JP4594708B2 - 発光ダイオードおよびその製造方法、発光ダイオードランプ。 - Google Patents

発光ダイオードおよびその製造方法、発光ダイオードランプ。 Download PDF

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Description

この発明は、アルカリガラス基板の貼り付け技術を用いた発光ダイオードに関し、特に高輝度の発光ダイオードおよびその製造方法、発光ダイオードランプに関する。
従来、発光ダイオードの高輝度化や機械的強度の向上を目的として、不透明半導体基板を除去して透明基板を接着する技術が知られている。この技術を用いて作られた発光ダイオードでは、半導体層の表面や、不透明な半導体基板を除去した面に、透明な基板が接着されている。この透明な基板の接着方法としては、特許文献1に開示されているように、半導体層に透明な基板を高温下で圧力をかけながら直接接着する方法や、特許文献2に開示されているように、直接ウェーハボンディング法を利用する方法、また、特許文献3に開示されているエポキシ樹脂などの透明粘着物質を利用する方法、などが知られている。
また、特許文献4に開示されているように半導体層と透明基板をITOなどの透明導電膜を利用する方法も提案されている。
従来技術では、半導体表面の全体を透明基板に接合する方法は、技術的に難しく、多種類の方法が考案されている。直接接合法は、一般的に700℃以上の高温・高圧力が必要となり半導体層に大きなストレスがかかるだけでなく、表面が平滑でないと、接合が不均一となり、接合不良が多発する。また、高温での接合は、熱膨張係数の差による反りの発生や機械的応力によるストレスが大きく冷却中に割れたり、クラックが入ることが多く、発光部の品質低下を招き、安定的に製造するには非常に高度な技術および設備が必要である。
一方、半導体と透明基板の接合方法として、表面状態の悪い半導体に対応する為に、樹脂系の接着層を利用する方法が考案されている。高温でのストレス、表面の荒れによる接合不良は改善されるが、樹脂系の材料は、高温に耐えられない為、接着後の熱処理工程に大きな制約を受ける課題がある。例えば、オーミック電極形成では400℃以上の熱処理が実施されるが、樹脂系の材料は、変質し剥がれの発生、不透明となる問題点が発生する。
また、前記ストレスや接着層の変質により、ダイシングやスクライブなどのダイオード分離工程で、接合部の剥がれやクラックが多発する。この為、低温、低ストレスで接着し、耐熱性を満足する接着方法を両立するのが困難であった。
特許3230638号公報 特開平6−302857号公報 特開2002−246640号公報 特許2588849号公報
従来の半導体表面の全体を透明基板に接合する方法では、発光部の品質低下を招き、安定的に製造するには非常に高度な技術および設備が必要であった。また、低温、低ストレスで接着し、耐熱性を満足する接着方法を両立するのが困難であった。
本発明は、上記の問題点に鑑み提案されたもので、500℃以下の温度の接合条件においても接着力の高く、耐熱性に優れた接着層を見出し、接合時に発生するストレスを減少させた、安定生産できる高輝度の発光ダイオードおよびその製造方法、発光ダイオードランプを提供することを目的とする。
この発明の半導体発光ダイオードでは、不透明基板の除去と透明基板の貼り付けにより、半導体基板での光の吸収がなくなり、更に、化合物半導体層の表面の一部にオーミック電極と金属反射層を設ける事で、発光部の光を効率よく外部へ取り出せ、高輝度化が達成される。すなわち、本発明は以下の手段を提供する。
本発明者は、化合物半導体層とガラスを用いた透明基板の接合に、陽極接合技術を利用できることを見出し、化合物半導体層とアルカリガラス基板が低ストレスで安定に接合でき、耐熱性の高いものが得られることを発見した。
(1)発光部を含む化合物半導体層と、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)あるいはカリウム(K)の元素のいずれかを1質量%以上含む前記の発光部の発光波長に対して透明なアルカリガラス基板とを含み、前記アルカリガラス基板は上記の化合物半導体層に接して陽極接合法により接合された発光ダイオードであって、該アルカリガラス基板の熱膨張率が、3〜7×10 -6 /Kであることを特徴とする発光ダイオード。
