JP4553895B2 - 均質発光エネルギー伝達バイオアッセイ - Google Patents

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Description

本発明は、エネルギードナーで標識した第一基およびエネルギーアクセプターで標識した第二基を含む発光エネルギー伝達に基づく均質バイオアッセイを用いて、可視波長にて、弱く透明であるか、または不透明である生物学的流体中の解析物濃度または生物学的活性の測定に関し、そこでは、前記ドナーは、低エネルギー励起を高エネルギー放射へアップ−コンバート可能である、発光ランタニド標識である。
本発明の背景を例示するため、とりわけ実用に関係するさらなる詳細を提供する場合に使用した本明細書で使用されている刊行物および他の資料は参考文献に加えられている。
均質バイオアッセイ技術
より単純で、迅速で、信頼でき、感度がよい、定量バイオアッセイの開発は、免疫アッセイ、他のリガンド結合アッセイおよび生物学的活性アッセイ技術の進化における、主要な目的の1つであった。厄介な工程である結合および遊離標識の分離に対する必要性を減少させ、アッセイをスピードアップすることが可能であり、アッセイを自動的に実施するために必要な器具構成を著しく単純化できるため、均質性免疫アッセイ方法は大きな注目を受けてきた(Ullman EF,J Chem Ed 1999;76:781-788、Ullman,EF,J Clin Ligand Assay 1999;22:221-227)。免疫解析のための発展的で低コストのポイント・オブ・ケア器具の開発における主要な障害物の1つは、標識技術の限界である。均質で非分離の免疫アッセイに好適な、現在利用可能な標識技術は、複雑な生物学的試料マトリックスの干渉を受け、たとえば競合的および非競合的アッセイ両方のような異なる解析物およびアッセイフォーマットに対して一般的に利用不可能であり、感度の良いアッセイが迅速なリードアウトを用いて実施することがまったくできないか、検出のために必要な器具が、複雑または高価すぎて、ポイント・オブ・ケア器具にて使用できないかのいずれかである。
いくつかの種類の物理的および化学的相互作用を使用して、特定の免疫学的複合体の形成による、光輝性ラベルの放射を改変可能であるので、光ルミネセンスに基づく均質アッセイ方法が、大きな注目を浴びてきた。一般的に利用されている方法は、2つの光輝性化合物間、または光輝性および非発光化合物間の、放出光の偏光または非放射エネルギー伝達に基づいている(Hemmila I,Clin Chem 1985;31:359-370)。Ullman らが、フルオレセインドナーとテトラメチルローダミンアクセプター対間での蛍光エネルギー伝達を、競合的および非競合的免疫アッセイ両方で構築するために利用可能であると示した、1970年代後期に、2つの蛍光化合物の蛍光特性が、均質免疫アッセイで利用された(Ullman EF ら J Biol Chem 1976;251:4172-4178、Ullman EF & Khanna PL,Methods Enzymol 1981;74:28-60)。エネルギー伝達は、ドナーの蛍光の減少より測定され、これは、さらに感度を改善するには制限があった。生物学的試料マトリックスの自己蛍光、光分散または吸収、およびアクセプター特有の波長におけるドナーの直接放出に対して、感光アクセプター放出の増加がわずかしか観察され得ないので、アクセプターの蛍光の増加(の測定)は、実際的ではない。
生物学的流体または血清に存在する多くの化合物およびタンパク質は、天然に蛍光であり、従来のフルオロフォアの使用では、深刻な感受性の制限につながる(Wu p and Brand L,Anal Biochem 1994;218:1-13)。強度測定に基づく均質蛍光技術を用いる際の他の主要な問題は、内部フィルター効果と試料の光学特性の多様性である。試料希釈を用いてこの欠点が矯正されてきたが、常に解析感度が犠牲となってきた。1990年代、長寿命放出および大きなストークスシフトを持つ蛍光ランタニドクリプタートおよびキレートをドナーとして使用した際に、免疫アッセイにおける蛍光エネルギー伝達の実現可能性が著しく改善された(Mathis G,Clin Chem 1993;39:1953-1959、Selvin PR らProc Natl Acad Sci USA 1994;91:10024-10028、Stenroos K ら,Cytokine 1998;10:495-499,国際特許第WO98/15830号、米国特許第5998146号、国際特許第WO87/07955号)。分離反応、たとえば開裂アッセイにおける標識技術の実現可能性も記述されてきた(Karvinen J ら,J Biomol Screen 2002;7:223-231)。
感光放出の時間分解蛍光検出は自己蛍光の排除を可能にし、二重シグナル比測定(米国特許第5527684号、Mathis,G,Clin Chem 1993;39:1953-1959)は試料の光学特性の多様性を矯正する。生物学的流体に存在する化合物およびタンパク質の蛍光は、寿命が短く、感光した(寿命を延ばした)アクセプター放出の、時間分解検出と組み合わせた、長寿命標識の使用は、アッセイバックグラウンドの最小化を可能にし、対バックグラウンドシグナル比が改善された。337nmでの励起光の吸収の多様性は、620nmでのドナーの放出を測定し、665nmでのエネルギー伝達シグナルと、620nmでの放出の比を用いることによって矯正され、血清試料の光学特性に依存しない多様性が生まれた。
