JP4603714B2 - 鼻マスク式人工呼吸装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,鼻マスク式人工呼吸装置に関し,特に,該装置の使用時における治療データを送信することができる鼻マスク式人工呼吸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
在宅で治療ないし療養を受ける在宅患者に対して,在宅医療機器が提供されることがある。たとえば,患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに陽圧の空気を送気し,在宅患者の呼吸を補助する鼻マスク式人工呼吸装置もその1つである。
【0003】
従来,この鼻マスク式人工呼吸装置を使用している在宅患者は,通常,外来受診時にのみ医師とコミュニケーションをとり,体調,鼻マスク式人工呼吸装置の使用状況,鼻マスク式人工呼吸装置の不具合等を医師に知らせていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし,たとえば,鼻マスクが患者の鼻部にフィットしているかどうかや(フィットしていないと,空気が漏れ,十分な治療効果が得られなかったり,あるいは,その漏れ音や空気流の感触により患者に不快感を与える),鼻マスク式人工呼吸装置による治療が患者に有効かどうかは,鼻マスク式人工呼吸装置の使用時における患者の状態や鼻マスク式人工呼吸装置の状態を確認しなければ,適正な判断はできない。
【0005】
このため,医師は,在宅での詳細な治療状況,特に実際に使用している時の患者の状態や鼻マスク式人工呼吸装置の状況を十分に知り得ないことが多かった。
【0006】
本発明は,このような状況に鑑みなされたものであり,その目的は,鼻マスク式人工呼吸装置の使用時における患者の状態または鼻マスク式人工呼吸装置の状態を確認可能とすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために,本発明による鼻マスク式人工呼吸装置は,陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助し,患者の自発呼吸と同調して,あらかじめ設定された呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ設定された分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有する鼻マスク式人工呼吸装置において,前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定する空気漏れ量測定手段と,前記自発/時限動作モードによる動作時には,前記自発モードで作動しているのか,前記時限モードで作動しているのかを検出するモード検出手段と,前記患者の血液中の酸素飽和度を測定する酸素飽和度測定手段と,前記空気漏れ量測定手段により測定された空気漏れ量,前記モード検出手段により検出されたモード,および前記酸素飽和度測定手段により測定された酸素飽和度を送信する送信手段と,を備えていることを特徴とする。
【0008】
好ましくは,本発明による鼻マスク式人工呼吸装置は,患者の血液中の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素濃度測定手段をさらに備え,前記送信手段が,前記二酸化炭素濃度測定手段により測定された二酸化炭素濃度をさらに送信する。
【0009】
【発明の実施の形態】
1.遠隔医療システムの構成
図1は,本発明による鼻マスク式人工呼吸装置を含む遠隔医療(テレメディスン)システムの全体構成を示すブロック図である。この遠隔医療システムは,通信ネットワーク1に接続されたn個(nは正の整数)の鼻マスク式人工呼吸装置21〜2nおよびサーバ3を備えている。
【0010】
通信ネットワーク1は,公衆電話回線ネットワーク,インターネット,移動通信ネットワーク,専用回線ネットワーク等のいずれであってもよいし,これらのネットワークが組み合わされたものであってもよい。
【0011】
鼻マスク式人工呼吸装置21〜2n(以下「鼻マスク式人工呼吸装置2」と総称する。)は,在宅医療機器の1つであり,在宅患者(以下,単に「患者」という。)の鼻マスクに陽圧の空気を送気して,患者の呼吸を補助するものである。このため,各鼻マスク式人工呼吸装置2は,在宅医療を受けている各患者の近く(たとえば患者宅の患者の就寝ベッド近く等)に設置される。
【0012】
患者に送気される「空気」は,患者の状態に応じて,大気そのものである場合もあるし,酸素濃縮器との併用により,酸素含有量が大気よりも高い空気(酸素を大気より多く含む酸素濃縮器からの空気を大気と混合したもの)である場合もある。以下では,両者を合わせて単に「空気」と呼ぶ。
【0013】
この鼻マスク式人工呼吸装置2は,S(Spontaneous)モード,T(Timed)モード,ST(Spontaneous/Timed)モード,およびCPAP(持続陽圧)モードの4つの動作モードを有する。そして,鼻マスク式人工呼吸装置2は,医師等によって設定されたモードで動作する。
【0014】
