以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は実施例の撮像装置100の斜視図、図2はこの撮像装置100の右側面図、図3は撮像装置100の背面斜視図、図4はカバーを開けた状態の撮像装置100の背面斜視図である。
図示するように、撮像装置100は、被撮像物が載置されるテーブル110と、このテーブル110上の図示しない被撮像物を撮像するカメラヘッド120と、テーブル110上の被撮像物を照明する照明ユニット130とを備える。テーブル110は、前方側が丸みを帯びた方形の平板状をなし、前方側上面に、スイッチ群112を備え、右後方側壁には、メモリカード装着機構113とUSB( Universal Serial Bus )端子114と有する。このスイッチ群112は、ズーム、オートフォーカス、アイリス、ホワイトバランス等の設定のためのスイッチの他、本装置の機能設定・メモリ書き込み等ためのスイッチを含むが、本発明の要旨と直接関係しないので、その説明は省略する。
また、テーブル110は、図3と図4に示すように、テーブル周囲側壁のうち、その後端側に、テーブル上面を切り欠く凹所115を備え、当該凹所の奥側に後述の外部装置と接続するためのコネクタ端子群116を配設して備える。テーブル110は、後端側にカバー117を開閉自在に備え、当該カバーにて凹所115におけるテーブル上面の切欠部分を覆う。カバー117は、フラップ状に開閉され、図3に示す閉鎖状態では、テーブル110のテーブル上面と実質的に面一となり、カバー部分の表面を、テーブル上面に連続した面とする。
カメラヘッド120は、テーブル110に対してカメラ保持アーム140で保持される。このカメラ保持アーム140は、テーブル側アーム142とカメラ側アーム144を備え、テーブル側アーム142の基部143でテーブル110に回動自在に保持される。カメラ側アーム144は、カメラヘッド120と連結固定され、テーブル側アーム142との連結部でそれぞれ回動自在とされている。よって、カメラヘッド120は、カメラ側アーム144と一体となってテーブル側アーム142の先端で回動可能である。
照明ユニット130は、テーブル110に対して照明ユニット保持アーム150で保持される。この照明ユニット保持アーム150は、その基部152でテーブル110に回動自在に保持され、その先端側では、照明ユニット130を回動自在に保持する。
カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150は、テーブル110の左奥コーナーの隆起部118において回動自在に同軸に軸支され、テーブル110に対する傾斜の程度が変わるよう、テーブル110に対して同軸に回動する。撮像装置100は、このように回動自在に軸支されたアームを有することから、アームの回動に伴い、種々の形態を取り得る。ここで、両アームの回動軸支の構成の説明に先立ち、撮像装置100が取り得る種々の形態について説明する。図5はカメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の両アームを共にテーブル側まで回動させた装置収納・運搬・保管時の撮像装置100を示す斜視図、図6は装置前方側を撮像する際の撮像装置100を示す斜視図、図7は装置後方側を撮像する際の撮像装置100を示す斜視図である。
上記した両アームの軸支の様子や照明ユニット130の軸支の様子から、図2に示すように、カメラ保持アーム140は、図中の矢印Xkaに示すように、テーブル110に対して傾斜程度が変わるよう回動し、この図2や図1、図3に示す状態から、カメラヘッド120をテーブル110の上面に近づける状態まで回動可能である。カメラヘッド120は、テーブル110に載置された被撮像物の撮像時において、図1ないし図3に示す姿勢(撮像姿勢)を取り、上記の被撮像物をテーブル上方側から撮像する。なお、カメラヘッド120がこの撮像姿勢を取るとき、後述の軸支構成のストッパによりカメラ保持アーム140の回動は規制され、カメラ保持アーム140はテーブル110に対して最も大きな傾斜(最大傾斜)となる。
照明ユニット保持アーム150は、図中の矢印Xsaに示すように、テーブル110に対して傾斜程度が変わるよう回動し、この図2に示す状態から、照明ユニット130をテーブル110の上面に近づける状態まで回動可能である。また、照明ユニット保持アーム150は、照明ユニット130が図2に示す位置より後方の位置となるまで回動可能である。照明ユニット130は、照明ユニット保持アーム150との連結部において図中の矢印Xshに示すように回動する。この場合、テーブル110に載置された被撮像物の撮像時には、照明ユニット保持アーム150はカメラ保持アーム140より後方側に位置し、照明ユニット130は、通常、カメラヘッド120より後方の図に示す姿勢(照明姿勢)を取り、テーブル110に載置された被撮像物をテーブル上方側から斜めに照明する。
こうしたテーブル上面の被撮像物撮像の他、撮像装置100は、図5に示す収納形態を取る。この形態では、照明ユニット保持アーム150がテーブル110に対する傾斜程度が最小となるよう回動し、照明ユニット130は、テーブル110の上面に近づきその筐体外壁をテーブル110に重ねたテーブル側照明ユニット姿勢となる。カメラ保持アーム140については、テーブル側アーム142がテーブル110に対する傾斜程度が最小となるよう回動し、カメラ側アーム144がテーブル側アーム142との連結部でほぼ180°回動して横方向から見るとテーブル側アーム142と重なるようになる。こうしたアーム回動により、カメラヘッド120は、その前面に有するクローズアップレンズ122を斜め上方に向かわせてテーブル110の上面に近づくテーブル側カメラヘッド姿勢を取り得る。
つまり、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の上記した回動動作により、カメラヘッド120は、既述した図1ないし図3の撮像姿勢から図5に示すテーブル側カメラヘッド姿勢にその姿勢を変えて保持される。照明ユニット130についても同様であり、この照明ユニット130は、既述した図1ないし図3の照明姿勢から図5に示すテーブル側照明ユニット姿勢にその姿勢を変えて保持される。