微粒子担体上に結合した光輝性標識の共焦点検出に基づく分離フリーアッセイが、リアル均質アッセイに対する代案として紹介された(Saunders GC ら,Clin Chem 1985;31-2020-2023、Frengen J ら,Clin Chem 1993;39:2174-2181,Fulton RJ ら,Clin Chem 1997;43:1749-1756)。近年、技術が発展してきており、実際の標識のシグナルは変調されないが、未結合の標識された成分が空間的に測定から除外されるけれども、実施に祭し実質的に同じであるので、いくつかの新規の担体に基づく免疫アッセイが均質アッセイとして考慮できる(Hanninen P ら,Nat Biotechnol 2000;18:548、米国特許第5891738号、Schaertl S ら,J Biomol Screen 2000;5:227-238)。これらのアッセイは、さもなくば、均質アッセイと比較可能であるが、担体粒子が積極的にスキャンされなければいけないか、受動的に共焦点まで拡散されなければいけないため、測定は比較的遅く、いくつかの担体粒子に関連したシグナルが、信頼性のある測定のために必要とされる(Waris ME ら,Anal Biochem 2002;309:67-74)。微粒子ラベル対およびアップ−コンバートで光活性化した化学ルミネセンスに基づく真の均質アッセイである発光酸素チャネリング免疫アッセイ、LOCIが、強烈な感度を持って実証された(Ullman EF ら,Clin Chem 1996;42:1518-1526、Ullman EF ら,Proc. Natl Acad Sci USA 1994;91:5426-5430)が、粒子−粒子対形成における制限、および試料干渉に対する感受性は、従来の診断適用のための技術の適用を阻止してきた。少なくとも1つの標識の結合における立体妨害を避けるため、好ましくは標識−対の両方の標識は小分子の大きさであるべきである。
蛍光標識に基づく均質アッセイ技術によれば、洗浄工程のないシングルインキュベーション法を用いる非常に迅速で簡単なアッセイが可能になる。従来のほとんどの均質蛍光免疫アッセイ技術おいて、アッセイの性能は、非常に限定されており、アッセイの感度は、たとえば、尿、唾液、血清、血漿または全血のような、マトリックス成分およびマトリックスの光学特性から、蛍光収率およびバックグラウンドのレベルまでの干渉によって、およびたとえば消光、増幅、エネルギー伝達または偏光のような蛍光変調の達成可能な程度によって制限される(Hemmila I,1985)。可視波長および近赤外領域での生物学的マトリックスの光学特性が、Chance B,「組織中での光子移動(Photon Migration in Tissues)」、pp. 206、Kluwer Academic/Plenum Publishers,1990,New Yorkに記載されている。近赤外フルオロフォアを利用する蛍光を利用した蛍光偏光アッセイ(米国特許第6060598号)は、競合的結合アッセイに限定される。理想的に、蛍光シグナルの変調は、非競合または競合というアッセイのタイプ、または解析物のタイプや分子の大きさを制限すべきでなく、偏光は、アッセイ溶液の大部分が生物学的マトリックスからなる場合に、検出可能であり、好ましくは変化しないままであるべきである。一般的かつ感度のよい均質蛍光免疫アッセイに対するこれらの厳格な要求は、なぜ大部分の開発されたアッセイが学問的研究に限定され、解析物およびマトリックスの特定の型に制限され、弱い感度および狭い動的範囲を持つかを説明している(Mathis G,1993)。
長寿命発光標識
均質エネルギー伝達免疫アッセイにおける長寿命蛍光ランタニドクリプタートの利用は、改善されたアッセイ技術提供し、先の均質免疫アッセイ方法に関する問題のほとんどを解決した。時間分解増幅クリプタート放出(TRACE)技術は、非常に感度の良い非競合的アッセイを可能にする一般的な標識技術であり、競合的アッセイにも好適である。本技術は、ドナーおよびアクセプター放出両方の同時測定を用いて、試料吸収の矯正のみをともなう血清試料に適用可能であり、全血試料には適用可能ではない。本技術は、良い精度で、血清からの迅速かつ簡単な免疫アッセイを可能にしたが、商業的な成功とはならなかった。器具として、窒素レーザーを利用し、非常に強力でシャープな励起パルスを可能にし、励起パルスの後、測定ウインドウを即時に開示し、結果、すばらしい性能になったが、しかし高価な器具の設計となった。さらに、本技術が全血に好適ではなく、血清試料の分離を必要としたので、迅速なアッセイの利点が部分的に減少した。
光輝性近似性に基づく技術を用いる均質全血解析の開発には、近赤外線の窓での励起および感光放出による標識の選別が必要である。蛍光検出において、コストの高い利用可能なパルスレーザーまたは高頻度偏光励起およびサブ−ナノ秒時間分解(Augustin C. 2001,「偏光およびエネルギー伝達系のための生物解析蛍光プローブとしての、ランタニウム−リガンド複合体(Ruthenium-ligand complexes as bioanalytical luminescent probes for polarization and energy transfer systems)」Ph.D. Thesis,University of Regensburg,Germany,119 pp.)がいくらか感度を改善しうるが、原則として、好適な短寿命近赤外蛍光ドナーおよびアクセプター色素は存在し、しかし、自己蛍光および散乱によって検出の限界が制限される(Oswald B ら,Anal Biochem 2000;280:272-277)。高価ではない器具が、ミリ秒時間分解のために利用可能であり得るが、残念なことに、ミリ秒蛍光寿命で利用できる完璧な近赤外線蛍光ドナー色素はない。近赤外線の窓の外か、適切なアクセプター色素が現在入手可能な850nm以上の波長であるの放出ピークで励起されるため、近赤外蛍光ランタニド(III)キレート(Werts MHV. 2000。発光ランタノイド錯体:可視光感光赤および近赤外発光(Luminescent lanthanide complexes:Visible light sensitised red and near-infrared luminesence. )」Ph. D. Thesis,University of Amsterdam,The Netherlands. 131pp.)、ルテニウム(II)錯体(Augustin CM ら,Anal Biochem 2002;305:166-172)、リン光白金(II)およびパラジウム(II)リン(Soini AE ら,J Prophyrins Phthalocyanines 2001;5:735-741)、またはエネルギー−伝達色素(Lakowiez JR らAnal Biochem 2001;288:62-75)いずれもが、全ての要求される特徴を提供はしない。
