JP4581439B2 - 超音波流量計測システムおよび超音波流量計測方法 - Google Patents

超音波流量計測システムおよび超音波流量計測方法 Download PDF

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本発明は、流速分布とともに流体の流量を測定する超音波流量計測システムおよび超音波流量計測方法に係り、特に原子力発電プラントの復水または給水の流量を測定することが可能な超音波流量計測システムおよび超音波流量計測方法に関する。
従来、配管内を流れる被測定流体の流量を測定する流量計として、図15に示すような被測定流体に超音波を照射して超音波のドップラシフトを利用して流体の流量を計測する超音波流量計(例えば特許文献1参照)、反射体からのエコー信号の時間変化を相関法を利用して流体の流量を計測する超音波流量計がある(例えば特許文献2参照)。
従来の超音波流量計1は、超音波トランスジューサ2、超音波速度分布計測ユニット3、コンピュータ4および表示装置5を備え、超音波送信手段6から超音波パルスを配管7内を流れる流体8に発信できるように構成される。
すなわち、超音波速度分布計測ユニット3の発振器9が基本周波数f0 の電気信号を発生させてエミッタ10に与え、エミッタ10は電気信号を所定の時間間隔毎にパルス状に超音波トランスジューサ2に出力する。さらに、超音波トランスジューサ2はパルス電気信号の印加により配管7内を流れる流体8に向けて基本周波数f0 の超音波パルスを測定線MLに沿って発信する。
このため、超音波パルスが流体8中の気泡やAlの微粉末等のパーティクル等の反射体に当って超音波エコーが反射され、超音波トランスジューサ2により受信される。超音波エコーは、超音波トランスジューサ2でエコー電気信号に変換され、増幅器11で増幅された後、AD変換器12においてデジタル化される。デジタル化されたデジタルエコー信号は流速分布計測回路13に与えられ、ドップラシフトによるデジタルエコー信号と発振器9から受けた基本周波数f0 の電気信号との周波数差から測定線MLに沿う流体8の流速の変化が求められる。
さらに、流速分布計測回路13において、流体8の流速分布を傾斜角αで較正することで配管7の横断面における流速分布が計測される。そして、流体8の流速分布は、コンピュータ4に与えられて積分処理により流体8の流量が求められる。求められた流体8の流量は、コンピュータ4から出力されて時系列的に表示装置5に表示される。
このような超音波流量計1によれば、流体8の流速分布を測定して積分することにより流量を時間依存で応答性よく求めることができるため、定常状態の流れのみならず非定常状態の流れについても精度よく、非接触で流量を計測することができる。
特開2000−97742号公報(第1頁−第5頁、図1参照) 特開2003−344131号公報
従来の超音波流量計1は、流体8中の反射体により反射した超音波エコーを受信して流体8の流量を計測するため、精度よく流量を計測するためには、流体8中に十分な量の反射体が存在しなければならない。
しかし、原子力発電プラントの復水や給水は原子炉に導かれるため、炉心への影響を回避させるために異物となる固体等の不純物は、樹脂フィルタや中空子膜による水質管理により除去されて高純水とされる。このため、原子力発電プラントの復水給水配管を流れる復水や給水を計測対象の流体8とする場合には、反射体の量が不十分であり、復水や給水の流量を精度よく計測することができない。
一方、既設の絞り流量計により給水および復水の流量が計測されるが、経年変化により計測値がドリフトし、数億円規模の膨大なコストをかけて流量計の修理をせざるを得ない状況となっている。
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、原子力発電プラントの復水または給水の流量をより精度よく測定することが可能な超音波流量計測システムおよび超音波流量計測方法を提供することを目的とする。
本発明に係る超音波流量計測システムは、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、沸騰水型の原子力発電プラントの給水にヘリウムを供給する反射体供給機構と、前記ヘリウムに超音波パルスを照射して反射した超音波エコーを受信し、前記給水の流速分布とともに流量を求める超音波流量計とを備え、前記反射体供給機構は、前記給水が流れる給水配管内に設けられる整流器から前記給水が流れる給水配管の管径以上離れた上流側の部位で、前記整流器より下流側に位置する流量計測部位における前記給水に対する前記ヘリウムの体積率が20ppmから2000ppmとなるように前記ヘリウムを前記給水に供給するように構成したことを特徴とするものである。
本発明に係る超音波流量計測システムは、上述の目的を達成するために、請求項2に記載したように、前記給水の流量を求める既設流量計と、前記超音波流量計により計測された給水の流量計測値と前記既設流量計により計測された給水の流量計測値とに基づいて前記既設流量計による流量計測値の補正係数を設定する流量計測値校正手段とをさらに備えたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る超音波流量計測方法は、上述の目的を達成するために、請求項に記載したように、反射体供給機構から沸騰水型の原子力発電プラントの給水にヘリウムを供給してから、前記ヘリウムに超音波パルスを照射して反射した超音波エコーを受信し、前記給水の流速分布とともに流量を求めるステップとを備え、前記給水が流れる給水配管内に設けられる整流器から前記給水が流れる給水配管の管径以上離れた上流側の部位で、前記整流器より下流側に位置する流量計測部位における前記給水に対する前記ヘリウムの体積率が20ppmから2000ppmとなるように前記給水へ前記ヘリウムを供給することを特徴とする方法である。
また、本発明に係る超音波流量計測方法は、上述の目的を達成するために、請求項に記載したように、前記給水の流量を既設流量計で求め、前記計測された給水の流量計測値と前記既設流量計により計測された給水の流量計測値との比または差を求めることにより流量計測値の補正係数を設定することを特徴とする方法である。
