JP4584146B2 - α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含む成型物およびその製造方法 - Google Patents

α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含む成型物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本特許出願は、平成15年7月9日に日本国特許庁に特許出願された特願2003−272593に基づく優先権主張出願であり、これを参照して本明細書中に導入している。
本発明は、α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含む、生分解性に優れ、かつ成形性が良好である成型物およびその製造方法に関する。
石油を原料とする合成高分子は、生産量が膨大にもかかわらず自然環境下で分解しないこと、及び焼却時に有毒ガスを発生することなどから廃棄処理が大きな社会問題になっている。また、石油系プラスチック、たとえば、ポリスチレンやポリカーボネートなどは環境ホルモンの含有が指摘され人類の生存に懸念を投げかけている。その他のプラスチックにおいても含有されるオリゴマ−の人体に対する影響が危惧されている。
さらに、石油資源枯渇後の資源エネルギ−対策や炭酸ガスゼロ・エミッションシステム構築の観点から、農産物、特に澱粉原料からの石油系プラスチック代替製品の開発が重要視されている。
近年、石油原料の高分子材料に替わるものとして、人体にやさしく自然環境を破壊しない再生循環型資源である澱粉や木材等から製造された高分子材料が開発されている。これらの製品は人体に対する安全性に関して長い使用実績がある。また、土壌中に埋蔵することにより細菌や微生物により分解される特性を有している。
澱粉を原料とした製品としては、澱粉を適当な水分下に押出発泡したバラ状緩衝材や澱粉スラリ−を加熱発泡し、成形したトレ−やカップなどが開発されている。しかし、通常の澱粉製品は耐水性や強度特性が石油原料の合成高分子に比較して劣る。そこで、澱粉単独でフィルムやシ−ト、成型品として使用できない場合には、澱粉を他の生分解性を備えた合成系のプラスチックとブレンドした製品が開発されているが工業製品として満足できるものはない。市販の石油原料のプラスチックに対抗できる澱粉製品の開発が待望されている。
しかし、従来の澱粉製品には、次のような問題点が指摘されている。
(a)天然澱粉は通常アミロ−ス(グルコースが直鎖状に結合した構造のポリマ−)とアミロペクチン(アミロ−スに枝別れが生じた房状のポリマ−)の両方の混合体からなり、直鎖状のアミロ−スは加工性、フィルム特性、成形性において合成プラスチックに匹敵する特性を備えているが、アミロペクチンは強度特性においてより劣った性能を示す。従って、混合体である天然澱粉は、強度特性において不充分である。
(b)天然の澱粉は、アミロ−ス含有量が多いハイアミロースコーンスタ−チでもアミロ−ス含有量は約70%以下、普通種のコーンスターチでは25%程度である。したがって、天然澱粉をそのまま利用すると性質の劣ったものになる。
(c)天然の澱粉から、アミロ−スを分離抽出することは可能であるが、その操作は煩雑で、収率も低く、工業的製法にはなりえない。
(d)天然澱粉に含まれるアミロ−スは、通常、分子量が数万から数十万Daと低い。たとえばコーンスターチのアミロ−スは約25万Da(250kDa)、馬鈴薯澱粉のそれは約49万Da(490kDa)である。低分子量のアミロ−スは老化しやすく、機械強度も低いことはよく知られている。したがって、天然物から分離生成したとしても市販プラスチック代替に使用できる特性を備えていない。
(e)天然澱粉に含まれるアミロ−スは、通常分子量分布(Mw/Mn)が1.3以上と広い。広い分子量分布のアミロ−スから作られた製品は、強度特性や加工性が劣る。
(f)天然澱粉に含まれるアミロ−スは、僅かな分岐構造を持っている。そのため結晶の核生成速度が速く、結晶化が起こり易い。その結果、フィルムやシ−トなどの組織を不均一構造にし、透明性と力学強度を低下する。
(g)天然澱粉に含まれるアミロ−スは、130℃熱水には溶解するが、前記(d)、(e)及び(f)項の原因により、温度が低下すると沈殿が生じ糊液は白濁する。したがって、成型品は不均一構造になり、加工性が劣り、製品も不透明、強度の低いものになる。
(h)天然澱粉に含まれるアミロ−スは、ジメチルスルホオキシドやジメチルホルムアミドのような溶剤には溶解するが、通常、水のような安価な溶剤には溶解しない。したがって、天然澱粉に含まれるアミロ−スの使用は溶剤回収などプロセスが複雑になり経済性の面からも工業的製法とはいえない。また、アミロ−スの高分子特性を改良するため各種化学修飾を加える上においても適当な溶剤の存在しないことは致命的である。
(i)天然澱粉の高分子特性を改良するため、澱粉分子鎖へのメチルアクリレ−トやメチルメタアクリレ−ト、スチレンなどビニルモノマ−のグラフト重合体も開発されたが、製造価格の上昇に見合う性能向上は認められず、また、ビニルモノマ−部分は生分解性を示さなかった。
(j)天然アミロ−スは化学架橋で膨潤度を制御することが困難である。
上述のような理由から、天然アミロ−スの工業的応用は進展しなかったものと考えられる。
一方、天然アミロ−スを用いるかわりに、合成アミロースを用いる方法も近年検討されている。合成アミロースを調製する方法として、例えば、酵素の作用によりグルコース残基を連結してα−1,4−グルカンを合成する方法(酵素合成)などが挙げられる。
酵素合成方法の一例として、スクロ−スを基質として、アミロスクラ−ゼ(amylosucrase、EC 2.4.1.4)を作用させる方法がある(以降、AMSU法と略す)。AMSU法で得られるα−1,4−グルカンは低重合度である。高度に精製されたアミロスクラ−ゼを用いて製造されるα−1,4−グルカンであっても、分子量は8,941Daであると報告されている(Montalkら、FEBS Letters 471、第219〜223頁(2000年))。
しかしながら、AMSU法で分散度が小さい、すなわち分子量分布が狭いα−1,4−グルカンが得られたとしても、上述のようにその平均分子量は数千kDaと小さいものである。分子量が数万Da以下のα−1,4−グルカンは非常に結晶性が高く、成型物を単独で製造することは非常に困難であり、仮に製造できたとしても、充分な強度特性を有するものにはならないという問題がある。
酵素合成の別の方法として、グルカンホスホリラーゼ(α−glucan phosphorylase、EC 2.4.1.1;通常、ホスホリラーゼという)を用いる方法がある。このような方法には、ホスホリラーゼのみを基質(グルコース−1−リン酸)に作用させてそのグルコシル基をプライマー(例えば、マルトヘプタオース)に転移する方法(GP法と呼ばれる)およびホスホリラーゼに加えてスクロースホスホリラーゼを用いることによってスクロ−スからG−1−Pを合成してこのG−1−Pのグルコシル基をプライマーに転移する方法(SP−GP法と呼ばれる)がある(例えば、国際公開第WO02/097107号パンフレットを参照のこと)。
WO02/06507号パンフレットは、重量平均分子量100kDa以上、分子量分布(Mw/Mn)1.25以下の酵素合成アミロ−スを原料とする、成型物を開示している。この酵素合成アミロ−スは、強度特性の劣るアミロペクチンを含まず、その上、天然アミロ−スにはない完全直鎖構造の100%アミロ−スから構成されている。また、酵素合成アミロ−スは、その分子量と分子量分布も天然のアミロ−スには期待できない1.25以下の狭い分子量分布を持つように分子設計をすることができる。このため透明性、加工性及び強度特性にすぐれた成型物が製造できる。しかしながら、重量平均分子量100kDa以上の酵素合成アミロ−スは、比較的水溶性が高く、ゲル化に時間がかかるため、成型が困難であるという問題があった。
WO99/02600号パンフレットには、熱可塑性樹脂混合物に関する発明が記載されており、その混合物の構成は請求項によれば下記のようなものである。(A)生体触媒的に製造した1,4−α−ポリグルカン100重量部、(B)(A)とは異なる溶融−加工可能なポリマ−物質400重量部以下、(C)混合物を可塑化するのに十分な水の量、(D)10重量部〜(A)と(B)の全重量部の半分以下の量の少なくとも1種の可塑剤と、(E)好適には他の慣用の添加剤((A)+(B))重量部以下、但し、成分(A)と(B)の水分量は計算によりゼロに修正する。
このWO99/02600号に記載される混合物組成において、(A)の1,4−α−ポリグルカンを使用する理由は必ずしも明確ではないが、(B)の成分としてタンパク質、デンプン類、各種多糖類、合成樹脂など、様々な成分を例示している。そのことから、このWO99/02600号に記載される発明は、低分子量α−1,4−グルカンと、高分子量α−1,4−グルカンの2種類を混合することではじめて成型物を得ることができる本発明とは、本質的に異なるものである。またWO99/02600号に記載される熱可塑性樹脂混合物から成型物を作成する場合は、加熱工程が必須とされる。例えばこの文献における実施例では、成型は100〜160℃程に加熱することによって行われている。
