JP4581137B2 - レフルノミド産物の抗ウイルス用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的にレフルノミド産物を含む新規の抗ウイルス物質及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願は、1998年3月11日に出願された米国特許仮出願番号60/077,552の優先権を主張するものである。
【0003】
レフルノミド(HWA−486)は、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミドという名前をもつイソキサゾール誘導体である。投与すると、この化合物は、速やかにその活性開環型であるN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシクロトンアミド(A771726)に変換され、その後速やかに、下に示すケト−エノール互変異を受けてN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−オキソ−ブチルアミドとなる。
【0004】
【化1】
Figure 0004581137
【0005】
[Stecherら、Ann. Report Med. Chem., 18:171-179(1983)]レフルノミドは、ヘキストAG社(Hoechst AG)の科学者によって農業用除草剤として設計された一連の化合物に由来する。抗炎症作用及び免疫抑制作用をもつことが、後になって発見され、自己免疫疾患と移植拒絶の動物モデルにおいて評価されている。この代謝中間体は、タンパク質チロシンキナーゼ活性阻害と、ピリミジンヌクレオチド三リン酸の生合成における鍵酵素であるジヒドロオロチン酸デヒドロゲナーゼの阻害という2つの作用機作を示す。一般的には、Silvaら、Am. J. Med. Sci., 313(5):289-301(1997)、及び、オースチン(Austin)にあるアール・ジー・ランデス(R.G.Landes)社刊、LiebermanとMukherjee編、移植及び自己免疫における創薬の原理(Principles of Drug Development in Transplantation and Autoimmunity)を参照のこと。この薬剤は、動物と人間に充分に許容されるため、目下、進行した慢性関節リューマチに罹った人間の患者で臨床試験を行っているところである。レフルノミドまたはその代謝中間体について、これまでに抗ウイルス作用は報告されていない。
【0006】
Heubachによる米国特許第4,087,535号は、抗炎症作用と鎮痛作用をもつ5−メチル−イソオキサゾール−4−カルボン酸アニリドの仲間について記載している。Kammererらによる米国特許第4,351,841号は、レフルノミドと名付けられた特定のアニリドが、優れた抗炎症作用と低い毒性を示すことを報告している。米国特許第4,351,841号では、レフルノミドが、2つのラットアジュバント関節炎モデル、及びラットアレルギー性脳炎モデルにおける免疫病理学的な進行を阻害することが示された。Bartlettらによる米国特許第4,965,276号は、慢性移植片対宿主疾患(cGvH)、及び全身性エリテマトーデス(SLE)など、その他の自己免疫疾患を治療するためにレフルノミドを使用することを記載している。
【0007】
ヒトヘルペスウイルスは、単純ヘルペスウイルス1(HSV−1)、HSV−2、水痘−帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHV−6)、HHV−7、及びHHV−8(カポジ肉腫ヘルペスウイルス、すなわちKSHVとしても知られている)を含む近縁のウイルス群である。ヘルペスウイルスは、同じような形態をもち、電子顕微鏡でもほとんど区別することができない上、同じような生長周期をもち、共通して、感染した宿主における終生潜伏/持続感染を確立することができる。典型的なヘルペスウイルス粒子は、直鎖二本鎖DNAを含むコア、162個のカプソメアを含む、直径約100から110nmの正二十面体のカプシド蛋白質、テグメントと名付けられている、カプシドを取り囲む無定形の物質、及び、表面にウイルス糖蛋白質のスパイクをもつ、脂質を含む外殻エンベロープからできている。
【0008】
ヘルペスウイルス科を構成するウイルスは、生物学的性質に基づいて、アルファヘルペスウイルス、ベータヘルペスウイルス及びガンマヘルペスウイルスという3つの亜科に分類されている。アルファヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2及びVZVなど)は、多様な宿主範囲をもち、比較的短い増殖周期をもち、培養細胞中では速やかに伝染し、感染細胞を効率よく破壊し、主に、知覚神経節における潜伏感染を成立させることができる。ベータヘルペスウイルス(CMVなど)は、限られた宿主範囲をもち、長い増殖周期をもち、培養細胞中ではゆっくりと感染が進行し、感染細胞をしばしば拡張させ(巨細胞)、分泌腺、リンパ網内細胞、腎臓及びその他の組織中での潜伏性を維持することができる。ガンマヘルペスウイルス(EBVなど)は、限られた宿主範囲をもち、TまたはBリンパ球に特異的であり、しばしば、前細胞溶解期または細胞溶解期に、感染性のある後代を産生することなく感染し、また、しばしば、リンパ系組織において潜伏性を維持する。一般的には、ニューヨークに在するレイベンプレス(Raven Press)社刊(1993)、Roizmanら編、ヒトヘルペスウイルス(The Human Herpesviruses)、第1章;ニューヨークに在するマッグロウ−ヒル(McGraw-Hill)社刊(1994)、Isselbacherら編、ハリソンの内科学原理(Harrison's Principles of Internal Medicine)第13版;Frenkelら、Dev. Biol. Stand, 76:259-265(1992);Gillisonら、Curr.Opin.Oncol., 9:440-449(1997)を参照のこと。
【0009】
ヘルペスウイルスによる細胞感染が細胞死をもたらさない場合もある。その代わり、ウイルスゲノムは、細胞によって、細胞の生存作用及び正常な活性と両立する抑圧状態、すなわち潜伏と呼ばれる過程に維持される。その後、ウイルスゲノムの活性化が起き、その結果、ウイルスの複製と病原体による病気の再活性化が、特に免疫無防備状態の患者において起こる。
【0010】
HSV感染は世界中で見られる。90パーセントを超える成人が、50歳までにHSV−1に対する抗体をもつようになる。社会経済的低位国の人々では、ほとんどの人が、30歳になるまでにHSV−1に感染する。HSVの臨床症状の発現と進行は、宿主の感染部位、年齢、免疫状態、及びウイルスの型に依存する。HSVは、ほとんどすべての内臓、皮膚及び粘膜部位に感染することができ、例えば、咽頭炎または口内炎;眼炎(合衆国における角膜性失明の原因として最も頻度が高いもの);脳炎(すべての脳炎症例の10から20パーセントの原因となっている)または中枢神経系(CNS)関連症(involvement);通常、ウイルス血症から生じる、食道、肺または肝臓などの内臓器官への感染;及び、一関節性関節炎;副腎壊死;特発性血小板減少症、及び糸球体腎炎などの原因となる。新生児(6週齢未満)が、いずれのHSV感染患者人口でも、内臓及び/またはCNS感染の頻度が最も高い。治療をしないと、新生児ヘルペス患者全体の死亡率は65パーセントであり、CNS感染した新生児で正常に発育するのは10パーセントに満たない。抗ウイルス化学療法によって、新生児ヘルペスの死亡率は25パーセントになったが、罹病率は依然として非常に高く、HSV−2のCNS関連症に罹った幼児で特に高い。
【0011】
HSVは、病変部から採取したサンプルの組織学的検査によって診断することができる。ライト染料、ギムザ染料(ツァンク試料)、パパニコラウ染料で染色すると、特徴的な巨大細胞、またはヘルペスウイルス感染に典型的な核内封入体が分かる。HSV感染の確認は、組織培養中のウイルスを単離するか、病変部中にHSVの抗原またはDNAがあることを明らかにすることによって最も確実に行われる。粘膜皮膚感染については、アシクロビルが治療の要となっている。イドクスウリジン、トリフルオロチミジン及びビダラビンは、HSVが眼に感染したときに局所的に使用することができる。HSV脳炎に対しては、アシクロビルの静脈内投与が選択される治療法である。新生児のHSV感染には、高用量のビダラビン及びアシクロビルの静脈内投与が効果的である。
【0012】
VZVは、2つの異なる臨床実体、すなわち、水疱瘡として知られる水痘、及び帯状疱疹として知られる帯状疱疹ヘルペスの原因となる。これは、呼吸経路によって伝染する可能性が最も高く、その後、不確定の部位、おそらく鼻咽腔で局所的に増殖し、最終的には、網内系がウイルス血症となる原因をもたらす。水痘による特徴的な皮膚の病変が、最も顕著な発症症状である。水痘は、非常に感染しやすく、感受性すなわち血清反応陰性の人の間では、少なくとも90パーセントの感染率をもつ。5歳から9歳の間の子供が、すべての症例の50パーセントを占める。免疫無防備状態にある人では、病変部の数が多くなり、それが治るのに時間がかかり、また、内臓に合併症を起こす危険がより高くなって、30から50パーセントの症例でそれが起き、15パーセントで致命的である。新生児の水痘感染は、30パーセントもの高さの死亡率を伴う。VZV感染のこの他の合併症には、CNS関連症、水痘肺炎、心筋炎、角膜病変、腎炎、関節炎、出血性体質、急性糸球体腎炎、及び肝炎などがある。ある程度の肝臓関連症は水痘に普遍的であり、通常は、無症状である。
【0013】
帯状疱疹を惹き起こすVZVの再活性化のメカニズムは未知である。水痘を起こしている間に、ウイルスが脊髄神経節に感染して、そこで再活性化されるまで潜伏したままになっていると推定されている。免疫無防備状態の宿主における再活性化は、健常な人におけるよりもより重篤である。皮膚に散在している患者では、肺炎、髄膜脳炎、肝炎、及びその他の深刻な合併症の危険性が5から10パーセント上昇する。しかし、免疫無防備状態の患者においてさえも、散在性の帯状疱疹はほとんど致死的ではない。骨髄移植を受けたことのある患者は、特に、VZV感染の危険が高く、そのような患者の45パーセントは、皮膚または内臓への散在をもち、全体の死亡率は10パーセントである。
【0014】
VZV感染は、臨床的には、水痘の特徴的な発疹から診断される。感受性組織培養細胞系にあるウイルスを単離するか、または、回復期対急性の試料中で血清変換または4倍以上の抗体上昇が起きたこと示すことによって、この診断を明確に確認することが可能である。適当な免疫グロブリンを投与することによって、免疫予防を行なうことができる。免疫無防備状態の宿主においては、水痘も帯状疱疹も、ビダラビン、または、好ましくは、アシクロビル(毒性が低いため、より好ましい)を、8時間置きに7日間、10から12.5mg/kgという用量で静脈注射して治療しなければならない。
【0015】
EBVは、世界中に分布し、主に唾液で伝染し、一般的ではないが、輸血によっても伝染する。工業諸国では、約50パーセントの人々が、思春期までにEBVに一次感染し、成年期までには、ほとんどの人がEBV血清反応陽性になる。少年期の間にEBVに一次感染しても、通常は無症状であるが、未成年と成人は、伝染性単核球症という臨床症状を発症する。その際には、咽頭炎、発熱及びリンパ節症が始まる数日前に、不定愁訴、食欲不振、及び悪寒という症状が先行する。すべての患者のうち約半数が脾腫を発症する。EBVのこの他の合併症には、肝炎;自己免疫性溶血性貧血、軽い血小板減少症、及び顆粒球減少症などの血液病の合併症;頭側部神経麻痺及び脳炎などの神経病の合併症;及び、まれに、心膜炎及び心筋炎などの心臓合併症などがある。X連鎖リンパ増殖症(XLP)またはダンカン症候群として知られている症状は、EBVの一次感染過程で、40パーセントの男性を死亡させる。また、EBV感染は、特に、免疫抑制されている人については、アフリカバーキットリンパ腫、未分化鼻咽頭癌、リンパ球性リンパ腫、及びB細胞悪性腫など、ある種の癌やリンパ腫とも関連している。
