JP4602599B2 - 脂質膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パネラーの官能検査に頼ることなく甘味を呈する物質の検査を高い感度で行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品や飲料等を製造する過程でその製品や原料の味を調べる場合、従来では官能検査、即ち、パネラーと呼ばれる味覚の評価の訓練を受けた者が実際に製品や原料を味わって行っていた。
【0003】
ところが、官能検査による評価は、パネラーの個人差や体調等でバラツキがあり、再現性の高い検査が行えない。
【0004】
これを解決するために、細胞の生体膜の構成成分である脂質を利用した人工の味検査用センサが実現されている。
【0005】
この味検査用センサには、支持材料としてポリ塩化ビニル(PVC)等の高分子と可塑剤と脂質とを所定の割合で混合して所定厚さに形成した脂質膜が使われている。
【0006】
この脂質膜は、液体中に浸けたときに、その液中の物質に応じて膜電位が変化するという特性を有しており、この脂質膜の電位を出力するように構成された脂質膜センサと、基準の電位を出力するための参照電極とを検査対象液に浸けて、基準電位に対する脂質膜の膜電位を検出し、この膜電位に基づいて検査対象液内の物質の特定や濃度を調べることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の脂質膜は、非電解質である甘味物質に対する感度が、電解質の味物質に対する感度に比べて1/5〜1/10と低く、甘味に対する味の検査を十分な精度で行うことができないという問題があった。
【0008】
本発明は、この問題を解決して、甘味物質に対する感度が高い脂質膜を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の脂質膜は、
高分子材のポリ塩化ビニル(PVC)、脂質および可塑剤のジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)を所定の割合で混合して所定厚さに形成され、液体中の物質に応答して膜電位が変化する脂質膜において、
前記脂質は、プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)とマイナスの電荷を有する脂質のフォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)とを含み、
前記プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)が約0.43mM〜1.30mMの濃度範囲で含まれ、且つ、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように形成されている。
【0010】
また、本発明の請求項2の脂質膜は、
高分子材のポリ塩化ビニル(PVC)、脂質および可塑剤のジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)を所定の割合で混合して所定厚さに形成され、液体中の物質に応答して膜電位が変化する脂質膜において、
前記脂質は、プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)とマイナスの電荷を有する脂質のフォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)とを含み、
前記プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)が約0.54mM〜1.08mMの濃度範囲で含まれ、且つ、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように形成されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の脂質膜の特性の測定および味の検査を行うための検査システムの構成を示している。
【0012】
この検査システムは、基準液、サンプル液あるいは洗浄液等を入れるための容器11、参照電極12、脂質膜センサ15、参照電極12の電位を基準とする脂質膜センサ15の膜電位をそれぞれ検出するための電圧検出器20、電圧検出器20の出力のをディジタル値に変換するA/D変換器21、A/D変換器21の出力に対する演算等の処理を行う演算装置22、演算装置22の処理結果を出力する出力装置23によって構成されている。
【0013】
ここで、参照電極12は、銀等からなる電極13の外周を緩衝層14で覆ったものが使用されている。この緩衝層14は2層構造で、電極13側の内層部14aは塩化銀AgClと塩化カリウムKClとからなり、外層部14bは塩化カリウムKCl100mMを寒天で固化したものが使用され、電極13と電圧検出器20の間がリード線12aを介して接続されている。
【0014】
また、脂質膜センサ15は、アクリル等の基材16の表面に脂質膜17が固定され、脂質膜17の反対面は、参照電極12の緩衝層14の内層部14aと同一成分で基材16内に充填された緩衝層18に接触している。この緩衝層18には銀等からなる電極19が設けられていて、この電極19と電圧検出器20との間がリード線15aを介して接続されている。
【0015】
ここで、脂質膜17は、高分子材、脂質および可塑剤を所定の割合で混合したものを、THF(テトラヒドロフラン)10mlに溶解し、これを平底の容器(例えば85mmφのシャーレ)内で約30度Cで2時間加熱して、THFを揮散させることによって得られた厚さ200μm程度のものを使用しており、液体に浸けたときに、その液体中の物質に応答して膜電位が変化する特性を有している。
【0016】
脂質膜17は、甘味に対して高い応答性を有するように、高分子材、脂質および可塑剤の混合比および種類を選んである。
【0017】