本発明に係る超音波流量計測システムおよび超音波流量計測方法においては、原子力発電プラントの復水または給水の流量をより精度よく測定することができる。
本発明に係る超音波流量計測システムおよび超音波流量計測方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る超音波流量計測システムの第1の実施形態を示す構成図である。
超音波流量計測システム20は、反射体供給機構21と超音波流量計22とで構成される。反射体供給機構21は、原子力発電プラント23の復水給水配管24内に反射体を供給する機能を有する一方、超音波流量計22は復水給水配管24内に供給された反射体に超音波パルスを照射させて反射した超音波エコーを受信することにより復水給水配管24内の給水25aまたは復水25bの流速分布を測定し、流量を時間依存で瞬時に測定する機能を有する。
図2は、図1に示す超音波流量計測システム20による流量計測の対象の一例となる復水25bおよび給水25aが流れる加圧水型原子力発電プラントの復水給水配管24を示す図である。
加圧水型原子力発電プラント23aは、原子炉格納容器26に原子炉27、加圧器28、蒸気発生器29を収納し、蒸気発生器29とタービン設備系30とを主蒸気管31で接続して構成される。タービン設備系30は、動力伝達軸32を介して発電機33と接続される。タービン設備系30には、復水器34が設けられ、復水器34は復水給水配管24を介して蒸気発生器29と接続される。復水給水配管24には、原子炉給水ポンプ36が設けられる。また、復水器34には、復水器冷却系配管37が設けられる。
一方、蒸気発生器29は原子炉冷却系配管38により加圧器28および原子炉27と接続され、原子炉冷却系配管38は原子炉格納容器26の外部の浄化装置39に導かれる。
そして、浄化装置39により浄化された水が原子炉27において加熱されるとともに加圧器28により加圧されて高温高圧の加圧水X1となって蒸気発生器29に導かれる。蒸気発生器29に復水給水配管24から供給された給水25aは加圧水X1により加熱されて主蒸気X3となって主蒸気管31を介してタービン設備系30に導かれる。主蒸気X3はタービン設備系30で仕事し、タービン設備系30の回転動力は動力伝達軸32を介して発電機33に伝えられて発電がなされる。タービン設備系30を経由した主蒸気X3は復水器34で復水器冷却系配管37により導かれた海水X2との熱交換により復水25bとなって再び復水給水配管24に排出される。復水給水配管24に導かれた復水25bは、原子炉給水ポンプ36で昇圧されて給水25aとなり再び蒸気発生器29に供給される。
図3は、図1に示す超音波流量計測システム20による流量計測の対象の一例となる復水25bおよび給水25aが流れる沸騰水型原子力発電プラントの復水給水配管24を示す図である。
沸騰水型原子力発電プラント23bは、原子炉格納容器26に原子炉27を収納し、原子炉27とタービン設備系30とを主蒸気管31で接続して構成される。タービン設備系30は、動力伝達軸32を介して発電機33と接続される。タービン設備系30には、復水器34が設けられ、復水器34は復水給水配管24を介して原子炉27と接続される。復水給水配管24には、原子炉給水ポンプ36が設けられ、原子炉27に導かれる。
そして、復水給水配管24を介して原子炉27に供給された給水25aが原子炉27において加熱され、主蒸気X3となって主蒸気管31を介してタービン設備系30に導かれる。主蒸気X3はタービン設備系30で仕事し、タービン設備系30の回転動力は動力伝達軸32を介して発電機33に伝えられて発電がなされる。タービン設備系30を経由した主蒸気X3は復水器34で復水器冷却系配管37により導かれた海水X2との熱交換により復水25bとなって再び復水給水配管24に排出される。復水給水配管24に導かれた復水25bは、原子炉給水ポンプ36で昇圧されて給水25aとなり再び原子炉27に供給される。
また、給水25aへは、浄化装置39を経由して浄化された水が合流し、原子炉27に導かれる。すなわち、原子炉冷却系配管38から原子炉冷却材を取り出し、原子炉冷却材の水質をクリーンに保つ原子炉冷却材浄化系である浄化装置39の戻り水が原子炉給水配管24aに戻る。
このような加圧水型原子力発電プラント23aおよび沸騰水型原子力発電プラント23bのいずれにおいても、復水給水配管24内の給水25aまたは復水25bの流量は、原子力発電プラント23の出力に影響するため精度よく計測する必要がある。そこで、超音波流量計測システム20の流量計測対象は、原子力発電プラント23の復水給水配管24内を流れる給水25aまたは復水25bの一方あるいは双方とされる。
一般に復水給水配管24には、複数の加熱器が設けられる。このため、原子炉27の入口のみならず、必要に応じて加熱器の入口においても流量が計測される。
図4は、図1に示す超音波流量計測システム20による給水25aまたは復水25bの計測箇所を示す沸騰水型原子力発電プラントの詳細構成図である。
沸騰水型原子力発電プラント23bは、原子炉27とタービン設備系30とを主蒸気管31,42および復水給水配管24で接続した構成である。タービン設備系30は、高圧タービン40と複数の低圧タービン41とを共通の動力伝達軸32に設け、動力伝達軸32を発電機33と接続して構成される。また、低圧タービン41は復水器34と接続される。この復水器34には、復水器冷却系配管37が設けられ海水X2が導かれて復水器34が冷却される。
原子炉27と高圧タービン40は主蒸気管31で接続され、高圧タービン40と低圧タービン41とは蒸気管42で接続される。復水器34と原子炉27とは復水給水配管24で接続され、復水給水配管24上には、複数の加熱器43、原子炉給水ポンプ36および図示しない機器が設けられる。そして、高圧タービン40および低圧タービン41から加熱器43に抽気管44を介して蒸気の一部が抽気として導かれて復水25bや給水25aとの熱交換に利用される。さらに、復水給水配管24には図示しないドレン管や復水管が接続されて加熱器43等の機器で生じたドレンは復水25bや給水25aとして利用される。
