JP4553586B2 - ステロイドスルファターゼを阻害するための、ステロイド化合物 - Google Patents

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Description

(発明の分野)
本発明は、化合物に関連する。特に、本発明は、ステロイドスルファターゼを阻害し得る化合物を提供する。
(発明の背景)
乳癌は、ほとんどの西洋諸国において女性の主要な死亡原因であり続ける、破壊的な疾患である。この疾患は、世界中で、1年に約100万人の女性が罹患すると推定される
英国は、世界中で最も高い乳癌死亡率を有し、毎年35,000人を超える女性が診断され、これは、全ての癌の症例の5分の1に相当する。英国において85歳まで生存する女性のうち10人に1人が、その一生の間に乳癌を発症すると推定される。現在の処置方法ならびにこの疾患の早期検出により、生存率が大きく改善されているが、乳癌は、35〜54歳の女性についての主な死亡原因であり続けている
全ての女性に乳癌の危険性があるが、多数の危険因子が同定されており、これらのほとんどは、女性のホルモンおよび生殖歴、ならびに疾患の家族的背景に関連している。より高い危険性にある女性は、一般に、疾患の強力な家族歴、初経の早期発生、閉経の遅い発生または30歳以降の最初の満期妊娠を有する
乳癌の最初期段階において、手術が、選択される処置であるようである。これらの症例のほとんどにおいて、乳房切除ではなく、乳房保存外科手順(例えば、乳房中のしこりの局所的切除)が含まれる。この疾患のいずれの再発をも予防するために、放射線療法が、特に乳房保存技術が含まれる場合に、しばしば処方される。放射線療法はまた、保存手術が実施され得るような手術可能なサイズまで、大きい腫瘍を縮小するためにも使用される
進行した乳癌について、腫瘍が拡散したか再発した場合、処置の目的は、もはや治癒することではなく、待期制御を達成することである。腫瘍の転移が、骨、皮膚、リンパ節または脳のような位置に達したのが、この場合である。患者のホルモン状態(処置される女性が閉経前か閉経後か)および腫瘍の型に依存して、処置は変動する。実際、特定の腫瘍は、その増殖および発達についてエストロゲンに依存して、ホルモン依存的乳癌(HDBC、I−1を参照のこと)と称される癌を導くことが証明されている。その目的が、細胞傷害性剤の組み合わせを使用して、腫瘍細胞を差示的に殺傷することである場合、どのHDBCも化学療法では処置されないが、HDBCは、内分泌治療に応答することが予測される。
ホルモン依存的腫瘍の概念は、エストロゲン作用のモデルが最初に導入された、1960年代初期に現れた。エストロゲンがヒトにおいて細胞の増殖および機能を調節するために、ヒトエストロゲンレセプター(hER)と称される特定のタンパク質が存在しなければならない。このタンパク質は、核に局在し、エストロゲンと相互作用して、結合複合体の形成を生じる。これは、特定の遺伝子からのm−RNAの生成を活性化することによって、転写因子として作用し、これらのうちの1つ以上は、おそらく、効果的な腫瘍細胞増殖に必要である。
測定可能なレベルのレセプタータンパク質を有する患者は、エストロゲンレセプターネガティブ(ER−)とは反対に、エストロゲンレセプターポジティブ(ER+)と分類される。閉経前の女性の約50%および閉経後の女性の75%が、ER+群に入り、ここで、乳癌の発症は、エストロゲンの存在に直接的に関連し得る。内分泌治療(ここで、薬物の使用は、細胞に対するエストロゲン刺激の喪失を生じる)は、HDBCの処置に有効なアプローチであることが証明されている。元々、異なるストラテジーに応答する2つのクラスの薬物(抗エストロゲンおよびアロマターゼインヒビター)が開発された。
エストロゲンレセプターのアンタゴニストとしての抗エストロゲンは、HDBCについて考慮された最初の処置の1つであった。その作用は、特異的レセプタータンパク質hERに競合的に結合し、従って、その特異的結合部位に対する内因性エストロゲンのアクセスを防止するする能力に依存する。結果として、天然のホルモンは、腫瘍増殖を維持できない。
乳癌治療において一般に使用される抗エストロゲンのうち、タモキシフェン(以下)は、この分子の非常に低い毒性プロフィールに起因して、最も広く使用されている。その非ステロイド骨格にもかかわらず、タモキシフェンは、その治療能力を制限する、混合型のアゴニスト−アンタゴニスト活性を有する。さらに、ある形態の薬物耐性が、長期のタモキシフェン処置の後に、患者において報告されている10
新規の純粋な抗エストロゲン薬物(例えば、ICI 164384(以下))が発見されているが、タモキシフェンの効力と比較した効力の低下は、より高度に強力な標的を設計する必要性を示唆している11
Figure 0004553586
ここ数年間、標的組織(例えば、骨または肝臓)に対するエストロゲン性、ならびに生殖組織(例えば、乳房または子宮)における拮抗性および/または最小の作用性を合わせもつ、新規型の抗エストロゲンが出現している12。選択的エストロゲンレセプター調節因子(SERM)として設計されたこれらの化合物は、患者の乳癌腫の危険性を低減する際に潜在的に有効であるだけでなく、閉経後の女性において骨鉱質密度を増加させ、そして骨粗鬆症を予防することもまた、示されている。ラロキシフェンは、このクラスの化合物の最初に臨床的に使用されるものである13。さらなるSERMは、現在臨床試験中であり、そしてこれらの分子は、HDBCを有する女性についての第一線の処置として、いつかタモキシフェンを置換するかもしれない。
ステロイド生合成経路の1つまたはいくつかの酵素を阻害する治療剤の使用は、エストロゲン依存性腫瘍の発症を制御するための別の重要なストラテジーを示す14。酵素アロマターゼ(これは、アンドロゲン性C19ステロイドを、エストロゲン性C18ステロイドに転換する)は、エストロゲンレベルを低減するための第一の標的である。この酵素複合体(これは、シトクロムP450ヘムタンパク質(haemoprotein)を含む)は、アンドロゲンA環の芳香族化、引き続くC19メチル基の喪失を触媒して、エストロゲンを生じる。
