JP4555022B2 - 脈波センサ及びそれを用いた生体情報測定装置 - Google Patents
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Description
一方、脈波測定法で従来用いている圧力センサは、通常は圧電セラミックなどの硬い材質で構成され、また比較的形状が小さいので、体表面の脈が触れる点の直上に精度良く装着することが難しい。
また、本発明の別の目的は、関節の裏など従来圧力センサの使用が容易でなかった部位であっても脈波を容易に測定することの可能な脈波センサを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、このような脈波センサを用いた生体情報測定装置を提供することにある。
●<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る脈波センサを側面下方から見た斜視図である。
本実施形態による脈波センサ100は全体としてクリップ状の形態を有する。脈波センサ100において、上部材101aは下部材101bに設けられた軸105を受ける軸受け部106を有しており、上部材101aと下部材101bは略コの字状に形成された板バネ102の弾発力により軸105と軸受け部106とが押しつけられる方向に付勢されている。
また、カフを用いた脈波測定と比べ、ポンプを用いる必要がないため、弁などの構成が不要であり、またカフの膨張、排気や圧力制御が不要であるため、より簡単な構成で、かつ精度良く脈波の測定を行うことができる。
さらに、トランスデューサを支持体に設けることにより、圧力センサとエアバッグとを接続するチューブを短くすることができ、より精度の良い脈波を検出することができる。
本実施形態は、第1の実施形態で提案した構成を基に、上腕動脈や膝窩動脈など、関節の裏側(内側)で脈を触れる部分を有する動脈からの脈波検出に好適な構成とした脈波センサについて説明する。図4は本実施形態に係る脈波センサの構成例を示す斜視図である。
本実施形態の脈波センサは、基本的な構成を第1の実施形態の脈波センサと共通とするが、関節の裏側に脈を触れる部分を有する動脈の直上での測定に特化した構成を有している。具体的には上部材101aの先端部109の形状と、エアバッグ110の大きさである。
本実施形態も第2の実施形態と同様、上腕動脈や膝窩動脈など、関節の裏側で脈を触れる部分を有する動脈からの脈波測定に適した脈波センサに関する。
図6は、本実施形態に係る脈波センサの構成例を示す図で、図6(a)が斜視図、図6(b)が図6(a)を矢印a方向から見た図である。本実施形態の脈波センサは、略コの字状の上部材201と、第1の方形部分とその略中央部分から略垂直方向に延びる第2の方形部分から構成される略T字状の下部材202とから構成される。
第3の実施形態の構成では、上部材201が先端部で連結された略コの字形状を有しているため、例えば腿と脛の太さに大きな差がある場合、上部材201の腿を押圧する部分と、脛を押圧する部分とで押圧力が異なることになる(細い部位の押圧力が少なくなる)。そのため、本実施形態においては、図8(a)に示すように、第3の実施形態における上部材201を分離し、2つの独立した上部材201a、201bとした。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態で説明したように、トランスデューサを支持体に配置することが可能であり、その場合にはより精度の良い脈波を得ることが可能である。
図8(b)は、第4の実施形態の変形例を示す図である。本変形例においても、独立した2つの上部材201a、201bを有する点で図8(a)の構成と共通する。本変形例では、上部材201a、201bが、他方の上部材方向へ延びる延長部201cを有することを特徴とする。
次に、本発明の第5の実施形態に係る脈波センサについて説明する。
第1〜第4の実施形態において、エアバッグは硬質素材からなるクリップ状の支持体に取り付けられていた。それに対し、本実施形態の脈波センサでは、柔軟な材質からなり、少なくとも一部が伸縮性を有するベルト状の支持体(ベルト支持体)にエアバッグを取り付けた構成を有する。