そして原子炉27において生成された主蒸気X3が高圧タービン40および低圧タービン41に導かれて仕事をした後、復水器34において復水器冷却系配管37内の海水X2との熱交換により復水25bとなる。さらに、復水25bは、原子炉給水ポンプ36よりも上流側である復水器34側の復水配管24b内を経由して各加熱器43において加熱され、原子炉給水ポンプ36で昇圧されて給水25aとなる。給水25aは、原子炉給水ポンプ36よりも下流側である原子炉27側の給水配管24a内を経由して各加熱器43において加熱され、原子炉27に供給される。
この際、復水25bの加熱には、高圧タービン40および低圧タービン41から導かれた抽気が利用される。
このような原子力発電プラント23では、出力制御やヒートバランス制御のため、各所における復水25b、給水25a、ドレン、海水X2等の流体の流量を精度よく計測することが重要となる。そこで、超音波流量計測システム20は、必要に応じて復水給水配管24上の任意箇所に任意数設けられる。例えば、特に流量計測が重要な原子炉27や各加熱器43の入口近傍の復水給水配管24上に超音波流量計測システム20が設けられる。
ところで、一般的な流量計を用いた配管内の流量計測では、工場における校正試験を実施して、流量計の流量補正係数を定める必要がある。しかし、配管直径が1mを超えるような大口径配管は、流量計の校正試験を工場で実施するのが困難であるため、従来の流量計のように流量補正係数を用いる方式では、高精度の流量計測が不可能である。
このような大口径配管としては、例えば火力発電所や原子力発電所の復水器を冷却するための復水器冷却系配管や水力発電所の水圧鉄管や水車出口配管等の配管がある。そこで、そのような大口径配管の任意の部位に、超音波流量計測システム20を設けて運用することにより、発電所の効率改善、機器劣化診断、あるいは機器点検周期延伸が期待できる。但し、反射体が十分に存在する場合には、反射体の供給は不要である。
尚、上記のような大口径配管は、復水器冷却系配管等の配管であれば海水を、また水圧鉄管や水車出口配管等の配管であれば河川水を利用するため、反射体は季節や地域で変化することが経験的に知られる。
つまり、例えば図4に示すように超音波流量計測システム20を復水器冷却系配管37に設けて、復水器34を冷却するための海水X2の流量を計測することもできる。復水器34冷却用の海水X2は、季節や地域に応じて温度、微生物や不純物の量等の条件が変化するため反射体の量が変化することが経験的に知られる。このため、条件によっては海水X2内において反射体が不十分となる場合があるため、反射体供給機構21により所要の反射体を供給して超音波流量計22により海水X2の流量を計測することができる。ただし、海水X2内に反射体が十分に存在する場合には、反射体の供給は不要である。
さらに、原子力発電プラント23のみならず、超音波流量計測システム20を水力発電所の水車の上流もしくは下流に設けて、水車を通過する流量を測定することもできる。この際に、水車の下流に設ける場合には、キャビテーションによる気泡を反射体として使用できるため、反射体の供給は不要である。このように、水車の流量を測定することで、水車の効率を高精度に求めることができ、運転の効率化が図れる。
図5は、図1に示す超音波流量計測システム20の適用対象の一例としての水力発電所の水圧鉄管を示す図である。
水力発電所45は、水槽45aと放水庭45bとの間の水圧鉄管45c上に水車45dを設けて構成される。水車45dは発電機45eと接続され、発電機45eは、遮断器45f、変圧器45gおよび屋外開閉設備45hを介して送電線45iと接続される。水車45dの上流側の水圧鉄管45cには主弁45jおよびバイパス弁45kが設けられ、水槽45aから河川水X4が水車45dに導かれて水車45dを回転させることにより発電した後、放水庭45bに放水される。
このような水力発電所45において、水圧鉄管45cの水車45dの上流側もしくは下流側の任意の部位に超音波流量計測システム20が設けられる。
一方、図1に示すように超音波流量計22は、復水給水配管24内を流れる給水25aの流速を非接触で測定する超音波速度分布計測ユニット46を備える。以下、流量の測定対象となる流体を給水25aとするが復水25bの場合にも同様である。超音波速度分布計測ユニット46は給水25aに測定線MLに沿って所要周波数(基本周波数f0 )の超音波パルスを送信させる超音波送信手段47と、給水25aに入射された超音波パルスの測定領域から反射された超音波エコーを受信し、測定領域における給水25aの流速分布を測定する流体速度分布測定手段48と、給水25aの流速分布に基づいて演算処理して半径方向の積分を行ない、給水25aの流量を時間依存で求める流量演算手段としてのマイコン、CPU、MPU等のコンピュータ49と、このコンピュータ49からの出力を時系列的に表示可能な表示装置50とを有する。
超音波送信手段47は、所要周波数、例えば1MHz,2MHz,4MHz等の基本周波数f0 の電気信号を発生させる発振器(オッシレータ)51と、この発振器51からの電気信号を所定の時間間隔(1/Frpf )毎にパルス状に出力するエミッタ52(周波数Frpf )とからなる信号発生器53を備え、この信号発生器53から基本周波数f0 のパルス電気信号が超音波トランスジューサ54に入力される。超音波トランスジューサ54はパルス電気信号の印加により基本周波数f0 の超音波パルスが測定線MLに沿って発信せしめられる。超音波パルスは例えばパルス幅5mm程度で拡がりをほとんど持たない直進性のビームである。
超音波トランスジューサ54は送受信器を兼ねており、超音波トランスジューサ54は発信された超音波パルスが反射体供給機構21により給水25a中に注入された反射体に当って反射される超音波エコーを受信するようになっている。
超音波トランスジューサ54に受信された超音波エコーは、このトランスジューサ23でエコー電気信号に変換される。このエコー電気信号は増幅器55で増幅された後、AD変換器56を通ってデジタル化され、このデジタルエコー信号が流速分布計測回路57に入力される。流速分布計測回路57には、発振器51からの基本周波数f0 の電気信号がデジタル化されて入力され、両信号の周波数差からドップラシフトに基づく流速の変化を計測し、測定線MLに沿う測定領域の流速分布を算出している。測定領域の流速分布を傾斜角αで較正することで復水給水配管24の横断面における流速分布を計測することができる。