(2)前記アルカリガラス基板の前記ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)あるいはカリウム(K)の元素の総濃度に関し、陽極接合時に電界を印加することで半導体接合付近の濃度Aが、裏面の濃度Bより低く、B>1.5×Aの関係を満たすようにしたことを特徴とする発光ダイオード。
(3)アルカリガラス基板は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ホウ素(B23)を主成分とし、鉛の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする発光ダイオード。
(4)アルカリガラス基板および化合物半導体の接合面は、鏡面加工され表面平均粗さ(rms)が2nm以下であることを特徴とする上項(1)ないし(3)のいずれかに記載の発光ダイオード。
(5)アルカリガラス基板の厚さが70μm以上300μm以下で、化合物半導体層の厚さが30μm以下であることを特徴とする上項(1)ないし(4)のいずれかに記載の発光ダイオード。
(6)化合物半導体層に含まれる発光部は、発光効率の高いAlGaInPを用いたものを含むことを特徴とする上項(1)ないし(5)のいずれかに記載の発光ダイオード。
(7)化合物半導体層のエッチングに対するエッチングストップ層および電流拡散層に適した材料であるGaP層を含むことを特徴とする上項(1)ないし(6)のいずれかに記載の発光ダイオード。
(8)発光波長に対して不透明な半導体基板に化合物半導体層を成長する工程と、成長された前記化合物半導体層表面発光波長に対して透明なアルカリガラス基板を陽極接合法で接合する工程と、前記の不透明な半導体基板を除去する工程と、化合物半導体層の陽極接合面と反対の主面の一部に第1の極性を有する第1のオーミック電極を形成する工程と、成長させた前記の半導体層のうち第2の極性を有する化合物半導体層に第2のオーミック電極を形成する工程と、第1のオーミック電極と、成長させた前記の半導体層のうち第1の極性を有する化合物半導体層を金属反射層で覆う工程とを有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
(9)上項(8)の発明に加え、発光波長に対して不透明な半導体基板上に発光部を含む化合物半導体層を成長して、その表面を研磨し、表面平均粗さ(rms)を2nm以下にした後、接合する工程を含むことを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
(10)反射層の材質は、反射率が高く、物質的に安定している金(Au)またはロジウム(Rh)であることを特徴とする上項(8)ないし(9)のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
(11)上記の接合は陽極接合法による接合であり、前記陽極接合における上記の半導体基板の温度は、300から500℃の範囲内であることを特徴とする上項(8)ないし(10)のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法である。
(12)上記の不透明な半導体基板を除去する工程は、化合物半導体層を除去する工程を含み、前記の化合物半導体層を除去する工程は、所望の組成の結晶のみをエッチングする選択エッチング処理工程を含む工程であることを特徴とする上項(8)ないし(11)のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
なお、発光層を保護膜で覆い信頼性を向上させればよい。
(13)上項(8)から(12)に記載のいずれかの発光ダイオードの製造方法で製造した発光ダイオードチップの電極を金(Au)バンプにより接合してフリップチップ型に構成した発光ダイオードランプ。
(14)発光ダイオードチップの電極を低融点(450℃以下)のろう付け用合金を用いて接合してフリップチップ型に構成した上項(13)に記載の発光ダイオードランプ。
陽極接合に使用する透明ガラス基板は、酸化ホウ素、酸化珪素を主成分とする所謂アルカリガラスであり、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化カリウムなどが含まれる。本発明では、アルカリガラス中のナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)あるいはカリウム(K)元素の濃度を1質量%以上とする。これらの元素の上限は30質量%であり、好ましくは15質量%以下、また、より好ましくは10%以下とする。これらの元素が30質量%を超えると、接合強度の低下やアルカリ汚染を引き起こすこともある。また、環境負荷の点から鉛や砒素を含まない材質が望ましい。アルカリガラス基板は、熱膨張係数が化合物半導体層と近い、3〜7×10-6/Kの範囲が望ましい。熱膨張係数の差が大きいと加熱、冷却時の半導体層へのストレス低減ができないからである。
