JP4604763B2 - バックライト装置及び液晶表示装置 - Google Patents
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バックライト装置の光源としては、蛍光管を使った白色光を発光するCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)や、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が有望視されている(例えば特許文献1参照。)。
特に、青色発光ダイオードの開発により、光の三原色である赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ発光する発光ダイオードが揃ったことになり、これらの発光ダイオードから出射される赤色光、緑色光、青色光を混色することで、色純度の高い白色光を得ることができる。したがって、この発光ダイオードをバックライト装置の光源とすることにより、液晶表示パネルを介した色純度が高くなるため、色再現範囲をCCFLと比較して大幅に広げることができる。更に、高出力の発光ダイオード(LED)チップを使用することによって、バックライト装置の輝度を大幅に向上させることができる。
更に、このような導光板を用いたバックライト装置においては、白色PETフィルム等からなる乱反射成分を持つ反射シートを背面に配置することで光を散乱させ、輝度を均一化していることが多い。
しかしながらこれらのシートは正反射成分が少ないため、輝度が低いという問題がある。このために、誘電体多層膜により反射率増加が図られた増反射ミラーを利用することが考えられる。この増反射ミラーは、液晶表示装置において輝度向上によく利用されている(例えば特許文献2参照。)。
この増反射ミラーを導光板に用いる場合、熱により導光板や増反射ミラーにひずみが生じ、そのひずみにより輝度ムラが生じることがあった。
これは、ひずみにより増反射ミラーへの光の入射角が光学設計からずれ、この部分において反射率の低下を招き、輝度ムラを生じるためである。
この現象を防止するため、増反射ミラーの表面に粒子を分散させて導光板とミラーシートとのひずみに対する緩衝としてのスペースを設ける構造が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
したがって、本発明によるバックライト装置は、反射構造部に光散乱成分を付与することなく、正反射成分を利用するので、輝度の向上を図ることが可能となる。
また、本発明の液晶表示装置によれば、輝度の向上を図ることができる。
先ず、本発明によるバックライト装置を適用して好適な透過型の液晶表示装置の一例について図1の概略構成図を参照して説明する。
図1に示すように、この透過型の液晶表示装置200は、透過型の液晶表示パネル100と、その背面側に設けられたバックライト装置10とより構成される。図示しないが、この液晶表示装置110は、地上波や衛星波を受信するアナログチューナー、デジタルチューナーといった受信部、この受信部で受信した映像信号、音声信号をそれぞれ処理する映像信号処理部、音声信号処理部、またこの音声信号処理部で処理された音声信号を出力するスピーカといった音声信号出力部などを備えていてもよい。
この例は、アクティブマトリクス駆動方式による液晶表示装置の場合を示し、ガラス等より成る第1の基板1a上において、画素毎に各画素を選択する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)2aと、TFT2aのドレイン領域に接続する画素電極2bが形成されており、各画素の境界部において、TFT2aのゲート電極に接続するゲートバスライン2cとTFT2aのソース領域に接続するソースバスライン2dが各画素を接続するように格子状に形成されている。
さらに、第1の基板1aの画素電極2bの形成面の裏面側に、偏光板6と白色光を発するバックライト装置10が配置され、また、第2の基板1bの共通電極4の形成面の裏面側に、偏光板7が配置される。
ここで、アクティブ素子であるTFT2aは、走査電極バスであるゲートバスライン2cの信号に従って、液晶5に電界を印加する各画素電極2bとデータ電極であるソースバスライン2dとを接続し、または切断する役目を果しており、各画素の液晶を選択的に駆動することができる。偏光板6を透過したバックライト装置10からの光は、上述の選択回路により選択されて駆動された液晶部により透過率を制御されながら液晶5を透過し、さらに各色のカラーフィルタ3及び偏光板7を透過して、偏光板7側にカラー画像を形成する。これにより高コントラストで高速対応な高画質液晶ディスプレイが実現される。
