図1は本発明の一の実施の形態に係るトナー画像形成装置1の構成を示す図である。本実施の形態におけるトナー画像形成装置1は電子写真法を用いてガラス基板上にトナーの画像を形成する装置であり、トナー画像は下流の図示省略の定着装置を経由してガラス基板上に定着されることにより液晶表示装置用のカラーフィルタが製造される。なお、実際には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色のトナーに対応する3つのトナー画像形成装置1と定着装置とが一列に設けられる。
トナー画像形成装置1は、ガラス基板9を図1中のY方向へと水平に移動する基板移動機構2、および、基板移動機構2上のガラス基板9に対向するとともに電子写真法にて感光ドラム上にR、G、Bの色のカラーのトナー画像を形成するプロセスユニット3を備える。
基板移動機構2は、それぞれが図1中のX方向に水平に伸びる複数の搬送用ローラ21をY方向に配列して有する。複数の搬送用ローラ21の一部にはモータが接続され、複数の搬送用ローラ21によりガラス基板9の下面(プロセスユニット3とは反対側の主面)が支持されつつガラス基板9がY方向へと移動する。ガラス基板9の下側においてプロセスユニット3に対向する位置には転写ローラ22が設けられ、転写ローラ22によりプロセスユニット3の感光ドラム上のトナー(R、GもしくはBの色のカラートナー)がガラス基板9上に転写される。
プロセスユニット3は、図示省略のモータに減速機を介して接続された感光ドラム31を備え、感光ドラム31は図1中のX方向に平行な回転軸J1を中心に回転可能に支持される。感光ドラム31は、アルミニウム等の金属により形成されるとともに回転軸J1を中心とするドラム本体311を有し、ドラム本体311は電気的に接地される。ドラム本体311の外周面には、例えば、フタロシアニン顔料を有する単層型有機感光体(以下、単に「感光体312」という。)が一様に塗布される(または、蒸着される)。なお、感光体312はフタロシアニン顔料を有する単層型有機感光体以外の材料により形成されてもよい。
プロセスユニット3は、感光ドラム31に対向して設けられる帯電器32をさらに有し、帯電器32はイオンを発生して感光体312を帯電させる。また、感光ドラム31の周囲には帯電器32から時計回りに、画像形成用の光を出射して感光体312に静電潜像を形成する潜像形成部4、感光体312上に形成された静電潜像に湿式トナー(例えば、イソパラフィン系の絶縁性の溶媒に分散しているトナー)を付与して現像する現像部33、感光体312の表面をクリーニングするクリーナ34、並びに、光を出射して感光体312を除電する除電器35が配置される。なお、現像部33は現像液である湿式トナーを供給するトナー供給部(図示省略)に接続される。また、上述の転写ローラ22は現像部33とクリーナ34との間に設けられる。
図2は、潜像形成部4の内部構成を示す図である。潜像形成部4は、レーザ光を出射するレーザ(レーザダイオード)41(実際には、ポリゴンミラー42の反射面と同じ高さに設けられる。)を有し、レーザ41からのレーザ光は回転するポリゴンミラー42へと入射する。ポリゴンミラー42にて反射されたレーザ光はfθレンズ421およびミラー422を介して光を部分的に遮るマスク部43上に照射される。マスク部43上におけるレーザ光の照射位置は、ポリゴンミラー42の回転角に応じてマスク部43上を図2中のX方向に沿って一定の向きに走査する。そして、マスク部43を通過した光が感光体312上に照射される。
マスク部43は、X方向に細長い板状の透明基材431を有し、透明基材431はガラスまたは樹脂にて形成される。透明基材431の感光体312側の面には、遮光性を有する材料にて黒色の遮光パターン432が形成される。なお、マスク部43と感光ドラム31との間には微小な幅の間隙が設けられ、これらの部材同士が当接することはない。
