JP4602661B2 - 光中継システム - Google Patents

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Description

本発明は、光通信ネットワークにおける中継地点でルーティングに必要な光信号の送信先等の情報である経路情報を、光信号に多重して伝送する光中継システムに関する。
光通信ネットワークでは、光送信装置および光受信装置の中継地点で、光信号
の経路情報に応じて、光信号をルーティングする中継装置が配置されている。光信号とは、伝送するデータとその経路情報を含むヘッダとから成るパケットを変調後、所定長の光信号列に変えたもの(以下、「光パケット」という。)である。
当初の中継装置では、受信した光パケットを光電気変換、復調して一旦電気信号のパケットに変えた後に、そのヘッダ部分に記述されている経路情報を認識していた。
経路情報を認識した後、必要があれば経路情報を更新し、再び、その電気信号のパケットを変調、電気光変換して光パケットに変えて、認識した経路情報に従い、次の中継装置あるいは受信装置に向けてその光パケットを送出していた(下記特許文献1「光ラベル多重伝送方法」図4、参照)。
このように、各中継装置では、光パケットが一旦電気信号のパケットに光電気変換され、再度光パケットに電気光変換されるので、中継装置の電気光変換および光電気変換に要する速度によって、光通信ネットワークの伝送速度が制限されてしまうという課題があった。
この当初の課題に対応するために、様々な光ラベルスイッチング方式が提案されている(例えば、下記特許文献1(特に図6)、および、非特許文献1参照)。
簡単に説明すると、光ラベルスイッチング方式とは、光送信部から、パケットのヘッダ部分に含まれている経路情報(以下、「ラベル」という。)を光信号に重畳して送出し、光中継部において、光信号を2つに分岐し、一方の光信号からラベルのみを抽出し、抽出したラベルを解釈し、解釈したラベルの情報により他方の光信号の経路切り替えを行うものである。ここで、分岐された2つの光信号は同じものである。
このように光電気変換後のパケット全部を復調するのではなく、パケットの一部である経路情報を示すラベル信号のみを取り出して復調し、経路情報を解釈することから、中継装置におけるパケットの電気光変換に要する時間が不要となり、光信号の中継速度は向上した。
しかし、この方法の光中継部では、受け取った光パケットを電気信号に光電気変換後、その電気信号から周波数の高いラベル信号のみを抽出し、抽出したラベル信号を復調して元のラベルに戻してから、ラベルの値を読んで解釈を行っている。
すなわち、このような既知の光ラベルスイッチング方式では、光送信部においてラベル信号の変調および周波数変換を行う必要があり、さらに光中継部においては、周波数変換および復調を行う必要がある。
従って、光送信装置が光信号を送出する速度が、ラベルを変調および周波数変換するための回路の処理速度の影響を受けることで低くなり、また、光中継装置での光信号の経路切り替えの速度は、ラベルを解釈する際の周波数変換および復調の回路の速度により制限されてしまうという問題がある。
ここで、この問題を明らかにする為に、既知の光ラベルスイッチング方式について、図9〜図11を用いて説明する。
<既知の光ラベルスイッチング方式>
図9は、光ラベルスイッチングシステムの光送信部の機能ブロック図である。
図10は、光ラベルスイッチングシステムの光中継部の機能ブロック図である。
光送信部60は、光通信ネットワークを介して伝達するデータを光信号に変え、光パケットとして送出する機能を有する。
また、光中継部61は、光送信部60から送られてきた光パケットを、そのパケットの送付先に応じて、該当するポートに振り分けて送出する機能を有する。
まず、光送信部60の動作の説明をする。
データ信号発生部604は、伝送すべきデータ信号を出力する。
また、ラベル発生部601は、データ信号を構成する各パケットの送信元および送信先情報などのラベルに基づいて、ラベル信号を出力する。
変調部602は、ラベル信号を変調してラベル変調信号を出力する。例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調器で構成される。
ここで、図11は、データ信号とラベル信号の周波数配置を表した図である。ラベル信号は、変調信号であるため、f0を中心にして所定の帯域幅を持っている。
周波数変換部603は、ラベル変調信号を所望の周波数に変換する。
また、電気光変換部605は、連続光信号を出力する。
外部光変調部606は、周波数変換部603から出力されたラベル変調信号、およびデータ信号発生部604から出力されたデータ信号により強度変調することにより、光パケット信号を出力する。
