JP4590627B2 - 力触覚を活用した鍼治療訓練システム - Google Patents

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Description

本発明は、訓練者が操作手段を操作して、仮想の針体で仮想の経穴を刺激する鍼治療の訓練を行えるように構成した力触覚を活用した鍼治療訓練システムに関する。
鍼治療は、古代中国で生まれ、独特な発達を遂げた東洋医学の代表的医術である。当該鍼治療は、人間の自然治癒力を高めることを目的とし、病気や症状に見合う所定の経穴を鍼(針体)で刺激する施術法である。経穴は「ツボ」とも呼び、経絡の要所にある。当該経穴は鍼を打つべき人体の場所であって、全身には数百箇所も存在する。経絡の「経」は経脈を意味し、「絡」は経脈と経脈を連絡するものや経脈以外の細い絡脈を意味する。病気(または症状)と経穴(または経絡)との間には一定の関係があることが分かっているので、病気を治すのに適した経穴を選ぶのはとても大事なことである。
経穴は人体に無秩序に存在するのではなく、ある一定の経絡に沿って整然と存在していることが分かっている。頭の先から足の裏までに存在する一つ一つの経穴には名称があり、各経穴は人体の各器官と関係している。ところが、経穴は現実に穴があいているわけではないし、しるし等もなく、しかも非常に小さな点である。そのため、これから鍼治療を習得しようとする者は、人体のどの位置にどの名前の経穴があるのかを把握するのに苦慮する。この苦慮を軽減するため、従来では人体を模した人形モデルの表面上に経穴の位置を表す光表示素子を備え、当該光表示素子を点灯させることで経穴(名称を含む)や経絡を習得できる技術が開示されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2003−310707号公報(第3−4頁,図1−2)
しかし、人体のどの位置にどの名称の経穴が存在するのかを習得できたとしても、病気または症状を治すには見合った経穴を鍼(針体)で刺激する施術を行わなければならない。人形やマネキン等を用いて施術の訓練を行うこともできるが、経穴に対して刺す鍼(針体)の角度や速度、力度、深度が適切か否かを判断できない。そのため、実際に患者を治療する場合には、鍼(針体)による施術が不適切になって、思った程の治療効果がみられないこともあり、鍼治療術向上の妨げになっていた。
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、経穴に対して刺す鍼(針体)の角度や速度、力度、深度が適切か否かを判断できるようにして鍼治療術を向上させることを目的として、仮想の針体で仮想の経穴を刺激する鍼治療の訓練を行えるように構成した力触覚を活用した鍼治療訓練システムを提供する。
(1)課題を解決するための手段(以下では単に「解決手段」と呼ぶ。)1は、図1に模式的に示すように、人体の経穴と針体とを仮想空間に作製して表示可能に構成し、前記経穴を前記針体で刺激する鍼治療の基本技法を記憶させたコンピュータ装置5と、
前記針体を操作する操作手段8と、
前記操作手段8の操作による力触覚情報を取得する力触覚取得手段9と、
前記力触覚取得手段9によって取得した熟練者(例えば鍼医師のような熟練した施術者を意味する。以下同じ。)の力触覚情報を記憶する力触覚記憶手段M1と、
前記力触覚記憶手段M1に記憶した熟練者の力触覚情報に基づいて、当該力触覚情報が集中する範囲を表す帯域を決定する帯域決定手段4とを備え、
操作者Tが前記操作手段8を操作したときに前記力触覚取得手段9によって取得した力触覚情報に基づいて、前記経穴を前記針体で刺激する鍼治療の訓練過程を表示するとともに、前記帯域決定手段4によって決定した帯域内で施術されているか否かに応じて前記力触覚力情報の可視化形態を異ならせるように構成したことを要旨とする。
解決手段1によれば、コンピュータ装置5は人体の経穴と針体とを仮想空間に作製するので、操作者Tや熟練者等が表示器2を通して見ることができる経穴や針体(鍼)はいずれも仮想のものである。
まず熟練者が操作者Tとして操作手段8を操作し、経穴を針体で刺激する治療を仮想的に行う。操作したときの力触覚情報は力触覚取得手段9が取得し、当該取得した熟練者の力触覚情報を力触覚記憶手段M1に記憶する。当該力触覚情報は、例えば図1に示すように、経穴に対して刺す針体の角度θや速度V、力度F、深度D等のうちで一以上の情報が該当する。よって操作者Tは、操作手段8を通じて操作した針体がどのような角度や速度、力度、深度等になっているのかをリアルタイムで判断できるようになる。
力触覚記憶手段M1に記憶された熟練者の力触覚情報に基づいて、帯域決定手段4は力触覚情報が集中する範囲を表す帯域(いわゆるセーフティーゾーンであり、以下では単に「力度帯域」と呼ぶ。)を決定する。その決定方法は任意であるが、例えばグラフ等に表した力触覚情報の回数が集中する範囲を目視して決定してもよく、力触覚情報が正規分布に従う場合には平均値±σ,平均値±2σ,平均値±3σ(σは標準偏差を意味する。)などで示す範囲で決定してもよい。
