JP4593147B2 - オゾン発生方法及びオゾン発生装置 - Google Patents
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Description
これらの従来の方式は数十万ボルトの高圧大電力の電源装置が必要であり、食品店やレストラン・ホテル・調理場などで手軽に利用できるものではない。
この発明は、X線を利用するオゾン発生方式ではあるが、従来のようなX線管を使用することなく、全く異なった発想のX線励起によるオゾン発生方法および装置を提供するものである。
(LiTaO3)などの異極像結晶体の熱励起によるX線を効果的に利用したオゾン発生方式である。即ち異極像結晶体の熱励起によって発生する面状発散X線を連続的・効果的にオゾン生成に寄与させるための新規な方法および装置を提供したもので、異極像結晶体を所定の周期で繰り返し加熱・冷却する「熱サイクル励起」という新しい励起方式を採択しこれをオゾン生成装置と有機的に組み合わせることによって、高電圧設備などを必要としない小形で簡単なオゾン発生方式を提案するものである。
又実施態様例のように、小形の異極像結晶を複数個組み合わせて軟X線を集中的にオゾン化室に投射することにより、オゾン化効率を更に向上させることができ、大量のオゾンを連続的に発生させることができる。
図1は、本発明のオゾン発生方法及び装置の基本概念を説明する図で、1、1’は3〜6Pa程度の低気圧域を囲む筺体、2、2’は異極像結晶体でニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの単結晶板で、正の電気面を上(オゾン室に対向する方向)にして設置される。3、3’は前記結晶板2、2’を所定の周期で加熱・冷却するための温度サイクル付与ステージ(熱サイクル付与ステージ)で、Hは加熱用ヒータ線、Pは冷却水還流パイプを示す。5、5’はこのヒータの通電・遮断、冷却水の供給・遮断を制御する制御部、6はオゾン化室を構成する容器で、図1の左側から酸素(O2)を含むガスが導入され、容器6内でオゾン化反応が進行し、右側からオゾン(O3)を含むガスが放出される。4、4’は結晶板2、2’と温度サイクル付与ステージ3、3’との間に設置された低仕事関数をもつ活性層で、酸化マグネシウム(MgO)または酸化カルシウム(CaO)などが適当である。この活性層4、4’はステージ3、3’のブロックの上面に銀ペーストなどの接着層を介して導電接着される。
このようにして、結晶板に昇温・降温の温度サイクルを与えることによって、その表面、側面または下面から連続的に特性X線、白色X線が発生するので、これをX線透過窓を通してオゾン化室に照射することにより、連続的にオゾン反応を進行させることができる。尚、オゾン化室6のX線入射面6aは、X線透過性薄膜で構成するか、または室6の構成部材全体をX線透過性のプラスチックで構成してもよい。
オゾン化室が更に大きい場合は、このX線発生部を四方、六方に設置すれば、より多量のオゾンを連続的に発生できることは明らかである。この場合活性化層4、4’は、特に設けなくても本発明の目的は達せられる。
図3、4は、低気体圧力筺体1内に2個の異極像結晶体2、2’を対向的に配置しそれぞれの結晶体を、熱サイクル励起するためのステージ3、3’をその基面に設けたもので、筺体1の外側の側部に矩形断面の環状オゾン化室6’を筺体を取り囲むように配置した例である。この例では、熱サイクル励起ステージ3、3’はペルチエ効果素子で構成し、その付勢電流を制御回路9によって周期的に正逆方向に切換えることにより、結晶体を繰り返し加熱・冷却するようにする。この場合、対向する結晶体の一方側2が冷却サイクルにあるとき、他方側結晶体2’が加熱サイクルにあるようにペルチエ電流を逆位相的に制御する。即ち結晶体2が冷却過程にあるときはこの結晶体2から特性X線、連続的なエネルギーを持つ白色X線が放射状に発生し、これがX線透過窓6’aを通してオゾン化室6’内に投射され、室内ガスのオゾン化反応に寄与する。またこれによって発生したX線の一部は対向する結晶体2’にも衝突するので、対向結晶体2’からもX線が励起される。このように結晶体2から直接発生したX線も対向結晶体2’からの2次X線も、ともにオゾン化室6’へ投射されるので、オゾン化室へはより多量のX線が投射されることになる。
以上の実施例において、X線発生源となる異極像結晶体としては、LiNbO3、LiTaO3、硫酸グリシン(TGS)が実用的であるが、他の異極像結晶体(焦電結晶体)も利用できる。