次に、光中継部61は、光回線11を介して伝送されてきた光パケット信号からラベルを認識して、n個(nは2以上の整数)の出力ポートのうち、所定のポートに光パケット信号を出力する。
光回線11から光パケット信号を入力した光分岐部62は、光パケット信号をラベル識別部63と経路切り替え部64に分岐して出力する。
ラベル識別部63の光電気変換部631は、光分岐部62から出力された一方の光パケット信号を電気信号に変換する。
フィルタ632は、電気信号からラベル変調信号を抽出する。
周波数変換部633は、ラベル変調信号を周波数変換して、復調部634で復調することによって、ラベル信号を再生する。
ラベル検出部635は、ラベル信号から経路情報を検出する。
経路制御部636は、ラベル検出部635で検出された経路情報を基にポートを識別し、経路切り替え部64を制御する。従って、光分岐部62から出力されたもう一方の光パケット信号は、経路切り替え部64に入力され、所定の出ポートに出力される。
特開2001−36477号公報 S. J. Ben Yoo、「All-optical label switching: Architecture, Protocol, and Systems Demonstration」、Proc. in OECC2002, paper no.9A1-2, pp.8-9, Yokohama, July, 2002 A.B. Sahin 他、「Dispersion Division Multiplexing for In-Band Subcarrier-Header-Based All-Optical Packet Switching」、OSA Technical Digest of OFC(Optical Fiber Communication conference)、no. WO1, pp.279-280, March, 2002 伊賀 編著、第7章 直接変調とパルス発生、「半導体レーザ」、オーム社、1994 生島 他、「直接変調方式を用いた10,000ch−WDM/SCMシステムにおける光デバイスのアナログ特性の検討と光伝送系の設計」、映像情報メディア学会誌、vol.55、No.10、2001、pp.1315-1321
以上のように、既知の光ラベルスイッチング方式では、光送信部においてラベル信号の変調および周波数変換を行う必要があり、さらには光中継部において、周波数変換および復調を行う必要がある。
このため、光送信装置が光信号を送出する速度が、ラベルを変調および周波数変換するための回路の処理速度の影響を受けることで低くなり、また、光中継装置での光信号の経路切り替えの速度は、ラベルを解釈する際の周波数変換および復調の回路の速度により制限されてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、既知の光ラベルスイッチング方式で必要とされているような変復調および周波数変換の回路を含まない簡易な回路構成で、高速な経路切り替えが可能な光中継システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に、本発明の光中継システムは、周波数で経路情報を表す電気ラベル信号を直接変調方式によって変換した光ラベル信号を、一部に含む光パケット信号を入力する手段と、所定の波長帯域のみを透過する光フィルタを通した前記光パケット信号を、電気信号で構成される電気パケット信号に光電気変換する手段と、前記電気パケット信号から電気ラベル信号を抽出する抽出手段と、抽出した電気ラベル信号の電力を検出する電力検出手段と、前記電気ラベル信号の電力に基づき、前記光パケット信号を出力するポートを決定するポート決定手段と、前記決定したポートに前記光パケット信号を出力する手段とを備えることを特徴とする。
本発明に係る光中継システムは、上述の構成を備えることにより、光中継部では、光パケットの宛先であるラベルを、光フィルタ透過および光電気変換後の電力検出を行うという簡素な回路構成で識別できるようになるので、周波数変換回路および変復調回路の速度により経路切り替えの速度が制限されず、高速な光経路切り替えが可能になる。
尚、本発明の光中継部で扱う光パケットは、経路情報に応じて周波数の異なる信号を直接変調方式によって変換した光ラベル信号を伝送すべきデータ信号に重畳した光パケット、または、経路情報に応じて周波数の異なる信号と伝送すべきデータ信号とを多重した後に、直接変調方式によって変換した光パケットである。
また、従来のラベル信号は、変調信号であったため、その振幅の変動がデータ信号に影響を及ぼすという不具合があった。しかし、本発明の光中継システムでは、ラベル信号は変調信号ではないため、データ信号に変動を及ぼさないという利点がある。