アミノグルテチミド(以下)は、乳癌の処置に最初に使用されたアロマターゼインヒビターであった。しかし、所望されない多数の副作用が、他のP450依存性酵素に対する広いスペクトルの阻害効果を与えることが示されており、そして、元の構造に対する改善の試みは、臨床試験に入る多数の非ステロイド化合物を導いた15。最後の世代の開発された化合物(例えば、レトロゾール(letrozole))(これは、この酵素に対する高い効力および高い選択性を併せ持つ)もまた、よりよく許容される。
Figure 0004553586
異なる型のアロマターゼインヒビターの構造。第I世代:アミノグルテチミド(AG);第III世代:レトロゾール。
伝統的に、アロマターゼインヒビターは、その疾患が、タモキシフェンによってもはや制御されない、進行したHDBC患者についての第二線の処置として用意されている。しかし、最新のアロマターゼインヒビターのいくつかの、非常に良好な毒性プロフィールに起因して、最近の臨床試験は、HDBCについての第一線の処置として、その適切さを評価するために実施されている。
生化学的および臨床的の両方で酵素アロマターゼの阻害だけでは、HDBCに対するエストロゲン性刺激の有効な減少を提供することはできないという強力な証拠が、過去10年間にわたって生じており、その理由は、エストロゲン生合成に他の経路が関与していることである。スルファターゼ経路は、現在、乳房腫瘍エストロゲン合成についての主要な経路であるとみなされている。なぜなら、スルファターゼ活性は、アロマターゼ活性よりも10倍、エストロゲンを提供することが見出されているからである16
スルファターゼ経路において、エストロゲンは、非常に入手可能な前駆体であるエストロゲン−スルフェートから、以下の2つの酵素を介して合成される(以下のスキーム):エストロゲン−スルフェートをエストロンに加水分解するエストロゲンスルファターゼ(STS)、およびエストロンをエストラジオールに還元する17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β−HSD)。これら2つの酵素は、エストロゲン剥奪ストラテジーについての最新の標的を示す。
Figure 0004553586
正常細胞および腫瘍性乳房細胞におけるエストロゲンの起源。AR、アロマターゼ;ST:ステロイドスルホトランスフェラーゼ;STS−ステロイドスルファターゼ;17β−HSD、17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ;3β−IS、3β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、Δ,Δ−イソメラーゼ;ER、エストロゲンレセプター。
いくつかの強力なインヒビターが、エストロンスルファターゼについて同定されている。それらは全て、酵素基質であるエストロン−スルフェートのフェノールA環を模倣する置換基を有する芳香族環の共通の構造的特徴を共有する。ステロイド性インヒビターの開発について、広範な種々の化学基が、C3位に導入されており、そのうち3−O−スルファメートは、エストロン分子について最も強力であることが見出されている。得られた化合物であるエストロン−3−O−スルファメート(以下)は、STSの強力な阻害について必要な活性なファルマコフォアとして、アリール−O−スルファメート構造の同定を導いた。EMATEは、時間依存的および濃度依存的な様式で、ステロイドスルファターゼ活性を阻害することが示され17、そして経口投与についてインビボで活性であった18。しかし、これは、高度にエストロゲン性であることが明らかとなり、hERに対するアゴニスト活性を欠くSTSインヒビターを設計する必要性が生じた。
活性ステロイド核に関連する問題を回避するために、非ステロイドベースのインヒビターが合成された。クマリンスルフェート(例えば、4−メチルクマリン−7−O−スルファメート(COUMATE、以下)(ここでは、活性ファルマコフォアが保存されている))は、この型のインヒビターのなかで、最初に同定されたものである19。COUMATEは、EMATEよりも強力ではないが、非エストロゲン性であるという利点を有する20。いくつかの三環式クマリンベースのスルファメートもまた、開発され、そしてCOUMATEよりもかなり強力であるが、その非エストロゲン性特徴を保持することがわかっている21。667COUMATE(これは、インビトロでEMATEよりも3倍ほど強力である)は、現在、臨床試験のための、前臨床開発段階である22
Figure 0004553586
ステロイドスルファターゼインヒビターEMATE、COUMATEおよび667COUMATEの構造。
PCT/GB92/01587は、新規なステロイドスルファターゼインヒビター、およびエストロン依存性腫瘍、特に乳癌の処置における使用のためのそれらを含む薬学的組成物を教示している。これらのステロイドスルファターゼインヒビターは、N,N−ジメチルエストロン−3−スルファメート、そして好ましくは、エストロン−3−スルファメート(EMATE)のようなスルファメートエステルである。EMATEは、これが、0.1mMでインタクトなMCF−7細胞においてE1−STS活性の99%より大きい阻害を示すので、強力なE1−STSインヒビターであることが知られている。EMATEはまた、E1−STS酵素を、時間依存的様式および濃度依存的様式で阻害し、これが、活性部位特異的不活性化剤として作用することを示す。EMATEは、当初は、E1−STSの阻害のために設計されたが、これはまた、エストロゲンのステロイドアンドロステンジオールの生合成を調節することにおいて中心的な役割をもつと考えられている酵素である、デヒドロエピアンドロステロンスルファターゼ(DHA−STS)を阻害する。また、今や、アンドロステンジオールは、乳腫瘍成長のプロモーターとしてなおより大きく重要であり得ることを示唆する証拠がある。EMATEはまた、インビボで活性である。なぜなら、それが経口的、または皮下のいずれかで投与されるとき、ラット肝臓E1−STS活性のほぼ完全な阻害(99%)およびDHA−STS活性のほぼ完全な阻害(99%)が生じたからである。さらに、EMATEは、ラットにおいて記憶増進効果を有することが示されている。マウスにおける研究は、DHA−STS活性と、免疫応答の一部分の調節との間の関連を示唆した。これはまたヒトで生じ得ると考えられる。EMATE中のスルファメート部分の架橋O原子は、阻害活性にとって重要である。従って、この3−O原子が、エストロン−3−N−スルファメートおよびエストロン−3−S−スルファメートにおけるように他のヘテロ原子で置換されるとき、これらのアナログは、より弱い非時間依存的不活性化剤である。