次に訓練者が操作者Tとして操作手段8を操作することにより、仮想空間上で経穴を針体で刺激する鍼治療の訓練を行う。具体的には、コンピュータ装置5は仮想空間上で人体の経穴に針体を抜き差ししたり刺激したりする過程をバーチャルリアリティ技術に基づいて表示器2に表示する。またコンピュータ装置5は、操作手段8に加えた力の情報(すなわち力触覚取得手段9で取得した力触覚情報)に基づいて、操作手段8に及ぼした力や向き等が上記力度帯域内に入っているか否かに応じて力触覚情報の可視化形態を異ならせる。色彩によって可視化形態を異ならせる例としては、訓練者の力触覚情報がセーフティーゾーンに入っていれば緑色で表示し、入っていなければ他の色(赤色や青色等)で表示する。他の可視化形態としては、ベクトル(単なる線分を含む)の長さの長短,数値情報の表示,図形の表示などが該当する。力触覚情報の内容を認識した訓練者(操作者T)は、どの程度の力を入れて針体を扱っているのかを一目で簡単に把握できる。
鍼治療の基本技法には、入針(針体の先端を表皮層から真皮層に差し込むこと)、提刺(針体を上方に引っ張ったり、下方に差し込むこと)、捻転(針体をつかんて回しながら上下に移動させること)、留針(経穴に刺してから一定の時間を置くこと)、出針(針体を皮下から抜き出すこと)などがある。これらの基本技法を全て記憶してもよく、任意に選択した一以上の基本技法を記憶してもよい。また、経穴の位置や病気等などによって、入針の角度や速度,力度や深度が異なるので、これらの情報を記憶するのが望ましい。
各技法に見合う操作(すなわち施術訓練)が行われているか否かは、力触覚情報が可視化されるので容易に分かるようになる。訓練者(操作者T)はどの程度の力やどの方向に力を加えて、経穴を針体で刺激したらよいのかが分かるようになる。鍼治療の訓練を仮想的に繰り返し行えるので、鍼治療術の向上を図ることができる。従来のように人形やマネキン等を必要としないので、訓練コストが安く抑えられる。
鍼治療において一般に用いられる針体(鍼)は主に「亳針(ごうしん)」と呼ばれ、直径が0.2ミリメートル前後、長さが4〜5センチメートル程度である。病気や症状,体型,年齢,性別などを考慮して、適切な直径と長さの亳針を用いて施術する。このことから、症状,体型,年齢,性別等に見合う針体、すなわち複数の直径と複数の長さとを組み合わせた針体を仮想空間に作製しておくのが望ましい。針体を経穴に刺すと、患者は「ひびき」と呼ばれる痺れ,脹れ,だるさ等を感ずるようになる。当該ひびきが経絡を通じて痛んだ部位に達すると自然治癒力を高め、症状を和らげてゆく。
(2)解決手段2は、解決手段1に記載した力触覚を活用した鍼治療訓練システムであって、コンピュータ装置5には人体における経穴と経絡とを関係づけて記憶する関係記憶手段M2を備え、前記関係記憶手段M2に記憶された経穴に対する経絡を提示して作用を及ぼす器官を明らかにし、当該経穴を針体で刺激する鍼治療の訓練を行えるように構成したことを要旨とする。
解決手段2によれば、関係記憶手段M2には人体における経穴と経絡とを関係づけて記憶されている。経穴を針体で刺激する訓練を行う際に、経穴に対する経絡が提示されたり、刺激によって作用を及ぼす器官が明らかにされるので、訓練者(操作者T)は鍼治療の訓練を通じて経絡や器官も併せて学習できる。なお、経穴ごとの名称を表示するように構成すれば、当該名称もまた訓練を通じて学習することができるようになる。
(3)解決手段3は、解決手段1または2に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、コンピュータ装置5には病気または症状と経穴とを関係づけて登録するデータベースDBを備え、前記データベースDBに登録された病気または症状を治すのに適した経穴を提示し、当該経穴を針体で刺激する鍼治療の訓練を行えるように構成したことを要旨とする。
解決手段3によれば、データベースDBには病気または症状と経穴とが関係づけて登録されている。訓練者(操作者T)が病気または症状を入力すると、入力された病気等に基づいてデータベースDBを検索し、検索できた経穴を提示する。したがって、訓練者は鍼治療の訓練を通じて、病気または症状を治すのに最適な経穴を学習することができる。
本例では、病気または症状に基づいて経穴を検索したが、逆に経穴に基づいて病気または症状を検索することも可能である。よって針体で刺激する訓練を行う経穴がどの病気または症状に有効なのかを訓練を通じて学習することもできる。
(4)解決手段4は、解決手段1から3のいずれか一項に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、コンピュータ装置5は、経穴における所定範囲で表す部位と針体との接触を検出する接触検出手段6と、当該部位に達する深さまで針体が入ったときに当該接触検出手段6によって前記部位と針体との接触を検出したか否かで報知内容を異ならせる報知手段7とを有することを要旨とする。
経穴における所定範囲内で表す部位(以下では単に「刺激部位」と呼ぶ。)に針体を到達させて刺激すると、人間の自然治癒力を高めて、病気または症状が改善して治ることが分かっている。当該刺激部位は極めて小さく、経穴によって深さや大きさ等が異なる。解決手段4によれば、訓練者(操作者T)によって操作された針体が刺激部位に達する深さまで針体が入ったとき、接触検出手段6によって刺激部位と針体との接触したか否かで、報知手段7が報知する内容を異ならせる。接触の検出は、例えば針体の先端位置がソリッドモデルの所定部位に到達したか否かで判別する。報知は、例えば音(例えば音声,効果音等)を出したり、図形,画像,文字等を表示したりする。具体的に接触した場合には、報知手段7は針体の入針や提刺等が適切に行われている旨を報知する。これに対して接触しなかった場合には、患者が痛みを訴える旨を報知する。操作手段8をその程度操作すれば、針体が刺激部位に到達したり、刺激させたりするのかが分かるようになる。そのため、訓練者は当該訓練を繰り返し行うことにより、鍼治療の精度が向上する。
