JP4606839B2 - 電子流供給装置及び供給方法 - Google Patents

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本発明は、高エネルギーの電子流を供給する電子流供給装置、及び電子流供給方法に関するものである。
大強度のレーザ光を物質と相互作用させると、高エネルギーの電子が発生することが知られている。例えば、ペタワット(PW、1015W)程度の短パルスレーザ光を物質に照射することにより、MeVオーダのエネルギーを持ち、その発生点において電流100MA以上、電流密度100TA/cm以上の電子を発生させることができる(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)。
特開2004−55819号公報 R. Kodama et al., "Fast heating of ultrahigh-density plasma as a step towards laser fusion ignition", Nature Vol.412 pp.798-802 (2001) C. G. R. Geddes et al., "High-quality electron beams from a laser wakefield accelerator using plasma-channel guiding", Nature Vol.431 pp.538-541 (2004)
上記したように大強度レーザ光を物質、例えば金属等の薄膜、に照射して発生する電子は、発生する電子密度は大きいが、その拡散範囲が広いため電流密度が急激に小さくなってしまうなど、得られる電子の流れ、電子の進行方向の制御性が充分ではない。このことは、発生した電子を電子流(電子ビーム)として様々な分野に応用していく上で問題となる。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、優れた制御性を有する電子流を供給可能な電子流供給装置、及び電子流供給方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明による電子流供給装置は、(1)一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成され、レーザ光照射面から照射されたパルスレーザ光によって電子を発生させる電子発生手段と、(2)電子発生手段の電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられ、出射位置から出射された電子を伝送させて電子流として供給する電子流伝送手段とを備え、電子発生手段は、パルスレーザ光を照射することによって電子を発生させることが可能な導体からなり、レーザ光照射面側に向かって180°未満の開き角度を有するコーン形状に形成された電子発生部材であり、電子流伝送手段は、固体状の物質からなり、伝送経路に沿って略一定の径で延びるワイヤ形状に形成された電子流伝送部材であり、電子発生部材に対して照射されるパルスレーザ光は、10ps以下のパルス時間幅を有することを特徴とする。
また、本発明による電子流供給方法は、(a)一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成された電子発生手段と、(b)電子発生手段の電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられた電子流伝送手段とを備える電子流供給装置を用い、(c)電子発生手段に対してレーザ光照射面からパルスレーザ光を照射して電子を発生させ、出射位置から出射された電子を電子流伝送手段によって伝送させて電子流として供給するとともに、電子発生手段は、パルスレーザ光を照射することによって電子を発生させることが可能な導体からなり、レーザ光照射面側に向かって180°未満の開き角度を有するコーン形状に形成された電子発生部材であり、電子流伝送手段は、固体状の物質からなり、伝送経路に沿って略一定の径で延びるワイヤ形状に形成された電子流伝送部材であり、電子発生部材に対して照射されるパルスレーザ光は、10ps以下のパルス時間幅を有することを特徴とする。
上記した電子流供給装置及び供給方法においては、電子発生手段を構成する物質に対してレーザ光照射面から所定強度のパルスレーザ光を照射する。そして、電子発生手段で発生する電子に対して、レーザ光照射面とは反対側の面である電子出射面上の所定位置を電子出射位置として電子流伝送手段を設け、この電子流伝送手段によって電子流を伝送させている。このような構成によれば、大強度レーザ光を物質に照射して発生する電子を拡散させずに、所望の伝送経路に沿って伝送される電子流として制御することができる。これにより、優れた制御性を有する高エネルギーの電子流を供給することが可能となる。
ここで、電子発生手段の物質については、電子の発生効率などの点から金属などの導体を用いることが好ましい。あるいは、ガラスなどの絶縁体を用いても良い。同様に、電子流伝送手段の物質についても、様々な物質を用いて良い。また、これらの電子発生手段、電子流伝送手段については、固体状の物質によって構成された電子発生部材、電子流伝送部材を用いることが好ましいが、それに限定されるものではなく、液体状、あるいはガス状の物質によって構成されたものを用いることも可能である。
電子発生手段の具体的な構成については、電子発生手段は、レーザ光照射面側に向かって180°未満の開き角度を有するコーン形状に形成された電子発生部材であることが好ましい。これにより、電子発生手段に対してパルスレーザ光を照射することによる電子の発生効率、及び得られる電子流の強度を向上することができる。また、この場合のコーン部材の開き角度については60°以下とすることが特に好ましい。