E1−STSの阻害の最適能力は、EMATEで達成され得たが、エストロンがスルファターゼ阻害の間に放出され得る可能性、および、EMATEおよびそのエストラジオール同属物がエストロゲンの活性を所有し得る可能性がある。
エストロゲンおよびアンドロゲン生合成における最終ステップを触媒する17β−HSDもまた、エストロゲン欠乏戦略の標的として出現した。この酵素は、ステロイド類の酸化形態(より少ない活性)および還元形態(より活性)の相互転換を行う。その活性は、エストロゲン依存性腫瘍の成長および発生を、それが、エストロンをエストラジオールに好適に還元する25ので直接、そしてより少ない程度で、アンドロゲンDHEAを、エストロゲンの性質を有し、かつエストロゲンレセプターに結合し得ることが最近示された26、アンドロステンジオール(アジオール)への転換を経由して、支援する。
17β−HSDは、その11個が現在まで同定され、そしてクローン化されている27イソ酵素のファミリーに属する。各型は、薬物作用の選択性が達成されなければならないことを意味する、選択的な基質親和性および指向活性を有する。1型17β−HSDは、エストロンおよびエストラジオールの相互転換を触媒するイソ型である。
STSインヒビターとは異なり、ごく僅かの17β−HSDインヒビターが報告されているにすぎない。1型17β−HSDのステロイドインヒビターの大部分は、共通のD環改変構造を有する。16α位に良好な脱離基を持つ側鎖を含むエストラジオール誘導体は、強力クラスのインヒビターであることが示されている。特に、側鎖が酵素の活性部位中の求核アミノ酸残基に対して高い反応性を示す16α−(ブロモアルキル)−エストラジオール28は、有望な不可逆的インヒビターであることが見出された。16位に短いブロモアルキル部分を含むアナログが最高の活性を示した(16α−(ブロモプロピル)−エストラジオール、次いで16α−(ブロモブチル)−エストラジオール、このシリーズで最も強力(3および4))。それらは、しかし、エストロゲンレセプターの純粋なアゴニストになる。
Figure 0004553586
1型17β−HSDインヒビター:16α−(ブロモプロピル)−エストラジオール、3:16α−(ブロモプロピル)−エストラジオール、4およびフラボン誘導体アピゲニン。
強力なインヒビターの固有のエストロゲン形成性をなくし、そして恐らくは同時にこの分子中に抗エストロゲン形成性を加工する試みで、既知の抗エストロゲンICI 164384のC7α−アルキルアミド側鎖を保持するいくつかの16α−(広域)−エストラジオール誘導体が合成された29。しかし、1型17β−HSDのむしろ乏しい阻害が得られ、エストロゲン形成性は完全にはなくならず、そして抗エストロゲン形成性は導入されなかった。
平行して、1型17β−HSDの非ステロイドインヒビターが設計された。エストロゲンに構造的に類似しているフラボノイドは、エストロゲン形成活性または抗エストロゲン形成活性を有するエストロゲンレセプターに結合し得る30。アロマターゼ活性に対するそれらの作用は、文献に良く記載されており、そして最近の研究では、それらは、1型17β−HSDにより触媒されるエストロンのエストラジオールへの転換を低減することが見出された31。アピゲニン(図6)のようなフラボン誘導体が、阻害濃度でエストロゲン形成性なくして1型17β−HSDに対するいくらかの阻害活性をもつ有望化合物として、SAR研究から出現した32
Ahmedら(Biochem Biophys Res Commun 1999 1月27日;254(3):811〜5)は、STSのステロイドおよび非ステロイドインヒビターの構造−活性関係研究について報告している。
エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(E2HSD)のようなステロイドデヒドロゲナーゼ(DH)は、エストロゲンレセプターと相互作用するリガンドの利用可能性を調節することに中心的役割をもっている。I型E2HSDは、エストロン(E1)を、生物学的に活性なエストロゲンであるエストラジオール(E2)に還元し、その一方、II型E2HSDは、E1へのその酸化を触媒することによりE2を不活性化する。それ故、DH阻害活性を有する化合物、特に、I型E2HSDのインヒビターの同定は、E2の形成を阻害することで治療的価値があり得る。
(本発明の要約の局面)
本発明は、有効なステロイドスルファターゼインヒビターとして作用し得る新規化合物を提供する。本発明は、本出願の化合物が有効なステロイドスルファターゼインヒビターであることを同定する。
図1は、エストロンスルフェート、およびエストラジオールからのエストロンのインサイチュ合成に関与するいくつかの酵素を示す。「STS」は、エストロンスルファターゼを示し、「I型E2DH」は、I型エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、または1、3、5および/または7型エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを示し、そして「II型E2DH」は、II型エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、または2および/または8型エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを示す。