反ストークスまたはアップ−コンバート発光体
長波放射、たとえば近赤外線放射によって励起可能であり、より短い波長をもつ放出放射、とりわけ可視放射を放出する発光物質はまた、反ストークスリン発光体またはアップ−コンバート発光体と呼ばれる。これらは、励起放射の2つまたはそれ以上の光子の連続吸収によって励起される。リン光体の発光中心が、同一のものから放出された光子が励起している光子よりエネルギーが豊富である、すなわち、放出した放射が励起放射よりも短い波長を持つような、高いエネルギーレベルに達するように、励起は従って、2つまたはそれ以上の段階で影響を受ける。2つまたはそれ以上の吸収された光子は、同一または異なるエネルギーまたは波長を持ち、これらは単独または多重光供給源によって産出可能でありうる。
アップ・コンバージョンは、記述された方法での多数の光子の吸収が、同時である必要がなく、著しく低い励起光の強度を適用可能であるので、同時の多数の光子吸収に基づいた2−光子または多重−光子励起(米国特許第5777732号、米国特許第5523573号)とは異なる。アップ−コンバート標識の励起は、たとえば、コンパクトで、高いパワーを持ち、また高価ではないパルスハロゲンランプ、またはセミコンダクター光放出ダイオードまたはレーザー(Johnson BD,Photonics Spectra 2001;35:52)で実施可能である。アップ−コンバージョンにて利用される励起放射は、測定に干渉する波長での、多重光子放射とともに、試料または周辺からのバックグランド放出を励起するには十分エネルギッシュではない。
アップ−コンバージョン光子は、1970年代より知られているが、これらの反ストークス蛍光の固有の特徴は、1990年代まで生物医学的研究で利用されて来なかった(Corstjens P ら Clin Chem 2001;47:1885-1893、Niedbala RS ら,Anal Biochem 2001;293:22-30、van De Rijke F ら,Nat Biotechnol 2001;19:273-276、Zjilmans HJMAA ら,Anal Biochem 1999;267:30-36)。
リガンド結合アッセイにおける、短寿命蛍光アクセプターとの長寿命微粒子ドナーの利用が、国際特許第WO02/44725号に記載されており、この特許はまた、ドナーとして反ストークス光子の利用を含んでいるが、全血解析には関していない。本特許出願において、微粒子に基づく均質時間解析アッセイの記載は、部分的に先行する国際公開WO00/23785号および国際公開WO99/12018号と重なり合ってはいるが、これらの特許は反ストークス光子の利用に関しては考慮していない。分離に基づく診断適用でのアップ−コンバートリン光子の利用は、国際公開WO94/07142号、米国特許第5674698号、米国特許第6159686号および米国特許第6312914号に記載されている。アップ−コンバートリン光子に基づく均質アッセイ原則は、国際公開WO98/43072号で記述されており、米国特許第2002/0119485号にさらに詳細に記載されている。アップ−コンバートキレートが、米国特許第5891656号、およびFaris GW and Hryndza M,Proc SPIE-Int Soc Opt Eng 2002;4626:449-452にて記述されている。周期的励起を用いる異なる寿命の分離方法が、国際公開WO99/63327号で記載されてきた。
したがって、これらのアップ−コンバート光子およびアップ−コンバートキレートは、種々のアッセイ、また均質エネルギー伝達アッセイにおいて利用のために提案されているが、現在までこれらは、300〜600nmの波長幅での放射を吸収し、現在の均質バイオアッセイ技術では測定が難しい、全血、血清または血漿または他の生物学的流体中で実施されるべき均質エネルギー伝達アッセイでの使用に関しては提案されていない。
本発明の目的および要約
本発明の目的は、300〜600nmの波長範囲での放射を吸収する生物学的流体、とりわけ全血、血清または血漿中で実施されるべきバイオアッセイでの利用に好適な発光エネルギー伝達に基づく均質バイオアッセイ技術を提供することである。本目的は、迅速で分離工程の必要ないアッセイで、生物学的流体中の標識または成分から干渉を受けずに一工程で実施可能であり、高価ではない器具によって実施可能であり、励起と放出精度間に時間分解の必要がなく、励起または放出波長での試料マトリックス吸収の変化の矯正の必要がないアッセイを実施することである。
本発明の発明者らは、以上で述べた目的が、ドナー標識として、アップ−コンバート発光ランタニドリン光子またはアップ−コンバート希土類キレートを用いることで達成可能であるということを発見した。
したがって、本発明は、エネルギードナーで標識した第一基とエネルギーアクセプターで標識した第二基を含む発光エネルギー伝達に基づく均質バイオアッセイを考慮し、ここで、
−ドナーは、発光ランタニドラベルであって、該ラベルは低いエネルギー励起をより高いエネルギー発光へアップ−コンバートすることが可能である、
−アクセプターは、発光または非発光標識のいずれかである、および
