本発明は、センサの性能を妨げる異物又は組織の沈着物などの、センサの活性を損なう傾向がある身体の生物学的プロセスからセンサ又はその一部が保護される、新規な埋込み可能なセンサを開示する。本発明のセンサは、患者に埋め込まれている間、非生物学的又は生物学的な障壁によって保護される。いくつかの実施形態では、センサ全体が保護される。他の実施形態では、センサの一部が保護される。特定の実施形態では、保護されるセンサの一部は、環境から情報を受け取り、又は測定のための信号を送るセンサの一部である。
特定の一実施形態では、本発明の埋込み可能なセンサは共振センサである。そのような実施形態では、共振センサは、非生物学的又は生物学的な障壁によって異物又は組織の沈着物から保護される、少なくとも1つの振動可能な部材を備えた少なくとも1つの共振センサユニットを含む。
本発明の方法は、少なくとも1つの振動可能な膜を含む受動センサユニット又は能動センサユニットである、少なくとも1つのセンサを含むセンサに適用することができる。特定の実施形態では、1つ又は複数のセンサユニットは、受動センサユニット、能動センサユニット、受動超音波センサユニット、能動超音波センサユニット、受動超音波圧力センサ、能動超音波圧力センサ、圧力センサユニット、温度センサユニット、測定環境内の化学種の濃度を感知するセンサ、及びそれらの組合せから選択される。追加の特定の実施形態では、本発明の方法は、共振センサユニット及び非共振センサユニットの組合せであるセンサに適用することができる。
本発明の保護されたセンサは、様々な異なる測定方法を使用することにより、物理的変数の値を決定するために使用されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。例えば、保護されたセンサの振動可能な部分(1つ又は複数)又は振動可能な膜(1つ又は複数)の共振周波数は、超音波の連続するビーム、又はパルス化されたビーム、若しくはチャープされたビームを使用して、本発明の保護されたセンサに呼び掛けることにより、及び、センサによる励起ビームのエネルギーの吸収又は当該分野では知られているようにセンサによって放射される若しくはそれから戻る超音波信号のいずれかを測定することにより、決定されてもよい。受動センサの共振周波数のそのような測定を実行する方法及びシステムは、Kaplanの米国特許第5,619,997号、同第5,989,190号、同第6,083,165号、及び同第6,331,163号、並びにGirmonskyらの同時係属中の米国特許出願第10/828,218号に詳細に開示されている。
本発明のセンサは、目、尿道、心室、心血管系、心血管系の部分、血管内修復後の動脈瘤嚢、脊椎、椎間板、脊髄、脊柱、頭蓋内区画、血管の腔内空間、動脈、静脈、大動脈、肺動脈血管、頚動脈血管、脳血管、及び冠状動脈、大腿動脈、腸管動脈、肝動脈、並びに大静脈が挙げられるがそれらに限定されない測定環境内に埋め込まれる。
いくつかの実施形態では、保護されたセンサは、センサアンカー、センサポジショナー、埋込み可能なグラフト、センサ固定装置、移植片、埋込み可能な装置、埋込み可能な装置の部分、ペースメーカー、ペースメーカーの部分、除細動器、除細動器の部分、埋込み可能な電極、挿入可能な電極、内視鏡装置、内視鏡装置の部分、自律型内視鏡装置、自律型内視鏡装置の部分、係留型内視鏡装置、係留型内視鏡装置の部分、埋込み可能なカテーテル、挿入可能なカテーテル、ステント、ステントの部分、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの部分、埋込み可能な治療物質放出装置、及び挿入可能な治療物質放出装置が挙げられるがそれらに限定されない支持装置に取り付けられる。
本発明の保護されたセンサを構築する方法も包含される。
(非生物学的な障壁)
いくつかの実施形態では、障壁は非生物学的である。そのような実施形態では、弾性部材及び/又は圧縮不能な媒体は、センサ又はその一部上の沈着に対する障壁を提供する。
本発明の1つの可能な実施形態によれば、センサの1つ又は複数の振動可能な部分は、圧縮不能な媒体によってセンサの振動可能な部分(1つ又は複数)に連結された保護弾性膜を使用することによって保護される。本出願の目的のため、圧縮不能な媒体という用語は、任意の適切な実質的に圧縮不能な液体又は任意の適切な実質的に圧縮不能なゲルを規定する。測定される物理的変数(圧力及び温度などであるが、それらに限定されない)は、最小限の減衰でセンサの振動可能な部分(1つ又は複数)に転送される一方、弾性膜はセンサの振動可能な部分上への外来物質の蓄積又は沈着を防ぐ。
詳細に後述され、図1〜4に示される特定の例は、受動超音波センサに適合されたものであるが、埋込み可能なセンサを保護する方法は、センサの共振部分の表面上への外来物質(1つ又は複数)若しくは異物(1つ又は複数)、組織、又は細胞の沈着又は蓄積によって有害な影響を受ける恐れがある共振部分を含む、任意のタイプの共振センサに同様に適用されてもよいことに留意されたい。したがって、本発明の埋込み可能なセンサを保護する方法は、一般的な方法であり、センサが音響又は超音波エネルギーを使用して呼び掛けられる限り、能動又は受動の音響共振センサ、能動又は受動の超音波センサ、能動又は受動の光呼掛けセンサ、容量共振センサ、内部エネルギー源を有する又は外部エネルギー源に有線若しくは無線で連結された能動共振センサなどであるが、それらに限定されない、様々なタイプのセンサに適用されてもよい。
したがって、当業者には理解されるように、本明細書に開示される埋込み可能なセンサを保護する方法は、測定環境又は媒体に暴露された1つ又は複数の共振器又は共振部分を有する、当該分野において既知の任意の適切なタイプの埋込み可能なセンサに適用されてもよい(保護された共振センサの概略図については図8を参照)。
次に、本発明の一実施形態による、複数の振動可能な膜を有する保護された受動超音波圧力センサの概略断面図である図1を参照する。
保護されたセンサ10は、センサユニット82を含んでもよい。センサユニット82は、第1の窪んだ基板層12、及び第1の窪んだ層12に封止するように取り付けられた第2の層14を含んでもよい。第1の窪んだ層12は、その中に形成された複数の陥凹部16を有する。3つの陥凹部16のみが図1の断面図に示されているが、保護されたセンサ10は、任意の実用的な数の陥凹部(例えば、1つの陥凹部、2つの陥凹部、3つの陥凹部、又は3つを超える陥凹部16など)を含むように設計されてもよい。例えば、保護されたセンサ10は、各列が3つの陥凹部を有する3列に配列された9つの陥凹部16を含んでもよい(図1には図示なし)。
第1の窪んだ基板層12及び第2の層14は、金属、シリコン、Pyrex(登録商標)、窒化ホウ素、ガラスなどであるがそれらに限定されない、任意の適切な材料から作製されてもよい。好ましくは(但し必須ではなく)、第1の基板層12は、シリコン、Pyrex(登録商標)、又は当該分野において既知の標準的なリソグラフィ方法を使用した機械加工(例えば、従来のマスキング、フォトレジストの適用、及びエッチング方法などを使用した、第1の基板層12への陥凹部16の形成など)に従順な別の適切な材料から作製される。しかし、他の機械加工又はミクロ機械加工、或いは当該分野において既知の処理方法もまた、本発明のセンサユニットを構築するために他の所望の材料を適切に選択して使用されてもよい。
第2の層14は、第1の層12に封止するように取り付けられるか、接着又は固着されて、複数の封止されたセンサユニットチャンバ17を形成する。上述したように、図1の断面図は3つの封止されたセンサユニットチャンバ17のみを示しているが、保護されたセンサ10内の封止されたセンサユニットチャンバは、3つを超えても超えなくてもよい。例えば、保護されたセンサ10は、Girmonskyらの米国特許出願第10/828,218号の図2及び3に詳細に開示されている多重膜センサに類似した配置で、各列が3つのチャンバを有する3列に配列された9つの封止されたセンサユニットチャンバ17を含んでもよい。陥凹部16の上にある、第2の層14の14A、14B、及び14Cと表示された部分は、保護されたセンサ10の振動可能な膜14A、14B、及び14Cを表す。
保護されたセンサ10は、また、センサユニット82に取り付けられたスペーサ18を含んでもよい。スペーサ18は、金属、シリコン、窒化ホウ素、ガラス、又はSU8(登録商標)エポキシベースフォトレジスト(米国、マサチューセッツ州、MicroChem社から市販されている)などの、ポリマーベースの材料などであるがそれらに限定されない、剛性材料から作製されてもよい。
スペーサ18は、センサユニット82の第2の層14に封止するように取り付けられた又は接着された別個の構成要素として示されているが、他の可能な実施形態では、スペーサ18は、第2の層12の一部として、又は第1の窪んだ層12の一部として形成されてもよい。保護されたセンサ10は、また、(適切な接着剤又は当該分野において既知の弾性部材20をスペーサ18に封止するように取り付けるための他の任意の適切な方法を使用することにより)スペーサ18に封止するように取り付けられて、封止されたチャンバ22を形成する、弾性部材20を含む。弾性部材20は、高いコンプライアンスを有する薄い膜から作製されてもよい。例えば、本発明の1つの実施された実施形態によれば、弾性部材20は、約9マイクロメートルの厚さを有するKapton(登録商標)膜であってもよい。
弾性部材20が作製される材料を選択する際、選択された材料の(超音波の伝搬に対する)音響インピーダンスが、媒体24の音響インピーダンスに、且つセンサがその中に配置される材料、媒体、又は組織の音響インピーダンスに確実に整合されるように、注意を払わなければならないことに留意されたい。この整合は、測定環境内の媒体と弾性部材20との境界面において、且つ弾性部材20と媒体24との境界面において、超音波の過剰な反射を防いでもよい。圧縮不能な媒体24及び弾性部材20を形成する材料(1つ又は複数)の選択に実際には制約があるため、すべての用途に対して最良のインピーダンス整合を得ることが必ずしも可能とは限らず、また妥協しなければならないことがあるが、そのようなインピーダンス整合は、センサ性能を改善するため、本発明の保護されたセンサの設計及び実施において慎重に考慮されなければならない。
本発明の追加の実施形態によれば、弾性部材20は、また、米国のRen Plastics社から市販されている6400ポリウレタンゴム又は6410ポリウレタンゴムなどであるが、それらに限定されない、適切なウレタンゴムから作製されてもよい。弾性部材20は、また、米国のGE社から市販されているRTV60から作製されてもよい。埋込み可能なセンサでは、RTV60が使用された場合、弾性部材20の音響インピーダンスを、いくつかの組織の音響インピーダンスに近い約1.5〜1.54Mrayl(Mrayl=106rayl)の値に調節するため、RTV60は、好ましくは1%(重量基準)のタングステン粉末(平均粒径約1ミクロンのもの)と混合される。しかし、この音響インピーダンス値の範囲は限定的ではなく、特に、特定の用途及び検出システムの感度に応じて、弾性部材20の音響インピーダンスの他の異なる値も受容可能であってもよい。本発明の他の実施形態によれば、哺乳動物又は人間に埋め込まれるように構成されたセンサのため、弾性部材20は、好ましくは、Emerson Cummings社(米国、カリフォルニア州、ガーディナ、182番通り、604W)から市販されている、Echothane CPC−41又はEchothane CPC−29で作製されてもよい。これらの材料は、水(水が媒体24として使用されるセンサにおいて)及び組織の音響インピーダンスに対して、受容可能な整合を呈する(超音波範囲内における)音響インピーダンス値を有する。
しかし、弾性部材20は、当該分野において既知の、任意の他の適切な非常に弾性な材料から作製されるか、又はそれを含んでもよく、また、特に、センサの特定の設計、所望のセンサ性能、測定の間センサがその中に配置される媒体、センサがその中で操作されることを必要とする圧力及び温度の範囲、並びに他の及び構築のパラメータ及び考慮点によって、弾性部材20の厚さ及び/又は寸法及び/又は組成は変わってもよいことに留意されたい。
封止されたチャンバ22は、圧縮不能な媒体24で充填されてもよい。圧縮不能な媒体24は、水、又は、適切なシリコンオイル調合物などであるがそれらに限定されない、当該分野において既知の任意の他の適切な実質的に圧縮不能な液体などであるが、それらに限定されない、実質的に圧縮不能な液体であってもよい。圧縮不能な媒体24は、また、ゼラチン、アガロース、天然ゲル、ポリマーベースの合成ゲル、架橋ポリマーベースのゲル、ヒドロゲル、リポゲル、疎水性ゲル、親水性ゲル、又は当該分野において既知の任意の他の適切なタイプのゲルなどであるが、それらに限定されない、適切な実質的に圧縮不能なゲルであってもよい。特定の用途では、保護されたセンサは、生体に埋め込まれる必要があるセンサ、又はバイオリアクタなどの滅菌環境内に置かれるべきセンサの場合、殺菌される必要があることがある。そのような用途では、媒体24は、米国のDow Corning社から市販されている、Dow Corning 710(登録商標)シリコン流体などの、低蒸気圧の液体であってもよい(但しそれに限定されない)。他の用途では、媒体24は、米国の3M社から市販されている流体である、Fluorinert FC40流体及びFluorinert FC70流体の混合物(容積基準で約60:40)、又はそれらの流体を異なる比で有する他の適切な混合物、或いは同様の適切なFluorinert流体又はそれらの混合物などの液体であってもよい。