【0016】
免疫抑制されている人におけるEBVの再活性化は、CMVの再活性化と同じように、これらのウイルスに対する一次免疫応答の特徴的である免疫調節異常の再発にしばしば関連している。EBV再活性化に伴う細胞性低反応性は、CMVに伴うものほど強くも長く続きもしないが、免疫無防備状態にある人々が罹患する一因でもあろう。
【0017】
EBV一次感染は、非定型的形態をもつリンパ球の相対的及び絶対的な増加症を含む、伝染性単核球症の病徴と症状から臨床的に診断することができる。異好性抗体があると診断に役立つこともあるが、もっと特異的で感度の高い検査には、EBV特異的抗体を用いる。EBV血清反応陽性の人々にはウイルスが普遍的に存在するため、培養してEBVを単離することは、一次感染の診断とはならない。一般的には、EBV感染については、支持療法で充分である。アシクロビル、α−インターフェロン、及びガンシクロビルは、EBV複製のイン・ビボでの阻害剤である。
【0018】
最近になって発見されたHHV−6とHHV−7(どちらも、主にリンパ局在性である)についてはさらに分からないことが多いが、疫学調査によって、ヘルペスウイルス科の他のウイルスと同じように、どちらも健常な成人に広く存在し、また、免疫無防備状態になっている患者において様々な病気が発生する一因ともなることが示された。最も新しく見つかったヒトヘルペスウイルスであるHHV−8は、カポジ肉腫、キャッスルマン病、及び原発性滲出性リンパ腫の発生における病原体、または重要な原因因子であると示唆されている。
【0019】
サイトメガロウイルス(CMV)は、世界中に分布しており、あらゆる年齢層でも重要な病原体である。深刻な出生時欠損を誘発するだけでなく、CMVは、年長の子供や大人においても、無症状で潜在性の感染から、伝染性単核球症様症状まで、免疫無防備状態にある患者では、播種性疾患に至るまで、広範囲の障害を生じさせる。この病気の名前は、特徴的な巨大細胞で、感染を起こした上皮細胞と推定されている細胞が見られることに由来する。それらは、周りの細胞よりも2倍から4倍大きく、透明の環に囲まれて置かれている8μmから10μmの核内封入体をしばしば含んでいるため、「フクロウの目」のような外観をもたらしている。
【0020】
合衆国では約1パーセントの新生児がCMVに感染するが、アメリカよりも発展が遅れている多くの国では、この割合はより高い。巨大細胞性封入体病は、先天性の胎児CMV感染の約5パーセントで発生し、60〜80%の患者には、点状出血、肝脾腫及び黄疸という特徴が現れ、30〜50%の患者には、小頭症、子宮内での成長の遅延、及び早熟という特徴が現れる。無症状の幼児であっても、精神運動、聴覚、眼、または歯の異常を生じることがある。新生児感染は、通常無症状であるが、間隙性肺炎、アデノパシー、発疹、肝炎、貧血、及び異型性リンパ球増加症などを起こす。
【0021】
健康な子供や大人にCMVが感染しても、一般的には、無症状であるが、異型性リンパ球増加症なその異好性抗体陰性単核球症症候群として現れることがある。しかし、CMV単核球症では、滲出性咽頭炎と頸部リンパアデノパシーは滅多に見られない。一度感染すると、おそらく一生ウイルスの保因者となる。最も一般的なのは、感染が潜伏したままになることである。しかし、例えば、器官移植の後や、リンパ性新生物に不随して、また、ある種の後天性免疫不全症などで、Tリンパ球介在免疫が無防備となったとき、再活性化が起こりうる。CMV自体は、さらに、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)などの日和見病原体による重複感染の前に起きるTリンパ球低反応性の一因ともなりうる。
【0022】
CMV感染は、免疫無防備状態にある患者でのみ深刻である。CMVは、エイズ患者における重要な病原体として認識されるようになった。CMV感染は、エイズ患者のほとんどに存在していて、しばしば、網膜炎、肝炎、呼吸器及び胃腸関連症、及び播種性疾患を引き起こす。胎児のCMV感染は、しばしば持続性ウイルス血症と多器官系関連症を随伴する。
【0023】
CMVは、また、器官移植に関係する最も高頻度で重要なウイルス病原体と考えられる。臓器移植を受けた人におけるCMV一次感染のほとんどは、移植片中のウイルスが伝染して起こるか、輸血によって起こる。腎臓、心臓、肺、及び肝臓の移植を受けた人の中で、CMVは、発熱、白血球減少症、肝炎、肺炎、食道炎、胃炎、大腸炎、及び網膜炎など、様々な病気を誘発する。危険性のある期間は最大限で、移植後約1ヶ月から4ヶ月であるが、網膜炎は後に起こる合併症である。移植を受けた人が、以前に感染していて血清反応陽性であっても、臓器提供者由来のCMV変種の再感染にはまだ感受性である。再活性化感染は、しばしば起こるが、一般的に、重篤ではない。CMV肺炎は、骨髄移植患者の約15から20パーセントに生じ、死亡率は84から88パーセントである。さらに、CMV感染は、同種移植拒絶の原因の一つであると推定されてきた。
【0024】
CMVは、好ましくは、ヒト線維芽の単層上で培養することによって、適当な臨床試料からウイルスを単離して診断される。CMV血症の検出は、急性感染をよく予測する。また、CMVは、末梢血白血球において、CMV極初期抗原またはCMV DNAを検出することによって診断することもできる。CMV免疫グロブリンが、患者集団によっては、CMV関連症候群と重複感染を抑えることが報告されている。CMV感染は、普通、CMVに対する活性が、同種の薬剤であるアシクロビルよりもかなり高い活性をもつガンシクロビル、またはホスカネットによって治療する。CMV網膜炎に対する普通の投薬量は、5mg/kgの静注ガンシクロビルを一日に2回、14日から21日間、その後、一日5mg/kgを一週間のうち5日から7日間というものである。CMV網膜炎に対するホスカネットの普通の養生法は、60mg/kgの静注を8時間毎、14日から21日間、その後、毎日90から120mg/kgの注射を続けるというものである。
【0025】
ウイルスの複製には、核期と細胞質期とがある。複製の開始ステップには、ウイルスの宿主細胞への付着、宿主細胞膜への融合、そして、細胞の細胞質の中へヌクレオカプシドを遊離させてからヌクレオカプシドをばらばらにしてウイルスDNAを放出することが含まれる。ウイルスは、まず、α−遺伝子(「極初期」グループとしても知られている)と名付けられているウイルス遺伝子セットの転写を開始する。α−遺伝子産物が存在することが、その後に続くポリペプチドグループであるβ−ポリペプチドの合成に必要である。β−ポリペプチドの多くは、調節タンパク質とDNA複製に必要な酵素である。最新の抗ウイルス剤は、ウイルスDNAポリメラーゼ酵素などのβタンパク質を阻害する。ウイルス遺伝子の3番目の分類群(γ)は、ウイルスの構造タンパク質のほとんどを構成するものである。
【0026】
ウイルスゲノムを複製して、構造タンパク質を合成した後、宿主細胞の核の中でヌクレオカプシドが集合する。テグメントとエンベロープの獲得、及び、細胞表面へのウイルス粒子の輸送について、詳細の多くはまだ未解明であるが、いくつかの研究は、ヌクレオカプシドが核の内膜を通過して核周辺の空間に発達して行くにつれて、エンベロープへの包み込みが起こることを示唆している。そして、ウイルス粒子は、小胞体とゴルジ体によって細胞表面まで輸送される。
【0027】
利用可能な抗ウイルス剤のほとんどは、DNA複製を阻害することによって作用する。一般的には、ニューヨークに在するマッグロウ−ヒル社刊(1994)、Isselbacherら編、ハリソンの内科学原理(Harrison's Principles of Internal Medicine)第13版、第142章「抗ウイルス化学療法(Antiviral Chemotherapy)」を参照のこと。ガンシクロビル、すなわち9−[(1,3−ジヒドロキシ−2−プロポキシ)メチル]グアニンは、グアノシンのヌクレオシド類似化合物である。三リン酸型が複製中のウイルスDNAに取り込まれるが、それが存在すると、ウイルスDNAポリメラーゼによる鎖の伸長が劇的に遅滞する。それは、すべてのヘルペスウイルスに対して活性をもつが、CMVに対して顕著に高い活性をもつ。それは、静脈内投与でのみ利用することができ、最も一般的には、最初の治療用投薬量は、5mg/kgを一日に2回、14日から21日間続け、その後、5mg/kgを、おそらく免疫抑制状態が続いている間は毎日または一週間のうち5日続けて投与する。ガンシクロビルの投与は、強力な骨髄抑制、特に、好中球減少を伴うため、多くの患者にこれを使用する上での大きな制約となっている。ジドブジンなどの別の骨髄抑制剤を同時に使用すると、骨髄毒性は強化される。
【0028】
ホスカネット(ホスホノホルメートナトリウムまたはPFA)は、ピロリン酸を含む化合物で、CMVなどのヘルペスウイルスの強力な阻害剤である。これは、ウイルスDNAポリメラーゼに直接結合して、ウイルスDNAの複製を阻害する。ホスカネットは溶けにくいため、1時間から2時間かけて、希釈溶液を静脈内に注射して投与しなければならない。最も一般的なホスカネットの開始投与量は、60mg/kgを8時間毎14日から21日間、その後、毎日90から120mg/kgの用量を維持というものである。ホスカネットは、腎臓障害、低マグネシウム血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、発作、発熱、及び発疹など、かなり強い毒性を示し、これらの症状は、それぞれ、被投与者の5パーセント以上で現れる。血液の異常も観察されているが、ホスカネットは骨髄抑制作用はない。
【0029】
最近、CMV網膜炎に使用することが認められたシドホビル(Cidofovir)は、ガンシクロビルと同じように、細胞内のキナーゼによってさらにリン酸化される一リン酸化ヌクレオシド類似化合物であり、合成中の鎖に取り込まれた後、最終的にはウイルスDNAの合成を阻害する。しかし、この薬剤は腎臓毒性があると記録されているため、患者の選択に注意を払う必要があり、また、静脈及び経口による同時含水とプロベネシッド投与を行なう必要がある。好中球減少も、被投与者の約10%で観察されている。
【0030】
アシクロビル、(9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]グアニン)は、グアノシンの非環状類似化合物である。三リン酸型がウイルスのDNAポリメラーゼに結合して、DNA鎖の終結因子として作用する。これは、CMV感染には比較的効果がない。主要な有害作用は、腎臓機能の変化である。用量を高くすると、50%もの被投与者で、血清のクレアチニン量の上昇が引き起こされ、場合によっては、急性の腎障害が生じることがある。静脈内投与された後に、中枢神経系への毒性に関する報告もなされている。
【0031】
ビダラビジン(9−β−D−アラビノフラノシルアデニン)は、その三リン酸型によって、ウイルスDNAの合成を阻害するプリンヌクレオシド類似化合物である。用量が多くなると、貧血、白血球減少症、及び血小板減少症などの造血副作用を伴っていた。神経毒性も報告されている。
【0032】
ライノウイルスは、普通の風邪など、成人の上部呼吸器疾患の病原体である。これらの病気に罹った成人の約15から40パーセントからこれらのウイルスが単離される。上部気道疾患をもつ子供の約4から5パーセントだけがライノウイルス陽性である。ライノウイルスは、ピコルナウイルス科の亜群で、サイズが小さく(15から30nm)、RNAコアをもち、エーテル耐性があり、pH3で完全またはほぼ完全に不活性化される(pH3で安定するエンテロウイルスとは対照的である)などという共通の特徴をもつ。ライノウイルスには、100を超える様々な血清型がある。一般的には、ウイルス性鼻炎は、粘液分泌腺の分泌の機能亢進とともに、鼻粘膜の肥厚、充血、浮腫を伴う。
【0033】
