JP4597934B2 - 掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板 - Google Patents

Description

本発明は、例えば掘削バケットのような掘削装置の、切刃であるカッティングエッジに装着する摩耗防止板に関する。

例えば油圧ショベルの掘削装置であるバケットは、その開口部に、先端に切刃部を有した平板状のカッティングエッジを一体的に備えている。カッティングエッジの切刃部には掘削歯であるツースが複数本取り付けられるとともに、掘削歯と掘削歯の間のカッティングエッジの切刃部には、カッティングエッジの摩耗を防止するための摩耗防止板が装着されている。

摩耗防止板の典型例（例えば、特許文献１参照）は、平板状のカッティングエッジの刃先部に、刃先部を跨ぎ挟むようにして、カッティングエッジの両面に溶接され取り付けられている。

他の例について図５を参照して説明する。この摩耗防止板２６は、カッティングエッジ２４の切刃部２４ａに形成したテーパ面２４ｃの先端の刃先面２４ｂと、テーパ面２４ｃの裏側のカッティングエッジ２４の一面との上に跨って当接され、溶接され取り付けられている。

上述したとおりの形態の従来のカッティングエッジの摩耗防止板には、次のとおりの解決すべき課題がある。

すなわち、カッティングエッジは、掘削性能を良好にするために、先端に切刃部を有した平板に形成されている。しかしながら、切刃部の摩耗を防止するための摩耗防止板は、上述のようにカッティングエッジの板の両面から張り出し（特許文献１）、あるいは一方の面から張り出している（図５）。したがって、切刃部は厚くなり、これが掘削バケットなどの掘削性能を低下させる原因になっている。

本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、掘削性能を損なうことなく、カッティングエッジの摩耗を防止することができる、掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板を提供することである。

本発明によれば上記技術的課題を解決する掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板として、掘削装置の平板状のカッティングエッジの切刃部に装着する摩耗防止板が、カッティングエッジの両板面を延長した面により規定される板厚幅の領域内に位置付けられ、かつこの領域内において切刃部に一体に固着され、切刃部が、その刃先面に向けて延びるカッティングエッジの板厚を漸次減少させたテーパ面を備え、摩耗防止板が、このテーパ面および刃先面に当接する当接面を備えている、ことを特徴とする掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板が提供される。

好適には、当接面は、カッティングエッジのテーパ面および刃先面それぞれとの間に固着用の面取りを備えている。さらに摩耗防止板は、カッティングエッジの一方の板面側に形成した上記テーパ面に対し略平行に延びる斜面部、およびカッティングエッジの他方の板面を延長した面と略同一面上を延びる平面部を備えている。

本発明に従って構成された掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板は、平板状のカッティングエッジの板厚内に納められ切刃部に固着され装着されている。したがって、カッティングエッジの板面からの張り出しがないので、カッティングエッジの摩耗防止効果は落さずに、掘削性能を向上させることができる。

以下、本発明に従って構成された掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板について油圧ショベルの掘削装置であるバケットにおける好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。

先ず図４を参照して説明する。バケット２を装備した油圧ショベル４は、下部走行体６と、下部走行体６上に旋回自在に取り付けた上部旋回体８を備え、上部旋回体８は、運転室１０およびバケット２を先端に装備した多関節の作業腕装置１２を備えている。

バケット２の開口端には、掘削用の切刃であるカッティングエッジ１４が一体に備えられ、カッティングエッジ１４には、後述する複数本の掘削歯であるツース、および磨耗防止板が取り付けられている。

図４のカッティングエッジ１４の部分の拡大平面図である図２、および図２の磨耗防止板の部分の拡大断面図である図１を参照して説明する。

カッティングエッジ１４は板厚Ｔの平板によって形成され、縁部に切刃部１４ａを有している。切刃部１４ａは、カッティングエッジ１４の一方の板面Ｆ１側に、刃先面１４ｂに向けて延びる、カッティングエッジ１４の板厚Ｔを漸次減少させたテーパ面１４ｃを備えている。

カッティングエッジ１４の切刃部１４ａには所定の間隔で複数本のツース１８が取り付けられている。ツース１８は、カッティングエッジ１４に溶接固定されたアダプタ１８ａと、このアダプタ１８ａの先端に着脱交換可能に取り付けられたチップ１８ｂを備えている。

摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４の切刃部１４ａのツース１８，１８の間それぞれに装着されている。摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４の延びる方向に幅Ｗを有し、カッティングエッジ１４の両板面Ｆ１、Ｆ２それぞれを延長した面により規定される板厚Ｔの幅の領域Ｒ内に位置付けられ、この領域Ｒ内において切刃部１４ａに溶接によって固着され装着されている。

摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４のテーパ面１４ｃおよび刃先面１４ｂに当接する当接面１６ａを備えている。当接面１６ａは、テーパ面１４ｃおよび刃先面１４ｂそれぞれとの間に溶接用の開先を形成する面取り１６ｂ、１６ｃを備えている。摩耗防止板１６はこれらの開先部によってカッティングエッジ１４の切刃部１４ａに溶接されている。

摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４の一方の板面Ｆ１側に形成したテーパ面１４ｃに対し略平行に延びる緩い弧状の斜面部１６ｄ、およびカッティングエッジ１４の他方の板面Ｆ２を延長した面と略同一面上を延びる平面部１６ｅを備えている。

上述したとおりの掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板１６の作用効果について説明する。

本発明に従って構成されたカッティングエッジの摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４の両板面Ｆ１、Ｆ２を延長した面により規定される板厚Ｔ幅の領域Ｒ内に位置付けられ、かつこの領域Ｒ内においてカッティングエッジ１４の切刃部１４ａに一体に固着されている。