保護されたセンサを滅菌するのに熱を使用する場合、低蒸気圧の液体を媒体24として使用することにより、封止されたチャンバ22内における高圧、及びそれに続く弾性部材20の破断が発生するのが回避されるため、低粘度低蒸気圧の液体を使用することが、センサの滅菌を必要とするような用途及び他の用途タイプにおいて有利なことがある。同様の理由で、弾性部材20の破断を回避するため、低蒸気圧の液体又はゲルを使用することが、センサが高温環境内に置かれる用途において有利なことがある。
センサを低圧条件下で滅菌ガスに暴露することを必要とする、気相化学滅菌を使用してセンサが滅菌される用途では、弾性部材20の破断を防ぐため、封止されたチャンバ22内に低蒸気圧の媒体を使用することが好ましい場合もある。
測定された信号が、弾性部材20の振動に関連付けられた周波数によって影響を受けるのを回避するため、弾性部材20は、その共振周波数が、保護されたセンサ10の動作圧力範囲内で振動可能な膜(例えば、保護されたセンサ10の振動可能な膜14A、14B、及び14Cなど)が振動するその周波数範囲に比べて十分に低くなるように、設計され構築されてもよい。
弾性部材20の過剰な劣化又は侵食を回避するため、一般に、弾性部材20の組成は、測定環境内の媒体(ガス又は液体)に適切な化学的抵抗性をもつ材料を選択することにより、用途に適合されるべきである。体内にインビボで埋め込まれるように設計されたセンサでは、弾性部材20は、好ましくは生体適合性材料から作られる(又は、それで覆われるか、若しくはそれでコーティングされる)。上述したEchothane CPC−41又はEchothane CPC−29は、弾性部材20を埋め込むのに適切な、十分に弾性であって且つ生体適合性の材料であるが、ポリマーベースの材料、生体適合性ポリマー、ポリウレタン、エチルビニルアセテートベースのポリマー、Parylene(登録商標)ベースのポリマー、又は他の適切な弾性材料などであるがそれらに限定されない他の異なる材料も、弾性部材20を構築するのに使用されてもよいことに留意されたい。
さらに、測定環境(図示なし)内の媒体と弾性部材20との境界面からの、又は弾性部材20と媒体24との境界面からの呼掛け超音波ビームの反射が、それらの境界面からの呼掛けビームの過剰な反射及びセンサの振動可能な膜に到達する呼掛け超音波ビームのエネルギーの一部の付随する低減を回避するため、比較的小さくなるように、媒体24、及び弾性部材20が作製される材料を選択する際に注意が払われなければならない。これは、実際には、弾性膜20の音響インピーダンス及び圧縮不能な媒体24内における音響インピーダンスが、保護されたセンサ10が測定の間その中に配置される媒体の音響インピーダンスに十分に近くなるように、弾性部材20及び媒体24の材料を選択することによって達成されてもよい。
封止されたセンサユニットチャンバ17は、ガス又は複数のガスの混合物をその中に含んでもよい。封止されたセンサユニットチャンバ17が形成されるとき、封止されたセンサユニットチャンバ17内の圧力はP1の値に設定される。保護されたセンサ10を構築した後、保護されたセンサ10が測定環境又は媒体内に配置されるとき、保護されたセンサ10がその中に配置される測定環境又は媒体内の圧力値はP2(図1)によって表される。
媒体24は実質的に圧縮不能であり、弾性部材20は高いコンプライアンスを有するので、弾性部材20に作用する圧力P2は、弾性部材20によって、媒体24を介して振動可能な膜14A、14B、及び14Cに伝達される。したがって、特定の圧力値範囲内では、媒体24に接触している振動可能な膜14A、14B、及び14Cの表面は、実際には同じ圧力値P2を受ける。したがって、保護されたセンサ10の実際の動作圧力範囲内では、センサ10の振動可能な膜(図1の断面図に示されていない任意の振動可能な膜も含む)はすべて、媒体24に接触しているそれらの表面上において、保護されたセンサ10に作用する外圧P2を有効に受ける。
封止されたセンサユニットチャンバ17内部の圧力P1が測定環境内の外圧P2に等しい(P1=P2)場合、センサユニット82の振動可能な膜(例えば、振動可能な14A、14B、及び14Cなど)は、実質的に最小限の応力を受ける。
P1≠P2である状況では、センサユニット82の振動可能な膜(例えば、振動可能な14A、14B、及び14Cなど)は、圧力差によって押され、湾曲され、その結果応力を受けるようになる。測定媒体内の外圧P2とセンサユニット82の封止されたセンサユニットチャンバ17内の圧力P1との差の絶対値は、ΔP=|(P2−P1)|である。振動可能な膜内の応力はΔPによって決まる。
センサユニット82の振動可能な膜の共振周波数は、センサユニット82の振動可能な膜内の応力によって決まる。振動可能な膜が最小限の応力を受けているとき、共振周波数は最も低い。振動可能な膜内の応力が増加すると、振動可能な膜の共振周波数はそれに従って増加する。したがって、振動可能な膜の共振周波数fRはΔPの関数であるので、センサユニット82の振動可能な膜の共振周波数を決定するとき、fRからΔP(圧力差の絶対値)を決定することができる。内圧P1を適切に選択することによって、校正された受動超音波センサ(図1に示す保護されたセンサ10などであるが、それに限定されない)の測定された共振周波数から、P2の値を決定することができる。例えば、単純な例では、P1=0に(センサの製造中にセンサユニット82の封止されたセンサユニットチャンバ17内に真空を作り出すことにより)設定した場合、ΔP=P2となり、圧力P2を直接決定することができるようになる。
したがって、保護されたセンサ10は、使用前に予め校正されてもよく、それにより、受動センサの振動可能な膜(又は、センサのタイプによっては振動可能な部分)の測定された共振周波数fRから圧力P2を直接得るため、校正曲線又は参照テーブル(LUT)を使用することができるようになる。しかし、センサ10の封止されたセンサユニットチャンバ17が、ゼロではない内圧レベルを有する場合(これは、封止されたセンサユニットチャンバ17がその中にガス又は複数のガスを含み、したがって実質的にゼロではない内圧レベルを有する場合である)、圧力は、封止されたセンサユニットチャンバ17内に密閉されたガス(又は複数のガス)に対する温度の影響を考慮に入れるように、補正されなければならないことがあることに留意されたい。
受動超音波センサの共振周波数を測定する方法は、当該技術において既知であり、本発明の主題ではなく、したがって詳細には後述されない。簡潔には、励起超音波のビームはセンサに向けられてもよく、センサの共振周波数は、センサから返る超音波信号から(或いは、センサによって励起ビームから吸収されるエネルギーの量を決定することにより)決定されてもよい。呼掛け超音波ビームは、連続的であるか、パルス化されるか、又はチャープされてもよい。そのような方法は、特に、Kaplanの米国特許第5,619,997号、同第5,989,190号、及び同第6,083,165号に開示されている。
ドップラー効果の使用によって受動超音波センサの共振周波数を決定する別の方法が、Girmonskyらの同時係属中の米国特許出願第10/828,218号に開示されている。
図1の概略断面図は、P1>P2である状況を表すことに留意されたい。この圧力差のため、振動可能な膜14A、14B、及び14Cは、弾性部材20の方向に出張った湾曲した形状を有するものとして示される(振動可能な膜14A、14B、及び14Cの湾曲の程度は、明瞭に図示するため、すべての図面において誇張されていることに留意されたい)。P1=P2である状況(図示なし)では、センサユニット82の振動可能な膜は、特にセンサの構造及び実施に応じて、平坦(平面)であってもなくてもよい。例えば、センサがコーティング材料の層(図示なし)によってコーティングされている場合、振動可能な膜14A、14B、及び14Cは、P1=P2の場合であっても湾曲してもよい。さらに、振動可能な膜14A、14B、及び14Cに製造時に予め応力が掛けられているセンサでは、振動可能な膜14A、14B、及び14Cは、P1=P2の場合であっても湾曲してもよい。P1<P2である状況(図示なし)では、センサユニット82の振動可能な膜は、封止されたセンサユニットチャンバ17のキャビティに面する振動可能な膜の側面が出張るように湾曲してもよい。
本発明の保護されたセンサの動作可能性は、以下のように実験によって試験された。実験は、Girmonskyらの同時係属中の米国特許出願第10/828,218号の図2及び3に示される、多重膜の受動超音波圧力センサ20を使用して実行された。
(Girmonskyらの同時係属中の米国特許出願第10/828,218号の)センサの、9つのセンサの封止されたチャンバ29A、29B、29C、29D、29E、29F、29G、29H、及び29Iは空気で充填された。保護されていないセンサは、圧力チャンバ内の既知の圧力レベルそれぞれにおけるセンサの共振周波数を決定するため、制御圧力チャンバ内に置かれ、水で覆われ、また、上記に参照された同時係属中の米国特許出願第10/828,218号においてGirmonskyらによって開示されているドップラー法を使用して、750KHzの搬送周波数及び11個のセンサ励起周波数72KHz、74KHz、76KHz、78KHz、80KHz、82KHz、84KHz、86KHz、88KHz、90KHz、及び92KHzを有する超音波ビームによって様々な圧力レベルで呼び掛けられた。
次に、小さなステンレス鋼のリング様のワッシャーが、センサがワッシャーの狭い開口のほぼ中央にあるようにして、制御圧力チャンバ内のホルダー上に置かれた(ワッシャーの高さはセンサの高さよりも大きい)。約9ミクロンの厚さを有するポリエチレンの薄い弾性フィルムは、適切なフレーム内に保持され、ワッシャーの上面にしっかり取り付けられるまで、ワッシャー上に慎重に降ろされた。したがって、水で充填されたチャンバは、センサの振動可能な膜が弾性なポリエチレンフィルムに対向するようにして、ワッシャー及びその上の弾性なポリエチレンフィルムによって形成され、ワッシャー及び取り付けられたポリエチレンフィルムによって形成された空間は、水で完全に充填されて、保護されたセンサを形成した。
保護されていないセンサに対して実行されたのと同じ、一連の共振周波数対圧力の測定が、保護されたセンサを用いた同じ実験圧力レベルに対する共振周波数の測定を繰り返すことによって再び実行された。圧力レベルに対するセンサの共振周波数の依存が、(保護されていないセンサ及び保護されたセンサそれぞれを用いて実行された)測定の第1及び第2の組について比較されたとき、保護されていないセンサ及び保護されたセンサに対するデータセットの間に実質的な差はなかった。この実験は、試験されたセンサが、センサの振動可能な膜の共振周波数の外圧に対する依存に実質的に影響することなく、弾性部材によって保護され得ることを示唆する。
本発明の保護センサを実施する際、様々な構造及び設計の修正が成されてもよいことに留意されたい。例えば、図1の保護されたセンサ10では、スペーサ18及び弾性部材20はセンサユニット82に取り付けられるが、他の異なる構成が可能である。
次に、本発明の追加の実施形態による、ハウジングに密閉された、保護された受動超音波センサを示す概略断面図である図2を参照する。
保護されたセンサ30では、第1の窪んだ基板層12、第2の層14、複数の陥凹部16、封止されたセンサユニットチャンバ17、並びに振動可能な膜14A、14B、及び14Cは、センサ10に関して詳細に上述したようなものである。第1の基板層12及び第2の基板層14は、剛性のハウジング34内に配置されるか、又は取り付けられたセンサユニット82を形成するように、互いに取り付けられる。ハウジング34は、金属、金属合金、チタン、プラチナ、ステンレス鋼、NITINOL(登録商標)などであるがそれに限定されない形状記憶合金、シリコン、ガラス、水晶、セラミック材料、複合材料、金属又は非金属窒化物、窒化ホウ素、カーバイド、金属酸化物、非金属酸化物、ポリマーベースの材料、及びそれらの組合せなどであるが、それらに限定されない、剛性材料を含んでもよい。そのようなポリマーベースの材料として、(米国のDupont社から市販されている)Delrin(登録商標)を挙げることができるが、それに限定されない。
埋込み可能なセンサにおいて、ハウジング34は、好ましくは、チタン、プラチナなどの生体適合性材料(本明細書に開示される任意の生体適合性物質を含む)から作製されてもよく、或いは、Parylene(登録商標)などであるがそれに限定されない、生体適合性材料の層(図示なし)によって覆われてもよい。弾性部材20Aは、封止されたチャンバ32を形成するため、ハウジング34に封止するように取り付けられている。弾性部材20Aは、センサ10の弾性部材20に関して詳細に上述したようなものである。
封止されたチャンバ32は、保護されたセンサ10のチャンバ22に関して上述したように、実質的に圧縮不能な媒体24で完全に充填される。ハウジング34、弾性部材20A、及び媒体24の組合せは、保護されたセンサ30の振動可能な膜14A、14B、及び14Cに伝達される圧力を顕著に減衰させることなく、保護されたセンサ30の振動可能な部材(図2に示す振動可能な膜14A、14B、及び14Cを含むが、それらに限定されない)を、上述したように、異物、組織、又は細胞の沈着から保護する。
