。
ここでは,第m拡張レイヤより下位レイヤ(m−1以下のレイヤ)の符号化は既に済んでいると仮定する。以降,処理手順を詳説する。
[従属下位レイヤにおける復号信号のアップサンプリング]
第m−1拡張レイヤにおいて出力された符号化ストリームを復号し,第m−1拡張レイヤにおける復号信号を生成する。次に,その復号信号をアップサンプリングする。
アップサンプリングに用いるフィルタは,レイヤ間予測におけるテクスチャ予測に用いるフィルタと同じものを使用する。例えば,JSVMに本処理を実装する場合には,H.264/AVCにおいて,例えば半画素というような小数画素の生成に使用されるフィルタを用いる。
当アップサンプリングにより,当該拡張レイヤへの入力信号と同じ空間解像度に変換し,復号アップサンプル信号f′m-1,t (x,y)を生成する。
[視覚的歪みの算出]
第m拡張レイヤの時刻tのフレーム,および,前述の処理によって得られた復号アップサンプルフレームに対して,ブロック分割処理を行う。ブロック分割のサイズは外部より与えられる。
第m拡張レイヤの時刻tのフレームにおける当該ブロック内の信号と,復号アップサンプルフレームにおける当該ブロック内の信号との間の視覚的歪み量を計算する。視覚的歪み量とは,空間マスキング効果や時間マスキング効果などの視覚特性を考慮した,2つの映像の間の歪みを測る指標である。例としては,次の参考文献で利用されているモデルが挙げられる。
〔参考文献〕:坂東幸浩,高村誠之,上倉一人,八島由幸,「主観画質を考慮したH.264/AVCモード選択方法」,情報処理学会研究報告,オーディオビジュアル複合情報処理研究会,2006-AVM-54 ,Sep.2006.
[当該拡張レイヤ入力信号の生成と符号化]
前述の処理によって得られた当該ブロックにおける視覚的歪み量と,外部より与えられる視覚的歪み量の閾値とを比較する。閾値より小さければ,第m拡張レイヤの時刻tのフレームにおける当該ブロック内の信号を,復号アップサンプルフレームにおける当該ブロック内の信号に置き換える。
上記外部より与えられる視覚的歪み量の閾値は,プレフィルタ処理を利用しない場合の当該拡張レイヤの復号信号と同等の主観画質を保持できる限界値を適用するのが望ましい。視覚的歪みを導出するモデル式が主観画質を忠実に反映したものであれば,この限界値は,利用する量子化パラメータの値にのみ依存する変数となる。したがって,本閾値は,当該拡張レイヤの量子化パラメータおよび従属する下位レイヤの量子化パラメータを変数とする関数によってモデル化が可能である。そこで,あらかじめ複数の量子化パラメータセットを用意して限界値との特性を実験的にモデル化し,そのモデルに従って本閾値を決定する。
以上をまとめると,第m拡張レイヤにおいて符号化に入力する画像信号f* m,t (x,y)は,次のように表される。第m拡張レイヤの時刻tのフレームがフィルタ適用フレームであり,当ブロックにおいて算出される視覚的歪み量が閾値を下回るとき,
* m,t (x,y)=f′m-1,t (x,y) (1)
となる。上記以外の場合は,次式のようになる。
* m,t (x,y)=fm,t (x,y) (2)
以上のようにして生成された画像信号を,第m拡張レイヤに対する入力画像信号としてスケーラブル符号化処理に入力し,符号化を行う。
あらかじめ,以上のようなプレフィルタを適用するフレームと適用しないフレームとに分類しておくことも可能である。適用するか否かを外部から指定してもよく,また所定の判定基準に従って内部で判定してもよい。例としては,被参照フレームとならないフレームにのみ適用する,などという判定基準が考えられる。被参照フレームとならないフレームに限定して適用した場合には,フィルタの影響が他に伝播せずに済む。
また,たとえ被参照フレームであったとしても,動き予測が当りにくいフレームであれば,伝播の影響は小さくて済む。したがって,当該フレームが物体の大きな動きを含んだフレームであるか否か,フラッシュを含むフレームであるか否か,被参照フレームと当該フレームの間に時間的にシーンチェンジを含んでいるか否か,という判定基準も考えられる。判定基準は,次のものに限られるわけではないが,以下に例示する。
