JP4571237B2 - 無線通信システムのための高透過伝送方法 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、一般に移動体通信に関する。特に、本発明は、移動体装置が多数のサテライトと選択的に信号を交換することができるサテライト移動体通信方法及びシステムに関する。
図1は、典型的セルラ移動体無線通信システムを示す。この典型的システムは、基地局110に類似したいくつのもの基地局及び移動体(mobile)120に類似したいくつもの移動体装置(mobile unit)又は移動局(mobile station)を含む。音声通信及び(又は)データ通信は、これらの装置又はこれらの装置の等価装置を使用して遂行することができる。基地局は制御及び処理装置130を含み、この装置はMSC(移動体交換センタ)140に接続され、MSCは、立ち代わって、公衆加入電話網(図示されていない)に接続される。
基地局110はセルにサービスしかつ音声チャネル・トランシーバ150によってハンドルされる複数の音声チャネルを含み、トランシーバ150は制御及び処理装置130によって制御される。また、各基地局は制御チャネル・トランシーバ160を含み、このトランシーバは2つ以上の制御チャネルをハンドルする能力を有することがある。制御チャネル・トランシーバ160は、制御及び処理装置130によって制御される。制御チャネル・トランシーバ160は、基地局又はセルの制御チャネルを通してこの制御チャネルにロックした移動体に制御情報を放送する。音声チャネル・トランシーバはトラフィック・チャネル又は音声チャネルを放送し、これらのチャネルはディジタル・チャネル位置情報を含むことができる。
移動体120が空きモードに入ると、移動体120はこれにアドレス指定されたページング・バーストの存在について基地局110のような基地局の制御チャネルを周期的に走査する。ページング・バーストは、移動体120にどのセルにロック・オン(lock on)又はキャンプ・ツー(camp to)するべきかを報せる。移動体120は、その音声及び制御チャネル・トランシーバ170で制御チャネル上の絶対及び相対情報放送を受信する。次いで、処理装置180が受信された制御チャネル情報を評価し、この情報は候補セルの特性を含みかつ移動局がどのセルにロックするべきかを決定する。受信された制御チャネル情報は、この情報が関連しているセルに関する絶対情報を含むだけでなく、またその制御チャネルが関連しているセルの直ぐ隣の他のセルに関する相対情報を含む。これら隣接セルは、周期的に走査される一方、より適当な候補があるかどうか判定するために主制御チャネルを監視する。移動体実施及び基地局実施についての特定の詳細(specifics)に関する追加情報は、1992年10月27日に出願され、P・デント(P.Dent)及びB・エクランド(B.Ekelund)に発行された「マルチモード信号処理(Multi-Mode Signal Processing)」と題する米国特許出願第07/967、027号に見付けることができ、この特許出願の全体は言及することによってその内容が本明細書に組み入れられる。察知されるように、サテライト利用(satellite-based)無線通信システムでは基地局を1つ以上のサテライトで置き換えてよい。
無線通信システム容量を増大させるために、周波数分割多元接続(Frequency Division Multiple Access;FDMA)、時分割多元接続(Time Division Multiple Access;TDMA)、及び符号分割多元接続(Code Division Multiple Access;CDMA)のようなディジタル通信及び多元接続技術が使用されると云ってよい。これらの多元接続の各々の目的は、異なる発信源(source)からの信号の宛先で、相互干渉を伴わずに異なるチャネルを分離できるように、これらの信号を共通伝送媒体上へ組み合わせることである。FDMAシステムでは、利用者は、周波数領域で無線スペクトルを共用する。各利用者は、会話全体を通して使用される周波数帯域の一部を配分される。TDMAシステムでは、利用者は、時間領域で無線スペクトルを共用する。各無線チャネル又は搬送周波数は一連のタイム・スロットに分割され、タイム・スロット中個々の利用者はシステムに配分された全周波数帯域にアクセスする(広帯域TDMA)か又はその帯域の一部にのみアクセスする(狭帯域TDMA)。各タイム・スロットは、データ源からの情報の「バースト」、例えば、音声会話のディジタル的に符号化された部分を含む。タイム・スロットは、所定持続時間を有する逐次TDMAフレームにまとめられる。各TDMAフレーム内のタイム・スロットの数は、無線チャネルを同時に共用することができる異なる利用者の数に関係する。もしTDMAフレーム内の各スロットが異なる利用者に割り当てられるならば、TDMAフレームの持続時間は、同じ利用者に割り当てられた逐次タイム・スロット間の最少量の時間である。CDMAは、FDMAとTDMAを組み合わせる。CDMAシステムでは、各利用者は、周波数時間領域に独特にアクセスするために特有の疑似ランダム利用者符号を割り当てられる。CDMA技術の例は、スペクトル拡散及び周波数ホッピングを含む。
TDMAシステムでは、同じ利用者に割り当てられた逐次タイム・スロットは搬送波上で常に連続タイム・スロットであるとは限らず、これらは利用者のディジタル・トラフィック・チャネルを構成し、このチャネルはその利用者に割り当てられた論理チャネルと考えられる。例としてGSM標準規格を使用するTDMAチャネルの組織を図2に示す。TDMAチャネルは、トラフィック・チャネルTCH及び信号チャネルSCを含む。TCHチャネルは、音声信号及び(又は)データ信号を伝送する通常料金チャネル(full-rate channel)及び半額料金チャネル(half-rate channel)を含む。信号チャネルSCは、移動体装置とサテライト(又は基地局)との間に信号情報を転送する。信号チャネルSCは、3型式の制御チャネル、すなわち、放送制御チャネル(BCCH)、多数の加入者間に共用される共通制御チャネル(CCCH)、及び単一加入者に割り当てられる専用制御チャネル(DCCH)を含む。BCCHチャネルは、周波数補正チャネル(FCH)及び同期チャネル(SCH)を含み、これらの両方共ダウンリンク・チャネルである。共通制御チャネル(CCCH)は、ダウンリンク・ページング・チャネル(PCH)及びアクセス承認(access grant;AGCH)チャネルばかりでなく、アップリンク・ランダム・アクセス・チャネル(RACH)を含む。専用制御チャネルDCCHは、高速関連制御チャネル(FACCH)、低速関連制御チャネル(SACCH)、及び独立専用制御チャネル(SDCCH)を含む。低速関連制御チャネルは、トラフィック(音声又はデータ)チャネル又は独立専用制御チャネル(SDCCH)に割り当てられる。SACCHチャネルは、電力及びフレームの調節及び制御情報を移動体装置に供給する。