図3は、マスク部43を示す底面図である。図3に示すように、遮光パターン432(図3中に平行斜線を付して示す。)は配列された複数の矩形領域以外の領域を覆うように形成されており、マスク部43上を走査する光のうち透明基材431を介して遮光パターン432の領域に照射される光は遮蔽され、遮光パターン432以外の領域(矩形領域)へと照射される光はマスク部43を透過して感光体312上に照射される。すなわち、マスク部43には、レーザ41からの光が通過する複数の開口(光学的な開口)511が配列形成され、X方向に一列に並ぶ複数の開口511を開口列51として捉えると、複数の開口列51(図3では、2つの開口列51)が感光ドラム31の回転軸J1に垂直なY方向に一定のピッチにて配列された状態となっている。なお、マスク部43における開口列51の配列数は、感光ドラム31の半径に応じて後述する静電潜像の形成に支障が生じない範囲にて決定される。
図4は、トナー画像形成装置1がガラス基板9上にトナーの画像を形成する処理の流れを示す図である。なお、図4中のステップS12〜S15は感光体312の一部に注目した処理の流れを示しており、感光体312全体に対しては実際には時間的にほぼ並行して行われる。
図1のトナー画像形成装置1では、まず、感光ドラム31が回転軸J1を中心に時計回り(すなわち、図1中の矢印71が示す回転方向)に一定の速度にて回転を開始するとともにガラス基板9も(+Y)方向へと一定の速度にて移動を開始する(ステップS11)。プロセスユニット3では感光ドラム31の回転により、回転軸J1を中心とする円筒状の感光体312が、周囲に配置された各周辺構成(すなわち、帯電器32、潜像形成部4、現像部33、クリーナ34および除電器35)に対して連続的に移動し、これらの周辺構成による感光体312に対する処理が開始される。なお、本実施の形態におけるガラス基板9では、上面(すなわち、プロセスユニット3に対向する面)に格子状のブラックマトリクスが他の装置により予め形成されている。
帯電器32では、対向する位置へと到達する感光体312の一部(以下、「対象部位」と呼ぶ。)に電荷が順次付与され、対象部位の表面を一様に帯電させる(ステップS12)。帯電後の対象部位は潜像形成部4の光の照射位置へと連続的に移動する。
図2の潜像形成部4では、レーザ41からレーザ光を連続的に出射しつつ、ポリゴンミラー42によりマスク部43上におけるレーザ光の照射位置が開口列51に沿って走査する。マスク部43上の光のスポットの大きさは、図3中の複数の開口列51においてY方向に並ぶ複数の開口511を含む大きさとされ、このスポットに含まれる複数の開口511を通過した光が感光体312上に垂直に照射される。このとき、マスク部43上におけるレーザ光の照射位置は(−X)側から(+X)方向に連続的に移動することにより、各開口511を通過する光は感光体312上に瞬間的に照射されることとなる。
感光体312の対象部位において光が照射された部位は、表面の電荷が感光体312内に移動して除去される。また、光が照射されない部位は帯電状態がそのまま維持されるため、感光体312の表面には電荷の分布による画像(すなわち、静電潜像)が形成される(ステップS13)。
ここで、マスク部43上におけるレーザ光の一度の走査により(−X)側の開口511にレーザ光が照射される時刻と、(+X)側の開口511にレーザ光が照射される時刻とが異なるため、潜像形成部4では、各開口列51の複数の開口511を通過した光がそれぞれ照射される感光体312上の複数の領域(以下、「照射領域列」という。)が回転軸J1(X方向)に正確に沿うように、各開口列51は(−X)側から(+X)方向に向かうに従って(−Y)側へと実際には僅かに傾斜している。また、感光ドラム31の回転に同期してポリゴンミラー42が回転することにより、感光体312上において、ある開口511を介して所定の部位に光が照射された後、この部位がマスク部43における2つの開口列51のピッチの2倍に相当する距離だけ感光ドラム31の回転により外周面に沿って移動した際に(すなわち、この距離に対応する回転角だけ感光ドラム31が回転した際に)、この開口511を介する次の光照射が行われる。このようにして、潜像形成部4では、ポリゴンミラー42により開口列51を通過する光による感光体312への瞬間的な照射が繰り返されるとともに感光体312への光照射のタイミングも制御されることにより、感光体312上では、それぞれがX方向に沿う複数の上記照射領域列が外周面に沿って一定のピッチにて配列されることとなる。