また、撮像装置100は、図6に示す前方撮像形態を取る。この形態では、カメラ保持アーム140は、そのテーブル側アーム142を上記した最大傾斜としたまま、カメラ側アーム144を装置後方側に回動させる。これにより、カメラヘッド120は、装置前方に向き、装置前方の被撮像物を撮像する。更に、撮像装置100は、図7に示す後方撮像形態を取る。この形態にあっても、カメラ保持アーム140は、テーブル側アーム142を最大傾斜としたまま、カメラ側アーム144を装置前方側に回動させる。これにより、カメラヘッド120は、装置後方に向き、装置後方の被撮像物を撮像する。
こうした前方撮像時或いは後方撮像時にあって、カメラヘッド120では、クローズアップレンズ122を非装着とすることもできる。こうしたカメラヘッド120による装置前方・後方の撮像の際、カメラ側アーム144とテーブル側アーム142との回動連結部に組み込まれた図示しない節度機構により、カメラ側アーム144のテーブル側アーム142に対する回動位置は定まるようにされている。
照明ユニット130は、上記したカメラヘッド120による装置前方・後方の撮像の際、図示するようにテーブル110に重なった姿勢を取ることができるが、その姿勢は、装置前方・後方の撮像に支障のない位置に任意に調整可能である。なお、照明ユニット130は、その照明光の照射箇所を図7に示すように傾斜させ、その傾斜箇所に照明光が透過する窓132を備える。よって、図7に示しように後方撮像時には、照明ユニット130をその被撮像物の照明光源、補助光源として利用することもできる。
ここで、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の両アームの軸支構成について説明する。図8は隆起部118におけるアーム軸支機構200を説明するためカバー部分を取り去った状態を示す説明図、図9はアーム軸支の軸を含んで図8を鉛直に切断してアーム軸支機構200を示す断面図、図10はこのアーム軸支機構200を装置後方から見て分解した状態を示す分解斜視図である。
これら図面に示すように、アーム軸支機構200は、テーブル110の図示しない骨格フレームに固定される左右のプレート202L、202Rを対向させ、この両プレート間にカメラ保持アーム140(詳しくは基部143)と、照明ユニット保持アーム150(詳しくは基部152)とを保持する。カメラ保持アーム140の基部143は、アルミダイキャスト製の第1パーツ143aと第2パーツ143bとを位置決めした上で接合して構成される。なお、図10では、装置後方からの描画である都合上、図8、図9とパーツの並びが逆となる。以下に説明する他の部品についても同様である。
第1パーツ143aは、下端側にピンボス143cを備え、当該ボスには、第1軸支軸メイン部材203が位置決め装着され、図示しないボルトにて固定される。第1軸支軸メイン部材203は、その中央に第1メイン軸204を備え、その先端をナット205のネジ軸206とする。そして、この第1軸支軸メイン部材203は、第1メイン軸204をプレート202Lに形成された軸支穴207に嵌合させた上で、平座金208、皿バネ209、平座金210を介在させ、ナット205にてプレート202Lに固定される。これにより、基部143は、第1パーツ143aの側において、第1軸支軸メイン部材203の第1メイン軸204にて軸支される。こうした構成において、ナット205による皿バネ209の撓み代調整により、第1メイン軸204が軸支穴207において回動する際の摩擦力、即ちカメラ保持アーム140回動時の摩擦力を調整する。
第2パーツ143bは、第1パーツ143aのピンボス143cの反対側に柱状突起143dを備え、当該突起には、第2軸支軸部材212が位置決め装着される。この第2軸支軸部材212の固定の様子については後述する。第2軸支軸部材212は、その中央に第2軸支軸214を備え、その先端を基部152締め付けのためのスペース確保用のシャフト部216とする。第2軸支軸部材212は、そのフランジ部に位置決め用の孔217を備え、第2パーツ143bにおける突起143eをこの孔217に嵌め込むことで、第2パーツ143b、延いては基部143(カメラ保持アーム140)と位置決めされて一体となる。
基部143への第2軸支軸部材212と第1軸支軸メイン部材203の装着に際しては、第2軸支軸部材212の第2軸支軸214と、第1軸支軸メイン部材203の第1メイン軸204とが同軸となるように調整される。これにより、第2軸支軸部材212は、その第2軸支軸214を第1メイン軸204と同心の軸とすると共に、基部143(カメラ保持アーム140)と一体となって回動(回転)することになる。
この場合、柱状突起143dは、その先端中央のピン嵌合孔143fに第1サブ軸ピン220を嵌合固定して備え、この第1サブ軸ピン220を第1メイン軸204と同軸とする。この第1サブ軸ピン220は、その先端をプレート202Rの軸支穴222に嵌合させてEリング223にて抜止され、左右のプレート202L、202Rの軸支穴207と軸支穴222とは同軸である。よって、基部143(カメラ保持アーム140)は、同軸の第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220とにより基部両側で軸支され、この軸回りに回動する。その上で、こうした回動の際の摩擦力は、ナット205の締め代調整を介した皿バネ209の撓み具合で調整される。
照明ユニット保持アーム150の基部152は、鋼板をプレス成型した第1パーツ152aと第2パーツ152bとを位置決めした上で接合して構成される。これら両パーツは、下端側の円盤部152c、152dにそれぞれ貫通孔230、232を備え、両円盤部の間に樹脂製のスペーサ234を挟持する。照明ユニット保持アーム150の基部152は、このスペーサ234を挟持した状態で、カメラ保持アーム140の基部143の第2軸支軸部材212に組み付け装着される。