放送制御チャネルの周波数補正チャネルFCHは、移動体装置に基地局に精確に同調させる情報を搬送する。放送制御チャネルの同期チャネルSCHは、移動体装置にフレーム同期データを供給する。
ランダム・アクセス・チャネルRACHは、移動体によってシステムにアクセス・リクエストするために使用される。RACH論理チャネルは、単方向アップリンク・チャネル(移動体から基地局又はサテライトへ)であり、かつ分離移動体装置によって共用される(たとえ重使用の期間中であっても、セル当たり1RACHが典型的システム内で充分である)。移動体装置は、チャネルが話中か又は空いているかどうか判定するためにRACHチャネルの状態を連続的に監視する。もしRACHチャネルが空いているならば、アクセスを望む移動体装置は、その移動体識別番号を所望電話番号と一緒に、RACH上を基地局又はサテライトへ送信する。MSCは、基地局又はサテライトからこの情報を受信し、かつ空き音声チャネルを移動局に割り当て、基地局又はサテライトを通して移動体へチャネル識別を伝送し、それであるから移動局はそれ自体を新チャネルに同調させることができる。RACHアップリンク・チャネル上の全てのタイム・スロットが、コンテンション制又は予約制のどちらかで、移動体アクセス・リクエストに使用される。予約制アクセスは、1993年10月25日に出願された「移動無線システム内でランダム・アクセスを達成する方法(Method of Effecting Random Access in a Mobile Radio System)」と題する米国特許出願第08/140、467号に説明されており、この特許出願は言及することによってその内容が本明細書に組み入れられる。RACH動作の重要な特徴は、或るダウンリンク情報の受信が要求され、それによって移動局がそれらがアップリンク上を送信したことごとくのバーストに対する実時間フィードバックを受信することである。これは、レイヤ2(Layer 2)ARQ、すなわちRACH上の自動繰返しリクエストとして知られている。ダウンリンク情報は、アップリンクに特定の層2情報を、他のダウンリンクで、搬送するのに専用された他のダウンリンク・サブチャネルのものであると考えてよい22ビットを、好適には、含む。共用チャネル・フィードバックと呼ぶことができるこの情報の流れは、RACHのスループット容量を増強し、それであるから移動局はどれかのアクセス企図のどれかのバーストが成功裡に受信されたかどうか敏速に判定することができる。図2に示されたように、このダウンリンク情報は、チャネルAGCH上を伝送される。
TDMAシステム内の信号の伝送は、バッファ・アンド・バースト(buffer-and-burst)、つまり不連続伝送モードで起こる。すなわち、各移動体装置は、その移動体装置の割り当てられた周波数でTDMA内のその割り当てられたタイム・スロット中にのみ送信又は受信する。通常料金では、例えば、移動局はスロット1中送信し、スロット2中受信し、スロット3中空き、スロット4中送信し、スロット5中受信し、スロット6中空き、次いで後続TDMAフレーム中このサイクルを繰り返す。電池式であることがある移動局を、それが送信も受信もしないタイム・スロット中電力を節約するためにスイッチ・オフする(又は「休眠(sleep)させる」ことができる。
移動性及び携帯性を向上するために、無線通信加入者は、大形アンテナ又は指向性アンテナを有する移動体装置よりも比較的小形、全方向性(したがって、あまり強力でない)アンテナを有する移動体装置を好む傾向がある。この好みのゆえに、小形の、全方向性アンテナを有する典型的移動体装置と移動体交換センタ(MSC)又はサテライトとの間の通信信号の交換のために充分な信号強度を供給することがときには困難である。この問題は、サテライト利用移動体無線通信では特に深刻である。
サテライト利用移動体無線通信システムは、部分的に重なり合う1つ以上のサテライト・ビームを使用して地球上の特定地域に無線通信サービスを提供する。各サテライト・ビームは、約1000kmまでの半径を有する。サテライトの電力制限に因り、ことごとくのビームに同時に高リンク・マージンを提供することは実行可能でない。
移動体サテライト・リンクは電力を厳しく制限されているので、通信はライシーン(Ricean)フェージングを伴う見通しチャネルに典型的に限定されている。ライシーン・フェージングは、弱い建築物反射波と一緒の、見通し経路と大地反射波との組合わせから起こる。これらのチャネルは、移動電話装置アンテナが適性に展開され、かつその装置が障害物のない位置にあるときのような、理想条件又は理想に近い条件で音声通信を達成するために、約10dB以上の通信リンク・マージンを要求する。これら理想に近い条件では、移動体装置は、入呼を検出するためにページング・チャネルを成功裡に監視することができる。移動体装置のアンテナが展開されないか又は移動体装置が障害物のある位置に(例えば、建築物内に)あるときのような、非理想条件では、大地反射波及び建築物反射波を含む反射波が支配的になる。これらの非理想条件におけるチャネルは、厳しい減衰を伴う平坦レーリー(flat Rayleigh)フェージング(最も厳しい型式のフェージング)によって特徴付けられる。このようなチャネルでは、信頼性ある音声通信又はデータ通信を達成するために30dBほど又はこれ以上のリンク・マージンが要求され、かつこの場合の移動体装置は入呼を検出するためにページング・チャネルを監視することができない。これらの非理想条件では、短メッセージ(SMS)が望ましい。サテライトの電力制限のゆえに、SMSは、移動局利用者に入呼について報せるために非理想条件で使用されるとき特に有効である。その際、移動体利用者は、その呼を受信又は返送するために位置を変えてよい。用語「リンク・マージン」又は「信号マージン」は、理想条件の下で、すなわち、相加性白色ガウス雑音(additive white Gaussian noise;AWGN)以外の障害(impairment)を持たないチャネルで要求される電力のほかに更に、適当なサービスを提供するために要求された追加電力を指す。「障害」は、信号振幅のエージング、ドップラー偏移、位相変動、信号シャドーイング(signals shadowing)又は信号ブロッケージ(signal blockage)、実施損失(implementation loss)、及びアンテナ放射パターンの異常を含む。
