JP4594225B2 - 画像補正装置および方法,ならびに画像補正プログラム - Google Patents

画像補正装置および方法,ならびに画像補正プログラム Download PDF

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Description

この発明は,デジタル画像データに対して色補正処理(色変換処理)を施す画像補正装置および方法,ならびにその画像補正処理をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
写真ネガフイルムやリバーサルフイルムに記録された画像をスキャナ等により読み取ることにより得られたデジタル画像データ,デジタルカメラ,カメラ付き携帯電話などによって取得されたデジタル画像データを用いてカラープリントを作成する場合,たとえば撮影時におけるシーンと同様の印象となるように,デジタル画像データに対して色バランスを補正する色補正処理を施してカラープリントを作成することがある。
特許文献1では,入力された画像データに基づいて,たとえば人物の顔を表す画像を検出し,検出された人物の顔を表す画像の色を所望の色(肌色)にする係数k1,k2を求め,求められた係数k1,k2を用いて,画像データ全体に対して色変換処理(色補正)を施している。
特許文献1のものは,処理対象の画像データがカラー画像を表す画像データであることを前提としている。処理対象の画像データがカラー画像を表すものでない場合,たとえば,白黒画像を表す画像データである場合については考慮されていない。処理対象の画像中に含まれる人物の顔を表す画像が白黒画像であると,特許文献1に記載のものでは,白黒画像である人物の顔を表す画像の色が肌色に色補正される。色補正処理によって,オリジナル画像とかけ離れた画像が生成されてしまう。
特開2000−182043号公報
この発明は,画像データの色補正処理によってオリジナル画像とかけ離れた補正結果が生じることがないようにすることを目的とする。
この発明による画像補正装置は,与えられる画像データによって表される画像中に含まれる特定画像を表す特定画像データに基づいて,上記特定画像が,複数種類の画像種類の中の一の画像種類であることを前提とする色補正値を算出する色補正値算出手段,上記特定画像データに基づいて,上記特定画像が,複数種類の画像種類のうち上記一の画像種類である確率を算出する確率算出手段,上記確率算出手段によって算出された確率に基づいて,上記色補正値算手段によって算出された色補正値を調節する色補正値調節手段,および上記色補正値調節手段によって調節された新たな色補正値に基づいて,上記与えられる画像データのうち少なくとも上記特定画像データを色補正する補正手段を備えたことを特徴とする。
この発明による画像補正方法は,与えられる画像データによって表される画像中に含まれる特定画像を表す特定画像データに基づいて,上記特定画像が,複数種類の画像種類の中の一の画像種類であることを前提とする色補正値を算出し,上記特定画像データに基づいて,上記特定画像が複数種類の画像種類のうち上記一の画像種類である確率を算出し,算出された確率に基づいて,上記色補正値を調節し,調節された新たな色補正値に基づいて,上記与えられる画像データのうち少なくとも上記特定画像データを色補正することを特徴とする。
この発明はさらに,画像補正処理をコンピュータに実行させるためのプログラム(コンピュータを,画像補正装置として機能させるためのプログラム)も提供している。このプログラムは,記憶装置(ハードディスク,メモリ・カード,CD−ROM,DVD−ROM等)から与えられる画像データに基づいて,与えられる画像データによって表される画像中に含まれる特定画像を表す特定画像データに基づいて,上記特定画像が,複数種類の画像種類の中の一の画像種類であることを前提とする色補正値を算出する色補正値算出処理,上記特定画像データに基づいて,上記特定画像が,複数種類の画像種類のうち上記一の画像種類である確率を算出する確率算出処理,上記確率算出処理によって算出された確率に基づいて,上記色補正値算処理によって算出された色補正値を調節する色補正値調節処理,および上記色補正値調節処理によって調節された新たな色補正値に基づいて,上記与えられる画像データのうち少なくとも上記特定画像データを色補正する補正処理をコンピュータに実行させるものである。これらの全ての処理をコンピュータに含まれるCPUによって実行させるようにしてもよいし,一部の処理を専用のハードウェア装置によって実行させるようにしてもよい。