保護されたセンサ30の第1の窪んだ基板層12及び第2の層14は、ハウジング34に緊密に嵌合する(且つ、恐らくは、適切な接着剤によって、又は当該分野において既知の任意の他の適切な取付け方法によってそれに取り付けられる)が、封止されたハウジング内に取り付けられたセンサの他の構成も、当業者によって実施されてもよいことに留意されたい。例えば、センサユニット82(第1の窪んだ層12及び第2の層14を含む)の外寸及び/又は形状は、ハウジング34の内寸と正確に一致しなくてもよい。したがって、そのような実施形態(図示なし)では、センサのハウジングの断面積は、保護されていないセンサの断面積よりも大きくてもよい。さらに、本発明の保護されたセンサの別の実施形態によれば、1つを超える保護されていない受動センサが単一の保護ハウジング内に配置されてもよい。
次に、本発明の追加の実施形態による、単一の保護ハウジング内に配置された2つの異なる受動超音波センサユニットを含む、保護された超音波センサの概略断面図である図3を簡単に参照する。
図3の保護されたセンサ50は保護ハウジング54を含む。ハウジング54は、ハウジング部分54A及び弾性部材54Bを含む。ハウジング部分54Aは、図2のハウジング34に関して上述したように、金属、ガラス、シリコン、プラスチック、又はポリマーベースの材料などであるが、それらに限定されない、任意の適切な材料から作製されてもよい。弾性部材54Bは、Kapton(登録商標)、ポリウレタンから、又は、弾性ポリマー材料などであるがそれらに限定されない他の任意の他の適切な弾性材料から、或いは当該分野において既知の任意の他の適切な材料から作製された、非常に弾性薄膜であってもよい。
弾性部材54Bは、封止されたチャンバ52を形成するため、ハウジング部分54Aに封止するように取り付けられるか、それに接着されるか、適切にその上に蒸着されるか、又は別の方法でそれに封止するように接続されてもよい。保護されたセンサ50は、2つの受動超音波センサユニット55及び57をさらに含む。受動超音波センサユニット55及び57は、任意の適切な取付け方法又は当該分野において既知の取付け材料を使用して、ハウジング部分54Aに接着されるか、取り付けられるか、又は別の方法で接続されてもよい。
センサユニット55は、第1の窪んだ基板層62及び第2の層64を含む。第2の層64の部分64A及び64Bは、第1の窪んだ基板層62内に形成された陥凹部66A及び66Bの上に重なる層64の部分を含む、振動可能な膜である。2つのみの振動可能な膜部分64A及び64Bが図3の断面図に示されるが、(それぞれ図1及び2の)センサ10及び30に関して詳細に上述したように、センサユニット55は、1つの振動可能な膜を含んでもよく、又は1つを超える振動可能な膜を含んでもよい。したがって、センサユニット55は、任意の適切な数の振動可能な膜を含んでもよい。第2の層64は、封止されたセンサユニットチャンバ(図3の断面図には、その封止されたセンサユニットチャンバ67A及び67Bのみが示される)を形成するため、適切な圧力条件下で、第1の窪んだ基板層62に適切に封止するように取り付けられる。封止されたセンサユニットチャンバ67A及び67B内の圧力はP3である。
センサユニット57は、第1の窪んだ基板層72及び第2の層74を含む。第2の層74の部分74A及び74Bは、第1の窪んだ基板層72内に形成された陥凹部63A及び63Bの上に重なる層74の部分を含む、振動可能な膜である。2つのみの振動可能な膜部分74A及び74Bが図3の断面図に示されるが、(それぞれ図1及び2の)保護されたセンサ10及び30に関して詳細に上述したように、センサユニット57は、1つの振動可能な膜を含んでもよく、又は1つを超える振動可能な膜を含んでもよい。したがって、センサユニット57は、任意の適切な数の振動可能な膜を含んでもよい。第2の層74は、封止されたセンサユニットチャンバ(図3の断面図には、その封止されたセンサユニットチャンバ69A及び69Bのみが示される)を形成するため、適切な圧力条件下で、第1の窪んだ基板層72に適切に封止するように取り付けられる。封止されたセンサユニットチャンバ69A及び69B内の圧力はP4である。センサユニット55及び57は、P3=P4であるように、又はP3≠P4であるように製造されてもよい。
封止されたチャンバ52は、上述したような実質的に圧縮不能な媒体24で完全に充填される。保護されたセンサ50の外側の圧力P5は、最小限の減衰で、上述したように、弾性部材54B及び媒体24を介して、センサユニット55及び57の振動可能な膜に(例えば、センサユニット55の振動可能な膜64A及び64bに、且つセンサユニット57の振動可能な膜74A及び74Bになど)伝達される。
異なる内圧値を有する2つの(又は、任意に2つを超える)センサユニットを使用することは、温度補償された圧力測定を提供するため、又は、保護されたセンサ内に特定の圧力範囲に対してそれぞれ最適化された2つ以上の異なる圧力のセンサを含むことによって、拡張された測定範囲を提供することなどであるが、それらに限定されない、他の目的のために有用なことがある。さらに、保護されたセンサ内の振動可能な膜の全表面積を増加させることによって、保護されたセンサの信号強度を増加させるため、類似のセンサ内圧値を有する1つ又は複数のセンサユニットが、同じ保護されたセンサ内で使用されてもよい。
本発明の保護されたセンサは、保護されたセンサがセンサアンカー装置の部分として形成されてもよく、又はセンサアンカー装置内に形成されてもよく、若しくはそれに取り付けられてもよいように、実施され得ることに留意されたい。そのようなセンサアンカー装置は、センサアンカー(Kaplanの米国特許第6,331,163号に開示されている装置のいずれかなどであるが、それに限定されない)、センサポジショナー、埋込み可能なグラフト、埋込み可能な装置の任意の適切な部分、ペースメーカー、除細動器又はその部分、埋込み可能な電極又はその部分、挿入可能な電極又はその部分、埋込み可能なカテーテル又はその部分、挿入可能なカテーテル又はその部分、ステント、ステントの部分、ガイドワイヤ又はその部分、内視鏡装置又はその部分、自律型又は係留型の内視鏡装置若しくはその部分、埋込み可能なグラフト又は他の移植片タイプ、或いは、任意の有機体、動物、又は人間の患者の身体内に埋め込まれるかそれに挿入されてもよい任意の他の適切な装置であってもよいが、それらに限定されない。
本発明の保護されたセンサが取り付けられてもよいセンサアンカー装置(又は、そのように保護されたアンカー装置がその中に形成されるか、若しくはその部分として含まれてもよい)は、本発明の保護されたセンサの支持体又は担持用プラットフォームとして作用するという目的のみを有する装置に限定されないことが、当業者には理解されるであろう。正確には、アンカー装置は、保護されたセンサの構造又は機能(1つ又は複数)に関連してもしなくてもよい、任意の他の適切な構造及び/又は機能を有してもよく、また、保護されたセンサの支持体として機能する以外の無関係な目的にも使用されてもよい。例えば、保護されたセンサが、ペースメーカーの埋込み可能な電極に取り付けられるか、その中に形成されるか、又はそれに密閉される場合、電極は、保護されたセンサを担持するプラットフォーム又は部材として機能すると共に、当該分野において既知のように、刺激電極及び/又は感知電極として独立に機能してもよい。したがって、本発明の保護されたセンサを測定環境内に配置可能な任意の装置に取り付けること(又はそのような装置にそれを含めること)は、装置の機能に関連付けられてもよいが、必ずしも関連付けられる必要はない。
同様に、本発明の保護されたセンサの封止されたチャンバは、任意のそのような適切なセンサアンカー装置、センサ支持装置、センサ固定装置、埋込み可能なグラフト、他のタイプの移植片、又は埋込み可能な装置内に形成されてもよい。本発明の保護されたセンサの封止されたチャンバは、また、封止されたチャンバの部分として、任意のそのような適切なセンサアンカー装置、センサ支持装置、センサ固定装置、埋込み可能なグラフト、任意の他のタイプの移植片、埋込み可能な装置、又はステントの部分を含むように、又はその一部として構成されてもよい。
次に、本発明の追加の実施形態による、センサアンカー装置、センサポジショナー、埋込み可能なグラフト、又は埋込み可能な装置を使用して構築された、保護されたセンサの部分を示す概略断面図である図4を参照する。保護されたセンサ80は、センサユニット82、アンカー88(図4にはアンカー88の部分のみが示される)、及び弾性部材87を含む。アンカー88は、それを貫通する開口88Cを有する。開口88Cはセンサユニット82よりもわずかに小さい。弾性部材87は、アンカー88の第1の表面88Aに封止するように接着されるか、又は(当該分野において既知の任意の適切な取付け方法を使用して)別の方法で封止するように取り付けられ、センサユニット82は、アンカー88の第2の表面88Bに封止するように接着されるか、又は(当該分野において既知の任意の適切な取付け方法を使用して)別の方法で封止するように取り付けられる。
弾性部材87は、(それぞれ図1、2、及び3の)弾性部材20、20A、及び54Bに関して詳細に上述したように構築された、高いコンプライアンスを有する薄膜であってもよい。弾性部材87は、適切な接着剤によって、或いは任意の他の封止材料、又は当該分野において既知の若しくは上述した任意の他の適切な取付け方法によって、アンカー88の第1の表面88Aに封止するように取り付けられて封止されたチャンバ90を形成してもよい。封止されたチャンバ90は、上述したような実質的に圧縮不能な媒体24で完全に充填される。
センサユニット82は、(それぞれ図1及び2の)保護されたセンサ10及び30のセンサユニット82に関して詳細に上述したように構築され動作する、窪んだ基板層12及び第2の層14を含んでもよい。
次に、本発明の別の実施形態による、センサアンカー装置、埋込み可能なグラフト、又は埋込み可能な装置の中に構築された、複数の封止されたチャンバを有する、保護されたセンサを示す部分の概略断面図である図5を参照する。保護されたセンサ100は、(図4を参照して)詳細に上述したようなセンサユニット82、アンカー89(図5にはアンカー89の部分のみが示される)、及び弾性部材87を含む。アンカー89は、それを貫通する複数の開口95A、95B、及び95Cを有する。弾性部材87は、アンカー89の第1の表面89Aに封止するように接着されるか、又は(当該分野において既知の任意の適切な取付け方法を使用して)別の方法で封止するように取り付けられ、センサユニット82は、アンカー89の第2の表面89Bに封止するように接着されるか、又は(当該分野において既知の任意の適切な取付け方法を使用して)別の方法で封止するように取り付けられる。
弾性部材87は、(それぞれ図1、2、及び3の)弾性部材20、20A、及び54Bに関して詳細に上述したように構築された、高いコンプライアンスを有する薄膜であってもよい。弾性部材87は、適切な接着剤又はシーラーによって、或いは当該分野において既知の又は上述したような任意の他の封止材料又は任意の他の適切な取付け方法によって、複数の封止されたチャンバ90A、90B、及び90Cを形成するように、アンカー89の第1の表面89Aに封止するように取り付けられてもよい。封止されたチャンバ90は、上述したような実質的に圧縮不能な媒体24で完全に充填される。
センサユニット82は、図4を参照して詳細に上述したように構築され動作してもよい。図5の保護されたセンサ100は3つの封止されたチャンバ(90A、90B、及び90C)を含むが、保護されたセンサ100は、任意の適切な数の封止されたチャンバ及び任意の適切な数の振動可能な部材を有して実施されてもよいことに留意されたい。
図示を明瞭にするため、振動可能な膜14A、14B、及び14C、並びにチャンバ90A、90B、及び90Cの上に重なる弾性部材87の部分の寸法はそれぞれ、必ずしもそれらの部分の実際の寸法、並びにそれらの断面積の比(例えば、振動可能な膜14Bの表面積とチャンバ90Bの上に重なる弾性部材87の部分の面積との比など)を表していないことに留意されたい。好ましくは、適切なセンサ動作を可能にするため、チャンバ90A、90B、及び90Cの上に重なる弾性部材の部分の表面積は、対応する振動可能な膜14A、14B、及び14Cの表面積よりも実質的に大きい。他の図面すべてにおいて、図面の概略の性質により、特定のチャンバの上に重なる弾性部材の部分の表面積と、そのチャンバ内に含まれる振動可能な部材又は膜の表面積との寸法及び比は、必ずしも正確に表されていないことがあることに留意されたい。
本発明の保護されたセンサは、単一の振動可能な部材を含むセンサ、又は単一の封止されたチャンバ内の単一の共振センサに限定されないことが、当業者には理解されるであろう。したがって、封止されたチャンバ内に1つを超えるセンサ又は1つを超える振動可能な部材を含む保護されたセンサは、本発明の範囲内である。
例えば、保護されたセンサは、1つを超える共振センサをその中にそれぞれ有してもよい、複数の封止されたチャンバを有するように構築されてもよい。同様に、保護されたセンサは、1つを超える振動可能な部材をその中にそれぞれ有してもよい、複数の封止されたチャンバを有するように構築されてもよい。さらに、保護されたセンサは、1つを超える共振センサ又は1つを超える振動可能な部材がその中に配置されてもよい、単一の封止されたチャンバを有するように構築されてもよい。
次に、本発明の一実施形態による、単一の振動可能な膜を有する保護された受動超音波圧力センサを示す概略断面図である図6を参照する。