つまり、第1パーツ152aを、第2軸支軸部材212の第2軸支軸214が貫通孔230に嵌合するよう組み付け、その円盤部152cに重ねてスペーサ234を配置し、その貫通孔235に第2軸支軸214を嵌合させる。その上で、第2パーツ152bを、その円盤部152dがスペーサ234に重なり、貫通孔232に第2軸支軸部材212のシャフト部216が嵌合するよう組み付ける。これにより、照明ユニット保持アーム150、詳しくは、第1パーツ152aと第2パーツ152bは、両パーツの円盤部が後述する締め付けにより変形しないようにして、第2軸支軸部材212の第2軸支軸214およびシャフト部216により基部両側で軸支され、その軸回りに回動する。この第2軸支軸214とシャフト部216は、カメラ保持アーム140の回動軸である第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220と同心であることから、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とは、テーブル110に対する傾斜の程度が変わるよう、テーブル110に対して同軸に回動自在に軸支されることになる。
アーム軸支機構200は、上記のようにして回動自在に軸支した照明ユニット保持アーム150(基部152)の回動時の摩擦力調整のため、第2パーツ152bの円盤部152dに皿バネ240を重ね、当該皿バネを平座金242で固定する。つまり、皿バネ240の貫通孔241に第2軸支軸部材212のシャフト部216を入り込ませ、平座金242を図示する3個のネジにて第2パーツ143bの柱状突起143dの側に締め付ける。このネジによる皿バネ240の撓み代調整により、第1パーツ152aと第2パーツ152bを組み付けた基部152(照明ユニット保持アーム150)がカメラ保持アーム140の基部143と一体となった第2軸支軸部材212の第2軸支軸214およびこれと同軸のシャフト部216の軸回りに回動する際の摩擦力、即ち照明ユニット保持アーム150回動時の摩擦力は調整される。なお、平座金242は、等ピッチのネジ装着用の3個の穴と孔243を備え、この孔243に柱状突起143d先端面の突起143gを嵌め込み、中央の貫通孔244に第1サブ軸ピン220の小径部を嵌め込むことで、柱状突起143dに対して位置決めされる。
本実施例では、皿バネ240の撓み代調整による照明ユニット保持アーム150の回動時の摩擦力が、皿バネ209の撓み代調整によるカメラ保持アーム140の回動時の摩擦力より小さくなるようにされている。よって、両アームの回動動作は次のようになる。
カメラ保持アーム140を、その両側の第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220の軸回りに回動させる場合、カメラ保持アーム140と一体の第2軸支軸部材212は、カメラ保持アーム140と一緒に回動する。この第2軸支軸部材212には、照明ユニット保持アーム150が皿バネ240の撓みに基づく摩擦力を受けて保持されている。カメラ保持アーム140を回動させる場合、照明ユニット保持アーム150に働く上記の摩擦力を生じる皿バネ240は、照明ユニット保持アーム150を第2軸支軸部材212(カメラ保持アーム140)と一体としておく押し付け力を作用させるので、照明ユニット保持アーム150は、このカメラ保持アーム140と一緒に常に回動する。
ところが、照明ユニット保持アーム150を回動する場合は、次のようになる。照明ユニット保持アーム150は、上記した皿バネ240の撓みに基づく摩擦力に抗して回動する。こうしたアームの回動を起こす力は、照明ユニット保持アーム150と第2軸支軸部材212を介在させて係合するカメラ保持アーム140にも、アームの回動を起こす力として作用する。しかしながら、カメラ保持アーム140は、皿バネ209の撓みに基づく力を受けて第1軸支軸メイン部材203に押し付けられており、皿バネ209の撓みに基づく摩擦力は、皿バネ240の撓みに基づく摩擦力(即ち、照明ユニット保持アーム150の回動を起こす力)に勝るようにされているので、カメラ保持アーム140は、テーブル110に対する傾斜位置を変えることなく、その位置に留まる。よって、照明ユニット保持アーム150を回動させる場合は、照明ユニット保持アーム150だけが単独で回動することになる。
上記した両アームを回動自在に軸支するアーム軸支機構200は、この他、カメラ保持アーム140の回動終端姿勢、即ち、カメラヘッド120が上記した撮像姿勢とテーブル側カメラヘッド姿勢を取る場合のアーム終端位置を規定するため、次の構成を有する。図8ないし図10に示すように、アーム軸支機構200は、左右のプレート202L、202Rの間に、シャフト246、248を架設して備える。この両シャフトは、両プレートとの間隔を規定するほか、プレートの補強材としても機能する。
カメラ保持アーム140は、第1パーツ143aの端部に外周から突出した突起143hを備え、この突起143hは、両プレート間に架設されたシャフト246、248の間に位置する。よって、この突起143hが図8における手前側のシャフト246に当接すると、カメラ保持アーム140は、カメラヘッド120が上記した撮像姿勢となるよう、テーブル110に対して最大傾斜角度をなし、その位置に留まる。一方、突起143hが図8における奥側のシャフト248に当接すると、カメラ保持アーム140は、カメラヘッド120が上記したテーブル側カメラヘッド姿勢となるよう、テーブル110に対して最小の傾斜角度をなし、その位置に留まる。
次に、上記した構成を備える撮像装置100を用いる際のアームの回動動作について説明する。図11は図5に示す撮像装置100の収納・運搬・保管時の状態から被撮像物の撮像に推移するまでのアームの回動動作を説明する説明図、図12は図11に示す状態からアーム回動動作を進めた状態を示す説明図である。