Sモードは,患者の自発呼吸に同調して,患者の吸気時には相対的に高い陽圧(吸気圧:IPAP)の空気を,呼気時には相対的に低い陽圧(呼気圧:EPAP)の空気を,それぞれ送気するモードである。Tモードは,あらかじめ設定された分時呼吸数と吸気時間に従い吸気圧および呼気圧を交互に繰り返すモードである。STモードは,患者の自発呼吸に同調したSモード運転に加え,自発呼吸を検出しない場合には,Tモードでバックアップし,さらにその後自発呼吸を検出すると,再びSモードに切り換えるモードである。CPAPモードは,常に一定の陽圧の空気を患者に送気するモードである。
【0015】
Sモード,TモードおよびSTモードは,呼気圧と吸気圧との2つの相の圧力を有するので,2相圧式とも呼ばれる。
【0016】
2相圧式の各モードは,主として,自発呼吸能力が弱まった患者に設定されるモードであり,CPAPモードは,主として,睡眠時無呼吸症候群の患者のように,自発呼吸能力はあるものの,睡眠時に呼吸が一時的に停止するおそれのある患者に設定されるモードである。
【0017】
IPAP,EPAPおよびCPAPの各圧力は,医師により処方された圧力(処方圧)に設定される。また,Tモードにおける分時呼吸数および吸気時間も,医師により処方された値にそれぞれ設定される。
【0018】
サーバ3は,たとえば鼻マスク式人工呼吸装置2の営業所,訪問看護ステーション,または医療機関(病院,医院,診療所,クリニック等)に設置され,鼻マスク式人工呼吸装置2から送信されたデータ(後述)を受信し,記憶する。
【0019】
2.鼻マスク式人工呼吸装置の構成および動作
図2は,鼻マスク式人工呼吸装置2の詳細な構成を示すブロック図である。鼻マスク式人工呼吸装置2は,本体装置20,患者の鼻部に取り付けられる鼻マスク21,エアチューブ22,パルスオキシメータ30,および経皮CO2モニタ31を有する。本体装置20は,圧力計23,流量計24,制御装置25,流路26,ブロア27,および入力装置28を有する。
【0020】
エアチューブ22は,本体装置20と鼻マスク21とに接続される。本体装置20からは,エアチューブ22を介して陽圧の空気が,鼻マスク21に送気される。鼻マスク21には,患者の呼気を鼻マスク21の外部に排出するための呼気排出孔210が設けられている。
【0021】
パルスオキシメータ30は,波長の異なる2種類の光を患者の指に照射し,透過した光の量を測定することにより,患者の動脈血中の酸素飽和度(SpO2)を測定する酸素飽和度測定器である。酸素ヘモグロビンの,2種類の光に対する透過度が異なることが利用されている。パルスオキシメータ30により測定された酸素飽和度は,本体装置20の制御装置25に与えられる。
【0022】
経皮CO2モニタ31は,患者の血中の二酸化炭素濃度を測定するものである。経皮CO2モニタ31により測定された二酸化炭素濃度は,本体装置20に制御装置25に与えられる。
【0023】
パルスオキシメータ30および経皮CO2モニタ31は,鼻マスク式人工呼吸装置2と一体化されたものとして提供されることもあるし,別体のものが鼻マスク式人工呼吸装置2に取り付けられることもある。
【0024】
本体装置20内に設けられた流路26は,鼻マスク21に送気される空気をブロア27からエアチューブ22に案内するガイド用空気路である。
【0025】
ブロア27は,回転することにより,空気を流路26に送気するものである。
ブロア27の回転数によって,送気される空気の圧力が調整される。ブロア27の回転および回転数は,制御装置25により制御される。
【0026】
入力装置28は,患者または医師が操作する,たとえば操作パネル,入力ボタン,本体装置28から分離可能な入力端末(たとえば換気条件設定器)等により構成される。入力装置28により,電源のオン/オフ,モード(Sモード,Tモード,STモード,CPAPモード)の設定,処方圧の設定,TモードまたはSTモードにおける分時呼吸数および吸気時間の設定等が行われる。設定された値またはモードは,制御装置25に与えられ,その内部メモリ(RAM,ディスクメモリ等)に記憶される。
【0027】
処方圧,分時呼吸数,および呼気時間(ならびにモードの設定)の値(処方値)は,医師または医師の指示を受けた看護婦により入力装置28を使用して設定されるが,患者が誤った値(モード)に設定しないように,パスワードの入力後でなければ設定できない構成とされる。あるいは,医師が所持する,本体装置20と分離可能な入力端末によって設定することもできる。
【0028】
圧力計23は,流路26内の空気圧を検出/測定するものである。測定された空気圧は,制御装置25に与えられる。流量計24は,たとえば差圧式流量計により構成され,流路20内を流れる空気の流量,すなわち本体装置20から鼻マスク21に送気される空気の流量を検出/測定するものである。測定された流量は,制御装置25に与えられる。
【0029】
制御装置25は,前述したように,ブロア27の回転および回転数を制御する。この制御は,設定されたモードおよび処方圧,ならびに圧力計23から入力された圧力値に基づいて行われる。たとえば,SモードまたはSTモードにおけるSモード動作時には,吸気時には設定されたIPAPに,呼気時には設定されたEPAPに,それぞれなるように,ブロア27の回転数が制御される。