−前記標識間の距離の、短化または長化それぞれの結果であるドナーからアクセプターへのエネルギー伝達における増加または減少をそれぞれ測定する。
本発明によると、
−該アッセイは、波長範囲300〜600nmでの放射を吸収する生物学的流体中で実施される、
−測定は、波長>600nmにて実施される、および
−その放射より長い波長で励起できるドナーラベルは、生物学的流体が十分に励起放射を吸収しない波長ウインドウにて励起される。
ドナーの消光された発光、または発光アクセプターの感光放出は、生物学的流体が放出放射を十分に吸収せず、したがって、測定の妨げにならないような波長ウインドウで測定される。
本発明は、発光検出に基づく、均質、非分離バイオアッセイのための固有な特徴の組み合わせを提供する。
1)アッセイのシグナル(感光アクセプター放出または消光されたドナー放出)は、蛍光共鳴エネルギー伝達の効率は、距離の6乗に反比例するため、2つの標識、ドナーおよびアクセプター間の距離に完全に依存する。
2)アッセイのシグナルは、励起および放出波長両方が近赤外領域であるので、生物学的試料マトリックスには依存しない。
3)アッセイのシグナルは、生物学的物質が、反ストークス発光バックグラウンドを産出しないので、スペクトル分解のみで、すなわち時間分解の必要なしに測定可能である。
4)本標識技術は、1つまたは両方の標識部位が、小分子の大きさでありうるので、競合的および非競合的リガンド結合アッセイ両方、大および小解析物物質両方に対して好適である。
これらの特徴により最小限に希釈された全血試料(および他の生物学的流体)、および時間分解または試料の光学特性の矯正なしで、単純で高価ではない器具を用いて、感度の良い普遍的なバイオアッセイが実施可能であり、理想のプラットフォーム、例えばポイント・オブ・ケア免疫アッセイ法が提供される。
アップ−コンバートランタニド発光体は、2つの低エネルギー光子の順次吸収を介して赤外を可視光に変換するが、これはまさに固有の特徴であり、自然界にはほかに存在せず、赤外励起での光子特異的可視波長での生物学的流体によって、バックグラウンド蛍光または散乱があきらかに発生しない。アップ−コンバート標識は、増強されたシグナル対ノイズ比およびバックグラウンド試料自己蛍光の総減少を提供する。アップ−コンバート発光体の光学的特徴は、アップ−コンバージョン工程が、アップ−コンバート発光体結晶内で単独で起こるので、環境によって全く影響を受けない。
2つまたはそれ以上の光子は同時に吸収される必要がないので、これらのアップ−コンバート発光体の励起は2光子励起とは異なり、非常に高いレーザー力を必要としない。
これらの反ストークス発光化合物である、アップ−コンバートランタニド光子またはアップ−コンバートランタニドキレートは、時間分解蛍光共鳴エネルギー伝達アッセイにおける長寿命希土類キレートと同様に、免疫アッセイを含む均質バイオアッセイにてドナーとして利用可能であるが、時間分解、または紫外励起、および試料の光学特性における多様性の矯正の必要がなく、理想的な標識技術に対する特徴のすべてを提供する。実際、時間分解能をさらに必要とする時間分解検出と比較して、反ストークス測定は、単純なバンド−通過光学フィルターで、バックグラウンドの減少が改善可能であるべきである。
定義
両方標識されている用語「第一基(first group)」および「第二基(second group)」は、生物親和性認識成分(基間の距離が減少する反応、たとえば生物親和性反応中)、または分子または基質の一部(たとえば、ペプチド分子の遠位末端、互いに2つの標識化された基を分離しうる開裂)のような任意の成分が含まれることが理解されるべきである。
用語「バイオアッセイ(bioassay)」は、標識された基間の距離が減少する免疫アッセイおよび核酸ハイブリッド形成アッセイのような結合アッセイ、すなわち生物親和性アッセイを含むと理解されなければならない。さらに、本語句は、標識基間の距離が増加する開裂アッセイのような解離アッセイも含む。
用語「免疫アッセイ(immunoassay)」は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体、レセプター、組換え体抗体または抗体断片、ならびにアプタマーおよび人工タンパク質のような人工結合物に基づいた競合的または非競合的リガンド結合アッセイを含むと理解されなければならない。
用語「均質バイオアッセイ(homogeneous bioassays)」は、分離工程を必要としないバイオアッセイを含むと理解されなければならない。試薬の添加、培養および測定の各工程という単一または多数の工程のみが必要な工程である。
用語「発光(luminescence)」は、マイクロセカンドまたはミリセカンド蛍光寿命での遅延蛍光、およびリン光を含む光ルミネセンス、すなわち蛍光を含むと理解されなければならない。長寿命発光化合物は、1マイクロセカンド以上の発光寿命(発光放射強度が、相対値1/eまで減少する、すなわち約37%の発光放射強度が残っている時間)を持つと理解されなければならず、それ以下の発光時間を持つ化合物は、短寿命発光化合物と呼ばれる。
用語「発光ランタニド標識(luminescent lanthanide label)」および「ランタニド標識(lanthanide label)」は、1つまたはそれ以上のランタニドイオンを含有するランタニドキレートまたはキレート構造、リン粒子を含有する無機ランタニド、または前記ランタニドキレートまたはリン粒子いずれかを含有する重合体のナノ粒子を含むと理解されなければならない。ランタニドは、1つの単独ランタニド元素、またはいくつかの異なるランタニド元素の組み合わせを表しうる。