与えられる画像データによって表される画像中に含まれる特定画像を表す特定画像データは,たとえば,パターンマッチングによって与えられる画像データの中から特定(区画,抽出)される。
上記特定画像が複数種類の画像種類の中の一の画像種類であることを前提として,色補正値が算出される。たとえば一の画像種類はカラー画像である。この場合,特定画像がカラー画像であることを前提として色補正値が算出される。たとえば,特定画像から得られる平均色を,所定の(あらかじめ用意された,または外部から与えられた)色に補正するための値が,色補正値として算出される。一実施態様では,上記色補正値算出手段は,上記特定画像データに基づいて算出される代表色情報(たとえば,平均RGB値)を,設定された目標色情報(たとえば,RGB値)に一致させる色補正値を算出する。
さらに,上記特定画像データに基づいて,上記特定画像が,複数種類の画像種類のうち上記一の画像種類である確率が算出される。
一実施態様では,上記確率算出手段は,上記特定画像データに基づいて得られる彩度,色相または色度を表すデータにしたがって,上記確率を算出するものである。たとえば,特定画像データから得られる彩度が大きい場合,特定画像はカラー画像である可能性が高い。他方,彩度が小さい場合,特定画像はカラー画像ではない可能性が高い(たとえば,白黒画像であることが考えられる)。また,特定画像データから得られる色相値が複数の色相をもつものであれば,特定画像はカラー画像である可能性が高く,特定の単一の色相値をもてば,特定画像はカラー画像ではない可能性が高い(たとえば,セピア画像であることが考えられる。)このように,特定画像データに基づいて得られる彩度,色相または色度に応じて,特定画像が一の画像種類である確率が算出される。
上記確率算出手段によって算出された確率に基づいて,上記色補正値算手段によって算出された色補正値が調節され,調節された新たな色補正値に基づいて,上記与えられる画像データのうち少なくとも上記特定画像データが色補正される。調節された新たな色補正値は,調節前の色補正値と同じであることも含む。
この発明によると,一の画像種類である可能性,すなわち,確率算出手段によって算出される確率に応じて,画像データに対する色補正の程度(補正効果の度合)を調節することができる。色補正値は,一の画像種類であることを前提として算出されるものであるから,特定画像が一の画像種類である確率が高ければ,算出された色補正値をそのまま適用すればよい。他方,特定画像が一の画像種類である確率が低い場合,一の画像種類であることを前提として算出された色補正値をそのまま画像データの補正に用いると,違和感の生じる補正後の画像データが得られる可能性が高い。特定画像が一の画像種類である確率が低い場合,色補正値の適用効果を弱めることによって,違和感のある画像に補正されてしまうことを防止することができる。
またこの発明によると,特定画像が一の画像種類であるか,または他の画像種類であるかのいずれかに区別せず,一の画像種類である確率を算出して,算出した確率に応じて色補正値を調節するので,画像補正の結果が極端に二分化されてしまうこともない。
好ましくは,上記特定画像が人物の顔画像の場合,複数の人種のそれぞれに対応する目標色情報を記憶する目標色情報記憶手段,および上記顔画像を表す特定画像データによって表される人物の人種を判別する人種判別手段が備えられ,上記色補正値算出手段は,上記人種判別手段によって判別された人種についての上記目標色情報を用いて,色補正値を算出する。判別された人種に応じた色補正値を算出することができる。
与えられる画像データによって表される画像中に複数の上記特定画像が含まれている場合には,複数の特定画像のそれぞれについて上記色補正値を算出し,かつ複数の特定画像のそれぞれについて上記一の画像種類である確率を算出し,算出された複数の確率のうち,最も小さい確率に基づいて,その最も小さい確率の算出に用いられた一の特定画像から得られた色補正値を調節するとよい。
図1は,デジタルプリントシステムの全体構成を示すブロック図である。デジタルプリントシステムは,画像補正装置1と,画像補正装置1に接続された入力装置2,表示装置3,記憶装置4およびプリンタ5によって構成される。図2は,画像補正装置1の詳細な電気的構成を,データの流れとともに示すブロック図である。