発明が解決しようとする技術的課題
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、その目的とするところは、α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する成型物、およびその優れた製造方法を提供することにある。
その解決方法
本発明者らは、上記課題を解決するために、高分子量α−1,4−グルカンの成型方法について、鋭意研究を重ねた結果、それ自身は成型物の製造には適していない、低分子量α−1,4−グルカンを、高分子量α−1,4−グルカン溶液に添加することにより、高分子量α−1,4−グルカン溶液が容易にゲル化することを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
本発明は、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する、成型物であって、この低分子量α−1,4−グルカンは重合度が180以上620未満であり、この高分子量α−1,4−グルカンは重合度が620以上37000未満である成型物を提供するものであり、これによって上記目的が達成される。
上記低分子量α−1,4−グルカンの重合度が180以上560未満であり、高分子量α−1,4−グルカンの重合度が680以上37000未満であるのが好ましい。
また、上記高分子量α−1,4−グルカンの分子量分布が1.25以下であり、上記低分子量α−1,4−グルカンの分子量分布が1.25以下であるのが好ましい。
本発明の1態様として、上記α−1,4−グルカンが酵素合成α−1,4−グルカンであることが挙げられる。
上記α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化、エ−テル化および架橋からなる群より選択される化学修飾であるのが好ましい。
上記成型物の態様として、上記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、上記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比が、99:1〜25:75である成型物が挙げられる。
上記成型物の態様として、上記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、上記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比が、99:1〜50:50である成型物が挙げられる。
上記成型物の態様として、上記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、上記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比が、99:1〜75:25である成型物が挙げられる。
上記成型物の態様として、フィルム、シ−ト、被膜、繊維、糸、不織布、食品用容器、可食性容器、医用材料、医療用具またはゲル状成型物であることが挙げられる。
上記成型物の他の態様として、農産物または食品の表面を直接的に被覆する密着型食品包装容器であることが挙げられる。
また、上記成型物の態様として、ハ−ドカプセル、ソフトカプセルまたはシ−ムレスカプセルであることが挙げられる。
さらに、上記成型物の態様として、動物用飼料、食品または食品添加物であることが挙げられる。
さらに本発明は、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、を含有する成型物の製造方法も提供する。製造方法の1態様として、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する液体に、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を加えて、液体をゲル化させる工程を包含する、成型物の製造方法が挙げられる。
また、製造方法の他の態様として、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物とを含有する液体を、冷却することによりゲル化させる工程を包含する、成型物の製造方法が挙げられる。
また、製造方法の他の態様として、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物とを含有するアルカリ性の液体を、中和することによりゲル化させる工程を包含する、成型物の製造方法が挙げられる。
上記製造方法において、低分子量α−1,4−グルカンは重合度が180以上620未満であって分子量分布が1.25以下であり、および高分子量α−1,4−グルカンは重合度が620以上37000未満であって分子量分布が1.25以下であるのが好ましい。
さらには、上記製造方法において、低分子量α−1,4−グルカンは重合度が180以上560未満であって分子量分布が1.25以下であり、および高分子量α−1,4−グルカンは、重合度が680以上37000未満であって分子量分布が1.25以下であるのが好ましい。
上記製造方法において、α−1,4−グルカンが酵素合成α−1,4−グルカンであるのが好ましい。
また、上記製造方法において、α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化、エ−テル化および架橋からなる群より選択される化学修飾であるのが好ましい。
上記製造方法において、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との成型物における重量比が、99:1〜25:75であるのが好ましい。
また、上記製造方法において、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との成型物における重量比が、99:1〜50:50であるのがより好ましい。
さらには、上記製造方法において、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との成型物における重量比が、99:1〜75:25であるのが特に好ましい。
また、本発明は、α−1,4−グルカンを含む溶液をゲル化させる工程における、重合度が180以上620未満である低分子量α−1,4−グルカンの使用も提供する。
従来技術より有効な効果
高分子量α−1,4−グルカンを含有する成型物の製造において、それ自身は成型物の製造には適していない、低分子量α−1,4−グルカンを添加することにより、高分子量α−1,4−グルカン溶液を容易にゲル化することが可能となる。本発明により、生分解性に優れ、そして良好な成形性と物性とを兼ね備えた成型物が提供される。
図1は、本発明に用いることができる湿式紡糸装置の概略図である。
用語の定義
高分子化合物は、タンパク質のような特別の場合を除き、その由来が天然または非天然のいずれかであるかに関わらず、その分子量は単一ではなく、ある程度の幅を持っている。そのため、高分子化合物の分子量の分散程度を示すために、高分子化学の分野では通常、分子量分布Mw/Mnが用いられている。分子量分布Mw/Mnは、重量平均分子量Mwに対する数平均分子量Mnの比(すなわち、Mw÷Mn)で表わされる。分子量分布は、その高分子化合物の分子量分布の幅広さの指標である。分子量が完全に単一な高分子化合物であればMw/Mnは1であり、分子量の分布が広がるにつれてMw/Mnは1よりも大きな値になる。なお、この「分子量分布」は「分散度」と言われることもあり、これら「分子量分布」「分散度」は、本明細書においては同義語である。本明細書中で「分子量」という用語は、特に断りのない限り重量平均分子量を指す。
用語「成型物」とは、本明細書中においては、一定の形状を有する物体を意味する。このような成型物として、例えば、フィルム、シ−ト、被膜、繊維、糸、不繊布、容器、包装材料など、さらにはカプセル、食品、飼料、食品添加物、医用材料、医療用具、ゲルシート、ゲルペレット、ゲル状成型物などが挙げられる。なお、これらの成型物は定型性を有する物体であればよく、ゲル状物体、可撓性物体など、外圧によって変形する物体なども、本発明における成型物に含まれる。なお本明細書中の「成型物」の概念には、「錠剤」は含まないこととする。