ここで、本発明の光中継システムは、周波数で経路情報を表す電気ラベル信号に基づいて位相変調された光ラベル信号を、一部に含む光パケット信号を入力する手段と、所定の波長帯域のみを透過する光フィルタを通した前記光パケット信号を、電気信号で構成される電気パケット信号に光電気変換する手段と、前記電気パケット信号から電気ラベル信号を抽出する抽出手段と、抽出した電気ラベル信号の電力を検出する電力検出手段と、前記電気ラベル信号の電力に基づき、前記光パケット信号を出力するポートを決定するポート決定手段と、前記決定したポートに前記光パケット信号を出力する手段とを備えることを特徴とする光伝送システムとしてもよい。
これにより、経路情報に応じて周波数の異なる信号に基づいて位相変調された光信号である光ラベル信号を、光中継部において、簡素な回路構成で識別することができるので、高速な光経路切り替えが可能になる。
また、前記経路情報を表す電気ラベル信号は、正弦波信号であることとしてもよい。
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る光中継システムについて図1〜図6を用いて説明する。
<概要>
本光中継システムは、パケットのヘッダ部分に入っている経路情報をそのままラベル信号にするのではなく、経路情報とラベル信号の周波数を対応付けておき、ラベル信号の周波数を経路情報として使用するものである。
尚、ラベル信号の波形は、単なる正弦波である。
本光中継システムは、光送信部と光中継部を有する。
光送信部は、予め周波数と送信先を対応付けておき(図4(a)参照。)、パケットの送付先に対応する周波数の信号をラベル信号として送出する。
また、光中継部は、ラベル信号の周波数とラベル信号の電力レベルとが一定の関係を有することから、ラベル信号の電力レベルを検出し、検出した電力レベルに基づいて、光パケットを送出するポートを決定し(図4(b)参照)、決定したポートから光パケットを送出する。
ラベル信号の周波数とラベル信号の電力レベルとの一定の関係とは、ラベル信号を電気光変換後、所定の透過率のフィルタを透過させ、再度、光電気変換して得られた信号の電力レベルは、ラベル信号の周波数によって差異が生ずることである。
この生ずる差異は、信号の波長変動の量(以下、「波長チャープ量、またはFM変調効率」という。)によるものであり、波長変動は、電気信号を光信号に変換するために、特に半導体レーザを用いる直接変調方式を取った場合の変調時に生じるものである。
この波長変動が生じると、光ファイバの波長分散(波長に応じて伝搬速度が異なる性質)によって、長距離伝送後の光波形が崩れるといった問題が生じてしまうため、通常、波長変動は抑制することが望まれる。
しかし、本発明では、周波数によって発生するチャープ量が異なることに着目し、チャ−プ量を利用して、経路情報の認識を簡素化し、光中継部の処理速度を向上させようとする。
ラベル信号の周波数とラベル信号の電力レベルとの関係については、図5を用いて、後で詳細に説明する。
本光中継システムの光送信部では、従来のようにラベル信号を変調して光信号に重畳するのではなく、経路情報に応じた特定の周波数の正弦波をそのまま光信号に重畳し、光信号を送出する。また、光中継部では、従来のように光信号から抽出したラベル信号を復調し解釈するのではなく、抽出したラベル信号の電力レベルを検出するだけで、検出した電力レベルに基づいて光信号を出力するポート、つまり経路情報に対応したポートを判別することができるようになる。
その結果として、光送信部が光信号を送出する速度、および光中継部での光信号の経路切り替えの速度が、変復調等の回路の速度に制限されることがなくなり、高速化が図られることになる。
尚、ラベル信号の周波数を求めてポートを決定することも可能であるが、ラベル信号の電力を求める時間は、周波数を求める時間よりも短いことから、周波数を検出する場合よりもより高速化が図られることになる。
また、経路情報は、少なくとも、パケットを出力するポートを判別するに足りる情報を含めばよい。
<構成>
本発明の実施形態1にかかる光中継システムについて説明する。
本実施形態の光中継システムは、光送信部10、光回線11および光中継部12で構成される。
図1は、本発明の実施形態1に係る光中継システムの光送信部の構成を示すブロック図である。
また、図2は、本発明の実施形態1に係る光中継システムの光中継部の構成を示すブロック図である。