画像補正装置1は,与えられる画像データによって表される画像の色バランスが,適切な色バランスを持つように画像データを補正する(以下,色補正という)ための装置である。画像補正装置1は,与えられる画像データに対して色補正を施し,色補正後の画像データを出力する。
また,画像補正装置1は,後述する説明によって明らかになるように,色補正の処理対象の画像データによって表される画像に含まれる特定画像部分がカラー画像であるか白黒画像であるかを判断し(カラー画像である確率を算出する),その結果に応じて,画像データに対する色補正の適用の程度を修正(調節)する機能を有している。
画像補正装置1に接続された入力装置2(キーボード,マウス等)は,色補正処理のための目標値の入力等に用いられる。表示装置3(CRTディスプレイ,液晶ディスプレイ等)の表示画面には,入力装置2から入力される目標値の設定のための画面,色補正前および色補正後の画像データによって表される画像等が表示される。記憶装置(ハードディスク,メモリ・カード,CD−ROM等)4には画像データが記憶されており,記憶装置4から読出された画像データに対して,画像補正装置1において色補正処理が行なわれる。プリンタ5は,色補正後の画像データによって表される画像を印画紙等にプリントする。
図2を参照して,画像補正装置1は,顔領域区画回路11,色補正値算出回路12,カラー画像確率算出回路13,色補正値調節回路14および画像補正回路15を備えている。
画像補正装置1では,画像補正回路15において記憶装置4から読出された画像データ(以下,オリジナル画像データという)に対する色補正処理が行われる。画像補正回路15において行われる色補正処理の詳細は後述する。
画像補正回路15において行なわれる色補正処理は,色補正値調節回路14から出力される調節された色補正値に従って行われる。色補正値調節回路14では,カラー画像確率算出回路13によって算出される値(詳細は後述する)に基づいて,色補正値算出回路12において算出された色補正値が調節される。
オリジナル画像データによって表される画像(以下,オリジナル画像という)には,人物の顔を表す画像領域(以下,顔画像部分という)が含まれているものとする。顔画像部分を含む画像を表すオリジナル画像データが,記憶装置4から読み出される。
記憶装置4から読出されたオリジナル画像データは,顔領域区画回路11,色補正値算出回路12,カラー画像確率算出回路13および画像補正回路15にそれぞれ入力する。
顔領域区画回路11は,オリジナル画像中に含まれる顔画像部分を区画(検出,抽出)する処理を行う。顔領域区画回路11において行われる顔画像部分の区画処理には,従来または新規の種々の区画(検出)手法を用いることができる。たとえば,画像の形状,画像の濃度等についてのパターンマッチングを利用して顔画像部分が区画される。あらかじめ用意されたパターンをオリジナル画像上で走査し,マッチングスコアを算出する。所定値以上のマッチングスコアを得られた領域が,顔画像部分と判定される。
もちろん,デジタルプリントシステムの操作者が,入力装置2(マウス等)を用いて,オリジナル画像中の顔画像部分をその他の画像部分と区画するようにしてもよい(マニュアルによる顔領域区画)。この場合には,顔領域区画回路11は,画像補正装置1に必ずしも必要とされない。
顔領域区画回路11は,区画(検出)した顔画像部分(顔画像領域内)に含まれる画素のそれぞれ1(または0),顔画像部分以外の画像部分(顔画像領域外)に含まれる画素のそれぞれを0(または1)とした2値データ(画素アドレスごとに,1または0が対応付けられたデータ)を出力する。
顔領域区画回路11から出力される2値データは,オリジナル画像中に含まれる顔画像部分の位置および範囲(領域位置)を示す。以下,顔領域区画回路11から出力される2値データを,顔領域情報と呼ぶ。
顔領域区画回路11から出力された顔領域情報は,色補正値算出回路12およびカラー画像確率算出回路13にそれぞれ入力する。
はじめに,色補正値算出回路12の処理について説明する。
色補正値算出回路12には,入力装置2から入力される目標値と,記憶装置4から読出されたオリジナル画像データと,顔領域区画回路11から出力された顔領域情報とが入力する。