【0030】
また,制御装置25は,その内部にモデム,携帯通信またはPHSによる無線通信装置等を有し,送信データ(後述)を通信ネットワーク1を介してサーバ3に送信する。
【0031】
この送信データには,患者の治療データとして,鼻マスク21からの空気漏れ量Fb,パルスオキシメータ30により測定された酸素飽和度,経皮CO2モニタ31により測定された血中二酸化炭素濃度,STモード動作時におけるモード(Sモードで作動しているかTモードで作動しているか),Tモードにおける分時呼吸数,IPAP,EPAP,および鼻マスク式人工呼吸装置2の使用時間が含まれる。
【0032】
ここで,空気漏れ量Fbは,呼気排出孔210以外の部分,すなわち鼻マスク21と患者の鼻部の皮膚との間に形成される間隙からの漏れ量であり,次のようにして求められる。
【0033】
すなわち,流量計24により測定された流量値をFt,呼気排出孔210から外部へ流出される空気の流量(以下「呼気排出孔流量」という。)をFaとすると,空気漏れ量Fbは,流量値Ftから呼気排出孔流量Faを差し引いた値〔Ft−Fa〕を,1回の呼吸に亘って,または,数回の呼吸に亘って積分することにより求められる。
【0034】
なお,呼気排出孔流量Faは,呼気排出孔210の空気の通過面積(一定値)および鼻マスク21の内圧Pから定まる値であり,これらの値を所定の計算式に代入することにより求められる。これらの通過面積および計算式は,制御装置25にあらかじめ設定/記憶されている。また,内圧Pは,圧力計23により測定される圧力値とほぼ同じであるので,この圧力値が用いられる。制御装置25は,これらのあらかじめ設定された計算式および通過面積と,圧力計23の圧力値に基づいて呼気排出孔流量Faを求め,求められたFaと,流量計24により測定された流量値Ftとに基づいて空気漏れ量Fbを求める。
【0035】
また,STモード動作時におけるモードについては,制御装置25がSTモードにおけるSモードまたはTモードの切り換えを自ら行っているので,作動させているモードがサンプリングされ,送信データとして送信されることとなる。
【0036】
Tモードにおける分時呼吸数,IPAP,およびEPAPは,医師等により設定され,制御装置25の内部メモリに記憶された値が,送信データとして送信される。
【0037】
鼻マスク式人工呼吸装置2の使用時間は,制御装置25の内部に設けられたタイマが,鼻マスク式人工呼吸装置2に電源が投入され,使用されている時間を計時することにより計測され,計測された時間が送信データとして送信される。
【0038】
送信データのサンプリングは,ほぼリアルタイムで行われてもよいし,3分から10分間隔で行われてもよい。また,患者の様態に応じて,患者ごと(すなわち鼻マスク式人工呼吸装置2ごと)にサンプリング間隔が定められてもよい。
【0039】
送信データの送信も,ほぼリアルタイムで行われてもよいし,一定時間間隔(たとえば1時間おきごと,1日おきごと等)に行われてもよい。また,制御装置25がサーバ3からの送信要求を受信することにより行うこともできる。さらに,患者が入力装置28を操作して送信を指示した場合に,送信が行われてもよい。
【0040】
3.サーバの構成および動作
サーバ3は,たとえばコンピュータにより構成することができ,通信ネットワーク1と通信を行うためのモデム,無線通信装置等を有する。
【0041】
サーバ3は,鼻マスク式人工呼吸装置2から送信された送信データを受信し,受信された送信データを,送信した鼻マスク式人工呼吸装置2(すなわち患者)に対応させて記憶する。
【0042】
サーバ3の操作者(営業マン,看護婦,医師等)は,サーバ3を操作することによって,記憶された送信データを,サーバ3の表示装置(CRTディスプレイ装置,液晶ディスプレイ装置等)に表示することもできるし,プリンタにより印刷用紙に印刷することもできる。印刷されたデータは,営業マンまたは看護婦により担当医師に渡されることとなろう。あるいは,医師が所持するコンピュータがサーバ3に接続されている場合には,このコンピュータにサーバ3の送信データを転送することもできる。
【0043】
医師は,担当する患者(鼻マスク式人工呼吸補助装置2)からの送信データを検討し,鼻マスク式人工呼吸装置2の使用時における鼻マスクのフィッティング(マスクフィッティング)が良好に行われているか,患者の呼吸に対する同調が行われているかどうか,鼻マスク式人工呼吸装置2の使用の効果があるかどうかを送信データから知ることができる。
【0044】
たとえば,医師は,空気漏れ量Fbの値が所定の値より大きい場合には,マスクフィッティングが良好に行われていないと判断することができる。そして,医師は,訪問看護婦または営業マンを患者の自宅に赴かせ,マスクフィッティングの調整を行わせることができる。
【0045】
また,医師は,STモードにおけるモードを検討することにより,呼気圧および吸気圧が患者の呼吸に同調しているかどうかを知ることができる。たとえば,Tモードで動作している時間が多い場合には,呼気圧および吸気圧が患者の呼吸に同調していないことを知ることができる。
【0046】