なお、上述の例においては、アクティブマトリクス駆動方式による液晶表示装置の例を説明したが、本発明のバックライト装置及び液晶表示装置は、その他単純マトリクス駆動方式など、種々の方式、構成による液晶表示装置に適用可能であることはいうまでもない。
拡散板41は、光源から出射された光を、内部拡散させることで、面発光における輝度の均一化を行う。
また、光学シート群45は、この例においては、入射光を拡散させ輝度向上を図る機能を有する拡散シート42、光波の位相差を補償して広角視野角化や着色防止を図る機能を有するプリズムシート43、更に入射光を直交する偏光成分に分解する機能を有する偏光変換シート44を設けた例を示すが、この光学シート群45の構成は、上述の例に限定されるものではなく、液晶表示パネル100の照明に最適な光学特性を有する照明光に変換するために設けられるその他種々の光学機能シートを用いることが可能である。また、拡散板41の下面側、導光板30との間に光学機能シートを介在させてもよい。
発光ダイオード21の配置は、例えば図3に示すようにライン状に配置された発光ダイオード群が複数配列されて、面状に配置されるいわゆる直下型バックライト構成としてもよく、または、導光板30の一側に、ライン状に配置された発光ダイオード群が設けられるいわゆるエッジライト型バックライト構成としてもよい。
また、発光ダイオード21として、側面方向に光が出射されるサイドライト型の発光ダイオードを用いる場合は、出射光が導光板30内を伝播し易く、また赤色光、緑色光及び青色光の三原色の光を導光板30内で混じりあい、良好に白色光が得られる。
このサイドライト型の発光ダイオード21は、詳細を省略するがそれぞれ発光素子等の発光体を樹脂ホルダによって保持するとともに、樹脂ホルダから一対の端子が突出されてなる。各発光ダイオード21には、光源から発せられた光を側面から放射させる光学部品が設けられて、出射光の主成分を発光体の外周方向に出射する指向性を有する構成とされる。なお、サイドライト型発光ダイオードについては、例えば特開2003−8068号公報や特開2004−133391号公報などに開示されている。
反射構造部35に増反射構造部32が設けられる構成とする場合は、後述する第1の実施の形態の例で詳細に説明するように、特に低い波長帯域での反射率の改善を図ることができ、比較的広い波長帯域での反射率の向上を図ることができるという効果がある。
θ≦arcsin(n2/n1) ・・・(1)
で放射された光線は、図4において矢印L2で示すように、導光板30と低屈折率材料層31との界面での全反射臨界角以上の角度で入射するので、全反射しながら導光する。
θ>arcsin(n2/n1) ・・・(2)
で放射された光線は、図4において矢印L1で示すように、低屈折率材料層31を通過して、増反射構造部32を有する反射構造部35の表面で反射しながら正反射成分を導光する。
特に、図4に示す例のように、発光ダイオード21として、側面方向に光が出射されるサイドライト型の発光ダイオードを用いる場合は、図中矢印L2で示すような出射角度が一点鎖線vで示す垂線に対し比較的大きい出射角度の光が多くなる。したがって、このように低屈折率材料層を設け、その表面で全反射させることによって、出射光を良好に導光板の背面で反射させることができ、輝度の向上を図ることができる。
また、低屈折率材料層31の厚さが不必要に厚すぎると、余分な光学干渉や膜の吸収による反射率の低下を招く恐れがあるので、50μm以下程度とすることが望ましい。
これに対し、低屈折率材料層31を設ける本発明においては、構造が安定しているため、このような輝度ムラの発生を招く恐れがなく、一様に反射率を高める効果がある。
このように、低屈折率材料層として、1.0を超える1.40以下の屈折率の材料を用いることによって、導光板の屈折率との差を十分確保して、全反射臨界角を比較的低く設定でき、これにより入射角度に対する反射率の向上の効果を十分得ることができる。
nz≧na≧nl ・・・(3)
の関係が満たされていれば、結果的に導光板の屈折率と低屈折率材料の屈折率差に由来する全反射条件を満たすことになる。
以下これについて説明する。
この場合、上記式(1)により、全反射臨界角は、
θ=arcsin(1.35/1.53)=61.9(度)
となる。ゆえに61.9度以上の角度で低屈折率材料に入射した光は全反射することになる。
この場合、上記式(1)より、全反射臨界角は、
θ=arcsin(1.49/1.53)=76.9(度)
となり、上記(a)でもとめた61.9度で入射する光は、粘着剤に入射される。この光がどのような挙動を示すか調べて見る。