またその大きさはできるだけ面積の広いものが望ましいが製造コストなどから、直径30〜60mm程度の円板状又は角形の結晶板で十分であり、その厚みは熱励起の際の熱伝播効率の面から薄いものが望ましく1〜5mm程度のものが実用的である。このようなものであれば比較的簡単に市販で入手できるので汎用性も高くなる。
以上主として異極像結晶体の熱励起による発生X線をオゾン化反応に利用する方式について述べたが、X線励起の手法として異極像結晶を電気的、機械的に刺激してX線を励起させることも可能である。図6は真空(低気体圧力)筐体内に載置した異極像結晶体2の上面(正の電気面)にニオブ、タンタルなどの導電性膜10を貼りつけ、これと結晶の負の電気面(接地側)との間に制御回路11によって、交番電圧を印加し、結晶自体に電歪現象による周期的な歪みを与え、この歪による自発分極によって励起されるX線をオゾン発生に利用するものである。前記電歪を周期的に付与するための交番電圧の極性反転周期は、60サイクル、その電位は1kV程度で、電流は殆ど流さなくてよい。勿論他の機構・加圧手段などで結晶に周期的歪を付与することも可能である。オゾン生成容器、X線ターゲット、ホローカソード管、電源制御部などは前述の実施例と同じものでよい。
図の例は熱サイクル励起手段3とこの電歪サイクル励起手段10,11とを併用してより効率的にオゾンを発生させる例で、両者を同時に或いは切り換えて駆動してもよく、また何れか一方だけのX線でオゾンを発生させるようにしてもよい。この場合は一方の手段は省略できる。
2 異極像結晶
3 熱サイクル付与ステージ
4 活性層
5 熱サイクル励起用制御部
6 オゾン生成用原料ガス容器(オゾン発生部)
7 X線ターゲット
8 ホローカソード管
9 ペルチエ電流制御回路
10 電歪用電位を印加するための電極膜
11 電歪サイクル励起用制御部
Claims (6)
- 低気体圧力密封筐体内に異極像結晶体を複数個対向させて配置し、各結晶体を所定の時間サイクルをもって繰り返し熱励起するとともに、各結晶体の熱励起サイクルを同相または逆相的に制御することによって、結晶体から連続的に軟X線を発生させ、このX線をオゾン生成用原料ガスに照射してオゾンを生成することを特徴とするオゾン発生方法。
- 密封した低気体圧力筐体内に対向配置した複数個の異極像結晶体を、同相または逆相的なサイクルで熱励起しこれによって誘起される強電界によって、この結晶体から発生する荷電粒子及びX線をX線ターゲットに投射し、このターゲットから励起される2次X線をオゾン生成用原料ガスに照射してオゾンを生成することを特徴とするオゾン発生方法。
- 低気体圧力密封筐体内に、異極像結晶体とこの結晶体を繰り返し加熱、冷却する熱サイクル付与手段とを配置するとともに、前記異極像結晶体の周りにホローカソードを設け、前記筐体の外側又は内側にオゾン生成用原料ガス容器を隣接して併設し、前記異極像結晶体から発生する軟X線をX線透過窓を介して前記原料ガス容器に照射するように構成したことを特徴とするオゾン発生装置。
- 低気体圧力密封筐体内に、少なくとも2個の異極像結晶体を、空間を隔てて対向配置するとともに、前記異極像結晶体のそれぞれを同相または逆相的なサイクルで加熱、冷却する熱サイクル付与手段を設け、各結晶体の対向空間の側方に環状のオゾン化室を設け、前記筐体の外側又は内側にオゾン生成用原料ガス容器を隣接して併設し、前記異極像結晶体から発生する軟X線を、X線透過窓を介して前記原料ガス容器に照射するように構成したことを特徴とするオゾン発生装置。
- 低気体圧力密封筐体内に、異極像結晶体を円弧面に沿って複数個配置し、各結晶体に当該結晶体を繰り返し加熱、冷却する熱サイクル付与手段を設け、前記円弧の中心部にはオゾン化室を設け、前記筐体の外側又は内側にオゾン生成用原料ガス容器を隣接して併設し、前記異極像結晶体から発生する軟X線を、X線透過窓を介して前記原料ガス容器に照射するように構成したことを特徴とするオゾン発生装置。
- 低気体圧力密封筐体内にX線ターゲットを設け、異極像結晶体から発生する軟X線および荷電粒子線をこのX線ターゲットに投射し、これによってターゲットから発生する2次X線をオゾン生成用原料ガス容器に照射することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のオゾン発生装置。
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