さらに,医師は,酸素飽和度および二酸化炭素濃度の双方またはいずれか一方の値から,これらの値が適正でない場合には,鼻マスク式人工呼吸補助装置の治療の効果が十分でないことを知ることができる。そして,医師は,鼻マスク式人工呼吸補助装置2の現在の処方圧を検討し,処方圧を現在の処方圧から上げたり,酸素濃縮器との併用等の処置を患者に施すことができる。
【0047】
また,医師は,鼻マスク式人工呼吸装置2の使用時間を検討することにより,患者が鼻マスク式人工呼吸装置2を適切に使用しているかどうかを確認することができる。
【0048】
このように本発明による実施の形態によると,医師等は,鼻マスク式人工呼吸補助装置2の使用時における患者の状態または鼻マスク式人工呼吸装置2の状態を送信データを介して確認することができる。その結果,患者に適切な処置を施すことができる。
【0049】
なお,制御装置25は,これまで説明した制御装置25の処理を記述したプログラムと,このプログラムを実行するCPUまたはマイクロコンピュータ(および周辺回路)とにより構成することもできるし,上記処理を実行するハードウェア回路により構成することもできる。また,このプログラムは,記録媒体(フロッピディスク,ハードディスク,半導体メモリ等)に記録(記憶)されて提供されてもよい。
【0050】
4.付記
(付記1) 陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助し,患者の自発呼吸と同調して,あらかじめ設定された呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ設定された分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有する鼻マスク式人工呼吸装置において,
前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定する空気漏れ量測定手段と,
前記自発/時限動作モードによる動作時には,前記自発モードで作動しているのか,前記時限モードで作動しているのかを検出するモード検出手段と,
前記患者の血液中の酸素飽和度を測定する酸素飽和度測定手段と,
前記空気漏れ量測定手段により測定された空気漏れ量,前記モード検出手段により検出されたモード,および前記酸素飽和度測定手段により測定された酸素飽和度を送信する送信手段と,
を備えていることを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
【0051】
(付記2) 付記1において,
前記患者の血液中の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素濃度測定手段をさらに備え,
前記送信手段が,前記二酸化炭素濃度測定手段により測定された二酸化炭素濃度をさらに送信する,
ことを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
【0052】
(付記3) 付記1または2において,
患者の自発呼吸と同調して,あらかじめ設定された呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発動作モードをさらに有し,
前記送信手段が,前記自発動作モードまたは前記自発自発/時限動作モードにおける,あらかじめ設定された呼気圧および吸気圧をさらに送信する,
ことを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
【0053】
(付記4) 付記1から3のいずれか1つにおいて,
あらかじめ設定された分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限動作モードをさらに有し,
前記送信手段が,前記時限動作モードまたは前記自発/時限動作モードにおける,あらかじめ設定された分時呼吸数および呼気時間をさらに送信する,
ことを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
【0054】
(付記5) 付記1から4のいずれか1つにおいて,
該鼻マスク式人工呼吸装置の使用時間を計時する計時手段をさらに備え,
前記送信手段が,前記計時手段により計時された使用時間をさらに送信する,
ことを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
【0055】
(付記6) 通信ネットワークに接続され,陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助し,患者の自発呼吸と同調して呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ定められた分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有する鼻マスク式人工呼吸装置と,前記通信ネットワークに接続されたサーバとを有する遠隔医療システムであって,
前記鼻マスク式人工呼吸装置は,
前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定する空気漏れ量測定手段と,