アルカリガラス基板の厚さは、チップへ加工しやすさから300μm以下が望ましく、透明基板を接着時の割れの発生やダイボンドなどのチップ組立て工程のハンドリングの点から70μm以上の厚さが望ましい。また、アルカリガラス基板中の鉛の含有量は0.1質量%以下であることが望ましいが、好ましくは0.01質量%以下、さらに好ましくは、0.01質量%以下から0.0001質量%までの範囲が望ましい。
化合物半導体層を成長させる不透明な半導体基板としては、GaAs、InP、GaP、Si等の基板が使用できる。発光部は、例えば、GaP、AlGaInP混晶、あるいはGaAlAs混晶等で、公知の化合物半導体発光ダイオードで利用されている他の半導体も用いることができる。発光部は、シングルヘテロ構造、ダブルヘテロ構造、量子井戸構造など、通常使用されている発光部の構造を利用できる。本発明の構造の発光ダイオードは、特に、厚膜化が困難で、格子整合の点から通常の構造では不透明なGaAs基板を用いてAlGaInP発光部を備えた発光ダイオードに対して、輝度向上の効果が大きい。
高輝度の発光部を得るには半導体基板に対して、格子定数の整合した発光部の材質を選定し、化合物半導体層を成長することが一般的である。成長方法は、液相成長法、MBE法、MOCVD法等、公知の技術を使用できるが、量産性、品質面からMOCVD法が最も好ましい。化合物半導体層には、発光部に加えて、従来技術で使用されている半導体基板との緩衝層、ブラッグ反射層、選択エッチングの為のエッチングストップ層、オーミック電極の接触抵抗を下げるコンタクト層、電流拡散層、電流の流れる領域を制御する電流阻止層、電流狭窄層などの公知の技術を組み合わせることができる。これらの層は、製造方法、コスト、品質に応じて、必要な層を適切に組み合わせれば良い。
アルカリガラス基板と半導体基板を重ね合わせて陽極接合を行う際は、市販の陽極接合装置が利用できる。この方法は、加熱しながら、ガラス基板と化合物半導体層に電界を印加するものである。更に、接合時に接合面がずれない程度の圧力を加えることが望ましい。この圧力により、接合の均一性、強度が向上する場合がある。接合温度は、低温が望ましいが、陽極接合で良好な接合が得られる300〜500℃が好適であり、特に400℃付近が最適である。
不透明半導体基板は、機械加工、研磨、化学的エッチング等の方法により除去できる。
特に化学的エッチングの中で、材質によるエッチング速度の差を利用した選択エッチングが、量産性、再現性、均一性の面で最適な方法である。その選択エッチングは、例えば、GaAs基板上に、AlGaInP層を堆積した場合に、GaAs層のみを選択的にエッチングする方法である。
光取り出し面を透明基板とし、不透明基板を除去した側の化合物半導体層表面には、第1の電極と化合物半導体層の一部を除去して、第2極性の化合物半導体層上に第2の電極を形成し、更に、第1の電極と化合物半導体層表面を覆う金属反射層を設けたフリップチップ型の発光ダイオード構造とするのが最適である。
その他のダイオード製造方法は、公知の発光ダイオードの製造技術を利用でき、オーミック電極形成、保護膜形成、チップ分離、検査・評価工程を経て発光ダイオードを製造する。
本実施例では、本発明に係わる半導体発光ダイオードの作製例を図を用いて具体的に説明する。本発明は、これらに限定されるものではないことは明らかである。
(実施例1)
図1および図2は、作製した半導体発光ダイオードを示した図で、図1はその平面図、図2は図1のII−II線に沿った断面図である。図3は、半導体発光ダイオードに用いられる半導体エピウェーハの層構造の詳細図である。なお、作製した半導体発光ダイオードは、AlGaInPを発光層とする赤色発光ダイオード(LED)である。