即ち、本願発明者らは、プラスの電荷を有する脂質とマイナスの電荷を有する脂質を含み、プラスの電荷を有する脂質をある濃度範囲に設定するとともに、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように設定することで、甘味に対して高い感度を示すことを実験によって発見した。
【0018】
以下、この実験について説明する。
始めに、脂質膜を構成する高分子材としてポリ塩化ビニル(PVC)800mg、可塑剤としてジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)1000μlとを用い、さらにマイナスの電荷を有する脂質としてフォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)4.5mgとプラスの電荷を有する脂質としてテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)とを混合した脂質膜について、プラスの脂質TDABの混入量を可変したときの、甘味物質の応答の変化を調べた。
【0019】
なお、プラスの電荷をもつ脂質としては、次の表1に示すように、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンおよび第4級アンモニウム塩からなる炭化水素アミン、第1級ホスフィン、第2級ホスフィン、第3級ホスフィン、および第4級フォスフォニウム化合物からなるホスフィンのいずれでも使用可能であるが、ここでは、第4級アンモニウム塩のTDABを代表的に用いている。
【0020】
【表1】
【0021】
また、可塑剤としては、次の表2に示すフタル酸エステル、脂肪酸エステル、燐酸エステル、ニトロベンゼン系の一つとしてDOPPを代表的に選択して用いている。
【0022】
【表2】
【0023】
また、マイナスの電荷を有する脂質としては、次の表3に示すものがあるが、ここでは、前記したように、フォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)を用いている。また、この表3では、例として官能基がリン酸基のものを挙げているが、官能基がカルボキシル基、硫酸基である脂質も当てはまる。
【0024】
【表3】
【0025】
図2は、上記した検査システムを用いた実験の手順を示すフローチャートであり、脂質膜センサ15と参照電極12を基準液に浸けて、基準電位に対する脂質膜17の電位Vrを求めてから、脂質膜センサ15と参照電極12をサンプル液に浸けて、基準電位に対する脂質膜17の電位Vsを求め、さらに、脂質膜センサ15と参照電極12を基準液に浸けて、基準電位に対する脂質膜17の電位Vr′を求めた後、脂質膜センサ15と参照電極12を洗浄液に浸けて洗浄するという動作を、各サンプル液に対して複数回ずつ行う。
【0026】
そして、上記手順で1つのサンプル液に対して得られる電位Vs、Vrの差(Vs−Vr)を応答値(相対値という)として求め、電位Vr′、Vrの差(Vr′−Vr)を応答値(CPA値という)として求める。
【0027】
ここで、基準液は人の唾液に相当するものであり、無味で且つ脂質膜17の出力の安定化の観点から、次の表4に示すように、塩化カリウム(KCl)10mMと酒石酸0.1mMとを混合したものを用いている。
【0028】
【表4】
【0029】
また、上記表4に示しているように、甘味サンプル液A1としては基準液にショ糖を1Mの濃度で加えたもの、甘味サンプル液A2としては基準液にブドウ糖を1Mの濃度で加えたもの、甘味サンプル液A3としては基準液に果糖を1Mの濃度で加えたものを用い、洗浄液としては、30%エタノールに水酸化カリウム(KOH)10mMと塩化カリウム(KCl)100mMを加えたものを用いている。
【0030】
図3は、前記したプラスの脂質TDABの含有量を変えたときの、上記3つの甘味サンプル液A1〜A3に対する応答値(相対値)の変化を示している。
【0031】
図3から明らかなように、各甘味サンプル液A1〜A3に対する応答は、脂質TDABの含有量が1.2mgの近傍でいずれも最大となっており、しかも、それらの応答のピーク値は、ショ糖のサンプル液A1で約−40mV、ブドウ糖のサンプル液A2で約−27mV、果糖のサンプル液A3で約−22mVが得られている。
【0032】
従来の脂質膜の甘味物質に対する応答値(相対値)は絶対値で10mVより小さいから、上記のように脂質TDABの含有量を約1.2mgの近傍に設定した脂質膜17は、甘味物質に対して格段に高い感度を有していることがわかる。
【0033】
また、図3の特性のうち、最も感度の高いショ糖のサンプル液A1に対する特性を詳しく見ると、脂質TDABの含有量が約0.6mg〜約1.8mgの範囲では、応答値の絶対値が10mVより大きくなっており、この範囲で甘味物質に対する感度が従来より向上している。また、脂質TDABの含有量が約0.75mg〜約1.5mgの範囲では応答値の絶対値が20mV以上と大きくなっており、この範囲で甘味物質に対する感度が顕著に向上している。
【0034】
なお、前記したように、高分子材(PVC)800mg、可塑剤(DOPP)1000μl、マイナス電荷の脂質(2C16)4.5mgの場合、プラス電荷の脂質TDABの含有量が約0.6mg〜約1.8mgの範囲は、脂質膜中の濃度として約0.43mM〜1.30mMの範囲となり、約0.75mg〜約1.5mgの範囲は、脂質膜中の濃度として約0.54mM〜1.08mMの範囲となる。
【0035】
また、プラス電荷の脂質TDABの濃度を変えたときの脂質膜17の基準液中の電位Vrの変化を調べると、図4に示すように、プラス電荷の脂質TDABの濃度が大きくなるにしたがって、脂質膜17の電位Vrもマイナス側からプラス側へ変化している。また、脂質膜17が有するマイナスとプラスの電荷がバランスしてほぼ無極性となるのは、脂質TDABの含有量が約1.2mg(約0.86mM)の近傍であり、この近傍で脂質TDABの濃度の僅かな変化に対して電位Vrが急激に変化している。