一方、反射体供給機構21は、超音波パルスが発信される測定線ML上において十分な超音波エコーが生じて超音波トランスジューサ54により受信するために必要な量の反射体を復水給水配管24に供給するように構成される。
ここで、反射体として機能するためには、密度と音速の積で表される音響インピーダンスが給水25aと十分に異なる必要がある。つまり音響インピーダンスの異なる物質の界面において超音波パルスは反射ないし屈折するため、反射体の音響インピーダンスと給水25aの音響インピーダンスとが異なることが要求される。
固体は、純水である復水25bや給水25aと音響インピーダンスが十分に異なるため、超音波パルスの反射体として機能する。しかし、固体は炉心に影響を与える恐れがあり、復水25bや給水25aは樹脂フィルタや中空子膜による水質管理により除去されて高純水とされるため、反射体を固体とする場合には、反射体回収機構を設けることが必要となる。また、液体は、純水と音響インピーダンスが十分に異ならないため反射体とした場合に、十分な超音波エコーが生じない恐れがある。
一方、気体は純水と音響インピーダンスが十分に異なり、かつ炉心への影響が小さいため、超音波パルスの反射体として利用することができる。しかし、復水給水配管24内の給水25aは原子炉27に導かれるため、反射体は炉心内外、特に炉心反応度への影響がより少ないことが要求される。原子炉27の炉心反応度は、秒速2200m/s程度で飛行する熱中性子の量に大きく依存し、熱中性子の量は原子炉27の反応度計算のファクタとして重要であることが知られる。従って、反射体には反射体を構成する物質内に熱中性子が入射した際に相互作用(散乱、吸収)する確率、すなわち熱中性子に対する全巨視的断面積が十分に小さいことが必要とされる。
また、反射体は炉心以外への影響が十分に無視できることが重要である。このため、反射体は化学的に安定した性質を有することが重要となる。
図6は、工業的に普遍的な気体および希ガスの熱中性子に対する巨視的断面積、基本的な化学的性質および原子炉27への影響を比較した図である。
図6に示すように工業的に普遍的で入手が容易な気体としては、水素H、窒素N、酸素O等の物質が挙げられ、希ガスとしてはヘリウムHe、ネオンNe、アルゴンAr、クリプトンKr、キセノンXe,ラドンRnがある。図6によれば、各元素のうち、ヘリウムの熱中性子に対する巨視的断面積である吸収断面積、散乱断面積、全断面積はいずれも、他の物質よりも顕著に小さいことが分かる。例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴンの全断面積は、おおよそ酸素や窒素の全断面積の数10分の1程度であり、水素の全断面積の数100分の1程度である。このため、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスは他の気体と比べて中性子との反応性が低いことが分かる。
尚、図6のうち、巨視的断面積のデータは「原子炉の理論と解析(上):現代工学社編」に、基本的な化学的性質は杉並学院中学・高等学校のホームページ(http://www.suginami.ac.jp/study/chemistry/group18.htm)に、原子炉27への影響については科学技術振興機構(JST)のホームページ(http://sta−atm.jst.go.jp/)および原子力ハンドブックより(オーム社)に記載されている。
一方、入手が容易な気体の1つである水素は復水給水配管24やその他の部材の応力腐食防止のために既に給水25aに注入されているが、N16生成主蒸気線量が上昇することが分かっており、かつ燃料の水素脆化が懸念される。また窒素を給水25aに注入すると、放射化されて超半減期物質C14が生成されるという問題があり、酸素を給水25aに注入すると、炉心構造物の腐食環境が悪化するという問題がある。
しかし、ヘリウム、ネオン、アルゴンについては、給水25aに注入することについて現状は特段の問題がない。すなわち、希ガスであるヘリウム、ネオン、アルゴンは他の気体と比べて化学的な反応性が低い。これは希ガスの電子配置が安定で、通常化学結合するための電子の享受や共有が行われないためである。
従って、反射体としては、気体を用いることが有効である。さらに気体の中でも希ガス、特にヘリウム、ネオン、アルゴンを用いることが望ましい。ただし、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスを主成分として含めば、他の気体と混合していてもよい。
なお、希ガスのなかでもヘリウムは他の希ガスに比べて分子量が小さく中性子との反応性が小さい。このため、ヘリウムを反射体として用いれば原子炉27内外への影響をより小さくすることができ、かつ入手が容易である。
一方、アルゴンはヘリウムより熱中性子に対する巨視的断面積が大きく化学的反応性がやや大きいものの、ヘリウムより安価に入手できるためアルゴンを反射体として用いればより安価に給水25aの流量を計測することができる。
ところで、反射体の量が少なすぎると、十分な超音波エコーが反射されずに、復水25bや給水25aの速度分布を計測することが困難となる。しかし、原子力発電プラント23の復水25bや給水25aの流動条件は高温高圧下(180℃〜220℃、7.5MPa〜7.8MPa程度)である。このため、このような高温高圧下であっても反射体としての気体を注入した場合に復水25bないし給水25a中に溶け込まずに、あるいは溶け込んだとしても十分な量の気相として存在することが必要となる。
逆に、復水25bや給水25a中に反射体が過剰に存在すると、反射体が希ガス等の気体であっても炉心に導かれて炉心反応度への影響が生じることとなる。
そこで、反射体として気体を用いた場合には、気相が超音波パルスの反射体として測定線ML上において機能し、十分な超音波エコーを反射させるために適切な量の気体を供給する機能が反射体供給機構21に備えられる。また、反射体供給機構21は、少なくとも測定線MLよりも上流側に反射体を供給するようにされる。