用語「ランタニド(lantanide)」は、ここでは「希土類金属イオン」と同等であり、単独のランタニド元素、および以下の異なるランタニド元素:ネオジミウム、プラセオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、プロメチウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびイットリウム、とりわけエルビウム、プラセオジミウム、ツリウムおよびイッテルビウム、の組み合わせを含むと理解されなければならない。
用語「アップ−コンバージョン(up-conversion)」は、低エネルギー入射光線を、光エネルギー放出光へ変換する光ルミネセンス工程を意味する。また、反ストークス光ルミネセンスとも呼ばれる。反ストークス光ルミネセンス物質は、低エネルギー光を高エネルギー光に変換する。「アップ−コンバージョン」において、二つまたはそれ以上の、同一または異なるエネルギーの、低エネルギー光子が、2つまたはそれ以上の段階で連続して吸収され、2つの光子または多重光子励起での同時吸収とは反対に、単一の高エネルギー光子が産出さる。
用語「アップ−コンバートランタニド標識(up-convert lanthanide label)」は、アップ・コンバージョンを持つ光ルミセンスランタニド化合物、すなわち、二つまたはそれ以上の段階で、励起に基づき低エネルギー励起を、高エネルギー放出にアップ−コンバート可能である発光ランタニド標識として理解され、2つまた3つの光子励起での同時吸収とは反対に、2つまたはそれ以上の光子が連続して吸収され、ラベルが励起される。アップ−コンバートランタニド標識には、アップ−コンバートランタニド発光体とアップ−コンバートランタニドキレートが含まれる。
用語「アップ−コンバートランタニドキレート(up-convert lanthanide chelate)」は、本明細書では、アップ−コンバートランタニド標識を意味し、アップ−コンバートランタニド標識では、単一の希土類イオンまたは異なる希土類イオンの組み合わせが、キレート化され、単核または多重核錯体化リガンドまたは多重リガンドとなる。リガンドは光捕獲構造を持っていても、または持たなくてもよい。個々のイオン、および光捕獲構造を持たないキレートされたリガンドの光回収効率は小さい。従って、アップ−コンバート希土類キレートは、光捕獲有機または無機構造、たとえば他のイオンを組み込んだリガンドを含有するように設定できる。収集された2つまたはそれ以上の光子のエネルギーは、分子内非放射方法によって、有機構造の一重項状態から三重項状態へ、ついで三重項状態から連続的に希土類イオンの放出レベルまでつぎからつぎへ伝達され、その後特徴的な放出である単一光子を放出する。
用語「アップ−コンバートランタニド発光体(up-convert lanthanide phosphor)」はアップ−コンバージョン可能な微粒子発光ランタニド標識として理解されなければならず、それは、微粒子は長波長放射を吸収し、長波長放射の連続吸収のエネルギー貯蓄の結果として、より短い波長で光を放出する。特定の発光体のタイプにおいて、励起するためにより短い波長のエネルギーの初期線量が必要であり、長波長放射のアップ−コンバージョンの前に発光体をプレロードすることが可能である。アップ−コンバート発光体は、一つまたは2,3のアクセプター分子へ、粒子内で同様に励起された状態の間のエネルギーの内部伝達によって、微粒子の一部または全部からのその励起を非局在化することができる。このことは、一つのアクセプターが、さもなければエネルギー伝達まで遠すぎて、効率的ではないであろうランタニドによって励起されうることを意味する。
用語「ドナー」および「ドナー標識(donor label)」は、十分に近距離である場合に、アクセプターへのエネルギー伝達が可能である、(バイオアッセイの第一または第二基に連結した)アップ−コンバート発光化合物として理解されなければならない。
用語「アクセプター」および「アクセプター標識」は、ドナーの放出スペクトルと少なくとも部分的に重なる吸収スペクトルを持ち、ドナーからのエネルギー伝達が可能である、(バイオアッセイの第一または第二基に連結した)発光または非発光化合物を意味する。
用語「生物学的流体」は、300〜600nmの波長範囲で、放射を吸収する任意の生物学的流体を意味し、とりわけ、全血、血清、血漿、唾液、尿、懸濁糞、精漿、汗、溶液、羊膜液、組織ホモジネートおよび腹水を意味する。生物学的流体は特に全血、血清または血漿、とりわけ全血を意味する。
生物学的流体は、そのような流体であるか、または希釈されたものでありえる。したがって、たとえば用語「全血(whole blood)」は、「希釈全血(dilutes whole blood)」も含むと理解されなければならない。
血清、血漿および全血のような生物学的流体は、600〜1000...1100nmの波長範囲内の光線を通し(より低い波長での人の血清は図1を参照)、とりわけ650〜900nm間の近赤外の領域では(光線を)通す。タンパク質および核酸は、紫外線領域で強く吸収し、多くのタンパク質、とりわけヘモグロビンの吸収は、650nm周辺の波長まで続く(ヒト全血の吸収スペクトルが示されている図2、および波長の関数として、オキシ−およびデオキシヘモグロビンの吸収を示し、全血に対するほとんどの透明波長範囲および近赤外線(NIR)の窓も示されている図3を参照のこと)。水は、900nmより長い波長では弱く光子を吸収し、1150nmより長い波長では、水吸収が優勢となる。実際、全血試料を利用する際、600〜1100nmの窓、より好ましくは650〜900nmの近赤外線の窓での波長実行可能である。
好ましいドナー標識
ドナー標識として使用するためのアップ−コンバートまたは反ストロークス発光ランタニドは、従って、水による吸収が優勢になる波長以下、すなわち1150nm以下、好ましくは1100nm以下、最も好ましくは900nm以下で励起可能でなければならない。
標識が近距離にある時、アクセプター標識がドナー標識の放射を消光する非発光標識である場合、その後、タンパク質および核酸による吸収が優勢になる限界より長い波長、すなわち好ましくは600nmより上、とりわけ650nmより上でアップ−コンバート発光ランタニド標識の放出が起こることもまた必要である。