また、潜像形成部4では、感光体312上へと照射される光の一部がマスク部43側へと反射される場合であっても、遮光パターン432の領域に向かう反射光は吸収されるようになっており、遮光パターン432が無い領域へと向かう反射光は潜像形成部4の内部へと導かれる。したがって、感光体312側から潜像形成部4へと入射する光がマスク部43にて反射して、感光体312上の不要な部分に光が照射されることが防止される。
図1の感光ドラム31において静電潜像が形成された部分(対象部位)は現像部33に対向する位置へと移動し、現像部33の上流側の現像ローラ331により湿式トナー(溶媒中に分散されるとともに帯電しているトナー)が静電潜像に付与される(ステップS14)。このとき、現像ローラ331には所定の電圧が付与されており、トナーは感光体312上の対象部位において電荷が除去された部位にのみ付着して静電潜像が現像される。すなわち、感光体312の対象部位にトナー画像が形成される。
また、対象部位上の不要な湿式トナーは現像部33の下流側のスキージローラ332により掻き取られて現像部33へと戻される。トナー画像が形成された対象部位は、現像部33の下流側に設けられた半導電性スポンジローラ333へと移動する。半導電性スポンジローラ333の中心にはトナーと同じ極性の電圧が付与され、対象部位上の不要な溶媒を除去しつつ、対象部位のトナーが電気的な反発力により感光体312に押し付けられる。
対象部位は転写ローラ22に対向する位置へと移動し、転写ローラ22にトナーとは反対の極性の所定の電圧が付与されて感光体312の対象部位上のトナーがガラス基板9の表面へと転写される(ステップS15)。
対象部位は、クリーナ34の位置へと続けて移動し、クリーナ34により感光体312の対象部位に残留したトナー(すなわち、ガラス基板9に転写されなかったトナー)等の不要物が除去されて感光体312の表面がクリーニングされ、感光体312が機械的に初期状態に戻される。そして、ランプとフィルタとの組合せ、あるいは、LED等を有する除電器35により光が照射されて感光体312が除電され、電気的に初期状態に戻される。
ステップS12〜S15の処理が感光体312上の各部位に対してほぼ並行して行われ、ガラス基板9の表面にトナーが連続して転写されると、ガラス基板9の全体への印刷が終了し、感光ドラム31の回転が停止されるとともに、基板移動機構2が停止され、トナー画像形成装置1による印刷処理が終了する(ステップS16)。これにより、ガラス基板9の上面の全体に一の色のトナーの画像が形成される。
既述のように、実際には、R、G、Bの色にそれぞれ対応する3台のトナー画像形成装置が準備され、一の色のトナー画像がガラス基板9上に形成されると、ガラス基板9が次のトナー画像形成装置へと搬送されて次の色のトナー画像が形成される。これにより、3台のトナー画像形成装置によりR、G、Bの色のトナー画像がガラス基板9上に形成され、最後に、定着装置にて加熱溶融されてガラス基板9に定着されることにより、カラーフィルタが完成する。
図5はトナー画像形成装置1を用いて製造されたカラーフィルタ8を示す断面図であり、図6はカラーフィルタ8を示す平面図である。図5に示すようにカラーフィルタ8は、ガラス基板であるフィルタ基材81、および、フィルタ基材81上に形成されるカラーのフィルタ層82を備える。フィルタ層82は、R、G、Bの3つの画素要素の集合を1つの画素として、複数の画素をフィルタ基材81上に二次元に配列して有する。図5および図6では、Rの画素要素に符号821R、Gの画素要素に符号821G、Bの画素要素に符号821Bを付している。
前述のように、フィルタ基材81上にはフィルタ層82の各部位(すなわち、画素要素821R,821G,821B)を仕切る網目状(図6参照)のブラックマトリクス83(図6中に平行斜線を付して示す。)が予め別工程にて形成されており、Rの複数の画素要素821R、Gの複数の画素要素821G、および、Bの複数の画素要素821BはそれぞれR用のトナー画像形成装置、G用のトナー画像形成装置およびB用のトナー画像形成装置において、感光体312上に形成された静電潜像を湿式の当該色のカラートナーにて現像した後に感光体312上のカラートナーをガラス基板9に転写し、さらに、熱を利用してガラス基板9に定着させることにより形成される。また、カラーフィルタ8が液晶表示装置に用いられる際には、他の装置によりフィルタ層82およびブラックマトリクス83を全体的に覆う透明の絶縁膜(いわゆる、オーバーコート)が形成され、絶縁膜上に透明導電層(例えば、ITO(Indium-Tin-Oxide:酸化インジウムスズ))のパターンが別途形成される。