麻疹は、発熱、コリーザ、咳、結膜炎、結膜疹、発疹などによって特徴づけられる、急性で、接触感染しやすい疾患である。その罹病率と死亡率は、宿主と環境因子によって様々に変化する。麻疹ウイルスは、直径120から250nmの長さのエンベロープをもつRNAパラミクソウイルスで、パラミクソウイルス科のその他のウイルスと同じであるが(モルビリ属)、ノイラミニダーゼをもっていない。一つの抗原血清型が世界中に長年安定して存在している。このウイルスは、赤血球の凝集、溶血、細胞融合、ウイルス集合、及びウイルス侵入など、いくつかの構造的及び機能的な性質に関係する6種類の主要ポリペプチドをもっている。臨床的には、約11日間のインキュベーション期間が経過すると、発熱、不定愁訴、筋肉痛、頭痛などの症状が見られ、その直後、光恐怖と焼けるような痛みという眼の症状、気道の炎症、そして時には口蓋、咽頭、または頬側の粘膜の病変などが起きる。特徴的な麻疹発疹が、これらの前駆症状の2〜4日後までに生じ、顔や首に現れて、体幹に広がりながら下り行き、次第に末端にまで行く。合併症を伴わない麻疹は、ほとんど致命的ではないが、麻疹のまれに(0.1%)ではあるが深刻な結果としては、患者の約10%が死亡し、患者の約半数に永久的な影響をもたらす脳脊髄炎がある。
【0034】
急性ウイルス性肝炎は、肝細胞に相対的または絶対的な偏好をもついくつかのウイルス因子によって引き起こされることがある。肝炎感染の範囲は、無症状の感染から急激な進行、及び致命的疾患にわたる。様々な潜伏期間の後、肝細胞中でのウイルス複製が最大限に達し、その後、体液にウイルス成分が現れ、肝細胞壊死、これに伴う、肝機能の実験検査における変化、及び肝臓損傷の臨床徴候などが現れる。A型肝炎は、RNAエンテロウイルスによるものである。B型肝炎ウイルス(HBV)は、様々な急性及び慢性の肝炎、及び肝外疾患の原因となるウイルスとは全く違うものである。HBVは、抗原的に異なる表面成分とコア成分をもつ、42nmのDNAウイルスである。HBVに感染した患者の約90%は、完全に回復する。残りの10%のうち、1%未満が大量の肝臓壊死を起こすが、かなりの数が慢性肝炎を発症する。ファムシクロビルは、HBVの複製を阻害することが明らかにされているため、慢性B型肝炎の治療のための研究が行われているところである。この他にも、C型、D型、及びE型の肝炎ウイルスを含む肝炎ウイルスが発見されている。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
好ましくはこれまでに知られている抗ウイルス剤と相違する作用の機構を有し、そして他の抗ウイルス剤と併用した場合に理想的に優れた効果を呈する、さらなる抗ウイルス剤に対する要求が現存しているところである。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レフルノミド産物に対する新規の抗ウイルス治療用途を提供するものであり、レフルノミドがウイルスの複製を阻害するとの知見に基づいて完成したものである。レフルノミドは、他の旧来の抗ウイルス剤とは異なる様式でウイルスの成長を阻害することが発見されており、これらは典型的には感染の初期段階でウイルスDNAの複製を阻害することにより作用するものである。翻ってレフルノミドは、ビリオンの集合を阻害することによって作用するようである。しかして、治療上有効な抗ウイルス性量のレフルノミド産物には、ウイルスの成長を阻害するか、またはビリオンの集合を阻害するのに有効な量が包含される。レフルノミド産物による作用の独自の機構によって、多薬物耐性ウイルスを含めた他の旧来の抗ウイルス剤に対して耐性を有するウイルスに対し、かかる薬物が有効となることが可能ならしめられるのである。
【0037】
本発明の一つの特徴において、レフルノミド産物の治療上有効な量が、哺乳動物を含めた、ウイルス感染症、特にヘルペスウイルス(CMV、HSV−1、HSV−2、VZV、EBV、HHV−6、HHV−7及びHHV−8を包含する)、パラミキソウイルス(パラインフルエンザ、おたふく風邪、麻疹及び呼吸器合胞体ウイルスを包含する)、ピコルナウイルス(エンテロウイルス及びライノウイルスを包含する)ならびに肝炎ウイルス(A、B、C、D及びE型肝炎ウイルスを包含する)による感染症に罹患している被検者に投与される。レフルノミド産物は、毎日約0.1mgから80mgまでの範囲の投与量にて、子供から大人までで変化させ、より好ましくは毎日約15mgから25mgまでの範囲の投与量にて、あるいはもっと長い間隔で同等の投与量にて、ヒトに投与することができる。
【0038】
レフルノミド産物は、他の既知の抗ウイルス剤と併用して投与してもよく、この場合、併用療法中に治療効果を奏するために必要とされる各薬剤の投与量は、単体治療での有効性に対して必要な投与量よりも低いものとなり得ることが考えられる。
【0039】
本発明の別の特徴において、レフルノミド産物はウリジンなどのピリミジンと、その治療効果を保持しつつ毒性を減じることを目的として併用投与される。ピリミジンとの併用投与によって、免疫抑制効果や毒性の副作用を低減させながらもレフルノミド産物の抗ウイルス性の治療上有効な量を投与することが可能となる。
【0040】
本発明の特徴は、ウイルスによって感染されている細胞をレフルノミド産物の抗ウイルス性量と接触させることによりウイルスの複製を阻害することを企図するモノクローナルである。
【0041】
レフルノミド産物の家畜への使用も企図される。
【0042】
本発明のさらなる特徴及び利点は、現在のところ好ましい実施態様を記載した、本発明の詳細な説明を考慮すれば、当業者には明らかであろう。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明は、レフルノミド産物に対する新規の抗ウイルス治療用途を提供し、そして、イン・ビトロでレフルノミドの活性代謝物N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−シアノ−3−ヒドロキシクロトンアミド(A771726)が、CMV、HSV、麻疹ウイルス、ライノウイルス、ならびにB型及びC型肝炎ウイルスを含めた様々なウイルスの複製を阻害し、またA771726がイン・ビボでウイルスの複製を阻害することが確認されているという、本明細書に記載された発見に基づいたものである。旧来の抗ウイルス剤とは異なり、レフルノミド産物は、ビリオンの成熟及び集合における後期段階で、ウイルスのヌクレオカプシドによるテグメント獲得を阻害することによって作用する。その結果生じる不完全なビリオンは活性でなく、従って他の細胞に感染することができない。ヘルペスウイルスのテグメントの組織構造の知見は不完全であるが、主要なテグメントタンパク質の多くは、キナーゼが介するリン酸化を必要とするリンタンパク質である。かくして、レフルノミド産物は、チロシンキナーゼ活性の阻害を通じてタンパク質リン酸化を阻害することにより、テグメントの集合に干渉するのかもしれない。
【0044】
レフルノミド産物作用機作はユニークなものであるため、この薬剤は、従来の抗ウイルス剤には耐性であったウイルスに対しても有効となる。ここでは、CMVの多剤耐性系統が、薬剤感受性CMV系統と同じように感受性であることを示す。
【0045】
本発明の一つの態様によれば、治療上有効な量のレフルノミド産物を、ウイルス感染症に罹患した哺乳動物などの被験者に投与する。本発明は、ヘルペスウイルス(CMV、HSV−1、HSV−2、VZV、EBV、HHV−6、HHV−7、及びHHV−8など)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザ、おたふく風邪、麻疹、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、ピコルナウイルス(エンテロウイルス及びライノウイルスなど)、トガウイルス、コロナウイルス、アレナウイルス、ブニヤウイルス、ラブドウイルス、オルトミクソウイルス(インフルエンザAウイルス、Bウイルス及びCウイルスなど)、レオウイルス(レオウイルス、ロタウイルス、及びオルビウイルスなど)、パルボウイルス、アデノウイルス、肝炎ウイルス(A型、B型、C型、D型及びE型など)、及びレトロウイルス(HTLV及びHIVなど)などいずれのウイルスによる感染をも治療することを企図している。
【0046】
抗ウイルス治療上有効な量のレフルノミド産物は、ウイルス増殖、すなわち複製を阻害するか、ウイルス粒子の集合を阻害するのに有効な量を含んでいる。レフルノミド産物は人間に投与することができ、子供と大人では様々に変化するが、 約0.1から80mgの範囲内の用量を毎日、または、好ましくは、約15から25mgの範囲内の用量を毎日大人に投与することができる。最も好ましいのは、循環する血液中で約40から60μMの量になるよう計算された用量である。等量のレフルノミド産物は、ヒトにおけるレフルノミド産物の半減期は2〜5日間と長いため、例えば、より多い用量を週に1回か2回という、比較的長い間隔で投与することができる。治療上有効な用量は、余計な毒性を生じさせることなく、ウイルス複製または感染を最大限に減らすことができるよう調節することができる。抗ウイルス効果を生じるのに必要とされるレフルノミド産物の用量も、免疫抑制効果をもたらすのに必要とされる用量よりは少ないと期待されている。動物実験では、極端に高い用量のレフルノミドで、肝臓と心臓に対する毒性が生じる。ヒトでは、代謝中間体のトリフルオロメチルアニリン蓄積の副作用がハインツ体溶血性貧血である。そのため、患者に貧血が現れるのは、レフルノミド産物投与によって起こる有害な副作用を示す初期の、また感度のよい徴候であり、薬剤用量の適切さの指標でもある。
【0047】
レフルノミド産物は、例えば、経口、静脈内、筋肉内、または皮下経路によって全身に投与することができる。肺に投与するために、薬剤をエアロゾル化したり、鼻に投与するためにスプレー剤を調合したり、脳室内または鞘内から脳脊髄液に投与したり、または、連続輸液ポンプによって静脈内に投与したりすることもできる。また、薬剤は、例えば、点滴剤(特に、眼炎用点眼薬)、軟膏、貼付剤によって局所的に投与することができ、または、例えば、坐剤や浣腸など経直腸的に投与することもできる。結合療法のために、レフルノミド産物と別の抗ウイルス剤を同時または連続して投与することができる。
【0048】
したがって、本発明の本態様は、ウイルス感染を治療するための治療薬の調製において、レフルノミド産物を使用することを企図している。
【0049】
本発明は、また、レフルノミド産物を、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビジン、ホスカネット、シドホビル(cidofovir)、アマンチジン(amantidine)、リバビニン(ribavinin)、トリフルオロチミジン、インターフェロン−アルファ、ジドブジン、ジダノシン(didanosine)、またはザルシタビン(zalcitabine)などのレフルノミド以外の抗ウイルス剤一種類以上の治療上有効な用量のものと組み合わせて投与することによって実施することもできる。結合療法における、レフルノミドを含む、これらの薬剤すべての治療上有効な用量は、一種類の薬剤の単一療法に使用する各薬剤の通常量よりも少なくなろう。
【0050】
ウイルス感染、特に、ヘルペスウイルス感染は、癌の発病率の上昇を伴う。レフルノミド産物による治療によって、これらの癌を予防または増殖抑制することが期待できる。例えば、EBVは、アフリカバーキットリンパ腫、未分化鼻咽頭癌、リンパ球性リンパ腫、及びB細胞悪性腫に関連し、HHV−8は、カポジ肉腫に関連する。
【0051】
本発明の別の態様は、ウイルスに感染している細胞を、抗ウイルス作用用量のレフルノミド産物と接触させて、ウイルス複製を阻害する方法を目的としている。本発明は、ヘルペスウイルス(CMV、HSV−1、HSV−2、VZV、EBV、HHV−6、HHV−7、及びHHV−8など)、パラミクソウイルス(パラインフルエンザ、おたふく風邪、麻疹、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、ピコルナウイルス(エンテロウイルス及びライノウイルスなど)、トガウイルス、コロナウイルス、アレナウイルス、ブニヤウイルス、ラブドウイルス、オルトミクソウイルス(インフルエンザAウイルス、Bウイルス及びCウイルスなど)、レオウイルス(レオウイルス、ロタウイルス、及びオルビウイルスなど)、パルボウイルス、アデノウイルス、肝炎ウイルス(A型、B型、C型、D型及びE型など)、及びレトロウイルス(HTLV及びHIVなど)などいずれのウイルスによる感染をも治療することを企図している。