理解され得るように、エストロゲンの末梢合成に関与する2つの酵素は、酵素エストラジオール17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼおよび酵素エストロンスルファターゼである。
エストロゲンのインサイチュ合成は、腫瘍中の高レベルエストロゲンに重要な寄与をなすると考えられ、そしてそれ故、エストロゲン生合成の特異的インヒビターは、内分泌依存性腫瘍の処置に潜在的価値を有している。
さらに、たとえ、スルファターゼ経路を経由する悪性乳組織および子宮内膜組織中のエストロゲン形成が、高濃度エストロゲンに主要な寄与をなすとしても、エストロゲンのインビボ合成に寄与するなお他の酵素経路が存在する。
従って、これらの癌の処置のための新たな治療を開発する緊急の必要性がある。
従って、本発明は、乳癌および子宮内膜癌を処置する先行技術の方法にともなう1つ以上の課題を克服することを求めている。
従って、1つの局面において、本発明は、エストロンスルファターゼ経路−この経路はエストロンをエストラジオールに、またはエストラジオールからエストロンに転換する−に影響(例えば、実質的に阻害)し得、かつ/またはステロイドデヒドロゲナーゼ経路−この経路はエストロンをエストラジオールに、またはエストラジオールからエストロンに転換する−に影響(例えば、実質的に阻害)し得る医薬の調製のための化合物の使用を提供する。
本発明のこの局面は有益である。なぜなら、1つの型の化合物の投与により、エストロンまたはE1Sからのエストラジオールの合成をブロックすることが可能であるからである。これ故、本発明は、特に乳癌および子宮内膜癌を処置するために、かなりの治療利点を有する化合物を提供する。
本発明の化合物は、その他の置換基を含み得る。これらの他の置換基は、例えば、本発明の化合物の活性をさらに増加および/または安定性を増加し得る(エクスビボおよび/またはインビボ)。
(本発明の詳細な局面)
本発明の1つの局面によれば、式Iを有する化合物が提供される。
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
本発明の1つの局面によれば、式Iを有する化合物を含み、薬学的に受容可能なキャリヤ、希釈剤、賦形剤またはアジュバントと混合された薬学的組成物が提供される。
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
本発明の1つの局面によれば、医薬における使用のための、式Iを有する化合物が提供される:
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
本発明の1つの局面によれば、ステロイドスルファターゼ(STS)に関連する症状または疾患の治療における使用のための医薬の製造における、式Iを有する化合物の使用が提供される。
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
本発明の1つの局面によれば、有害なSTSレベルに関連する症状または疾患の治療における使用のための医薬の製造における、式Iを有する化合物の使用が提供される。
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
本発明の1つの局面によれば、ステロイドスルファターゼ(STS)活性を阻害するための薬剤の製造における、式Iを有する化合物の使用が提供される。
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
本発明の1つの局面によれば、ステロイドスルファターゼ(STS)活性を阻害する必要がある被験体において、ステロイドスルファターゼ(STS)活性を阻害する方法が提供され、この方法は、式Iを有する化合物を投与する工程を包含する。
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
本発明の1つの局面によれば、細胞周期を調整および/または休止および/または阻害するため、および/またはアポトーシスを調整および/または誘導するための薬剤の製造における、式Iを有する化合物の使用が提供される。
Figure 0004553586
ここで、Gは、Hまたは置換基である。
参照を容易にするため、本発明のこれらおよびさらなる局面は、適切なセクション表題の下ここで論議されている。しかし、各セクションにおける教示は、各特定のセクションに必ずしも限定されるものではない。
(好ましい局面)
(環系)
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は式IIを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここでRは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式IIIを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式IVを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スイファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式Vを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式VIを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式VIIを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式VIIIを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式IXを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式Xを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式XIを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、化合物は、式XIIを有する。