センサ110は、基板112、第2の層114、弾性部材120、及び封止されたチャンバ122を充填する実質的に圧縮不能な媒体24を含んでもよい。第2の層114は、詳細に上述したように、基板112の表面の112Bに接着されるか、又は封止するように取り付けられてもよい。基板112は、その中に形成された陥凹部116を有する。基板112は、表面112Bの高さの上に突出する隆起112Aを有する。隆起112Aは、それを貫通する開口25を(任意に)有してもよい。詳細に後述されるように、開口25は、チャンバ112を媒体24で充填するために使用されてもよい。隆起112Aがその中に形成された1つ又は複数の開口25を有する場合、開口(1つ又は複数)25は、適切なシーリング材27を適用することにより、媒体24を充満した後に閉止されてもよい。シーリング材27は、詳細に後述されるように、RTV、シリコンベースのシーラント、エポキシベースのシーリング材などであるが、それらに限定されない、当該分野において既知の任意の適切なシーリング材であってもよい。
第2の層114は、封止されたセンサユニットチャンバ117を形成するため、基板122の表面112Bに接着されるか、又は封止するように取り付けられてもよい。陥凹部116の上に重なる第2の層114の部分は、センサ110に到達する機械的波動(例えば、超音波など)に応じて振動してもよい振動可能な部材114Aを形成する。上述したように、封止されたセンサユニットチャンバ117は、その中に圧力レベルを有するガス又は複数のガスの混合物を含んでもよい。封止されたセンサユニットチャンバ117内の圧力レベルは、ゼロ圧力レベル(チャンバ117から任意のガスが排気された場合)であってもよく、又は、ゼロではない圧力レベル(チャンバ117がある量のガス又は複数のガスを含む場合)であってもよい。弾性部材120は、チャンバ122を形成するため、(当該分野において既知の任意の適切な取り付け、封止、又は接着方法を使用して)基板112の隆起112Aに取り付けられるか、接着されるか、又は封止するように取り付けられてもよい。チャンバ122は、好ましくは、実質的に圧縮不能な媒体24で完全に充填される。センサ110の部分の材料組成は、他のセンサに関して上述したものと同様であってもよい。
図6の保護されたセンサ110は、媒体24で充填された単一の封止されたチャンバ122、単一の封止されたセンサユニットチャンバ117、及び単一の振動可能な部材114Aを有するが、センサの他の実施形態は、他のセンサの実施形態に関して詳細に上述したように、1つを超える振動可能な部材、及び/又は1つを超える封止されたセンサユニットチャンバ、及び/又は媒体24で充填された1つを超える封止されたチャンバを含んでもよいことに留意されたい。
(図4の)アンカー88及び(図5の)アンカー89は、図4に示す構成において、又は圧縮不能な媒体で充填された封止されたチャンバを形成するための任意の他の適切な構成において、センサユニット82がそれに適切に取り付けられてもよい、任意の装置(埋込み可能な又は挿入可能な装置を含むが、それらに限定されない)の任意の適切な部分であってもよいことに留意されたい。例えば、アンカー88及びアンカー89は、Kaplanの米国特許第6,331,163号に開示されているような、センサ支持装置及び/又はセンサ固定装置などであるがそれらに限定されない、任意の適切なセンサ支持装置又はセンサ固定装置であってもよいが、それらに限定されない。アンカー88及びアンカー89は、詳細に上述したように、グラフト、ステント、埋込み可能な電極、挿入可能な電極、ペースメーカー、除細動器、ガイドワイヤ、内視鏡、内視鏡装置、自律型内視鏡装置又は自律型内視鏡カプセル、係留型内視鏡装置又はカプセル、埋込み可能な又は挿入可能な薬剤、治療物質放出装置又はチップ又はポンプ、或いは、当該分野において既知の他の任意の埋込み可能又は挿入可能な装置の任意の適切な部分であってもよいが、それらに限定されない。
さらに、本発明の保護されたセンサが、独立式の保護されたセンサ(図1〜3及び6〜9に示すような保護されたセンサなどであるが、それらに限定されない)として形成される場合、保護されたセンサは、所望の測定環境内に置かれるか配置されてもよい任意の他の適切な装置に、適切に取り付けられ、且つ/又は接着され、且つ/又はその上に搭載され、且つ/又はそれに固着され、且つ/又はその中に密閉されてもよい。例えば、本発明の保護されたセンサは、化学リアクタ又はバイオリアクタ(図示なし)の壁又は任意の他の内部部分、リアクタ内に配置された任意の測定装置又は攪拌装置に、或いはバルブ、チューブ、又は保持タンクの内側などに取り付けられてもよい。
同様に、保護されたセンサが、有機体又は動物の中、或いは人間の患者の中に埋め込まれるか、挿入されるべきものである場合、保護されたセンサは、詳細に上述したように、適切なグラフト、ステント、埋込み可能な電極、挿入可能な電極、ペースメーカー、除細動器、ガイドワイヤ、内視鏡、内視鏡装置、自律型内視鏡装置又は自律型内視鏡カプセル、係留型内視鏡装置又は係留型カプセル、埋込み可能又は挿入可能な薬剤、治療物質放出装置又はチップ又はポンプ、或いは、当該技術において既知の任意の他の埋込み可能又は挿入可能な装置が挙げられるが、それらに限定されない、任意の適切な挿入可能又は埋込み可能な装置に、適切に取り付けられ、且つ/又は接着され、且つ/又はその上に搭載され、且つ/又はそれに固着され、且つ/又はその中に密閉されてもよい。
次に、本発明のさらに別の実施形態による、スペーサ内に形成された複数の封止されたチャンバを有する、複数の振動可能な膜を備えた保護された受動超音波圧力センサを示す概略断面図である図7を参照する。
保護されたセンサ130は、受動超音波圧力センサユニット152、スペーサ部材138、弾性部材147、及び実質的に圧縮不能な媒体24を含んでもよい。スペーサ部材138は、その中に形成された2つの開口138A及び138Bを有する。センサユニット152は、2つの陥凹部136A及び136Bが中に形成された基板152を含む。センサユニット152は、また、2つの別個の封止されたセンサユニットチャンバ137A及び137Bを形成するように、基板132に封止するように取り付けられるか、接合されるか、又は接着された第2の層144を含む。封止されたセンサユニットチャンバ137A及び137Bは、ガス又は複数のガスの混合物で充填されてもよく、又は上述したようにその中に真空を有してもよい。陥凹部136A及び136Bの上に重なる層144の部分は、2つの振動可能な膜144A及び144Bをそれぞれ形成する。スペーサ部材138は、層144に封止するように取り付けられるか、接着されるか、又は接合されてもよい。弾性部材147は、2つの封止されたチャンバ142A及び142Bを形成するように、スペーサ部材138に適切に又は封止するように取り付けられるか、接着されるか、又は接合されてもよい。封止されたチャンバ142A及び142Bは、好ましくは、当該分野において既知の任意の適切な充填方法を使用して、実質的に圧縮不能な媒体24で完全に充填されてもよい。
弾性部材147の部分147Aは、詳細に上述したように振動可能な膜144Aを異物の沈着から保護してもよい。同様に、弾性部材147の部分147Bは、振動可能な膜144Eを異物の沈着から保護してもよい。
図7の保護されたセンサ130は、媒体24で充填された2つの封止されたチャンバ142A及び142B、単一の封止されたセンサチャンバ117、及び単一の振動可能な部材114Aを有するが、センサの他の実施形態は、他のセンサの実施形態に関して詳細に上述したように、1つを超える振動可能な部材、及び/又は1つを超えるセンサの封止されたチャンバ、及び/又は1つを超える媒体24で充填された封止されたチャンバを含んでもよいことに留意されたい。
図に示す実施形態の構成要素又は機能の様々な変形は、図1〜8に示すような保護されたセンサアセンブリの様々な実施形態の間で交換可能であり、また、多くの異なる置換及びその変形が可能であり、それらは本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
上述し且つ図1〜8に示すセンサが挙げられるがそれらに限定されない、本発明の保護されたセンサは、様々な異なる方法を使用して、構築されるか、又は組み立てられてもよいことに留意されたい。例えば、図6を簡単に再び参照すると、センサ110は、当該分野において既知の任意の適切なフォトリソグラフィ方法(シリコンウェハ又は他の適切な基板に適用される、標準的なリソグラフィマスキング、フォトレジスト、及びウェットエッチング方法、又は他の適切なミクロ機械加工方法によるものなどであるが、それらに限定されない)を使用して、最初に基板112、陥凹部166、及びその中の開口25を形成することによって作製されてもよく、次に、センサの封止されたチャンバ117内の所望の圧力レベルを確保するため、第2の層114が、適切な圧力チャンバ内の基板層112に接着されるか、接合されるか、又は取り付けられてもよい。
次に、弾性部材120は、基板112の隆起112Aに封止するように取り付けられるか、接着されるか、又は接合されてもよい。次に、センサ110は、適切な真空チャンバ(図示なし)に置かれ、チャンバ122(この段階ではまだ封止されていない)内に適切な真空を形成するため、圧力が平衡するのに十分な時間を許容してもよい。チャンバ122がその中に高真空を有した後、例えば、開口25が媒体24で完全に覆われるように、媒体24を真空チャンバ内に適切なレベルまで導入することなどにより、センサは、媒体24中に浸漬されてもよい(この真空支援による充填方法の場合、媒体24は、上述したようなDow Corning(登録商標)シリコン流体、又は当該分野において既知の任意の他の適切な低蒸気圧の流体又は液体などであるが、それらに限定されない、低蒸気圧の液体でなければならない)。
開口25が媒体24によって覆われた後、センサ110がその中に配置される真空チャンバ内の圧力は、真空チャンバ内に配置された媒体24に作用する圧力が増加するに従って(例えば、真空チャンバを大気圧に対して開くことによって)増加してもよく、媒体24は、チャンバ122が媒体24で完全に充填されるまで、チャンバ122の空の空間に圧入される。チャンバ122が媒体24で充填された後、センサ110は(必要に応じて)洗浄されてもよく、開口25は、チャンバ122の封止を完了するため、シーリング材27で封止するように閉止されてもよい。シーリング材27は、詳細に上述したように、当該技術において既知の任意の適切なシーリング材であってもよい。
本発明の別の実施形態によれば、微細な針又は他の適切な注入装置を使用して、開口25を介して、媒体24をセンサ110のチャンバ122に注入することも可能であり、その後にシーリング材を適用して開口25を封止してもよいことに留意されたい。
チャンバ122(又は、使用されている保護されたセンサの任意の他のチャンバ)を媒体24で充填する方法は、圧縮不能な液体を使用するものに限定されず、様々なタイプのゲルを使用する場合にも適用されてもよいことに留意されたい。例えば、ゼラチンを使用する場合、加熱された液化ゼラチン溶液を使用することにより、ゼラチンが凝固する前の液体流体状態にある間にそれを適用することにより、上述したような方法を使用してセンサを充填することが可能である。そのような場合、ゲルの凝固を防ぐか又は遅らせるため、充填されているセンサを適切な温度まで暖めることが有利なことがある。ヒドロゲル又は他のゲルタイプを使用する場合、ゲル化に時間がかかるので、ゲル化が生じる前に、保護されたセンサのチャンバを充填することが可能である。別の例では、アルギナートベースのゲル(例えば、液体ナトリウムアルギナート溶液など)を使用すること、且つ、当該分野において既知のように、カルシウムイオンを添加することによってゲル生成を誘発することが、可能な場合がある。
上述したように、チャンバ122を充填した後又はそれに注入した後にゲルを形成してもよい、他の液体組成物又は液体ゲル前駆体を使用することも可能な場合がある。例えば、本発明の一実施形態によれば、モノマー(1つ又は複数)と、適切なゲルをゆっくり生成するように化学的に反応してもよい、適切な触媒及び/又は重合剤及び/又は架橋剤との混合物を使用することができる。モノマーと架橋剤の混合物は、上述した方法のいずれかにより、液体状態である間に、センサのチャンバ(センサ110のチャンバ122などであるが、それに限定されない)に注入されるか、又は別の方法で導入されてもよく、次にチャンバ内で重合してゲルになってもよい。
埋め込まれないセンサに適用する場合、当該分野において既知のように、ポリアクリルアミドゲルなどのゲルを使用することが可能な場合がある。そのようなゲルは、重合触媒又は開始剤(例えば、過硫酸塩など)及び/又は適切な架橋剤(例えば、ビスアクリルアミドベースの架橋剤)を使用して、アクリルアミド又はアクリルアミドの誘導体モノマーを重合することによって形成されてもよい。埋込み可能なセンサを使用する用途には、当該分野において既知の、ゼラチン、或いは他の適切な生体適合性又は血液適合性のヒドロゲル又はリポゲル、疎水性ゲル、或いは親水性ゲルなど、他の、より生体適合性のゲルを使用しなければならないことがある。
保護されたセンサを構築するための、他の異なる方法も使用されてもよいことに留意されたい。そのような方法は、センサ内に実質的に圧縮不能な媒体が置かれた後に、弾性部材が、保護されたセンサに取り付けられるか、その上に形成される方法を含んでもよい。図1を簡単に再び参照すると、センサ10は以下のように構築されてもよい。最初に、図6のセンサ110に関して上述した、又は上記に参照したGirmonskyらの同時係属中の米国特許出願第10/828,218号に開示されているのと類似のやり方で、センサユニット82を形成するため、真空チャンバ(図示なし)内で窪んだ基板層12が第2の層14に取り付けられてもよい。センサユニット82が作製された後、チャンバ22(この段階ではまだ封止されたチャンバではない)の部分を形成するため、スペーサ18がセンサユニット82に取り付けられるか、又は接着されてもよい。次に、媒体24がチャンバ22の形成された部分に導入されてもよく、弾性部材20が、当該分野において既知の任意の取り付け、接着、又は接合方法を使用して、媒体24を封止し、且つ封止されたチャンバ22を完成するため、適切に封止するようにスペーサ18に取り付けられ、又は接合されてもよい。この方法は、媒体24が液体又はゲルである場合に適用されてもよい。ゲルが使用される場合、ゲルは、上述したように、予めゲル化された液体の形態で、又はモノマー/架橋剤混合物として、チャンバ22に導入されてもよい。