なお、1台のトナー画像形成装置1のみが準備され、R、G、Bの各色のトナー画像の形成の際に、X方向に関してマスク部43を当該色に対して定められた位置に配置するとともに、現像部33におけるカラートナーも当該色のものに変更することによりカラーフィルタが製造されてもよい。
以上のように、図1のトナー画像形成装置1では、レーザ41から感光ドラム31に向けて出射されるレーザ光の経路上において、感光ドラム31の回転軸J1に沿って並ぶ開口列51を有するマスク部43が配置され、ポリゴンミラー42によりマスク部43上におけるレーザ光の照射位置を開口列51に沿って移動することにより、マスク部43の各開口511を通過する光の感光体312上への瞬間的な照射が容易に実現される。これにより、潜像形成部4ではマスク部43を介して感光体312上に高精度な静電潜像を容易かつ高速に形成することができる。その結果、トナー画像形成装置1ではガラス基板9上に高精度なトナー画像を短時間に形成することができ、カラーフィルタ8を短時間で製造することができる。なお、トナー画像形成装置1にて用いられる小型のマスク部43は比較的安価であるため、装置の製造コストの大幅な上昇を招くことはない。
また、潜像形成部4では、感光体312上へと照射される光がマスク部43側へと反射する等した場合であっても、マスク部43では、開口511以外の領域へと入射する光の反射を防止する反射防止層としての役割が遮光パターン432により果たされるため、感光体312側からマスク部43へと入射する光の反射により感光体312上の静電潜像の質が低下する(例えば、コントラストが低下する)ことを防止することができる。なお、カラーフィルタの製造に際しては、通常、同一パターンのトナー画像の形成が繰り返されるが、トナー画像形成装置1において異なるパターンのトナー画像を形成する際には、マスク部43のみが交換される。
図7は、本発明の一の関連技術に係る潜像形成部4aを示す図である。図7の潜像形成部4aでは、感光ドラム31側に開口部を有する遮光ボックス40の内部に、LEDを図7中のX方向に1列(または、複数列であってもよい。)に配列したLEDアレイ41aが設けられ、LEDアレイ41aの下方(遮光ボックス40の開口部)にはマスク部43が設けられる。LEDアレイ41aは外部の電力供給部44に接続され、電力供給部44からLEDアレイ41aに電力が供給されることにより、LEDアレイ41aからフラッシュ光が出射される。トナー画像形成装置の他の構成は図1と同様である。
潜像形成部4aを有するトナー画像形成装置では、感光ドラム31の回転に同期して電力供給部44からLEDアレイ41aに電力が供給される。具体的には、光束断面がX方向に細長いフラッシュ光がマスク部43に照射されて2つの開口列51を通過した光が感光ドラム31上に導かれる。これにより、2つの開口列51に対応する感光ドラム31上の2つの照射領域列に一度に光が照射される。その後、これらの照射領域列がマスク部43における2つの開口列51のピッチの2倍に相当する距離(図3参照)だけ感光ドラム31の回転により移動した際に、次のフラッシュ光の照射が行われる。潜像形成部4aでは、電力供給部44の制御によりLEDアレイ41aからフラッシュ光が一定の周期にて出射されることにより、開口列51を通過する光による感光体312への瞬間的な照射が繰り返され、感光体312上には、それぞれがX方向に沿う複数の照射領域列が外周面に沿って一定のピッチにて配列される(すなわち、静電潜像が形成される。)。なお、潜像形成部4aにおける上記動作は、回転する感光ドラム31に対するステップ露光と捉えることもできる。