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基であり、そしてここで、Rは、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
当該技術分野で周知のように、古典的ステロイド環構造は以下の一般式を有する:
Figure 0004553586
上記の式において、この環は、従来様式で表示されている。
バイオアイソスター(bio−isostere)の例は、A、B、CおよびDの任意の1つ以上の環がヘテロ環であるとき、および/またはA、B、CおよびDの任意の1つ以上の環が置換されているとき、および/またはA、B、CおよびDの任意の1つ以上の環が改変されているときであるが;ここで、このバイオアイソスターは、ステロイドの性質を有している。
この点で、本発明の環系は、ステロイド環構造に類似であり、そしてステロイド環構造のバイオアイソスターであり得る。
本発明の多環構造の構造は以下のように提示され得る:
Figure 0004553586
ここで、各環A’、B’、およびC’は、独立して、ヘテロ環または非ヘテロ環を表し、そしてここで各環は、独立して、置換され得るか、または置換され得ず、飽和または不飽和であり得る。
例として、環A’、B’、C’およびD’の任意の1つ以上は、独立して、適切な基−例えば、アルキル基、アリール基、水酸基、ハロ基、ヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基など−で置換され得る。
A’、B’、およびC’の少なくとも1つは、ヘテロ環基(ヘテロ環)または非ヘテロ環基であり得る。
A’、B’、C’およびD’の少なくとも1つは、飽和環構造または不飽和環構造(例えば、アリール基)であり得る。
好ましくは、A’、B’、C’およびD’の少なくとも1つはアリール環である。
好ましくは、化合物は、すべての置換基を含めて、約50を超えない炭素原子、より通常には、約30〜40を超えない炭素原子を含む。
D’の例は、5または6員環である。
本発明の化合物の基礎となり得る好ましいステロイド核環A’〜D’は、以下の環A〜Dを含む:
エストロンおよび置換エストロン、すなわち:
エストロン 16β−OH−エストロン
4−OH−エストロン 17−デオキシエストロン
6α−OH−エストロン 2−OH−エストロン
7α−OH−エストロン 2−MeO−エストロン
16α−OH−エストロン エストロン
エストラジオールおよび置換エストラジオール、すなわち:
4−OH−17β−エストラジオール 16β−OH−17β−エストラジオール
6α−OH−17β−エストラジオール 17α−エストラジオール
7α−OH−17β−エストラジオール 17β−エストラジオール
4−OH−17α−エストラジオール 17α−エチニル−17β−エストラジオール
6α−OH−17α−エストラジオール 17β−エチニル−17α−エストラジオール
7α−OH−17α−エストラジオール 17−デオキシエストラジオール
16α−OH−17α−エストラジオール 2−OH−17α−エストラジオール
16α−OH−17β−エストラジオール 2−OH−17β−エストラジオール
16β−OH−17α−エストラジオール 2−MeO−17α−エストラジオール
2−MeO−17β−エストラジオール
エストリオールおよび置換エストリオール、すなわち:
エストリオール 17−デオキシエストリオール
4−OH−エストリオール 2−OH−エストリオール
6α−OH−エストリオール 2−MeO−エストリオール
7α−OH−エストリオール
デヒドロエピアンドロステロンおよび置換デヒドロエピアンドロステロン、すなわち:
デヒドロエピアンドロステロン 16α−OH−デヒドロエピアンドロステロン
6α−OH−デヒドロエピアンドロステロン 16β−OH−デヒドロエピアンドロステロン
7α−OH−デヒドロエピアンドロステロン 5−アンドロステンジオール
(G基)
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、G基は、H、OHおよびヒドロカルビル基から選択される。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、G基またはヒドロカルビル基は、必要に応じて置換された炭化水素基である。換言すれば、Gは、必要に応じて置換された炭化水素基であるか、またはH、OHおよび必要に応じて置換された炭化水素基から選択される。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、Gまたはヒドロカルビル基は、必要に応じて置換されたアルキル基、必要に応じて置換されたハロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アルキルアリールアルキル(alkylarylalkyl)基、およびアルケン基から選択される。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、Gまたはヒドロカルビル基は、必要に応じて置換されたアルキル基である。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、Gまたはヒドロカルビル基は、C〜C10アルキル基(例えば、C〜Cアルキル基、およびC〜Cアルキル基)から選択される。