用語「α−1,4−グルカン」とは、D−グルコースを構成単位とする糖であって、α−1,4−グルコシド結合のみによって連結された糖単位を少なくとも2糖単位以上有する糖をいう。α−1,4−グルカンは、直鎖状の分子である。α−1,4−グルカンは、直鎖状グルカンとも呼ばれる。1分子のα−1,4−グルカンに含まれる糖単位の数を、重合度という。本明細書中で「重合度」という用語は、特に断りのない限り重量平均重合度を指す。α−1,4−グルカンの場合、重量平均重合度は、重量平均分子量をグルコース単位の分子量162で割ることによって算出される。
α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物
本発明の成型物は、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する成型物である。
本発明における高分子量α−1,4−グルカンとして、重合度が620以上37000未満であるα−1,4−グルカンを用いる。高分子量α−1,4−グルカンの重合度は、680以上37000未満であるのがより好ましい。より良好な物性を有する成型物を調製することができるからである。
また、分子量分布は1.25以下であるのが好ましい。α−1,4−グルカンは、その分子量に依存して異なる性質を有するため、分子量分布が狭い高分子量α−1,4−グルカンを用いることによって、混合による成型性および得られる成型物の物性をより良好に制御することができるからである。
このような高分子量α−1,4−グルカンは、当該分野で公知の方法によって作製することができる。好ましくは、公知の酵素合成法によって作製することができる。このような酵素合成法の例としては、グルカンホスホリラーゼ(α−glucan phosphorylase、EC 2.4.1.1;通常、ホスホリラーゼという)を用いる方法が挙げられる。ホスホリラーゼは、加リン酸分解反応を触媒する酵素である。
ホスホリラーゼを用いた酵素合成法の一例は、ホスホリラーゼを作用させて、基質であるグルコース−1−リン酸(以降、G−1−Pという)のグルコシル基を、プライマーとして用いられる例えばマルトヘプタオースに転移する方法(以降、GP法という)である。GP法は、原料であるG−1−Pが高価であるため、α−1,4−グルカンを工業的に生産するのにはコストがかかるが、糖単位をα−1,4−グルコシド結合のみで逐次結合させることにより100%直鎖のα−1,4−グルカンが得られるという顕著な利点がある。GP法は、当該分野で公知である。
ホスホリラーゼを用いた酵素合成法の別の例は、スクロ−スを基質とし、例えば、マルトオリゴ糖をプライマーとして用い、これらに無機リン酸の存在下でスクロースホスホリラーゼ(sucrose phosphorylase、EC2.4.1.7)とグルカンホスホリラーゼとを同時に作用させることによってα−1,4−グルカンを酵素合成する方法(以降、SP−GP法という)である。SP−GP法は、GP法と同様100%直鎖のα−1,4−グルカンの分子量を自由に制御して製造できることに加え、安価なスクロ−スを原料とすることで、製造コストをより低くできるという利点を有する。SP−GP法は当該分野で公知である。SP−GP法の効率的な生産方法は、例えば、国際公開第WO02/097107号パンフレットに記載される。本発明で用いられる高分子量のα−1,4−グルカンは、このパンフレットに記載される方法に従って製造され得る。
なお「プライマー」とは、グルカン合成の出発材料として機能する物質をいう。このようなプライマーとしてオリゴ糖を用いることができる。プライマーとして、マルゴオリゴ糖、例えばマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、またはアミロース(α−1,4−グルカン)など、を用いるのが好ましい。プライマーとして、単一化合物を用いてもよく、2種以上の化合物の混合物を用いてもよい。
一方、上記のAMSU法も、酵素を用いたα−1,4−グルカン合成法ではあるが、得られるα−1,4−グルカンは、極めて低重合度(約9kDa未満)となり、本発明の高分子量のα−1,4−グルカンの製造には適さない。
上記GP法および/またはSP−GP法を採用して酵素合成された高分子量の酵素合成α−1,4−グルカンは次のような特徴を有する:
(1)分子量分布が狭い(Mw/Mnが1.1以下);
(2)製造条件を適切に制御することによって任意の重合度(約60〜約37000)のものが得られる;
(3)完全に直鎖であり、天然澱粉から分画したアミロ−スに認められるわずかな分岐構造がない;
(4)天然澱粉と同様にグルコース残基のみで構成されており、α−1,4−グルカンも、その分解中間体も、そして最終分解物に至るまで生体に対して毒性がない;および
(5)必要に応じて澱粉と同様の化学修飾が可能である。
GP法および/またはSP−GP法により酵素合成された高分子量α−1,4−グルカンは、上記特徴により、本発明において好ましく用いられる。
本発明における低分子量α−1,4−グルカンとして、重合度が180以上620未満であるα−1,4−グルカンを用いる。低分子量α−1,4−グルカンの重合度は、180以上560未満であるのがより好ましい。より良好な物性を有する成型物を調製することができるからである。
また、分子量分布は1.25以下であるのが好ましい。α−1,4−グルカンは、その分子量に依存して異なる性質を有するため、分子量分布が狭い低分子量α−1,4−グルカンを用いることによって、混合による成型性および得られる成型物の物性をより良好に制御することができるからである。
このような低分子量α−1,4−グルカンは、高分子量α−1,4−グルカンの調製に用いることができる公知の酵素合成法によって作製することができる。上記合成方法・製造方法において、使用する原料の量などを変えることによって、低分子量α−1,4−グルカンを調製することができる。
例えば上記GP法および/またはSP−GP法によって、α−1,4−グルカンを酵素合成する場合、使用する原料の量を変えるなど製造条件を変えることによって、分子量、結晶形などが異なるα−1,4−グルカンを得ることができる。具体的には、GP法および/またはSP−GP法によって低分子量α−1,4−グルカンを調製する場合においては、用いるプライマーの量を多くすることによって、より低分子量のα−1,4−グルカンを得ることができる。このように用いるプライマーの量を変化させることによって、分子量(重合度)の異なるα−1,4−グルカンを容易に調製することができる。
さらに、このようなGP法およびSP−GP法によるα−1,4−グルカンの製造においては、生成したα−1,4−グルカンが低分子量α−1,4−グルカンである場合は、生成物は反応液中で沈殿する。一方、生成したα−1,4−グルカンが高分子量α−1,4−グルカンである場合は、生成物は反応液中で可溶化したままである。従って、重合度の異なるα−1,4−グルカンを容易に調製できることに加えて、これらを容易に分離することができる。この、沈殿/可溶化の境界は、合成条件によって変動し得るが、一般に重合度約620(分子量約100kDa)程度である。天然に存在する澱粉からアミロ−スを分離する場合は、このように容易に分子量毎に分離させることは困難である。
これらの高分子量α−1,4−グルカンおよび低分子量α−1,4−グルカンは、修飾物であってもよく、非修飾物であってもよい。ここで「修飾物」とは、対象物に対して化学的に修飾を施すことによって得られるものをいう。このような修飾の例としては、エステル化、エ−テル化および架橋が挙げられる。
エステル化は、例えば、α−1,4−グルカンを各種溶媒中でまたは無溶媒で、エステル化試薬(例えば、酸無水物、有機酸、酸塩化物、ケテンまたは他のエステル化試薬)と反応させることによって行われ得る。このようなエステル化によって、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸エステルなどのアシル化エステルが得られる。
エ−テル化は、例えば、α−1,4−グルカンを、アルカリ存在下でエ−テル化剤(例えば、ハロゲン化アルキル、硫酸ジアルキルなど)と反応させることによって行われ得る。このようなエ−テル化によって、例えば、カルボキシメチルエ−テル、ヒドロキシプロピルエ−テル、ヒドロキシメチルエ−テル、メチルエ−テル、エチルエ−テルが得られる。
架橋は、例えば、α−1,4−グルカンを、架橋剤(ホルマリン、エピクロロヒドリン、グルタルアルデヒド、各種ジグリシジルエ−テル、各種エステルなど)と反応させることによって行われ得る。
成型物に含まれるα−1,4−グルカンが修飾物である場合、修飾は、エステル化、エ−テル化および架橋からなる群より選択される化学修飾であることが好ましく、エ−テル化であることがより好ましく、カルボキシメチル化であることが最も好ましい。カルボキシメチル化のような化学修飾をすると、水溶性が強まるという利点がある。一方、アセチル基などの疎水性置換基をα−1,4−グルカンに導入して修飾することによって、成型物に耐水性を付与することができる。このような化学修飾を単独であるいは組み合わせて施すことにより、α−1,4−グルカンの親水性、疎水性、水に対する溶解性、粘度などを変化させることができる。成型物の特性に応じてこれらの化学修飾したα−1,4−グルカンを選択することができる。