保護されたセンサを構築するさらに別の方法(図6のセンサ10に関して一例として記載された、但し本明細書に開示され図示された他のセンサの多くに一般に適用可能なもの)は、弾性部材を直接形成し、それをセンサユニットに取り付けるため、化学蒸着法(又は、場合によっては、当該分野において既知の他の異なる方法)を使用してもよい。図1を再び参照すると、センサ10は、また、以下のように構築されてもよい。最初に、上述したのと類似のやり方で、センサユニット82を形成するため、真空チャンバ(図示なし)内で窪んだ基板層12が第2の層14に取り付けられてもよい。センサユニット82が作製された後、チャンバ22(この段階でまだ封止されたチャンバではない)の部分を形成するため、スペーサ18がセンサユニット82に取り付けられるか、又は接着されてもよい。次に、媒体24が、チャンバ22の形成された(まだ開いている)部分に導入されてもよい。次に、適切な化学蒸着法(CVD)をインサイツで使用して弾性部材を形成することにより、弾性部材20が、媒体24上及びスペーサ18上に直接蒸着されてもよい。例えば、弾性部材20がParylene(登録商標)Cから作製されるものである場合、標準的なCVD法を使用して、Parylene(登録商標)Cの適切な層が、媒体24上に封止するように蒸着されるか、又は形成されてもよい。この場合、実質的に圧縮不能な媒体24の上に形成され、スペーサ18の上側表面に取り付けられたParylene(登録商標)Cの層は、弾性部材20を含む。そのような場合、CVDが大気圧よりも低い圧力で実行されるときには、封止されたチャンバ内に使用される媒体は低い蒸気圧を有していなければならない。
保護されたセンサを構築するための開示される様々な方法は、原則的に、適切な修正と共に、上述し図面に図示した保護されたセンサのいずれかを構築するように適用されてもよい。例えば、図1のセンサ10のチャンバ22が開口を介して媒体24で充填されるべきであることを必要とする場合、1つ又は複数の開口(図示なし)がスペーサ18内に作製されてもよい。
同様に、実質的に圧縮不能な媒体24が、充填されている保護されたセンサの関連するチャンバ(1つ又は複数)に導入されることを可能にするため、適切な開口(図示なし)が、(図2の)保護されたセンサ30のハウジング34内、(図3の)保護されたセンサ50のハウジング54内、又は本明細書に開示の保護されたセンサの任意の他の適切な部分内に作製されることが必要なことがある。
本発明の別の実施形態によれば、媒体24を導入するのに適切な1つ又は複数の開口(図示なし)は、アンカー部材88及び/又は89の適切な部分内に、又はセンサユニット82内に形成されて、それらを介して媒体24を充填できるようにされてもよい。そのような開口は、(図6の)センサ110の開口25に関して詳細に開示したように、充填が完了した後にシーリング材によって封止されてもよい。したがって、実質的に圧縮不能な媒体が、1つ又は複数の開口を介して本発明の保護されたセンサの封止されたチャンバに導入される場合、そのような開口又はそのような複数の開口(図示なし)は、センサのハウジング、センサアンカー装置(使用される場合)、又はスペーサ(使用される場合)などであるが、それらに限定されない、センサの任意の選択された又は所望の部分内に、或いは使用されるセンサユニットの本体の任意の適切な部分を貫通して形成されてもよいことに留意されたい。そのような開口は、当業者に明らかなように、センサの動作を損なわない位置に配置されてもよい。
さらに、保護されたセンサが、複数の封止されたチャンバ(例えば、図5の保護されたセンサ100のチャンバ90A、90B、及び90Cなど)を含む場合、追加の開口(図示なし)が、必要に応じて、センサ、センサユニット、スペーサ、又はアンカー装置の適切な部分内に作製されなければならないことがある。
本発明の保護されたセンサを組み立てる、又は構築するための、本明細書に開示の様々な方法は、単に一例として示され、必須ではなく、また、当該分野において既知のように、開示の保護されたセンサを構築し、且つ/又は組み立て、且つ/又は充填する他の様々な方法が使用されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。そのような方法には、任意の適切なリソグラフィ方法、エッチング方法、マスキング方法、半導体製造方法、ミクロ機械加工方法、刷込み方法、エンボス加工方法、印刷方法、層形成方法、化学蒸着法、接合方法、接着方法、封止方法などを挙げることができるが、それらに限定されない。
上述し図4に示した保護されたセンサの実施形態は、上述した、又はKaplanの米国特許第6,331,163号に記載の、センサアンカー、センサ固定装置、又はステント部分の形態に限定されないことが、当業者には理解されるであろう。正確には、本発明の保護されたセンサの様々な修正が当業者によって実施されてもよい。例えば、可能な実施の非限定的な列挙として、当該分野において既知のように、アンカー88が埋込み可能なグラフト(例えば、当該分野において既知のようなチューブ様のGortex(登録商標)グラフト)の部分であってもよいか、或いは、ペースメーカー装置若しくは除細動器の埋込み可能な電極の部分、又は血管内、心血管系の任意の他の部分内、頭蓋内、脳室のいずれかの中、脊髄の中心管内、心臓内、又は任意の他の体腔若しくはその内腔内に埋め込まれてもよい任意の他の適切な装置の部分であってもよい実施を挙げることができる。
次に、本発明の一実施形態による、保護された共振センサの一般化された形態を示す概略部分断面図である図8を参照する。
図8の保護されたセンサ180は、共振センサユニット5、スペーサ18、弾性部材20、及び圧縮不能な媒体24を含む。共振センサユニット5は、上述した、又は当該分野において既知の共振センサのいずれかなどであるが、それに限定されない、測定環境又は媒体に暴露される1つ又は複数の共振器又は共振部分を有する、当該分野において既知の任意のタイプの共振センサであってもよい。共振センサユニット5の共振器部分5Aは、概略的に、保護されていない共振センサユニット5の場合には測定環境又は媒体に暴露されていたであろう、共振センサユニット5の共振器(又は複数の共振器)の部分を表す。
保護されたセンサ180は、図1のスペーサ18に関して詳細に上述したように、センサ5に適切に封止するように取り付けられたか、又は接着されたスペーサ18を含んでもよい。保護されたセンサ180は、また、図1のセンサ10に関して詳細に上述したような弾性部材20を含んでもよい。弾性部材20は、封止されたチャンバ102を形成するため、スペーサ18に適切に封止するように取り付けられる。封止されたチャンバ102は、(それぞれ図1、2、及び4の)センサ10、30、及び80に関して詳細に上述したように、圧縮不能な媒体24で完全に充填される。
保護されたセンサ180によって測定される物理的変数(圧力、温度などであるが、それらに限定されない)は、上述の他の受動超音波センサに関して詳細に開示したように、最小限の減衰で、弾性部材20及び圧縮不能な媒体24を介して共振センサユニット5の部分5Aに伝達される。弾性部材20及びスペーサ18は、物質(1つ又は複数)、細胞(1つ又は複数)、組織(1つ又は複数)、或いは他の望ましくない異物の沈着物が、封止されたチャンバ102に入り、共振センサユニット5の部分5Aの上に沈着するか別の方法で付着するのを防ぐ。センサユニット5(図8には詳細には図示なし)の共振部分又は複数の共振部分は、その結果、測定環境又は測定媒体内に見出される任意のそのような物質(1つ又は複数)、細胞(1つ又は複数)、組織(1つ又は複数)、或いは他の望ましくない異物から保護され、それが、長時間にわたって測定の安定性及び精度を維持する保護されたセンサ180の能力を改善してもよい。
図5に示す保護されたセンサ80の実施形態では、媒体24を含む封止されたチャンバ102はスペーサ18を使用することによって構築されるが、保護されたセンサの別の実施形態によれば、弾性部材20を、センサユニット5の部分として形成された突出した周囲の隆起(図6のセンサ110の隆起112Aに類似するが、必ずしも同一ではない)など、センサユニット5の適切に形成された部分(図示なし)に取り付けることが可能であってもよいことに留意されたい。
センサユニット5が、測定媒体内の化学種の濃度を感知する共振センサである場合、弾性部材20が測定される化学種に対して適切に浸透性である材料から作製され、且つ、圧縮不能な媒体24が、測定される化学種が選択された媒体24内で拡散され得るように、又は(例えば、当該分野において既知のように、媒体24内に、媒体24と適合性の適切なトランスポータ種又は輸送分子を含むことにより)媒体24を介して移送されて、測定される化学種の濃度に対して敏感なセンサユニット5の部分(可能であれば、センサユニット5の部分5Aに含まれる)に到達し得るように、弾性部材20及び圧縮不能な媒体24は慎重に選択されなければならないことに留意されたい。
本発明の保護された圧力センサは、上述したタイプの弾性部材のみを使用することに限定されないことが、当業者には理解されるであろう。正確には、本発明の保護された圧力センサは、また、異なるように構成された弾性部材を使用することによって実施されてもよい。そのような機械的に弾性な部材は、測定の領域から使用されるセンサの振動可能な膜又は振動可能な部材への圧力の効率的な伝達を可能にするため、(当該分野において既知の)多くの異なるやり方で構成又は成形されてもよい。弾性部材は、また、Q因子の損失につながる恐れがある、振動している振動可能な部材又は膜の圧力波に実質的に干渉しないように、十分に弾性でなければならない。
次に、本発明の実施形態による、波状部分を有する弾性部材を含む、保護された圧力センサを示す概略断面図である図9を参照する。
図9の圧力センサ140は、図6の圧力センサ110に類似するが、同一ではない。基板112、隆起112A、開口(1つ又は複数)25、シーリング材27、第2の層114、表面112B、表面114A、及び実質的に圧縮不能な媒体24は、図6に記載したように構築されてもよい。但し、図6のセンサ110は、封止されたチャンバ122を形成するため、隆起112Aに封止するように取り付けられた弾性部材120を有するが、センサ140は、封止されたチャンバ123を形成するため、隆起112Aに封止するように取り付けられた弾性部材150を有する。
図9の弾性部材150は、図6の弾性部材120とは異なる。図9の弾性部材150は、第1の平坦部分150A、第2の平坦部分150B、及び波状部分150Cを含む、機械的に弾性な部材である。第2の平坦部分150Bは、基板112の隆起112Aに封止するように取り付けられるか、又は接着されて、センサ110に関して詳細に上述したように、実質的に圧縮不能な媒体24(例えば、実質的に圧縮不能な液体又はゲルなど)で充填されてもよい封止されたチャンバ123を形成する。好ましくは(但し、必須ではなく)、第1の平坦部分150A、第2の平坦部分150B、及び波状部分150Cは、弾性部材150の連続した部分である。センサ140の外側の圧力をチャンバ123内に配置された媒体24及び振動可能な部材114Aに伝達するため、且つ振動する部材(又は振動する膜)からの圧力波を測定環境内に配置された外側の媒体に伝達するため、波状部分150Cは、第1の部分150Aが移動できるようにする。
図10は、本発明の別の実施形態による、波状部分を有する機械的に弾性な部材を含む、保護された圧力センサを示す概略断面図である。
図10のセンサ210は、図1のセンサ10に機能的に類似するが、構造的に同一ではない。センサ10及び210の類似の構成要素は、類似の参照番号で表示される。センサ210は弾性部材21を含む。図10の弾性部材21は、図1の弾性部材20とは異なる。図10の弾性部材21は、第1の平坦部分21A、第2の平坦部分21B、及び波状部分21Cを含む機械的に弾性な部材である。第2の平坦部分21Bは、スペーサ19に封止するように取り付けられるか、又は接着されてもよい。スペーサ19は、(図1のスペーサ18に関して詳細に上述したように)基板層12に封止するように取り付けられるか、又は接着されて、センサ110に関して詳細に上述したように、実質的に圧縮不能な媒体24(例えば、実質的に圧縮不能な液体又はゲルなど)で充填されてもよい封止されたチャンバ23を形成する。好ましくは(但し、必須ではなく)、第1の平坦部分21A、第2の平坦部分21B、及び波状部分21Cは、弾性部材21の連続した部分である。センサ210の外側の圧力をチャンバ23内に配置された媒体24及びセンサ210の振動可能な膜14A、14B、及び14Cに伝達するため、波状部分21Cは、第1の部分21Aが移動できるようにする。波状部分21Cは、また、振動可能な膜14A、14B、及び14Cの圧力波が、保護されたセンサの外側の測定環境内の媒体に伝達されることができるようにする。
センサ210はスペーサ19を含む。(図10の)スペーサ19の寸法は、特に、弾性部材21の選択された寸法に応じて、(図1の)スペーサ18の寸法とは異なっていてもよく、又は、(図1の)スペーサ18の寸法と同一であってもよい。