〔例1〕被参照フレームでない →適用
被参照フレームである →非適用
〔例2〕被参照フレームでない →適用
被参照フレームである,かつ,フレーム内に大きな動きを含む →適用
被参照フレームである,かつ,フレーム内に大きな動きを含まない →非適用
〔例3〕被参照フレームでない →適用
被参照フレームである,かつ,フラッシュを含む →適用
被参照フレームである,かつ,フラッシュを含まない →非適用
〔例4〕被参照フレームでない →適用
被参照フレームである,かつ,シーンチェンジを含む →適用
被参照フレームである,かつ,シーンチェンジを含まない →非適用
[処理の流れ]
図1は,本発明の実施形態に係る処理フローチャートである。以下,本発明の処理の実施形態について,図1を参照して説明する。
ステップS11:原画像信号を読み込み,当該拡張レイヤにおける符号化入力画像信号を生成し,出力する。本処理の詳細は図2に示す(後述)。
ステップS12:ステップS11の処理によって生成された符号化入力画像信号を読み込み,符号化を行い,符号化ストリームを出力する。
ステップS13:すべてのレイヤの符号化が完了しているか否かの判定処理を行い,真の場合には,符号化処理を終了して最終的な符号化ストリームを出力し,偽の場合には,ステップS14の処理を行う。
ステップS14:符号化対象レイヤを1つ上位に移し,ステップS11に戻って同様に処理を繰り返す。
図2は,図1に示すステップS11の詳細な処理フローチャートである。以下,ステップS11の処理の詳細を,図2を用いて説明する。
ステップS21:外部より与えられるフィルタ適用指定フレーム情報を読み込み,当該フレームがフィルタ適用指定フレームか否かの判定処理を行い,真の場合には,ステップS22の処理に移り,偽の場合には,ステップS25の処理に移る。
ステップS22:当該拡張レイヤに従属する1つ下位のレイヤにおける符号化ストリームを読み込み,復号処理を行い,復号画像信号を生成し,出力する。
ステップS23:ステップS22の処理によって得られた復号画像信号を読み込み,レイヤ間予測で用いるアップサンプルフィルタを用いて,当画像を当該拡張レイヤの原信号と同じ空間解像度に変換し,出力する。
ステップS24:ステップS23の処理によって得られた復号信号アップサンプル画像を読み込み,当該拡張レイヤにおける符号化入力フレーム画像を生成し,出力する。本処理の詳細は図3に示す(後述)。
ステップS25:当該拡張レイヤにおけるすべてのフレームの符号化が完了しているか否かの判定処理を行い,真の場合には,得られた当該拡張レイヤにおける符号化入力画像を出力し,偽の場合には,ステップS26の処理を行う。
ステップS26:次の処理対象フレームに移動し,ステップS21へ戻って同様に処理を繰り返す。
図3は,図2に示すステップS24の詳細な処理フローチャートである。以下,ステップS24の処理の詳細を,図3を用いて説明する。
ステップS31:入力された当該フレーム信号を,外部より与えられるブロックサイズ情報に従ってブロック分割する。
ステップS32:当該拡張レイヤにおける原フレーム画像における当該ブロック情報,および,従属下位レイヤにおける復号信号アップサンプル画像における当該ブロック情報を読み込み,両ブロックにおける視覚的歪み量を計算し,その値をレジスタに出力する。
ステップS33:レジスタより当該ブロックにおける視覚的歪み量を読み込み,外部より与えられる視覚的歪み量閾値よりその値が小さいか否かの判定処理を行い,真の場合には,ステップS34の処理に移り,偽の場合には,ステップS35の処理に移る。
ステップS34:第m拡張レイヤフレーム原信号における当該ブロックの画素値を,第m−1拡張レイヤ復号アップサンプル信号の当該ブロックにおける画素値に置き換え,その画素値を出力する。
ステップS35:当該フレームにおけるすべてのブロックの処理が完了しているか否かの判定処理を行い,真の場合には,得られた当該拡張レイヤにおける符号化入力フレーム画像を出力し,偽の場合には,ステップS36の処理に移る。