本発明の成型物は、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する。そしてこれらの高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物、および低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有することによって、良好な成形性と物性を兼ね備えた成型物を得ることができる。
重合度が620前後のα−1,4−グルカン、すなわち中程度の分子量のα−1,4−グルカンは、単独でもゲル化し、成型物が得られることが、本発明者らによるこれまでの検討試験から分かっている。しかしながら、こうして得られた成型物の強度は低く、用途は限定される。本発明のように、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物、および低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物、の両方を用いることによって初めて、良好な成形性および良好な物性(強度など)を兼ね備えた成型物を得ることができる。
本発明の成型物は、重合度が1種または2種以上の低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物、および重合度が1種または2種以上の高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物、を含んでもよい。本発明の成型物は、例えば、重合度が3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上などの複数種類のα−1,4−グルカンを混合することによっても製造することができる。多数の種類のα−1,4−グルカンが含まれる場合は、互いの有する特性を妨害することがあるため、成型物に含まれるα−1,4−グルカンの種類は好ましくは5種類以下、より好ましくは4種類以下、さらに好ましくは3種類以下、最も好ましくは2種類、つまり重合度が1種類の高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物、および重合度が1種類の低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含む場合、である。
本発明の成型物においては、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比は、99:1〜25:75であるのが好ましい。高分子量α−1,4−グルカンの比率が高いほど、成型物の強度や柔軟性が高くなる。また低分子量α−1,4−グルカンの比率が高くなると凝固速度が上がり、成形性が良好になる。この範囲内で比率を選択することによって、成型物の物性と成形性を良好に兼ね備えた成型物を得ることができる。高分子量α−1,4−グルカンの比率が99%以上では凝固速度が遅くなるか凝固しなくなるために成形が困難となり好ましくない。また低分子量α−1,4−グルカンの比率が75%以上では成型物の強度や柔軟性が低くなり、得られる成型物がもろいものとなる恐れがある。上記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比は、99:1〜50:50であるのがより好ましく、99:1〜75:25であるのがさらに好ましい。
添加剤など
本発明の成型物は、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物に加えて、さらに各種添加剤を含んでもいてもよい。添加剤の例としては、可塑剤、柔軟化剤、滑沢剤、着色剤、電解質、架橋剤、各種ポリマ−等が挙げられる。このような添加剤を加えることによって、物性等を改善することができる。
上記添加剤のうち、可塑剤の例としては、グリセリン、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。可塑剤は得られた成型物の加工性を高めることができる。
上記添加剤のうち、柔軟化剤の例としては、グリセリン、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン等のグリセリン誘導体、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル等のエチレングリコ−ル誘導体、デキストリン、グルコース、フラクト−ス、スクロ−ス、マルトオリゴ糖等の糖類、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類が挙げられる。柔軟化剤は得られた成型物に柔軟性を与え、伸びを向上させることができる。
上記添加剤のうち、電解質の例としては、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。これらの電解質は、混合組成中の種類や濃度を変化させることによって、凝固の促進あるいは遅延の制御をすることができる。
上記添加剤のうち、架橋剤の例としては、ホルマリン、エピクロロヒドリン、グルタルアルデヒド、各種ジグリシジルエ−テル及びエステルなどが挙げられる。架橋によって、成型物のさらなる強度向上や、防水、防湿性を付与することができる。
上記添加剤のうち、各種ポリマ−の例としては、タンパク質、例えばゼラチン、グルテン、卵白、卵黄など、また多糖類としてプルラン、アルギン酸、カラギ−ナン、グア−ガム、寒天、キトサン、セルロ−スおよびその誘導体、デキストリン、デンプン類およびその誘導体など、あるいはポリ乳酸やポリ−ε−カプロラクトン等のポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類等の樹脂が挙げられる。これらの樹脂を添加することで、凝固のコントロ−ルや、得られた成型物の強度や溶解性、透湿性等の物性を変化させることができる。
成型物の製造方法
本発明の成型物の調製方法の一例として、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する液体に、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を加えて、液体をゲル化させる工程を包含する製造方法が挙げられる。この方法では、はじめに、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を溶媒に溶解させる。この方法および下記の他の方法で用いることができる溶媒としては、典型的には水性媒体が挙げられる。製造する成型物に応じて、種々の原料、添加剤、そして有機溶媒などをこれらの溶媒に加えることができる。
得られた、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物が含まれる液体に、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を加えて適宜撹拌することによって、液体をゲル化させることができる。この低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物は、適切な溶媒に溶解させた溶液状態で加えることができこれが好ましいが、一方低分子量α−1,4−グルカンを粉末の状態で加えてもよい。このような方法において、低分子量α−1,4−グルカンの溶解に用いることができる溶媒として、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、低級アルコールなどの両親媒性溶媒などが挙げられる。これらの溶媒と共に、水性媒体を用いてもよい。また低分子量α−1,4−グルカンを、加熱溶解またはアルカリ溶解させた溶液を加えてもよい。
本発明の成型物の調製方法の他の例として、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物とを含有する液体を、冷却することによりゲル化させる工程を包含する製造方法が挙げられる。この方法では、はじめに、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物および低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物の両方を含む液体を調製する。この液体の調製時に70〜150℃に加熱して溶解させるのが好ましい。こうして得られた、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物、および低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含む液体を冷却することによって、ゲル化させることができる。例えばα−1,4−グルカンを含む液体が70〜150℃である場合は、0〜70℃に冷却することによって、ゲル化が生じる。この方法においても、製造する成型物に応じて、種々の原料、添加剤そして有機溶媒などを液体に加えることができる。