(5)解決手段5は、解決手段1から4のいずれか一項に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、力触覚情報をベクトル表現で可視化する場合には、前記力触覚の大きさに応じてベクトルの形態を変化させることを要旨とする。
解決手段5によれば、コンピュータ装置5は、力触覚情報の内容(すなわち針体の角度θや速度V、力度F、深度D等)に応じてベクトルの形態を変化させる。当該ベクトルの形態は操作者Tが変化を認識できればよく、例えば長さ,太さ,色彩等が該当する。例えば操作する力が大きくなれば、ベクトルを長くしたり、太くしたり、青色から赤色に次第に変化させる等を行う。逆に操作する力が小さくなれば、ベクトルを短くしたり、細くしたり、赤色から青色に次第に変化させる等を行う。操作する力の方向が変化する場合も同様である。ベクトルの形態が変化したのを認識した訓練者(操作者T)は、経穴を針体で刺激する際に加える力の大きさや方向や等が適切か否かをリアルタイムで判断できるようになる。
(6)解決手段6は、解決手段1から5のいずれか一項に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、操作者Tの姿勢を検出する姿勢検出手段1を備え、前記姿勢検出手段1によって検出した姿勢に基づいて、前記操作者Tから見える経穴および針体を表示することを要旨とする。
操作者Tの姿勢(特に頭部の姿勢)が変化すると、経穴(または人体)や針体などを見る角度も変化するので、見た目が変わる。解決手段6によれば、姿勢検出手段1が操作者Tの姿勢を検出する。図1に示す例では、磁気を発生させる磁気発生器3aと、操作者Tの頭部に取り付けた磁気センサ3bとを有する磁気センサ装置3を用いる。すなわち磁気発生器3aが発生させた磁界中に磁気センサ3bを置くと電流が流れるので、当該電流の強さから姿勢検出手段1は操作者Tの姿勢(本例では頭部の位置や回転角等)を求める。コンピュータ装置5は、姿勢検出手段1が検出した姿勢に基づいて操作者Tから見える経穴や針体等を表示する。したがって、実際の患者を治療すると同様な見え方で治療訓練を行える。なお、本例では磁気センサ装置3によって操作者Tの姿勢を検出したが、他の装置(例えば赤外線やレーザー光等を用いる光センサ装置など)によって操作者Tの姿勢を検出する構成としてもよい。
本発明によれば、経穴に対して刺す針体(鍼)の角度や速度、力度、深度が適切か否かを判断できるようになるので、繰り返し訓練を行うことにより鍼治療術を向上させることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に従って説明する。
本実施例は、図2〜図13を参照しながら説明する。図2には、本発明にかかる鍼治療訓練システムの構成例を斜視図で示す。図3には鍼治療の訓練にかかる鍼治療訓練処理の全体的な手続きを表す。図4には力度帯域を決定する力度帯域決定処理の手続きを表す。図5には訓練者が鍼治療の訓練を行う技法訓練処理の手続きを表す。図6には施術訓練の際に可視化情報を表示する可視化情報表示処理の手続きを表す。図7〜図13には、ディスプレイに表示される内容の一例を示す。なお、図4のステップS38は帯域決定手段4に相当し、図5のステップS48は報知手段7に相当する。
図2に示す鍼治療訓練システムは、メモリ28を内蔵するコンピュータ本体20や、力触覚センサ26を有する操作装置24、立体視用頭部搭載型のディスプレイ12(いわゆるヘッドアップディスプレイ)、磁気発生源16、三次元磁気センサ10、測定装置14等を備える。コンピュータ本体20およびディスプレイ12は、コンピュータ装置5に相当する。メモリ28は力触覚記憶手段M1,関係記憶手段M2,データベースDBに相当する。操作装置24は操作手段8に相当する。磁気発生源16および三次元磁気センサ10は磁気センサ装置3に相当する。測定装置14は姿勢検出手段1に相当する。なお、モニター18はコンピュータ本体20に付属するディスプレイである。
メモリ28には、仮想空間に作製する人体,経穴,経絡,針体等に関する形状データや、人体における経穴と経絡とを関係づける関係データ、操作者Tの操作により力触覚センサ26が検出した力触覚情報、後述する測定装置14によって求めた姿勢情報などの諸データを記憶(記録)する。メモリ28はこれらのデータを記録して読み込み可能な記録媒体であって、例えばROM,RAM,ハードディスク,光磁気ディスク等を用いる。
操作装置24には、操作レバー22と力触覚センサ26を備える。操作手段8に相当する操作レバー22を操作すると、仮想空間上で針体が動く。操作装置24は、操作者Tが操作したときの操作レバー22の位置や姿勢に関する情報(すなわち機器情報)をコンピュータ本体20に出力するとともに、当該操作時に加えられる力を力触覚センサ26が検出して力触覚情報としてコンピュータ本体20に出力する。当該力触覚センサ26は、力触覚取得手段9に相当する。
コンピュータ本体20は、操作者Tが操作レバー22を操作することにより、仮想空間上で人体の経穴を針体で刺激する鍼治療の訓練を行えるように構成する。具体的には、操作者Tが操作する操作レバー22にかかる情報(機器情報や力触覚情報等)に基づいて、仮想空間に作製した人体の経穴を針体で刺激することにより治療を行う過程や、関係データ、力触覚情報、姿勢情報などの内容をディスプレイ12に表示する。