【0052】
本明細書で用いるとき、「レフルノミド産物」とは、レフルノミド、N-(4-トリフルオロメチルフェニル)-5-メチルイソオキサゾール-4-カルボキサミド(HWA-486)、または、その活性型の代謝中間体であるN-(4-トリフルオロメチルフェニル)-2-シアノ-3-ヒドロキシクロトンアミド(A771726)、または、その他の類縁誘導体(本明細書の一部を構成するものとしてそれらの内容を援用する米国特許第4,087,535号公報および第5,519,042号公報に記載されているもの(化学式(I)、すなわち、
【化C】
Figure 0004581137
および、化学式(II)、すなわち、
【化A】
Figure 0004581137
化学式(I)または(II)において、
1 が、(a) メチル、(b) (C 3 -C 6 )-シクロアルキル、または、(c) その炭素原子間に少なくとも一つの三重結合または二重結合を有する(C 2 -C 6 )-アルキルであり、
2 が、(a) -CF 3 、または、(b) -CNであり、
3 が、(a) (C 1 -C 4 )-アルキル、または、(b) 水素原子であり、および、
Xが、(a) -CH-基、または、(b) 窒素原子である化学式)など)または、その代謝中間体で、レフルノミドの抗ウィルス活性の全部または一部を保持しているものを意味し、次の化学式:
【0053】
【化2】
Figure 0004581137
【0054】
式中、(A)R1とR2は、それぞれ水素であり、R3はハロゲン、−CF3、1個または2個の炭素原子をもつアルコキシ基、または、1個または2個の炭素原子をもつ、ハロ置換されたアルコキシ基であり、
(B)R1は水素、R2とR3は、異同を問わず、ハロゲンまたは−CF3であり、
(C)R1は水素、R2は、1個または2個の炭素原子をもつアルコキシ基、また、R3はハロゲン、または、
(D)R1は水素、R2とR3は、3’,4’−メチレンジオキシ基であるという化学式で表される産物を含み、
さらに、また、次の化学式:
【0055】
【化3】
Figure 0004581137
【0056】
式中、R4はHまたはR7、R5はHまたはCOR7、R6は、すぐ上に記載されているような、トリフルオロメチルフェニルまたは別の置換されたフェニル基、また、R7は、1個、2個、3個または4個の炭素原子をもつアルキル基であるという化学式で表されるマロノニトリルのアミド化合物も含む。このような産物は、米国特許第4,087,535号、第4,351,841号及び第4,965,276号に記載されている方法など、当技術分野において既知の方法によって調製することができる。これらの記載はすべて参照してここに組み込まれる。
【0057】
ウイルス増殖もしくは複製を阻害することのできる治療は、完全なウイルス粒子の成熟を停止もしくは阻害して、結果として、他の宿主細胞に感染が広がるのを停止または抑制することになる治療法である。
【0058】
本発明に係る方法を用いて、ウイルス感染の危険にある患者、または既にウイルスに感染した患者を治療することができる。したがって、本明細書で用いられるとき、「治療」という語は、予防と治療の両方を意味する。レフルノミド産物は、皮膚、心臓、肺、腎臓、肝臓、膵臓の島細胞、骨髄移植、その他の同種移植、心臓−肺など異種移植片を組み合わせたもの、及び異種移植などの臓器移植を受けた患者を治療するときに特に有用である。これらの患者は、移植後、深刻なウイルス感染、特に、CMV感染を発症する危険が高い。CMV感染症は、骨髄移植患者において、特に深刻な病気である。毒性が低く、移植片を保存するための免疫抑制剤、及び薬剤耐性ウイルスに対してさえも有効な抗ウイルス剤としての二重の機能をもつため、レフルノミド産物は、現行の免疫抑制療法に代わるものとして、または、その一部として有効に投与される。
【0059】
本発明の別の態様によれば、レフルノミド産物は、その治療上の有効性を保持しながら、その毒性の可能性を抑えるために、ウリジンなどのピリミジンとともに投与する。ピリミジンとともに投与すれば、免疫抑制効果または有毒な副作用を抑えつつ、抗ウイルス治療に有効な用量のレフルノミド産物の投与が可能になると考えられる。抗ウイルス作用をもつ用量のレフルノミドは、正常な免疫適格のある人、新生児、もしくはエイズ患者など免疫無防備状態の患者、癌患者もしくは化学療法を受けている患者、または免疫系にその他の欠陥をもつ患者に、それ以上有意な免疫系抑制を与えることなしに投与することができる。
【0060】
本明細書で用いられるとき、「ピリミジン」は、ピリミジンヌクレオチド(ウリジン、シチジン、及びチミジン)を供給する経路において、直接的または中間体として有用な化合物も含む。好適なピリミジンはウリジンである。この他適当なピリミジンには、オロチン酸及びオロチジンが含まれる。ピリミジンのその他の例には、おそらく高用量のシチジン、チミジンが含まれる。
【0061】
ピリミジン化合物を、一般的に、一日に1mg/kgから5000mg/kgの範囲の用量で、好ましくは、一日に50mg/kgから200mg/kgの範囲の用量で、または、等用量をより長い期間か、より短い期間、口から投与する。ピリミジンは、一般的に、口からは充分に吸収されない。このため、ウリジンの血清レベルを適当なものに維持するためには、静脈注射による投与などの別の全身投与経路が好適である。オロチン酸尿症に罹った人間には、一般的に、150mg/kgという用量のウリジンを補給する。
【0062】
レフルノミド及び/またはピリミジンの投薬量は、治療を行なう医師の決定にしたがって、増加させたり減少させたりすることができ、治療期間を短縮したり延長したりすることができる。投薬頻度は、投与する薬剤と経路の薬理動態学的変数によって決まる。最適な薬剤の処方は、投与経路と所望の投薬量によって、当業者が決定する。例えば、レミントンの薬剤科学(Remington's Pharmaceutical Science)、第18版(ペンシルバニア州18042イーストン(Easton)にあるマックパブリシング社(Mack Publishing Co., Easton, PA 18042)、1990年)の1435-1712を参照のこと。なお、この開示は参照してここに組み込まれる。このような処方剤は、投与された薬剤の物理的な状態、安定性、イン・ビボでの放出速度、及びイン・ビボでのクリアランスに影響を与える可能性がある。
【0063】
当業者は、良好な医学的診療、及び個々の患者の臨床症状によって決定されたところにしたがって、有効投薬量と同時投与療法を容易に最適化することができる。投与方式に関係なく、具体的な投薬量を、体重、体表面積、または臓器の大きさによって計算することができる。治療のために適した用量を、上記の処方剤をそれぞれに関して決めるために必要な、さらに精確な計算は、過度な実験を行なうことなしに、特に、本明細書に開示されている投薬量情報及びアッセイ法、及び、上で検討した臨床試験で観察された病理動態学的データを考慮しながら、当業者が日常的に行なうことができる。適当な用量応答データとともに、血中用量を測定するための確立されたアッセイ法を使用することによって、適当な投薬量を確認することができる。最終的な投薬療法は、薬剤作用を変更する様々な因子、例えば、薬剤の特異的活性、損傷の重篤度、患者の反応性、患者の年齢、症状、体重、性別、及び食事、感染の重篤度、投与時期、及びその他の臨床要素を考慮して、担当の医師が決定する。実験を行なうにつれて、様々な病気や症状を治療するのに適した投薬量に関する情報がさらに得られるはずである。
【0064】
本発明のさらに別の態様は、レフルノミド産物、または、その誘導体で抗ウイルス作用をもつものをスクリーニングする方法において、(a)細胞培養を行なってウイルスを増殖させる工程、(b)ウイルスに感染した細胞を、試験用量のレフルノミド産物、またはその誘導体と接触させる工程、及び(c)その試験用量がウイルスの増殖に与える効果を測定する工程を含む方法を提供する。HSV、CMV、麻疹ウイルス、ライノウイルス、及びB型またはC型肝炎ウイルスなど、どのようなウイルスを用いて、活性を調べてもよい。また、このようなスクリーニング法によって同定された新規のレフルノミドまたはその誘導体も目的とされている。
【0065】
このように、本発明によって、レフルノミド及びA771726の抗ウイルス作用と同じ活性を保持しているか、または、より強い抗ウイルス効果をもつ誘導体と類縁化合物を含むレフルノミド産物の同定が可能になる。このような産物を、免疫抑制作用について、さらにスクリーニングすると、優れた抗ウイルス作用と低い免疫抑制作用をもつ産物を同定することが可能になる。理想的には、主に、または専ら抗ウイルス作用をもつ(非常に僅かな、または実質的には低い免疫抑制作用をもつ)化合物を、特に、機能不全になった免疫系をもつ被験者(エイズ患者、化学療法または放射線療法を受けている癌患者、及び新生児)の治療に使用する。
【0066】
以下の具体的実施例を考慮すれば、本発明のこの他の態様と利点も理解できよう。実施例1では、CMVとHSVの複製に対するA771726のイン・ビトロでの効果が説明されている。実施例2では、CMVの複製に対するA771726とウリジのイン・ビトロでの効果が説明されている。実施例3と4ではン、CMV DNAの複製に対するA771726の効果が説明されている。実施例5では、CMVウイルス粒子の集合に対するA771726の効果が説明されている。実施例6では、多剤耐性CMV系統に対するA771726の効果が説明されている。実施例7では、レフルノミド産物のイン・ビトロでの抗ウイルス作用が説明されている。実施例8では、HSVに対するA771726の効果が説明されている。実施例9と10では、様々なウイルスに対する、いくつかのレフルノミド産物の効果が説明されている。
【0067】
実施例1
感染性ウイルス産物におけるレフルノミド産物効果のプラークアッセイ
繊維芽細胞での感染性CMVの産物におけるレフルノミドの影響を決定するため、標準プラークアッセイを、レフルノミドの活性型代謝物A771726の存在下で、イン・ビトロでの様々な刺激による免疫活性化を減じることを示した濃度と同等の濃度範囲で行った。
【0068】
ヒト包皮繊維芽細胞(HFF)に臨床CMV単離物P8を接種させ、0.3%アガロース及び100μM A771726を含む培地にオーバーレイし、低出力顕微鏡下にプラーク計数する前の10〜14日間インキュベートした。実験を以下のように行った。ヒト包皮繊維芽細胞(HFF,Viromed,Minneapolis MN)を、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むイーグルMEM(EaglesMEM,GibcoBRL,Grand Island、ニューヨーク)中で増殖させた。MRC5ヒト繊維芽細胞(American Type Culture Collection,Rockville、メリーランド州)を、10%ウシ胎児血清(Hyclone,Logan、ユタ州)、1%必須アミノ酸類、2%非必須アミノ酸類及び0.5%ビタミン類(Sigma、St.Louis、ミズーリ州)を含むMEM(Gibco)で増殖させた。CMV株P8(ガンシクロビル感受性)及びD16(ガンシクロビル抵抗性)を心臓同種移植レシピエントの気管支擦過ブラシより入手し、HFF細胞中に増殖させた。
【0069】
繊維芽細胞内でのCMV産物を定量するために、24ウェル培養プレート中のHFFを株P8あるいは株D16で、30〜60プラーク/ウェルを作るのに十分なタイターで接種させた。接種菌は3〜4時間吸収させ、取り除き、単層を0.3%アガロース及び種々の濃度のA771726(4ウェル/濃度)を含んだ培地にオーバーレイした。培養液を10〜14日間インキュベートし、プラークを低出力相対比顕微鏡を用いて計数した。
【0070】
ヒト臍静脈上皮細胞(HUVEC)でのCMV活性におけるA771726の効果も、HSV活性における薬物の効果であるのと同様に詳しく調べた。HUVECはアガロース含有培地をよく許容しないことから、2つの段階手順が必要であった。HUVECにCMV株VHL/Eあるいは株BUR/E(その天然の上皮細胞変性活性がHUVECでの増殖によって保存された単離臨床分離菌)を接種させ、種々の濃度のA771726(0〜200μM)存在下7〜10日間インキュベートした。そして細胞を回収し、音波破砕で崩壊させた。結果としてできた溶解物内の感染活性をMRC5繊維芽細胞上のプラークアッセイで定量した。