撮像装置100は、精密機器であるカメラヘッド120を被撮像物の撮像の際にはテーブル110の上方に保持する(図1参照)。この状態では、不用意にカメラヘッド120に何らかの機器が衝突等することも有りえることから、撮像装置100は、装置の収納時やその運搬時、或いは保管時等にあって、図5に示すようにカメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150の両アームを共にテーブル側まで回動した状態とされる。こうすることで、精密機器でもあり重量物でもあるカメラヘッド120が低い位置を取るので、安定性が高まると共に、機器衝突等も抑制できる。
そして、こうした収納時の状態にある撮像装置100を使用する場合は、装置使用者は、カメラ保持アーム140、詳しくはテーブル側アーム142に手を掛けて当該アームをテーブル110の側から引き上げるよう、回動させる。そうすると、撮像装置100は、回動操作のなされたカメラ保持アーム140を回動させるほか、上記したアーム軸支機構200により、図11に示すように、このカメラ保持アーム140と一緒に照明ユニット保持アーム150をも回動させる。つまり、照明ユニット保持アーム150は、なんらの回動操作を受けなくても、図5に示す姿勢から図11に示すようテーブル110に対して傾斜するよう、回動する。この場合、カメラ保持アーム140、延いては照明ユニット保持アーム150の停止位置は、既述したようにカメラ保持アーム140が有する突起143hとシャフト248との当接(図8、図10参照)で定まることから、再現性よく両アームはその停止位置まで回動する。
図11に示す状態から図1に示す撮像に備えた姿勢とするには、装置使用者は、カメラ保持アーム140におけるカメラ側アーム144に手を掛けて当該アームをほぼ180°回動させ、図12に示すように、テーブル側アーム142に対して連続させる。そうすると、撮像装置100は、カメラヘッド120をテーブル110上の被撮像物の撮像姿勢とする。その一方、照明ユニット130をテーブル110上の被撮像物の照明に適した照明姿勢とするため、装置使用者は、照明ユニット保持アーム150に手を掛けて当該アームを所望する位置(例えば、照明ユニット130が図1に示す照明位置となる位置)まで回動させる。この際、照明ユニット保持アーム150は、上記したアーム軸支機構200による軸支により、テーブル110に対する傾斜の程度が変わるよう単独で回動する。つまり、カメラ保持アーム140をカメラヘッド120が撮像姿勢を取るよう停止させたまま、照明ユニット保持アーム150を単独で任意の角度まで回動させることができる。こうすれば、被撮像物の形態(立体・シート等)や性状(表面光沢の有無)に合わせて、或いは、カメラヘッドへの照明の映り込み回避等のために、照明ユニット130だけを、照明ユニット保持アーム150単独の回動により種々に位置に調整できる。
また、図1に示す撮像状態から図5に示す収納等の状態とするには、上記した動作と逆にアーム回動を行えばよい。つまり、使用状態にある撮像装置100において(図1参照)、装置使用者は、カメラ保持アーム140、詳しくはテーブル側アーム142に手を掛けて当該アームをテーブル110の側に近づくよう(傾斜程度が最小となるよう)回動させる。そうすると、撮像装置100は、回動操作のなされたカメラ保持アーム140を回動させるほか、上記したアーム軸支機構200により、カメラ保持アーム140と一緒に照明ユニット保持アーム150をテーブル側に回動させる。つまり、照明ユニット保持アーム150は、なんらの回動操作を受けなくても、図1に示す姿勢から図5に示すようテーブル110に対して傾斜角度が小さくなるよう回動する。この場合、仮に、照明ユニット保持アーム150が図1に示す位置よりも後方側に傾斜していれば、カメラ保持アーム140が最小傾斜角度となるまで回動すると、照明ユニット保持アーム150は、カメラ保持アーム140と一緒に回動するものの、テーブル110に対して若干傾斜していることになる。よって、照明ユニット保持アーム150を単独で最小傾斜角度となるように回動させる。
カメラ保持アーム140が最小角度まで回動した後には、カメラ側アーム144をテーブル側アーム142の側にほぼ180°回動させれば、撮像装置100は、図5に示す収納等に備えた姿勢となる。なお、こうしたアームの収納等のための回動動作も、カメラ保持アーム140の停止位置は、既述した突起143hとシャフト246との当接(図8、図10参照)で、再現される。
以上説明したように、本実施例の撮像装置100によれば、カメラ保持アーム140の回動動作の際の照明ユニット保持アーム150の既述した連動を常に起こすことで、撮像装置100の使用時から収納時等、或いはその逆の収納時等から使用時までのアーム回動動作を簡略化できる。しかも、照明ユニット保持アーム150については、被撮像物の照明に適した位置に130が位置するよう、単独で任意にアーム角度(テーブル110に対する傾斜程度)を調整できる。この結果、装置の使い勝手が高まる。
しかも、本実施例では、カメラヘッド120が撮像姿勢(図1参照)を取る際のアーム角度と、テーブル側カメラユニット姿勢(図5参照)を取る際のアーム角度とを、カメラ保持アーム140が有する突起143hと左右のプレート間のシャフト246、248との当接で規定する。よって、カメラ保持アーム140を回動操作させる際のアーム操作性も高まる。
また、本実施例では、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とをアーム軸支機構200により同軸で回動自在に保持したので、省スペース化、装置の小型化の点からも好ましい。加えて、アーム軸支機構200は、穴とこれに嵌り込む軸との関係でアーム保持を図るので、構成も簡略化できる。
本実施例では、アーム軸支機構200とこれに保持するカメラ保持アーム140および照明ユニット保持アーム150を形成するに当たり、アルミダイキャスト・鋼板プレスを用い、アーム軸支機構200の構成部材についても、スペーサ234以外を総て金属製とした。その上で、アーム構成部材と軸支機構構成部材を、導通可能に接合させることとした。よって、カメラ保持アーム140で保持するカメラヘッド120、および照明ユニット保持アーム150で保持する照明ユニット130において、それぞれの構成部材と軸支機構構成部材をアース接地路として利用できるので、配線の簡略化、設置作業の簡便化を図ることができる。