このLEDでは、図3にその断面構造を示すように、まず、Siをドープしたn形の(001)面から2°傾けた面を有するGaAs単結晶からなる半導体基板11上に順次積層された、Siをドープしたn形のGaAsからなる緩衝層130、Siをドープしたn形の(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pからなるエッチングストップ層131、Siをドープしたn形の(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなる下部クラッド層132、アンドープの(Al0.2Ga0.80.5In0.5Pからなる発光層133、およびZnをドープしたp形の(Al0.7Ga0.80.5In0.5Pからなる上部クラッド層134、Znドープしたp型GaP層135からなる化合物半導体層13が構成されている。また、このLEDの発光部12は、下部クラッド層132、発光層133、上部クラッド層134から構成されているダブルヘテロ構造である。
本実施例ではまず、トリメチルアルミニウム((CH33Al)、トリメチルガリウム((CH33Ga)およびトリメチルインジウム((CH33In)をIII族構成元素の原料に用いた減圧の有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)により、上記の化合物半導体層130〜135各層を半導体基板11上に積層し、エピタキシャルウェーハを形成した。Znのドーピング原料にはジエチル亜鉛((C252Zn)を使用した。
Siのドーピング原料にはジシラン(Si26)を使用した。また、V族構成元素の原料としては、ホスフィン(PH3)またはアルシン(AsH3)を用いた。化合物半導体層13を構成する各層のMOCVD法における積層温度は730℃に統一した。
GaAs緩衝層130のキャリア濃度は約5×1018cm-3、また、層厚は約0.2μmとした。エッチングストップ層131は、(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pキャリア濃度は約2×1018cm-3、層厚は、約1μmとした。下部クラッド層132のキャリア濃度は約8×1017cm-3、また、層厚は約1μmとした。発光層133は、アンドープの0.5μmとした。上部クラッド層134のキャリア濃度は約2×1017cm-3とし、また、層厚は1μmとした。GaP層135のキャリア濃度は約5×1018cm-3とし、層厚は7μmとした。
次に、エピタキシャル成長させた化合物半導体層表面を研磨し、表面平均粗さを0.5nmに加工した。この粗さは、光学式表面粗さ計、原子間力顕微鏡あるいは電子顕微鏡を用いて、その断面を観察して評価できる。透明基板150としては、B23、SiO2を主成分とする厚さ150μmの所謂パイレックス(登録商標)ガラス(熱膨張係数5×10-6/K)を使用した。もちろんその表面は表面平均粗さを1nm鏡面加工してある。
次に、陽極接合装置に化合物半導体層と透明基板とを重ね合わせてセットした。装置内を真空排気した。半導体層と透明基板を上下のヒーターで挟み400℃に加熱した。更に、透明基板表面に+800Vの電圧を印加し、両者を直接接合した。この時の接合時間は15分とした。接合後のガラス基板の接合面のNa、Ca、K、Ba元素の総濃度は、接合面付近で約3質量%、裏面で約6質量%であった。従って、裏面のアルカリ濃度は、接合面の約2倍であった。
次に、不透明なGaAs基板11およびGaAs緩衝層130を公知のアンモニア系エッチャントにより選択的に除去した。エッチングストップ層131の表面に第1のオーミック電極15として、AuGe合金を厚さが0.3μmとなるように真空蒸着法により形成した。一般的なフォトリソグラフィー手段を利用してパターニングを施し、線幅を約8μmとする三角形の線状n形オーミック電極15を形成した。
電極15の表面を含む化合物半導体層13の表面全面に、金(Au)からなる厚さ1.5μmの金属反射層14を真空蒸着法で形成した。金の代わりにロジウム(Rh)を用いても良い。
パターニングを施し、第2の電極が形成できるように半径150μm扇型の領域の電流拡散層であるGaP層135が露出するまで、臭素系エッチャントで選択エッチングした。
第2のオーミック電極16を形成するために、GaP層135の表面に、半径130μm扇型の領域にパターンを形成し、先ず膜厚を0.5μmとする金・ベリリウム合金と膜厚を1μmとする金を、前記パターニングのレジスト表面に、一般的な真空蒸着法により被着させた。続けて、公知のリフトオフ法により、レジストを除去し、扇型の第2のオーミック電極16を形成した。
次に、上記の第1、第2の電極形成した後、窒素気流中において450℃で10分間の合金化熱処理を施し、第1、第2の電極と化合物半導体層の低抵抗オーミック接触を形成した。