【0071】
実験を以下のように行った。ヒト臍静脈上皮細胞(HUVEC)をすでに記載されたように臍帯血管より単離し、20%FBS(Hyclone)、50μg/mL ウシ脳抽出物[43]、12U/mL ヘパリンナトリウム(Sigma)、20mM HEPES緩衝液を含むM−199(Gibco)含有上皮細胞増殖培地(ECGM)内で増殖させた。HUVECのすべての増殖表面をヒトフィブロネクチン(Upstate Biotechnology、Lake Placid、ニューヨーク)、25μg/mLで前処理した。すべての上皮単離物の純度を、フォンビルブランド因子に対する免疫ペルオキシダーゼ染色によるパッセージ3で確認し、白血球の混在がないことを、白血球共通抗原(CD45)、B細胞抗原(CD20)、及び単球特異的抗原(CD11c)について一様に陰性であることで確認した。骨髄移植レシピエントからの十二指腸生検物質から単離したCMV株VHL/E、及び腎移植レシピエントの尿から単離した株BUR/Eを、その天然の上皮細胞変性活性を保存するためにHUVEC中で増殖させた。
【0072】
上皮細胞でのCMV産生を定量するために、24ウェル培養プレートでの集密HUVEC単層を、三重に、種々の濃度のA771726、タクロリムス(FK506、Fujisawa, Deerfield、イリノイ州)、シクロスポリンA (CsA、Sandoz, East Hanover、ニュージャージー州)、ホスホノホルメート(PFA[Foscarnet]、Sigma)あるいはガンシクロビル(Cytovene, Syntex, Morris Plains、ニュージャージー州)含有ECGMで1時間前処理した。前処理の後、単層をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、CMV株VHL/EあるいはBUR/E(0.2〜2プラーク形成ユニット[PFU]/ml)を接種させ、300xgで30分間遠心した。遠心後、接種菌を取り除き、単層を2回PBSで洗浄し、上で列記したものを含む新鮮なECGMを加えた。細胞をこれらの薬物の連続的な存在下で48時間間隔で培養液を取り替えて培養した。インキュベーションの7〜10日後、細胞をPBSで2回洗浄し、短時間のトリプシン消化(0.005%トリプシン/0.01%EDTA)にて回収し、音波破砕にて破壊させ、他で記載のようにプラークアッセイのために集密MRC5繊維芽細胞単層上の連続希釈で接種させた。データを3重あるいは4重ウェルの平均+/−標準偏差としてプロットし、未処理CMV感染対照に対して正規化した。
【0073】
3〜4重の実験の代表である図1に示されたデータは繊維芽細胞(HFFでのP8株)及び上皮細胞(HUVECでのVHL/E株)両方での感染性ウイルス産物のA771726仲介投与量依存的減少を表している。データは3〜4重培養ウェル中で生成され、未処理CMV感染対照で生成されたそれの割合として発現した代表平均プラーク数を示す。重要なことは、投与量応答曲線は、それらの反応性宿主細胞型での2つのウイルス株間で明らかに異ならず、40〜60μMの共通のID50を示した。
【0074】
レフルノミドの抗ウイルス特性が他の共通のすでに記述された免疫抑制剤によって分かち合うかどうかを決定するため、同一のアッセイを、イン・ビトロでの種々の刺激による免疫活性化を減ずることを示した濃度でのシクロスポリンA(CsA)あるいはタクロリムス(FK506)存在下で行った。したがってHUVECにCMV株VHL/EあるいはBUR/Eどちらかを接種させ、A771726(200μM)、CsA(100ng/ml)、あるいはFK506(1ng/ml)の存在下インキュベートした。ウイルス阻害の陽性対照として、それぞれの実験に1mM ホスホノホルメート(PFA,Foscamet)あるいは10μg/ml ガンシクロビル(GCV)で処理した細胞を含めた。これらのデータは再び劇的なそして統計学的に有意なCMV産物のA771726仲介減衰を示し(p<0.001)、FK506では有意な阻害はなかった。めずらしく、CsAでは未処理感染細胞内での活性と比較して、感染性ウイルスの産物の有意な増加が一貫して観察された。
【0075】
予備実験において、CMVの代わりにHSVを用いた同様のアッセイは、A771726がプラーク産物の明確に観察された減少を引き起こすことを示した。
実施例2
外来ウリジン存在下でのレフルノミド産物の抗ウイルス効果
細胞内ピリミジンヌクレオチド貯蔵の減少がレフルノミド産物の抗ウイルス効果に対して反応性であるかどうかを決定するため、上述のようにHUVECにCMV VHL/Eを接種させ、200μM A771726、200μM外来ウリジンあるいはその両方の存在下あるいは非存在下で4日間インキュベートした。非感染HUVECを陰性対照としてそれぞれの実験に含めた。細胞を回収し、それぞれのグループの小部分を音波破砕させ、上述のようにMRC5の単層上でのプラーク形成についてアッセイした。細胞の残りをトリクロロ酢酸、そしてトリ−n−オクチラミン及び1,1,2−トリクロロ−トリフルオロ−エタンで抽出した。細胞内チミジンヌクレオチド(pyNTP)レベルをHPLCによって定量した。
【0076】
6ウェル培養プレートでの集密HUVEC単層を1時間、新鮮なECGMのみあるいは20μM A771726、200μMウリジン、あるいは両方を含んだECGMで前処理した(6ウェル/処理)。前処理後、単層にCMV株VHL/E(1.0PFU/細胞)を接種させ、48時間時に新鮮な培養液を加え、4日間薬物の存在を持続させながらインキュベートした。そして細胞を短時間のトリプシン消化で回収し、PBSで2回洗浄し、氷上で0.4Mトリクロロ酢酸で抽出し、そしてKhyrnによって記載された方法によってトリ−n−オクルアラミン及び1,1,2−トリクロロ−トリフルオロ−エタンで抽出した。細胞内ヌクレオチド3リン酸定量を、強陰イオン交換カラム、Partisil-10 SAX(Alltech Assoc. Inc., Deerfield、イリノイ州)を使用し、616ポンプ、600Sグラジエントコントローラー、717プラスオートサンプラー、996 PDA ディテクターを用いたHPLC(Waters Associations, Milford, マサチューセッツ州)で、10から500mMまでのリン酸ナトリウム(pH4.5)の勾配で溶出して行った。4つのヌクレオチド3リン酸のピークを、集積し、標準試料と比較することで定量化した。細胞内ヌクレオチド濃度をウイルス活性と結びつけるために、それぞれの処理群からの細胞の試料(抽出の前に保存しておいたもの)を音波破砕で破壊し、上述のようにMRC単層上でのプラーク形成についてアッセイした。
【0077】
細胞内pyNTPレベルが非感染対照細胞と比較して、未処理CMV感染HUVECで減少するが、しかしA771726で処理した感染細胞ではさらには減少しなかった。このことの理由は、アッセイでのHUVECが、細胞内NTP消費が最小であると予想される制止した、休止期であるからであろう。外来ウリジンの添加はA771726の存在下及び非存在下両方でpyNTPレベルを増加させる。
【0078】
さらに大切なことは、外来ウリジンの添加が、A771726処理、CMV感染ECでの感染性ウイルス産物を再構成しない(結果は図3Bに示した。)。したがって、A771726仲介のCMV活性の阻害は、この薬物のpyNTP合成に対する効果の阻害とは関係がないことが明らかである。
【0079】
実施例3A
ウイルスタンパク質発現におけるレフルノミド産物の効果
実験をウイルス複製サイクロのどの点でレフルノミドがその阻害効果を発揮するのかを決定するために構成した。宿主細胞の浸潤ですぐに、ウイルス外被の構成物質である、CMV低マトリックスタンパク質pp65が細胞の核に転移する。pp65の核機能は解明されてはいないものの、同様の様式で移動する他の外被タンパク質(pp71)は細胞内タンパク質と共同して、最初期(IE)ウイルス遺伝子の速やかな転写を促進するために働く。IE遺伝子産物は主としてその産物がウイルスDNAの複製に必須である初期遺伝子転写の活性化を調節する。主にビリオンの構造タンパク質構成要素をコードしている後期遺伝子の活性化は複製サイクルの後期でおこり、ウイルスDNA複製に依存する。
【0080】
この一連の一時的な事象における潜在的なA771726誘導傷害の局在を調べるために、感染細胞のCMVタンパク質の横断面をまず以下のように免疫組織学的染色で視覚化した。CMV株VHL/E接種HUVEC単層を200μM A771726あるいは(後の抗原に対する陽性対照として)1mM ホスホノホルメート(PFA)の存在下あるいは非存在下でインキュベートし、種々の間隔で固定化し、pp65、72kD IE1、あるいは後期構造糖タンパク質(gB)に特異的なmAbで染色した。8ウェルチャンバースライド(Nalge Nunc International, Naperville、イリノイ州)中の集密HUVEC単層を新鮮なECGMのみ、あるいは200μM A771726あるいは1.0mM PFAを含んだECGMで1時間前処理し、そして上記のようにCMV株VHL/E(2PFU/細胞)を接種させた。スライドを様々な間隔で薬物の存在下あるいは非存在下でインキュベートし、アセトン固定し、免疫ペルオキシダーゼ法で染色した。第1抗体は72kDa CMV最初期(IE)抗原に特異的なもの(DuPont, Wilmington、デラウェア州)、CMV低マトリックスタンパク質、pp65に特異的なもの(ViroStat, Portland、メリーランド州)、CMV後期構造糖タンパク質に特異的なもの(gB.mAb 7−17、University of Birmingham AL の Dr.William J.Brittより寛大にも御供与いただいた)、あるいは特異的な対照として、関連のないアイソタイプが一致した抗体であった。
【0081】
これらのウイルスタンパク質のいずれもがA771726処置細胞で発現されているものからは妨げられなかった。24時間の後接種(pi)時に、pp65の核集積(赤色染色)が未処理及びA771726処理単層で見ることができ、このことはこの薬物がウイルス侵入あるいはpp65の核移動いずれをも干渉しないことを意味している。IE1発現もまたA771726による影響のないことが示された(IE,48時間pi)。最後に、典型的なgB染色パターンが処理及び未処理培養両方で96時間piで見られた。対照的に、PFA、CMV DNAポリメラーゼ阻害剤で処理された感染細胞はgBの発現ができず、一方これらの培養でのpp65及びIE1発現は妨げられなかった。
【0082】
データは未処理単層内で感染細胞の数が増加し、しかしA771726存在下でインキュベートしたものはでは増加しないことを示した。未処理細胞において、天然の上皮細胞変性活性を保つのに加えて、CMV株VHL/Eは、関連している細胞をしっかりと残すために、CMVの天然特性を保ち続け、直接の細胞−細胞伝達による接種した単層を通してゆっくりとひろまった。未処理単層においてウイルスが多細胞感染病巣を形成している隣接細胞まで広がっている一方で、A771726処理は最初の接種によって感染した個々の細胞に対するウイルス活性を広く制限するのが明らかであることも観察された。
【0083】
実施例3B
ウイルス遺伝子発現におけるレフルノミド産物の効果
ノザンブロット解析を、A771726が適量でウイルス最初期(IE1)あるいは後期糖タンパク質(gB)mRNAの転写に影響を及ぼすかどうかを調べるために行った。
【0084】