そして、感光体312上の静電潜像に現像部33によりトナーが付与されて感光体312上にトナー画像が形成され、感光体312上のトナー画像がガラス基板9に転写される(図1参照)。このようにして、R、G、Bの各色用のトナー画像形成装置にてガラス基板9上に当該色のトナー画像が形成され、定着装置を経由することにより、カラーフィルタが完成する。
以上のように、潜像形成部4aを有するトナー画像形成装置では、LEDアレイ41aからフラッシュ光を出射させることにより、マスク部43の複数の開口511を通過する光の感光体312上への瞬間的な照射を容易に実現することができる。その結果、マスク部43を介して感光体312上に高精度な静電潜像を容易かつ高速に形成して、ガラス基板9上にトナー画像を短時間に形成することができる。なお、LEDアレイ41aとマスク部43との間に、LEDアレイ41aからのフラッシュ光の光量分布を均一化するフィルタ等の光学素子が設けられ、感光体312上に静電潜像が均一な光量にて適切に形成されてもよい(後述の潜像形成部4b〜4eにおいて同様。)。また、潜像形成部4aでは、感光体312上における静電潜像の形成に支障が生じない限り、光源部として1つの(または、少数の)LEDが設けられるのみであってもよい。
図8は潜像形成部の他の例を示す図である。図8の潜像形成部4bでは、マスク部43と感光体312との間に、複数のレンズがX方向に配列されたレンズアレイ401(例えば、セルフォックレンズアレイ((商品名):日本板硝子社製))が配置され、レンズアレイ401によりマスク部43の像が感光体312上に形成される。
図8の潜像形成部4bを有するトナー画像形成装置においても、図7の潜像形成部4aと同様に、電力供給部44の制御によりLEDアレイ41aからフラッシュ光が一定の周期にて繰り返し出射され、マスク部43の開口列51を通過した光がレンズアレイ401により感光体312上へと導かれる。これにより、感光体312上に静電潜像をより精度よく形成することができ、ガラス基板9上により高精度なトナー画像を短時間に形成することができる。なお、図2の潜像形成部4並びに後述する潜像形成部4b〜4eにおいても、レンズアレイ401が設けられ、感光体312上に静電潜像がより精度よく形成されてもよい。
図9は、本発明の他の関連技術に係る潜像形成部4cを示す図である。図9の潜像形成部4cは、遮光ボックス40の内部においてタングステンランプ等の点光源や蛍光灯、あるいは、LED等(以下、単に「光源41b」という。)が設けられ、光源41bから光が継続的に出射される。また、光源41bの下方にはマスク部43が取り付けられるとともに、光源41bとマスク部43との間にはメカニカルシャッタ45が設けられる。メカニカルシャッタ45は、X方向に細長い開口450を有する開口板451を有し、開口板451はアパーチャ板移動機構452に接続される。アパーチャ板移動機構452は、モータ453およびモータ453に接続されたカム機構454を有する。モータ453が所定の回転角だけ回転すると、カム機構454が開口板451をY方向にスライドする。トナー画像形成装置の他の構成は図1と同様である。
トナー画像の形成時には、マスク部43の複数の開口列51(図3参照)は開口板451の開口450の(+Y)側の部位により覆われており、この状態において光源41bから開口列51へと向かう光が開口板451により遮蔽される。そして、アパーチャ板移動機構452が駆動されることにより、開口板451が(+Y)方向へと連続的に移動して開口板451の開口450の(−Y)側の部位をマスク部43の開口列51の上方に位置する。このとき、開口板451の開口450がマスク部43の複数の開口列51の上方を通過する間、光源41bからの光が開口列51へと導かれる(すなわち、図9に示すように、メカニカルシャッタ45が開放される。)。メカニカルシャッタ45の次の開放では、開口板451が(−Y)方向へと移動する。このようにして、メカニカルシャッタ45が微小時間だけ(瞬間的に)繰り返し開放される。