上記のようにして、金属反射層14を具備した第1の電極15および第2の電極16を形成し、さらにチップに裁断する領域の化合物半導体層をエッチングにより除去し、ガラス面を露出させ、通常のスクライブ法によりダイオードの形状に裁断して個別に細分化し、半導体発光ダイオード10とした。半導体発光ダイオード10は、図1に示すように平面的に見て一辺を300μmとする正方形で、厚さは約160μmである。
更に、この半導体発光ダイオード10を用いて、組み立てたフリップチップ構造の発光ダイオードランプ20を平面図6および断面図7を用い説明する。基板45上に形成された第1の電極端子44、第2の電極端子43に金のボールバンプ46を形成し、その上に発光ダイオード10の第2の電極16と金属反射層14を金バンプ46に接触させ圧着し接続した。次に、透明なエポキシ樹脂41で封止し、発光ダイオードランプ(LED)20を作製した。
上記のようにして作製したLEDの第1電極端子44と第2の電極端子43に順方向に電流を流したところ、放射された光が金属の反射層14で反射され、透明なGa層135の表面および側面を介して、主波長を約620nmとする赤色の光が出射された。順方向に20ミリアンペア(mA)の電流を通流した際の順方向電圧(Vf:20mA当り)は、各電極15、16の良好なオーミック特性を反映し、約2.0ボルト(V)となった。この時の発光強度は、発光部の発光効率が高く、外部への取りだし効率も工夫されている事を反映し、180mcdの高輝度であった。
なお、上記ではn型の半導体基板を用いてLEDを作製したが、p型の半導体基板を用いて作製したLEDでも本発明の効果が得られる。
また、上記の発光部は、AlGaInPのダブルヘテロ構造を用いたが、MQW構造等の公知の技術を利用した発光部でも本発明の効果が得られる。また、上記の実施例では、n型オーミック電極15を三角形としたが、図8から図13に示すような電極パターンを形成し、発光部に電流を均一に流すようにすることが望ましい。チップ形状は、三角形でも四角形でも良い事は明らかである。図8に示した電極パターンは、n型領域用の電極(以下、n電極)15を、p型領域用の電極(以下、p電極)16から等距離になるように配置し、n電極に均一に電流が流れるようにしたものである。また、図9に示した電極パターンは、p電極をメッシュ状にして、n電極にかかる電位を均一化したものである。また、図10に示した電極パターンは、電極間の距離の近い部分を細くし、面積と距離を相殺させ、均一に電流を流す様にしたものである。また、図11に示した電極パターンは、平行電極を用いて均一な電流を流すものである。この形状にものでは、長方形のチップで効果が顕著になる。また、図12に示した電極パターンは、左右あるいは上下を対称な形にして、電流の均一化を図ったものである。また、図13に示した電極パターンは、飛び石状の電極をp電極として、電流の均一化を図ったものである。これらのn電極15やp電極16の上をさらに金電極で覆い、金電極を外部電極と接続する構造にして電流を供給するものである。
また、上記では、一般的なチップ型のLEDを示したが、形状の異なるいわゆる砲弾型やディスプレイ用のパッケージ、また、発光波長の異なる発光ダイオードでも同様の効果が得られる。
(実施例2)
上記の実施例1と同様なプロセスを用い、陽極接合時に、圧力を2kg/cm2(19.8N/cm2)加えて接合を行った。他の工程は、実施例1と同じである。発光ダイオードの特性は、順方向に20ミリアンペア(mA)の電流を通流した際の順方向電圧(Vf:20mA当り)は、約2.0ボルト(V)となった。この時の発光強度は、170mcdの高輝度であった。
(比較例)
上記の実施例1および2と同様なプロセスを用い、接合条件を変更した比較例の評価結果を表1に併記して示す。比較例1〜3では、陽極接合を用いない熱圧着接合を実施したが、半導体層とガラス基板とは、接合できなかった。
Figure 0004594708
比較例4,5は、ガラスの熱膨張係数が、半導体層と大きく異なる条件下で陽極接合を実施した。接合プロセスの途中で割れが発生し、ダイオードが作製できなかった。比較例6では、半導体層の表面粗さが粗い条件で接合したが、基板除去プロセスの途中で剥がれが発生し発光ダイオードが作製できなかった。
比較例7は、不透明基板の除去、ガラス基板の接合を行わないで、実施例1と同じエピウェーハを用いて一般的な構造で作製した300μm角の半導体発光ダイオードを図4、図5に示す。図4は本比較例7で作製した半導体発光ダイオードの平面図、図5は図4のV−V線に沿った断面図である。図4、図5で符号23は半導体層、25は第1のオーミック電極、26は半導体基板21の裏面に形成した第2のオーミック電極、21はGaAs基板である。