図面(図1〜10)の様々な部分及び構成要素は縮尺通りに描かれておらず、寸法及び形状は、単に(明瞭に図示するための)例示目的で描かれ、様々な図示された構成要素の実際の寸法を表していない場合があることにも留意されたい。例えば、(図1の)第2の層14の振動可能な膜14A、14B、及び14Cの湾曲は、実際のセンサの振動可能な膜の実際の湾曲に対して(例示目的で)大幅に誇張されている。
さらに、上述し図1〜10に示したセンサの特定の例は圧力測定に適合されているが、本発明の保護されたセンサは、当該分野において既知のように、また上述したように温度センサとしても使用されてもよいことに留意されたい。一般に、測定されたパラメータがセンサの振動可能な部分(1つ又は複数)或いは振動可能な膜(1つ又は複数)の共振周波数に影響を及ぼす場合、本発明の保護されたセンサを、測定環境内の他の物理的パラメータを決定するのに使用することも可能である。
さらに、上述し図面に示したセンサは、複数の振動可能な膜を有するセンサ(多重膜センサ)として実施されるが、本発明の保護されたセンサは、特に、Kaplanの米国特許第5,619,997号、同第5,989,190号、及び6,083,165号に開示されているようなセンサ、又は当該分野において既知の任意の他のセンサなどであるが、それらに限定されない、単一の振動可能な膜又は単一の振動可能な部分を有するセンサとしても実施されてもよいことに留意されたい。そのようなセンサはすべて、弾性部材及び圧縮不能な媒体を適切に使用して、圧縮不能な媒体がその中で、測定される物理的変数をセンサの振動可能な部分又は振動可能な部分に結合された適切なカプラーに伝達する、圧縮不能な媒体で充填された封止されたチャンバを形成することにより、保護されたセンサとして実施されてもよい。
しかし、上述した共振センサを保護する方法は、上述した受動超音波センサ用に、又は上述した任意の特定の測定方法に限定されず、音響ビーム又は超音波ビームによって呼び掛けられる限り、受動共振センサ、能動共振センサ、光呼掛け能動又は受動共振センサ、容量共振センサ、或いは、測定環境又は媒体に暴露されるその共振構造の少なくとも部分を有する、当該分野において既知の任意の他の共振センサなどであるが、それらに限定されない、任意のタイプの共振センサに使用するのに適切な、任意のタイプの測定方法に適用されてもよいことに留意されたい。
さらに、本発明の保護されたセンサ(例えば、保護されたセンサ10の封止されたチャンバ22など)を構築している間、封止されたチャンバが媒体24で充填され封止されると、封止されたチャンバ内にガス又は空気の泡が捕捉されることを回避するように、注意が払われなければならないことに留意されたい。そのような泡又はガスが充填された空間を含む保護されたセンサを、測定を実施するのに使用することは依然として可能である(特に、そのような泡又はガスが充填された空間のサイズ及び断面積に応じて)が、圧縮不能な媒体24内に捕捉されたそのような泡又はいずれかの量のガス若しくは空気は、圧縮可能な部分(空間内のガス又はガス(1つ又は複数)を含む泡)を封止されたチャンバ内の媒体にもたらし、それが、保護されたセンサの振動可能な膜(例えば、センサユニット82の振動可能な膜14A、14B、及び14Cなど)が受ける実際の圧力に影響を及ぼすことがあり、それが結果として特定の測定エラーをもたらすことがあるので、保護されたセンサの性能に望ましくない影響を及ぼすか、それを劣化させる恐れがある。さらに、封止されたチャンバに含まれる媒体24内に捕捉されたガス泡は、呼掛け超音波ビームの一部を反射又は拡散することがあり、それがやはり、センサの性能又は測定システムの性能に望ましくない影響を及ぼす恐れがある。
さらに、本発明の保護されたセンサ及びその部分は、多層材料から構築されてもよい。例えば、本明細書に開示され図面に示される保護されたセンサのいずれかを構築するのに使用される、窪んだ基板、スペーサ、ハウジング、及びアンカー装置のいずれかは、(任意に)1つを超える材料の層を含む多層構造として形成されてもよい。さらに、そのような多層構造が保護されたセンサの部分に使用される場合、層のいくつかは、同じ材料を含んでも含まなくてもよい。
さらに、上述した例は、本発明の保護されたセンサを実施するため、特定の代表的なゲルタイプを使用してもよいが、多くの他のタイプのゲルも使用されてもよい。例えば、当該分野において既知の、ポリビニルアルコール(PVAL)ベースのゲル、ポリビニルピロリドン(PVP)ベースのゲル、ポリエチレンオキシド(PEO)ベースのゲル、ポリビニルメチルエステル(PVME)ベースのゲル、ポリアクリルアミド(PRAM)ベースのゲル、或いは任意の他のタイプの適切なゲル、ヒドロゲル、リポゲル、疎水性ゲル、又は親水性ゲルなどであるが、それらに限定されない他のタイプのゲルが、本発明の保護されたセンサを実施するのに使用されてもよい。
選択されたゲル形成方法が、適切なゲル形成モノマーを含有する混合物(架橋剤を有する又は有さない)の重合を含むとき、重合は、当該分野において既知の任意の適切な方法によって引き起こされてもよいことに留意されたい。例えば、ゲルを形成する1つの可能な方法は、重合開始剤を、モノマー及び(任意に架橋剤)を含有する溶液に添加することである。重合開始剤は、ポリアクリルアミド形成モノマーを使用する場合の過硫酸カリウム、又は当該分野において既知の任意の他の適切な重合開始化合物などであるが、それらに限定されない、適切な遊離基形成剤であってもよい。しかし、適切なモノマー(1つ又は複数)溶液(適切な架橋剤又は他のコポリマーを有する又は有さない)に、適切な波長を有する光(紫外光、又は他の適切な波長を有する光などであるが、それらに限定されない)を照射する、或いは、他のタイプの電離放射線又は他のタイプの放射線を使用するなど、モノマー(又は異なるモノマーの混合物)の重合を開始する他の方法を使用することも可能であってもよい。但し、当該分野において既知の重合を開始する任意の他の適切な方法が、本発明の保護されたセンサに含まれるゲルを形成するのに使用されてもよい。さらに、当該分野において既知のように、他の多くのタイプのゲル及びゲル形成方法が本発明に使用されてもよいことに留意されたい。そのようなゲルとして、アガロース、アルギナート、ゼラチン、様々な多糖ベースのゲル、タンパク質ベースのゲル、合成ポリマーベースのゲル(架橋ポリマー及び非架橋ポリマーベースのゲルを含む)などを挙げることができるが、それらに限定されない。
さらに、本発明の保護されたセンサ及びその部分は、多層材料から構築されてもよいことに留意されたい。例えば、本明細書に開示され図面に示される保護されたセンサのいずれかを構築するのに使用される、窪んだ基板、スペーサ、ハウジング、及びアンカー装置のいずれかは、(任意に)1つを超える材料の層を含む多層構造であってもよい。さらに、そのような多層構造が保護されたセンサの部分に使用される場合、層のいくつかは、同じ材料を含んでも含まなくてもよい。
さらに、本発明の保護されたセンサに使用されるセンサユニットの振動可能な部材(又は共振部材)は、多くの異なる形状及び/又は幾何学形状を有してもよいことに留意されたい。例えば、上述した受動超音波センサユニットの振動可能な膜(センサ10、30、50、80、100、110、130、140、180、及び210の振動可能な膜などであるが、それらに限定されない)は、当該分野において既知のように、円形形状、矩形形状、多角形形状、又は当該分野において既知であって且つ振動可能な共振器に適した任意の他の形状を有してもよい。例えば、Girmonskyらの同時係属中の米国特許出願第10/828,218号の図2に示されるセンサは、矩形形状を有する複数の振動可能な膜を有するが、他の膜の形状が使用されてもよい。
さらに、本発明の保護されたセンサの実施形態はすべて、単一の連続した弾性部材を有するものとして記載され図示されるが、本発明の別の実施形態によれば、センサは、センサユニット(1つ又は複数)に、又は保護されたセンサ(1つ又は複数)のハウジングに、或いはセンサユニット(1つ又は複数)がそれに取り付けられるアンカー若しくは支持体に、適切に、且つ封止するように取り付けられた、2つ以上の別個の弾性部材を含むように修正されてもよいことに留意されたい。
センサを保護する、且つ保護されたセンサを構築する上述の方法は、本明細書に開示し図示する様々な代表的な実施形態に限定されず、振動可能な部分又は振動可能な部材を有する他の異なるセンサに適用されてもよいことが、当業者には理解されるであろう。例えば、上述した方法は、本発明の範囲及び趣旨内にあると考えられる保護された受動超音波センサを構築するため、Kaplanの米国特許第5,989,190号及び同第6,083,165号に記載の受動超音波センサに適用されてもよい。したがって、本発明の保護されたセンサを構築するために使用される、センサユニットの振動可能な部材(1つ又は複数)或いは振動可能な膜(1つ又は複数)は、窪んだ層の薄い一体の部分(例えば、上記に参照した米国特許第5,989,190号の図7のセンサ90の膜91など)として形成されてもよい。したがって、共振センサユニット(1つ又は複数)、実質的に圧縮不能な媒体、及び弾性部材を使用して、保護されたセンサを構築する本明細書に開示の方法は、一般的な方法であり、当該分野において既知の他の適切な受動及び能動の共振センサに一般に適用されてもよい。
上述し図面に示した保護されたセンサはすべて、1つ又は複数の受動共振センサユニットを含むが、本発明の保護されたセンサは共振センサのみに限定されず、追加のタイプのセンサユニットを含んでもよいことに留意されたい。したがって、本発明の保護されたセンサは、当該分野において既知の任意の他の適切なタイプのセンサユニットも含んでもよい。例えば、本発明の一実施形態によれば、保護されたセンサは、上述したような1つ又は複数の共振圧力センサユニット、及び当該分野において既知の任意の適切なタイプの追加の非共振温度センサユニット(図示なし)を含んでもよい。そのような温度センサユニットは、保護されたセンサのチャンバ内に配置されてもされなくてもよい。例えば、そのような非共振温度センサが、図3に示すタイプの保護されたセンサに含まれる場合、追加の温度センサユニットは封止されたチャンバ52内の媒体の中に配置されてもよく、或いは、封止されたチャンバ52の外側に配置されるように、ハウジング54に適切に取り付けられてもよい。そのような非共振温度センサユニット(1つ又は複数)(或いは、任意の他の物理的又は化学的パラメータを測定する任意の他のタイプの非共振センサユニット(1つ又は複数))は、また、ハウジング54の中に組み込まれるか、その中に形成されるか、それに含まれるか、又はそれに適切に取り付けられてもよい。
本発明の保護されたセンサが、血液と接触して配置されるように構成された実施形態(血管内又は心血管系の任意の他の部分内に埋め込まれるように設計された、保護された圧力センサなどであるが、それらに限定されない)では、血液と接触するセンサの部分は、好ましくは、当該分野において既知のように、血液適合性材料で作製されるか、又は血液適合性材料で適切にコーティングされることに留意されたい。血液適合性材料を使用することは、特に、血液凝固、血液細胞の沈着、又は他の悪影響を低減する又は防ぐことにより、有利なことがある。
さらに、チャンバ22(図1)、32(図2)、52(図3)、90(図4)、90A〜90C(図5)、122(図6)、142A及び142(図7)、102(図8)、123(図9)、及び23(図10)は、封止されたチャンバとして図示されるが、これは必須ではないことに留意されたい。したがって、チャンバ22、32、52、90、90A、90B、90C、122、142A、142、102、123、及び23を充填する媒体24はゲルであり、チャンバ22、32、52、90、90A、90B、90C、122、142A、142、102、123、及び23は、開いたチャンバ(図1〜10には図示なし)であって必ずしも完全に封止される必要がないことがある。
例えば、センサ10の弾性部材20が、ゲル24をセンサに流し込んだ後にスペーサ18に接着されるか取り付けられる場合、センサの性能は、チャンバ22が封止されたチャンバであることに実質的に依存しないので、弾性部材20は、形成されたチャンバ22を十分且つ完全に封止する必要はない。したがって、弾性部材20は、スペーサ18に封止しないように取り付けられてもよい。
別の例では、図6のセンサ110のチャンバ122が、開口25(詳細に上述したような)を介してゲルで充填される場合、開口25は、(図6を参照して上述したようなシーリング材27でそれを閉止しないことによって)開いたままにされてもよい。ゲル化が完了した後、開口25が開いたままであっても、凝固されたゲルはチャンバ122内に留まる。或いは、ゲルがチャンバ122内に使用される場合、チャンバ122は、また、液体で充填されたチャンバに関して詳細に上述したようにシーリング材27で開口25を閉止することによって封止されてもよい。