更に、本実施例では、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とをテーブル110の上面左奥コーナの隆起部118にて軸支し、当該コーナとカバー117を挟んだ反対のテーブル上面右奥側には、アーム軸支のための隆起を設けないようにした。よって、カバー117がテーブル110の上面と面一となることと相俟って、テーブル上面右奥側についても被撮像物の設置個所として、或いは被撮像物の撮像箇所変更のための撮像物移動場所として利用できるので、テーブルの小型化にも有益である。
また、本実施例の撮像装置100では、テーブル後端にカバー117を設けたので、次の利点がある。図13はカバー117を開いてコネクタ端子群116におけるコネクタ接続の様子を示す説明図である。
撮像装置100は、テーブル後端側のコの字状の凹所115におけるテーブル奥側の側壁に、図4に示すように種々のコネクタ端子を並べたコネクタ端子群116を有する。このコネクタ端子群116の各端子には、図13に示すように、DVI( Digital Visual Interface )規格に対応した高画質の図示しないディスプレイに接続されるDVIコネクタC1と、RGB信号の出力用コネクタC2、RGB信号の入力用コネクタC3、コンポジット映像信号を出力するためのC端子コネクタC4、セパレート映像信号を出力するためのS端子コネクタC5、パソコン等のシリアル通信機器である外部機器との信号送受信のためのRS−232CコネクタC6、電源コネクタC7が接続されている。
装置使用者は、これらコネクタを、図13に示すように、カバー117を開いた状態で該当するコネクタ(図4参照)に接続できるので、作業性が高まる。また、これら各コネクタは、凹所115におけるテーブル奥側の側壁から突出し、場合によっては、テーブル外側に突出することもある。しかし、カバー117を閉じることにより、こうしたコネクタをテーブル上面側から見えないようできるので、装置の見栄えを向上させることができる。また、カバー117は、その閉じた状態において、カバー上面をテーブル110のテーブル上面とほぼ面一としてテーブル上面を確保した上で、コネクタ端子群116の各コネクタをカバー117の下方で突出させるに過ぎない。よって、設置場所の省スペース化とコネクタ端子設置を両立することができる。
こうしたカバー117の設置は、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とをテーブル上面左コーナの隆起部118で回動軸支する本実施例の撮像装置100に適用すると、テーブル上面右コーナの上記した有効利用の上から好ましい。しかし、テーブル上面が十分な広さで確保されてテーブル上面の両コーナにカメラヘッド保持・照明ユニット保持のアームを軸支した撮像装置にも、上記したカバー117を適用でき、こうした装置であっても、見栄え向上の利点がある。
次に、上記した実施例の変形例について説明する。撮像装置100では、カメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150とを同軸に、且つ既述したアーム回動動作を起こすよう軸支したが、以下の変形例では、両アームを同軸配置を取らないで軸支した点に特徴がある。図14は変形例の撮像装置におけるカメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150を軸支するアーム軸支機構200Aを装置後方から見て分解した状態を示す分解斜視図である。
図14に示すように、この変形例のアーム軸支機構200Aは、カメラ保持アーム140を軸支する軸と照明ユニット保持アーム150を軸支する軸を、第2パーツ143bにおいて並べて備える。つまり、第1パーツ143aに位置決め装着される第2パーツ143bには、既述した柱状突起143dとこれに類する柱状突起143dAとを並んで備え、柱状突起143dAのピン嵌合孔143fAにて、先に説明した第1軸支軸メイン部材203の第1メイン軸204と同軸となるよう第1サブ軸ピン220Aを軸支する。これにより、カメラ保持アーム140は、左右のプレート202L、202Rの間で、第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220Aにより両側で回動自在に軸支される。なお、柱状突起143dAは、平座金242による皿バネ240の締め付けに用いないことから、その先端にネジ穴や突起143gを必要としない。
カメラ保持アーム140は、上記の柱状突起143dAの上方に突出形成された柱状突起143dにて、先に説明した場合と同様の部材・構成で、第2軸支軸部材212の第2軸支軸214およびシャフト部216の軸回りに回動自在に軸支される。この場合、第1サブ軸ピン220は、平座金242の孔243に入り込み、平座金242の組み付け案内として機能する。
こうした変形例のアーム軸支機構200Aにあっても、皿バネ209の撓み代調整を経たカメラ保持アーム140回動時の摩擦力調整と、皿バネ240の撓み代調整を経た照明ユニット保持アーム150回動時の摩擦力調整の様子は同じであり、前者の摩擦力の方が後者より勝るようにされている。
この変形例にあっても、カメラ保持アーム140を、その両側の第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220の軸回りに回動させる場合には、照明ユニット保持アーム150を第2軸支軸部材212の第2軸支軸214に軸支したままカメラ保持アーム140と一緒に回動させることができる。そして、照明ユニット保持アーム150を回動する場合には、この照明ユニット保持アーム150を第2軸支軸部材212における第2軸支軸214とシャフト部216の軸回りに単独で回動できる。よって、先の実施例と同様の効果を奏することができる。