比較例では、上部のオーミック電極25を金ワイヤボンディングで接続する。この接続に必要な面積を得るため、第1のオーミック電極25を直径130μmの円形とした。
また、半導体層23の表面に第1のオーミック電極25として、金・ベリリウム合金からなるp形オーミック電極を厚さが0.3μm、更に、金を1μmとなるように、それぞれ真空蒸着法により形成した。一般的なフォトリソグラフィー手段を利用して、パターニングを施し、直径を130μmとする円形の第1のオーミック電極25を形成した。
その後、実施例と同様に作製したフリップチップ型LEDの第1電極端子と第2の電極端子に順方向に電流を通流したところ、透明なGaP層135の表面および側面を介して、波長を約620nmとする赤色の光が出射された。順方向に20ミリアンペア(mA)の電流を流した際の順方向電圧(Vf:20mA当り)は、約2.0ボルト(V)で、実施例と同等であった。この時の発光強度は、60mcdであった。本発明の実施例に対し半分以下の発光強度であった。これは、GaAs基板に発光が吸収されるため、外部への取りだし効率が低下したことによると考えられる。
以上説明したように、この発明の半導体発光ダイオードでは、不透明基板の除去と透明基板の貼り付けにより、半導体基板での光の吸収がなくなり、更に、化合物半導体層の表面の一部にオーミック電極と金属反射層を設ける事で、発光部の光を効率よく外部へ取り出せ、高輝度化が達成される。赤外や可視光領域の発光ダイオードに限らず、遠赤外、あるいは近紫外領域での発光ダイオードに適用できることは明らかである。
また、フリップチップ構造にすることにより、ランプの組み立てが容易で、ワイヤの断線がなくなり信頼性が向上する、という効果もある。
また、ガラスと化合物半導体層の接合方法を適正化することにより、割れ、剥がれがほとんどなく、高い生産性が得られるので、低コストのプロセスが可能である。
本発明の実施例1、2に係わる半導体発光ダイオードの平面図である。 本発明の実施例1、2に係わる半導体発光ダイオードの、図1のII−II線に沿った断面を示す図である。 本発明の実施例1、2、比較例1〜6に係わるエピウェーハの断面を示す図である。 比較例7に係わる半導体発光ダイオードの平面図である。 比較例7に係わる半導体発光ダイオードの、図4のV−V線に沿った断面を示す図である。 本発明の実施例1、2、比較例1〜6に係る発光ダイオードの平面図を示す図である。 本発明の実施例1、2、比較例1〜6に係る発光ダイオードの断面図を示す図である。 図1の構造の変形例であり、n型領域用の電極を、p型領域用の電極から等距離になるように配置した例の平面図を示す図である。 図1の構造の変形例であり、p電極をメッシュ状にして、n電極にかかる電位を均一化した例の平面図を示す図である。 図1の構造の変形例であり、電極間の距離の近い部分を細くし、面積と距離を相殺させ、均一に電流を流す様にした例の平面図を示す図である。 図1の構造の変形例であり、平行電極を用いて均一な電流を流す様にした例の平面図を示す図である。 左右あるいは上下を対称な形にして、電流の均一化を図った例の平面図を示す図である。 図1の構造の変形例であり、飛び石状の電極をp電極として、電流の均一化を図った例の平面図を示す図である。
符号の説明
10 発光ダイオード
11 半導体基板
12 発光部
13 半導体層
14 金属反射層(Au)
15 第1の電極(オーミック)
16 第2の電極(オーミック)
20 発光ダイオードランプ
21 半導体基板
23 半導体層
25 第1の電極
26 第2の電極
41 エポキシ樹脂
42 発光ダイオード
43 第1の電極端子
44 第2の電極端子
45 基板
46 金バンプ
130 緩衝層
131 エッチングストップ層
132 下部クラッド層
133 発光層
134 上部クラッド層
135 GaP層
150 透明基板(ガラス)

Claims (14)

  1. 発光部を含む化合物半導体層と、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)あるいはカリウム(K)の元素のいずれかを1質量%以上含む前記の発光部の発光波長に対して透明なアルカリガラス基板とを含み、前記アルカリガラス基板は当該化合物半導体層に接して陽極接合法により接合された発光ダイオードであって、該アルカリガラス基板の熱膨張率が、3〜7×10 -6 /Kであることを特徴とする発光ダイオード。