前記自発/時限動作モードによる動作時には,前記自発モードで作動しているのか,前記時限モードで作動しているのかを検出するモード検出手段と,
前記患者の血液中の酸素飽和度を測定する酸素飽和度測定手段と,
前記空気漏れ量測定手段により測定された空気漏れ量,前記モード検出手段により検出されたモード,および前記酸素飽和度測定手段により測定された酸素飽和度を前記サーバに前記通信ネットワークを介して送信する送信手段と,
を備え,
前記サーバは,
前記送信手段により送信された空気漏れ量,モード,および酸素飽和度を前記通信ネットワークを介して受信する受信手段と,
前記受信手段により受信された空気漏れ量,モード,および酸素飽和度を記憶する記憶手段と,
を備えている遠隔医療システム。
【0056】
(付記7) 陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助し,患者の自発呼吸と同調して呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ定められた分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有する鼻マスク式人工呼吸装置が行う治療データ送信方法であって,
前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定し,
前記自発/時限動作モードによる動作時には,前記自発モードで作動しているのか,前記時限モードで作動しているのかを検出し,
前記患者の血液中の酸素飽和度を測定し,
前記測定された空気漏れ量,前記検出されたモード,および前記測定された酸素飽和度を送信する,
治療データ送信方法。
【0057】
(付記8) 陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助し,患者の自発呼吸と同調して呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ定められた分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有し,かつ,前記患者の血液中の酸素飽和度を測定する酸素飽和度測定手段を有する鼻マスク式人工呼吸装置に設けられたコンピュータに,
前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定する手順と,
前記自発/時限動作モードによる動作時には,前記自発モードで作動しているのか,前記時限モードで作動しているのかを検出する手順と,
前記酸素飽和度測定手段を用いて患者の酸素飽和度を測定する手順と,
前記測定された空気漏れ量,前記検出されたモード,および前記測定された酸素飽和度を送信する手順と,
を実行させるためのプログラム。
【0058】
(付記9) 通信ネットワークに接続され,陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助し,患者の自発呼吸と同調して呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ定められた分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有する鼻マスク式人工呼吸装置と,前記通信ネットワークに接続されたサーバとを有する遠隔医療システムにおける治療データ送受信方法であって,
前記鼻マスク式人工呼吸装置は,
前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定し,
前記自発/時限動作モードによる動作時には,前記自発モードで作動しているのか,前記時限モードで作動しているのかを検出し,
前記患者の血液中の酸素飽和度を測定し,
前記測定された空気漏れ量,前記検出されたモード,および前記測定された酸素飽和度を前記サーバに前記通信ネットワークを介して送信し,
前記サーバは,
前記送信された空気漏れ量,モード,および酸素飽和度を前記通信ネットワークを介して受信し,
前記受信された空気漏れ量,モード,および酸素飽和度を記憶する,
治療データ送受信方法。
【0059】
【発明の効果】
本発明によると,医師等は,鼻マスク式人工呼吸補助装置の使用時における患者の状態または鼻マスク式人工呼吸装置の状態を送信データを介して確認することができる。その結果,患者に適切な処置を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鼻マスク式人工呼吸装置を含む遠隔医療(テレメディスン)システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】鼻マスク式人工呼吸装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 通信ネットワーク
2 鼻マスク式人工呼吸装置
3 サーバ
20 本体装置
21 鼻マスク
23 圧力計
24 流量計
25 制御装置
30 パルスオキシメータ
31 経皮CO2モニタ

Claims (6)