一方、電子流伝送手段の具体的な構成については、電子流伝送手段は、所定の伝送経路に沿って略一定の径で延びるワイヤ形状に形成された電子流伝送部材であることが好ましい。これにより、電子発生手段から出射された電子を電子流として好適に伝送させることができる。また、この場合のワイヤ部材の径については20μm以下、あるいはさらに10μm以下とすることが好ましい。
また、電子流伝送手段は、電子発生手段に照射されるパルスレーザ光のパルス時間幅に対応する電子流の伝送経路に沿った幅の2倍以上の長さを有することが好ましい。これにより、得られる電子流を好適な状態で伝送させることが可能となる。ここで、パルスレーザ光のパルス時間幅とは、その時間波形における半値幅をいう。また、電子流の伝送経路に沿った幅とは、その長さ方向(進行方向)の波形における半値幅をいう。
電子発生手段に対して照射されるパルスレーザ光としては、10ps以下のパルス時間幅を有するパルスレーザ光を用いることが好ましい。このような短パルス幅のパルスレーザ光を用いることにより、電子流を好適に発生させることができる。また、このパルス時間幅については、1ps以下とすることが特に好ましい。
本発明の電子流供給装置及び供給方法によれば、電子発生手段を構成する物質に対して所定強度のパルスレーザ光を照射することによって発生する電子に対して、電子出射面上の所定位置を電子出射位置として電子流伝送手段を設け、この電子流伝送手段によって電子流を伝送させることにより、大強度レーザ光を物質に照射して発生する電子を拡散させずに、所望の伝送経路に沿って伝送される電子流として制御することができる。これにより、優れた制御性を有する高エネルギーの電子流を供給することが可能となる。
以下、図面とともに本発明による電子流供給装置、及び電子流供給方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明による電子流供給装置の一実施形態の構成を示す断面図である。ここでは、電子流供給装置の中心軸Axを含む面での断面構造を示している。本実施形態による電子流供給装置1Aは、中心軸Axに沿って配置された電子発生部材10と、電子流伝送部材20とによって構成されている。
電子発生部材10は、所定強度のパルスレーザ光を照射することによって電子を発生させることが可能な物質からなり、その一方の面(図中の左側の面)を電子流発生用のパルスレーザ光が照射されるレーザ光照射面11、他方の面(図中の右側の面)を発生した電子が出射される電子出射面12として構成されている。また、この電子発生部材10は、レーザ光照射面11側に向かって180°未満で所定の開き角度θを有し、その先端部15が閉じられた長さL1のコーン形状(中空円錐状)に形成されている。これにより、電子発生部材10のコーン形状の内側の面が上記したレーザ光照射面11、外側の面が電子出射面12となっている。
この電子発生部材10に対して、電子出射面12の所定位置に電子流伝送部材20が接続されている。具体的には、電子発生部材10において、その先端部15での先端径D1の電子出射面12上で中心軸Axを含む位置が電子出射位置16に設定されている。そして、中心軸Axの方向を電子流の伝送経路として、電子発生部材10の電子出射面12上の出射位置16から上記伝送経路に沿って所定の長さL2で延びるように電子流伝送部材20が設けられている。また、この電子流伝送部材20は、伝送経路となる中心軸Axに沿って略一定の径D2で延びるワイヤ形状に形成されており、その一端21が電子発生部材10に接続された電子流入射端、他端22が電子流出射端となっている。
次に、本発明による電子流供給方法について説明する。図2は、上記構成の電子流供給装置1Aを用いた電子流供給方法を示す図である。本電子流供給方法では、まず、図1に示したように、一方の面をレーザ光照射面11、他方の面を電子出射面12として構成された電子発生部材10と、電子発生部材10の電子出射面12上の電子出射位置16から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられた電子流伝送部材20とを備える電子流供給装置1Aを用意する。
そして、図2(a)に示すように、電子流供給装置1Aの電子発生部材10に対し、図中に破線によってレーザ光の進行方向を示すように、所定強度及びパルス時間幅を有するパルスレーザ光をレーザ光照射面11から照射する。このとき、電子発生部材10では、レーザ光が照射された壁面部、及びレーザ光がコーン形状の電子発生部材10内で集光照射された先端部15において、レーザ光によって加速された高エネルギー(例えばMeVオーダのエネルギー)の電子が多量に発生する。
電子発生部材10の各部において発生した電子は、図中に実線によって電子及び電子流の進行方向を示すように、コーン形状の電子発生部材10の先端部15へと集まる。そして、高エネルギーで高密度の電子流が出射位置16に接続されたワイヤ形状の電子流伝送部材20によってガイドされ、所定の伝送経路に沿って伝送されて電子流出射端22からバンチ状の電子流として供給される。
上記した電子流供給装置、及び電子流供給方法の効果について説明する。
本実施形態による電子流供給装置1A、及びそれを用いた電子流供給方法においては、電子発生部材10を構成する物質に対して、レーザ光照射面11から所定強度のパルスレーザ光を照射する。そして、電子発生部材10で発生する電子に対して、レーザ光照射面11とは反対側の面である電子出射面12上の所定位置を電子出射位置16として電子流伝送部材20を設け、この電子流伝送部材20によって電子流を伝送させている。このような構成によれば、大強度レーザ光を物質に照射して発生する電子を拡散させずに、所望の伝送経路に沿って伝送される電子流として制御することができる。これにより、優れた制御性を有する高エネルギーの電子流を供給することが可能となる。