光送信部10は、伝送するデータであるパケットおよびラベルを光信号に変えて出力する機能を有する。出力された光信号は、光ファイバ線路を含む光ケーブル等で構成される光回線11を通り、光中継部12に到達する。光信号を入力した光中継部12は、ラベルの示す送信先へとつながるポートに、光信号を出力する機能を有する。
<光送信部の構成>
まず、図1を用いて、光送信部の構成の説明を行う。
光送信部10は、電気光変換部101、ラベル発生部102、データ信号発生部104および外部光変調部103で構成される。
電気光変換部101は、電気信号を光信号に変換する。例えば、半導体レーザを光源とし、当該バイアス電流をラベル信号で変調することによって光ラベル信号を出力する直接変調方式を採用することにより、波長チャープ量を有する光信号(実施形態1では、光ラベル信号)を生成するものとする。
ここで、波長チャープ量とは、光周波数(波長)の揺らぎを示すパラメータでFM効率とも呼ばれる。
ラベル発生部102は、伝送するパケットの送信元および送信先情報などの経路情報であるラベルに基づいて、所定の周波数の正弦波信号をラベル信号として発生する。ここで、ラベル発生部102は、例えば、電圧制御発振器で構成され、印加電圧に従って周波数の異なる正弦波信号を出力するものとする。
データ信号発生部104は、伝送すべきデータ信号を発生する。このデータ信号は、従来のシステムで伝送されているデータ信号と同じである。
外部光変調部103は、電気光変換部101から出力された光ラベル信号に対して、さらにデータ信号発生部104から出力されたデータ信号により強度変調することにより、光パケット信号を出力する。
よって、光パケット信号は、ラベル信号とデータ信号の両方の信号を含んでいることになる。
ここで、データ信号とラベル信号の周波数配置について、図3を用いて説明する。
<データ信号とラベル信号の周波数配置>
データ信号とラベル信号の周波数多重方法に関して、光中継部12のポートの数が2の場合、すなわち、データ信号と2つのラベル情報L1とL2に対応した周波数f1とf2のラベル信号について述べる。
図3(a)のようにデータ信号の変調周波数帯域外にラベル信号を周波数配置する方法、あるいは、図3(b)のようにデータ信号の周波数帯域内に周波数配置する方法がある。
2つの方法のうち、どちらを選択するかは、データ信号およびラベル信号に対して要求される信号品質や、光交換システムを構成する各デバイスの性能などによって決定する。
例えば、光中継システムに含まれる光、および電気デバイスの高周波特性によって選択できる。具体的には、半導体レーザの応答特性が高い周波数までカバーしている場合には、図3(a)のように、データ信号の帯域外に、ラベル信号を周波数配置するのが適している。
図3(b)の具体的な実現方法に関しては、分散分割多重やRF Fadingと呼ばれる方法が考えられている(前記非特許文献2、参照)。
光中継部12においてラベルを解釈する際には、ラベル信号が含まれている周波数帯域のみを抽出する。図3でいえば、周波数f1およびf2が含まれる周波数帯域を抽出する。
図3(a)の場合は、抽出したラベル信号にデータ信号は含まれていないが、図3(b)の場合は、データ信号が妨害波として含まれることになる。しかし、データ信号を妨害波とみなせば、ラベル信号と妨害波の比が所定の値以上でありさえすれば、ラベル信号を検出できる。
このように、ラベル信号をデータ信号の周波数帯域の内外を問わずに配置することが出来ることから、ラベル情報の数は少数に限定されることはない。
<光中継部の構成>
次に、図2を用いて、光中継部の構成の説明を行う。
また、光中継部12は、光フィルタ13、光分岐部14、経路切り替え部16、およびラベル識別部15で構成される。
光フィルタ13は、所定の透過特性(透過率の波長依存性)を有し、光回線11を介して伝送されてきた光パケット信号の波長帯域のみを透過させる。例えば、図5(b)の点線のようなガウス型透過特性を持つフーリエ回折格子型光フィルタである。
光分岐部14は、光フィルタ13から出力された光パケット信号をラベル識別部15と経路切り替え部16に分岐して出力する。ラベル識別部15と経路切り替え部16に送られる光パケット信号は、同じものである。
また、経路切り替え部16は、光分岐部14から分岐された光パケット信号を、所望のポートに出力する。
ラベル識別部15は、ラベル信号をもとに、光パケット信号をどのポートに出力するかを判断し、経路を制御する。
このラベル識別部15は、光電気変換部151、電気フィルタ152、電力検出部153および経路制御部154で構成される。
光電気変換部151は、光分岐部14から出力された一方の光パケット信号を電気信号に変換する、例えば、2乗検波を行う。
電気フィルタ152は、光電気変換部151で変換された電気信号からラベル信号を抽出する。電気フィルタ152は、例えばHPF(高周波透過フィルタ)やBPF(帯域透過フィルタ)である。