次に、他の実施例について説明する。先の実施例では、カメラヘッドや照明ユニットの保持アームの回動操作の観点から装置の使い勝手の向上を図ったが、以下に説明する実施例では、カメラヘッドへの照明の映り込みの抑制或いは解消を簡便化し、使い勝手の向上を図ることを目的とする。例えば、特許文献1で提案された撮像装置において、装置の小型化を図ると、ライト(照明ユニット)の設置個所やその保持アームの長さ等の制約から、ライト(照明ユニット)の位置変更範囲が限られるので、ライト位置変更では、カメラヘッドへの照明の映り込みの抑制或いは解消が不十分となることも予想される。こうしたことを踏まえ、この実施例は、以下の構成を採用した。図15は他の実施例の撮像装置100Aの斜視図、図16はテーブルに組み込んだステージを傾斜させた状態の撮像装置100Aの斜視図、図17はステージを傾斜させた状態の撮像装置100Aの右側面図、図18はステージ傾斜機構310とステージプレート300の傾斜の様子を模式的に説明する説明図である。
この実施例の撮像装置100Aは、先に説明した実施例と同様、カメラヘッド120をカメラ保持アーム140で保持し、照明ユニット130を照明ユニット保持アーム150で保持し、両アームを隆起部118のアーム軸支機構200にて回動自在に保持する。撮像装置100Aは、テーブル110Aの上面側にステージプレート300を備え、当該プレートの傾斜動作を行うためのスライドバー301をテーブル左側面に有する。
テーブル110Aは、ステージプレート300の形状に倣った凹所302を上面に備え、当該凹所にステージプレート300を入り込ませている。ステージプレート300は、テーブル110Aの隆起部118周辺を除いたテーブル上面のほぼ全面を占め、残余のテーブル上面とほぼ面一となるよう凹所302に位置する。よって、撮像装置100Aでは、このステージプレート300が被撮像物の載置されるテーブル上面を形成する。
ステージプレート300は、既述した撮像装置100がテーブル110に装着していたカバー117を、このプレートに対して開閉自在に備え、プレート後端側にカバーストッパ305を有する。よって、カバー117は、後述するようにステージプレート300が傾斜すると、ステージプレート300と一体となって傾斜する。その一方、カバー117は、ステージプレート300に対して独自に開閉するので、既述したコネクタ端子群116とこれに接続されたコネクタの覆いや、テーブル上面(ステージプレート300の上面)の一部として機能する。
ステージプレート300は、図16や図17に示すように、テーブル後端側が上昇するようテーブル110Aに対して傾斜する。本実施例では、こうしたプレート傾斜をもたらすため、テーブル110Aにステージ傾斜機構310を有する。このステージ傾斜機構310は、平板とこれに係合するピンを組み合わせたリンク機構を採用して構成され、ステージプレート300とテーブル110Aの底面板との間に介在する。図15に示すスライドバー301は、そう回動操作により、テーブル側金具311の長穴312に入り込んだピン312のスライドを起こる。これにより、ステージ傾斜機構310は、ステージプレート300をテーブル後端側が上昇するようテーブル110Aに対して傾斜させる。
本実施例では、ステージ傾斜にリンク機構を用いたステージ傾斜機構310を採用したが、このステージ傾斜機構310に、カム機構やクランク機構、トグル機構等を採用できることは勿論である。
以上説明したように、撮像装置100Aでは、ステージ傾斜機構310を用いてステージ傾斜を行うので次の利点がある。
例えば、図17に示すように、照明ユニット130をカメラヘッド120より後方側に位置させて照明を行う場合、照明ユニット130は、照明ユニット保持アーム150の回動により任意の位置を取り得る。よって、ステージプレート300がテーブル110Aの凹所302に入り込んでいる状態において、照明ユニット130から照射されてテーブル上面(ステージプレート300上面)で反射した反射光は、照明ユニット130の位置によっては、図中の反射経路Hrfを通ってカメラヘッド120に入り込むことがある。こうした事態となるとカメラヘッド120への照明の映り込みが起き、撮像画像に乱れを起こす。或いは、被撮像物を移動させたり交換すると、被撮像物の形状・性状等の相違のために、それまで起きていなかった照明の映り込みが、被撮像物移動等に伴い生じることもある。
本実施例の撮像装置100Aでは、こうした事態が起きた場合、スライドバー301の回動操作を経たステージ傾斜機構310によるステージプレート300の傾斜を起こすことができる。ステージプレート300の傾斜に伴いステージプレート300上面も傾斜するため、このプレート上面に対する照明ユニット130からの照明光の照射角度とカメラヘッド120の光軸の角度とを同時に変更する。よって、ステージプレート300の傾斜以前に例えば反射経路Hrfでカメラヘッド120に映り込んでいた反射光は、その反射経路をカメラヘッド120からズレた反射経路Hrsに変えて進むので、カメラヘッド120への照明の映り込みは抑制或いは解消される。
つまり、本実施例の撮像装置100Aによれば、カメラヘッド120への照明の映り込みの抑制・解消を、照明ユニット保持アーム150の回動による照明ユニット130の位置変更と、ステージ傾斜機構310によるステージプレート300の傾斜という二つの手法で図ることができる。しかも、装置の小型化等のために照明ユニット130の設置個所やその保持アームの長さ等の制約があって、照明ユニット130の位置変更が困難であっても、ステージプレート300の傾斜により、カメラヘッド120への照明の映り込みの抑制或いは解消を容易に図ることができる。これらの結果、本実施例の撮像装置100Aによれば、カメラヘッド120への照明の映り込みの抑制・解消を図る上での使い勝手が高まると共に、装置の小型化にも対応できる。
しかも、本実施例の撮像装置100Aでは、テーブル後端側、即ち照明ユニット130が照明のために位置する側においてステージ端部が上昇するよう、ステージプレート300を傾斜させた。よって、ステージ傾斜後の反射光の反射経路Hrsを照明ユニット130から遠ざかる側にカメラヘッドから外すので、カメラヘッド120への照明の映り込みをより確実に抑制或いは解消できる。