詳述すると、電子発生部材10で発生した高エネルギーの電子流は、図2(a)に示すように、電界Eと磁界Bとのバランスによって、ワイヤ形状の電子流伝送部材20に沿ってうねる(巻きつく)ようにガイドされる。このとき、電子流伝送部材20は大強度のパルスレーザ光の照射等によってプラズマ化して、過渡的にファイバ状で高密度のプラズマ(プラズマファイバ)の状態となっている。電子発生部材10で発生した電子流は、このプラズマファイバに沿って伝送される。
図3は、電子流伝送部材における電子の軌道例(計算例)を示す図である。上記した電界Eと磁界Bとのバランスによってワイヤ形状のプラズマファイバに沿ってガイドされる電子の流れは、その進行方向の成分のみでなく横方向への振動成分も持っており、電子流は電子流伝送部材20の周囲で振動する。この電子流の横方向への振動によるエネルギーは、伝送部材20に含まれるイオンに与えられて次第に減少していく。これにより、図2(a)及び図3に示すように、電子流は次第に伝送部材20に向かって集束し、最終的にほぼ進行方向のみの電子の流れとなって伝送される。そして、この電子流は、電子流伝送部材20によって生成されたプラズマファイバの電子流出射端22から、広がりが小さく高密度の電子バンチとして出射、供給される。
また、このような構成では、電子発生部材10から出射される電子流の伝送経路を電子流伝送部材20によって制御することが可能である。図4は、電子流供給装置によって得られる電子流の出射角度プロファイルを示す図である。この図4において、プロファイル(a)は電子流伝送部材20を中心軸Axに沿って設けた場合に得られる電子流の出射角度プロファイルを示し、プロファイル(b)は電子流伝送部材20を中心軸Axに対して15°傾けて設けた場合に得られる電子流の出射角度プロファイルを示している。また、これらのプロファイル(a)、(b)では、電子流が出射される角度範囲を、斜線を付して模式的に図示している。
図4に示すプロファイル(a)では、上記構成の電子流供給装置1Aから出射される電子流の拡散角度は5°程度となっており、電子流が充分に集束されていることがわかる。また、プロファイル(a)、(b)を比較すると、電子発生部材10に対する電子流伝送部材20の設置角度と、電子流伝送部材20の出射端22から供給される電子流の出射角度とは、良く対応していることがわかる。このことは、電子流の伝送経路が、電子流伝送部材20に沿う経路となるように制御されていることを示している。
図1に示した電子流供給装置1Aにおいて得られるこのような電子流の集束性、及びその伝送経路の制御性は、大強度のパルスレーザ光を物質に照射することによって発生した電子を電子流(電子ビーム)として様々な分野、様々な装置に応用していく上で非常に有用である。特に、電子流に対して電子発生部材10及び電子流伝送部材20を用いる上記構成(図2(a)参照)は、光に対して集束レンズ91及び光伝送手段である光ファイバ92を用いる構成(図2(b)参照)に相当するものである。また、このような構成の電子流供給装置1Aでは、パルスレーザ光から電子流への高いエネルギー変換効率(例えば40%程度)を得ることが可能である。
なお、上記構成の電子流供給装置1Aでは、電子流が発生することによって供給装置1Aの各部において不足した電子は、電子流伝送部材20を逆方向に流れるリターン電流、あるいは電子発生部材10に接続されたアースからの電流などによって補償される。このため、電子流供給装置1Aでは、このような補償用の電子供給経路(例えば電子発生部材10のアースへの接続経路)を設けておくことが好ましい。
ここで、電子発生部材10の具体的な構成については、図1に示したように、レーザ光照射面11側に向かって180°未満の開き角度θを有するコーン形状に形成された電子発生部材10を用いることが好ましい。これにより、電子発生部材10に対してパルスレーザ光を照射することによる電子の発生効率、及び得られる電子流の強度を向上することができる。
また、この場合のコーン形状の発生部材10の開き角度については60°以下とすることが特に好ましい。そのような電子発生部材10の構成例としては、例えば、長さがL1=700μm、開き角度がθ=30°、先端部15における先端径がD1=φ30μmの形状に形成された金のコーン部材がある。また、図5に、図1に示した電子流供給装置1Aの変形例として電子流供給装置1Bの断面図を示すように、パルスレーザ光の照射条件や必要とされる電子流の強度などに応じて、電子発生部材10の開き角度θを大きく設定しても良い。あるいは、電子発生部材10を開き角度がθ=180°の形状、すなわち平板形状に形成しても良い。
一方、電子流伝送部材20の具体的な構成については、図1に示したように、所定の伝送経路に沿って略一定の径D2で延びるワイヤ形状に形成された電子流伝送部材20を用いることが好ましい。これにより、電子発生部材10から出射された電子の進行方向を確実に制御して、電子流として好適に伝送させることができる。
また、この場合のワイヤ形状の伝送部材20の径については20μm以下、あるいはさらに10μm以下とすることが好ましい。そのような電子流伝送部材20の構成例としては、例えば上記した電子発生部材10の構成例に対応するものとして、長さがL2=1mm、直径がD2=φ5μmの形状に形成されたカーボンのワイヤ部材がある。また、必要とされる電子流の伝送条件などに応じて、ワイヤ形状以外にも様々な形状の電子流伝送部材20を用いて良い。なお、図3に示した電子の軌道例、及び図4に示した電子流の出射角度プロファイルは、具体例として上記した金のコーン部材、及びカーボンのワイヤ部材を用いた構成に対応している。