潜像形成部4cを有するトナー画像形成装置では、感光ドラム31の回転に同期してメカニカルシャッタ45の開閉が行われる。具体的には、メカニカルシャッタ45が瞬間的に開放されて2つの開口列51を通過した光が感光体312上に導かれる。これにより、2つの開口列51に対応する感光体312上の2つの照射領域列に一度に光が照射される。その後、これらの照射領域列がマスク部43における2つの開口列51のピッチの2倍に相当する距離だけ感光ドラム31の回転により移動した際に、次のメカニカルシャッタ45の瞬間的な開放が行われる。このようにして、潜像形成部4cでは、メカニカルシャッタ45により、開口列51を通過する光による感光体312への瞬間的な照射が繰り返されるとともに感光体312への光照射のタイミングも制御されることにより、感光体312上には、それぞれがX方向に沿う複数の照射領域列が外周面に沿って一定のピッチにて配列される。
感光体312上の静電潜像が形成された部位は、現像部33によりトナーが付与されてトナー画像が形成され、感光体312上のトナー画像がガラス基板9に転写される(図1参照)。このようにして、R、G、Bの各色用のトナー画像形成装置にてガラス基板9上に当該色のトナー画像が形成され、定着装置を経由することにより、カラーフィルタが完成する。
以上のように、潜像形成部4cを有するトナー画像形成装置では、光源41bとマスク部43との間に設けられるメカニカルシャッタ45を微小時間だけ開放させることにより、マスク部43の複数の開口511を通過する光の感光体312上への瞬間的な照射を容易に実現することができる。その結果、マスク部43を介して感光体312上に高精度な静電潜像を容易かつ高速に形成して、ガラス基板9上にトナー画像を短時間に形成することができる。
また、メカニカルシャッタ45の開口板451において、図10.Aに示すように、それぞれがY方向に長い矩形の複数の開口450a(図10.Aおよび後述の図10.B中に太線にて示す。)をX方向に配列形成し、開口板451をX方向に移動するアパーチャ板移動機構を設けることにより、図10.Bに示すように、開口板451の各開口450aがマスク部43上のY方向に並ぶ1組の開口511の上方に一時的に配置され、マスク部43の開口511を通過する光が感光体312上に瞬間的に照射されてもよい。
図11は、本発明のさらに他の関連技術に係る潜像形成部4dを示す図である。図11の潜像形成部4dは、遮光ボックス40の内部において図9の潜像形成部4cと同様の光源41bが設けられ、光源41bの下方にはマスク部43が取り付けられる。光源41bとマスク部43との間には、さらに駆動制御部47に接続された液晶シャッタ46が設けられ、駆動制御部47により液晶シャッタ46がOFFとされる間は光源41bからの光が遮蔽され、液晶シャッタ46がONとされる間は光源41bからの光が液晶シャッタ46を通過してマスク部43へと導かれる。トナー画像形成装置の他の構成は図1と同様である。
潜像形成部4dを有するトナー画像形成装置では、光源41bから光を常時出射しつつ、感光ドラム31の回転に同期して液晶シャッタ46を瞬間的にONとして(すなわち、液晶シャッタ46を開放して)、2つの開口列51に対応する感光体312上の2つの照射領域列に一度に光が照射される。実際には、潜像形成部4dでは、液晶シャッタ46により、開口列51を通過する光による感光体312への瞬間的な照射が繰り返されるとともに感光体312への光照射のタイミングも制御されることにより、感光体312上には、それぞれがX方向に沿う複数の照射領域列が外周面に沿って一定のピッチにて配列される。
感光体312上の静電潜像が形成された部位は、現像部33によりトナーが付与されてトナー画像が形成され、感光体312上のトナー画像がガラス基板9に転写される(図1参照)。このようにして、R、G、Bの各色用のトナー画像形成装置にてガラス基板9上に当該色のトナー画像が形成され、定着装置を経由することにより、カラーフィルタが完成する。
以上のように、潜像形成部4dを有するトナー画像形成装置では、光源41bとマスク部43との間に設けられる液晶シャッタ46を微小時間だけ開放させることにより、マスク部43の複数の開口511を通過する光の感光体312上への瞬間的な照射を容易に実現することができる。その結果、マスク部43を介して感光体312上に高精度な静電潜像を容易かつ高速に形成して、ガラス基板9上にトナー画像を短時間に形成することができる。