アクセプター標識が発光標識である場合、アクセプター標識がドナーの放出波長よりも長い波長で放出するので、アップ−コンバート発光ランタニド標識の放出が、生物学的流体の成分による吸収が優勢になる限界以下の波長で起こることができる。
最も見込みのある反ストークスランタニド発光体は、エウロピウムおよびテルビウムのような他の長寿命発光ランタニドイオンと同様に、緑(550nm)および赤(670nm)での狭い放出帯を持ち、950〜1000nmでの近赤外線の窓の上限で励起される。狭い放出帯は、アクセプター特有の波長でドナーの低い直接放出を必要とするエネルギー伝達アッセイには好ましい。発光体の光学特性は、アップ−コンバージョン工程は宿主の結晶によって起こるので、それらの環境、たとえば緩衝液pHまたはアッセイ温度によって影響を受けない。
とりわけ好ましい反ストークス発光体を、図4aで示しており、アップ−コンバートEr(III)ドープ処理されたYb(III)発光体の励起(A:点線)および放射(B:実線)スペクトルを示している。発光体は精細な微粒子の形態である。励起は、930〜1010nmで最も効果的である。狭い放出帯は、510〜560nmおよび640〜680nmがある。図4bは、本ドナー標識の(A)励起、ならびに640〜680nmでの狭い放出帯(B)が、ヒト全血の透明波長領域でおこること、および(E)食塩水で希釈した抗凝固全血試料の吸収スペクトルを示している。前記ドナー標識は、(C)663nmでの励起帯、および(D)約690nmの波長までのびた幅広い放出バンドを持つ、アクセプター標識Alexa660との組み合わせで使用することが好適である。
本発明で使用される他の好適なアップ−コンバートランタニドドナー標識の例として、プラセオジミウム、ツリウム、ホルミウムまたはテルビウムのような他のランタニドとのイッテルビウムの組み合わせをあげることができる。いくつかの好適な発光体が、ルミノホア ジョイント ストック カンパニー(LUMINOPHOR Joint Stock Company(www.luminophor.ru))、ルミテック インターナショナル(LUMITEK International(www.lumitek.com))、およびホスホル テクノロジー(Phosphor Technology Ltd.(www.phosphor-technology.com))によって提供される。
好ましい実施様態によると、ドナー標識は微粒子であるか、微粒子中に埋め込まれる。微粒子の直径は、好ましくは1nm〜1μmの範囲である。
他の好ましい実施様態によると、ドナー標識は、アップ−コンバートランタニドキレートである。
好ましいアクセプター標識
アクセプター標識が、発光標識である場合、光が放出されるよりも短い波長での光の吸収によって励起され、その差異はストークスのシフトとして知られている。発光アクセプター標識は、好ましくは、ドナー標識の主要な、または著しい放出の波長での光の吸収によって励起され、好ましくは、ドナー標識の放射強度がないか、もしくは最小である波長で放出される。選択のための基準は、国際公開第98/15830号パンフレットおよび米国特許第US5998146号に記載されている。ドナー放出スペクトルおよびアクセプターの励起スペクトルの重なりは、絶対的な要求ではない。
アクセプター標識は、非発光標識の場合、好ましくはドナー標識の主要な、または著しい放出の波長で光を吸収する。
ドナー標識からのエネルギーは、1つまたはそれ以上のアクセプター標識、または1つまたはそれ以上の、同一または異なるタイプのアクセプター標識の一つまたはそれ以上のアクセプター標識を1つまたはそれ以上含有する微粒子に伝達されることができる。
発光アクセプター標識は、ストークスのシフトを増加させるように選択された単一の発光分子、または異なる発光分子の組み合わせであり得る。好ましい発光アクセプター標識は、迅速に崩壊する短寿命フルオロフォア(1マイクロ秒以下の蛍光寿命)、クオンタム ドット(Quantum Dot Corp)(www.qdots.com)社製の量子ドットのような半導体物質(Chan WC and Nie S,Science 1998;281:2016-2018)、および、たとえばモレキュラー プローブス(Molecular Probes(www.probes.com))社製の商標DluoSpheresおよびTransFluoSpheresとして入手可能な任意のこれら、またはこれらの任意の組み合わせで埋め込まれた重合化微粒子(米国特許第5326692号、Roberts DV ら J Lumin 1998;79:225-231;Han M ら Nat Biotechnol 2001;19:631-635)からなる群より選択される。発光アクセプターラベルまたはその一部はまた、近赤外線蛍光タンパク質である(Trinquet E ら Anal Biochem 2001;296:232-244、Kronick MN,J Immunol Methods 1986;92:1-13、Fradkov AF ら,FEBS Lett 2000;479:127-130)。
アクセプター粒子の好ましい大きさは、直径にして、1nm〜1μmの範囲である。
とりわけ好適なアクセプターフルオロフォアは、たとえば、モレキュラー プローブス(www.probes.com)社製のAlexaおよびBODIPYシリーズ、アマシャム バイオサイエンセス(Amersham Biosciences(www.amershambiosciences.com))社製のCy−dyes、ダイオミクス(Dyomics(ww.dyomics.com))社製のEVOblueおよびDY−dyes、アット−テック(Atto-tec(www.atto-tec.de))社製のAtto−Dyes、およびデノボ バイオラベルズ(Denovo Biolabels(www.biolabel.de))社製のOyster−dyesである。2つの蛍光分子からなる二量体蛍光エネルギー伝達色素、タンデム色素およびエネルギー−伝達カセットは、最適な励起および放出波長の利用が可能である、その大きく偏光可能なストークスシフトの特徴(米国特許第5565554号、国際公開第9939203号パンフレット、欧州特許第0747700 A2号、Burghart,A ら,Chem Commun 2000;22:2203-2204)に対して好ましい。