本発明の成型物の調製方法の他の例として、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物とを含有するアルカリ性の液体を、中和することによりゲル化させる工程を包含する製造方法が挙げられる。この方法においては、はじめに、高分子量α−1,4−グルカンおよび低分子量α−1,4−グルカンの両方を含むアルカリ性の液体を調製する。これは、アルカリ性の液体に、高分子量α−1,4−グルカンおよび低分子量α−1,4−グルカンの両方を順次加えてもよい。また高分子量α−1,4−グルカンおよび低分子量α−1,4−グルカンを含む液体に、塩基を加えてアルカリ性にしてもよい。アルカリ性の液体に含まれる塩基として、限定するものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カルシウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ性液体のpHは、特に限定されるものではないが、pH9〜14であるのが好ましい。
こうして得られた高分子量α−1,4−グルカンおよび低分子量α−1,4−グルカンを含むアルカリ性の液体を、中和することによってゲル化が生じる。このゲル化速度は速く、そして取り扱いに必要とされる物性強度も早い段階で発現する。そのためこの方法は、工業的製造ラインに好適に用いることができ、利点も多い。この中和方法としては、得られたアルカリ性の液体に酸を加える方法、そして、アルカリ性の液体と酸とを接触させる方法などが挙げられる。中和には酸またはその酸を含む酸性溶液などを用いることができる。酸として、限定するものではないが例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、フマル酸、没食子酸、酒石酸などが挙げられる。
本発明の成型物の製造方法において、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する成型物は、任意の形状および素材上で形成させることができる。例えば目的とする成型物のかたちに基づいた型に流し込んでゲル化させる場合、あるいは平らな支持体に流延してフィルム状のゲルを形成させる場合などが挙げられる。また支持体を用いずに空気中において冷却等の手段でゲル化させることも可能である。また他の素材との複合体を作製する場合において、その素材の表面あるいは内部に、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と高分子量グルカンまたはその修飾物とを含有する液体を塗布あるいは含浸させ、これをゲル化させることもできる。α−1,4−グルカンを塗布あるいは含浸させる素材として、例えばプラスチックフィルム、紙、布、不織布、繊維、皮革類、木材、金属、ガラス、セラミックなどが挙げられる。
本発明の成型物の製造方法において、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と高分子量グルカンまたはその修飾物を含有するゲルは、そのままゲルとして、あるいはゲル中の水分を他の溶媒に置換して使用することができる。またこのゲルを乾燥させて用いることもできる。乾燥方法はここでは問わないが、例として熱風乾燥、乾燥空気による乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、高周波およびマイクロ波による乾燥などが挙げられる。
このようないずれの製造方法において、上記した高分子量α−1,4−グルカンおよびその誘導体、そして低分子量α−1,4−グルカンおよびその誘導体が用いられる。これらの製造方法においては、用いられる高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物および低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物の重量比は、上記と同様に、99:1〜25:75であるのが好ましい。高分子量α−1,4−グルカンは、水溶性が高く、ゲル化に時間がかかる。しかしながら高分子量α−1,4−グルカンから得られた成型物は、強度や柔軟性に優れている。一方、低分子量α−1,4−グルカンは、結晶性が高く、それ自身では成型物を作ることが困難である。本発明の方法である、高分子量α−1,4−グルカンと低分子量α−1,4−グルカンとを任意の割合でブレンドすることによって、強度や柔軟性に優れた成型物をすばやく作ることが可能となった。
本発明の1つの実施形態の製造方法においては、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比は、好ましくは99:1〜25:75である。ここで、高分子量α−1,4−グルカンの比率が高いほど、成型物の強度や柔軟性が高くなる。低分子量α−1,4−グルカンの比率が高いほど、成型物の強度や柔軟性が低くなり、もろいものとなる。低分子量α−1,4−グルカンの添加量を増やすことにより、成型速度を早めることができる。上記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比は、99:1〜50:50であるのがより好ましく、99:1〜75:25であるのがさらに好ましい。
本発明の成型物に添加剤を加える場合、添加の順序、手段は本発明中で特に定められるものではなく、添加剤の目的や性質に応じて自由に選択することができる。添加する手段としては、例えばあらかじめα−1,4−グルカンと混合しておく方法や、α−1,4−グルカンの溶液に添加する方法、α−1,4−グルカンから得られたゲルおよび成型物に含浸、塗布させるなどの方法が挙げられる。またポリマ−を添加する場合、そのポリマ−に対応するモノマ−をゲルおよび成型物の内部あるいは表面に添加した後に重合させ、目的のポリマ−を形成させても良い。
成型物の各種態様
本発明の成型物の1態様として、例えばフィルムやシートなどが挙げられる。これらは通常のプラスチック成形機により成形できる。成形方法は、特に限定されず、例えば、押出成形、射出成形およびフィルム成形法などが適用される。上記以外の成型物や製品の製造においても、従来の製品製造に使用された設備がそのまま使用できる利点を持っている。
本発明の成型物の他の態様として、例えば繊維、糸、不織布またはその他の成形品が挙げられる。これらは通常用いられる紡績装置などを用いて成形することができる。
本発明の成型物の他の態様として、例えばハンバーガー、ホットドッグ、フライドポテト、たこやき、餅、白飯、アイスクリーム、ラーメン、カレー、野菜、果物、肉、魚、ジュース、コーヒー、ビール、牛乳などを封入する食品用容器が挙げられる。さらには、アイスクリームのコーンカップなどの可食性容器が挙げられる。
本発明の成型物の他の態様として、密着型食品包装容器が挙げられる。この密着型食品包装容器とは、果物、野菜、生花、魚介類、肉類などの農産物、あるいは加工食品などの食品などを直接的に被覆する容器である。この密着型食品包装容器は、これらの農産物または食品の表面上に、本発明の一態様である被膜を形成することによって形成される。
このような密着型食品包装容器を形成することによって、容器内容物の鮮度を保つことが可能となる。加えて、本発明の成型物の一態様である、α−1,4−グルカンから形成される被膜は、ガスバリヤ性に優れる。そのため、α−1,4−グルカンから形成される被膜を用いて、農産物または食品などを直接的に被覆することによって、酸素などのガスを有効に遮断することができ、そしてこれにより容器内容物の鮮度を保つことができる。
α−1,4−グルカンから形成される被膜は透明であるため、このような密着型食品包装容器として用いても容器内容物の外観を損なうことはない。そしてα−1,4−グルカンは可食性であり、そしてその味および臭いもほぼ無味無臭であることから、密着型食品包装容器の内容物は、被覆されたまま調理することができ、また口にすることができる。密着型食品包装容器は洗い流すことも可能である。
あるいは食品用容器以外としても、例えば園芸用資材(固形肥料、マルチフィルム、植木鉢、ロープ、ネットなど)、スポーツ用品(ゴルフのティー、つり糸、ガットなど)、日用品(芳香剤、消臭剤、紙おむつ、生理用品、温熱パッド、冷却シート、電気泳動用ゲル、ゲル濾過クロマトグラフィー用担体など)などの広い範囲の成型品が含まれる。
本発明の成型物の他の様態として、例えばゲル状成型和菓子(ようかん、葛餅、わらびもち、ういろうなど)、ゲル状成型洋菓子(ゼリー、プリン、ババロア、ムース、ヨーグルトなど)、ゲル状成型加工食品(豆腐、水産練り製品、かに足かまぼこ、シート状食品、ヌードル状食品、病者用食品など)が挙げられる。