ステップS36:次の処理対象ブロックに移り,再度,ステップS32へ戻って同様に処理を繰り返す。
[処理装置]
図4は,本発明の実施形態に係る符号化装置の全体の構成図である。以下,本発明の実施形態による符号化装置10の例を,図4に従って説明する。
画像信号縮小処理部11:原画像信号を読み込み,各レイヤにおいて処理するべき解像度にそれぞれ縮小変換し,その信号を基本レイヤ信号記憶部12および各拡張レイヤ信号記憶部15−1,…,15−nにそれぞれ書き込む。
基本レイヤ符号化部13:基本レイヤ信号記憶部12より基本レイヤにおける原信号を読み込み,スケーラブル符号化における基本レイヤの符号化処理手順に従って符号化を行い,1つ上位のレイヤとのレイヤ間予測に使用する情報および基本レイヤの符号化ストリームを,基本レイヤ符号化情報記憶部14に出力する。
第1拡張レイヤ入力画像生成部16−1:第1拡張レイヤ信号記憶部15−1より第1拡張レイヤにおける原信号を,また,基本レイヤ符号化情報記憶部14よりレイヤ間予測に使用する情報および基本レイヤの符号化ストリームを読み込み,第1拡張レイヤにおける符号化入力画像を生成する。本処理の詳細は図5に示す(後述)。
第1拡張レイヤ符号化部17−1:第1拡張レイヤ入力画像生成部16−1より出力された第1拡張レイヤにおける符号化入力画像を読み込み,スケーラブル符号化における拡張レイヤの符号化処理手順に従って符号化を行い,1つ上位のレイヤとのレイヤ間予測に使用する情報および第1拡張レイヤの符号化ストリームを,第1拡張レイヤ符号化情報記憶部18−1に出力する。
第n拡張レイヤ入力画像生成部16−n:第n拡張レイヤ信号記憶部15−nより第n拡張レイヤにおける原信号を,また,第n−1拡張レイヤ符号化情報記憶部(図示省略)よりレイヤ間予測に使用する情報および第n−1拡張レイヤの符号化ストリームを読み込み,第n拡張レイヤにおける符号化入力画像を生成する。本処理の詳細は図5に示す(後述)。
第n拡張レイヤ符号化部17−n:第n拡張レイヤ入力画像生成部16−nより出力された第n拡張レイヤにおける符号化入力画像を読み込み,スケーラブル符号化における拡張レイヤの符号化処理手順に従って符号化を行い,第n拡張レイヤの符号化ストリームを,第n拡張レイヤ符号化情報記憶部18−nに出力する。
図5は,第m拡張レイヤ入力画像生成部の詳細な構成図である。図4に示す第1拡張レイヤ入力画像生成部16−1および第n拡張レイヤ入力画像生成部16−nの処理の詳細を,図5を用いて説明する。ここでは,第m拡張レイヤ(1≦m≦n)での処理の場合を示す。
フィルタ適用フレーム判定部21:第m拡張レイヤにおける当該フレームが,外部より設定されるフィルタ適用指定フレームに該当するか否かの判定処理を行い,真の場合には,第m−1拡張レイヤ復号処理部22の処理に移り,偽の場合には,処理対象フレーム更新部29の処理に移る。
第m−1拡張レイヤ復号処理部22:第m−1拡張レイヤの符号化ストリームを復号して,当該フレームにおける復号信号を生成し,その復号信号を第m−1拡張レイヤ復号信号記憶部23に書き込む。
アップサンプル処理部24:第m−1拡張レイヤ復号信号記憶部23より復号信号を読み込み,レイヤ間予測で用いられるアップサンプルフィルタを用いて,当復号信号を第m拡張レイヤの原信号と同じ空間解像度に変換し,アップサンプル信号記憶部25に書き込む。
符号化入力フレーム画像生成部26:第m拡張レイヤの原信号,および,アップサンプル信号記憶部25に格納されているアップサンプル信号を読み込み,第m拡張レイヤの符号化に入力する符号化入力フレーム画像を生成し,符号化入力フレーム画像記憶部28に書き込む。また,処理したフレームのフレーム番号を全フレーム処理完了判定部27に出力する。
全フレーム処理完了判定部27:符号化入力フレーム画像生成部26より出力されたフレーム番号を入力として,第m拡張レイヤにおけるすべてのフレームの処理が完了しているか否かの判定処理を行い,真の場合には,得られた当該拡張レイヤにおける符号化入力画像を符号化入力フレーム画像記憶部28より出力する制御信号を当記憶部に送り,偽の場合には,処理対象フレーム更新部29の処理に移る。