次に、また別の変形例について説明する。この変形例は、カメラ保持アーム140がテーブル110に対する傾斜が広がるように回動操作される際に補助力を発生させてカメラ保持アーム140のアーム回動動作をアシストする点に特徴がある。図19は変形例のアーム軸支機構200Bの要部を説明するためのサブアッシー図、図20はこのアーム軸支機構200Bを図9と同様に切断して示す断面図、図21はアーム軸支機構200Bを装置側方から見て分解した状態を示す分解斜視図である。なお、アーム軸支機構200Bの説明に際しては、上記した実施例と同一の機能を果たす部材については同一の符号を用いてその説明を省略することとする。
これら図面に示すように、変形例のアーム軸支機構200Bは、テーブル110の図示しない骨格フレームに固定された左右のプレート202R、202Lの間にカメラ保持アーム140と照明ユニット保持アーム150を回動自在に軸支する点で変わりはなく、カメラ保持アーム140(詳しくは、その基部143)の側の軸支構造が相違する。照明ユニット保持アーム150の軸支構造は、基部152の第1パーツ152a、第2パーツ152bを左右のカバー152e、152fで覆って示されているものの、既述したアーム軸支機構200と同様である。この点につき、まず簡単に説明する。
カメラ保持アーム140の基部143は、その第2パーツ143bが有する柱状突起143dに、突起143eを介して第2パーツ143bと位置決めされた第2軸支軸部材212を有する。そして、この第2軸支軸部材212中央の第2軸支軸214に、照明ユニット保持アーム150の基部152が有するスペーサ234を回動自在に装着する。照明ユニット保持アーム150の基部152は、このスペーサ234を第1パーツ152aと第2パーツ152bで挟持し、既述したような皿バネ240の撓み代調整により、照明ユニット保持アーム150の回動の際の摩擦力を調整する。これにより、照明ユニット保持アーム150は、基部143の第2軸支軸214を軸として回動自在となり、既述したように、テーブル110に対して単独で回動すると共に、カメラ保持アーム140と連動して回動することになる。
この変形例では、図20に示すように、カメラ保持アーム140をプレート202Rの側で軸支するための軸ピンを、プレート202Lの側まで延びた第1サブ軸ピン220Bとする。この第1サブ軸ピン220Bは、第2パーツ143bの柱状突起143dの貫通孔143jに嵌合固定され、プレート202Lの側まで延びる。そして、第1サブ軸ピン220Bは、プレート202Rの側ではその軸支穴222に嵌合し、プレート202Lの側では、このプレート202Lに固定される後述のブラケット250の軸支孔251に嵌合して、Eリング223にてピン両端で抜止される。
次に、カメラ保持アーム140(詳しくは、その基部143)の側の軸支構造について説明する。基部143は、その第1パーツ143aに、第2パーツ143bの側に入り込んだ有底の凹所143kを形成し、凹所底部中央に、貫通孔143mを備える。貫通孔143mには、第1サブ軸ピン220Bが嵌合するので、第1パーツ143aと第2パーツ143bとが接合した基部143では、第1パーツ143aの貫通孔143jと第2パーツ143bの貫通孔143mとは同軸となる。
第1パーツ143aは、先の実施例と同様、第1軸支軸メイン部材203を備え、第1軸支軸メイン部材203は、その第1メイン軸204が第2軸支軸部材212の第2軸支軸214とが同軸となるように調整されて、第2パーツ143bに固定される。これにより、第2軸支軸部材212は、その第2軸支軸214を第1メイン軸204と同心の軸とすると共に、基部143(カメラ保持アーム140)と一体となって回動(回転)することになる。
第1パーツ143aにおける第1軸支軸メイン部材203の第1メイン軸204は、プレート202Lの軸支穴207に回動自在に嵌め込まれ、この軸支穴207とプレート202Rの軸支穴222とが同軸である。よって、基部143(カメラ保持アーム140)は、同軸の第1メイン軸204と第1サブ軸ピン220とにより基部両側で軸支され、この軸回りに回動する。その上で、こうした回動の際の摩擦力は、ナット205の締め代調整を介した皿バネ209の撓み具合で調整される。
この変形例では、第1軸支軸メイン部材203は、その中央の貫通孔203bを第1パーツ143aにおける円形の凹所143kと連続するようにして備える。そして、カメラ保持アーム140(基部143)は、第1パーツ143aにおける凹所143kと貫通孔203bで形成される中空領域を、ねじりコイルばね260の収納箇所とする。この収納箇所は、カメラ保持アーム140を回動軸支する第1メイン軸204や第1サブ軸ピン220Bの軸心回りの領域となる。
ねじりコイルばね260は、ばね巻線部両端のばね末端260aの一方を基部143における第1パーツ143aに形成された貫通孔143nに差し込み、他方のばね末端260aをブラケット250の貫通孔252に差し込ませている。ブラケット250は、図1に示す隆起部118のカバーで覆われており、その上端にねじりコイルばね260の側に折れ曲がった突出片253で、収納されたねじりコイルばね260を押さえている。これにより、ねじりコイルばね260は、そのばね軸方向に不用意に動かないようにさせている。
このように収納されたねじりコイルばね260では、テーブル110の一部品であるプレート202Lに固定されたブラケット250の側のばね末端260aは、その位置を変えない。しかしながら、カメラ保持アーム140の一部品である第1パーツ143aの側のばね末端260aは、カメラ保持アーム140の回動動作に伴って第1パーツ143aの貫通孔143nが第1サブ軸ピン220Bの軸回りに回転することから、その位置を変える。こうしたばね末端260aの位置変更は、ねじりコイルばね260に対しては、ねじりばね応力を発生させる。よって、ねじりコイルばね260は、カメラ保持アーム140の回動動作に応じて、次のように作用する。