音声を伝送するにせよ又はデータを伝送するにせよ、特に電力を制限されたサテライト応用では、信頼性無線通信性能を保証するために信号マージンを増大させることが、しばしば望ましい。信号のマージン・リンクを増大させる既知の方法は、周波数選択性を達成するために又は(たたみ込み符号化のような)前進誤り訂正符号化(forward error correction coding)を使用するためにチャネル帯域幅を拡張すること、信号電力を増大させること、及びビット繰返し(これは前進誤り訂正符号化の或る1つの形であると見なすことができる)を含む。これらの方法の各々は、著しい制限を有する。帯域幅拡張は、典型的に、信号拡散(signal spreading)及び低ビット速度誤り訂正符号化のような既知の方法によって達成され、かつフェージングに対して低感度である信号を生じる。帯域幅拡張は、スペクトル分配効率を低下させる。更に、SMS応用では、もし音声チャネルの拡張された帯域幅がメッセージ・チャネルの帯域幅から(大きく)異なっているならば、移動体装置内に2つの別個のかつ完全な無線が(各サービス毎に1つずつ)必要とされることになり、それゆえその設計を複雑にする。また、コヒーレント・レーキ(coherent Rake)受信機又は等化器も、典型的に、遅延拡散(delay spread)を減少させるために要求され、移動体装置の設計を更に複雑にする。帯域幅拡張は、音声メセージ全体又はデータ・メッセージ全体の繰返し伝送によってまた実施されることがある。しかしながら、注目の非理想条件下では、この方法は、各繰返しが典型的に雑音フロア(noise floor)の下にあり(すなわち、充分なマージンを持たず)、高誤り率を生じかつ繰返しのコヒーレント積分を妨げると云う理由から、有効でない。
信号電力を増大させることがまた、より高いマージンを提供するために使用されることがある。これは、サテライトの電力制限のために、典型的に実行可能なアプローチではない。システムの費用を高めるのに加えて、増大した伝送電力がまた、狭い再使用マージンを備えるTDMAシステムでは特に、同一チャネル干渉を制御するのをいっそう困難にする。したがって、サテライトから移動体装置への大きな電力増強は、比較的軽使用の期間中に限って行われると云ってよい。更に、移動体装置はサテライトよりも電力をもっと制限されているので、この技術は、典型的に、サテライトから移動体装置へ一方向にのみ実行可能である。実行可能である。
(欧州特許出願第0 086 541号及び第0 212 667号に説明されたように)ビット繰返しはまた、マージンを増大させるために使用される。ビット繰返しは、特に非理想条件において、メッセージ繰返しよりも低い誤り率しか生じない。ビット繰返しは伝送遅延を起こす原因となり、この遅延は明白な理由から音声信号にとって望ましくない。しかしながら、伝送遅延は、その遅延が適度な最小限度に保たれるならば、SMS特徴のようなデータ通信にとって許容可能であることがある。ビット繰返しは、個々のビット又は個々の変調記号、又はビットのパケット又は変調記号のパケットを、全ての繰返しが連続している又は逐次TDMAフレームの同じタイム・スロット又は複数のタイム・スロット内に含まれるように、複数回伝送することによって達成される。受信機は、各繰返しからのエネルギーを積分して、より高いマージンを有する信号を作成する。上に注意したように、ビット繰返しは、メッセージの長さ次第で、著しい遅延を引き起こすおそれがある。30dB信号マージンを達成するには、各ビットを1000回繰り返さなければならないことになる。典型的短メッセージは、GSMシステム、すなわち、ヨーロッパ・ディジタル標準規格では32から64文字、米国で現在使用されているDAMPS(ディジタル高度移動電話サービス(Digital Advanced Mobile Phone Service))システムでは245文字まで、及びDECT(ディジタル・ヨーロッパ・コードレス電話(Digital European Cordless Telephone))システムでは160文字までを有する。18.64msのTDMAフレームを有し、フレーム当たり16スロットかつ114データ・ビット/スロットを備えるGSMシステムを想定すると、伝搬時間を含まない、64文字メッセージを受信するための最小遅延は、次のようになる。
64ビット×8ビット/文字×1000繰返し/ビット×18.64ms/スロット×1/114スロット/データ・ビット=84秒
このような遅延は、たとえデータ伝送であっても、極めて望ましくない。したがって、著しい遅延を伴うことなくかつ電力の著しい増大を伴うことなく増大した信号マージンで信号の伝送を図ることが無線通信システムにとって望ましいであろう。
チャネル帯域幅の拡張を要することなく増大した信号マージンで以て信号の伝送を図ることが通信システムにとって更に望ましいであろう。
TDMAフレームの構造又は組織に変化を要することなく増大した信号マージンで以て信号の伝送を図ることがTDMA通信システムにとってまた望ましいであろう。
増大した信号マージンで以て移動体装置から発信する又はサテライト又は基地局から発信するデータ・メッセージの伝送を図ることが移動無線通信システムにとって更に望ましいであろう。
データ・メッセージの伝送のために通信リンクの信号マージンを選択的に増大させることが通信システムにとって更に望ましいであろう。
発明の要約
従来の通信システム及び方法の上に挙げた制限及び他の制限は本発明によって克服され、本発明は短英数字メッセージを伝送する高透過伝送(high-penetration transmission)方法を提供し、この方法ではビット繰返し又はメッセージ繰返しと比較的小さな電力増大との組合わせによって信号マージンを増大させる。模範的実施例によれば、ビット繰返し又はメッセージ繰返しと比較的小さな電力増大との組合わせは、信号マージンを増大させるために繰返しに前面的に依存するシステムの許容不可能な遅延特性を回避する。同様に、繰返しと比較的小さな電力増大との組合わせは、信号マージンを増大させるために増大電力に前面的に依存するシステムの同一チャネル干渉問題を回避する。