処理対象フレーム更新部29:次の処理対象フレームに移り,再度,フィルタ適用フレーム判定部21の処理を行う。
図6は,図5に示す符号化入力画像生成部26の詳細な構成図である。符号化入力フレーム画像生成部26の処理の詳細を,図6を用いて説明する。ここでは,第m拡張レイヤでの処理の場合を示す。
ブロック分割部31:第m拡張レイヤのフレーム原信号および第m−1拡張レイヤの復号アップサンプル信号を読み込み,外部より与えられるブロックサイズに従ってブロック分割を行い,そのブロック情報をブロック画像情報記憶部32に書き込む。
視覚的歪み量計算部33:第m拡張レイヤフレーム原信号および第m−1拡張レイヤ復号アップサンプル信号の当該ブロックにおける視覚的歪み量を計算し,レジスタに書き込む。
視覚的歪み量比較部34:レジスタより当該ブロックにおける視覚的歪み量を読み込み,外部より与えられる視覚的歪み量閾値よりその値が小さいか否かの判定処理を行い,真の場合には,原画像内ブロック画素値置換部35の処理に移り,偽の場合には,全ブロック処理完了判定部36の処理に移る。
原画像内ブロック画素値置換部35:第m拡張レイヤフレーム原信号における当該ブロックの画素値を,第m−1拡張レイヤ復号アップサンプル信号の当該ブロックにおける画素値に置き換え,その画素値をブロック画像情報記憶部32に書き込む。
全ブロック処理完了判定部36:当該フレームにおけるすべてのブロックの処理が完了しているか否かの判定処理を行い,真の場合には,得られた当該拡張レイヤにおける符号化入力フレーム画像をブロック画像情報記憶部32より出力する制御信号を当記憶部に送り,偽の場合には,処理対象ブロック更新部37の処理に移る。
処理対象ブロック更新部37:次の処理対象ブロックに移り,再度,視覚的歪み量計算部33の処理を行う。
以上のスケーラブル動画像符号化の処理は,コンピュータとソフトウェアプログラムとによっても実現することができ,そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供することも,ネットワークを通して提供することも可能である。
本発明の実施形態に係る処理フローチャートである。 ステップS11(図1)の詳細な処理フローチャートである。 ステップS24(図2)の詳細な処理フローチャートである。 本発明の実施形態に係る符号化装置の全体の構成図である。 第m拡張レイヤ入力画像生成部の詳細な構成図である。 符号化入力画像生成部の詳細な構成図である。
符号の説明
10 符号化装置
11 画像信号縮小処理部
12 基本レイヤ信号記憶部
13 基本レイヤ符号化部
14 基本レイヤ符号化情報記憶部
15−m 第m拡張レイヤ信号記憶部(m=1〜n)
16−m 第m拡張レイヤ入力画像生成部(m=1〜n)
17−m 第m拡張レイヤ符号化部(m=1〜n)
18−m 第m拡張レイヤ符号化情報記憶部(m=1〜n)
21 フィルタ適用フレーム判定部
22 第m−1拡張レイヤ復号処理部
23 第m−1拡張レイヤ復号信号記憶部
24 アップサンプル処理部
25 アップサンプル信号記憶部
26 符号化入力フレーム画像生成部
27 全フレーム処理完了判定部
28 符号化入力フレーム画像記憶部
29 処理対象フレーム更新部
31 ブロック分割部
32 ブロック画像情報記憶部
33 視覚的歪み量計算部
34 視覚的歪み量比較部
35 原画像内ブロック画素値置換部
36 全ブロック処理完了判定部
37 処理対象ブロック更新部

Claims (6)

  1. 画像信号を最上位拡張レイヤである第nレイヤ(ただし,n≧1)の符号化への入力画像信号とし,第mレイヤ(ただし,1≦m≦n)への入力画像信号に縮小変換を施した画像信号を第m−1レイヤの符号化への入力画像信号とし,基本レイヤである第0レイヤから順番に前記最上位拡張レイヤである第nレイヤまで,各レイヤに対する入力画像信号を符号化するスケーラブル動画像符号化方法において,