また、電子流伝送部材20は、電子発生部材10に対して照射されるパルスレーザ光のパルス時間幅に対応する電子流の伝送経路に沿った幅の2倍以上の長さを有することが好ましい。これにより、電子発生部材10から出射される電子流を、電子流伝送部材20に対して充分に集束させつつ好適な状態で伝送させることが可能となる。
ここで、パルスレーザ光のパルス時間幅とは、その時間波形における半値幅をいう。また、電子流の伝送経路に沿った幅とは、その長さ方向(進行方向)の波形における半値幅をいう。電子流供給装置1Aで得られる電子流の幅は、パルスレーザ光の長さ方向の幅にほぼ対応し、例えばパルス時間幅が1psであれば、長さに換算して得られる電子流の幅は300μmとなる。この場合、上記した構成条件により、電子流伝送部材20の長さを300μmの2倍以上、すなわち600μm以上とすることが好ましい。
電子発生部材10に対して照射されるパルスレーザ光については、そのパルス時間幅を10ps以下とすることが好ましい。このような短パルス幅のパルスレーザ光を用いることにより、充分な強度を有する電子流を好適に発生させることができる。また、このパルス時間幅については、1ps以下とすることが特に好ましい。そのようなパルスレーザ光の例としては、例えば、パルス時間幅0.5〜1ps、エネルギー200Jのパルスレーザ光を角度10°の集光レンズF7で集光しつつ電子発生部材10へと照射する構成がある。
また、電子発生部材10を構成する物質については、電子の発生効率などの点から金属などの導体を用いることが好ましい。あるいは、ガラスなどの絶縁体を用いても良い。同様に、電子流伝送部材20の物質についても、様々な物質を用いて良い。ただし、絶縁体を用いた場合には、一般には、金属を用いた場合に比べて電子発生部材10に照射するパルスレーザ光のエネルギーを大きくする必要がある。
また、電子発生部材10を構成する物質、及びその形状については、先端部15へのパルスレーザ光の集光条件等をも考慮することが好ましい。なお、この場合のパルスレーザ光の集光は、電子発生部材10の物質がプラズマ化した状態での集光現象であり、通常の光の集光とは異なるものであることに注意を要する。また、上記した電子発生部材10のコーン形状は、このような電子発生部材10の先端部15へのパルスレーザ光の集光特性の点でも有効である(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば金属製のコーン部材及びワイヤ部材を電子発生部材10及び電子流伝送部材20として用いた場合、単発のパルスレーザ光の照射でそれらの部材10、20はアブレーションによって消失する。したがって、このような場合には、電子流供給装置1Aは単発でのみ利用することができる。
また、これらの電子発生部材10、電子流伝送部材20については、上記実施形態のように固体状の物質によって構成された電子発生部材、電子流伝送部材を用いることが好ましいが、それに限定されるものではない。例えば、液体状、あるいはガス状の物質によって構成された電子発生手段、電子流伝送手段を用いることも可能である。
一般には、電子流供給装置は、一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成され、レーザ光照射面から照射されたパルスレーザ光によって電子を発生させる電子発生手段と、電子発生手段の電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられ、出射位置から出射された電子を伝送させて電子流として供給する電子流伝送手段とを備える構成であれば良い。
図6は、本発明による電子流供給装置の他の実施形態の構成を示す断面図である。本実施形態による電子流供給装置1Cは、電子発生手段及び電子流伝送手段を構成する物質として、水などの液体を用いている。
具体的には、電子流供給装置1Cは、電子発生手段及び電子流伝送手段として用いられる液体流を生成するための液体流生成管41と、液体流生成管41へと液体を供給する液体供給口42とを有する液体流生成器40を備えている。液体流生成管41は、軸Axを中心軸とし、その径が液体の流れる方向に向かって小さくなる二重管形状に形成されている。また、液体流生成管41の液体が流れる方向の端面にはリング状の開口43が設けられている。
このような構成において、液体供給口42から供給されて液体流生成管41内の液体流路を流れた水などの液体は、このリング状の開口43から内側(中心軸Ax側)に向かうように流れ出る。また、このように流れ出たリング状の液体流は、開口43から所定距離の位置33で合流して一本の液体流となる。このとき、この合流位置33よりも上流側の液体流部分は、その一方の面をレーザ光照射面31、他方の面を電子出射面32とした電子発生部30を構成している。また、合流位置33(電子発生部30の先端部及び電子出射位置に相当)よりも下流側の液体流部分は、電子発生部30の電子出射面32上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びる電子流伝送部35を構成している。
このように、電子発生手段及び電子流伝送手段を有する電子流供給装置は、固体状の物質のみでなく、液体状の物質による液体流、あるいはガス状の物質によるガスジェット等を用いて構成することも可能である。また、液体流生成器40を用いた図6の構成では、電子発生部30及び電子流伝送部35を構成する液体流が連続的に供給されるため、電子流供給装置1Cに対するパルスレーザ光の照射、及びそれによる電子流の供給を繰り返し連続的に実行することができるという利点がある。
なお、図1に示した構成では、中心軸Axの方向を電子流の伝送経路として、電子流伝送部材20を電子発生部材10の電子出射面12上の出射位置16から上記伝送経路に沿って延びるように構成している。このような電子流伝送手段の具体的な構成については、所望の電子流の供給条件に応じて様々な構成を用いることができる。