本発明の模範的実施例によれば、移動無線通信システムは、移動体装置へ又はこれから英数字メッセージを伝送するために短メッセージ・サービス特徴を備える。厳しい減衰を伴うチャネルを通しての信頼性伝送を保証するために、短メッセージは、1つ以上のデータ符号語を形成するために誤り検出符号化を用いて符号化される。各符号語は、メッセージ・フレームを有するメッセージ・チャネルを通して多数回伝送される。各メッセージ・フレームは、各TDMAフレームからの又はTDMAフレームの各組からのタイム・スロットで作られる。メッセージ・チャネルは、音声伝送用電力レベルよりも大きいかつ制御情報伝送用電力レベルよりも大きい電力レベルで伝送される。メッセージ・チャネルは、放送制御チャネル又は他の適当なチャネルから取られたスロットによって形成されてよい。多数の伝送は、受信機で積分されかつ誤りを検査される。
【図面の簡単な説明】
本発明の上掲の目的、特徴、及び利点は、添付図面と関連して次の好適実施例の詳細な説明を読むならばいっそう容易に理解される。これらの図面において、
図1は模範的移動体無線通信システムのブロック図である。
図2は典型的GSMデイジタル無線通信システム内のチャネルの組織を示す線図である。
図3は本発明の信号伝送方法を実施することができるサテライト利用移動体無線通信システムの線図である。
図4は本発明の実施例による短メッセージの伝送を説明する流れ図である。
図5は本発明の実施例によるSMSスロットのバースト形式を示す線図である。
図6は本発明の実施例によるSMSサービスのフレーム形式を示す線図である。
好適実施例の詳細な説明
次の説明はサテライト利用無線通信システム内で実施される短メッセージ・サービスを目的とするが、察知されるように、本発明の原理はまた、他の型式の通信システムに応用することができる。
サテライト利用移動体無線通信システムでは、音声又はデータを伝送する通信リンクが、1つのサテライト、多数のサテライト、又は1つ以上のサテライトとPSTN(公衆交換電話網)との組合わせを通して移動局と標準電話機又は第2移動局のどちらかとの間のサテライト・ビーム上に確立されてよい。図3に示されたようなシステムは、地方エリアのような、少数の基地局しかない又は基地局がない、かつ追加基地局が実行困難である広い地理的カバレージを達成するために望ましいと云ってよい。サテライトの固有の電力制限に因り、サテライトと移動局との間の音声通信リンクは、理想条件又は理想に近い条件、すなわち、適性に展開された移動局のアンテナとの見通し通信のような条件を要求する。移動局がさえぎられている(例えば、建築物の内側にある等)とき又は移動局アンテナが適性に展開されていないときのような非理想条件では、チャネル内の大きくなった減衰のために、通信に対する電力マージン要件又は信号マージン要件がかなり増大する。(図3にMUzとして示された)このような状況では、レーリー・フェージングが満足な通信をしばしば妨げ、したがって、移動局に短英数字メッセージ送信することが望ましい。このメッセージは、例えば、加入者に入呼について通知するために使用されてよい。本発明は、著しい遅延、電力増大、又は同一チャネル干渉を伴うことなく信号マージンを増大させる効率的な技術を講じることによってメッセージの信頼性のある伝送を保証する。
説明のみの目的のためにかつ本発明の範囲を限定することなく、TDMAチャネルを使用するサテライト利用GSM無線通信システムを次の条件を示すと想定してよい。通信チャネルは見通し成分を有さず、かつ厳しい減衰を伴う平坦レリー・フェージングを受ける。技術の熟練者によって察知されるように、レーリー(又は多重路)フェージングは、サービス・エリア内の物理的構造からの反射に因って多重路波が定在波対を形成するときに起こる現象である。一緒に加算された定在波対は、不規則波フェージング構造を形成する。移動体装置が定在しているとき、この装置は定信号を受信する。しかしながら、移動体装置が運動するとき、このフェージング構造はフェージングを引き起こさせ、このフェージングは移動体装置が高速で運動するに連れて甚だしくなる。非理想レーリー・チャネルの平均信号レベルは、理想に近い見通しチャネルの信号レベルより約20〜30dB低い。
非理想条件で移動体装置への短メッセージの信頼性ある伝送を保証するためには、信号マージンを増大させなければならない。本発明によれば、ビット繰返し又はメッセージ繰返しと電力増大とを、著しい遅延を伴うことなく信号マージンを増大させるように組み合わせることができる。
知られているように、デシベル(dB)は電力比、電流比、又は電圧比を表すために使用される単位である。特に、電力比(P2/P1)は、式dB=10log(P2/P1)によってデシベルで表されることがある。10log1000=30であるから、30dBの信号マージンは1000と云う電力比である。それゆえ、この信号マージンをビット繰返しによって全面的に達成するためには、各ビットを1000回繰り返さなければならず、かつ各繰返しからの信号マージンを受信機で積分しなければならず、上掲から計算して82秒の遅延を生じる。しかしながら、15dBのマージンを達成するためには、10log31.623=15であるから、要求される電力比は31.623に過ぎない。それゆえ、30dBマージンは、15dBだけ電力を増大させかつ約31回各ビットを繰り返すことによって、提供することができる。この技術を使用すると、64文字メッセージに対するビット繰返し遅延は、(64文字×8ビット/文字×31繰返し/ビット×18.64ms/スロット×1/114スロット/ビット)約2.5秒である。結果として、ビット繰返し遅延が適度なレベルに維持され、かつ電力レベルもまた適度なレベルに維持され、それによって同一チャネル干渉を回避する。察知されるように、繰返しと電力増大との多くの異なる組合わせが、著しい遅延を伴わずにレーリー・フェージング環境内で逐次通信を達成するために可能である。更に、ディジタル信号の個々のビットを繰り返すよりはむしろ、ビットの群を繰り返した方が良いことがある。
本発明を実施するために、サテライトから移動局への電力増大を、多数の利用者にわたる電力負荷を平均することによって提供してよい。すなわち、理想に近い条件にある移動体装置によって使用される通信チャネルは、それらの電力を非理想条件にある移動体装置への電力供給を増大させるために減少させられるかもしれない。電力増大はまた時間平均することによって提供され、この場合連続TDMAフレーム内の個々のスロットは増大電力レベルで伝送される。察知されるように、サテライトから移動局への電力増大はまた、技術上知られた他の技術によって達成されることがある。