6ウェル培養プレートのHUVEC単層に、上記のように200μM A771726及び/あるいは200μM ウリジン(6ウェル/処置)存在下あるいは非存在下でCMV株VHL/E(0.5PFU/細胞)を接種させ、48時間インキュベートした。それぞれの実験はまた非感染対照と同様に、感染培養を1mM PFA及び1.2mM ガンシクロビル(gB発現の阻害のための陽性対照)で処理した。総細胞質RNAを、セシウムクロライドクッション上にオーバーレイしたグアニジンイソシアネート/BME抽出物の18時間超遠心により、それぞれの培養液から回収した。それぞれの試料からの10μgの総RNAを1.4%アガロース/0.22M ホルムアルデヒドゲル上で分離し、ナイロン膜(Hybond-N, Amersham Corp., Arlington Heights、イリノイ州)に写し、IE1、gB及びGAPDH(ローディング対照)に特異的な標識化プローブを用いてプローブ化した。CMV IE1及びCMV gBの対するcDNAプローブを以下のようにPCRにて放射標識化した。50ngの全長IE1及びgBを、700nM α−[32P]dCTP(Amersham)含有ヌクレオチド3リン酸混合液とIE1プライマー[IE1センス:5'GAG GCT ATT GTA GCC TAC ACT TTG G3'(配列番号:1)及びIE1アンチセンス:5'CAG CAC CAT CCT CCT CTT CCT CTG G3'(配列番号:2)]あるいはgBプライマー[gBセンス:5'CAC CAA GTA CCC CTA TCG CGT3'(配列番号:3)及びgBアンチセンス:5'TTG TAC GAG TTG AAT TCG CGC3'(配列番号:4)]のいずれかを含む50μlPCR反応でインキュベートした。GAPDHに対するcDNAプローブをすでに記述したランダムプライミングキット(Decaprome II, Ambion,Inc., Austin、
テキサス州)を用いて放射標識化した。組み込まれなかったアイソトープをG−50スピンカラム(Worthington Biochemicals, Freehold、ニュージャージー州)を用いて標識化されたプローブから取り除いた。膜をハイブリッド形成し、洗浄し、結合プローブをすでに記述したようにオートラジオグラフィーで検出した。膜をはぎ取り、GAPDHに対して再プローブ化し、IE1及びgBバンド強度を定量し、その値をGAPDHのそれに対して正規化するために、スキャニングデンシトメトリーを使用した。
【0085】
2重試験の代表的な結果を図5に示した。(スキャニングデンシトメトリーで決定したように)IE1及びgBバンド強度をGAPDHのそれとの比としてプロットした。この図で示されたように、gB mRNA発現がPFA/GCVで処理した細胞で完全に抑制された一方、A771726はIE1あるいはgB遺伝子いずれかの転写に対しても何の抑制効果も及ぼさなかった。
【0086】
実施例4
CMV DNAポリメラーゼ活性におけるレフルノミド産物の効果
A.CMV DNA合成におけるレフルノミド産物の効果
(gBなどの)後期構造遺伝子の発現はCMV DNA複製に依存しているので、実施例3の結果は、現在使用される抗ウイルス治療と比較して、レフルノミドがウイルスDNA合成を阻害しないことを示している。このことを確かめるために、ウイルスDNAを、A771726の存在下あるいは非存在下でCMV感染細胞のインキュベーションに続いてドットブロットによって定量した。24ウェル培養プレートでのHUVECあるいはHFF単層にそれぞれCMV VHL/E(1PFU/細胞)あるいはCMV P8(0.3PFU/細胞)を接種させ、200μM(HUVEC)あるいは100μM(HFF)A771726の存在下あるいは非存在下でインキュベートした。すべての実験には非感染対照と同様に、1mM PFAの存在下でインキュベートした感染培養液を含めた。48時間後接種細胞をトリプシン消化で回収し、PBSで洗浄し、消化緩衝液(100mM NaCl、10mM Tris−HCl、25mM EDTA、0.5% SDS)中、0.1mg/mlプロテインキナーゼK(Sigma)で50℃で12時間インキュベートした。DNAをフェノール/クロロフォルムで抽出し、酢酸アンモニウム/エタノールで沈殿させ、TE緩衝液で再懸濁した。濃度の均等化に続き、抽出DNAを96ウェルマイクロタイタープレートで連続的に希釈し、0.4M NaOH/10mM EDTAをそれぞれのウェルに加えた。DNAを100℃水浴で10分間熱することで封入したプレート中で変性させ、バキュームドットブロッターマニホールド(Bio-Rad Laboratories, Hercules、カリホルニア州)を用いてナイロン膜(Hybond N, Amersham)に写し、UV架橋によって固定化した。cDNAプローブを、CMV AD169ゲノムのUL領域の〜45kbを含んでいるコスミドpCM1015(Fleckensteinら、Gene, 18:39, 1982)のHindIII消化によって作製した。プローブをランダムプライミングにてα−[32P]dCTP標識化した。組み込まれなかったアイソトープをG−50スピンカラム(Worthington Biochemicals)を用いて標識化されたプローブから取り除いた。膜をハイブリッド形成し、洗浄し、結合プローブをオートラジオグラフィーで検出した。
【0087】
A771726の存在下でインキュベートしたCMV感染HFFでのウイルスDNA合成の量は、未処理感染細胞で蓄積されたものとほぼ等しかった。対照的に、PFA−処理細胞は検出できるCMV DNAを含まなかった。典型的な結果が、同様に処理したHUVECで観察された。プローブの特異性を、非感染細胞からのDNA抽出物へのハイブリッド形成の欠失で確かめた。
【0088】
B.CMV DNAポリメラーゼ活性におけるレフルノミド産物の効果
ウイルスDNAポリメラーゼにおけるレフルノミドの効果を直接的に試験するために、特定の酵素活性を生化学的アッセイによって定量した。粗製タンパク質抽出物をCMV−感染HUVECあるいはHFFから、あるいは非感染対照細胞から準備し、様々な濃度のA771726あるいはPFAの存在下あるいは非存在下で、高塩緩衝液(CMV DNAポリメラーゼ活性化ではなくほ乳類の阻害剤)で、活性化(特に一本鎖)鋳型DNA、dATP、dGTP、dCTP及び[3H]TTPと反応させた。鋳型DNAに組み込まれた放射標識をβ−シンチレーション計数管で測定し、これらの値を反応時間と抽出物の全タンパク質濃度の関数として、特定の酵素活性を決定するのに使用した。
【0089】
HUVECにCMV株VHL/EあるいはRUR/Eを接種させ、HFFにCMV株P8を接種させた。培養液を、細胞変性変化によって決定されるように〜100%感染が行われるまでインキュベートし、短時間のトリプシン消化で回収し、PBSで2回洗浄し、遠心でペレット化した。CMV特異的DNAポリメラーゼアッセイプロトコルはすでに記述した方法を基にした。細胞ペレット(〜2×106細胞)を0.5ml抽出緩衝液(50mM Tris−HCl[pH8.0]、3mM ジチオスレイトール、200mM KCL、2mM ATP、2mM MgCl2、0.2mM PMSF、10%(容量/容量)グリセロール)で懸濁させ、音波破砕で破壊させた。結果として出たホモジェネートを遠心により浄化した。各DNAポリメラーゼ反応混合液には総量100μlで、50mM Tris−HCl(pH8.0)、150mM KCl、4mM MgCl2、8ug ウシ血清アルブミン、1mMジチオスレイトール、2.25%(容量/容量)グリセロール、各100uMのdATP、dCTP、dGTP、1.712uM[3H]dTTP、14.6ugの活性化ウシ胸腺DNA、10μlのCMV感染あるいは非感染細胞溶解物、種々の濃度のA771726あるいはホスホノホルメート(PFA)を含めた(3重反応/濃度)。それぞれの反応には、タイムコントロールと総有効放射標識の測定を含めた。アッセイを丸底マイクロタイタープレートで37℃1時間インキュベートし、そして96ウェルUnifilter−GF/Cフィルタープレート(Packard, Meriden、コネチカット州)上で回収し、直ちに冷5%TCA/1%ピロリン酸ナトリウムで3回洗浄することで終了させた。ウェルを、洗浄されなかった総有効標識の測定に使用した。フィルタープレートを最終エタノール洗浄に続いて乾燥させ、25μl/ウェルのMicroscint 20 シンチレーション混合物(Packard)を加え、マイクロプレートシンチレーション計数管(Top-Count, Packard)で計数した。ポリメラーゼ特異的活性を、細胞溶解物総タンパク質のmg(BioRad方法にてアッセイした)あたりの放射標識挿入率として表した。
【0090】
非感染細胞抽出物は検出できるほどの酵素活性を阻害せず、A771726あるいはPFA非存在下でアッセイしたCMV感染細胞由来の抽出物は、組込み276〜379nM数/時間/mgタンパク質の範囲で特異的ウイルスDNAポリメラーゼ活性を示した。VHL/E感染HUVECあるいはP8感染HFFの抽出物で行った試験実験(ウイルス/細胞組み合わせごと2〜4重試験)の代表的な結果を図6に示した。図6Aに示したデータ(特異的酵素活性をPFA/A771726なしの対照の割合として表した)は、PFAが濃度依存的様式で(1mMで完全な抑制がおこり)ウイルスDNAポリメラーゼ活性を減少させることを示している。A771726は劇的にプラーク形成を減少させる濃度でさえも検出可能な抑制活性を示さなかった(図6B)。CMV株BUR/E感染HUVECから準備された抽出物で行った実験は本質的に同一の結果を示した。
【0091】
実施例5
ビリオン集合に対するレフルノミドの効果
A771726処理または未処理CMV感染HUVEC内でのビリオン形態学を直接調べるために透過型電子顕微鏡を用いた。6ウェル培養プレートのHUVEC単層にCMV株VHL/E(1.0PFU/細胞個数)を、前記のように200μMA771726の存在下または欠損下、接種し、4〜7日間インキュベートした。細胞を簡単にトリプシン消化し、PBSで二度洗浄し、つぎに2%リン酸緩衝グルタルデヒド1mlを加えて固定し、遠心分離により再度ペレットとした。試料を1%リン酸緩衝四酸化オスミウムで後固定(1時間)し、つぎに徐々にエタノール洗浄で脱水した。試料をスパー低粘度固定培地(SEM)で固定した。ブロックを最低12時間70℃で処理した。薄い部分(約100nm)を処理したブロックからウルトラミクロトーム(LKB Nova)を用いて切り出し、2mmの200メッシュ銅グリッドにのせた。グリッドを標準的2段階酢酸ウラニル/クエン酸鉛技術により重金属染色し、つぎに調べる性質についての別の知識もなく、80kVでZeiss EM900透過型電子顕微鏡を用いて調べ、撮影した。
【0092】
直径約100nMと測定される典型的なの裸のヘルペス型ウイルスキャプシドは、感染細胞の核内に見られ、A771726処理と未処理細胞との間に明らかなキャプシド量または形態学的差異はない。このことは、核キャプシド集合もウイルスDNAパッケージングもレフルノミドにより妨げられないことを意味する。しかしながら、これらの細胞の細胞質では先に見いだされた差異が明らかとなった。200nM以上と測定される完全なビリオンを表す未処理細胞では外皮及び外側膜が通常獲得され、ウイルス粒子はA771726の存在下100nMの裸のキャプシド段階以上では成熟しないようであった。さらに、主としてpp65からなる密集体、不定形細胞質ウイルスタンパク質蓄積は、A771726処理細胞ではないが未処理細胞に明らかに顕れる膜結合であった。この後者の観察における意味は明らかではないが、ビリオン成分組織にさらにA771726媒介による欠点があるようである。
【0093】
実施例6
薬物耐性CMVに対するレフルノミド生成物の効果
ウイルスDNA複製阻害に対する、存在する抗CMV化学療法の焦点は全て、特異的な機構であっても異なる薬物間でわずかに異なる。臨床株は他薬物に対する交差耐性を示すようであった。薬物耐性ウイルスの活性に対するレフルノミド生成物の効果について以下のように評価した。CMV株D16を株P8として同じ患者から単離した。しかしながら、P8とは違って、D16は他薬物耐性を表す。前記のようにHFF培養で実施したプラーク減少アッセイでは(図8に結果を示す)、A771726に対するこれらの二種の単離物で等しい感受性を表した(ID50〜40−60μM)。このように、ウイルス活性のルシフェノミド媒介阻害は、現在の臨床化学療法剤に対する耐性とは独立する。
【0094】
実施例7
イン・ビボでのレフルノミドの抗ウイルス活性