  1. 陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助し,患者の自発呼吸と同調して,あらかじめ設定された呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ設定された分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有する鼻マスク式人工呼吸装置において,
    前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定する空気漏れ量測定手段と,
    前記自発/時限動作モードによる動作時には,前記患者の自発呼吸が検出されて前記自発モードで作動しているとき,または前記患者の自発呼吸が検出されずに前記時限モードで作動しているときに,それぞれのモードを検出するモード検出手段と,
    前記患者の血液中の酸素飽和度を測定する酸素飽和度測定手段と,
    前記患者の自宅に設置された状態で,前記空気漏れ量測定手段により測定された空気漏れ量,前記モード検出手段により検出されたモード,および前記酸素飽和度測定手段により測定された酸素飽和度のデータをサンプリングし,当該サンプリングされたデータを当該サンプリングの時間間隔以上の時間間隔で通信ネットワークを介してサーバに送信する送信手段とを備え
    前記サーバにて,前記送信手段から送信されたデータが表示,印刷,または他のコンピュータに転送されることを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
  2. 請求項1において,
    前記患者の血液中の二酸化炭素濃度を測定する二酸化炭素濃度測定手段をさらに備え,
    前記送信手段が,前記二酸化炭素濃度測定手段により測定された二酸化炭素濃度のデータをさらにサンプリングし,当該サンプリングされたデータを当該サンプリングの時間間隔以上の時間間隔で前記通信ネットワークを介して前記サーバに送信することを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
  3. 陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助する鼻マスク式人工呼吸装置において,
    前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定する空気漏れ量測定手段と,
    前記患者の血液中の酸素飽和度を測定する酸素飽和度測定手段と,
    前記患者の自宅に設置された状態で,前記空気漏れ量測定手段により測定された空気漏れ量,および前記酸素飽和度測定手段により測定された酸素飽和度のデータをサンプリングし,当該サンプリングされたデータを当該サンプリングの時間間隔以上の時間間隔で通信ネットワークを介してサーバに送信する送信手段とを備え,
    前記サーバにて,前記送信されたデータが表示,印刷,または他のコンピュータに転送されることを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
  4. 陽圧の大気,または,酸素を大気より多く含む空気を大気と混合した陽圧の空気を患者の鼻部に取り付けられた鼻マスクに送気して患者の呼吸を補助する鼻マスク式人工呼吸装置において,
    前記鼻マスクにおける前記患者の鼻部の取り付け部と該鼻部との間の間隙からの空気の漏れ量を測定する空気漏れ量測定手段と,
    前記患者の自宅に設置された状態で,前記空気漏れ量測定手段により測定された空気漏れ量のデータをサンプリングし,当該サンプリングされたデータを当該サンプリングの時間間隔以上の時間間隔で通信ネットワークを介してサーバに送信する送信手段とを備え,
    前記サーバにて,前記送信されたデータが表示,印刷,または他のコンピュータに転送されることを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
  5. 請求項3または4において,
    前記患者の自発呼吸と同調して,あらかじめ設定された呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す自発モードと,自発呼吸を検出しない場合にはあらかじめ設定された分時呼吸数と吸気時間に従い呼気圧および吸気圧を交互に繰り返す時限モードとを兼ね備える自発/時限動作モードを少なくとも有し,
    前記送信手段は,前記時限モードまたは前記自発/時限動作モードにおける分時呼吸数とをさらにサンプリングし,当該サンプリングされたデータを当該サンプリングの時間間隔以上の時間間隔で前記通信ネットワークを介して前記サーバに送信することを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
  6. 請求項3乃至5のいずれかにおいて,
    前記送信手段は,タイマにより計測される当該鼻マスク式人工呼吸装置の使用時間のデータをのデータをサンプリングし,当該サンプリングされたデータを当該サンプリングの時間間隔以上の時間間隔で前記通信ネットワークを介して前記サーバに送信することを特徴とする鼻マスク式人工呼吸装置。
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