【0036】
つまり、この脂質膜17が前記したように甘味物質に対して高い感度を示すのは、プラス電荷の脂質TDABの含有量が約1.2mg(約0.86mM)の近傍に設定されて膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態にあるときに、液中の甘味物質の影響であたかも脂質TDABの濃度が僅かに減少したような状態となって、膜電位を大きく変化させることによるものと考えられる。
【0037】
この甘味物質の脂質膜17に対する作用については後述するが、いずれにしても、上記の実験結果から、プラス電荷の脂質TDABが0.86mMの近傍の濃度で含まれ、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように形成された脂質膜は、甘味物質に対して極めて高い感度を有していることがわかる。
【0038】
また、プラス電荷の脂質TDABの濃度が約0.43mM〜1.30mMの範囲で甘味物質に対する感度が従来の脂質膜より向上し、さらに、プラス電荷の脂質TDABの濃度が約0.54mM〜1.08mMの範囲は、甘味物質に対する感度が従来の脂質膜より格段に向上することが判る。
【0039】
なお、この脂質膜17で可塑剤として用いているDOPPには、一般的にマイナスの電荷の脂質の不純物が含まれていることが知られている。したがって、上記のように脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるのは、脂質TDABのプラス電荷と、脂質2C16および可塑剤DOPP中の不純物のマイナス電荷とがほぼバランスした状態と考えられる。
【0040】
次に、前記したようにプラス電荷の脂質TDABが0.86mMの近傍の濃度で含まれた脂質膜17の甘味物質と他の味物質に対する感度について説明する。
【0041】
図5は、次の表5に示す各サンプル液B〜Eと前記したショ糖のサンプル液A1に対する応答値(相対値)を示している。
【0042】
【表5】
【0043】
この図5から明らかなように、この脂質膜17の塩味のサンプル液Bに対する応答は極めて小さく、酸味のサンプル液Cに対しては+20mVを超える応答を示し、苦味のサンプル液Dに対しては+30mV近い応答を示し、旨味のサンプル液Eに対してはショ糖のサンプル液A1とほぼ同等に約−40mVの応答を示している。
【0044】
このように、前記した脂質膜17は酸味、旨味および苦味に対する感度を持っているが、甘味に対してもそれらと同等以上の感度を示していることが判る。
【0045】
したがって、被検査液中の物質が例えば甘味物質のみの場合や、甘味物質と酸味物質だけの場合であれば、その被検査液中の甘味物質を高感度に検出することができ、また、予め甘味物質の濃度と応答との関係を調べておけば、被検査液中の甘味物質の濃度を求めることができる。
【0046】
また、特性の異なる複数の脂質膜センサを併用して被検査液を測定し、その応答パターンから被検査液に含まれる複数の物質の特定や濃度の測定を行う場合でも、その一つの脂質膜センサとしてこの脂質膜17を有する脂質膜センサ15を用いることで、甘味物質の有無の判定や濃度の測定が容易となり、味の検査が効率的に行える。
【0047】
次に、前記した脂質膜17の甘味物質の濃度に対する応答の変化について説明する。
【0048】
図6は、濃度が異なるショ糖のサンプル液に対する脂質膜17の応答値(相対値)の変化を示している。
【0049】
この図6から、ショ糖の濃度が10mMを超えるあたりから、僅かに下降し始めており、一般的に人の糖の甘味に対するしきい値が10mM以上であるといわれていることとほぼ対応しており、この脂質膜17の甘味に対する応答領域が人の官能にほぼ合っていることが判る。
【0050】
次に、種類の異なる甘味物質に対する脂質膜17の応答の違いについて説明する。
【0051】
図7は、次の表6に示しているように、甘味物質が異なる6つのサンプル液A4〜A9に対する脂質膜17の応答値(相対値)を求め、ショ糖のサンプル液A4の応答値(相対値)を基準として、他のサンプル液A5〜A9の応答値を規格化して得られた規格値と、パネラーによる官能検査から得られた甘味度との相関をとったものである。
【0052】
【表6】
【0053】
この図7から、ブドウ糖のサンプル液A5、キシリトールのサンプル液A8およびソルビトールのサンプル液A9については、脂質膜17の出力によって得られた規格値と官能検査によって得られた甘味度との間にやや誤差がみられるが、果糖のサンプル液A6およびエリスリトールのサンプル液A7については、脂質膜17の出力によって得られた規格値と官能検査によって得られた甘味度とがほぼ一致しており、全体的にみれば、脂質膜17の出力によって得られる規格値は人の官能にほぼ対応していることが判る。
【0054】
また、上記サンプル液A4〜A9のうち、ショ糖のサンプル液A4、代替糖類である糖アルコールのエリスリトール、キシリトールおよびソルビトールの各サンプル液A7〜A9に対する脂質膜17の応答値(CPA値)は、図8のように得られている。
【0055】
この応答値(CPA値)は、サンプル液の後味の強さを示すものであり、図8の測定結果から、一般的に比較的後味がよい(後味が残らない)とされているエリスリトール、キシリトール等において応答が抑えられており、人の官能と対応している。
【0056】
なお、糖などの甘味物質が脂質膜17の表面でどのような役割を果たしているかを調べるために、塩と酸に対する脂質膜17の特性を測定した。
【0057】
この測定では、前記した塩味のサンプルB、酸味のサンプル液Cの他に、塩味のサンプルBにショ糖1Mを加えた塩・糖のサンプル液Ba、酸味のサンプル液Cにショ糖1Mを加えた酸・糖のサンプル液Caに対する脂質膜17の応答値(相対値)を測定して、図9の測定結果を得た。