ベルト支持体301は例えばネオプレンゴムなどの柔軟で伸縮性を有する部材を少なくとも一部に有し、本実施形態ではサイドリリースバックルである着脱ロック302により両端を接続もしくは分離することが可能である。また、ベルト支持体301の長さを調節するための機構として、折り返し部304が設けられている。折り返し部304はベルト支持体301の外表面の任意の位置に接合することが可能であり、折り返し部304を丸カン305で折り返してベルト支持体301の外表面の適切な位置に接合させることで、ベルト支持体301全体の長さを調整することができる。このような構成は、例えば折り返し部304の一面に面ファスナーのカギ側又はループ側の一方を設け、またベルト支持体301の対応する外表面に面ファスナーの他方を設けるなどによって実現できる。
本実施形態におけるトランスデューサ320は、脈波を検出するだけでなく、脈波検出前の圧力を検出し、適切な押圧力でエアバッグ110が測定部位に取り付けられるように補助する機能を有している。具体的には、トランスデューサ320の筐体に表示装置(ここではLED)325を設け、予め定めた適切な範囲の圧力が検出された状態でLEDを点灯させる。具体的には、予め適切な範囲の圧力に対応する電圧値範囲を測定しておき、電圧波形(脈波信号)を平滑化して得られる電圧値(直流成分)がこの電圧値範囲にある状態でLED325を点灯させる等の構成を用いることができる。もちろん、他の方法を用いても良い。
エアバッグ110を用いて脈波を測定する際には、適切な力でエアバッグを測定部位に押圧することが品質の良い脈波を取得する上で好ましく、このような補助機能はユーザ支援のみならず、品質の良い脈波を得る点からみても好ましい。
そして、LED325が点灯する状態となるよう、折り返す部分の長さを調整し、折り返し部304をベルト支持体301外表面に張り付け、固定する。
この状態で、ケーブル330によって接続される図示しない記録装置で記録を開始すればよい。
また、保護シートに位置決め用の穴を設けることで、関節裏側の動脈直上にエアバッグが位置するように取り付けることが容易である。
さらに、取付圧力が適正範囲であることを報知する構成を有するため、医療関係者でなくても適切な圧力での取付が可能であり、必要以上に測定部位を締め付けることがないため、被検者の負担が軽減されるほか、質の良い脈波を得ることが可能になる。
図12に、本発明の第6の実施形態に係る脈波センサの構成例を示す。本実施形態は第5の実施形態における保護シート303の穴310の代わりに、図4(b)で説明したような椀状の位置決め部材340を設けたものである。従って、他の構成については第5の実施形態と共通であり、重複する説明は省略する。
本実施形態の構成では第5の実施形態よりもさらに関節部位を用いた位置決めが容易であり、図4(b)の構成と同様、直感的に装着方法を理解することが可能になる。なお、本実施形態の変形例として、図4(a)に示したようなリング状の位置決め部材を設けても良いことは言うまでもない。
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、上部材101aと下部材101bとが板バネ102によって接続される構成であったが、第3の実施形態で説明したような軸210とねじりコイルバネ215を用いて接続される構成であっても良い。
上述の第1〜第4の実施形態においては、エアバッグ110が硬質樹脂板や下部材内面といった硬い面の上に取り付けられた構成であった。エアバッグ110はそれ自体が柔軟な素材で構成されているため、取り付け面が硬質な素材であっても、体表面と接する面の柔軟性によりセラミックなどの圧力センサと比較して接触面積は大きい。
(脈波伝播速度測定装置)
上述した脈波センサは様々な生体情報測定装置に利用可能である。最も簡単な例として、脈波伝播速度測定装置を挙げることができる。
図において、10はPWV測定装置の全体制御を司る演算制御部であり、図示しないCPU、ROM、RAM、各種インタフェース等から構成され、例えばROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより後述する測定処理を含めた装置全体の制御を実行する。
図14は、上述の脈波センサを用いた血圧測定装置の構成例を示す図である。なお、図13に示したPWV測定装置と共通する構成要素には同じ参照数字を付し、重複する説明は省略する。
この方法では、ドップラー血流計のプローブの固定、カフの加圧、減圧(排気)は測定者が全て手動で行う必要があり、非常に煩雑であった。
Claims (15)
- 被検者の体表面で観察される脈波を測定するための脈波センサであって、
前記脈波を検出するセンサと、