電力検出部153は、電気フィルタ152で抽出されたラベル信号の電力を検出する。
経路制御部154は、電力検出部153で検出されたラベル信号の電力レベルによって経路情報を識別し、経路切り替え部16を制御する。
<データ>
以下には、本実施形態の光中継システムで使用する主なデータを、図4を用いて説明する。
<光送信部のデータ>
図4(a)は、送信先対応表1020のデータ構造および内容例を示す図である。
送信先対応表1020は、周波数1021と送信先1022で構成される。この表は、予め作成されて光送信部10内のメモリ(図示していない。)に記憶されており、ラベル発生部102によって参照される。
ラベル発生部102は、パケットのヘッダ部分に含まれている送信先に基づき、対応する周波数の正弦波信号をラベル信号として送出する。
例えば、パケットのヘッダ部分の送信先コードが送信先1022と同じ「1」、すなわち東京である場合には、このパケットのラベル信号として、周波数「f1」の正弦波信号を出力することになる。
<光中継部のデータ>
図4(b)は、ポート番号対応表1540のデータ構造および内容例を示す図である。
ポート番号対応表1540は、電力レベル1541とポート番号1542で構成される。この表は、予め作成され光中継部12内のメモリ(図示していない。)に記憶されており、経路制御部154によって参照される。
例えば、電力検出部153が検出したラベル信号の電力レベルが「P1」であった場合は、光分岐部14から経路切り替え部16に送信された光パケット信号を、ポート番号が「1」のポートに出力するように、経路制御部154は経路切り替え部16を制御する。
図4(c)は、周波数と電力レベルの対応表2000である。
この表は、説明の便宜上示したものであり、必ずしも本システムで直接使用されるデータではない。
この対応表2000は、周波数1021と電力レベル1541が対応している関係を示したものである。例えば、送信先1022が「1」のパケットのラベル信号の周波数1021が「f1」であり、周波数「f1」と電力レベル1541「P1」が対応している。従って、このパケットは、経路制御部154が経路切り替え部16を制御してポート番号「1」のポートに出力することになる。
次に、ラベル信号の周波数とラベル信号の電力レベルとの関係について説明する。また、その電力レベルに基づく経路切り替え手順について説明する。
<ラベル信号の周波数とラベル信号の電力レベルとの関係>
まず、本発明における電力レベル検出の方法に関して、図5を用いて詳しく説明する。
図5(a)は、電気光変換部101を構成する半導体レーザの波長チャープ量ΔFの変調周波数依存性を示す。
図5(a)が示すように、一般に、変調周波数10MHz以上の領域では、周波数に従って波長チャープ量が増加する。(前記非特許文献3、参照)。
図5(b)は、電力検出部153で得られるラベル信号の電力レベルの特性を示す。
ここで、P1およびP2は、ラベル信号の周波数f1およびf2から得られるラベル信号の電力レベルをそれぞれ表す。
点線は、光フィルタ13の透過率の波長依存性を示し、例えば、波長λcにおいて最大透過率を与える特性を有しているものとする。波長λcは、電気光変換部101で使用した半導体レーザの波長であり、波長によって、透過率が異なる。
一方、2つの実線は、2つの異なる周波数のラベル信号に対して、電気フィルタ152で抽出されるラベル信号の電力レベルの波長依存性を示している。
波長λcにおいて、図5(a)に示した波長チャープ量の周波数差によって、図5(b)が示すように、ラベル信号の電力レベルP1とP2は偏差を生じることがわかる。
つまり、異なる周波数のラベル信号によって光周波数変調された光パケット信号が光フィルタを透過および2乗検波した場合、図5(b)のような特性が得られる。(前記非特許文献4、参照)。
このラベル信号の電力レベルの周波数依存性は、光フィルタ13の透過率の波長依存性、ラベル信号の周波数、および光信号における波長チャープ量によって予め計算あるいは測定により既知の特性である。
電気光変換部101の波長λに対するラベル信号の電力レベルCの特性は、次式で与えられる。

Figure 0004602661
ここで、
η:光電気変換部151の変換効率
0:光電気変換後の特性インピーダンス
in:光電気変換部151に入力される光パワー
T(λ):光フィルタ13の透過率
△F:電気光変換部101のFM変調効率(波長チャープ量)
△Ib:電気光変換部101における、閾値からのバイアス電流
m:電気光変換部101における、光変調度
φ:光信号における強度変調成分と光周波数変調成分との位相差