移動体装置の電力制限は、サテライトの電力制限よりもなお厳しい。それゆえ、移動体からサテライトへの通信に対して電力を増大させることはなおいっそう困難である。このような通信は、メッセージ又はメッセージに対する肯定応答を送信するために必要であることがある。本発明の1実施例によれば、移動体装置からサテライトへの電力増大は、移動体装置にランダム・アクセス・チャネルRACHの全てのタイム・スロット上で送信させることによって達成される。ビット繰返し又はメッセージ繰返しはまた、移動体装置がサテライトへ伝送する信号のマージンを更に有効に増大させることによって実施される。RACHチャネルを通しての移動体装置による肯定応答は低情報速度を有する信号によって完遂されてよいから、順方向チャネルに対してより多くの同期ビット、及びより多くのビット繰返し又はメッセージ繰返しを移動体装置の低伝送電力を補償するために使用することができる。好適には、移動体装置は、それらの繰返しを逆相関する(decorrelate)ために分離搬送周波数上で連続繰返しを伝送する。メッセージは短いので、伝送時間は短いことになり、かつ平均伝送電力はこのシステムを使用して許容可能になる。
図4は、本発明の伝送方法を使用する短メッセージの伝送を説明する流れ図を示す。ステップ100で、送信当事者(sending party)が受信加入者に伝送しようとするメッセージを入力する。メッセージは、送信当事者によって移動体装置、標準電話機、コンピュータ端末、又は等価な装置を通して直接通信システムに入力されるか、又はシステムにメッセージを入力するサービス・センタのオペレータを呼び出すことによって直接入力されてよい。ステップ102で、短メッセージを含む情報ビットが送信機内に設置された符号化器によって、CRCのような誤り検出符号を用いて符号化される。符号化メッセージは1つ以上の符号語を構成し、符号語の各々が符号語ビット又は符号語記号を含む。もとより承知のように、受信機はサテライト、基地局、又は移動体装置であってよい。ステップ104で、符号化手段によって出力された符号語ビット又は符号語記号の各々をN回繰り返してNビットを含むパケットを形成するように、ビット繰返しを採用することができる。個々のビット又は記号を繰り返す代わりに、2つ以上のビット又は記号の群、又は符号語全体又はいくつかの符号語を繰り返すこともできることは、明らかである。次いで、受信機にチャネル品質を推定可能とするために、TDMAフレーム内の各スロットが繰返しビット、誤り検出符号化ビット、及び同期バーストの1つ以上のパケットを含むように、パケットが伝送される。符号化短メッセージを含む全てのビットが、このようにして伝送される。もしビット繰返し及びメッセージ繰返しが採用されるならば、いったん符号化メッセージ全体が伝送された上で、所望信号マージンを達成するために(N符号語ビットのパケットの形での)メッセージの伝送をM回繰り返すことができる。察知されるように、短メッセージをサテライト、基地局、又は移動局から送信してよいから、符号化機能及び伝送機能はこれらの装置の各々内に備えられる。また察知されるように、本発明の技術を実施するために、ビット繰返しの数N、メッセージ繰返しの数M、及びメッセージの成功裡伝送に要求された信号マージンを達成するために必要な電力増大を決定する手段が送信機内に含まれる。
ステップ108で、受信装置(すなわち、移動体装置、サテライト、基地局、又は等価装置)が、繰返し符号化メッセージ・ビット、誤り検出ビット、及びチャネル品質推定ビットを含む受信した信号をサンプルし、かつ次の形の計量和(metric sum)を発生する。
Figure 0004571237
ここに、rijはパケット繰返しj内の情報ビット又は情報記号Sの第i繰返しに相当するサンプルされた受信した信号であり、及びCjはチャネル品質の相当する推定である。ステップ110で、ソフト組合せ(soft combining)又は論理多数決(majority logic vote)、又は他の適当な復号方法を使用して、この計量和からTDMAスロット内の各符号化ビット又は各符号化記号を復号する。ソフト組合わせを実施するために、復号器は
Figure 0004571237
として計量和を加算しかつこの和に基づいてビット又は記号の判断を行う。論理多数決を実施するために、復号器は各計量yi毎にビット又は記号の予備判断を行い、次いで、これらの予備判断の全てを比較することによってビット又は記号の最終判断を行う。それゆえ、復号器がM予備判断を行ったならば、復号器はもし予備判断の過半数が1であったならば相当する情報ビットは1であると判断し、そうでなければ、復号器は相当する情報ビットが0であると判断する。同じ論理が0であるビットを復号するために使用される。予備判断の正確に半数が0でありかつ予備判断の正確に半数が1である場合に生じるかもしれない誤りを防止するために、Mを奇数に選択する。復号されたビットをコヒーレントに組み合わせかつメッセージの多数の伝送をコヒーレントに組み合わせて、増大したマージンを有するメッセージ信号を発生する。
ステップ112で、受信装置に含まれた誤り検出器が送信装置で施されたCRC誤り検出符号化に基づいて誤りを検出する。もし誤りが検出されないならば、ステップ114でメッセージが受信加入者の移動体装置上に表示される。もし誤りが検出されるならば、そのメッセージは受信装置に表示されないで、利用者は表示された誤りメッセージによって又は音声信号によって誤りのあるメッセージについて注意され、かつ受信機は送信機に、下に更に詳細に説明される双方向無線プロトコルに従ってメッセージ又はそのメッセージの誤りのある部分を再伝送することをリクエストする。
本発明によれば、メッセージの繰返し伝送をメッセージの個々の部分の繰返しと組み合わせて使用してよい。すなわち、メッセージの個々の部分を多数回伝送してよく、かつそのメッセージ全体がメッセージ部分の繰返し伝送によって伝送されたとき、そのメッセージ全体を再び伝送してよい。
本発明の代表的実施例によれば、高透過短メッセージ・サービスを上に説明した伝送方法を使用して次のようにサテライト利用電気通信システム内に実施することができる。放送制御チャネルBCCHを含む搬送周波数上で、各(例えば、16スロット)フレームの第1ッスロットがその放送制御チャネルに分配される。放送制御チャネルは、51フレームにわたって実施される。パターンを繰り返す51フレームは、周波数補正チャネルFCH及び同期制御訂正チャネルSCHばかりでなく、放送及びページング・チャネルPCHを含む。サテライト・モードBCCHを伝送する搬送波は、全てのタイム・スロット内で必ずしも活性でない。特に、もし会話が所与のビームの搬送波上で現在なされていないならば、搬送波のBCCHスロットだけがエネルギーを含んでよい、すなわち、搬送波上のトラフィック・スロット及び他のスロットはエネルギーを含まないことになる。