すなわち、摩耗防止板１６は、平板のカッティングエッジ１４の板厚Ｔ内に納められて切刃部１４ａに固着され装着されている。したがって、カッティングエッジ１４の板面Ｆ１、Ｆ２からの張り出しがないので、カッティングエッジ１４の摩耗防止効果は落さずに掘削性能を向上させることができる。

摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４の板面Ｆ１、Ｆ２からの張り出しがないので、大幅な軽量化が可能である。

切刃部１４ａは、その刃先面１４ｂに向けて延びるカッティングエッジ１４の板厚Ｔを漸次減少させたテーパ面１４ｃを備え、摩耗防止板１６は、このテーパ面１４ｃおよび刃先面１４ｂに当接する当接面１６ａを備えている。

したがって、図５に示す従来の摩耗防止板２６は、カッティングエッジ２４のテーパ面２４ｃを覆っていないのでテーパ面２４ｃが摩耗しやすいが、磨耗防止板１６はテーパ面１４ｃを覆う当接面１６ａを有しているので、テーパ面の摩耗を防止することができる。

さらに、摩耗防止板１６をカッティングエッジ１４のテーパ面１４ｃおよび刃先面１４ｂの異なる二面に溶接することにより、摩耗防止板１６を強固にカッティングエッジ１４の刃先部１４ａに装着することができる。

摩耗防止板１６は、当接面１６ａに、カッティングエッジ１４のテーパ面１４ｃおよび刃先面１４ｂそれぞれとの間に固着用の面取り１６ｂ、１６ｃを備えている。

したがって、摩耗防止板１６の溶接による固着部をより強固にすることができる。

摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４の一方の板面Ｆ１側に形成したテーパ面１４ｃに対し略平行に延びる斜面部１６ｄ、およびカッティングエッジ１４の他方の板面Ｆ２を延長した面と略同一面上を延びる平面部１６ｅを備えている。

したがって、斜面部１６ｄおよび平面部１６ｅを有した、刃先に向って鋭角状に延びる摩耗防止板１６は、掘削土砂などの流れを良くし掘削性能を向上させることができる。

以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、例えば下記のように、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。

本発明の実施の形態においては、摩耗防止板１６は溶接によってカッティングエッジ１４の切刃部１４ａに固着されているが、固着は溶接に限定されるものでなく、摩耗防止板が設置される部分の形状、摩耗負荷の大小などに応じて、ロウ付け、接着、摩耗防止板と切刃部に打込んだピン、あるいはボルトなど、適宜の手段により固着することができる。

本発明の実施の形態においては、摩耗防止板１６は、カッティングエッジ１４の一方の板面Ｆ１側に形成したテーパ面１４ｃに対し略平行に延びる斜面部１６ｄ、およびカッティングエッジ１４の他方の板面Ｆ２を延長した面と略同一面上を延びる平面部１６ｅを備えているが、摩耗防止板の先端部の形状は、図３（ａ）に示すようにＦ１板面部側に平面部を、Ｆ２板面部側に斜面部を備えてもよく、図３（ｂ）に示すようにＦ１Ｆ２いずれの面側にも斜面部を備えず先端を直角に切り落とした形状でもよく、さらに図３（ｃ）に示すように、Ｆ１Ｆ２いずれの面側にも斜面部を備えた形状でもよい。

本発明の実施の形態においては、摩耗防止板１６は一対のツース１８，１８の間の切刃先部１４ａに装着されているが、カッティングエッジにツースを備えない場合には、カッティングエッジの刃先部の全長にわたって摩耗防止板を装着してもよい。

本発明の実施の形態においては、摩耗防止板１６は油圧ショベルの掘削装置であるバケット２のカッティングエッジ１４に装着されているが、摩耗防止板を装着するカッティングエッジはバケットに限定されるものではない。

本発明に従って構成された掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板を、カッティングエッジに装着状態で示した断面図で、図２のＡ−Ａ矢印方向に見た拡大図。 掘削装置としてのバケットの、カッティングエッジの部分の平面図で、図４のＢ矢印方向に見た図。 摩耗防止板の他の形状を示す断面図。 掘削装置としてのバケットを装備した油圧ショベルの斜視図。 従来の摩耗防止板の一例を示す断面図。

符号の説明

２：バケット（掘削装置）
１４：カッティングエッジ
１４ａ：切刃部
１４ｃ：テーパ面
１６：摩耗防止板
１６ａ：当接面
１６ｂ、１６ｃ：面取り
１６ｄ：斜面部
１６ｅ：平面部
Ｆ１、Ｆ２：板面
Ｔ：板厚
Ｒ：領域

Claims (3)

1. 掘削装置の平板状のカッティングエッジの切刃部に装着する摩耗防止板が、
   カッティングエッジの両板面を延長した面により規定される板厚幅の領域内に位置付けられ、かつこの領域内において切刃部に一体に固着され、
   切刃部が、その刃先面に向けて延びるカッティングエッジの板厚を漸次減少させたテーパ面を備え、
   摩耗防止板が、このテーパ面および刃先面に当接する当接面を備えている、
   ことを特徴とする掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板。
2. 当接面が、
   カッティングエッジのテーパ面および刃先面それぞれとの間に固着用の面取りを備えている、
   ことを特徴とする請求項１記載の掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板。
3. 摩耗防止板が、
   カッティングエッジの一方の板面側に形成した上記テーパ面に対し略平行に延びる斜面部、およびカッティングエッジの他方の板面を延長した面と略同一面上を延びる平面部を備えている、
   ことを特徴とする請求項１または２記載の掘削装置のカッティングエッジの摩耗防止板。

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