代表的なアルキル基は、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル、およびCアルキルを含む。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、Gまたはヒドロカルビル基は、C〜C10ハロアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C10ブロモアルキル基、C〜Cブロモアルキル基、およびC〜Cブロモアルキル基から選択される。代表的なハロアルキル基は、Cハロアルキル、Cハロアルキル、Cハロアルキル、Cハロアルキル、Cハロアルキル、Cハロアルキル、Cハロアルキル、Cブロモアルキル、Cブロモアルキル、Cブロモアルキル、Cブロモアルキル、Cブロモアルキル、Cブロモアルキル、およびCブロモアルキルを含む。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、Gまたはヒドロカルビル基は、アリール基、アルキルアリール基、アルキルアリールアルキル基、−(CH1〜10−アリール、−(CH1〜10−Ph、(CH1〜10−Ph−C1〜10アルキル、−(CH1〜5−Ph、(CH1〜5−Ph−C1〜5アルキル、−(CH1〜3−Ph、(CH1〜3−Ph−C1〜3アルキル、−CH−Ph、およびCH−Ph−C(CHから選択される。
Gまたはヒドロカルビル基が、アリール基であるか、またはアリール基を含む場合、このアリール基またはこのアリール基の1つ以上は、ヘテロ原子を含み得る。従って、このアリール基またはこのアリール基の1つ以上は、炭素環であり得るか、またはより多くの場合ヘテロ環であり得る。代表的なヘテロ環は、O、NおよびS、特にNを含む。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、Gまたはヒドロカルビル基は、−(CH1〜10−シクロアルキル、−(CH1〜10−C3〜10シクロアルキル、−(CH1〜7−C3〜7シクロアルキル、−(CH1〜5−C3〜5シクロアルキル、−(CH1〜3−C3〜5シクロアルキル、および−CH−Cシクロアルキルから選択される。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、Gまたはヒドロカルビル基は、アルケン基である。代表的なアルケン基は、C〜C10アルケン基、C〜Cアルケン基、C〜Cアルケン基(例えば、C、C、C、C、C、C、またはCアルケン基)を含む。好ましい局面では、このアルケン基は、1つ、2つ、または3つのC=C結合を含む。好ましい局面では、このアルケン基は、1つのC=C結合を含む。いくつかの好ましい局面では、少なくとも1つのC=C結合または唯一のC=C結合が、アルケン鎖の末端Cに対してであり、すなわち、この結合は、環系への鎖の遠位端にある。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、GはHである。
(R基)
本発明の化合物のR基は、スルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つである。
1つの好適な局面では、Rは好ましくはスルファメート基である。
またはスルファメート基は、以下の式のスルファメート基であり得
Figure 0004553586
ここで、RおよびRは、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリール、またはそれらの組み合わせから選択されるか、またはともにアルキレンを表し、ここで、これら、または各々のアルキルもしくはシクロアルキルもしくはアルケニルは、必要に応じて1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基を含む。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、RおよびRの少なくとも1つはHである。
本発明のいくつかの局面では、好ましくは、RおよびRはHである。
(置換基)
本発明の化合物は、本明細書で示される環系の置換基以外の置換基を有し得る。さらに、本明細書に記載の環系は、一般式で与えられ、そしてそのように解釈されるべきである。所定の環メンバー上で特定して示される置換基がないときは、環メンバーが任意の成分で置換され得ることを示し、Hは1つの例に過ぎない。この環系は、1つ以上の程度の不飽和を含み得、例えば、いくつかの局面では、環系の1つ以上の環は芳香族である。この環系は、炭素環であり得るか、または1つ以上のヘテロ原子を含み得る。
本発明の化合物、特に、本発明の発明の環系化合物は、本明細書に示される置換基以外の置換基を含み得る。例示すれば、これら他の置換基は、以下の1つ以上であり得る:1つ以上のスルファメート基、1つ以上のホスホネート基、1つ以上のチオホスホネート基、1つ以上のスルホネート基、1つ以上のスルホンアミド基、1つ以上のハロ基、1つ以上のO基、1つ以上の水酸基、1つ以上のアミノ基、1つ以上のイオウ含有基、1つ以上のヒドロカルビル基(例えば、オキシヒドロカルビル基)。
一般的な意味で、本発明の化合物の環系A’B’C’D’は、種々の非干渉置換基を含み得る。特に、環系A’B’C’D’は、1つ以上の、ヒドロキシ、アルキル、特に低級(C〜C)アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびその他のペンチルアイソマー、およびn−ヘキシルおよびその他のヘキシルアイソマー、アルコキシ特に低級(C〜C)アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど、アルキニル、例えば、エチニル、またはハロゲン、例えば、フルオロ置換基を含み得る。