【0058】
図9において、塩・糖のサンプル液Baの応答は、塩味のサンプル液Bの応答をマイナス側にシフトさせたものに近いことから、ショ糖が加わったことにより、脂質膜17の電位がマイナス化されている可能性がある。
【0059】
同様に、酸・糖のサンプル液Caの応答は、酸味のサンプル液Cの応答をさらに大きくマイナス側にシフトさせたものに近いことから、ショ糖が加わったことにより、脂質膜17の中のマイナスの電荷を有する脂質の解離を促進している可能性が考えられる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の脂質膜は、
高分子材のポリ塩化ビニル(PVC)、脂質および可塑剤のジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)を所定の割合で混合して所定厚さに形成され、液体中の物質に応答して膜電位が変化する脂質膜において、
前記脂質は、プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)とマイナスの電荷を有する脂質のフォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)とを含み、
前記プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)が約0.43mM〜1.30mMの濃度範囲で含まれ、且つ、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように形成されている。
【0061】
このため、従来の脂質膜より高い感度で甘味物質を検出することができる。
【0062】
また、本発明の請求項2の脂質膜は、
高分子材のポリ塩化ビニル(PVC)、脂質および可塑剤のジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)を所定の割合で混合して所定厚さに形成され、液体中の物質に応答して膜電位が変化する脂質膜において、
前記脂質は、プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)とマイナスの電荷を有する脂質のフォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)とを含み、
前記プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)が約0.54mM〜1.08mMの濃度範囲で含まれ、且つ、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように形成されている。
【0063】
このため、さらに高い感度で甘味物質を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脂質膜を用いた検査システムを示す図
【図2】測定手順を示すフローチャート
【図3】プラスの脂質の含有量を変化させたときの甘味のサンプル液に対する脂質膜の応答特性を示す図
【図4】プラスの脂質の含有量を変化させたときの脂質膜の膜電位の変化を示す図
【図5】基本味物質に対する脂質膜の応答特性を示す図
【図6】ショ糖の濃度の変化に対する脂質膜の応答特性を示す図
【図7】脂質膜の出力から得られた甘味度と官能検査で得られた甘味度との相関関係を示す図
【図8】後味を表す測定結果を示す図
【図9】塩味サンプルと酸味サンプルに甘味物質を加えたときの脂質膜の応答の変化を示す図
【符号の説明】
11 容器
12 参照電極
13 電極
14 緩衝層
15 脂質膜センサ
16 基材
17 脂質膜
18 緩衝層
19 電極
20 電圧検出器
21 A/D変換器
22 演算装置
23 出力装置
Claims (2)
- 高分子材のポリ塩化ビニル(PVC)、脂質および可塑剤のジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)を所定の割合で混合して所定厚さに形成され、液体中の物質に応答して膜電位が変化する脂質膜において、
前記脂質は、プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)とマイナスの電荷を有する脂質のフォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)とを含み、
前記プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)が約0.43mM〜1.30mMの濃度範囲で含まれ、且つ、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように形成されていることを特徴とする脂質膜。 - 高分子材のポリ塩化ビニル(PVC)、脂質および可塑剤のジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)を所定の割合で混合して所定厚さに形成され、液体中の物質に応答して膜電位が変化する脂質膜において、
前記脂質は、プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)とマイナスの電荷を有する脂質のフォスフォリックエイシド ジ−n−ヘキサデシルエステル(2C16)とを含み、
前記プラスの電荷を有する脂質のテトラドデシルアンモニウムブロミド(TDAB)が約0.54mM〜1.08mMの濃度範囲で含まれ、且つ、脂質膜全体のプラスとマイナスの電荷がほぼバランスした状態となるように形成されていることを特徴とする脂質膜。
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JP2003004692A (ja) | 2003-01-08 |
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