図7及び図8は、それぞれ電子流伝送部材の構成の変形例を示す図である。図7の構成例(a)は、電子発生部材10の電子出射位置から軸Axに沿って延びるように電子流伝送部材20を設けた構成であり、図1に示した構成に対応している。また、図7の構成例(b)は、電子発生部材10の電子出射位置から軸Axに対して所定角度で傾いた方向に沿って延びるように電子流伝送部材20を設けた構成である(図4のプロファイル(b)を参照)。また、図7の構成例(c)は、構成例(a)と同様の構成であるが、電子流伝送部材20の径が一定ではなく、電子発生部材10に接続された電子流入射端から出射端に向けて径が小さくなる形状となっている。
図8の構成例(a)は、電子発生部材10の電子出射位置に対し、軸Axに沿って延びる第1の電子流伝送部材20aと、軸Axに対して所定角度で傾いた方向に沿って延びる第2の電子流伝送部材20bとの2つの電子流伝送部材を設けた構成である。このように複数の電子流伝送部材を設けることにより、複数の電子流を供給することができる。
図8の構成例(b)は、電子発生部材10の電子出射位置に対し、軸Axに沿って延びるように電子流伝送部材20を設けるとともに、電子流伝送部材20を所定位置で軸Axに対して所定角度で傾いた方向に折れ曲がった形状とした構成である。また、図8の構成例(c)は、電子発生部材10の電子出射位置に対し、軸Axに沿って延びるとともに、所定位置で軸Axに対して互いに異なる角度で傾いた2つの伝送部材部分20c、20dに分岐した形状の電子流伝送部材20を設けた構成である。これらの図7、図8に示すように、電子流伝送手段の構成については、その形状、伝送経路、本数等、様々に構成を変形することが可能である。
図9は、本発明による電子流供給装置の他の実施形態の構成を示す断面図である。本実施形態による電子流供給装置1Dは、電子発生部材100と、電子流伝送部材201〜206とによって構成されている。
この電子流供給装置1Dは、複数(図9の例では6つ)の電子流供給部を有して構成されている。具体的には、電子発生部材100は、それぞれ電子発生部材100のレーザ光照射面となる一方の面に形成された凹部からなり、所定の配置間隔で1次元に配列された6つの電子発生部101〜106を有している。また、電子発生部材100の電子出射面となる他方の面上で、それぞれ電子発生部101〜106に対応する位置に、6つの電子流伝送部材201〜206が設けられている。
このような構成の電子流供給装置1Dによれば、電子発生部材100の位置をずらしながら、電子発生部101〜106及び電子流伝送部材201〜206から構成される6つの電子流供給部に対して順次、パルスレーザ光を照射することにより、複数の電子流を連続的に供給することが可能である。また、このように複数の電子流供給部を設ける構成では、その配列は1次元配列に限らず、2次元配列としても良い。
本発明による電子流供給装置は、得られる電子流の優れた集束性、制御性により、様々な分野、様々な装置に対して応用が可能である。以下、そのような電子流供給装置の応用例について説明する。
図10は、電子流供給装置を用いたX線発生装置の構成例(a)、(b)を示す図である。図10の構成例(a)に示すX線発生装置5Aは、コーン形状を有する電子発生部材51の電子出射面上の電子出射位置に対して、電子流伝送部材52、及びX線源部56を順に接続して構成されている。
X線源部56は、Cu(銅)、Fe(鉄)、あるいはCr(クロム)などの所定の物質からなり、電子発生部材51から電子流伝送部材52を介して電子流が供給されることによってX線を発生させるX線発生手段である。例えば、X線源部56として微小なCu玉をワイヤ形状の電子流伝送部材52の先端に接続する構成を考える。このとき、X線源部56のCu玉が電子流によって加熱されると、Cuの特性X線(kα線)が発生する。これにより、このX線発生装置5Aは、X線の微小点光源として機能する。
また、図10の構成例(b)に示すX線発生装置5Bは、電子発生部材51の電子出射面上の電子出射位置に対して、第1の電子流伝送部材52a、第1のX線源部56、第2の電子流伝送部材52b、第2のX線源部57、第3の電子流伝送部材52c、及び第3のX線源部58を順に接続して構成されている。
このような構成では、電子発生部材51で発生した電子流が電子流伝送部材52a、52b、52cを介して、3つのX線源部56、57、58に順次供給される。このとき、X線源部56、57、58の物質がそれぞれ電子流によって加熱され、X線源部56、57、58の順で異なるタイミングでX線が発生する。これにより、このX線発生装置5Bは、X線の多点の微小点光源として機能する。また、X線源部56、57、58の物質を互いに異なる物質としておけば、異なる波長の特性X線を異なるタイミングで順次放射するX線発生装置が実現される。なお、X線源部としてCuを用いた場合のX線の波長は0.1542nm、Feを用いた場合の波長は0.1937nm、Crを用いた場合の波長は0.2291nmである。
一般には、電子流供給装置を用いたX線発生装置は、一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成され、上記レーザ光照射面から照射されたパルスレーザ光によって電子を発生させる電子発生手段と、上記電子発生手段の上記電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられ、上記出射位置から出射された電子を伝送させて電子流として供給する電子流伝送手段と、上記電子流伝送手段による上記電子流の上記伝送経路上に設けられ、上記電子流が供給されることによってX線を発生させるX線発生手段とを備える構成とすることが好ましい。また、X線発生手段(X線源部)の配置構成としては、図10の構成例(a)、(b)に示したように、電子流伝送部材の電子流出射端に接続する構成、または電子流伝送部材の途中に挿入する構成等を用いることができる。