色補正値算出回路12は,顔画像部分(肌色の画素を確実に多数含む部分である)の色(肌色)が,上記目標値に沿った値を持つように補正するための色補正値を算出する回路である。
色補正値算出回路12は,顔領域区画回路11から与えられる顔領域情報を用いて,オリジナル画像データに含まれる顔画像部分を表すデータを抽出し,抽出した顔画像部分を表すデータによって表される顔画像部分を構成する画素ごとのRGB値から得られる代表RGB値(たとえば,平均値)(最頻値,中央値でもよい)を算出する。代表RGB値と,入力装置2から入力される目標値(目標RGB値)が一致するように,R値に対するゲイン係数,G値に対するゲイン係数およびB値に対するゲイン係数が算出される。
複数の人種(たとえば,コカーソイド,モンゴロイドおよびネグロイド)のそれぞれに対応する目標値(目標RGB値)を記憶装置4に記憶させておき,顔画像部分を表すデータに基づいて人種(コカーソイド,モンゴロイドまたはネグロイド)を判別して,判別結果に応じた目標値(目標RGB値)を記憶装置4から読出して,R値に対するゲイン係数,G値に対するゲイン係数およびB値に対するゲイン係数を算出してもよい。顔画像部分を表すデータに基づく人種判別処理には,たとえば,次の文献に記載の技術を採用することができる。人種判別処理は,色補正値算出回路12に行わせてもよいし,別途画像処理装置1中に設けられる他の回路(たとえば,人種判別回路(図示略))に行わせてもよい。
S.Hosoi, E.Takikawa and M.Kawade, "Ethnicity Estimation with Facial Images", IEEE Conf. on Automatic Face and Gesture Recognition, pp195-200, 2004
顔画像部分に基づく色補正値算出回路12によって得られるR値についてのゲイン係数をgr1(>0),G値についてのゲイン係数をgg1(>0),B値についてのゲイン係数gb1(>0)とすると,次に示す式1の入出力関係が得られる。
1=gr1・R
1=gg1・G ・・・式1
1=gb1・B
式1において,R,G,Bはオリジナル画像を構成する画素ごとのR値,G値およびB値である。R1,G1,B1 は色補正値算出回路12によって得られるRGBのそれぞれについてのゲイン係数を適用した後の(色補正後の)R値,G値,B値である。
R値に対するゲイン係数gr1,G値に対するゲイン係数gg1およびB値に対するゲイン係数gb1の総称が,色補正値である。色補正値を,説明の便宜上,次に示す式2によって表現することにする。
色補正値AWB=(gr1,gg1,gb1) ・・式2
色補正値AWBは,上述のように,RGB値に基づいて算出することもできるし,真数RGB値に基づいて算出することもできる。平均RGB値を色度値に変換して得られる平均肌色色度値と,入力装置2から入力される目標値(この場合には,目標値は色度値になる)とに基づいて,色補正値を算出するようにしてもよい。また,色補正後の画像の明るさが変化しないように,色補正値を調節するようにしてもよい。
色補正値算出回路12において算出された色補正値AWB(gr1,gg1,gb1)は,色補正値調節回路14に与えられる。
次に,カラー画像確率算出回路13の処理について説明する。カラー画像確率算出回路13には,記憶装置4から読出されたオリジナル画像データおよび顔領域区画回路11から出力された顔領域情報が入力する。
カラー画像確率算出回路13は,顔領域区画回路11から出力された顔領域情報に基づいて,オリジナル画像データによって表されるオリジナル画像中から顔画像部分を抽出し,抽出した顔画像部分がカラー画像である確率を算出する回路である。
カラー画像確率算出回路13は,顔画像部分から得られる平均色ベクトル(以下,顔画像平均色ベクトルという)と,グレー色ベクトルとがなす角度に基づいて,顔画像部分がカラー画像である確率を算出する。
図3は,RGBの3次元空間における,グレー色ベクトルg,顔画像平均色ベクトルf,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θを示している。
この実施例では,0〜255の256レベルによってRGB値のそれぞれが表されるものとする。
グレー色ベクトルgは,RGB=(255,255,255)によって,RGB3次元空間に規定されるベクトルである。