各BCCHスロットは、好適には、搬送波のトラフィック・スロットの平均電力レベルより高い電力レベルで伝送される。好適には、BCCHの周波数補正チャネルFCH及び同期チャネルSCHは、短メッセージ・サービスに使用される。この実施例では、51スロットBCCHフレーム内の4スロットが短メッセージ・サービスに専用される。これらのSMSスロットは、フレーム1、13、26、及び40内に起こる。それゆえ、51スロットBCCHフレームにわたって、SMSスロットは12、13、14、12、12、13、14、…スロット分だけ間隔を取っており、受信機に信号強度プロファイルによってフレーム・タイミングを全面的に決定する余地を与える。4SMSスロットが残りの47BCCHスロットより高い電力レベルで伝送され、これら残りのBCCHスロットはBCCHチャネルを含む搬送波上の残りのTDMAチャネル・スロットより高い電力レベルで伝送される。察知されるように、放送制御チャネルBCCHのこの実施は、周波数補正チャネルFCHが無変調バーストでないと云うことにおいて標準GSM実施と異なる。
図5は、本発明の代表的実施例によるSMSスロット上を伝送されるバーストの書式を示す。このバーストはビーム識別ビットBEAM IDを含み、この識別ビットはサテライト及び使用されているそのビームを識別する。もし14ビットがBEAM IDに使用されるならば、16,384の特有識別子が可能である。これは、例えば、32サテライトの各々について512ビームまでの識別を識別させる。察知されるように、これらの識別子を個々の周波数上で再使用してよい。受信機は、BEAM ID情報の信号マージンを有効に増大させるために多数のSMSバーストの各々内の対応するビットを連続的に平均することができ、非理想環境においてさえもBEAM IDを判断できるようにする。
SMSバーストは、128ビット・データ符号を形成する更に2つの64ビット・データ符号DATACODEを含む。128ビット・データ符号は、1と128との間の或る1つの数の相互直交値(mutually orthogonal value)を有することできる。これらの直交値は、ビット・パターンに似た同期語であり、したがって省かれたチャネルFCH及びSCHを有効に置き換えるために周波数補正機能及び同期機能を提供する。代表的実施例によれば、もし128の相互直交値を想定するならば、各バースト内に情報の7ビットが供給される。この実施例では、各メッセージは、2回繰り返される。代わりに低い数の相互直交値を想定してもよく、かつ同じ総合データ・スループットを維持しながら、メッセージ伝送の数を減らすことができる。下に更に詳細に説明するように、誤り訂正符号化もまた使用してよい。
典型的SMSメッセージは、例えば、112ビットを含む。これらの112ビットは、情報ビット及びCRC誤り検出符号ビットを含む。112ビットを2回伝送するためには、224メッセージ・ビットを伝送しなければならない。図5に示したように、各SMSバーストは156.25ビットを含み、これらのビットは保護機能及びランプ・アップ−ダウン(ramp up/dwon)機能用8.25ビットGUARD/RAMP、6テール・ビットTAIL、及び142情報ビットを含む。142情報ビットは、14BEAM IDビット及び128データ符号ビットを含む。128データ符号ビットは7情報ビットに相当するので、7メッセージ・ビットが各SMSバースト内に伝送される。224メッセージ・ビットを送達するために、32SMSバーストが要求される。各51スロットBCCHフレーム毎に4SMSバーストがあるから、各メッセージ毎に408BCCHフレームが要求される。9.23msのフレーム長に基づいて、112ビット・メッセージが約3.77秒に送達される。察知されるように、もしサテライト・システムが121ビームを含むならば、サテライトは毎秒(121/3.77)約32メッセージを送達することができる。
上の代表的実施例によるSMSシステムを実施するために要求される電力は、次のように決定することができる。上に実施されたBCCHチャネルは、毎TDMAフレームに1BCCHバーストを生じ、それゆえ、BCCHバーストは、第16スロット毎に1回起こる。所与のBCCHバーストが起こることがある特定スロットは、好適には、16セル・パターン内でサテライト・ビームからサテライト・ビームへスタガ配置を取る。サテライトが121ビームを持つと想定すると、SMS情報を伝送する能力を有する約8ビームが所与の時刻に活性である間に、他の113ビームはトラフィック情報を伝送しつつある。先に説明したように、SMSスロットは、間隔を取ってBCCHフレームのスロット1、13、26、及び40内にある。この間隔は、異なるビーム内に12直交スタガ配置SMSフレームを考慮している。それゆえ、8ビームであってSMS情報を搬送する能力を有する同時に伝送するビームは、SMS情報を同じ時刻には伝送しない。SMSスロットは1回に1ビームのみ内で伝送され、それによって一定総合フェーズド・アレー送信機ローディング(constant total phased array transmitter loading)を維持する。
SMS信号に対するリンク・マージンは、増大電力と、128ビット・データ符号からの信号拡散と、ビット繰返し又はメッセージ繰返しと、誤り訂正符号化に因る利得との組合わせによって有効に増大される。上に説明した例に対するリンク・マージンを、符号化利得を除いて、次のように決定することができる。トラフィック・チャネルは、AWGNチャネルを通して最小7dBマージンを提供する。SMSチャネルはトラフィック・チャネルを通して9dB追加電力を使用して伝送され、AWGNチャネルを通して16dBの増大マージンをもたらす。7情報ビット用128チップ符号に因る拡散利得は追加12.6dB利得を提供し、28.6dBの増大マージンをもたらす。最後に、ソフト判断復号に関連して使用されたメッセージ繰返しが追加3dB利得を提供し、約31.6dBの合計SMSリンク・マージンをもたらす。誤り訂正符号化は追加利得を提供するから、察知されるように、本発明によるSMSシステムは、移動体装置がさえぎられる及び(又は)そのアンテナが適正に展開されないときのような非理想条件においてさえも、通信を図るために充分なリンク・マージンを提供する。