    第mレイヤにおける入力画像信号を矩形のブロックに分割するブロック分割処理過程と,
    分割された各ブロック毎に,第mレイヤのブロックの入力画像信号と,第m−1レイヤの符号化済み画像信号を復号した復号画像信号をアップサンプルした,前記第mレイヤのブロックと同位置のブロックの画像信号との視覚的歪み量を計算する視覚的歪み量算出処理過程と,
    前記各ブロック毎に,算出された視覚的歪み量が所定の閾値未満かどうかの判定を行い,閾値未満の場合には,前記第mレイヤにおける当該ブロックの入力画像信号を,アップサンプル後の前記第m−1レイヤの同位置のブロックの画像信号に置き換え,閾値以上の場合には置き換えないブロック画素値置換処理過程と,
    すべてのブロックに対して前記視覚的歪み量算出処理過程と前記ブロック画素値置換処理過程とを実行した後の第mレイヤの入力画像信号を,前記第mレイヤの符号化への最終的な入力画像信号として符号化を行う過程とを有する
    ことを特徴とするスケーラブル動画像符号化方法。
  2. 請求項1記載のスケーラブル動画像符号化方法において,
    外部から指定された特定のフレームまたは所定の判定基準によって定められた特定のフレームに対してのみ,そのフレームのすべてのブロックに対して前記視覚的歪み量算出処理過程と前記ブロック画素値置換処理過程とを実行し,他のフレームについては前記視覚的歪み量算出処理過程と前記ブロック画素値置換処理過程とを実行しない
    ことを特徴とするスケーラブル動画像符号化方法。
  3. 画像信号を最上位拡張レイヤである第nレイヤ(ただし,n≧1)の符号化への入力画像信号とし,第mレイヤ(ただし,1≦m≦n)への入力画像信号に縮小変換を施した画像信号を第m−1レイヤの符号化への入力画像信号とし,基本レイヤである第0レイヤから順番に前記最上位拡張レイヤである第nレイヤまで,各レイヤに対する入力画像信号を符号化するスケーラブル動画像符号化装置において,
    第mレイヤにおける入力画像信号を矩形のブロックに分割するブロック分割処理手段と,
    分割された各ブロック毎に,第mレイヤのブロックの入力画像信号と,第m−1レイヤの符号化済み画像信号を復号した復号画像信号をアップサンプルした,前記第mレイヤのブロックと同位置のブロックの画像信号との視覚的歪み量を計算する視覚的歪み量算出処理手段と,
    前記各ブロック毎に,算出された視覚的歪み量が所定の閾値未満かどうかの判定を行い,閾値未満の場合には,前記第mレイヤにおける当該ブロックの入力画像信号を,アップサンプル後の前記第m−1レイヤの同位置のブロックの画像信号に置き換え,閾値以上の場合には置き換えないブロック画素値置換処理手段と,
    すべてのブロックに対して前記視覚的歪み量算出処理手段と前記ブロック画素値置換処理手段とによる処理が実行された後の第mレイヤの入力画像信号を,前記第mレイヤの符号化への最終的な入力画像信号として符号化を行う符号化処理手段とを備える
    ことを特徴とするスケーラブル動画像符号化装置。
  4. 請求項3記載のスケーラブル動画像符号化装置において,
    外部から指定された特定のフレームまたは所定の判定基準によって定められた特定のフレームに対してのみ,そのフレームのすべてのブロックに対して前記視覚的歪み量算出処理手段と前記ブロック画素値置換処理手段とによる処理を実行し,他のフレームについては前記視覚的歪み量算出処理手段と前記ブロック画素値置換処理手段とによる処理を実行しない
    ことを特徴とするスケーラブル動画像符号化装置。
  5. 請求項1または請求項2記載のスケーラブル動画像符号化方法を,コンピュータに実行させるためのスケーラブル動画像符号化プログラム。
  6. 請求項1または請求項2記載のスケーラブル動画像符号化方法を,コンピュータに実行させるためのスケーラブル動画像符号化プログラムを記録した記録媒体。
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