本発明の成型物は、優れたプラスチック特性を有する。本発明の成型物がフィルムである場合は、汎用のプラスチックフィルムと比べて、例えば透明性および光沢度などの点で格段に優れている。このためこのフィルムを包装材料として用いる場合は、包装された内容物の色や柄などを鮮明に見通すことができる利点を得ることができる。また、本発明のα−1,4−グルカンを含む成型物はほとんど帯電性を持たないため、使用中や保存中、特に印刷時のほこり吸着の問題がない。また、フィルムに成形した場合には、ヒートシールや湿潤接着が可能である。さらに、本発明の成型物は酸素などの気体のバリア性が非常に高いという利点も有する。そのため、本発明の成型物がフィルムである場合は、包装材料や被膜として利用することによって、外部の気体に対して不安定な物質を有効に保護することができる。
本発明の成型物はα−1,4−グルカンから構成されるため、土壌中に埋蔵すると、細菌、微生物によって分解される。したがって、汎用の合成プラスチック製容器のように廃棄物環境汚染問題を起こさない。分解に要する時間は、製品の組成、環境条件などにより一概にはいえないが、数週間から数ヶ月の範囲である。また、製品によっては、土壌中に埋蔵する以外に、飼料あるいは堆肥として使用できる。
本発明の成型物に含まれるα−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物は、自然環境下での生分解性が早い。さらに、生分解段階で生じ得る分解中間体も安全であり、人間及び自然環境に対して安全性が非常に高い。本発明の成型物は、α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物のみを成型成分として、良好な物性を有する成型品を調製することができる。そして本発明の成型物については、他の高分子材料を併用する必要はない。そのため、生分解性および安全性に特に優れる成型物を調製することができる。
さらに本発明の成型物は、成型時における加熱工程は必ずしも必要ではなく、加熱することなく成型することもできる。従って本発明によって、酵素、薬物または香味成分などの、熱に対して不安定であり熱履歴を避けることが好まれる成分を含む成型物を、煩雑な手順を経ることなく容易に調製することができる。
本発明の成型物は、α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する材料から成るカプセルであってもよい。
本発明において、カプセルは、その内容物を変えることで、非常に広範な分野に適用できる。カプセルの形状や形態およびその寸法も特に制限されない。
前記カプセルを製造するための製法も特に制限されず、公知の製造方法、例えば、(1)ソフトカプセルの製造法としては、例えば、2枚の被膜シートで充填液を包み込んで打抜き鋳型で打抜くロータリー法、(2)気中および液中硬化被覆法などの化学的方法、および(3)金型で成形されたオスおよびメス型のカプセル要素を組み合わせて成るハードカプセル製造法などが適宜採用されてよい。
前記カプセルは、例えば、工業製品、医農薬品、医療製品、飼料、肥料、日用雑貨および化粧品から選択される少なくとも1種の物品として利用可能である。
本発明によれば、カプセルに含まれるα−1,4−グルカンの化学修飾置換度(DS)を変化させたり、あるいは前記可塑剤や充填剤などを添加することで、封入される内容物に対する要求特性(疎水性もしくは親油性または親水性など)や得られるカプセルの適用用途における要求特性(加工性、機械特性、成膜性、さらには人体組織との親和性など)を容易に達成することができる。特に、カプセルを低分子量のα−1,4−グルカンの化学修飾体から製造することにより、カプセル自体の老化安定性を向上することができる。
カプセルに封入される内容物は、所望により、粉末固体や疎水性から親水性の液体および溶液まで幅広く対応できる。基本的に、内容物が疎水性の場合は、通常、無置換または低アセチル化度の親水性α−1,4−グルカンを用いてカプセルを製造し、あるいは内容物が親水性の場合は、高アセチル化度の疎水性α−1,4−グルカンを用いてカプセルを製造する。さらにカプセルは、経口投与される物品に適用される場合には、カプセル自体が体内で消化分解されるように、あるいはカプセルが医療薬品や医療製品に適用される場合は、患部の治癒後、生体内での分解および/または吸収効果されるように製造することができる。
本発明の成型物を構成するα−1,4−グルカンは、グルコース−1−リン酸やスクロースなどの低分子糖質を原料とするため、ウイルスや細菌、プリオンなどの病原体による感染の怖れが全くなく人体に安全である。したがって、本発明の成型物は、生体適合性医用材料およびそれを含む医療用具としても提供できる。ここで、前記医用材料は、治療目的で人体へ直接適用できるものをいう。また医療用具は、医用材料と同様に、治療目的で、皮膚、筋肉組織や内臓組織などの種々の患部に適用できるものであって、前記医用材料と、別途用意された基材や溶剤、部品または装置とを組み合わせて製造されたものをいう。例えば、医療用具は、患部の組織面の間に介在し、組織の癒着を防止するための癒着防止剤、縫合部などの患部に適用し、組織を接着させるための組織接着剤、創傷部などの患部を被覆して保護するための被覆剤、切開部や創傷部などの患部に適用して止血するための止血剤や塞栓剤などであってよい。
本発明において、生体適合性医用材料およびそれを含む医療用具と人体組織との親和性はいずれも、前述の通り、α−1,4−グルカンを化学修飾する際の置換基の親水性基/疎水性基の比率やDSにより制御でき、更に患部の治癒後には、生体内での分解および/または吸収も期待できる。
本発明の医用材料または医療用具のいずれにおいても、患部に適用される医用材料の量は、患部の部位や面積、ゲル形成が必要とされる時間または期間などに応じて、患部を被覆可能な範囲から選択できる。ここで、「ゲル形成」とは、患部との接触面において、医用材料が患部からの滲出液(すなわち、体液や血液)を吸収・保持することによって医用材料がゲル化することを意味し、これにより、患部を湿潤環境に保ち、表皮形成を促進すると同時に、細菌などの通り難い環境を与えることができる。
本発明において、医用材料またはそれを含む医療用具は、慣用の方法、例えば、成型物について記載した前記成分(すなわち、α−1,4−グルカンおよび/またはその化学修飾体(a)、および他の高分子材料(b)、そして所望により可塑剤などの各種添加剤)を混合し、必要により滅菌処理して、所定の容器に充填し、滅菌処理することにより調製できる。医用材料またはそれを含む医療用具は、注出可能な容器(注射状の容器など)に必要に応じて噴射剤と共にスプレーボトルに充填して噴霧によりを患部に適用されても、あるいは前記成分を基材に塗布して得られる塗布層を剥離可能な保護シートで被覆することによりシップ剤やシール剤として患部に適用されてもよい。
前記医用材料および医療用具は、α−1,4−グルカンを素材とするため、本質的に人体に安全で、生体適合性や機械的特性に優れており、糸や布、不織布、フィルム、シート、チューブ、カプセル、またはその他の成型物、ペースト、クリーム、またはこれらの組み合わせの形態で提供できる。
また、医用材料および医療用具は、ヒトのほか、種々の哺乳類、例えば、家畜、ペットなどにも適用することが可能であり、特にそれらの健康維持または内科医療および外科手術の分野において有効に使用できる。
以下、実施例及び製造例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
なお、製造例において、馬鈴薯塊茎由来の精製グルカンホスホリラーゼの調整方法、Streptococcus mutans由来スクロースホスホリラーゼの調整方法、α−1,4−グルカンの収率(%)の計算方法、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定方法は、特開2002−345458号の記載により公知の方法に従った。具体的に、合成したグルカンの分子量は次のように測定した。まず、合成したグルカンを1N水酸化ナトリウムで完全に溶解し、適切な量の塩酸で中和した後、グルカン約300μg分を、示差屈折計と多角度光散乱検出器を併用したゲル濾過クロマトグラフィ−に供することにより重量平均分子量を求めた。詳しくは、カラムとしてShodex SB806M−HQ(昭和電工製)を用い、検出器としては多角度光散乱検出器(DAWN−DSP、Wyatt Technology社製)および示差屈折計(Shodex RI−71、昭和電工製)をこの順序で連結して用いた。カラムを40℃に保ち、溶離液としては0.1M硝酸ナトリウム溶液を流速1mL/分で用いた。得られたシグナルを、デ−タ解析ソフトウェア(商品名ASTRA、Wyatt Technology社製)を用いて収集し、同ソフトを用いて解析することにより、重量平均分子量、数平均分子量を求めた。