イン・ビボのウイルス量の対照におけるレフルノミドの有効性を決定するため、免疫不全ヌードラットにラットCMV(RCMV RA67、Maastrict 株、Bruggemanら、Arch. Virol 76: 189、1983)を105PFU/固体の試験投与量で腹膜内接種し、レフルノミド(15mg/kg/日で14日間)、ガンシクロビル(10mg/kg/日で5日間)または等モルのビヒクル(1%メチルセルロース)による処理をした(3個体/群)。実験では未感染陰性対照も用いた。接種後14日目に、ラットを安楽死させ、唾液腺、肺及び脾臓をアッセイ様に採取した。組織の部分を分け、組織学的試験のため染色した。それぞれの残りを均質化し、ラット胚繊維芽細胞単層に対するプラークアッセイによりウイルス収率をアッセイした。古典的サイトメガロ腺上皮細胞の存在、RCMVタンパク質の細胞内発現の免疫組織化学的確認、及びプラークアッセイにおける感染ウイルスの回収により動物の感染成功を実証した。さらに、実際レフルノミド処理はこれらの組織全てにおけるRCMVの蓄積を減少した。各処理群の代表的動物から調製した組織ホモジネートのプラークアッセイにより得たデータを図7に、RCMV感染、非処理対照に対し標準化して示す。感染、非処理動物から得た絶対PFU値は唾液腺(1.0x106PFU/gm)及び肺及び脾臓(それぞれ3.4x103PFU/gm、1.5x103PFU/gm)間でかなり異なるとはいえ、全ての場合でレフルノミドにより接種した動物でのウイルス量が有意に減少していた。
【0095】
処置投与計画が明らかに最適に至らなかった事実にも関わらず、レフルノミドはこの初期実験において有意なイン・ビボ抗ウイルス効果を示した。15mg/kgでの投与の後、A771726の血清濃度は〜280μMのピークに達し、6時間では治療未満のレベルに、そして最終的には24時間で<10μMに下がった。イン・ビトロ研究で得たデータでは、生存効果があるとしても10μMはわずかであると示された(図1参照)。このように、さらに頻繁な投与を処方したさらなる実験では、なお良好な抗ウイルス効果が示されると予想される。
【0096】
実施例8
HSVに対するレフルノミド生成物の抗ウイルス活性
A. 感染ウイルス産物に対する効果
感染HSV産生に対するレフルノミド生成物の影響を決定するために、プラークアッセイを(実施例1の記載のように)、HSV株KOSだけでなく4種の別の新鮮な臨床HSV単離物を用いて、VERO細胞及びHUVECにおいて、ウイルス阻害の陽性対照としてガンシクロビルについてはアシクロビル(ACV)を代用して実施した。図8に示すVERO細胞における2種の単離物(REC、SCH)をアッセイして得られたデータは、HSVに対するA771726の活性がCMVに対して観察されるものと類似であることを実証する。HSV単離物全ての研究について、VERO細胞及びHUVECの両者で類似の結果が得られた。
【0097】
B. HSV DNAポリメラーゼ活性に対するレフルノミド生成物の効果
HSV DNAポリメラーゼに対するレフルノミドの効果を直接試験するために、特異的な酵素活性を実施例4Bに記載のようにして生物化学的アッセイにより定量した。VERO細胞及びHUVECの両者におけるHSV単離物全ての研究結果を図9に示す。CMVの実験で観察されたように(実施例4B)、A771726はHSV DNAポリメラーゼ活性に対する阻害効果が検出されなかった。
【0098】
C. ビリオン集合に対するレフルノミド生成物の効果
A771726処理または未処理HSV感染HUVEC内でのビリオン形態学を直接調べるために透過型電子顕微鏡を用いた。CMV感染細胞と非常に似たものを観察した。特に、A771726の存在下では、HSV核キャプシドは集合の細胞質相では外皮を獲得しないようであった。
【0099】
実施例9
種々のウイルスに対するレフルノミドの効果
種々のレフルノミド生成物の抗ウイルス活性を、以下の操作に従い呼吸器感染に責任がある種々のウイルスに対して試験した。
【0100】
以下のレフルノミド生成物、すなわちA771726(化合物番号99−125という)、N−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチルイソキサゾール−4−カルボキサミド(化合物番号99−126という)及びN−(3−トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソキサゾール−4−カルボキサミド(化合物番号99−127)を試験した。
【0101】
ウイルスを適当な細胞培養で増殖させた。インフルエンザA及びBウイルスをMadian Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞で増殖させた。呼吸器合胞体ウイルス(RSV)(A2;ATCC)及びパラインフルエンザ型3ウイルス(14702;Hospital St. Justine、モントリオール、カナダ国からの臨床単離物)をアフリカングリーンザルの腎臓(MA−104)細胞で増殖させた。麻疹ウイルス(シカゴ株、CDC)をアフリカンミドリザル(CV−1)細胞で増殖させた。アデノウイルスI型(65089/シカゴ)をヒト肺ガン細胞(A549)で成長させた。
【0102】
レフルノミド生成物をウイルス細胞変性効果(CPE)の阻害について以下のように、一般にはBarradら、Antiviral Chem. Chemother.、8:223-233、1997及びHuffmanら、Antiviral Chem. Chemother.、8:75-83, 1997に記載のように試験した。試験は、96ウェル平底マイクタイタープレートで行った。各試験化合物につき7種の2分の1log10希釈を細胞単層に加え、5分以内に、ウイルスを加え、プレートを密封し、37℃でインキュベートした。未処理非感染対照細胞のCPEが3から4+となると(約72〜96時間)、CPEを顕微鏡で読みとった。既知陽性対照薬物を試験薬物と平衡して評価した。陽性対照薬物はインフルエンザ、麻疹、RSV及びパラインフルエンザウイルスについてであり、陽性対照はアデノウイルスについて、(S)−1−(3−ヒドロキシ−2−ホスホニルメトキシプロピル)アデニン(HPMPA)であった。データを表1に、50%有効ウイルス阻害濃度として(EC50)示す。
【0103】
初期試験で見られるCPE阻害を確認するため、一般的にはMcManus、Appl. Environment. Microbiol.、31:35-38、1976)に従い、さらにニュートラルレッド色素取り込み測定試験を行った。試験にはCPEを決定した後、同じ96ウェルプレートを用いた。ニュートラルレッドを各ウェルの培地に加え、細胞はより多量の色素を取り込むウイルスにより損傷をうけることなく、コンピュータ自動読みとり機を用いて分光光度計により決定した。色素取り込み試験では別にEC50値も決定した。
【0104】
化合物はCPE阻害とNR色素取り込みの両者で同じ96ウェルプレートを用いてウイルス収率の減少を評価することにより活性を検討した。各ウェルからの冷凍及び解凍溶出液に残るウイルスタイターを、可能な細胞の単層への連続希釈とこれらの細胞におけるCPEの進化を観察することにより(これが感染細胞の存在を示す)決定した。既知の活性薬物も陽性対照として並行して用いた。データを90%有効濃度(EC90)算出に用い、これは1log10によるウイルス収率を阻害する試験薬物の濃度である。
【0105】
各試験化合物の細胞傷害性も以下のように評価した。初期CPE 阻害試験では、各濃度の試験化合物で処理した非感染細胞の2個のウェルを感染、処理ウェルと並行して用いた。CPEを顕微鏡で観察する際、傷害性対照細胞についても正常な非感染、未処理対照細胞と比較して細胞外観の変化を顕微鏡で調べた。拡大、粒度、ぎざぎざの端、薄皮の外観、球形、ウェル表面からの分離またはその他の変化といった明らかな変化は、観察された細胞毒性の程度に従ってT(100%毒性)、PVH(部分的毒性、非常に強い80%)、PH(部分的毒性、強い、60%)、P(部分的に毒性、40%)、PS(部分的毒性、わずか、20%)または0(毒性なし、0%)と付けた。50%細胞阻害(細胞傷害)濃度(IC50)はこれらのデータの分析回帰により決定した。毒性対照細胞によるニュートラルレッドの取り込みに基づき、ニュートラルレッドIC50も決定した。
【0106】
さらにCPE及びニュートラルレッド試験の両者で抗ウイルス活性である化合物の細胞傷害効果を以下のように定量した。培養プレートに細胞(ウェルあたり約20%密度となるように)をうえ、細胞をすばやく分けながら、濃度を変えた試験化合物を付した。つぎに、プレートをCO2インキュベーター内で37℃、72時間インキュベートし、ニュートラルレッドを加え、生存細胞の数を示す発色強度の程度を分光光度計を用いて測った。IC50を回帰分析により決定した。
【0107】
各化合物の活性を、IC50またはIC90をEC50で割った選択性指標(SI)として表した。一般的にSI 10またはそれ以上を、良好な抗ウイルス活性の指標と見なし、陽性対照に対する低SIといった他の因子も考察した。
【0108】
結果を以下の表1に示し、A771726は麻疹及びライノウイルスの両者に対し活性が高いことを示す。レフルノミド生成物はRSVに対し有意な活性ではないようである一方、他の系での他の実験ではA771726がいくらか抗RSV活性を有することが実証された。
【0109】
【表1−A】
Figure 0004581137
【0110】
【表1−B】
Figure 0004581137
【0111】
【表1−C】
Figure 0004581137
【0112】
【表1−D】
Figure 0004581137
【0113】
【表1−E】
Figure 0004581137
【0114】
吸収または侵入だけでなく後の現象などの初期複製段階の阻害剤をアッセイ系が検出できるように、感染の1時間前(5分間の代わり)に薬物を加えたほか、化合物99−125、−126及び−127を同様の対照を用いてHSV−1、HSV−2及びhCMVに対し試験した。アッセイでは、100μg/ml〜0.03μg/ml範囲で5倍増の少なくとも6種の薬物濃度を用い、データを用いて50%のウイルス複製を阻害する薬物投与量(EC50)を計算した。ニュートラルレッドの取り込みを用いて細胞傷害濃度50(CC50)も計算した。化合物99−125(A771726)はヒトCMVに対し良好な活性を示したが、HSV−1及びHSV−2にはなかった。これらの結果及び前記実施例8に記載したHSVに関する結果間の差異は、このプロトコルが接種した培養からのウイルス収率というよりもCPE評価のみであり、より高い接種タイターを用いたという事実から説明される。A771726はウイルス核キャプシド外皮を阻害し、劇的に感染細胞による完全な感染ビリオンの産生を弱めるとはいえ、宿主細胞への最初の接種物の侵入も感染細胞内での形態学的細胞変性変化の進展も妨げなかった。このように、特に高いタイターの接種により、CPEの単純な観察から、感染ウイルス出力の範囲は示されず、CPEはレフルノミド生成物により与えられるウイルス収率の減少に関わらず観察される。
【0115】
実施例10
B型及びC型肝炎ウイルスに対するレフルノミド生成物の効果
B型肝炎ウイルス(HBV)に対する、レフルノミド生成物の抗ウイルス効果を単独でまたはウリジンとの組み合わせでも、以下のように、一般的にはKomaら、Antibiral Res.、217:217、1991に従ってアッセイした。
【0116】
慢性的HBV産生2.2.15ヒト肝臓細胞(Aosら、Proc. Nat'l Acad Sci.、84:4641、1987)を24ウェル組織培養プレートに植え、密集するまで増殖させた。試験化合物を毎日連続する9日間加え、培養培地を試験期間中毎日取りかえた。処理後0、3、6及び9日目に、培養培地を採集し、細胞外(ビリオン)HBV DNAの分析のため保存した。処理した細胞を細胞内ゲノムDNAの分析のため、9日の処理の後24時間溶菌した。つぎに、HBV DNAをHBV DNAの全体的レベル(細胞内及び細胞外DNAレベルの両者)及びHBV複製の相対速度(細胞内DNAレベルにより表す)について、定量及び定質的方法で分析した。