特定の例として、ドナー標識としての記載されたアップ−コンバートエルビウム標識とともに、アクセプター標識として使用するのが好適なAlexa546、Alexa555、Alexa660およびAlexa680をあげることができる。好ましいアクセプター標識は、ドナー標識の放射スペクトルのピークと、少なくとも部分的に重なり合う励起スペクトルを持ち、ドナーの放射とアクセプター波長間の放出が最大となるように選択されるべきである。図5は、2つの好ましい蛍光色素、Alexa555(1)およびAlexa660(2)の励起(A:点線)および放出(B:実線)スペクトルを示している。Alexa555(分子量およそ1250)は、それぞれ555と565nmにて最大となる、広い励起および放出バンドを持ち、600nm以上でも著しく放出があり、Alexa660(分子量約1100)は、それぞれ663nmおよび690nmであり、700nm以上でも著しく放出がある。
アップ−コンバート標識および発光アクセプター標識は、アップ−コンバート標識の励起と放出、およびアクセプター標識の最適な感光放出両方が、最小の吸収、および生物学的試料の光学特性の変化の干渉を持つ波長であるように選択可能である。アクセプター標識との組み合わせでのアップ−コンバート標識は、緩衝液に基づく標準および生物学的流体を使用する場合、吸収の矯正を必要としないほとんど同一のシグナルレベルを可能にする試料マトリックスに関わらずに、均質アッセイを実施可能にする。
非発光アクセプター標識、すなわちクエンチャー標識は、単一分子(米国特許第6329205B1号)、金クラスター(Dubertret B,Calame M,and Libchaber AJ,Nat Biotechnol. 2001;19:365-70)または光吸収分子で着色したナノ粒子でありうる。
とりわけ好適なアクセプターフルオロフォアは、たとえばモレキュラー プローブス(www.probes.com)社製のDABCYLおよびQSY−シリーズ、アマシャム バイオサイエンセス(www.amershambiosciences.com)社製のDark Cy-dyes、エポック バイオサイエンセス(Epoch Biosciences(www.epochbio.com))社製のEclipse Dark Quencher-dyes(商標)、バイオサーチ テクノロジーズ(Biosearech Technologies(www.biosearchtech.com))社製のBlack Hole Quencher-dyes、ダイオミクス(Dyomics(www.dyomics.com))社製のDYQ-dyes、およびオスウェル(Oswel(www.oswel.com))社製のElleQuencherである。特定の例として、ドナー標識として前述のアップ−コンバート、エルビウム標識と共に、非発光アクセプター標識として使用することが好適である前記のQSY-21およびBlack Hole Quencher 3があげられる。両方の色素とも、600〜700nmでの強力な吸収を持ち、発光放出はない。
他の好ましい実施様態
本発明にしたがったバイオアッセイは、非競合的アッセイまたは競合的アッセイのいずれかであり得る。図6は、アップ−コンバート発光近接アッセイに基づく(A)非競合的および(B)競合的結合アッセイの基本原則、(1)アップ−コンバート発光体標識、たとえば、解析物に特異的な光体断片で(ドナー)コートした、サブミクロンの大きさの粒子またはアップ−コンバートランタニドキレート、(2)解析物、(3)近赤外線発光(アクセプター)標識した解析物に対する抗体断片、(4)解析物または解析物の類似体の近赤外線発光(アクセプター)誘導体、(5)特定の波長でのアップ−コンバートランタニド標識(ドナー)の励起、(6)近接なドナーとアクセプター間の発光共鳴エネルギー伝達、(7)ドナーが長寿命発光化合物である場合、発光寿命が延びた感光アクセプター、および(8)アクセプター特異的波長での、発光アクセプターの感光放出、を示している。
本発明による方法では、時間分解は必要ないが、要求されれば適用可能である。特に、高濃度の標識された成分を使用する迅速なアッセイの感度は、図7で例示されるように、溶液中のドナーとアクセプター標識間での放射エネルギー伝達の結果であるアクセプター特異的波長での発光バックグラウンドによって制限される。それぞれ、放射および非放射エネルギー伝達からの光放出は、その寿命がそれぞれtau3およびtau2と異なり、放射エネルギー伝達は、時間分解および発光放出における異なる寿命の成分の分離で除外することができる。非放射エネルギー伝達の結果の光放出の発光寿命(tau2)は、放射エネルギー伝達(tau3)およびドナーの直接放出(tau1)からの光放出の寿命より短い(Heyduk T and Heyduk E,Anal Biochem 2001;289:60-67、Selvin PR ら,J Am Chem Soc 1994;116:6029-6030)。その寿命は、パルス励起および時間ゲート検出を用いて、あるいは代わりに相シフト発光放出の強度および解析にて変調した励起を用いて、分離することができる。また、寿命の分離により、高強度光供給源と共に2つの光子または複数の光子励起によって励起されうる短寿命バックグラウンドに対する区別が可能である。