フィルムの引張強度は以下の方法で測定した。幅12.7mm×長さ152.4mmの大きさの試験片を26℃、相対湿度55%の恒温恒湿室に1日静置したのち、同じ場所で引張試験を行った。引張試験機(島津製作所製オ−トグラフAGS−H)にあらかじめ厚みを測定した試験片を、持ち手間距離が100mmになるように固定し、10mm/minの速度で破断するまで引張った。各試験片について5本の試験結果を平均し、持ち手内部で切断した場合は除外した。引張強度は破断時の荷重をフィルムの断面積で割って求めた。また伸びは、破断時の持ち手間距離から初期の持ち手間距離を差し引いた値を、初期の持ち手間距離で割って求めた。モノフィラメントの引張強度もフィルムと同様の方法で測定した。ただし持ち手間距離は20mmで、10本の試験結果を平均した。
ハードカプセルの圧縮試験は以下の方法で行った。レオメーター(FUDOH RT−2002D・D)の試料台上に、局方乳糖200M(五協産業)を充填したハ−ドカプセルを横向きに置き、直径20mmの円盤状アダプタ−との間に挟んだ。試料台を60mm/minの速さで3mm上昇させて圧縮し、再び降下させた。これを5回繰り返したのち、カプセルの割れやへこみの状況を観察した。同じサンプルにつき5錠のカプセルを試験した。
製造例1〜5:α−1,4−グルカンの合成
6mmリン酸緩衝液(pH7.0)、106mmスクロ−ス、及び種々の濃度のマルトオリゴ糖混合物(880,149,132,8.8,4.1mg/リットル)を含有する反応液(1リットル)に、馬鈴薯塊茎由来の精製グルカンホスホリラーゼ(1単位/ml)と、Streptococcus mutans由来スクロースホスホリラーゼ(1単位/ml)を加えて37℃で16時間保温し、反応終了後、生成したα−1,4−グルカンの収率(%)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を決定した。各結果を下記の表1に示す。
表1によれば、スクロ−スとプライマー(すなわちマルトオリゴ糖混合物)との濃度比を変化させることにより、Mw11.0〜780.5kDaまでのα−1,4−グルカンが得られた。α−1,4−グルカンの分子量分布(Mw/Mn)はいずれも狭かった(全て1.05以下)。
Figure 0004584146
フィルム作製(中和方法)
[実施例1〜2]
製造例1および製造例4の粉末を重量比で50:50に混合し、これを15gとり、1規定の水酸化ナトリウム溶液85gに溶解して原液とした。原液をガラス板上に厚みが約0.6mmになるように広げ、これを1規定の塩酸溶液を入れたバットに約1分沈めてゲル化させた。得られたフィルム状のゲルを流水で洗浄後、50℃の棚式乾燥機で乾燥して厚さ50μmの透明なフィルムを得た(実施例1)。また、製造例1および製造例3の粉末を重量比で50:50の量を用いて、同様に調製した(実施例2)。
比較例1〜8
製造例1〜4のα−1,4−グルカンと、市販コーンスターチを表2のような組み合わせと比率で混合し、実施例1と同じ方法でフィルムを作製した。
上記実施例および比較例により得られたフィルムについて、表2にまとめる。
Figure 0004584146
フィルム引張強度測定
上記実施例および比較例で得られたフィルムの強度測定を行った。結果を表3に示す。引張強度と伸びの両方において、実施例の結果が比較例の結果を大きく上回った。
Figure 0004584146
フィルム作製(低分子量α−1,4−グルカン添加)
[実施例3]
製造例5のα−1,4−グルカン(重合度9198)48.5gを、約25℃の蒸留水1Lに溶解した。この水溶液に、あらかじめジメチルスルホキシドに20重量%で溶解した製造例1のα−1,4−グルカン溶液(重合度186)を7.5g加えた。このようにして得られたα−1,4−グルカン溶液(含まれる高分子量α−1,4−グルカンおよび低分子量α−1,4−グルカンの重量比、97:3)を厚み約5mmになるようにバットに流し込み静置したところ、約40分でゲル化した。これを棚式乾燥機で乾燥し、厚み約200μmの透明なフィルムを得た。
比較例7
実施例3で用いた製造例1のα−1,4−グルカンに代えて製造例4のα−1,4−グルカンを同量用いて、その他の条件は実施例3に基づいてフィルム作製の試験を行った。また低分子量の試料を混合せずに、製造例5を単独で用いて、同様にフィルム作製を試みた。その結果、いずれの条件でも凝固せず、ゲルは得られなかった。
[実施例4]
製造例1および製造例4のα−1,4−グルカンを、重量比で20:80になるように混合した。この混合物200gを、蒸留水1800mlに分散し、耐圧容器を用いて130℃で30分間加熱して溶解した。得られた溶解液をただちに厚み約5mmになるようにバットに流し込み室温で静置したところ、数分でゲル化した。これを棚式乾燥機で乾燥し、厚み約200μmの透明なフィルムを得た。
比較例8〜11
製造例1、2、4、5のα−1,4−グルカンを単独で用いること以外は、実施例4と同様な方法でフィルムの作製を試みた。その結果、製造例1を用いた場合では加熱溶解したものを冷却すると沈殿が生じ、ゲル化しなかった。製造例2を用いた場合は数分でゲル化して乾燥後フィルムが得られた。製造例4を用いた場合はゲル化に数時間を要した。製造例5を用いた場合は清澄な溶液のままで、数日が経過してもゲル化しなかった。
フィルム引張強度測定
実施例4および比較例8〜11で得られたフィルムの強度測定を行った。結果を表4に示す。比較例8〜11と比べると、引張強度と伸びの両方で、実施例の結果が大きく上回った。
Figure 0004584146
モノフィラメントの作製
[実施例5〜8]
モノフィラメントは、図1に示す湿式紡糸装置で作製した。実施例1と同様に1規定の水酸化ナトリウムに溶解したα−1,4−グルカンの原液(1)を、ギアポンプ(2)で口金(3)から1規定塩酸溶液槽(4)に押出して凝固させる。これを洗浄槽(5)で水洗した後、(6)の巻取り装置で巻き取り乾燥する。原液には製造例1で得られた試料1と3のα−1,4−グルカンを50:50で混合したもの、試料1と4を75:25で混合したものあるいは50:50、25:75の割合で混合したものを用い、直径30〜80μmのモノフィラメントを得た。
比較例12〜15
製造例1〜4のα−1,4−グルカンを単独で用いた以外は実施例5〜6と同じ方法でモノフィラメントを作製した。製造例1および2単独のものは、乾燥前のフィラメントが脆いために巻取り時に切断が起こり、長さ1m以上のモノフィラメントを得ることができなかった。製造例4単独のものは塩酸溶液中で凝固せずに拡散したため、モノフィラメントが得られなかった。
モノフィラメントの強度測定
上記実施例および比較例により得られたモノフィラメントの強度測定を行った。結果を表5に示す。単一重合度のα−1,4−グルカンから得られたモノフィラメントに比べて実施例のモノフィラメントの強度と伸びは大きく、強靭で柔軟性があった。また製造例1と製造例4のα−1,4−グルカンの混合比率を変化させることで、強度および伸びを制御することができた。
Figure 0004584146
ハ−ドカプセル作製
[実施例9〜10]
製造例1および製造例4の粉末を重量比で50:50に混合した。これを20gとり、1規定の水酸化ナトリウム溶液80gに溶解して原液とした。原液に直径7.0mmあるいは6.7mmの先が半球状のステンレス円柱ピンを浸漬したのちに引き上げた。そのまま1規定の塩酸溶液につけて凝固させ、水洗後40℃で乾燥したのちに径の異なるものを嵌めあわせてハ−ドカプセルを得た。また製造例1および製造例3の粉末の混合物(重量比50:50)からも、同様な方法でハードカプセルを得た。
比較例16〜18
製造例1の試料1、3および4のα−1,4−グルカンを単独で用いた以外は実施例1と同じ方法でハ−ドカプセルを作製した。また試料1と市販コーンスターチを重量比で50:50で混合し、同様にカプセルを作製した。試料1のα−1,4−グルカンを単独で用いた場合は乾燥時の収縮によってひび割れが生じた。試料4ではピンを塩酸溶液に漬けても凝固せずに流れたため、カプセルが得られなかった。
ハ−ドカプセル圧縮試験
上記実施例および比較例により得られたハ−ドカプセルの圧縮試験を行った。結果を表6に示す。表6によれば、比較例16および17のα−1,4−グルカンを単独で用いたカプセルは圧縮によってひび割れが生じた。また比較例18のα−1,4−グルカンの代わりにコーンスターチを用いたカプセルは、ひび割れは生じないものの潰れたのちに元の形状に戻らなかった。
Figure 0004584146
ゲル状食品の調製
[実施例11〜13および比較例19、20]