磁気発生器3aに相当する磁気発生源16と、磁気センサ3bに相当する三次元磁気センサ10とは、いずれもX軸,Y軸,Z軸方向に互いに直交させた三つのコイルによって構成する。磁気発生源16は、コイルに電流を流すことによって磁気(磁界)を発生させる。こうして発生させた磁気の中に三次元磁気センサ10を置くと電流が流れ、当該電流の強さは磁気発生源16からの距離と角度によって決定される。測定装置14は、磁気発生源16や三次元磁気センサ10に流れる各電流値に基づいて連立方程式を解くことにより、三次元磁気センサ10(すなわち操作者Tの頭部)にかかる三次元位置座標およびオイラー角(roll,pitch,yaw)を求める。こうして操作者Tの姿勢(すなわち三次元座標位置や回転角,仰角等)が分かるので、測定装置14は姿勢情報としてコンピュータ本体20に出力する。
上述のように構成した力触覚を活用した鍼治療訓練システムにおいて、本発明を実現するための鍼治療訓練処理について図3を参照しながら説明する。図3において、始めにメモリ28に記憶させた人体,経穴,経絡,針体等に関するデータに基づいて、仮想空間に人体(全身や各部位),経穴,経絡,針体,操作者Tの手などを作製する〔ステップS10〕。作製時期は問わないが、遅くとも鍼治療訓練を開始する前には作製を終えておく必要がある。仮想空間で作製する人体(全身や各部位),経穴,経絡,針体等は、ソリッドモデル(立体モデル)によって実現する。人体のソリッドモデルについては、骨,血管,臓器,筋肉(筋繊維)なども作製するのが望ましい。
上記ソリッドモデルの作製とともに、鍼治療の基本技法(すなわち入針,提刺,捻転,留針,出針など)、人体における経穴の位置や名称、経絡の位置や関連する器官、病気または症状に対応する経穴等にかかる各情報をメモリ28に記憶する〔ステップS12〕。例えば経穴は人体に数百もの存在するので、これを全て記憶するのが望ましいが、主要となる経穴のみ記憶するように構成してもよい。例えば合谷,労宮,内関について記憶する場合には、次の関係表に示すような情報を記憶する。
〔経穴,経絡,位置,対応病気等の関係表〕
┏━━━━━━━┯━━━━┯━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━┓
┃経穴名 │経絡 │人体における位置 │対応する病気や症状 ┃
┣━━━━━━━┿━━━━┿━━━━━━━━━━━┿━━━━━━━━━━┫
┃合谷 │大腸経 │親指と人さし指の谷間の│大腸の機能低下、血圧┃
┃(ごうこく) │ │骨の少し人さし指寄り │が不安定、風邪 ┃
┠───────┼────┼───────────┼──────────┨
┃労宮 │心包経 │手のひらの中央で、指を│心の疲れ(心労) ┃
┃(ろうきゅう)│ │握ると中指の先端が手の│ ┃
┃ │ │ひらに当たるところ │ ┃
┠───────┼────┼───────────┼──────────┨
┃内関 │心包経 │手のひら側の手首のしわ│食欲不振、軟便、上腹┃
┃(ないかん) │ │の中央から肘に向かって│部が張った感じ ┃
┃ │ │指幅三本分のところ │ ┃
┗━━━━━━━┷━━━━┷━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━┛
メモリ28への記憶はデータベースDBとして登録する形式が望ましく、特にリレーショナルデータベースで構築した場合にはデータの相互関係が抽出しやすくなる。リレーショナルデータベースでは経穴,経絡,位置,病気等のいずれの項目をキーとすることができ、データの結合や抽出を容易に行なうことができる。例えば上記関係表に従えば、経絡をキーとして心包経を検索すれば、容易に労宮と内関を抽出することができる。
訓練者の訓練に先立って、熟練者が経穴を針体で刺激する際の操作力にかかるデータを取得するため、力度帯域決定処理を実行する〔ステップS14〕。当該力度帯域決定処理の具体的な手続きについて、図4を参照しながら説明する。
図4において、熟練者(操作者T)が操作レバー22を操作することにより仮想空間で鍼治療を行うために針体を動かす〔ステップS30〕。病気や症状,体型,年齢,性別などに対応して、使用する針体の直径や長さを入力し、メモリ28に記憶しておくのが望ましい。続いて、入針,提刺,捻転,出針などの基本技法にかかる操作力を力触覚センサ26から取得してメモリ28に記憶し〔ステップS32〕、記憶した操作力に基づいて力の大きさ(X軸,Y軸,Z軸方向の力)や回転トルク等の力触覚情報をメモリ28に記憶する〔ステップS34〕。鍼治療の全基本技法について各種情報を取得まではステップS30,S32,S34の各手続きを繰り返す〔ステップS36〕。全ての情報を取得し終えると(ステップS36でYES)、当該情報に基づいて鍼治療にかかる熟練者の力度帯域を決定してメモリ28に記憶する〔ステップS38〕。
ステップS38で決定する力度帯域は、熟練者の施術加減であるので、いわゆるセーフティーゾーンに相当する。当該力度帯域の決定方法は任意であるが、例えばグラフ等に表した力触覚情報の回数が集中する範囲を目視して決定してもよく、力触覚情報が正規分布に従う場合には平均値±σ,平均値±2σ,平均値±3σ(σは標準偏差を意味する。)などで示す範囲に決定したり、力触覚情報が正規分布に従わない場合には力触覚情報が所定回数(例えば5回や10回等)以上になる範囲に決定してもよい。
熟練者の力度帯域を決定すると鍼治療の訓練を行える環境が整うので、図3に戻って訓練者が鍼治療の訓練を行うべく技法訓練処理を実行した後〔ステップS16〕、施術訓練の結果を報知するべく訓練結果報知処理を実行する〔ステップS18〕。以下では、技法訓練処理と訓練結果報知処理とについて具体的な手続きの内容例を説明する。