【0117】
ブロットハイブリダイゼーション技術(サザン及びスロットブロット)及び32P標識HBV特異的プローブを用いてHBV DNAをアッセイした。それぞれニトロセルロース膜に付した既知量のHBV DNA標準と比較して、HBV DNAレベルを決定した(ゲルまたはスロットブロット)。AMBISデータスキャナーを用いてニトロセルロース膜から直接ハイブリダイズしたプローブの放射活性減衰を測定した。多重分析で得た標準曲線を用いて、標的HBV DNAの相対レベルとのcpm測定値を校正した。細胞外HBVビリオンDNAのレベルをスロットブロットハイブリダイゼーションにより分析した。薬物処理の効果を0日目のレベル対するHBV DNAレベルを比較して評価した。HBVの複製状況を3種のクラス(エピソーム単量体、DNA複製中間体及び組み込まれたHBV DNA)のウイルスゲノム型のそれぞれにおけるHBC DNAのレベルを定量することにより決定した。複製中間体及びエピソーム単量体のレベルをHBV複製の相対レベルの指標として用い、組み込まれたHBV DNAのレベルを各レーンのDNA相対量を正常化するために用いた(組み込まれたHBV DNAは細胞基本につき一定を維持すると予想された)。
【0118】
2.2.15細胞に対する試験化合物の毒性も以下のように決定した。4種の濃度の各化合物をアッセイし、未処理対照培養と比較した。未処理細胞に比較し吸光度510nmで測定したニュートラルレッド色素の取り込みにより毒性を決定した。
【0119】
結果を以下の表2に示し、A771726及びN−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−メチルイソキサゾール−4−カルボキサミドがHBVに対しいくらか抗ウイルス効果を有し、レフルノミド生成物をウリジンと組み合わせると増大することが示される。
【0120】
【表2】
Figure 0004581137
【0121】
さらに、慢性C型肝炎に罹患したヒト患者へのレフルノミド(HWA−486)による臨床的処置により、患者のCMVウイルスロードが増大される。患者は62歳、白人の男性であり、C型肝炎については1990年1月に肝臓移植を受けた。その後9年にわたり、患者は無痛性C型肝炎を患い、穏やかな肝酵素の上昇を伴った。おそらくは慢性C型肝炎と長期間のサイクロスポリンA処置の組み合わせに関連した遅延型進行性腎臓障害のために、レフルノミド処置を開始した。レフルノミドの初期時での肝臓生検は、慢性C型肝炎と一致する適度な繊維形成及び穏やかな肝門炎症を示した。一日当たり300mgの投与量で2日間初期レフルオミドを課した後、一日当たり50mgの投与量維持を開始した。
【0122】
患者の血液のA771726レベルは徐々に113μg/mlに上昇した。そのA771726血液レベルが40μg/mlに達すると、サイクロスポリンの投与量を徐々に一日当たり160mgから一日当たり60mgに減少させ、12時間のサイクロスポリン血液レベルは治療初期の150ng/mlからC型肝炎試験を繰り返す時点での70ng/mlに落ちた。一日当たり10mgのプレドニゾンの投与量は変えなかった。
【0123】
新しい処置投与計画を実践するにつれ、患者の腎機能は向上した。すなわち、患者の血清クレアチニンは3.6mg/dlから2.2mg/dlに減少し、そして患者のBUNは94mg/dlから55mg/dlに減少した。レフルノミドでの治療開始直前に、患者のC型肝炎ウイルスの末梢血中の負荷量は、定量的PCR(Quest Diagnostics)により測定すると、3,120,000コピーであった。レフルノミドを用いた治療の6週間後に、同じPCR法によって測定したところ、患者のC型肝炎ウイルスの負荷量は1,480,000コピーに減少していた。
【0124】
このデータは、レフルノミド療法が、この患者のC型肝炎ウイルス負荷量を50%低減することに関与したことを示している。
【0125】
本発明を実施するうえでの多くの修正や変更が、現在のところ好ましい本発明の実施態様の以上の記載を考慮することで当業者に想起されようことが予期される。しかして、添付の特許請求の範囲に示される限定によってしか、本発明の範囲は限定されるべきでない。
【0126】
【配列表】
Figure 0004581137
Figure 0004581137
Figure 0004581137

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ヒト包皮線維芽細胞(HFF)におけるCMV株P8、及びヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)におけるCMV株VHL/Eの産生の、A771726により媒介される減衰を立証する、プラークアッセイのデータを示す。
【図2】 図2は、外来のウリジン添加及び無添加にて、A771726で処理されCMVで感染された細胞の、プラークアッセイのデータを示す。
【図3】 図3は、最初期(IE1)または後期糖タンパク質(gB)転写の程度を示す、A771726で処理されCMVで感染された細胞から抽出されたmRNAのノザンブロット分析によるデータを示す。
【図4】 図4は、様々な濃度のA771726の存在下の、CMVで感染された細胞におけるCMV DNAポリメラーゼ活性の生化学的アッセイによるデータを示す。
【図5】 図5は、プラークアッセイのデータ及びポリメラーゼアッセイのデータの重ね合わせを示し、さらにCMVプラーク形成を最高に阻害する濃度においてもCMV DNAポリメラーゼ活性に対するA771726の効果はないことを示している。
【図6】 図6は、A771726の抗ウイルス効果に対する、薬物耐性CMV株P8及び多薬物耐性CMV株D16の同等の感受性を立証する、プラークアッセイのデータを示す。
【図7】 図7は、CMVで攻撃し、そしてレフルノミドで処置した代表的な一動物の組織から得られたプラークアッセイのデータを示す。
【図8】 図8は、HSVに対するA771726の活性を立証するプラークアッセイのデータを示す。
【図9】 図9は、HSVで感染された細胞におけるHSV DNAポリメラーゼ活性の生化学的アッセイによるデータを示す。

Claims (15)

  1. ウィルス感染症の治療剤を製造するためのレフルノミド産物の使用であって、当該レフルノミド産物が、以下の化学式(II)、すなわち、
    Figure 0004581137
    化学式(II)において、
    1 が、(a) メチル、(b) (C 3 -C 6 )-シクロアルキル、または、(c) その炭素原子間に少なくとも一つの三重結合または二重結合を有する(C 2 -C 6 )-アルキルであり、
    2 が、(a) -CF 3 、または、(b) -CNであり、
    3 が、(a) (C 1 -C 4 )-アルキル、または、(b) 水素原子であり、および、
    Xが、(a) -CH-基、または、(b) 窒素原子である、
    化学式で表される化合物、または、生理学的に許容可能な塩であり、または、
    以下の化学式(IV)、すなわち、
    Figure 0004581137
    化学式(IV)において、
    4 が、水素原子、または、R 7 であり、
    5 が、水素原子、または、COR 7 であり、
    6 が、トリフルオロメチルフェニル、または、その他の置換フェニルであり、および、
    7 が、1個、2個、3個、または、4個の炭素原子を有するアルキル基である、
    化学式で表されるレフルノミド産物の使用
  2. ウィルス感染症の治療剤を製造するためのレフルノミド産物とピリミジンとの組み合わせの使用であって、
    当該ピリミジンが、in vivoにおいて、ウリジン、シチジン、または、チミジンのレベルを増大することができ、
    当該レフルノミド産物が、以下の化学式(I)、すなわち、
    Figure 0004581137
    または、以下の化学式(II)、すなわち、
    Figure 0004581137
    化学式(I)または(II)において、
    1 が、(a) メチル、(b) (C 3 -C 6 )-シクロアルキル、または、(c) その炭素原子間に少なくとも一つの三重結合または二重結合を有する(C 2 -C 6 )-アルキルであり、
    2 が、(a) -CF 3 、または、(b) -CNであり、
    3 が、(a) (C 1 -C 4 )-アルキル、または、(b) 水素原子であり、および、
    Xが、(a) -CH-基、または、(b) 窒素原子である化学式、
    または、以下の化学式(III)、すなわち、
    Figure 0004581137
    (A) R 1 およびR 2 が、互いに水素であり、そして、R 3 が、水素、1個または2個の炭素原子を有する-CF 3 、または、1個または2個の炭素原子を有するハロ置換アルコキシであり、
    (B) R 1 が、水素であり、そして、R 2 およびR 3 が、互いに同一であるか、あるいは、相違しており、かつ、ハロゲン、または、-CF 3 であり、
    (C) R 1 が、水素であり、R 2 が、1個または2個の炭素原子を有するアルキルであり、および、R 3 が、ハロゲンであり、または、
    (D) R 1 が、水素であり、R 2 およびR 3 が、3',4'-メチレンジオキシである化学式、
    または、以下の化学式(IV)、すなわち、
    Figure 0004581137
    化学式(IV)において、
    4 が、水素原子、または、R 7 であり、
    5 が、水素原子、または、COR 7 であり、
    6 が、トリフルオロメチルフェニル、または、その他の置換フェニルであり、および、
    7 が、1個、2個、3個、または、4個の炭素原子を有するアルキル基である、
    化学式で表される、レフルノミド産物とピリミジンとの組み合わせの使用
  3. ウィルス感染症の治療用医薬組成物であって、(a) 請求項2に記載の化学式I乃至IVのいずれかの化学式で表されるレフルノミド産物、および、(b) in vivoにおいて、ウリジン、シチジン、または、チミジンのレベルを増大することができるピリミジンを含む、ことを特徴とする医薬組成物。
  4. 前記ピリミジンが、ウリジン、オロチン酸、または、オロチジンである請求項2に記載の使用。
  5. 前記レフルノミド産物が、N-(4-トリフルオロメチルフェニル)-2-シアノ-3-ヒドロキシクロトンアミド(A771726)である請求項1または2に記載の使用
  6. 投与される前記レフルノミド産物の量が、0.1〜80mg/日である請求項1乃至5のいずれかに記載の使用
  7. 前記レフルノミド産物の量が、ウィルスの増殖を阻害するのに有効である請求項1乃至6のいずれかに記載の使用。
  8. 前記レフルノミド産物の量が、ビリオンの集合を阻害するのに有効である請求項1乃至6のいずれかに記載の使用
  9. 前記レフルノミド産物の量が、ウィルスDNAの複製を阻害するのに有効である請求項1乃至6のいずれかに記載の使用。
  10. 前記ウィルスが、ウィルスDNAの複製を阻害する抗ウィルス剤に対して耐性のものである請求項1乃至6のいずれかに記載の使用
  11. 他の抗ウィルス剤をさらに用いる請求項1乃至6のいずれかに記載の使用
  12. 前記ウィルス感染症が、パラミキソウィルス、ピコルナウィルス、および、肝炎ウィルスよりなる群から選択されるウィルスに起因する請求項1乃至6のいずれかに記載の使用
  13. 前記ウィルス感染症が、サイトメガロウィルス(CMV)単純ヘルペスウィルス(HSV)、麻疹ウィルス、ライノウィルス、B型肝炎ウィルス、および、C型肝炎ウィルスよりなる群から選択されるウィルスに起因する請求項1乃至6のいずれかに記載の使用
  14. 前記ウィルス感染症が、ヘルペスウィルスに起因する請求項1乃至6のいずれかに記載の使用
  15. 前記ウィルス感染症が、サイトメガロウィルス(CMV)に起因する請求項1乃至6のいずれかに記載の使用
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