また、本発明では吸収の矯正は必要ないが、要求されればそのような矯正は適用可能である。
本発明の方法は、様々な実施様態の形態で組込まれることが可能であり、それらのいくつかのみが本明細書に開示されている。この分野の当業者によって他の実施様態も存在し、本発明の精神より逸脱しないことは明らかであろう。従って、記載された実施様態は例示であり、制限として構成されるべきではない。
図1は、ヒト血清の吸収スペクトルを示している(A:生理食塩水中1:10希釈)。ヒト血清は、400〜1100nmにて比較的透明である。 図2は、ヒト全血の吸収スペクトルを示している(A:生理食塩水中1:10希釈)。ヒト全血は、600〜1100nmにて比較的透明である。 図3は、近赤外(NIR)ウインド(650〜900nmの波長範囲)を示している。本図は、ヘモグロビン(Hb)および水(H2O)が、NIRウインド内で、最低の吸収係数を持つことを示している。 図4aは、好ましいアップ−コンバートリン光体(Er(III)ドープYb(III)リン光体)の励起(A:点線)および放出(B:実線)スペクトルを示している。 図4bは、図2に挿入した図4aおよび5(Alexa660;(2))を示している。図4bにて、ドナーの主要な励起(A)および放出(B)バンドが、アクセプターAlexa660の励起(D)および放出スペクトル、および全血の吸収スペクトル(E:生理食塩水内1:10希釈)との組み合わせ(C)で示されている。 図5は、2つの短寿命発光アクセプター色素、Alexa555(1)およびAlexa660(2)の、励起(A:点線)および放出(B:実線)スペクトルを示している。 図6は、ドナーが微粒子アップコンバートランタニド標識である場合の、アップ−コンバート発光近接アッセイに基づく、(A)非競合的、および(B)競合的免疫アッセイの基本原則を示している。 図7は、感光アクセプター放出(tau2:非放射エネルギー伝達)、および放射バックグラウンド放出(tau3:放出された光の再吸収)の寿命の差の例示を示している。

Claims (14)

  1. −ドナーが発光ランタニド標識であり、前記標識は低いエネルギー励起からより高いエネルギー発光へアップ−コンバート可能であり、
    −アクセプターは、発光または非発光標識のいずれかであって、
    −前記標識間の距離の短化または長化の結果、ドナーからアクセプターへのエネルギー伝達における増加または減少それぞれを測定する、エネルギードナーで標識した第一基およびエネルギーアクセプターで標識した第二基からなる発光エネルギー伝達に基づく均質バイオアッセイであって、
    −アッセイが波長範囲300〜600nmにて放射を吸収する生物学的流体中で実施され、および
    −測定は、波長>600nmにて実施する、および
    −その放射より長い波長で励起されうるドナー標識が、生物学的流体は本質的に励起放射を吸収しない波長領域にて励起される、
    ことを特徴とするバイオアッセイ。
  2. アクセプター標識が、非発光標識であって、ドナー標識の放射が、生物学的流体が、本質的に放射を吸収しない、波長領域内であることを特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ。
  3. アクセプター標識が、発光標識であって、前記アクセプター標識の放射は、生物学的流体がアクセプターの励起放射を本質的に吸収しない波長領域内であることを特徴とする請求項1記載のバイオアッセイ。
  4. 前記生物学的流体が、全血、血清、血漿、唾液、尿、懸濁糞、精漿、汗、溶液、羊膜液、組織ホモジネートおよび腹水、とりわけ全血、血清または血漿であることを特徴とする請求項1、2または3記載のバイオアッセイ。
  5. 前記生物学的流体が、全血であり、ドナー励起が600nmより上で、1100nmまでの波長領域中であることを特徴とする請求項4記載のバイオアッセイ。
  6. ドナー励起が650〜900nmの波長領域中であることを特徴とする請求項5記載のバイオアッセイ。
  7. アクセプター標識が、600〜1100nmの波長範囲内で放射する発光標識であることを特徴とする請求項5または6記載のバイオアッセイ。
  8. アクセプター標識が650〜900nmの波長範囲内で放射することを特徴とする請求項7記載のバイオアッセイ。
  9. 前記ドナー標識が、発光ランタニドキレートであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオアッセイ。
  10. 前記ドナー標識が発光ランタニド発光体粒子、または粒子中に埋め込まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオアッセイ。
  11. 前記バイオアッセイが、解析物の検出または定量のための免疫アッセイであって、前記ドナー標識が、解析物特異的第一抗体または抗体断片を持つ粒子上に適用され、前記アクセプター標識が、i)免疫アッセイが非競合アッセイとして実施される、第二解析物特異的抗体または抗体断片上で、または ii)免疫アッセイが競合アッセイとして実施される、解析物類似体上のいずれかで適用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオアッセイ。
  12. 前記粒子が、直径1nm〜1μmの範囲であることを特徴とする請求項11記載のバイオアッセイ。
  13. 前記ドナーが長期励起状態寿命を持ち、前記アクセプターが短い励起状態寿命を持ち、アクセプターの放射が遅延後測定されることを特徴とする請求項1または3〜12のいずれか1項に記載のバイオアッセイ。
  14. 吸収の矯正を行わないことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のバイオアッセイ。
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