図5に示す技法訓練処理は、熟練者の操作力に基づく力触覚情報を確認しながら訓練する確認訓練ステップ(ステップS40〜S50)と、訓練者が修得した技術を試す訓練を行う試行訓練ステップ(ステップS52〜S58)とからなる。
確認訓練ステップでは、施術訓練の際に可視化情報を表示するために可視化情報表示処理を実行する〔ステップS40〕。当該可視化情報表示処理にかかる具体的な手続きの内容例について、図6を参照しながら説明する。
図6に示す可視化情報表示処理では、施術を行う人体や経穴等、針体に加える力の内容などの諸情報を表示して訓練者(操作者T)に報知する。まず、人体における経穴の位置や名称、経絡の位置や関連する器官、病気または症状に対応する経穴等を表示する〔ステップS70〕。熟練者が加えた力と反対方向のX軸,Y軸,Z軸成分の力を合成したベクトルを表示する〔ステップS72〕。熟練者が加えたトルクと同じ回転方向のトルク曲線を表示する〔ステップS74〕。針体に加えている力やトルク等に関する情報を表示する〔ステップS76〕。なおステップS72,S74では、力ベクトルや回転トルクの大きさに応じて長さ(または太さ)の変化や色等を変化させるのが望ましい。
操作力(力ベクトルや回転トルク等の大きさ)が大きくなれば、例えばベクトルを長く(太く)したり、青色から赤色に次第に変化させる。逆に操作力が小さくなれば、例えばベクトルを短く(細く)したり、赤色から青色に次第に変化させる。このように変化させることを前提として、例えば訓練者の操作力が熟練者の力度帯域内にあればベクトルを緑色で表示し、同じく力度帯域の上限値よりも小さければベクトルを赤色で表示する。こうしてベクトルの色を認識した操作者Tは操作力が適切か否かを一目で把握できる。
本例ではベクトルによって針体の角度θおよび力度Fを図示できるが、数値や図形等で表してもよい。また、針体の速度Vや皮膚表面からの深度Dをベクトルに付随して(または独立して)表すように構成すると、速度Vや深度Dが分かり易くなるのでなおよい。
可視化情報の表示を終えると図5に戻り、訓練者(操作者T)の姿勢情報を測定装置14から取得してメモリ28に記憶し〔ステップS42〕、当該訓練者が操作レバー22を操作することにより仮想空間で鍼治療を行うために針体を動かす〔ステップS44〕。このときディスプレイ12には、ステップS42で記憶した姿勢情報が変化すれば、人体(全身や各部位),経穴,経絡,針体,操作者Tの手などの見え方を変えて表示する。そして、X軸,Y軸,Z軸の各力触覚情報を力触覚センサ26から取得してメモリ28に記憶するとともに〔ステップS46〕、針体を動かして施術している間に針体が刺激部位に達したか否か等を報知する〔ステップS48〕。針体が刺激部位に達したか否か接触検出方法については後述する。確認訓練ステップを行う間は、ステップS40,S44,S46,S48の各手続きを繰り返す〔ステップS50〕。確認訓練ステップを終えると(ステップS50でYES)、試行訓練ステップに進む。
ステップS48における接触検出は、仮想空間では針体や刺激部位(すなわち経穴における所定範囲内で表す部位)等がいずれもソリッドモデルで作成されているので、当該ソリッドモデルにおいて針体の先端位置が刺激部位に到達したか否かで判別する。報知は、例えば音(例えば音声,効果音等)を出したり、図形(○や×等)、文字(「刺激部位に到達」等)などを表示したりする。
試行訓練ステップでは、可視化情報が表示されていない状態で、ステップS44と同様に訓練者(操作者T)が仮想空間で針体を動かすと〔ステップS54〕、ステップS46と同様に力触覚情報をメモリ28に記憶する〔ステップS56〕。試行訓練ステップを行う間は、ステップS54,S56の各手続きを繰り返す〔ステップS58〕。試行訓練ステップを終えると(ステップS58でYES)、ステップS46,S56で記憶した各情報に基づいて訓練者の力度帯域を決定してメモリ28に記憶する〔ステップS60〕。
訓練者による鍼治療の訓練を終えて再び図3に戻ると、図4のステップS38と図5のステップS60とで記憶した各力度帯域をディスプレイ12(またはモニター18)に表示する〔ステップS18〕。表示形式は問わないが、操作レバー22に加えた力の大きさや方向あるいは回転トルク等を比較しやすい形式で表示するのが望ましい。例えば、グラフ形式での表示や図形の大小表示などが該当する。こうして表示された比較内容を見た訓練者は、熟練者と比べてどれだけ力の大きさや回転トルクが違うのかを容易に把握できる。ステップS18の表示に代えて(あるいは加えて)、確認訓練ステップを行う前と後との力度帯域をディスプレイ12等に表示する〔ステップS20〕。こうして表示された比較内容を見た訓練者は、訓練の前後における力の大きさや回転トルク等の変化が分かるので、施術修得の進行度を容易に把握できる。
図3〜図6に示す手続きを実行してディスプレイ12(またはモニター18)で実現する表示例について、図7〜図13を参照しながら説明する。なお、図9〜図12で表す内容はある時点における一画面の例であり、操作者Tが操作レバー22を操作したり、操作者Tの姿勢が変化することでほぼリアルタイムに見え方が変化する。
まず図7は、経穴の位置と名称とを表示する例である(図6のステップS70)。図7(A)には「合谷」の表示例を示し、図7(B)には「労宮」の表示例を示し、図7(C)には「内関」の表示例を示す。このように経穴が存在する人体の部位を模式的に表示するとともに、位置を黒点「●」で表すとともに経穴名を表示するので、訓練者は訓練を通じて経穴の位置や名称等が覚えられる。特に図7(C)に表す文字「指3本」のように、経穴の位置を見つけやすい指標を併せて表示すれば、訓練者(特に初心者)は容易に経穴を見つけ易くなる。