図7は、図4に示す原子炉27に導かれる給水配管24aの構造例を示す図であり、図8は、図7に示す給水配管24aの拡大断面図である。
給水配管24aは一般に2系統設けられ、それぞれの給水配管24aには給水25aの流れを整えるための整流器60が設けられていることが多い。給水配管24aの整流器60よりも下流側には、絞り流量計のフローノズル61が給水25aの流量を計測するための既設の流量計として設けられる。さらに給水配管24aのフローノズル61よりも原子炉27側には、給水止め弁62が設けられる。
一般に給水配管24aの整流器60出口からフローノズル61入口までの距離は、管径Dの16倍(16D)程度である場合が多い。このように、流量計測部位近傍に整流器60が存在する場合には、ヘリウム等の反射体が整流器60に入る前に流れの乱れにより拡散され、一様に整流器60および給水25a内に分布されることが望ましい。そこで、反射体供給機構21がヘリウム等の気体を反射体として給水25aへ供給する位置は、整流器60よりも上流側とされる一方、超音波流量計22では、例えばフローノズル61近傍における給水25aの流量が計測される。この際、反射体供給機構21がヘリウム等の気体を反射体として給水25aへ供給する位置は、経験的に整流器60から管径1D以上離すことが有効であると考えられる。
また、1100MW程度の電力を出力する代表的な原子力発電プラント23は、原子炉27近傍における給水配管24aの流量計測部位の管径Dはおおよそφ550〜φ600mm程度、配管肉厚は30〜50mm程度とされて発電に必要な給水25aを原子炉27に供給できる構造とされる。また、給水配管24a内における給水25aの圧力はおよそ7.5〜7.8MPa程度であり、給水25aの温度は180℃〜220℃程度である。
ここで、原子炉27への反射体の影響を抑制するために通常ヘリウム等の気体は復水25bや給水25aに飽和量以下で供給される。しかし、ヘリウム等の気体が復水25bや給水25aに溶け込むまでの時間差を利用して流量計測部位に十分な量の反射体が存在するように調節することができる。このため、流量計測部位における反射体としての気体の量は、復水25bや給水25aの温度や圧力等の条件のみならず気体が復水25bまたは給水25aに溶けるまでに要する時間にも依存する。すなわち、反射体供給機構21がヘリウム等の気体を反射体として給水25aへ供給する位置と流量計測部位との間の距離が供給される気体の量に比して長すぎる場合には、気体が復水25bや給水25aに溶け込んでしまうため、流量計測部位に十分な量の反射体を存在させることができない。
そこで、反射体供給機構21から反射体として供給すべき気体の量は、復水25bや給水25aの温度や圧力等の条件に加えて、気体の飽和量および飽和時間並びに反射体の供給位置から流量計測部位までの距離に応じて適切な量となるように決定される。
図9は、配管内を流れる水に微細化した気泡を気泡体積率200ppmで注入し、超音波流量計測システム20により流速分布を計測した結果を示す図である。
図9において、縦軸は超音波流量計測システム20により計測された水の流速を示し、横軸は配管内における位置を示す。また図9中の丸印は、配管内の水の流量が基準量である場合において超音波流量計測システム20により計測された水の流速分布を示し、三角印は、配管内の水の流量が基準量の40%の場合において超音波流量計測システム20により計測された水の流速分布を示す。
尚、水の圧力は0.4MPa、温度は20℃、配管の内径Dは0.36mであり、気泡は流量計測部位から上流側9.4Dの位置から注入した。
図9によれば、いずれの流量の場合においても流れは未発達であるが、適切な気泡体積率の気泡が反射体として水中に存在すれば流量に依らず超音波流量計測システム20により十分な精度で流量補正係数を用いることなく水の流量を計測できることが分かる。
図10は、配管内を流れる水に気泡を反射体として注入して超音波流量計測システム20により水の流量を計測した場合における気泡体積率と流量測定結果との関係を示す図である。
図10において縦軸は超音波流量計測システム20による水の流量計測結果を示し、横軸は反射体である気泡の水に対する気泡体積率を示す。また図10中の丸印は配管内の水の流量が基準量の場合において、反射体である気泡の水に対する気泡体積率と超音波流量計測システム20による水の流量測定結果との関係を示すデータであり、三角印は、配管内の水の流量が基準量の40%の場合において、反射体である気泡の水に対する気泡体積率と超音波流量計測システム20による水の流量測定結果との関係を示すデータである。
尚、水の圧力は0.4MPa、温度は20℃、配管の内径Dは0.36mであり、気泡は流量計測部位から上流側9.4Dの位置から注入した。また、水の流量は配管の半径中心より配管対向壁側の半分の流速分布を用いて計算した結果である。
図10によれば、いずれの流量の場合においても気泡の気泡体積率が20ppm以上であれば、超音波流量計測システム20により流量並びに気泡体積率に依らず十分に安定した精度で水の流量を計測できることが分かる。
このため、流量計測部位におけるヘリウム等の気体の量は、復水25bまたは給水25aに対する体積率が20ppmから2000ppm程度であればよいと考えられる。さらに、原子炉27への影響が少なく、安定して復水25bや給水25aの流速分布を計測するためには、おおよそ復水25bまたは給水25aに対するヘリウム等の気体の体積率を1000ppm程度とすることが有効であると考えられる。
そこで、反射体供給機構21から反射体が供給される位置は、復水25bや給水25aの温度や圧力、気体の飽和量および飽和時間等の条件に応じて流量計測部位におけるヘリウム等の気体の量が20ppmから2000ppm程度、特に1000ppm程度となるような位置とされる。
次に、超音波流量計測システム20の作用について説明する。