本発明のいくつかの化合物では、環系は、ヒドロカルビルスルファニル基で置換されていることが好ましい。より好ましくは、この環系のA’環が、ヒドロカルビルスルファニル基で置換されている。用語「ヒドロカルビルスルファニル」は、少なくともヒドロカルビル基(本明細書で定義されるような)、およびイオウを含む基、好ましくは−S−ヒドロカルビル、より好ましくは−S−炭化水素を意味する。このイオウ基は、必要に応じて酸化され得る。
本発明のいくつかの化合物では、環系のA’環の少なくとも2つの位置がヒドロカルビルスルファニル基で置換されていることが非常に好ましい。
好ましくは、このヒドロカルビルスルファニル基は、−S−C1〜10アルキル、より好ましくは−S−C1〜5アルキル、より好ましくは−S−C1〜3アルキル、より好ましくは−S−CHCHCH、−S−CHCHまたは−SCHである。
本発明のいくつかの化合物では、環系のA’環がアルコキシ基で置換されていることが非常に好ましい。
本発明のいくつかの化合物では、環系のA’環の少なくとも2つの位置がアルコキシ基で置換されていることが非常に好ましい。
好ましくは、このアルコキシ基はメトキシである。
本発明のいくつかの化合物では、環系の少なくともA’環がヒドロカルビル基で置換されていることが非常に好ましい。
本発明のいくつかの化合物について、環系のA’環の少なくとも2位が、アルキル基で置換されることが、非常に好ましい。
好ましくは、このアルキル基は、エチルである。
本発明のいくつかの化合物について、この化合物は、少なくとも2つ以上のスルファメート基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基を含むことが、非常に好ましい。
本発明のいくつかの化合物について、この化合物は、少なくとも2つのスルファメート基を含むことが、非常に好ましい。
本発明のいくつかの化合物について、この化合物は、少なくとも2つのスルファメート基を含み、ここで、このスルファメート基は、同じ環上に存在しないことが非常に好ましい。
本発明のいくつかの化合物について、環系のA’環が、少なくとも1つのスルファメート基を含み、そしてここで、環系のD’環が、少なくとも1つのスルファメート基を含むことが非常に好ましい。
本発明のいくつかの局面において、好ましくは、A’環は、アルコキシ置換基およびアルキル置換基の1つ以上を含む。従って、本発明の1つの局面によれば、式XIIIを有する化合物が提供される。
Figure 0004553586
ここで、RおよびRは、独立して、Hおよびヒドロカルビル基から選択され、ここで、RおよびRのうちの少なくとも一方は、ヒドロカルビル基である。
本発明の好ましい局面において、式XIV〜XIXを有する化合物から選択される化合物が、提供される。
Figure 0004553586
ここで、RおよびRは、独立して、Hおよびヒドロカルビル基から選択され、ここで、RおよびRのうちの少なくとも一方は、ヒドロカルビル基である。
好ましくは、RおよびRのうちの少なくとも一方は、アルキル基である。好ましくは、RおよびRのうちの少なくとも一方は、C〜C10アルキル基であり、好ましくは、C〜Cアルキル基であり、好ましくは、C〜Cアルキル基である。好ましくは、RおよびRのうちの少なくとも一方は、−CHまたは−CHCHである。
1つの局面において、好ましくは、Rは、ヒドロカルビル基であり、そしてRは、Hである。
別の好ましい局面において、RおよびRのうちの少なくとも一方は、アルコキシ基である。好ましくは、RおよびRのうちのいずれか一方は、メトキシである。
本発明の非常に好ましい化合物は、以下から選択され得る:
Figure 0004553586
(さらなる局面)
本発明のさらなる局面によれば、以下の工程を包含する方法が提供される:(a)本明細書中に規定される式を有する1つ以上の候補化合物を用いて、ステロイドスルファターゼアッセイを実施する工程;(b)この候補化合物のうちの1つ以上が、STS活性を調節し得るか否かを決定する工程;および(c)STS活性を調節し得る1つ以上の候補化合物を選択する工程。
本発明のさらなる局面によれば、以下の工程を包含する方法が提供される:(a)本明細書中に規定される式を有する1つ以上の候補化合物を用いて、ステロイドスルファターゼアッセイを実施する工程;(b)この候補化合物のうちの1つ以上が、STS活性を阻害し得るか否かを決定する工程;および(c)STS活性を阻害し得る1つ以上の候補化合物を選択する工程。
本発明の方法のいずれか1つにおいて、1つ以上のさらなる工程が存在し得る。例えば、この方法はまた、同定された候補化合物を、(例えば、化学技術および/または酵素技術によって)改変する工程、およびこの改変された化合物をSTS阻害効果(これは、この効果がより大きいかまたは異なる場合に、見られ得る)について試験する、任意のさらなる工程を包含し得る。さらなる例として、この方法はまた、同定された候補化合物の構造を(例えば、結晶学的技術の使用によって)決定し、次いで、コンピュータモデル化研究を実施する工程(例えば、そのSTS阻害作用をさらに増加させるため)を包含し得る。従って、本発明はまた、この同定された候補化合物についてのデータセット(例えば、結晶学的座標)を有するコンピュータを包含する。本発明はまた、分析のためにコンピュータスクリーン上に提示される場合に同定される候補化合物(例えば、タンパク質結合研究)を包含する。
本発明の1つの局面によれば、本発明の方法によって同定された化合物が提供される。
本発明の1つの局面によれば、医薬において使用するための、本発明による化合物が提供される。
本発明の1つの局面によれば、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤またはアジュバントと必要に応じて混合された、本発明による化合物を含有する薬学的組成物が提供される。
本発明の1つの局面によれば、STSに関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、本発明による化合物の使用が提供される。
本発明の1つの局面によれば、有害なSTSレベルに関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、本発明による化合物の使用が提供される。