図8は、経穴にかかる位置の特定法とを表示する例である(図6のステップS70)。上述した図7(C)の例では特定方法を文字で示したが、図8では左手の合谷を右手親指で特定する方法を図示するとともに対応する病気や症状等を併せて表示している。経穴の位置を文字で表しにくい場合には、図示することによって容易に特定し易くなる。
図9は、人体36の経穴に針体を刺すときの基本姿勢を表示する例である(図6のステップS70)。本例では、針体32の本体部を右手34で持ち、経穴以外の部位を刺さないようにするため針体32の先端部を左手30で持っている。
図10は、基本技法の一つである入針を訓練する様子を表示する例である(図6のステップS72,S76)。訓練者(操作者T)が操作レバー22を操作して仮想空間で針体の先端を表皮層から真皮層に刺し込むとき、刺し込む方向や力の大きさをベクトルV4で表示する。当該ベクトルV4とともに、熟練者の操作力がベクトルV2で表示される。操作者Tが操作レバー22に加えて力触覚センサ26で検出する力は刺したり抜いたりする力に等しいので、ベクトルV2,V4とは逆方向の力となる。この方向のまま表示したのでは不自然な表示になるので、ベクトルV2,V4はいずれも操作レバー22に加えた力とは反対方向の力で表している。後述する図11,図12でも同様である。さらに力加減を分かり易くするため、ベクトルV4は熟練者の力度帯域内に入っているか否かに応じて色が変化する。本例では、熟練者の力度帯域から外れて強い力で入針が行われているので、ベクトルV4が赤色で表示されている。訓練者は双方のベクトルを比較しながら鍼治療の訓練を行えるので、針体を刺し込む方向や速度,力の大きさ等を容易に修得できる。
図11は、基本技法の一つである捻転を訓練する様子を表示する例である(図6のステップS74,S76)。訓練者(操作者T)が操作レバー22を操作して仮想空間で針体を正逆方向に交互に切り換えて回転させるとき、上述したベクトルV2とともに、回転させる方向や回転速度,力の大きさ等をベクトルV4で表示する。本例では、熟練者の力度帯域内で捻転が行われているので、ベクトルV4が青色で表示されている。
図12は、基本技法の一つである出針を訓練する様子を表示する例である(図6のステップS74,S76)。訓練者(操作者T)が操作レバー22を操作して仮想空間で針体を皮下から抜き出すとき、上述したベクトルV2とともに、抜き出す方向や速度,力の大きさ等をベクトルV4で表示する。本例では、熟練者の抜き出す方向と比べて少し方向がずれて抜き出されているので、ベクトルV4が黄色で表示されている。
図13は、鍼治療の訓練を終えた後に訓練結果を表示する例である(図3のステップS18)。当該図13には施術する際に加えた力の大きさにかかる分布を棒グラフで表し、図面上側が熟練者のデータであり、図面下側が訓練者のデータである。また、熟練者の力触覚情報に基づく力度帯域Zを破線で表す。両棒グラフを比較してみると、訓練者は熟練者よりも全体的に強い力を加えて施術しているのが分かる。このように熟練者が加えた力と対比させることで、訓練者は鍼治療の施術を行う際に加える力が大きいか小さいかを把握できる。なお、本例では上下に分けて表示する形式としたが、一つにまとめて表示する形式としてもよい。例えば熟練者のデータを折れ線グラフで表し、訓練者のデータを棒グラフで表す。こうすれば、より比較が行いやすくなる。
上述した実施例によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
(1)人体の経穴と針体とを仮想空間に作製してディスプレイ12に表示可能に構成し、経穴を針体で刺激する鍼治療の基本技法を記憶させたコンピュータ本体20(コンピュータ装置5)と、当該針体を操作する操作レバー22(操作手段8)と、操作レバー22の操作による力触覚情報を取得する力触覚センサ26(力触覚取得手段9)と、力触覚センサ26によって取得した熟練者の力触覚情報を記憶するメモリ28(力触覚記憶手段M1)とを備えた{図2を参照}。メモリ28に記憶した熟練者の力触覚情報に基づいて、力度帯域(すなわち力触覚情報が集中する範囲を表す帯域)を決定した{帯域決定手段4;図4のステップS38を参照}。操作者Tが操作レバー22を操作したときに力触覚センサ26によって取得した力触覚情報に基づいて、経穴を針体で刺激する鍼治療の訓練過程を表示するとともに、熟練者の力度帯域内で施術されているか否かに応じて力触覚力情報の可視化形態を異ならせた{図6のステップS72,S74,S76を参照}。よって、ベクトルの長さや色が変わる力触覚力情報を認識した訓練者(操作者T)は、どの程度の力を入れて針体を扱っているのか、どのような角度や力度等になっているのかをリアルタイムでしかも一目で把握できるようになる。
(2)メモリ28には人体における経穴と経絡とを関係づけて記憶し{関係表を参照}、経穴を針体で刺激する訓練を行う際には経穴に対する経絡を提示したり、刺激によって作用を及ぼす器官が明らかにした{図6のステップS70、図8を参照}。そのため、訓練者(操作者T)は鍼治療の訓練を通じて経絡や器官も併せて学習できる。