図11は、図1に示す超音波流量計測システム20により給水25aの流量を測定する際の手順の一例を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まずステップS1において、超音波流量計22が例えば原子炉27入口付近の給水配管24a内を流れる給水25aの流量計測部位に超音波パルスを送信可能な位置に配置され、反射体供給機構21が流量計測部位に十分な量の反射体を供給できる位置に配置される。給水配管24aに整流器60がある場合には、整流器60の上流側の整流器60から管径1D以上離れた位置に反射体供給機構21が配置される。
次にステップS2において、反射体供給機構21から例えばヘリウム等の希ガスが反射体として給水配管24a内に供給される。この際、ヘリウム等の希ガスの量は流量計測部位における給水25aに対する体積率が20ppmから2000ppm程度となるような量に設定される。このため、給水配管24aに整流器60がある場合には、整流器60手前の流れの乱れによりヘリウム等の希ガスが気泡として拡散され、一様に整流器60及び給水25a内に分布されて給水25aとともに流量計測部位に導かれる。
この際ヘリウム等の希ガスは化学的に安定した性質を有するため、給水25aや給水配管24aに影響を与えることなく気泡として流量計測部位に導かれる。
次にステップS3において、超音波流量計22により反射体であるヘリウム等の希ガスの気泡に超音波パルスが照射され、ヘリウム等の希ガスに反射して生じた超音波エコーが超音波流量計22により受信されて給水25aの流速分布とともに流量が時間依存で瞬時に求められる。この際、ヘリウム等の希ガスは給水25aとは十分に音響インピーダンスが異なるため反射体として機能する。
図12は、図1に示す超音波流量計測システム20による流量測定における作動原理を説明する図である。
図12(A)に示すように、超音波トランスジューサ54を復水給水配管24の断面方向に対し角度αだけ給水25aの流れ方向に傾けて設置した状態で、超音波トランスジューサ54から所要周波数f0 の超音波パルスを入射させると、この超音波パルスは測定線ML上の給水25aに一様に分布する反射体であるヘリウム等の希ガスの気泡に当って反射し、図12(B)に示すように、超音波エコーaとなって超音波トランスジューサ54に戻される。なお、図12(B)において符号bは超音波パルス入射側の管壁で反射する多重反射エコーであり、符号cは、反対側管壁で反射する多重反射エコーである。超音波トランスジューサ54から発信される超音波パルスの発信間隔は1/Frpf である。
そして、超音波トランスジューサ54で発信したエコー信号をフィルタリング処理し、例えばドップラシフト法を利用して測定線MLに沿って流速分布を計測すると、図12(C)のように表示される。この流速分布は超音波速度分布計測ユニット46の流体速度分布測定手段48で測定することができる。
ドップラシフト法は、給水配管24a内を流れる給水25a中に超音波パルスを放射すると、給水25a中に混在あるいは一様分布する反射体であるヘリウム等の希ガスの気泡によって反射されて超音波エコーが生じ、この超音波エコーの周波数が流速に比例した大きさだけ周波数シフトする原理を応用したものである。
また、超音波流体速度分布測定手段48で測定された給水25aの流速分布信号は流量演算手段としてのコンピュータ49に送られ、ここで流速分布信号を復水給水配管24の半径方向に積分し、給水25aの流量を時間依存で求めることができる。この給水25aの時間tにおける流量をm(t)とすると、式(1)で表わすことができる。
Figure 0004581439
式(1)から復水給水配管24を流れる時間tの流量m(t)は、式(2)に書き換えることができる。
Figure 0004581439
(2)式より、超音波流量計22は、給水25aの流れの空間分布を瞬時、例えば50msec〜100msec程度の応答速度で得ることができる。給水25aは復水給水配管24内の流れであっても、充分な助走区間をとれない場合や、弁の開閉やポンプの起動・停止などで時間的な揺らぎが存在する場合には、給水25aの流れは非定常状態で三次元分布をもっているが、この超音波流量計22は、測定領域の流速分布を時間依存で瞬時に求めることができるので、給水25aの流量を定常状態、非定常状態如何を問わず、正確に精度よく求めることができる。
尚、給水配管24a内を流れる給水25aの流れが、管軸方向の流れで半径方向や角度θの流れvr,vθを無視できるとすると、vx>>vr=vθとなり、流量計測は簡素化され、N本の測定線で測定線の管断面方向に対する角度がαの場合には、(3)式で表わされる。
Figure 0004581439
このように、求められた給水25aの流量は、表示装置50により時間依存で瞬時に表示することができる。この表示装置50には、給水25aの復水給水配管24内の測定線MLに沿う流速分布あるいは配管横断面における流速分布を表示することもできる。
さらに、流量が計測された給水25aは、反射体であるヘリウム等の希ガスとともに原子炉27に供給される。しかし、ヘリウム等の希ガスの熱中性子に対する巨視的断面積は十分に小さいため、原子炉27へのヘリウム等の希ガスの影響は無視することができる。
すなわち、超音波流量計測システム20はヘリウム等の希ガスの反射体を復水25bまたは給水25aに供給した後、超音波流量計22で流量を計測するものである。
以上のような超音波流量計測システム20によれば、熱中性子に対する巨視的断面積が小さく、かつ化学的に安定したヘリウム等の気体が復水給水配管24内に反射体として供給されるため、原子力発電プラント23の復水25bまたは給水25aのような高純水でかつ原子炉27への反射体の影響を抑制する必要がある流体を計測対象とする場合であっても流量をより正確かつ精度よく測定することができる。
図13は本発明に係る超音波流量計測システムの第2の実施形態を示す構成図である。
図13に示された超音波流量計測システム20Aでは、既設流量計の一例である絞り流量計70を流量計測用に用いた点および流量計測値校正手段71を設けた点が図1に示す超音波流量計測システム20と相違する。他の構成および作用については図1に示す超音波流量計測システム20と実質的に異ならないため同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