顔画像平均色ベクトルfは,顔画像部分を構成する画素のR値,G値およびB値のそれぞれの平均値によって,RGB3次元空間に規定されるベクトルである。
グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θは,顔画像部分の彩度が大きいほどその値が大きくなる。すなわち,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θは,顔画像部分の彩度を表す指標として用いることができる。
図4は,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θと,顔画像部分のカラー画像確率s(0≦s≦1)との関係を表すグラフである。カラー画像確率算出回路13は,図4に示すグラフを表すデータ(角度θとカラー画像確率sとの対応関係を表すデータ)を記憶している。
上述したように,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θは,顔画像部分の彩度を表す指標であり,彩度が高いほどその値が大きくなり,彩度が低いほどその値が小さくなる。
グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θが小さい場合,すなわち,顔画像部分の彩度が低い場合には,顔画像部分はカラー画像ではない確率が高い。図4を参照して,角度θが第1の閾値θ1よりも小さい場合(または角度θが第1の閾値θ1以下である場合),カラー画像確率算出回路13は顔画像部分のカラー画像確率sの値として「0」を出力する。
他方,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θが大きい場合,すなわち,顔画像部分の彩度が高い場合には,顔画像部分はカラー画像である確率が高い。図4を参照して,角度θが第2の閾値θ2以上である場合(または角度θが第2の閾値θ2よりも大きい場合),カラー画像確率算出回路13は顔画像部分のカラー画像確率sの値として「1」を出力する。
グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θが,第1の閾値θ1から第2の閾値θ2の間の値である場合には,角度θに応じて0〜1までの間でカラー画像確率sが決定される。角度θが大きいほど高いカラー画像確率sとなる。
図5は,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θと,顔画像部分のカラー画像確率s(0≦s≦1)との他の関係を表すグラフである。
図5に示すグラフは,閾値θ3および閾値θ4がさらに規定されている点が,図4に示すグラフと異なる。グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θが閾値θ3よりも大きい場合には,角度θが大きいほどカラー画像確率sは小さくなる。たとえば,顔画像部分がコンピュータ・グラフィック処理によって作成されたり,顔にペインティングを施した人物を撮影したりすると,顔画像部分の彩度は,通常の撮影によって得られる顔画像部分から得られる彩度よりも大きくなる。このような画像データは,カラー画像であるものの,一般的なカラー画像ではなく,したがって,カラー画像確率sを小さくする趣旨である。
いずれにしても,カラー画像確率算出回路13は,顔画像部分の彩度を表す指標である角度θを算出し,算出した角度θに基づいて,顔画像部分のカラー画像確率sを算出して出力する。
カラー画像確率算出回路13から出力された顔画像部分のカラー画像確率sは,色補正値調節回路14に与えられる(図2参照)。
色補正値調節回路14には,カラー画像確率算出回路13から出力された顔画像部分のカラー画像確率sと色補正値算出回路12において算出された色補正値AWB(gr1,gg1,gb1)とが与えられる。
色補正値調節回路14は,カラー画像確率sと色補正値AWB(gr1,gg1,gb1)とを用いて,次式に基づく調節後の色補正値を算出する。
調節後の色補正値AWB=[[(gr1-1)s+1],[(gg1-1)s+1],[(gb1-1)s+1]]
・・・式3