(3)病気または症状と経穴とを関係づけてデータベースDB(メモリ28内)に登録し、当該データベースDBに登録された病気または症状を治すのに適した経穴を提示した{図6のステップS70、図8を参照}。そのため、訓練者(操作者T)は鍼治療の訓練を通じて、病気または症状を治すのに最適な経穴や、訓練対象となる経穴がどの病気または症状に有効なのかを学習することもできる。
(4)針体と刺激部位とが接触した否かを検出し{接触検出手段6;図5のステップS48を参照}、刺激部位に達する深さまで入ったときに針体と刺激部位とが接触した否かで報知内容を異ならせた{報知手段7;図5のステップS48を参照}。操作レバー22をどの程度操作すれば、針体が刺激部位に到達したり、刺激させたりするのかが分かるようになる。そのため、訓練者(操作者T)は当該訓練を繰り返し行うことにより、鍼治療の精度が向上する。
(5)力触覚情報をベクトルで表示する場合、コンピュータ本体20は当該力触覚情報の大きさ等に応じてベクトルの形態を変化させた{図10〜図12を参照}。ベクトルの形態が変化したのを認識した訓練者(操作者T)は、針体を用いた鍼治療の基本技法を行う際に加える力の向きや大きさ等が適切か否かをリアルタイムで判断できるようになる。
(6)操作者Tの姿勢を検出する測定装置14を備え、当該測定装置14によって検出した姿勢に基づいて操作者Tから見える人体,経穴,経絡,針体,操作者Tの手などを表示した{図10〜図12を参照}。操作者Tの姿勢(特に頭部の姿勢)が変化すると、人体,経穴,経絡,針体,操作者Tの手などを見る角度も変化するので、見た目が変わる。測定装置14が検出した姿勢に基づいて操作者Tから見える経穴や針体等を表示するので、実際の患者を治療すると同様な見え方で治療訓練を行える。
他の実施例
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例に従って説明したが、本発明は当該実施例に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することが可能である。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
(1)上述した実施例では、針体と刺激部位とが接触したか否かに従って、単に報知を行うのみとした{図5のステップS48を参照}。この形態に加えて、針体が接触した部位に応じて仮想患者の人体部分を反射的に動かす表示を行なってもよい。現実では針体が神経に接触すると、患者には痛みが発生するので、当該患者は接触した部位や顔面等を痛みから回避しようと反射的に動かす場合がある。そこで、仮想患者も実際の患者と同様の行動を起こさせることにより、反射的動作の対応措置を訓練できるようになる。
(2)上述した反射的動作に代えて(あるいは加えて)、人体における血管や血を仮想空間にソリッドモデルで作製しておき、操作者Tが操作レバー22を操作したときに針体が血管に達すると、血を表示するように構成してもよい。針体が血管を傷つけたか否か判定は、仮想空間上に作製した針体とは別個に一枚の無色の三角ポリゴンを作製しておき、当該ソリッドモデルにおいて針体の先端位置が血管部位に到達したか否かで行う。仮想の血は初めに仮想空間の遠方に配置しておき、接触を検出したときに当該血を単に接触部位に移動させると、リアルタイム性を損なわずに表示が行える。血の表示を認識した操作者Tは、実際の治療と同様の臨場感で治療ミスの発生を知り得るので、治療時の危険性を現実的に習得できる。
なお、仮想空間での作製はソリッドモデルに限らず、ポリゴンで行うことも可能である。当該ポリゴンの中でも最も単純な三角ポリゴンを用いて表示したり、接触判定を行う場合には、計算量を大幅に減らすことができるのでリアルタイム性を向上し得る。
(3)上述した実施例では、操作者Tが加えた力の分布を訓練結果として表示する構成とした{図3のステップS18、図13を参照}。この形態に代えて(あるいは加えて)、操作者Tが加えた力の時系列的な変化を表示する構成としてもよい。こうすれば、操作者Tはどのタイミングでどれだけの強さを加えていたのかが分かるようになる。特に熟練者が加えた力の時系列的な変化を合わせて表示すれば、訓練者は各タイミングで加える力が熟練者と比べて強い(大きい)か否かを簡単に把握できるようになる。
(4)上述した実施例では、磁気センサ装置3によって操作者Tの姿勢を検出する構成としたが{図2を参照}、他の装置(例えば赤外線やレーザー光等を用いる光センサ装置など)によって操作者Tの姿勢を検出する構成としてもよい。
また、確認訓練ステップの後に試行訓練ステップを行なったが{図5を参照}、試行訓練ステップの後に確認訓練ステップを行う構成としてもよく、確認訓練ステップと試行訓練ステップとを交互に繰り返す構成としてもよい。
いずれの変更例にせよ、上述した実施例と同等の作用効果を得ることができる。
(5)上述した実施例では、実際の鍼治療と同様の環境で訓練を行えるようにするために、操作者T(熟練者や訓練者)から現実に見えるような表現形態で表示した{図10〜図12を参照}。この表現形態に代えて(あるいは加えて)、仮想空間に作製した人体モデルを半透明で表示し、針体(鍼)を差し込んだ様子や角度などを確認できるような表現形態としてもよい。さらに、ボタンスイッチの操作によって人体モデルを不透明と半透明との間で切り換えられるように構成してもよい。当該表現形態によれば、操作者Tは針体と骨,血管,臓器,筋肉(筋繊維)などとの位置関係を容易に把握できるようになる。