図11は、電子流供給装置を用いたX線発生装置の他の構成例を示す図である。図11の構成例に示すX線発生装置5Cは、図10の構成例(b)と同様の構成を有し、電子発生部材51の電子出射面上の電子出射位置に対して、第1の電子流伝送部材52a、第1のX線源部56、第2の電子流伝送部材52b、第2のX線源部57、第3の電子流伝送部材52c、及び第3のX線源部58を順に接続して構成されている。
また、本構成例では、X線発生装置5Cを用いてX線フレーミング顕微鏡を構成した例を示している。具体的には、図11においては、測定対象となる試料Sに対し、試料Sを中心とする円上に一定間隔でX線源部56、57、58が配置されるように、X線発生装置5Cの電子流伝送部材52a、52b、52cを曲線状に配置する。そして、X線源部56、57、58に対し、それぞれ試料Sを挟む位置にX線フィルタ56a、57a、58a、及びX線検出器56b、57b、58bを配置している。
このような構成において、電子発生部材51から電子流が供給されると、時刻t=t1において第1のX線源部56から波長λ=λ1のX線が放射される。これに対して、X線源部56に対応するフィルタ56aとして、波長λ=λ1のX線を透過する特性のものが用いられ、このフィルタ56aを透過したX線が検出器56bによって検出される。
同様に、時刻t=t2において第2のX線源部57から波長λ=λ2のX線が放射される。これに対して、X線源部57に対応するフィルタ57aとして、波長λ=λ2のX線を透過する特性のものが用いられ、このフィルタ57aを透過したX線が検出器57bによって検出される。さらに、時刻t=t3において第3のX線源部58から波長λ=λ3のX線が放射される。これに対して、X線源部58に対応するフィルタ58aとして、波長λ=λ3のX線を透過する特性のものが用いられ、このフィルタ58aを透過したX線が検出器58bによって検出される。
このような構成により、時間経過に応じた試料Sの複数のX線イメージを取得することができ、X線フレーミング顕微鏡を構成することができる。なお、このような構成では、X線源部56、57、58で発生するX線の波長λ1、λ2、λ3を異なる波長として、それらの識別を行うことが好ましい。ただし、これらの波長λ1、λ2、λ3を同一の波長としても良い。また、X線検出器の前段にフィルタを設ける代わりに、X線源部にX線コリメータを設ける等の構成を用いても良い。
図12は、電子流供給装置を用いたX線レーザ装置の構成例を示す図である。また、図13は、図12に示したX線レーザ装置について、(a)一部を拡大した側面断面図、及び(b)正面断面図を示す図である。図12の構成例に示すX線レーザ装置6Aは、電子発生部材61と、電子流伝送部材62と、変換層63と、X線レーザ媒質層64とによって構成されている。
このX線レーザ装置6Aは、図13(b)に示すように、電子発生部材61に接続されたワイヤ形状の電子流伝送部材62を中心として、電子流伝送部材62を内部に含むようにその外周上に、変換手段である変換層63、及びX線レーザ媒質からなる媒質層64とを順に形成した構成となっている。すなわち、X線レーザ装置6Aは、変換層63及び媒質層64からなる構造体中に電子流伝送部材62が埋め込まれた構成となっている。
このような構成において、電子発生部材61から電子流伝送部材62を介して電子流が供給されると、伝送部材62の周囲にある変換層63において電子流のエネルギーが光に変換され、この光が励起光としてX線レーザ媒質層64へと供給される。そして、X線レーザ媒質層64において、変換層63からの励起光によってX線が発生し、図13(a)に示すように、このX線がX線レーザ光として電子流の進行方向と略同一の方向に出射される。特に、電子発生部材61及び電子流伝送部材62からなる電子流供給装置を用いた上記構成では、ワイヤ形状等の電子流伝送部材62によって電子流が狭い領域に閉じ込められて、変換層63及び媒質層64からなる構造体に対して高密度の電子流として供給される。これにより、高効率でX線レーザ光を発生させることが可能となる。
一般には、電子流供給装置を用いたX線レーザ装置は、一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成され、上記レーザ光照射面から照射されたパルスレーザ光によって電子を発生させる電子発生手段と、上記電子発生手段の上記電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられ、上記出射位置から出射された電子を伝送させて電子流として供給する電子流伝送手段と、上記電子流伝送手段を内部に含み、上記電子流伝送手段から供給された上記電子流を励起光に変換する変換手段と、上記変換手段からの上記励起光によってX線を発生させるX線レーザ媒質とを備える構成とすることが好ましい。
なお、X線レーザ装置については、例えば、文献「E. Fill et al., "Relativistic plasma pumping of x-ray lasers", Inst. Phys. Conf. Ser. No.159 Paper presented at X-ray Lasers Conf., Kyoto, Japan, 31 August - 4 September 1998, pp.301-308」に記載がある。
図14は、電子流供給装置を用いた核融合ターゲットの構成例を示す図である。図14の構成例に示す核融合ターゲット7Aは、電子発生部材71と、電子流伝送部材72と、核融合燃料部73とによって構成されている。この核融合ターゲット7Aは、高速点火方式を用いるものであり、DT燃料層、及びその外周上に設けられたアブレータ層から構成された球状の核融合燃料部73が、電子流伝送部材72に対して、その電子流出射端を中心として取り付けられている。