同様に、ゲルを媒体24として使用する場合、1つ又は複数の適切な開口(図示なし)が、上述した他のセンサの任意の適切な部分内に作製されてもよく、そのような開口は、共振器としてのセンサの動作に実質的に影響を及ぼすことなく、開いたままにされてもよい。そのような開口は、(図1及び2の)基板層12内及び/又は層14内及び/又はスペーサ18内及び/又は弾性部材20、ハウジング34内及び/又は弾性部材20A(図2)、ハウジング54内及び/又は基板層62及び/又は72内及び/又は層64及び/又は74内及び/又は弾性部材54B(図3)、(図4の)基板層内82及び/又は層14内及び/又はアンカー88及び/又は弾性部材87、(図5の)基板82内及び/又は層14内及び/又はアンカー89及び/又は弾性部材87、(図6の)基板層112内及び/又は層114及び/又は弾性部材120、(図7の)基板132内及び/又は層144及び/又はスペーサ138及び/又は弾性部材147、(図8の)センサ5内及び/又はスペーサ18及び/又は弾性部材20、(図9の)基板112内及び/又は隆起112A及び/又は層114及び/又は弾性部材150、(図10の)基板層12内及び/又は層14及び/又はスペーサ19及び/又は弾性部材21が挙げられるが、それらに限定されない、センサの任意の適切な部分内に作製されてもよい。
但し、上述のセンサの特定の例は一例としてのみ示され、本発明の範囲内で多くの他のセンサ構成が可能なので、特に、共振センサの構造及び構成、弾性部材の構造及び構成、並びに、スペーサ(1つ又は複数)、ハウジング(1つ又は複数)、アンカー、又は他のセンサ部分の存在に応じて、そのような開口又は複数の開口は、本発明の保護されたセンサの任意の他の適切な部分内に、且つ/又は(例えば、スペーサ18を基板層12に封止しないように、又は不完全に取り付け若しくは接着することによって、センサ10のスペーサ18及び基板層12の間に開口を形成することなどにより)センサの異なる部分の間に形成されてもよい。
そのような開口(図示なし)を介して、センサを媒体24で充填することが可能である(センサ110の開口24に関して詳細に開示したように)が、これは必須ではなく、センサを媒体24(ゲル又は液体のいずれか)で充填する任意の他の方法が、詳細に上述したように、又は当該分野において既知のように使用されてもよいことに留意されたい。
本明細書に開示の保護されたセンサ(弾性部材を有する又は有さない)のすべてにおいて、保護されたセンサの表面全体又はセンサの部分(センサのハウジング、及び/又はセンサユニットの振動可能でない部分(1つ又は複数)、又は保護されたセンサの弾性部材などであるが、それらに限定されない)を、特定の所望の特性を有する薄い弾性材料層でコーティングする又は覆うことが可能である(被覆層は、図示を明瞭にするため図面中には示されない)。被覆層の追加は、特定のセンサタイプに適切なように、センサを組み立てる又は構築する前、その間、又はその後に行われてもよい。そのような被覆層が弾性部材上に追加される場合、層の材料は十分に弾性でなければならず、被覆層は、好ましくは、弾性部材及び/又は測定環境内の媒体の音響インピーダンスに近いか、又はそれに等しい音響インピーダンスを有する。
被覆層は、センサの性能を損なわないように十分に弾性でなければならない。被覆層は、所望の特性を有する1つ又は複数の材料を含んでもよく、又は、センサユニット又は保護されたセンサの任意の部分に所望の特性を付与してもよく、若しくは所望の効果を達成してもよい。例えば、被覆層は、保護されたセンサ又はその部分にそれぞれ、所望の親水特性又は疎水特性を付与するため、1つ又は複数の親水性材料又は疎水性材料を含んでもよい。さらに、被覆層は、コーティング層の表面と接触している流体又は液体のフローに対する抵抗性(又は摩擦計数)などであるが、それらに限定されない所望の流体力学的な表面特性を有してもよい、1つ又は複数の材料を含んでもよい。
さらに、被覆層は、1つ又は複数の所望の生物学的特性を有してもよい、1つ又は複数の材料を含んでもよい。例えば、当該分野において既知のように、そのような材料(1つ又は複数)は、生物学的組織又は細胞の成長に影響を及ぼすことがある。生物学的作用として、血餅の形成に影響する新内膜細胞の成長(又は新内膜細胞単層の成長)の誘発又は阻害、血液細胞の沈着及び/又は付着の阻害又は促進、或いは当該分野において既知の任意の他の望ましい生物学的作用(1つ又は複数)を挙げることができるが、それらに限定されない。
さらに、本発明は、保護されたセンサ又はその部分の表面特性を変えるのに有用な、当該分野において既知の任意の適切な表面処理又は表面修正を使用して、保護されたセンサの弾性部材(1つ又は複数)、或いは保護されたセンサの任意の他の部分(センサのハウジング、センサアンカー、又はスペーサなどであるが、それらに限定されない)の任意の他の表面の、表面特性を修正することも含む。そのような方法は、当該分野において既知のような、表面を修正するための任意の化学的方法及び/又は物理的方法を含む。例えば、保護されたセンサ又はその任意の部分(1つ又は複数)は、化学的な表面特性、表面の疎水性、表面の親水性、流動学的な表面特性、生物学的な表面特性、その上への細胞又は組織の沈着に対する表面抵抗などが挙げられるが、それらに限定されない、それらの表面特性を変えるため、化学的に処理されてもよい。化学処理は、当該分野において既知のように表面の表面化学基を化学的に修正する(例えば、表面の水酸基のシラン処理など)か、様々な異なる化学的分子又は部分或いは生物学的分子を、(結合分子又は結合剤を用いて、又は用いずに)表面に適切に取り付けるかのいずれかによって、達成されてもよい。そのような分子又は剤として、当該分野において既知のような、タンパク質、ペプチド、薬剤、多糖、脂質、糖脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、プロテオグリカン、細胞外マトリックス分子、核酸、ポリヌクレオチド、RNA、DNA、アンチセンス核酸配列、受容体、酵素、抗体、抗原、酵素阻害剤、細胞増殖阻害剤、成長調節因子、成長阻害因子、成長促進因子、抗凝血剤、抗凝固剤、腫瘍阻害剤、腫瘍阻害因子、腫瘍抑制剤、抗がん剤、又は、所望の生物学的又は治療的特性又は作用を有する、任意の他のタイプの分子、因子、薬剤、又は剤が挙げられるが、それらに限定されない。当該分野において既知の任意の適切な方法が、本発明の保護されたセンサの任意の所望の表面に対する、そのような表面誘導、表面修正、表面処理、或いは剤又は分子の表面への取り付けを実行するのに使用されてもよい。表面を処理及び/又は修正するそのような方法は、当該分野において周知であり、したがって詳細には後述されない。
特定の一実施形態では、非生物学的な障壁によって保護されたセンサは、生物学的な障壁も含んでもよい。そのような実施形態では、生物学的な障壁でセンサを保護する、以下に記載する方法が適用される。特定の一実施形態では、非生物学的な障壁によって保護されたセンサ又はその一部(特に、例えば弾性部材)は、それに適用される本発明のマトリックスを有する。さらに特定の一実施形態では、マトリックスは、内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞の細胞膜又は細胞表面上の抗原に特に結合する、抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。別のさらに特定の実施形態では、マトリックスは、内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞の細胞膜又は細胞表面上の1つ又は複数の抗原に結合する、1つ又は複数の小分子を含む。別のさらに特定の実施形態では、マトリックスは、内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞が自然にそれに付着する、1つ又は複数の細胞外マトリックス(ECM)分子を含む。
(生物学的な障壁)
他の実施形態では、障壁は生物学的である。そのような実施形態では、内皮細胞の層は、センサの性能を妨げる異物又は組織の沈着など、センサの活性を損なう傾向がある身体の生物学的プロセスから、埋め込まれたセンサを保護する障壁を提供する。センサ又はその一部は内皮細胞の層によって覆われるが、細胞は、追加の細胞、組織、又は物質がセンサ上に沈着できるようにはしない。内皮細胞のそのような層はセンサの性能を妨げない。いくつかの実施形態では、センサ全体が保護される。他の実施形態では、センサの一部が保護される。特定の実施形態では、保護されるセンサの一部は、環境から情報を受け取り、又は測定のための信号を送るセンサの一部である。さらに特定の実施形態では、センサが共振センサである場合、保護されるセンサの一部は振動可能な部材である。
生物学的な障壁によって保護されるセンサは、非生物学的な障壁によって保護されるように開示されたものと同じタイプである。したがって、図1〜10はそのようなセンサを概略的に表す。但し、好ましい実施形態では、弾性部材及び圧縮不能な媒体(非生物学的な障壁の両方の構成要素)は存在しない。
次に、本発明の一実施形態による、生物学的な障壁によって保護された、複数の振動可能な膜を有する保護された受動超音波圧力センサの概略断面図である図11を参照する。保護されたセンサは、第1の窪んだ基板層12、及び第1の窪んだ層12に封止するように取り付けられた第2の層14を含む、センサユニットを含んでもよい。第1の窪んだ層12は、その中に形成された複数の陥凹部を有する。3つの陥凹部のみが図11の断面図に示されているが、保護されたセンサは、任意の実用的な数の陥凹部(例えば、1つの陥凹部、2つの陥凹部、3つの陥凹部、又は3つを超える陥凹部など)を含むように設計されてもよい。第2の層14は、第1の層12に封止するように取り付けられるか、又は固着されて、複数の封止されたセンサユニットチャンバ17を形成する。上述したように、図11の断面図は3つの封止されたセンサユニットチャンバ17のみを示しているが、保護されたセンサ内の封止されたセンサユニットチャンバは、3つを超えても超えなくてもよい。センサは、第2の層14の外側表面に取り付けられた内皮細胞(23)の層によって保護される。
一実施形態では、内皮細胞は、センサに塗布されたコーティングに直接関連付けられ、したがってセンサには間接的に関連付けられる。この実施形態では、センサに塗布されたコーティングは、内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞がそれと相互作用し、それに付着することができるマトリックスを含む。別の実施形態では、センサにマトリックスが適用されていないので、内皮細胞はセンサに直接関連付けられる。
(マトリックス組成)
内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞がそれと相互作用し、それに付着するマトリックス(以下、「マトリックス」)は、内皮細胞又はその始原細胞の表面上にある分子(第2の分子)と相互作用することができる分子(第1の分子)を含む。第1及び第2の分子間の相互作用により、内皮細胞又はそれらの前駆体がセンサに付着するようにされる。第1の分子の非限定例は、抗体又はそれらの抗原結合フラグメント、小分子、及び細胞外マトリックス分子である。
一実施形態では、マトリックスは、センサ又はその一部に適用され、1つ又は複数の抗体又はそれらの抗原結合フラグメントを含む。抗体又はその抗原結合フラグメントは、特に、内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞の細胞膜又は細胞表面上の抗原に結合し、又はそれと相互作用し、その結果、循環及び周囲の組織からセンサに細胞を補充する。特定の一実施形態では、抗体が特にそれに結合する細胞膜又は細胞表面の抗原は、所望の細胞タイプ(例えば、内皮細胞又はそれらの始原細胞上のみに、又は主にそこに見出される)に対して特異的である。本発明において有用な抗体又はそれらの抗原結合フラグメントのいくつかの非限定例は、例えば、血管内皮細胞成長因子受容体−1、−2、及び−3(VEGFR−1、VEGFR−2、及びVEGFR−3、並びにVEGFR受容体群のアイソフォーム)、Tie−1、Tie−2、Thy−1、Thy−2、Muc−18(CD146)、幹細胞抗原−1(Sca−1)、幹細胞因子(SCF又はc−Kitリガンド)、VE−カドヘリン、P1H12、TEK、Ang−1、Ang−2、HLA−DR、CD30、CD31、CD34、CDw90、CD117、及びCD133などの抗原を対象とする。
他の特定の実施形態では、抗体が特異的にそれに結合する細胞膜又は表面の抗原は、所望の細胞タイプ上に排他的に見出されるものではない(例えば、細胞膜又は表面の抗原は、内皮細胞又はそれらの始原細胞上に加えて、他の細胞上に見出される)。そのような実施形態では、認識される抗原のプロフィールが所望の細胞タイプ(例えば、抗体の混合物によって特異的に結合される細胞膜又は表面の抗原は、内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞の組合せにのみ、又は主にそこに見出される)に特有のものであるように、非特異的な細胞膜又は表面の抗原に特異的に結合する抗体の混合物を使用するのが好ましいことがある。
本明細書で使用される用語「抗体」又は「その抗原結合フラグメント」は、抗原に特異的に結合し、特に対象の抗原(即ち、内皮細胞又はそれらの始原細胞の細胞膜又は細胞表面上の分子)に特異的に結合し、他の抗原には特異的に結合せず、若しくはそれらと交差反応しない、抗体又はその抗原結合フラグメントを指す。本発明の方法に使用される抗体としては、合成抗体、単クローン抗体、組換え生成された抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体フラグメント(scFv)(二重特異性scFvを含む)、単鎖抗体Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、ラクダ化単独ドメイン抗体、及び上記のいずれかのエピトープ結合フラグメントが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の方法に使用される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスのものであることができる。本発明の方法に使用される抗体は、鳥類及び哺乳動物(例えば、ヒト、ネズミ、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、トリなど)を含む任意の動物由来であってもよい。