すなわち超音波流量計測システム20Aは、反射体供給機構21、超音波流量計22、既設流量計の一例としての絞り流量計70および流量計測値校正手段71とで構成される。
絞り流量計70は、流量計測部72とフローノズル61とで構成される。フローノズル61は内径がなめらかに変化する筒状構造であり、復水給水配管24内部に溶接により取り付けられる。そして、フローノズル61は絞り機構として機能し、給水25aや復水25bの流れを絞り込む機能を有する。また、フローノズル61の入口近傍の復水給水配管24には、ノズル入口側圧力計測配管73が設けられる一方、フローノズル61の内径が一定となった部位にはノズル縮流部圧力計測配管74が設けられ、ノズル入口側圧力計測配管73およびノズル縮流部圧力計測配管74は流量計測部72に導かれる。
流量計測部72は、ノズル入口側圧力計測配管73およびノズル縮流部圧力計測配管74内を経由してそれぞれ導かれた給水25aや復水25bの静圧力差、すなわちフローノズル61により給水25aや復水25bが絞り込まれる前後の静差圧から給水25aや復水25bの流量を換算して求める機能を有する。
このような絞り流量計70を用いたフローノズル61前後における流体の圧力差から流量を計測する方法は平均値近似法と呼ばれるが、平均値近似法による流量計測ではプラントの経年変化等の影響により正確な値が得られない場合がある。
さらに、平均値近似法によるものの他、伝播時間差式流量計についても同様である。
そこで、流量計測値校正手段71には、超音波流量計22により予め計測された給水25aや復水25bの流量計測値と既設流量計の一例としての絞り流量計70により予め計測された給水25aや復水25bの流量計測値とに基づいて絞り流量計70による流量計測値の補正係数を設定する機能が備えられる。さらに必要に応じて流量計測値校正手段71には、流量計測値の補正係数を用いて絞り流量計70により定常的に計測される給水25aや復水25bの流量計測値を校正することにより、より精度よく給水25aや復水25bの流量を時間依存で定常的に求める機能と、校正後の給水25aや復水25bの流量値を表示装置50に与えて表示させる機能が備えられる。
尚、超音波流量計22による計測部位における流量と、絞り流量計70による計測部位の流量とが互いに異なってもよい。すなわち、超音波流量計22による計測部位と絞り流量計70による計測部位とが異なり、給水25aや復水25bへの水の合流あるいは分流等の影響により各計測部位における給水25aや復水25bの流量が異なっても、給水25aや復水25bの収支計算を行うことにより絞り流量計70による流量計測値の補正係数を設定することができる。
図14は、図13に示す超音波流量計測システム20Aにより給水25aの流量を測定する際の手順の一例を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。また、図11と同等のステップには同符号を付してある。
まずステップS1において、超音波流量計22および反射体供給機構21が適切な位置に配置される。この際、流量計測部位はフローノズル61近傍とされる。
次にステップS2において、反射体供給機構21から例えばヘリウム等の希ガスが反射体として給水配管24a内に供給される。
次にステップS3において、超音波流量計22からヘリウム等の希ガスの気泡に超音波パルスが照射され、超音波エコーが受信されて給水25aの流速分布とともに流量が時間依存で瞬時に求められる。
次にステップS4において、一方、絞り流量計70により、フローノズル61前後における給水25aの圧力差から給水25aの流量が計測される。しかし、絞り流量計70で平均値近似法により得られた流量計測値は、プラントの経年変化により指示値がドリフトする場合がある。
そこで、ステップS5において、超音波流量計22により計測された給水25aの流量計測値と、絞り流量計70により計測された給水25aの流量計測値とが流量計測値校正手段71に与えられる。そして、流量計測値校正手段71は、例えば超音波流量計22による流量計測値と絞り流量計70による流量計測値との比または差を絞り流量計70による流量計測値の校正用の補正係数として求める。
この結果、一旦絞り流量計70による流量計測値の校正用の補正係数が求められた後は、超音波流量計22から超音波パルスを送信することなく、差を絞り流量計70による流量計測値に対して校正用の補正係数を用いて校正することにより、精度よく給水25aの流量を随時求めることができる。さらに、ヘリウム等の希ガスの反射体は、少なくとも校正用の補正係数を求める際に給水25a内に供給されればよく、反射体を定常的に給水25aに供給する必要性をなくすことができる。
さらに、ステップS6において、給水25aの流量を計測する必要がある場合には、絞り流量計70により給水25aの流量が計測され、得られた流量計測値が流量計測値校正手段71に与えられる。
次に、ステップS7において、絞り流量計70により得られた流量計測値が既に求められた校正用の補正係数を用いて流量計測値校正手段71により校正される。このため、超音波流量計22や反射体供給機構21を作動させることなく、絞り流量計70からより精度のよい給水25aの流量を得ることができる。さらに、必要に応じて校正後の給水25aの流量は、表示装置50に与えられて表示される。
すなわち、超音波流量計測システム20Aは、超音波流量計22を既設流量計である絞り流量計70により得られた流量計測値の校正用に使用したものである。
以上のような超音波流量計測システム20Aによれば、図1に示す超音波流量計測システム20の効果と同等の効果に加え、反射体を流量計測の都度給水25aあるいは復水25b内に供給する必要がないため、反射体の量を低減させることができるとともに反射体による原子炉27内外への影響を低減させることができる。
さらに、従来は既設流量計の経年変化による計測値のドリフトに対応して、既設流量計を復水給水配管24から多大な労力により取り外し、かつ莫大なコストをかけて既設流量計の指示値調整が実施されていたが、超音波流量計測システム20Aによれば、既設流量計の計測値のドリフトに対応して、その都度超音波流量計22による流量計測により校正用の補正係数を更新すればよく、流量計測値のドリフト対策に要するコストや労力の増加を回避することができる。