コイルばね260両端のばね末端260aは、図19に示すばねの無負荷状態において直線状に位置する。隆起部118へのカメラ保持アーム140や照明ユニット保持アーム150の組み付けおよびアーム軸支機構200の組み付けに際しては、カメラ保持アーム140がテーブル110に対してほぼ垂直とする。これにより、第1パーツ143aの貫通孔143nと、プレート202Lに固定したブラケット250の貫通孔252とは直線状に並ぶので、この状態で、凹所143kと貫通孔203b内のコイルばね260は、その両端のばね末端260aを貫通孔143nと貫通孔252に入り込ませる。その後、左右のプレート202L、202Rの間へのシャフト246、248の込み込みと、カメラ保持アーム140を垂直状から図ないし図3に示す撮像姿勢となるよう傾け、皿バネ209の撓み具合を調整しつつナット205で固定(アーム保持)する。この垂直状態から撮像姿勢へのアーム傾動の際、第1パーツ143aの貫通孔143nはばね軸回りに僅かに位置を変えるので、ねじりコイルばね260は、ばね末端260aを介して若干のねじり荷重を受け、この荷重に応じたねじりばね応力を発生させる。
カメラ保持アーム140がこの撮像姿勢からテーブル110の側に向けて傾斜するよう回動されると、第1パーツ143aの貫通孔143nはばね軸回りに更にその位置を変えるので、ねじりコイルばね260は、ばね末端260aを介してより大きなねじり荷重を受け、この荷重に応じたねじりばね応力を発生させる。このねじりばね応力は、カメラ保持アーム140を軸支する軸心回りの力となり、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動させる力として作用する。ところが、ねじりばね応力の作用点はばね中心からばね末端260aまでの短い距離であることから、カメラ保持アーム140は、このねじりばね応力単独で、テーブル110の側から離れるよう回動することはない。また、皿バネ209の撓み調整による摩擦力調整を受けていることからも、カメラ保持アーム140は、このねじりばね応力単独で回動することはない。このため、ねじりコイルばね260は、発生させたねじりばね応力をねじり変位を起こしたまま蓄積させる。
図11に示すように、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動操作されると、貫通孔143nはねじり変位を解消させる側に位置変位する。よって、ねじりコイルばね260は、蓄積したねじりばね応力を、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動させる力として、カメラ保持アーム140に作用させる。この際のモーメントは、カメラ保持アーム140をテーブル110に対する傾斜が広がるように回動操作する操作力のモーメントと一致することから、ねじりコイルばね260が蓄積したねじりばね応力は上記した操作力の補助力として働き、カメラ保持アーム140のアーム回動動作をアシストできる。このため、重量物であるカメラヘッド120を保持するカメラ保持アーム140をテーブル110の側から傾斜が広がるよう引き起こす際の使い勝手が高まる。
しかも、こうしたアシストを行うためのねじりコイルばね260をカメラ保持アーム140の第1パーツ143aにおける凹所143kに収納すればよいことから、ねじりコイルばね260をカメラ保持アーム140から大きく飛び出さないようにできる。よって、テーブル110におけるアーム係合箇所であるテーブルコーナーの隆起部118、延いてはテーブル110や撮像装置100自体をコンパクト化でき好ましい。加えて、ねじりコイルばね260の組み込み、皿バネ209の撓み調整を経た摩擦力調整を、プレート202Lの側から行うことができるので、同一方向からの作業が可能となり、作業性が高まる。
また、上記のアーム軸支機構200Bでは、ブラケット250の突出片253によりねじりコイルばね260のばね軸方向の不用意な動きを起こさないので、ねじりコイルばね260の両端のばね末端260aをブラケット250の貫通孔252と第1パーツ143aの貫通孔143nに確実に係合させておくことができる。よって、上記したねじりばね応力を確実に蓄積できることから、アシストの信頼性を高めることができる。更には、ねじりコイルばね260を、装置外側から第1パーツ143aの凹所143kに装着し、ブラケット250にて固定すればいいことから、組付けが容易であると共に、ばね破損等の際のメンテナンスも簡便となる。
また、上記のアーム軸支機構200Bでは、カメラ保持アーム140の基部143における第1パーツ143aの有底の凹所143kに第1軸支軸メイン部材203の貫通孔203bを繋げ、ねじりコイルばね260をその巻線部に亘って、凹所壁面と貫通孔壁面で覆うことにした。よって、凹所143kに収納したねじりコイルばね260を、第1パーツ143aと第2パーツ143bとを接合した基部143において、凹所壁面で区画する。このため、基部143の中空部を、アーム先端のカメラヘッド120に配線する信号や電源のケーブル配設箇所とした場合、これらケーブルをねじりコイルばね260に干渉させないようにできる。よって、ばねとの干渉によるケーブル損傷を回避でき、好ましい。
本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の態様で実施可能である。例えば、傾斜可能なステージプレート300については、カメラヘッド120のカメラ保持アーム140と照明ユニット130の照明ユニット保持アーム150とを別々に軸支するような撮像装置についても適用できる。
また、撮像装置100Aにおけるスライドバー301を、スライド量調整ができるように構成し、ステージプレート300の傾斜程度を可変設定するようにすることもできる。こうすれば、照明の映り込み抑制・解消についての対応が拡大し、好ましい。更に、ステージプレート300の表面に凹凸を設けたり、ステージ表面に摩擦力の大きな物性を有する材料から形成したシートを貼り付けることもできる。こうすれば、ステージプレート300の傾斜の際に、被撮像物の滑りを抑制できる。