本明細書で使用される用語「ヒト化抗体」は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小のシーケンスを含むキメラ抗体である、非ヒト(例えば、ネズミの)抗体の形態を指す。ヒト化抗体の更なる詳細については、欧州特許EP239400、同EP592106、及び同EP519596、国際出願WO91/09967及び同WO93/17105、米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、同第5,565,332号、同第5,585,089号、同第5,766,886号、及び同第6,407,213号、並びに、Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498、Studnicka et al., 1994, Protein Engineering 7(6):805-814、Roguska et al., 1994, PNAS 91:969-973、Tan et al., 2002, J. Immunol. 169:1119-25、Caldas et al., 2000, Protein Eng. 13:353-60、Morea et al., 2000, Methods 20:267-79、Baca et al., 1997, J. Biol. Chem. 272:10678-84、Roguska et al., 1996, Protein Eng. 9:895-904、Couto et al., 1995, Cancer Res. 55 (23 Supp):5973s-5977s、Couto et al., 1995, Cancer Res. 55:1717-22、Sandhu, 1994, Gene 150:409-10、Pedersen et al., 1994, J. Mol. Biol. 235:959-73、Jones et al., 1986, Nature 321:522-525、Reichmann et al., 1988, Nature 332:323-329、及び、Presta, 1992, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596を参照のこと。
本発明の方法に使用される抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、又は多特異性を超えるもの、一価又は多価のものであってもよい。多特異性抗体は、対象の抗原の様々なエピトープに免疫特異的に結合してもよく、又は、対象の抗原、並びに異種ポリペプチド又は固体支持材料などの異種エピトープの両方に、免疫特異的に結合してもよい。国際出願WO93/17715、同WO92/08802、同WO91/00360、及び同WO92/05793、Tutt, et al., 1991, J. Immunol. 147:60-69、米国特許第4,474,893号、同第4,714,681号、同第4,925,648号、同第5,573,920号、及び同第5,601,819号、並びに、Kostelny et al., 1992, J. Immunol. 148:1547-1553を参照のこと。
本発明の方法に使用される抗体又はそれらの抗原結合フラグメントは、抗体の合成に関して当該分野において既知の任意の方法により、特に化学合成により、又は好ましくは組換え表現技術(例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed. 1988)、Hammerling, et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981))により、生成することができる。さらに、抗体又はそれらのフラグメントは、American Type Tissue Collection(バージニア州マナッサ)などの市販のソースから得ることができる。
別の実施形態では、センサ又はその一部に適用されるマトリックスは、所望の細胞の細胞膜又は細胞表面上の1つ又は複数のリガンドを結合する1つ又は複数の小分子を含む。小分子は、細胞をセンサの表面上で不動化して、内皮細胞の層を形成するため、内皮細胞又はその始原細胞上のリガンドを認識し、且つそれと相互作用する。
本発明の方法に使用することができる小分子としては、無機又は有機化合物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、修正されたタンパク質などを含むがそれらに限定されないタンパク質分子、二本鎖DNA、一本鎖DNA、二本鎖RNA、一本鎖RNA、三重らせん核酸分子、又はそれらのハイブリッドを含むがそれらに限定されない核酸分子、脂肪酸、或いは糖類が挙げられるが、それらに限定されない。小分子は、任意の既知の有機体(動物、植物、バクテリア、菌類、原生生物、又はウイルスを含むが、それらに限定されない)由来の天然物であることができ、或いは1つ又は複数の合成分子であってもよい。
一実施形態では、本発明の方法に使用される小分子はレクチンである。レクチンは、内皮細胞特異性のレクチン抗原を結合する、非免疫由来の糖結合ペプチドである(Schatz et al., 2000, Biol Reprod 62: 691-697)。
他の実施形態では、様々な内皮細胞及び/又は始原細胞の表面受容体を対象とするように作製されている小分子を、本発明の方法に使用することができる。例えば、VEGF受容体は、SU11248(Sugen社製)(Mendel et al., 2003, Clin Cancer Res. 9:327-37)、PTK787/ZK222584(Drevs et al., 2003, Curr Drug Targets 4:113-21)、及びSU6668(Laird et al., 2002, FASEB J. 16:681-90)によって結合されることができ、αvβ3インテグリン受容体は、SM256及びSD983(Kerr et al., 1999, Anticancer Res. 19:959-68)によって結合されることができる。
別の実施形態では、センサ又はその一部に適用されるマトリックスは、内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞がそれに自然に付着する1つ又は複数の細胞外マトリックス(ECM)分子を含む。本発明にしたがって使用されるECM分子の例は、基底膜構成要素(コラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチンなど)、基底膜標本、ヘパリン、及びフィブリンである。
別の実施形態では、センサ又はその一部に適用されるマトリックスは、1つ又は複数の抗体又はそれらの抗原結合フラグメントの混合物、小分子、及び/又は細胞外マトリックス分子を含む。
マトリックス成分がタンパク質である実施形態では、本発明の方法は、即ち任意のタイプの分子をタンパク質に共有結合することによって修正された誘導体を含む。例えば、限定目的ではないが、例えば糖化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、誘導体化により、既知の保護/遮断群、タンパク質分解開裂、細胞リガンド又は他のタンパク質への連鎖などによって、修正されている誘導体タンパク質。さらに、誘導体は、1つ又は複数の非古典的アミノ酸を含んでもよい。
マトリックス成分は、当該分野において既知の任意の方法によって、センサ又はその一部に取り付けられてもよい。マトリックス成分は、共有結合(例えば、同種又は異種二官能性架橋剤を用いて)で、又は非共有結合でセンサに取り付けられることができる。その内容全体がそれぞれ参照により組み込まれる、米国特許公報US2002/0049495A1及びUS2003/0229393A1を参照のこと。
(細胞の取り付け)
本発明の方法によって保護されるセンサは、生物学的な障壁を形成する内皮細胞層がセンサ又はその一部に取り付けられる前、又はその後に、それを必要とする患者に埋め込まれてもよい。
一実施形態では、センサは、内皮細胞層をセンサ又はその一部に取り付ける前に、それを必要とする患者に埋め込まれる。そのような実施形態では、マトリックスがセンサ又はその一部に適用されている。そのようなセンサは、患者の身体の所望の領域に埋め込まれ、マトリックスは、循環又は周囲の組織からの内皮細胞又はそれらの始原細胞の補充を指示する。
別の実施形態では、センサは、内皮細胞層をセンサ又はその一部上に取り付けた後に、それを必要とする患者に埋め込まれる。そのような実施形態では、細胞層は、標準的な組織培養技術を使用して、エクスビボでセンサ又はその一部に取り付けられる。マトリックスは、センサに適用されてもされなくてもよいので、細胞は、センサ又はその一部に直接又は間接的に取り付けられてもよい。取り付けに使用される細胞は、治療される患者から事前に分離されていてもよく、又は別の個体から採取されていてもよい。生物学的な障壁を形成するのに使用される内皮細胞は、好ましくは一次細胞であり、より好ましくは、埋込み可能なセンサで治療されるのと同じ種由来のものでなければならない。
一実施形態では、内皮細胞が生物学的な障壁を提供する。例えば、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、その内容がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Jaffe, et al., 1973, J. Clin. Invest., 52:2745-2757及び米国特許公報US2003/0229393A1の方法に従って、臍の緒から得られる。別の実施形態では、内皮の始原細胞が生物学的な障壁を提供する。例えば、前駆体内皮細胞(EPC)は、その内容がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれる、Asahara et al., 1997, Science 275:964-967及び米国特許公報US2003/0229393A1の方法に従って、ヒトの末梢血から分離される。
(成長促進化合物)
いくつかの実施形態では、センサ又はそれに適用されるマトリックスは、生存を促進するか、成長を加速するか、又は内皮細胞及び/又はそれらの始原細胞の分化を引き起こすか若しくは促進する化合物を含む。内皮細胞の生存、増殖、及び/又は分化を刺激する任意の成長因子、サイトカインなどを、本発明の方法に使用することができる。本発明の方法に使用される化合物は、アンジオジェニン1、アンジオジェニン2、血小板由来成長因子(PDE−CGF)、血管内皮細胞成長因子121(VEGF121)、血管内皮細胞成長因子145(VEGF145)、血管内皮細胞成長因子165(VEGF165)、血管内皮細胞成長因子189(VEGF189)、血管内皮細胞成長因子206(VEGF206)、血管内皮細胞成長因子B(VEGF−B)、血管内皮細胞成長因子C(VEGF−C)、血管内皮細胞成長因子D(VEGF−D)、血管内皮細胞成長因子E(VEGF−E)、血管内皮細胞成長因子F(VEGF−F)、プロリフェリン、内皮PASタンパク質1、及びレプチンが挙げられるが、それらに限定されない、内皮細胞に特異的であることができる。本発明の方法に使用される化合物は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)、線維芽細胞成長因子3〜9(FGF−3〜9)、血小板誘導性成長因子(PIGF)、トランスフォーミング成長因子β1(TGFβ1)、トランスフォーミング成長因子α(TGFα)、肝細胞成長因子散乱因子(HGF/SF)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、オステオネクチン、アンジオポエチン1、アンジオポエチン2、インシュリン様成長因子(ILGF)、血小板由来成長因子AA(PDGF−AA)、血小板由来成長因子BB(PDGF−BB)、血小板由来成長因子AB(PDGF−AB)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、ヘパリン、インターロイキン8、チロキシン、又はそれらの機能的フラグメントが挙げられるが、それらに限定されない、内皮細胞に非特異的であることができる。
他の実施形態では、化合物は、センサ又はそれに適用されるマトリックス上に直接組み込まれるのではなく、センサが埋め込まれている領域に局所的に投与される。そのような投与は、センサの内皮細胞被覆面積の量又は寿命を増加させるため、埋込み時に、且つ/又は、埋込み時以降の様々な時間間隔で実行することができる。
本発明は限定された数の実施形態に関して記載されてきたが、本発明の保護されたセンサの構造、寸法、材料組成、及び構築方法、並びに、すべて本発明の範囲及び趣旨内にあると考えられる、本発明の保護されたセンサの他の多数の用途に対して、様々な変形、置換、及び修正が成されてもよいことが理解されるであろう。
本発明が関係する最新技術をさらに十分に説明するため、本明細書に引用されるすべての特許、公開された特許出願、好評された文献、書籍、リファレンスマニュアル、及び要約の内容は、それらの全体が参照によりここに組み込まれる。