ゼオノアより成る導光板から61.9度でアクリル系粘着剤に入射した光線は、スネルの法則により、
nzsinθz=nasinθa
(ただし、nz:ゼオノアの屈折率
θz:ゼオノアの入射角度
na:アクリル系粘着剤の屈折率
θa:アクリル系粘着剤への出射角度)
であるので、
1.53sin(61.9°)=1.49sinθa
となり、θa=65.0度となる。
このθaは、アクリル系材料より成る粘着剤から低屈折率材料層への入射角度となる。
θ=arcsin(1.35/1.49)
=65.0
となる。
以上の結果から、アクリル系粘着剤の存在の有無にかかわらず、より低い入射角度から全反射条件は満たすことが可能となることがわかる。
低屈折率材料層として金属フッ化物を用いる場合、金属フッ化物膜の形成方法については、物理気相法である真空蒸着法により簡単に成膜できることが良く知られており、フッ素系樹脂に関してはグラビア印刷やディッピング法などの液層塗布膜を用いることができる。また、この低屈折率材料層は、製造プロセスの容易さを考慮して、反射構造部35の表面側に成膜することも、導光板30の背面側にあらかじめ成膜することも可能である。
増反射構造部32の低屈折率の金属酸化膜や金属窒化膜としては、酸化ケイ素や窒化ケイ素等を用いることができ、高屈折率の金属酸化膜としては、酸化チタンや酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステンなどを用いることができる。
なお、上述の製造プロセスにおいて、導光板30側に低屈折率材料層31の成膜を行う場合、反射構造部35と低屈折率材料層31が塗布された導光板30を光学的に接続する際に、粘着剤、あるいは接着剤の介在することが予想される。この場合は、接着剤又は粘着剤の屈折率を考慮した上で増反射構造部32の膜厚を設計する必要がある。
〔1〕第1の実施の形態例
この例においては、導光板としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用い、また光源として赤、緑及び青色光の発光ダイオードを用いた直下型構成のバックライト装置に適用した例を示す。
(1)増反射ミラーの成膜
まず、基材としてアクリル系のハードコートが形成された125μmのPETフィルムを用い、基材とミラー材料との密着性を高めるために、アルゴンプラズマによるボンバード処理を行った。その後、その表面に反射面として銀を主成分とした金属薄膜をスパッタ法により約60nm成膜を行った。さらにその金属薄膜上に1層目として(金属面側に)酸化ケイ素を70nm、酸化ニオブを60nm成膜し、図3に示す構成における増反射構造部32とした。
図5に、この増反射構造部を設ける場合と、反射膜のみの場合の波長に対する反射特性をそれぞれ実線a及びbで示す。上層2層の増反射効果により、液晶表示装置において青色付近を示す450nm程度の波長で7%程度反射率が改善されていることがわかる。
上記方法により成膜した増反射構造部にフッ素系の低屈折率樹脂をディッピング法により塗布し、低屈折率材料層を形成した。ディッピング法とは、塗布液を満たした槽の中に被塗布物を浸した後、引き上げることで薄膜を塗布する液層の成膜方法であり、引き上げ速度と塗布液の濃度・粘度により塗布厚を制御することができる。このようにして、増反射構造部上に、低屈折率樹脂より成る低屈折率材料層の成膜を約1.2μm行い、更にこれを粘着剤により導光板へ貼り付けを行った。この例においては、導光板としてPMMA樹脂を用いたため、光学的に接続を取るため、粘着剤としてアクリル系の粘着剤を選択した。このように、導光板と同様の屈折率の材料を粘着剤として用いることにより、粘着剤による屈折率への影響を回避し、良好に反射率を高める効果を得ることが可能となる。
図6中のB、G、Rはそれぞれ本例で用いたLEDの3原色の青色光(B)、緑色光(G)及び赤色光(R)の波長に関して測定した結果を示しており、増反射構造部+低屈折率材料層とは増反射構造部上に低屈折率樹脂より成る低屈折率材料層を塗布した上で導光板に貼合した例の測定結果(実線○、×及び△)と低屈折率樹脂を塗布することなく増反射構造部の表面を導光板に貼合した例の測定結果(破線●、■及び▲)をそれぞれ示している。
この結果からもわかる通り、約69度付近を境に低屈折率材料層を塗布した例に関しては急激に反射率が上昇してほぼ100%の反射率を示していることがわかる。
これは、今回用いた導光板の屈折率が1.48程度、低屈折率材料層の屈折率が約1.37程度であることを考慮すると、上記式(1)から導かれる臨界角68度と良く一致する結果が得られていることを示す。一方、増反射構造部を直接導光板に貼り合わせた例(図中破線●、■及び▲)は光線の入射角度が増加するにつれ反射率がどんどん低下していることがわかる。