式3について説明する。顔画像部分のカラー画像確率sは,上述したように,0〜1までの値をとる。顔画像部分のカラー画像確率sが「0」の場合,式3から明らかなように,調節後の色補正値AWBは(1,1,1)となる。カラー画像確率sが0よりも大きく,1よりも小さい値である場合,調節後の色補正値AWBは色補正値算出回路12において算出された色補正値AWB(gr1,gg1,gb1)よりも小さな値をとる。カラー画像確率sが「1」の場合には,調節後の色補正値は色補正値算出回路12において算出された色補正値(gr1,gg1,gb1)と同じになる。
このように,色補正値調節回路14では,処理対象のオリジナル画像中の顔画像部分のカラー画像確率が「1」であれば,すなわち,顔画像部分が通常のカラー画像であると判断された場合には,色補正値算出回路12において算出された色補正値をそのまま適用し,カラー画像ではない確率が大きくなるほど(カラー画像確率sが小さくなるほど),色補正値AWBによる補正効果が弱まるように,色補正値AWBを調節する。カラー画像確率sが「0」であれば,すなわち,顔画像部分が通常のカラー画像ではないと判断された場合には,色補正値AWBによる補正効果が無くなるように,色補正値AWBが調節される。
色補正値調節回路14において調節された調節後の色補正値は,画像補正回路15に入力する。調節後の色補正値に基づいて,オリジナル画像データ(顔画像部分を表すデータのみであってもよい)が色補正される。
たとえば,処理対象のオリジナル画像の全体が白黒画像である場合,オリジナル画像に含まれる顔画像部分も当然に白黒画像である。この場合,顔画像部分のカラー画像確率sは「0」になり,調節後の色補正値AWBは(1,1,1)になるので,色補正は行われない。処理対象のオリジナル画像の中に白黒画像の顔画像部分が含まれている場合,顔画像部分が無理にカラー画像化されてしまうことを防止することができる。
オリジナル画像の中には,カラー画像中に白黒画像が含まれているものも存在する。たとえば,白黒写真による人物像の展示会において,展示されている白黒写真を含むようにカラー写真を撮影すると,撮影によって得られる画像にはカラー画像部分と白黒画像部分の両方を含むものになる。このような画像が処理対象のオリジナル画像であったとしても,白黒画像部分が無理にカラー画像化されてしまうことがない。
他方,顔画像部分がカラー画像であれば(カラー画像確率s=1であれば),顔画像部分(肌色)が理想的な肌色となるように,顔画像部分(またはオリジナル画像全体)を色補正することができる。さらに,カラー画像確率sは,0または1のいずれかではなく,顔画像部分の彩度を表す指標(グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θ)に応じて0〜1までの値を連続的にとる。色補正処理の結果が極端に二分化されることもない。
上述した実施例では,色補正値AWBを,顔画像部分の彩度を表す指標(グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θ)に応じて算出されるカラー画像確率sに基づいて調節しているが,カラー画像確率sに加えて,オリジナル画像中に占める顔画像部分の面積率,オリジナル画像中に顔画像部分が存在する確信度(たとえば,パターンマッチングのマッチング値を用いて顔画像部分の確からしさを数値化する),顔画像部分の重要度(ユーザによって入力される,顔画像部分を重要視する値)の少なくともいずれか一つを用いて,さらに色補正値を調節するようにしてもよい。たとえば,オリジナル画像中に占める顔画像部分の面積率が所定値よりも小さい場合には,顔画像部分に着目して得られる色補正値を,オリジナル画像全体に対して適用すると,オリジナル画像中の顔画像部分を除く部分が適切な色味を持たないように色補正されるおそれがある。このため,オリジナル画像中に占める顔画像部分の面積率が所定値よりも小さい場合には,色補正効果を弱めるように色補正値AWBを調節するようにしてもよい。また,顔画像部分のRBG平均値と所定の目標肌色値の色距離が大きい場合には,顔画像部分の面積率が大きいほど色補正効果を弱めるように,色補正値AWBを調節するようにしてもよい。