上に説明したように、本発明によるSMSシステムは、たとえSCHチャネルがSMS伝送に使用されても、同期を達成させる。本発明によれば、同期を次のように達成することができる。受信機が平均受信信号強度に基づいて電力プロファイル方法を使用してより高い電力SMSバーストを位置検出する。受信機は、各SMSバースト内の直交データ符号との相関によって、それ自体、ビット・レベルについて入信号と同期する。これらの相関は、メッセージ繰返しにわたって追加されて、メッセージ・データを信頼性を以て復号するために適当な信号対雑音比を提供する。いったん同期を達成すると、移動体装置は、47BCCHスロット中休眠しかつ4SMSスロット中目覚め、約1/204のデューティサイクルを生じる。移動体装置はまた、例えば、それが正常発信チャネルを受信することができるかどうか判定するために、各51フレーム期間にわたって追加4〜8スロット目覚めることがある。この追加の受信機活動は、約1.5のデューティサイクルを生じる。
察知されるように、本発明によるSMSシステムは他の仕方で実施されてもよく、上に説明した代表的実施例の特定詳細に限定されない。それゆえ、本発明のSMSシステムをTDMAシステム内のどれか特定のスロット又はNフレーム毎のスロットを使用して実施してよい。例えば、各サテライト・ビーム内の所与の搬送周波数上の第4フレーム毎のページング・スロットをSMSサービスを選択的に提供するために使用することができる。SMSサービスが必要でない又は所望されないとき、これらのスロットを音声トラフィックに使用することができる。この実施例では、同じ搬送波上の音声トラフィックより6dB多い電力を使用して伝送する。図6に示すように逐次SMSスロットは、13スロットSMSフレームを形成する。この実施例のSMSフレームは、周波数補正情報に使用される第1スロット及び同期情報に使用される第2スロットを有する。スロット3〜13は、データ又はページングに使用されかつ図5に示した書式のものである。各スロットは、1受信機のみに対する情報ビットを搬送する。この実施例の各ビット及び各メッセージは、3回伝送することができる。120データ・ビットで構成される典型的メッセージについては、1メッセージを送達する時間は、約11.5秒である。150ビームを有するサテライトを想定すると、13メセージを毎秒送達することができる。
本発明の更に他の態様によれば、メッセージ繰返しは、例えば、異なる周波数上で、異なる偏波上で、又は適当な時間遅延で、メッセージ又はメッセージの部分を伝送することによって、逆相関される。
本発明の伝送システムは、更に前進誤り訂正(FEC)手段を含んでよい。このような構成では、送信機は、誤り検出符号を伴う情報ビットを符号化した後、誤り訂正符号を備えた短メッセージの情報ビットを符号化する第2符号化器を備える。先に説明したようにして、メッセージが伝送されかつ受信したメッセージが復号される。論理多数決を用いる場合、ハード判断復号器を採用し、かつ論理多数決器(majority logic voter)の出力におけるビットを、(チャネルから推定したビット信頼性情報のような)追加情報を伴わずにチャネル復号器に供給する。もしソフト組合わせを使用するならば、誤り訂正符号を復号するためにソフト判断復号器を採用し、かつ計量和yjをソフト判断復号器の出力に加算し、かつその和を誤り訂正復号器に供給する。もし誤り訂正復号器の異なる出力が連続出力ビットを伝送流内で可能な限り分離することによってインタリーブされるならば、誤り訂正符号化がより有効になる。
察知されるように、ビット繰返し及びメッセージ繰返しの数が大きくなるほど、システムの性能は良くなるが、しかし遅延はますます長くなる。TDMAスロットは、同期情報又はデータのどちらかとして使用されることがある有限数のビットを有する。パケット内のビット繰返しの数(N)を増大させることは、必然的に同期ビットの数の減少を要求する。計量和は推定チャネル品質に依存し、及びチャネル品質は同期ビットの数に依存する。もしTDMAスロットがNtビットを有するならば、Ns同期ビット/スロット、かつNt−Nsデータビット毎スロットがあり、したがって、繰返しに因るビット当たり信号対雑音比の利得は約(Nts−Ns2)/Ntである。したがって、信号対雑音比の最適利得は、Ns=Nt/2のとき起こる。しかしながら、察知されるように、同期ビット及びデータ・ビットの数の選択は、実施しようとする特定伝送方式次第である。
上に説明したように、サテライトと移動局との間にメッセージを通信するために確立されたリンクは双方向リンクである。したがって、無線プロトロルが、短メッセージ・システムのユーティリティを増強するために、サテライトと移動局との間での使用に選択されてよい。例えば、メッセージを受信する移動局がメッセージを正しく受信したかどうかを表示するために「YES」又は「NO」でサテライトに応答する簡単なプロトコルを実施することがある。代わりに、パケット又はパケットの群が群IDによって識別されかつCRC誤り訂正符号によって保護される複雑なプロトコルを実施することができる。もしCRCがメッセージは正しく受信されなかったと表示するならば、サテライトは誤りのある群を含むパケットを再送することができる。完全メッセージを再送するのに反して、この仕方では、誤りを伴うパケットのみを再伝送すればよい。それゆえ、このプロトコルを、繰返し数を最適化し、それによって遅延及び浪費サテライト電力を最少限にするために、使用することができる。
本発明によるSMSの双方向リンクはまた、課金(billing)に関して利点を備える。単方向リンクは、メッセージが正しく受信された証拠がないので、短メッセージ送達料を送信者又は受信者(recipient)に課するのを妨げる。それゆえ、短方向リンクを備えるSMSサービスは、高い加入者料金で加入者に提供されることがある。対照的に、双方向リンクはメッセージの送信者又はサービス・オペレータにメッセージが正しく受信されたかどうかを判定させるので、サービス・オペレータは各正しく受信されたメッセージのみに対する送達料で以てSMSサービスを提供することができる。
上に論じたように、より長いメッセージ、音声通信、又は30〜40dBより大きいリンク・マージンを要求する条件は、本発明の技術において許容不可能な長い遅延を生じることがある。こような場合、メッセージをサテライト又は相当するセルラ移動体交換センタ(MSC)で記憶してよい。移動体装置がより都合の良い通信チャネルの放送制御チャネル(BCCH)を読み出すことができるとき、その装置は、記憶されたメッセージについて、例えば、放送制御チャネル上のフラグによって報される。
上掲の説明は多くの特殊性を含むが、開示された代表的実施例は解説目的のみのためであって、本発明を制限するのではない。添付の請求の範囲及びこれらの適法等価事項によって明確にされたように、本発明の精神に反することがない多くの変形実施例は、技術の熟練者に容易に明らかである。