製造例5のα−1,4−グルカン(重合度9198)40gを水1000mlに加熱溶解させ、高分子量α−1,4−グルカン液を調整した。製造例1のα−1,4−グルカン(重合度186)40gを水1000mlに分散させ、130度に加温して溶解し、低分子量α−1,4−グルカン液を調整した。10度に保温したオレンジ果汁液、80度に保温された高分子量α−1,4−グルカン液、80度に保温された低分子量α−1,4−グルカン液を表7の割合ですばやく混合し、冷蔵庫で4時間冷却してオレンジゼリーを作成した。結果を表7に示す。高分子量α−1,4−グルカンと低分子量α−1,4−グルカンを含有する実施例11〜13では、良好なオレンジゼリーが得られた。しかしながら、高分子量α−1,4−グルカンのみを含有する比較例19、低分子量α−1,4−グルカンを含有する比較例20はともにゲル化せず、ゼリーは製造できなかった。
Figure 0004584146
上記実施例から、本発明のα−1,4−グルカンを含む成型物は、短時間で成型できるため成形性が良好であり、かつ得られた成型物の物性も良好であることがわかる。そしてこうして得られるα−1,4−グルカンを含む成型物は、人間及び自然環境に対して安全性が非常に高いという利点も有している。
産業上の利用の可能性
本発明により、α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する成型物の効率的な製造が可能となる。人間及び自然環境に対して安全性が非常に高い、本発明のα−1,4−グルカンを含む成型物は、フィルム、被膜、繊維、食品またはカプセルなどとして、産業利用できる。

Claims (19)

  1. 高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する、成型物であって、
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾であり、
    該低分子量α−1,4−グルカンは、重合度が180以上620未満であり、
    該高分子量α−1,4−グルカンは、重合度が620以上37000未満である、成型物。
  2. 前記低分子量α−1,4−グルカンの重合度が180以上560未満であり、高分子量α−1,4−グルカンの重合度が680以上37000未満である、請求項1記載の成型物。
  3. 前記高分子量α−1,4−グルカンの分子量分布が1.25以下であり、および前記低分子量α−1,4−グルカンの分子量分布が1.25以下である、請求項1または2記載の成型物。
  4. 前記α−1,4−グルカンが、酵素合成α−1,4−グルカンである、請求項1〜3いずれかに記載の成型物。
  5. 前記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、前記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比が、99:1〜25:75であり、
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    請求項1〜いずれかに記載の成型物。
  6. 前記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、前記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比が、99:1〜50:50であ
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    請求項1〜いずれかに記載の成型物。
  7. 前記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、前記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との重量比が、99:1〜75:25であ
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    請求項1〜いずれかに記載の成型物。
  8. 前記成型物が、フィルム、シ−ト、被膜、繊維、糸、不織布、食品用容器、可食性容器、医用材料、医療用具またはゲル状成型物である、請求項1〜いずれかに記載の成型物。
  9. 前記成型物が、農産物または食品の表面を直接的に被覆する密着型食品包装容器である、請求項1〜いずれかに記載の成型物。
  10. 前記成型物が、ハ−ドカプセル、ソフトカプセルまたはシ−ムレスカプセルである、請求項1〜いずれかに記載の成型物。
  11. 前記成型物が、動物用飼料、食品または食品添加物である、請求項1〜いずれかに記載の成型物。
  12. 低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、を含有する成型物の製造方法であって、
    高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を含有する液体に、低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物を加えて、液体をゲル化させる工程を包含
    ここで該低分子量α−1,4−グルカンは、重合度が180以上620未満であって分子量分布が1.25以下であり、および該高分子量α−1,4−グルカンは、重合度が620以上37000未満であって分子量分布が1.25以下であり、および
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    成型物の製造方法。
  13. 低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、を含有する成型物の製造方法であって、
    高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物とを含有する液体を、冷却することによりゲル化させる工程を包含
    ここで該低分子量α−1,4−グルカンは、重合度が180以上620未満であって分子量分布が1.25以下であり、および該高分子量α−1,4−グルカンは、重合度が620以上37000未満であって分子量分布が1.25以下であり、および
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    成型物の製造方法。
  14. 低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、を含有する成型物の製造方法であって、
    高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物とを含有するアルカリ性の液体を、中和することによりゲル化させる工程を包含
    ここで該低分子量α−1,4−グルカンは、重合度が180以上620未満であって分子量分布が1.25以下であり、および該高分子量α−1,4−グルカンは、重合度が620以上37000未満であって分子量分布が1.25以下であり、および
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    成型物の製造方法。
  15. 前記低分子量α−1,4−グルカンは、重合度が180以上560未満であって分子量分布が1.25以下であり、および
    前記高分子量α−1,4−グルカンは、重合度が680以上37000未満であって分子量分布が1.25以下である、請求項1214いずれかに記載の成型物の製造方法。
  16. 前記α−1,4−グルカンが、酵素合成α−1,4−グルカンである、請求項12〜15いずれかに記載の成型物の製造方法。
  17. 前記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、前記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との成型物における重量比が、99:1〜25:75であ
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    請求項1216いずれかに記載の成型物の製造方法。
  18. 前記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、前記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との成型物における重量比が、99:1〜50:50であ
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    請求項1216いずれかに記載の成型物の製造方法。
  19. 前記高分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物と、前記低分子量α−1,4−グルカンおよび/またはその修飾物との成型物における重量比が、99:1〜75:25であ
    該α−1,4−グルカン修飾物の修飾が、エステル化およびエーテル化からなる群より選択される化学修飾である、
    請求項1216いずれかに記載の成型物の製造方法。
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