図12は、本発明のさらに他の関連技術に係る潜像形成部4eを示す図である。図12の潜像形成部4eでは、遮光ボックス40の内部において、光源41bの下方に図12中のXY平面に沿って二次元配列された複数の微小なシャッタ要素を有する液晶シャッタアレイ48が取り付けられ、液晶シャッタアレイ48には駆動制御部47aが接続される。トナー画像形成装置の他の構成は図1と同様である。
液晶シャッタアレイ48では、各シャッタ要素はONとされることにより光源41bから照射される光を透過する状態となり、OFFとされることにより光を遮蔽する状態となる。したがって、シャッタ要素の配列上に想定される複数の矩形領域のそれぞれに含まれるシャッタ要素のみをONの状態とすることにより、液晶シャッタアレイ48において複数の開口(光学的な開口)が配列形成される。
図13は、液晶シャッタアレイ48において形成される複数の開口521の一部を示す平面図である。液晶シャッタアレイ48ではX方向に並ぶ複数の開口521を開口列52として、複数の開口列52(図13では2つの開口列52)がY方向に一定のピッチにて形成される。ここで、図12の駆動制御部47aは複数の開口列52の領域に含まれるシャッタ要素を一括してON/OFF制御し、複数の開口列52以外の領域に含まれるシャッタ要素については、常時OFFとして遮光状態を維持する電気的回路とされる。また、液晶シャッタアレイ48の感光体312側の面の全体には反射防止層が形成され、感光体312側から液晶シャッタアレイ48へと入射する光の反射が防止される。
潜像形成部4eを有するトナー画像形成装置では、光源41bから光が常時出射されつつ、感光ドラム31の回転に同期して液晶シャッタアレイ48の複数の開口列52に含まれるシャッタ要素が瞬間的にONとされて(すなわち、シャッタ要素が開放されて)、複数の開口列52にそれぞれ対応する感光体312上の複数の照射領域列に光が一度に照射される。実際には、潜像形成部4eでは、複数の開口列52に含まれるシャッタ要素が一定の周期にて開放されることにより、開口列52を通過する光による感光体312への瞬間的な照射が繰り返され、感光体312上には、それぞれがX方向に沿う複数の照射領域列が外周面に沿って一定のピッチにて配列される。
感光体312上の静電潜像が形成された部位は、現像部33によりトナーが付与されてトナー画像が形成され、感光体312上のトナー画像がガラス基板9に転写される(図1参照)。このようにして、R、G、Bの各色用のトナー画像形成装置にてガラス基板9上に当該色のトナー画像が形成され、定着装置を経由することにより、カラーフィルタが完成する。
以上のように、潜像形成部4eを有するトナー画像形成装置では、光源41bと感光ドラム31との間に設けられる液晶シャッタアレイ48において、複数の開口列52に含まれるシャッタ要素のみを微小時間だけ一斉に開放させることにより、複数の開口521を通過する光の感光体312上への瞬間的な照射を容易に実現することができる。その結果、光を部分的に遮るマスク部としての役割を果たす液晶シャッタアレイ48を介して感光体312上に高精度な静電潜像を容易かつ高速に形成して、ガラス基板9上にトナー画像を短時間に形成することができる。また、駆動制御部47aは複数の開口列52の領域に含まれるシャッタ要素を一括してON/OFF制御するもので足りるため、簡単かつ安価な電気的回路にて駆動制御部47aを実現することができる。
なお、液晶シャッタアレイ48では、複数のシャッタ要素のそれぞれのON/OFF制御が可能な駆動制御部が設けられてもよい。この場合、複数のシャッタ要素のON/OFFを個別に制御することにより、光源41bからの光が通過する複数の開口の形状や配列を自在に変更して、感光体312上に様々な静電潜像を形成することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