ここで、従来の高速点火方式では、金のコーン部材の先端に核融合燃料部の燃料ペレットを取り付けている。このような構成では、燃料ペレットのうちでコーン部材が突き刺さっていて爆縮に用いられない部分が大きく、その分、爆縮の効率が低くなる。これに対して、本構成例の核融合ターゲット7Aでは、例えば外径5μmのワイヤ部材、あるいは内径5μm、外径10μmのキャピラリ部材などからなる細い電子流伝送部材72を電子発生部材71に接続し、この電子流伝送部材72を核融合燃料部73に突き刺した構成を採用している。これにより、燃料ペレットのうちで爆縮に用いられない部分を小さくして、その爆縮の効率を向上することが可能となる。
一般には、電子流供給装置を用いた核融合ターゲットは、一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成され、上記レーザ光照射面から照射されたパルスレーザ光によって電子を発生させる電子発生手段と、上記電子発生手段の上記電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられ、上記出射位置から出射された電子を伝送させて電子流として供給する電子流伝送手段と、上記電子流伝送手段の電子流出射端を中心として取り付けられ、燃料層、及びその外周上に設けられたアブレータ層を有する核融合燃料部とを備える構成とすることが好ましい。
なお、上記のように核融合燃料部73の燃料ペレットに電子流伝送部材72を突き刺した構成では、燃料部73の爆縮に対して電子流伝送部材72を保護するための保護手段を設けることが好ましい。このような保護手段としては、例えば、電子流の伝送経路に沿って電子流伝送部材72を覆う保護部材を設ける構成がある。
図15は、図1に示した電子流供給装置の変形例(a)、(b)を示す図である。これらの変形例(a)、(b)は、電子発生部材から所定の伝送経路に沿って延びる電子流伝送部材のワイヤ部材が均一な構成ではなく、その長さ方向(電子流の伝送経路)に沿って変調構造を有する例を示している。
図15の変形例(a)に示す電子流供給装置8Aは、図1に示した供給装置1Aと同様に、電子発生部材81と、電子流伝送部材82とによって構成されている。また、本変形例においては、電子流伝送部材82は、第1の物質からなる伝送部材部分82aと、第1の物質とは異なる第2の物質からなる伝送部材部分82bとが所定の間隔で交互に設けられた構成となっている。
このような変調構造は、具体的には、例えば、第1の物質をCu(銅)、第2の物質をC(炭素)として構成することができる。この場合、カーボンワイヤの一部にCuをイオン打ち込みし、その組成に分布を与えることによって、上記構造を有する電子流伝送部材82が得られる。また、上記したように、例えばパルスレーザ光のパルス時間幅が1psであれば、長さに換算して得られる電子流の幅は300μmであるが、上記した伝送部材部分82a、82bを30μm毎に設けた場合、電子流の幅中に10個の伝送部材部分を有する変調構造を形成することができる。
また、図15の変形例(b)に示す電子流供給装置8Bは、図1に示した供給装置1Aと同様に、電子発生部材81と、電子流伝送部材83とによって構成されている。また、本変形例においては、電子流伝送部材83は、そのワイヤの太さ(径)が正弦波的に変化する変調構造を有する構成となっている。このように、電子流伝送部材の変調構造については、具体的には様々な構成を用いることが可能である。
図16は、電子流供給装置を用いたレーザ装置の構成例を示す図である。図15の変形例(a)、(b)に示したように、電子流伝送部材が電子流の伝送経路に沿って変調構造を有する構成の電子流供給装置を用いた場合、電子の進行方向に沿って、自由電子レーザ(FEL)と同様の原理で光を発生させることが可能である。
図16に示すレーザ装置である電子流供給装置8Cは、図15の構成例(b)と同様の構成を有し、電子発生部材81と、ワイヤの太さが正弦波的に変化する変調構造を有する電子流伝送部材84とによって構成されている。このような構成において、電子流伝送部材84を伝送される電子流は、FELにおけるウィグラー(周期的に反転した磁石)と同等の働きをする。すなわち、この電子流伝送部材84を伝送される電子流による電場の振動は、約10psにわたって連続的に存在し得る。したがって、そのような変調された電場が存在している間に、図16に示すように電子流伝送部材84に沿って後方から電子ビームを入射させると、伝送部材84の周囲に存在する変調電場によって、FEL光を発生させることができる。
本発明による電子流供給装置、及び電子流供給方法は、上記した実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。また、電子流供給装置の応用についても、上記したX線発生装置等に限らず、さらに様々な分野に対して本発明による電子流供給装置、及び電子流供給方法を広く適用することが可能である。
本発明は、優れた制御性を有する電子流を供給可能な電子流供給装置、及び電子流供給方法として利用可能である。
電子流供給装置の一実施形態の構成を示す断面図である。 図1に示した電子流供給装置を用いた電子流供給方法を示す図である。 電子流伝送部材における電子の軌道例を示す図である。 電子流供給装置によって得られる電子流の出射角度プロファイルを示す図である。 図1に示した電子流供給装置の変形例を示す断面図である。 電子流供給装置の他の実施形態の構成を示す断面図である。 電子流伝送部材の構成の変形例を示す図である。 電子流伝送部材の構成の変形例を示す図である。 電子流供給装置の他の実施形態の構成を示す断面図である。 電子流供給装置を用いたX線発生装置の構成例を示す図である。 電子流供給装置を用いたX線発生装置の他の構成例を示す図である。 電子流供給装置を用いたX線レーザ装置の構成例を示す図である。 図12に示したX線レーザ装置について示す図である。 電子流供給装置を用いた核融合ターゲットの構成例を示す図である。 図1に示した電子流供給装置の変形例を示す図である。 電子流供給装置を用いたレーザ装置の構成例を示す図である。