また,オリジナル画像中に複数の顔画像が含まれており,複数の顔画像が顔領域区画回路11において区画された(検出された)場合には,上述した代表RGB値として,最も面積の大きい顔画像についての代表RGB値を採用してもよく,処理対象画像の中央に位置する,または最も中央に近い顔画像についての代表RGB値を採用してもよい。最も確信度の大きい顔画像についての代表RGB値,または目標RGB値に最も近い若しくは最も遠い代表RGB値を採用してもよい。人種(モンゴロイド,コーカソイド,ネグロイドなど)ごとに目標RGB値を用意しておき,あらかじめ指定された人種についての目標RGB値に最も近い代表RGB値を採用してもよい。すべての顔画像部分を用いて代表RGB値を算出してもよい。また,過度の色補正を防止するために,複数の顔画像のそれぞれについてカラー画像確率sを算出し,最も低いカラー画像確率sが算出された顔画像を処理対象とした場合に得られる調節後の色補正値AWBを,画像データの補正処理に用いてもよい。
また,上述した実施例では,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θに応じて,顔画像部分がカラー画像であるか白黒画像であるか(カラー画像に近いか白黒画像に近いか)を表すカラー画像確率sを算出して色補正値AWBを調節しているが,もちろん,カラー画像と白黒画像との関係のみならず,他の画像種類の関係,例えば,カラー画像とセピア画像,または白黒画像とセピア画像との関係であっても,RGB3次元空間に規定されるセピア色ベクトルを利用して,上述と同様にして画像確率を算出して色補正値AWBを調節することができる。もちろん,画像確率を,顔画像部分がカラー画像と白黒画像とセピア画像のように3種類以上の画像種類のうちいずれの画像種類であるか(いずれの画像種類に近いか)を表すものとして算出することもできる。
カラー画像確率sは,上述のように,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θ(彩度を表す指標)に基づいて算出することもできるし,色相または色度を利用して算出することもできる(色相空間に規定される色相ベクトル,または色度空間に規定される色度ベクトルを用いて,カラー画像確率sを算出すればよい)。
デジタルプリントシステムの全体構成を示すブロック図である。 画像補正装置の詳細な電気的構成を,データの流れとともに示すブロック図である。 RGBの3次元空間における,グレー色ベクトルg,顔画像平均色ベクトルf,グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θとの関係を示す。 グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θと,顔画像部分のカラー画像確率s(0≦s≦1)との関係を表すグラフである。 グレー色ベクトルgと顔画像平均色ベクトルfとがなす角度θと,顔画像部分のカラー画像確率s(0≦s≦1)との関係を表すグラフの他の例である。
符号の説明
1 画像補正装置
2 入力装置
3 表示装置
4 記憶装置
5 プリンタ
11 顔領域区画回路
12 色補正値算出回路
13 カラー画像確率算出回路
14 色補正値調節回路
15 画像補正回路


Claims (7)

  1. 目標色情報の入力を受付ける入力装置,
    与えられる画像データによって表される画像中に含まれる特定画像を表す特定画像データに基づいて,上記特定画像がカラー画像であることを前提にして,上記特定画像データから得られる代表色情報を上記入力された上記目標色情報に一致させる色補正係数を算出する色補正値算出手段,
    記憶装置に記憶されている,特定画像データから得られる色ベクトルとグレー色またはセピア色を表す色ベクトルがなす角度θと,上記特定画像がカラー画像である確率との対応関係を連続する値で定めた対応関係データを用いて,上記特定画像データから得られる色ベクトルとグレー色またはセピア色を表す色ベクトルがなす角度θに対応するカラー画像確率を出力する確率出力手段,
    上記確率出力手段から出力された確率に応じて,上記確率が最大値であれば上記色補正値算出手段によって算出された色補正係数をそのまま用い,上記確率が上記最大値よりも小さい値であれば確率が小さくなるほど補正効果が弱まるようにし,かつ上記確率が最小値であれば補正効果が無くなるようにして,上記色補正値算手段によって算出された色補正係数を調節する色補正値調節手段,および
    上記色補正値調節手段によって調節された色補正係数を上記特定画像データを構成する画素のそれぞれに乗算することによって,上記与えられる画像データのうち少なくとも上記特定画像データを色補正する補正手段,