上記実施の形態、並びに、図7、図9、図11および図12の関連技術では、感光体312上のトナー画像がガラス基板9に直接転写されるが、感光体312上のトナー画像は間接的にガラス基板9に転写されてもよい。図14は他の例に係るトナー画像形成装置1aの構成を示す図である。トナー画像形成装置1aでは、感光ドラム31上のトナー画像が転写される中間転写体23が設けられ、中間転写体23を介してガラス基板9上にトナー画像が転写される。具体的には、中間転写体23は環状のベルトとされ、感光ドラム31のトナー画像が形成された部位に中間転写体23が当接する。そして、潜像形成部4や現像部33等により感光体312上に形成されたトナー画像が中間転写ローラ231により循環移動する中間転写体23に転写されてガラス基板9へと送られ、転写ローラ22により中間転写体23とガラス基板9との間に電圧が付与されて、中間転写体23上のトナーがガラス基板9に転写される。なお、転写後の中間転写体23上の不要なトナーは、クリーナ24により除去される。このように、トナー画像形成装置1aでは、転写ローラ22のみならず中間転写体23や中間転写ローラ231も転写部として機能し、感光体312上のトナーが中間転写体23に一旦転写されてからガラス基板9に転写される。
潜像形成部において、マスク部の複数の開口を通過する光を感光体312上に瞬間的に照射させる機能は、上記実施の形態、並びに、図7、図9、図11および図12の関連技術におけるもの以外の他の手法により実現されてもよく、例えば、トナー画像形成装置の設計によっては、図7の関連技術におけるLEDアレイ41aに代えてストロボランプを設けることも可能である。
図9および図11の関連技術において、メカニカルシャッタ45または液晶シャッタ46はマスク部43と感光ドラム31との間に設けられてもよい。すなわち、潜像形成部4c,4dでは、光源41bと感光ドラム31との間にメカニカルシャッタ45または液晶シャッタ46を設けることにより、複数の開口511を通過する光の感光体312上への瞬間的な照射を簡単な構成にて実現することができる。
上記実施の形態、並びに、図7、図9および図11の関連技術では、マスク部43上の遮光パターン432により感光体312側から入射する光の反射が防止されるが、マスク部43においても、図12の関連技術における液晶シャッタアレイ48と同様に、感光体312側の面の全体に反射防止層が形成されて、感光体312上の静電潜像の質の低下が防止されてもよい。
上記マスク部43(または液晶シャッタアレイ48)では、1つの開口列のみが設けられてもよいが、ガラス基板9上にトナー画像を効率よく形成するには、マスク部43には互いに平行かつ同時に光源部(すなわち、レーザ41、LEDアレイ41aまたは光源41b)からの光が通過する複数の開口列が設けられることが好ましい。
上記実施の形態、並びに、図7、図9および図11の関連技術において、マスク部43に形成される複数の開口は、例えば、遮光性を有する材料にて形成された基材に物理的な開口を形成することにより実現されてもよい。また、上記実施の形態、並びに、図7、図9、図11および図12の関連技術において、マスク部43または液晶シャッタアレイ48にて形成される開口は、光源部から出射される特定の波長の光のみを透過するものであってもよい。すなわち、トナー画像形成装置においてマスク部としての役割を果たす部材(マスク部43または液晶シャッタアレイ48)では、光源部からの光が通過する複数の光通過領域が形成されることにより、感光体312上に静電潜像を容易に形成することが実現される。
トナー画像形成装置における処理の対象物は、ガラス基板9以外に半導体基板やプリント配線基板等の他の基板であってもよく、さらに、印刷用紙やフィルム等の基板以外のものであってもよい。ただし、トナー画像形成装置では、瞬間的な光照射が繰り返し行われることを考慮すれば、マスク部としての役割を果たす部材(マスク部43または液晶シャッタアレイ48)に、上記実施の形態のように光源部からの光が通過する複数の光通過領域を感光ドラム31の回転軸J1に平行に配列した光通過領域列を形成して、カラーフィルタの製造に利用されることが特に好ましいといえる。この場合、トナー画像形成装置における処理の対象物はガラス基板9以外に、例えば透明の絶縁フィルムであってもよい。また、液晶表示装置用のカラーフィルタ以外に、他の表示装置用のカラーフィルタが製造されてもよい。