また、これらの結果は、空間を配して増反射構造部を配置した際、ゆがみよりミラーと導光板が接触した場合の輝度ムラが発生するメカニズムを良く示している。低屈折率材料層を介して貼り合わせることで構造が安定化し、常に実線の状態を保つことができるため、非常に安定して正反射による光の伝播を行うことが確認された。
この例においては、アクリルを用いた導光板に、低屈折率樹脂より成る低屈折率材料層を塗布した増反射構造部を、屈折率のマッチングを取った粘着剤を用いて貼り合わせる手法を取った。この方法は物理気相法や液層法などの各種プロセスを用いて作製を行っているため、やや複雑である。しかしながら、大型の物理気相装置を利用する必要がない。
この例においては、大型の物理気相法(スパッタ法や蒸着法)を連続で行える手段を用いる場合であり、以下のプロセスで行うことによりすべて物理気相法を用いて本発明の構成を実現できる。
以上の第2及び第3の実施の形態の例により得られる導光板においても、上述の第1の実施の形態の例において説明した例と同様に、広い入射角度範囲で比較的高い反射率を得ることができ、安定して正販社による光の伝播を行うことが確認できた。
このようなバックライト装置を用いた液晶表示装置によれば、輝度ムラを抑制し、かつ輝度を向上させることができることとなる。
また、本発明のバックライト装置において、低屈折率材料層を、屈折率が1.0を超える1.40以下の材料より構成することによって、導光板との屈折率差を確保し、輝度の向上を図ることができる。
更に、本発明のバックライト装置において、発光ダイオードを、側面方向に光が出射されるサイドライト型の発光ダイオードとすることにより、出射光を良好に導光板の背面で反射させ、輝度の向上を図ることができる。
Claims (8)
- 導光板と、
上記導光板の内部に組み込まれて成り、側面方向に光が出射されるサイドライト型の発光ダイオードより成る光源と、
上記導光板の光出射側とは反対側の背面に、該背面の全面に沿って配置され、少なくとも上記導光板の屈折率に比して低い屈折率とされる低屈折率材料層と、
屈折率が上記導光板の屈折率以下であり、且つ上記低屈折率材料層より大きく選定され、上記低屈折率材料層を上記導光板に接着する粘着剤と、
上記低屈折率材料層の上記粘着剤を設ける側とは反対側に配置され、平坦な反射膜上に低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された増反射構造部が形成されて成る反射構造部と、を備える
バックライト装置。 - 上記導光板の材料が、屈折率1.49を超える材料である請求項1に記載のバックライト装置。
- 上記低屈折率材料層は、屈折率が1.0を超える1.40以下の材料より成る請求項1又は2に記載のバックライト装置。
- 上記導光板が屈折率1.53の材料より成り、
上記低屈折率材料層が屈折率1.35の材料より成り、
上記粘着剤が屈折率1.49の材料より成る請求項3に記載のバックライト装置。 - 透過型の液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルを背面側から白色光で照明するバックライト装置とを備えて成る液晶表示装置において、
上記バックライト装置は、
導光板と、
上記導光板の内部に組み込まれて成り、側面方向に光が出射されるサイドライト型の発光ダイオードより成る光源と、
上記導光板の光出射側とは反対側の背面に、該背面の全面に沿って配置され、少なくとも上記導光板の屈折率に比して低い屈折率とされる低屈折率材料層と、
屈折率が上記導光板の屈折率以下であり、且つ上記低屈折率材料層より大きく選定され、上記低屈折率材料層を上記導光板に接着する粘着剤と、
上記低屈折率材料層の上記粘着剤を設ける側とは反対側に配置され、平坦な反射膜上に低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された増反射構造部が形成されて成る反射構造部と、を備える
液晶表示装置。 - 上記バックライト装置における上記導光板の材料が、屈折率1.49を超える材料である請求項5に記載の液晶表示装置。
- 上記バックライト装置における上記低屈折率材料層は、屈折率が1.0を超える1.40以下の材料より成る請求項5又は6に記載の液晶表示装置。
- 上記バックライト装置における上記導光板が屈折率1.53の材料より成り、
上記低屈折率材料層が屈折率1.35の材料より成り、
上記粘着剤が屈折率1.49の材料より成る請求項3に記載のバックライト装置。
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