c:光速

従って、ラベル信号の周波数、光フィルタの透過率、ラベル信号を電気光変換する為に使用した半導体レーザの周波数から求められるチャープ量を基に、ラベル信号の電力レベルが求められ、図4(c)の周波数と電力レベルの対応表2000が作成できる。
尚、図5(b)ように、P2がP1の電力レベルより高くなるとは限らないが、その大小関係は、適用する半導体レーザによって決定される。
<経路切り替え手順>
次に、図5(b)を例にラベル識別の手順を説明する。
以上で説明したように、電力検出部153でラベル信号の電力レベルを測定すれば、その周波数が特定できる、すなわち経路情報を検出できる。
例えば、光中継部12のポートの数が2の場合、すなわち2つのラベル情報L1とL2に対応した周波数f1とf2に基づいて、光パケット信号をポート1とポート2から切り替えて出力する場合は、次のように経路を切り替える。
ラベル信号の電力レベルがP1であれば、周波数がf1であり、周波数からラベル情報L1が得られる。よって、光パケット信号をポート1に出力する。
すなわち、経路制御部154は、電力検出部153で得られた電力レベルに基づいて、光パケット信号をポート1またはポート2に出力するように経路変更する。
<動作>
以下には、本実施形態の光中継システムの動作を説明する。
<光送信部の動作>
まず、光送信部10の動作を説明する(図1参照)。
データ信号発生部104は、伝送すべきパケットのデータ信号を出力する。
また、ラベル発生部102は、パケットのラベル部分に含まれている送信先に対応する周波数の正弦波信号をラベル信号として発生し、電気光変換部101に対し出力する。
例えば、送信先1022が「福岡」であれば、周波数1021が「f2」のラベル信号を出力する(図4(a)参照)。
ラベル発生部102からのラベル信号を入力した電気光変換部101は、入力したラベル信号をチャープ量を有する光ラベル信号に変換して、外部光変調部103に対し出力する。
電気光変換部101からの光ラベル信号を入力した外部光変調部103は、このラベル信号を、さらにデータ信号発生部104から出力されたデータ信号により強度変調し、光パケット信号として出力する。よって、光パケット信号は、ラベル信号とデータ信号の両方の信号を含んでいることになる。
この光パケット信号は、光回線11を通って、光中継部12に到達する。
<光中継部の動作>
つづいて、光中継部12の動作を説明する(図2参照)。
光中継部12は、光回線11を介して伝送されてきた光パケット信号からラベルを認識して、n個(nは2以上の整数)の出力ポートのうち、所望のポートに光パケット信号を出力する。
光中継部12において、光フィルタ13は、光回線11を介して伝送されてきた変調信号である光パケット信号の波長帯域のみを透過させる。
光フィルタ13からの光パケット信号を入力した光分岐部14は、ラベル識別部15と経路切り替え部16に分岐して出力する。ラベル識別部15と経路切り替え部16に送られる光パケット信号は、同じものである。
光分岐部14からの光パケット信号を入力した経路切り替え部16は、この光パケット信号を遅延光回路(図示していない。)を介し、ラベル識別部15によって判別されたポートに出力する。
次に、ラベル識別部15の処理について、図6を用いて説明する。
ラベル識別部15の処理において、ラベル信号は光フィルタ13を通過していることが前提となる(ステップS10)。図2では、ラベル識別部15の処理の前に、ラベル信号は光フィルタ13を通過しているため、本実施形態ではラベル識別部15の処理ではないが、ラベル識別部15の処理の前に通過していればよい(補足(1)参照。)ことを明確にするために記載することとする。
光パケット信号は、光分岐部14から、ラベル識別部15の光電気変換部151に対して出力される。
光パケット信号を入力した光電気変換部151は、その光パケット信号を電気信号に変換し(ステップS11)、電気フィルタ152に対し出力する。
光電気変換部151からの電気信号を入力した電気フィルタ152は、その電気信号からラベル信号を抽出し(ステップS12)、電力検出部153に対し出力する。
例えば、図3(a)の方法で周波数多重され、光送信部から出力された光パケット信号に関してラベルを抽出する場合は、すべてのラベル信号の周波数「f1」「f2」を含む周波数帯の信号を抽出する。図3(b)の場合も同様である。
抽出したラベル信号を入力した電力検出部153は、ラベル信号の電力レベルを検出し(ステップS13)、経路制御部154に対し出力する。
電力検出部153で検出されたラベル信号の電力レベルを入力した経路制御部154は、入力した電力レベルに基づいて光パケット信号を出力するポートを識別し、経路切り替え部16を制御する(ステップS14)。