Claims (18)

  1. 複数のフレーム組を有し、各フレーム組が1つ以上のフレームを含み、各フレームが複数のタイム・スロットを含み、各タイム・スロットが複数のデータ・ビットを伝送するTDMA通信チャネルであって、第1の電力レベルで音声情報を伝送するための音声スロット、および前記第1の電力レベルより高い第2の電力レベルで制御情報を伝送する制御スロットを含む前記TDMA通信チャネルを通して、特定の加入者のためのデータ情報を含むショートメッセージを利用者に伝送する方法であって、
    1つ以上のデータ符号語を形成するために誤り訂正符号化を用いて伝送しようとする前記ショートメッセージを符号化するステップと、
    前記符号化されたメッセージを1つ以上のデータ符号語を各々に含むパケットに分割するステップと、
    前記制御スロットを含む少なくとも1つの制御チャネルを有するメッセージ・チャネルを通して、前記第2の電力レベルで複数の回数に亘り各データ符号語を伝送するステップであって、前記メッセージ・チャネルが複数のメッセージ・フレームを有し、各メッセージ・フレームが前記TDMA通信チャネルの前記各フレーム組からの1つ以上のタイム・スロットを含む前記伝送するステップと
    を含む方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記制御スロットが放送制御チャネル・スロットを含み、前記放送制御チャネル・スロットが周波数補正チャネル用に指定された1つ以上のスロットと、同期チャネル用に指定された1つ以上のスロットと、放送およびページング・チャネル用に指定された1つ以上のスロットとを含み、前記メッセージ・チャネルが前記周波数補正チャネル用および前記同期チャネル用に指定された前記スロットの部分を含む方法。
  3. 請求項記載の方法において、前記放送制御チャネル・スロットが前記TDMA通信チャネルの各フレーム内の前記第1スロットを含む方法。
  4. 請求項3記載の方法において、前記TDMA通信チャネルがサテライトと移動無線通信装置との間のサテライト・ビームを通して確立される方法。
  5. 請求項4記載の方法において、前記メッセージ・チャネルの各タイム・スロットが前記サテライトと前記サテライト・ビームとを識別する識別ビットと、前記1つ以上のデータ符号語の1つ以上の部分を識別するデータ符号ビットとを含む方法。
  6. 請求項5記載の方法であって、前記データ符号ビットがデータ符号語の1つ以上の部分を表す複数の相互直交値の1つを有するように前記データ符号語を拡散させるステップを更に含む方法。
  7. 請求項6記載の方法において、前記1つ以上のデータ符号語が2回伝送される方法。
  8. 請求項7記載の方法において、前記メッセージ・フレームが51タイム・スロットを含み、かつ前記1つ以上のタイム・スロットが各メッセージ・フレームの第1スロットと、第13スロットと、第26スロットと、第40スロットとである方法。
  9. 請求項8記載の方法において、前記送信機により伝送される前記メッセージ・フレームが13タイム・スロットを含み、各フレーム組が4フレームを含み、かつ前記13タイム・スロットの各々が1フレーム組に対応する方法。
  10. 複数のフレーム組を有し、各フレーム組が1つ以上のフレームを含み、各フレームが複数のタイム・スロットを含み、各タイム・スロットが複数のデータ・ビットを伝送するTDMA通信チャネルであって、第1の電力レベルで音声情報を伝送するための音声スロット、および前記第1の電力レベルより高い第2の電力レベルで制御情報を伝送する制御スロットを含む前記TDMA通信チャネルを通して、特定の加入者のためのデータ情報を含むショートメッセージを利用者に伝送するシステムであって、
    1つ以上のデータ符号語を形成するために誤り訂正符号化を用いて伝送しようとする前記ショートメッセージを符号化する符号化器と、
    前記符号化されたメッセージを1つ以上のデータ符号語を各々に含むパケットに分割する分割器と、
    前記制御スロットを含む少なくとも1つの制御チャネルを有するメッセージ・チャネルを通して、前記第2の電力レベルで複数の回数に亘り各データ符号語を伝送する送信機であって、前記メッセージ・チャネルが複数のメッセージ・フレームを有し、各メッセージ・フレームが前記TDMA通信チャネルの前記各フレーム組からの1つ以上のタイム・スロットを含む前記送信機と
    を含むシステム。
  11. 請求項10記載のシステムにおいて、前記制御スロットが放送制御チャネル・スロットを含み、前記放送制御チャネル・スロットが周波数補正チャネル用に指定された1つ以上のスロットと、同期チャネル用に指定された1つ以上のスロットと、放送およびページング・チャネル用に指定された1つ以上のスロットとを含み、前記メッセージ・チャネルが前記周波数補正チャネル用および前記同期チャネル用に指定された前記スロットの部分を含むシステム。
  12. 請求項11記載のシステムにおいて、前記放送制御チャネル・スロットが前記TDMA通信チャネルの各フレーム内の前記第1スロットを含むシステム。
  13. 請求項12記載のシステムにおいて、前記TDMA通信チャネルがサテライトと移動無線通信装置との間のサテライト・ビームを通して確立されるシステム。
  14. 請求項13記載のシステムにおいて、前記メッセージ・チャネルの各タイム・スロットが前記サテライトと前記サテライト・ビームとを識別する識別ビットと、前記1つ以上のデータ符号語の1つ以上の部分を識別するデータ符号ビットとを含むシステム。
  15. 請求項14記載のシステムにおいて、前記送信機は前記データ符号ビットがデータ符号語の1つ以上の部分を表す複数の相互直交値の1つを有するように前記データ符号語を拡散させるシステム。
  16. 請求項15記載のシステムにおいて、前記1つ以上のデータ符号語が2回伝送されるシステム。
  17. 請求項16記載のシステムにおいて、前記メッセージ・フレームが51タイム・スロットを含み、かつ前記1つ以上のタイム・スロットが各メッセージ・フレームの第1スロットと、第13スロットと、第26スロットと、第40スロットとであるシステム。
  18. 請求項10記載のシステムにおいて、前記送信機により伝送される前記メッセージ・フレームが13タイム・スロットを含み、各フレーム組が4フレームを含み、かつ前記13タイム・スロットの各々が1フレーム組に対応するシステム。
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