  2. アルカリガラス基板のナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)及びカリウム(K)元素の総濃度に関し、陽極接合時に電界を印加することで半導体接合付近の濃度Aが、裏面の濃度Bより低く、B>1.5×Aの関係を満たすようにしたことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
  3. アルカリガラス基板は、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化ホウ素(B23)を主成分とし、鉛の含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の発光ダイオード。
  4. アルカリガラス基板および化合物半導体層との接合面は、表面平均粗さ(rms)が2nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の発光ダイオード。
  5. アルカリガラス基板の厚さが70μm以上300μm以下で、化合物半導体層の厚さが30μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光ダイオード。
  6. 化合物半導体層に含まれる発光部は、AlGaInPを用いて構成した発光部であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発光ダイオード。
  7. 化合物半導体層は、GaP層を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の発光ダイオード。
  8. 発光波長に対して不透明な半導体基板に化合物半導体層を成長する工程と、成長された前記化合物半導体層表面と、発光波長に対して透明なアルカリガラス基板とを陽極接合法で接合する工程と、前記の不透明な半導体基板を除去する工程と、化合物半導体層の陽極接合面と反対の主面の一部に第1の極性を有する第1のオーミック電極を形成する工程と、成長させた前記の半導体層のうち第2の極性を有する化合物半導体層に第2のオーミック電極を形成する工程と、第1のオーミック電極と、成長させた前記の半導体層のうち第1の極性を有する化合物半導体層を金属反射層で覆う工程とを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
  9. 発光波長に対して不透明な半導体基板上に発光部を含む化合物半導体層を成長した表面を、研磨し、表面平均粗さ(rms)を2nm以下にした後、該発光部からの光に対して透明なガラス基板と接合する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオードの製造方法。
  10. 金属反射層が、金(Au)またはロジウム(Rh)を用いて形成された層であることを特徴とする請求項8または9に記載の発光ダイオードの製造方法。
  11. 半導体基板とガラス基板の接合は陽極接合法による接合であり、陽極接合における上記の半導体基板の温度は、300から500℃の範囲内であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
  12. 不透明な半導体基板を除去する工程は、化合物半導体層の一部を除去する工程を含み、化合物半導体層の一部を除去する工程は、所望の組成の結晶のみをエッチングする選択エッチング処理工程を含む工程であることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法。
  13. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の発光ダイオードまたは請求項8から請求項12のいずれかに記載の発光ダイオードの製造方法をもちいて製造した発光ダイオードを、金(Au)バンプ接合を用いたフリップチップ構造を持つように組立てたことを特徴とする発光ダイオードランプ。
  14. 前記発光ダイオードを低融点(450℃以下)のろう付け用合金を用いた接合によるフリップチップ工程で組立てたことを特徴とする請求項13に記載の発光ダイオードランプ。
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