符号の説明
1A〜1D…電子流供給装置、10…電子発生部材、11…レーザ光照射面、12…電子出射面、15…先端部、16…電子出射位置、20…電子流伝送部材、21…電子流入射端、22…電子流出射端、30…電子発生部、31…レーザ光照射面、32…電子出射面、33…合流位置、35…電子流伝送部、40…液体流生成器、41…液体流生成管、42…液体供給口、43…開口、100…電子発生部材、101〜106…電子発生部、201〜206…電子流伝送部材、
5A〜5C…X線発生装置、51…電子発生部材、52…電子流伝送部材、56〜58…X線源部、6A…X線レーザ装置、61…電子発生部材、62…電子流伝送部材、63…変換層、64…X線レーザ媒質層、7A…核融合ターゲット、71…電子発生部材、72…電子流伝送部材、73…核融合燃料部、8A、8B…電子流供給装置、8C…電子流供給装置(レーザ装置)、81…電子発生部材、82〜84…電子流伝送部材。

Claims (10)

  1. 一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成され、前記レーザ光照射面から照射されたパルスレーザ光によって電子を発生させる電子発生手段と、
    前記電子発生手段の前記電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられ、前記出射位置から出射された電子を伝送させて電子流として供給する電子流伝送手段と
    を備え
    前記電子発生手段は、前記パルスレーザ光を照射することによって電子を発生させることが可能な導体からなり、前記レーザ光照射面側に向かって180°未満の開き角度を有するコーン形状に形成された電子発生部材であり、
    前記電子流伝送手段は、固体状の物質からなり、前記伝送経路に沿って略一定の径で延びるワイヤ形状に形成された電子流伝送部材であり、
    前記電子発生部材に対して照射される前記パルスレーザ光は、10ps以下のパルス時間幅を有することを特徴とする電子流供給装置。
  2. 前記電子発生部材は、前記レーザ光照射面側に向かって60°以下の開き角度を有する前記コーン形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子流供給装置。
  3. 前記電子流伝送部材は、前記伝送経路に沿って略一定で20μm以下の径で延びる前記ワイヤ形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電子流供給装置。
  4. 前記電子流伝送部材は、前記電子発生部材に照射される前記パルスレーザ光のパルス時間幅に対応する前記電子流の前記伝送経路に沿った幅の2倍以上の長さを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の電子流供給装置。
  5. 前記電子発生部材は、金のコーン部材であり、前記電子流伝送部材は、カーボンのワイヤ部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の電子流供給装置。
  6. 一方の面をレーザ光照射面、他方の面を電子出射面として構成された電子発生手段と、前記電子発生手段の前記電子出射面上の出射位置から所定の伝送経路に沿って延びるように設けられた電子流伝送手段とを備える電子流供給装置を用い、
    前記電子発生手段に対して前記レーザ光照射面からパルスレーザ光を照射して電子を発生させ、前記出射位置から出射された電子を前記電子流伝送手段によって伝送させて電子流として供給するとともに、
    前記電子発生手段は、前記パルスレーザ光を照射することによって電子を発生させることが可能な導体からなり、前記レーザ光照射面側に向かって180°未満の開き角度を有するコーン形状に形成された電子発生部材であり、
    前記電子流伝送手段は、固体状の物質からなり、前記伝送経路に沿って略一定の径で延びるワイヤ形状に形成された電子流伝送部材であり、
    前記電子発生部材に対して照射される前記パルスレーザ光は、10ps以下のパルス時間幅を有することを特徴とする電子流供給方法。
  7. 前記電子発生部材は、前記レーザ光照射面側に向かって60°以下の開き角度を有する前記コーン形状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の電子流供給方法。
  8. 前記電子流伝送部材は、前記伝送経路に沿って略一定で20μm以下の径で延びる前記ワイヤ形状に形成されていることを特徴とする請求項6または7記載の電子流供給方法。
  9. 前記電子流伝送部材は、前記電子発生部材に照射される前記パルスレーザ光のパルス時間幅に対応する前記電子流の前記伝送経路に沿った幅の2倍以上の長さを有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載の電子流供給方法。
  10. 前記電子発生部材は、金のコーン部材であり、前記電子流伝送部材は、カーボンのワイヤ部材であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項記載の電子流供給方法。
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