前記センサを被検者の体表面上に押圧固定させるための支持体とを有し、
前記センサがエアバッグであって、前記エアバッグの容積を維持するとともに、前記エアバッグの硬さを皮膚と同等(硬度1程度)にするための弾性部材からなる心材を内部に有し、前記脈波を内部気体の圧力変動として出力するエアバッグであることを特徴とする脈波センサ。 - 前記支持体が、
共通の回転軸周りに所定量回転可能で、かつ前記回転軸周りの互いに対向する方向へ付勢される第1及び第2の部材を有し、
前記センサが前記第1及び第2の部材の一方の内面に配置されていることを特徴とする請求項1記載の脈波センサ。 - 前記第2の部材の内面に前記センサが配置され、前記第1の部材の前記センサに対向する部分がリング状又は上に凸の椀状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の脈波センサ。
- 前記第2の部材が第1の部分と、当該第1の部分の略中央部分から略垂直方向に延びる第2の部分を有する略T字形状を有するとともに、前記第2の部分の内面に前記センサが配置され、
前記第1の部材が前記第2の部材の前記第1の部分の両端部において、前記第2の部材と共通の軸に取り付けられた略コの字形状を有することを特徴とする請求項2記載の脈波センサ。 - 前記第2の部材が第1の部分と、当該第1の部分の略中央部分から略垂直方向に延びる第2の部分を有する略T字形状を有するとともに、前記第2の部分の内面に前記センサが配置され、
前記第1の部材が独立した2つの部材から構成され、当該2つの部材が、前記第2の部材の前記第1の部分の両端部において、前記第2の部材と共通の軸に取り付けられたことを特徴とする請求項2記載の脈波センサ。 - 前記第1の部材を構成する前記独立した2つの部材が、他方の部材に向かって延びる延長部を有することを特徴とする請求項5記載の脈波センサ。
- 前記センサが弾性体を介して前記第1又は第2の部材の内面に取り付けされることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の脈波センサ。
- 前記弾性体が、流動体を封入したバッグもしくは前記第1又は第2の部材の内面から距離を持って張り渡された弾性体であるであることを特徴とする請求項7記載の脈波センサ。
- 前記支持体が、両端に着脱可能なロック手段を有し、長さ調節可能な伸縮性ベルト状支持体であることを特徴とする請求項1記載の脈波センサ。
- 前記ロック手段が被検者の体表面に接することを防止するための保護シートをさらに有し、前記保護シートには前記脈波センサを関節部位に装着する際の位置決め用穴が設けられることを特徴とする請求項9記載の脈波センサ。
- 前記支持体の、前記センサに対向する部分に、リング状又は上に凸の椀状に形成された位置決め部材が設けられていることを特徴とする請求項9記載の脈波センサ。
- 前記センサに接続され、前記センサが出力する前記圧力変動を電気信号に変換し、脈波信号として出力する変換手段をさらに有し、
前記変換手段が前記支持体上に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の脈波センサ。 - 前記変換手段が、前記圧力変動に基づいて前記センサの取付圧力を検出すると共に、前記取付圧力が予め定めた適切な圧力範囲に含まれることを表す表示手段を更に有することを特徴とする請求項12記載の脈波センサ。
- 複数の、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の脈波センサと、
前記複数の脈波センサで検出される脈波を用いて脈波伝播速度を求める算出手段とを有することを特徴とする脈波伝播速度測定装置。 - 請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の脈波センサと、
カフと、
前記カフの加減圧を行う駆血制御手段と、
前記カフの内圧を検出する内圧検出手段と、
前記脈波センサで脈波が検出されなくなるまで前記駆血制御手段でカフを加圧させ、前記脈波センサで脈波が検出されなくなったならば前記駆血制御手段でカフの排気を開始させ、前記脈波センサで再度脈波が検出された時点で前記内圧検出手段が検出する前記カフの内圧を最大血圧値として記録する制御手段とを有することを特徴とする血圧測定装置。
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