また、既設流量計は、原子力発電プラント23の主要な部位ごとに設けられているため、超音波流量計22が少なくとも1台あれば、各既設流量計の校正用の補正係数を求めて随所における給水25aおよび復水25bの流量をより精度よく求めることができる。
本発明に係る超音波流量計測システムの第1の実施形態を示す構成図。 図1に示す超音波流量計測システムによる流量計測の対象の一例となる復水および給水が流れる加圧水型原子力発電プラントの復水給水配管を示す図。 図1に示す超音波流量計測システムによる流量計測の対象の一例となる復水および給水が流れる沸騰水型原子力発電プラントの復水給水配管を示す図。 図1に示す超音波流量計測システムによる給水または復水の計測箇所を示す沸騰水型原子力発電プラントの詳細構成図。 図1に示す超音波流量計測システム20の適用対象の一例としての水力発電所の水圧鉄管を示す図。 工業的に普遍的な気体および希ガスの熱中性子に対する巨視的断面積、基本的な化学的性質および原子炉への影響を比較した図。 図4に示す原子炉に導かれる給水配管の構造例を示す図。 図7に示す給水配管の拡大断面図。 配管内を流れる水に微細化した気泡を気泡体積率200ppmで注入し、超音波流量計により流速分布を計測した結果を示す図。 配管内を流れる水に気泡を反射体として注入して超音波流量計により水の流量を計測した場合における気泡体積率と流量測定結果との関係を示す図。 図1に示す超音波流量計測システムにより給水の流量を測定する際の手順の一例を示すフローチャート。 図1に示す超音波流量計測システムによる流量測定における作動原理を説明する図。 本発明に係る超音波流量計測システムの第2の実施形態を示す構成図。 図13に示す超音波流量計測システムにより給水の流量を測定する際の手順の一例を示すフローチャート。 従来の超音波流量計の構成図。
符号の説明
20、20A 超音波流量計測システム
21 反射体供給機構
22 超音波流量計
23 原子力発電プラント
23a 加圧水型原子力発電プラント
23b 沸騰水型原子力発電プラント
24 復水給水配管
24a 給水配管
24b 復水配管
25a 給水
25b 復水
26 原子炉格納容器
27 原子炉
28 加圧器
29 蒸気発生器
30 タービン設備系
31 主蒸気管
32 動力伝達軸
33 発電機
34 復水器
36 原子炉給水ポンプ
37 復水器冷却系配管
38 原子炉冷却系配管
39 浄化装置
40 高圧タービン
41 低圧タービン
42 蒸気管
43 加熱器
44 抽気管
45 水力発電所
45a 水槽
45b 放水庭
45c 水圧鉄管
45d 水車
45e 発電機
45f 遮断器
45g 変圧器
45h 屋外開閉設備
45i 送電線
45j 主弁
45k バイパス弁
46 超音波速度分布計測ユニット
47 超音波送信手段
48 流体速度分布測定手段
49 コンピュータ
50 表示装置
51 発振器(オッシレータ)
52 エミッタ
53 信号発生器
54 超音波トランスジューサ
55 増幅器
56 AD変換器
57 流速分布計測回路
60 整流器
61 フローノズル
62 給水止め弁
70 絞り流量計
71 流量計測値校正手段
72 流量計測部
73 ノズル入口側圧力計測配管
74 ノズル縮流部圧力計測配管
X1 加圧水
X2 海水
X3 主蒸気
X4 河川水

Claims (6)

  1. 沸騰水型の原子力発電プラントの給水にヘリウムを供給する反射体供給機構と、前記ヘリウムに超音波パルスを照射して反射した超音波エコーを受信し、前記給水の流速分布とともに流量を求める超音波流量計とを備え
    前記反射体供給機構は、前記給水が流れる給水配管内に設けられる整流器から前記給水が流れる給水配管の管径以上離れた上流側の部位で、前記整流器より下流側に位置する流量計測部位における前記給水に対する前記ヘリウムの体積率が20ppmから2000ppmとなるように前記ヘリウムを前記給水に供給するように構成したことを特徴とする超音波流量計測システム。
  2. 前記給水の流量を求める既設流量計と、前記超音波流量計により計測された給水の流量計測値と前記既設流量計により計測された給水の流量計測値とに基づいて前記既設流量計による流量計測値の補正係数を設定する流量計測値校正手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計測システム。
  3. 前記反射体供給機構は、前記ヘリウムを前記給水へ供給するに当たり、前記給水の温度、圧力の条件に加えて、前記ヘリウムの飽和量および飽和時間並びに前記ヘリウムの供給位置から前記流量計測部位までの距離を考慮して、前記給水へ供給すべきヘリウムの量を、飽和量以下、かつ、前記体積率の範囲内に調節することを特徴とする請求項1または2記載の超音波流量計測システム。
  4. 反射体供給機構から沸騰水型の原子力発電プラントの給水にヘリウムを供給するステップと、
    前記ヘリウムに超音波パルスを照射して反射した超音波エコーを受信し、前記給水の流速分布とともに流量を求めるステップとを備え、
    前記給水が流れる給水配管内に設けられる整流器から前記給水が流れる給水配管の管径以上離れた上流側の部位で、前記整流器より下流側に位置する流量計測部位における前記給水に対する前記ヘリウムの体積率が20ppmから2000ppmとなるように前記給水へ前記ヘリウムを供給することを特徴とする超音波流量計測方法。
  5. 前記給水の流量を既設流量計で求め、前記計測された給水の流量計測値と前記既設流量計により計測された給水の流量計測値との比または差を求めることにより流量計測値の補正係数を設定することを特徴とする請求項4記載の超音波流量計測方法。
  6. 前記給水へ供給するヘリウムの量は、前記給水の温度、圧力の条件に加えて、前記ヘリウムの飽和量および飽和時間並びに前記ヘリウムの供給位置から前記流量計測部位までの距離を考慮して、前記給水へ供給すべきヘリウムの量を、飽和量以下、かつ、前記体積率の範囲内に調節したことを特徴とする請求項4または5記載の超音波流量計測方法。
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