例えば、電力検出部153が検出した電力レベルが「P2」である場合は、ポート番号が「2」のポートに経路が切り替えられる。
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る光中継システムについて図7を用いて説明する。
<概要>
実施形態2は、ラベル信号に基づいて外部光変調部を用いて光信号を変調するシステムである。
実施形態1では、光送信部10から送出されるラベル信号の判別には、ラベル信号に基づく光強度変調成分と光周波数変調成分を利用していたが、実施形態2では、ラベル信号に基づく光位相変調成分を利用する点が異なる。
すなわち、実施形態2では、異なる周波数のラベル信号によって光位相変調された光信号を光送信部10から送出し、光中継部において、実施形態1と同様の手順で出力ポートを決定する。
というのは、強度変調されていない連続光信号を、外部光変調器で位相変調すると、波長が変動する現象が生じることから、異なる周波数のラベル信号によって光位相変調された光信号を、光フィルタ透過および2乗検波した場合も、図5(b)のような特性が得られるからである。
尚、光中継部は、実施形態1の光中継部12と同じものである。
<構成>
図7は、本発明の実施形態2に係る光中継システムの光送信部20の構成を示すブロック図である。なお、図7において、実施形態1と同様の動作を行うものに関しては、同一の符号を付し、その説明を簡略する。
本実施形態の光中継システムは、光送信部20、光回線11および光中継部12(図2参照)で構成されている。
ここで、光送信部20は、光源201、ラベル発生部102、データ信号発生部104と外部光変調部202で構成されている。
外部光変調部202は、例えばニオブ酸リチウム(LN)変調器で構成される。また、光回線11および光中継部12の構成および動作は、実施形態1と同一である。
<動作>
光送信部20の動作を説明する。
光源201は、例えば、半導体レーザを光源とし、連続光信号を出力する。
外部光変調部202は、ラベル発生部102から出力されたラベル信号に基づいて、光源201から出力された連続光信号の位相変調を行い、さらにデータ信号発生部104から出力されたデータ信号に基づいて、上記連続光信号の強度変調を行うことにより、光パケット信号を出力する。
つまり、光パケット信号は、ラベル信号とデータ信号の両方の信号を含んでいる。
実施形態2における、データ信号とラベル信号の周波数配置の方法については、実施形態1と同一である。
本実施形態のように、異なる周波数のラベル信号によって光位相変調された
光パケット信号が光フィルタを透過し、その光パケット信号を2乗検波した場合も、図5(b)のような特性が得られるため、実施形態1と同様の手順で光パケット信号の経路切り替えが可能である。
<実施形態3>
以下、本発明の実施形態3に係る光中継システムについて図8を用いて説明する。
<概要>
実施形態3は、ラベル信号とデータ信号を多重した後で、直接変調方式により、光パケット信号に変換するシステムである。
実施形態1の光送信部との相違は、外部光変調部103を使用しない点にある。外部光変調器を使用しないため、光送信装置を実施形態1のものに比べ安価に作成することが可能となる。
尚、光中継部12は、実施形態1の光中継部と同じものである。
<構成>
図8は、本発明の実施形態3に係る光中継システムの光送信部30の構成を示すブロック図である。
本実施形態の光中継システムは、光送信部30、光回線11、光中継部12(図2参照)で構成されている。
ここで、光送信部30は、ラベル発生部102、データ信号発生部104、多重部301、電気光変換部302を含んでいる。また、光回線11および光中継部12の構成および動作は、実施形態1と同一である。
<動作>
光送信部30の動作を説明する。
多重部301は、ラベル発生部102から出力されたラベル信号とデータ信号発生部104から出力されたデータ信号を多重して、多重信号を出力する。
電気光変換部302は、多重信号を光パケット信号に変換して出力する。ここで、電気光変換部302は、例えば、半導体レーザを光源とし、当該バイアス電流を多重信号で変調する直接変調方式を採用することにより、波長チャープ量を有する光パケット信号を生成するものとする。
本実施形態においても、異なる周波数のラベル信号によって光周波数変調された光パケット信号を光フィルタ透過および2乗検波した場合、図5(b)のような特性が得られるため、実施形態1と同様の手順で経路切り替えが可能である。
<補足>
以上、本発明に係る光中継システムについて実施形態に基づいて説明したが、この光中継システムを部分的に変形することもでき、本発明は上述の実施形態に限られないことは勿論である。即ち、