本発明の概要を模式的に表すブロック図である。 鍼治療訓練システムの構成例を示す斜視図である。 鍼治療訓練処理の手続きを表すフローチャートである。 帯域決定処理の手続きを表すフローチャートである。 技法訓練処理の手続きを表すフローチャートである。 可視化情報表示処理の手続きを表すフローチャートである。 ディスプレイへの表示例を示す図である。 ディスプレイへの表示例を示す図である。 ディスプレイへの表示例を示す図である。 ディスプレイへの表示例を示す図である。 ディスプレイへの表示例を示す図である。 ディスプレイへの表示例を示す図である。 ディスプレイへの表示例を示す図である。
符号の説明
1 姿勢検出手段
2 表示器
3 磁気センサ装置
3a 磁気発生器
3b 磁気センサ
4 帯域決定手段
5 コンピュータ装置
6 接触検出手段
7 報知手段
8 操作手段
9 力触覚取得手段
D 深度
DB データベース
F 力度
M1 力触覚記憶手段
M2 関係記憶手段
T 操作者(熟練者,訓練者等)
V 速度
θ 角度
10 三次元磁気センサ(磁気センサ装置)
12 ディスプレイ(コンピュータ装置,表示器)
14 測定装置(姿勢検出手段)
16 磁気発生源(磁気センサ装置)
20 コンピュータ本体(コンピュータ装置)
22 操作レバー(操作手段)
24 操作装置
26 力触覚センサ(力触覚取得手段)
28 メモリ(力触覚記憶手段,関係記憶手段,データベース)
32 針体(鍼)
36 人体
V2,V4 ベクトル

Claims (6)

  1. 人体の経穴と針体とを仮想空間に作製して表示可能に構成し、前記経穴を前記針体で刺激する鍼治療の基本技法を記憶させたコンピュータ装置と、
    前記針体を操作する操作手段と、
    前記操作手段の操作による力触覚情報を取得する力触覚取得手段と、
    前記力触覚取得手段によって取得した熟練者の力触覚情報を記憶する力触覚記憶手段と、
    前記力触覚記憶手段に記憶した熟練者の力触覚情報に基づいて、熟練者の施術加減である力度帯域を決定する帯域決定手段とを備え、
    操作者が前記操作手段を操作したときに前記力触覚取得手段によって取得した力触覚情報に基づいて、前記経穴を前記針体で刺激する鍼治療の訓練過程を表示するとともに、前記帯域決定手段によって決定した力度帯域内で施術されているか否かに応じて前記力触覚情報の可視化形態を異ならせるように構成したことを特徴とする力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システム。
  2. 請求項1に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、
    コンピュータ装置には人体における経穴と経絡とを関係づけて記憶する関係記憶手段を備え、
    前記関係記憶手段に記憶された経穴に対する経絡を提示して作用を及ぼす器官を明らかにし、当該経穴を針体で刺激する鍼治療の訓練を行えるように構成したことを特徴とする力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システム。
  3. 請求項1または2に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、
    コンピュータ装置には病気または症状と経穴とを関係づけて登録するデータベースを備え、
    前記データベースに登録された病気または症状を治すのに適した経穴を提示し、当該経穴を針体で刺激する鍼治療の訓練を行えるように構成したことを特徴とする力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システム。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、
    前記仮想空間で針体および経穴における所定範囲内で表す部位がソリッドモデルで作成されており、
    コンピュータ装置は、前記ソリッドモデルにおいて針体の先端位置が経穴における所定範囲で表す部位に到達したか否かで経穴における所定範囲で表す部位と針体との接触を検出する接触検出手段と、当該部位に達する深さまで針体が入ったときに当該接触検出手段によって前記部位と針体との接触を検出したか否かで報知内容を異ならせる報知手段とを有することを特徴とする力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システム。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、
    力触覚情報をベクトル表現で可視化、前記力触覚の大きさに応じてベクトルの形態を変化させるようになっており、さらに、前記帯域決定手段によって決定した力度帯域内で施術されているか否かに応じて前記ベクトル表現で可視化された力触覚情報の可視化形態を異ならせるように構成したことを特徴とする力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システム。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載した力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システムであって、
    操作者の頭部の姿勢を検出する姿勢検出手段を備え、
    前記姿勢検出手段によって検出した姿勢に基づいて、前記操作者から見える経穴および針体を表示することを特徴とする力触覚を活用した鍼治療の学習訓練システム。
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