    を備えた画像補正装置。
  2. 上記特定画像は人物の顔画像である,
    請求項1に記載の画像補正装置。
  3. 複数の人種のそれぞれに対応する顔画像に関する目標色情報を記憶する目標色情報記憶手段,および
    人種を指定する人種指定手段を備え,
    上記色補正値算出手段は,
    指定された人種についての上記目標色情報を用いて上記色補正係数を算出するものである,
    請求項2に記載の画像補正装置。
  4. 与えられる画像データによって表される画像中に複数の上記特定画像が含まれている場合において,
    上記色補正値算出手段は,
    複数の特定画像のそれぞれについて上記色補正係数を算出するものであり,
    上記確率出力手段は,
    複数の特定画像のそれぞれについて上記特定画像がカラー画像である確率を出力するものであり,
    上記色補正値調節手段は,
    上記確率出力手段から出力される複数の確率のうち,最も小さい確率を用いて,その最も小さい確率の出力に用いられた一の特定画像から得られた色補正係数を調節するものである,
    請求項1に記載の画像補正装置。
  5. 上記色補正値調節手段は,与えられる画像データによって表される画像中に占める上記特定画像の面積率が所定値よりも小さい場合に,さらに補正効果が弱まるように上記色補正係数を調節する,
    請求項1に記載の画像補正装置。
  6. 目標色情報の入力を受付け,
    与えられる画像データによって表される画像中に含まれる特定画像を表す特定画像データに基づいて,上記特定画像がカラー画像であることを前提にして,上記特定画像データから得られる代表色情報を上記入力された上記目標色情報に一致させる色補正係数を算出し,
    記憶装置に記憶されている,特定画像データから得られる色ベクトルとグレー色またはセピア色を表す色ベクトルがなす角度θと,上記特定画像がカラー画像である確率との対応関係を連続する値で定めた対応関係データを用いて,上記特定画像データから得られる色ベクトルとグレー色またはセピア色を表す色ベクトルがなす角度θに対応するカラー画像確率を出力し,
    出力された確率に応じて,上記確率が最大値であれば算出された色補正係数をそのまま用い,上記確率が上記最大値よりも小さい値であれば確率が小さくなるほど補正効果が弱まるようにし,かつ上記確率が最小値であれば補正効果が無くなるようにして,算出された色補正係数を調節し,
    調節された色補正係数を上記特定画像データを構成する画素のそれぞれに乗算することによって,上記与えられる画像データのうち少なくとも上記特定画像データを色補正する,
    画像補正方法。
  7. 目標色情報の入力を受付ける入力処理,
    与えられる画像データによって表される画像中に含まれる特定画像を表す特定画像データに基づいて,上記特定画像がカラー画像であることを前提にして,上記特定画像データから得られる代表色情報を上記入力された上記目標色情報に一致させる色補正係数を算出する色補正値処理,
    記憶装置に記憶されている,特定画像データから得られる色ベクトルとグレー色またはセピア色を表す色ベクトルがなす角度θと,上記特定画像がカラー画像である確率との対応関係を連続する値で定めた対応関係データを用いて,上記特定画像データから得られる色ベクトルとグレー色またはセピア色を表す色ベクトルがなす角度θに対応するカラー画像確率を出力する確率出力処理,
    上記確率出力処理によって出力された確率に応じて,上記確率が最大値であれば上記色補正値算出処理によって算出された色補正係数をそのまま用い,上記確率が上記最大値よりも小さい値であれば確率が小さくなるほど補正効果が弱まるようにし,かつ上記確率が最小値であれば補正効果が無くなるようにして,上記色補正値算処理によって算出された色補正係数を調節する色補正値調節処理,および
    上記色補正値調節処理によって調節された色補正係数を上記特定画像データを構成する画素のそれぞれに乗算することによって,上記与えられる画像データのうち少なくとも上記特定画像データを色補正する補正処理,
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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