(1)実施形態では、光フィルタ13は、光中継部の光分岐部14の前にあるが、光フィルタ13の設置場所は、光送信部10内の外部光変調部103の後や、光分岐部14と光電気変換部151の間にあってもよい。また、光回線11に含まれていても良い。
ラベル識別部は、光パケット信号が光電気変換される前に、光フィルタを透過していれば、光パケット信号から出力ポートを決定することができるからである。
(2)実施形態では、光フィルタ13は、本発明の為に設置してあるが、波長多重光通信ネットワークにおいては、波長分離フィルタを利用してもよい。
(3)実施形態では、光中継部に入力されたラベル信号は、そのまま該当するポートから出力されているが、新たな経路情報に基づき、新たなラベル信号を付加追加することとしてもよい。
この場合、例えば、電力検出部153と経路制御部154の間にラベル追加部を設ける。ラベル追加部では、新たな経路情報に基づき、所定の周波数のラベル信号を発生させ、光分岐部から経路切り替え部に分岐された光信号を、新たなラベルの周波数に基づいて外部光変調する処理を行う。
この外部光変調を行うことにより、元の光送信部で与えられたラベルから、別の新たな経路情報であるラベルに変換することになる。
その上で、経路切り替え部から光信号を出力し、別の光中継部に伝達する。
(4)実施形態では、光電気変換−電気光変換は、光強度変調−2乗検波方式を使用することとしているが、他の方式、例えばコヒーレント光伝送方式などを使用してもよい。
(5)実施形態では、ラベル発生部102で発生させるラベル信号は、正弦波としているが、正弦波に限られない。
光通信ネットワークにおいて、光信号を高速にルーティングする技術において有用である。
本発明の実施形態1に係る光中継システムの光送信部のブロック図である。 本発明の実施形態1に係る光中継システムの光中継部のブロック図である。 本発明に係るデータ信号とラベル信号の周波数配置を示す図である。 本発明に係る光中継システムで使用するデータの構成および内容例を示す図である。 ラベル信号の周波数と電力レベルの関係を示す図である。
図5(a)は、本発明に係る波長チャープ量の周波数依存性を示す図であり、図5(b)は、ラベル信号の電力レベルの波長依存性を示す図である。
ラベル識別部の処理を表すフローチャートである。 本発明の実施形態2に係る光中継システムの光送信部のブロック図である。 本発明の実施形態3に係る光中継システムの光送信部のブロック図である。 従来(=既知)の光中継システムの光送信部のブロック図である。 従来(=既知)の光中継システムの光中継部のブロック図である。 従来の光中継システムに係るデータ信号とラベル信号の周波数配置を示す図である。
符号の説明
10 20 30 60 光送信部
11 光回線
12 61 光中継部
13 光フィルタ
14 62 光分岐部
15 63 ラベル識別部
16 64 経路切り替え部
101 302 605 電気光変換部
102 601 ラベル発生部
103 606 外部光変調部
104 604 データ信号発生部
151 631 光電気変換部
152 電気フィルタ
153 電力検出部
154 636 経路制御部
201 光源
202 外部光変調部
301 多重部
602 変調部
603 633 周波数変換部
632 フィルタ
634 復調部
635 ラベル検出部
1020 送信先対応表
1540 ポート番号対応表
2000 周波数と電力レベルの対応表

Claims (2)

  1. 周波数で経路情報を表す電気ラベル信号に基づいて強度変調されていない連続光信号を位相変調して生成された光ラベル信号を、一部に含む光パケット信号を入力する手段と、
    光パケット信号の波長帯域のみを透過させ、ガウス型透過特性を持つ光フィルタを通した前記光パケット信号を、電気信号で構成される電気パケット信号に光電気変換する手段と、
    前記電気パケット信号から電気ラベル信号を抽出する抽出手段と、
    抽出した電気ラベル信号の電力を検出する電力検出手段と、
    前記電気ラベル信号の電力に基づき、前記光パケット信号を出力するポートを決定するポート決定手段と、
    前記決定したポートに前記光パケット信号を出力する手段と
    を備えることを特徴とする光伝送システム。
  2. 前記経路情報を表す電気ラベル信号は、正弦波信号であること
    を特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
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