いくつかの適用について、好ましくは、これらの化合物は、エストロゲン性効果を有さないか、または最小にしか有さない。
いくつかの適用について、好ましくは、これらの化合物は、エストロゲン性効果を有する。
いくつかの適用について、好ましくは、これらの化合物は、可逆的な作用を有する。
いくつかの適用について、好ましくは、これらの化合物は、不可逆的な作用を有する。
1つの実施形態において、本発明の化合物は、乳癌の処置のために有用である。
本発明の化合物は、塩の形態であり得る。
本発明はまた、本発明の化合物を調製するために有用な新規な中間体を網羅する。例えば、本発明は、これらの化合物のための新規なアルコール前駆体を網羅する。さらなる例として、本発明は、これらの化合物のためのビス保護された前駆体を網羅する。これらの前駆体の各々の例は、本明細書中に提示される。本発明はまた、本発明の化合物の合成のための、これらの前駆体の各々または両方が関与するプロセスを包含する。
本発明者らはまた、本発明のいくつかの局面において、本化合物が、ステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)の活性をまた阻害し得ることを確認した。
ステロイドデヒドロゲナーゼまたはHSDとは、17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを意味する。1つの局面において、17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼは、EC 1.1.1.62である。
好ましくは、HSDは、1型、3型、5型、および/または7型である。好ましくは、HSDは、エストロン(ケトン)をエストラジオール(ヒドロキシ)に転換する。
好ましくは、HSDは、2型および/または8型である。好ましくは、HSDは、エストラジオール(ヒドロキシ)をエストロン(ケトン)に転換する。
従って、さらなる局面において、本発明は、以下を提供する:
・ステロイドデヒドロゲナーゼに関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用。
・有害なステロイドデヒドロゲナーゼレベルに関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、本発明の化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害するための製剤の製造における、本発明の化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害するための製剤の製造における、本発明の化合物の使用。
・以下の工程を包含する方法:(a)本発明の1つ以上の候補化合物を用いて、ステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程;(b)この候補化合物のうちの1つ以上がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調節し得るか否かを決定する工程;および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調節し得る1つ以上の候補化合物を選択する工程。
・以下の工程を包含する方法:(a)本発明の1つ以上の候補化合物を用いて、ステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程;(b)この候補化合物のうちの1つ以上がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害し得るか否かを決定する工程;および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害し得る1つ以上の候補化合物を選択する工程。
・上記方法によって同定された化合物、この化合物を薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤またはアジュバントと必要に応じて混合して含有する、医薬および薬学的組成物における使用。
本発明のいくつかの局面において、ステロイドデヒドロゲナーゼは、ステロイドデヒドロゲナーゼI型であることが好ましい。
本発明のいくつかの局面において、ステロイドデヒドロゲナーゼは、ステロイドデヒドロゲナーゼII型であることが好ましい。
好ましくは、HSDは、1型、3型、5型、および/または7型である。好ましくは、HSDは、エストロン(ケトン)をエストラジオール(ヒドロキシ)に転換する。
好ましくは、HSDは、2型および/または8型である。好ましくは、HSDは、エストラジオール(ヒドロキシ)をエストロン(ケトン)に転換する。
本発明者らはまた、いくつかの局面において、ステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)の活性を阻害するために、本発明の化合物は、スルファメート基、ホスホネート基、チオ不ホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のうちの1つで置換されることが必要ではないことを同定した。従って、いくつかの局面において、本発明は、R1が任意の置換基である、本明細書中に規定されるような化合物を提供する。この局面において、好ましくは、R1は、H、OHまたはヒドロカルビル基であり、より好ましくは、OHである。
この知見を確認するデータは、以下の表2に与えられる。
Figure 0004553586
Figure 0004553586
Figure 0004553586
Figure 0004553586
Figure 0004553586
従って、さらなる局面において、本発明は、以下を提供する:
・以下の式を有する化合物
Figure 0004553586
ここで、GはHまたは置換基である。
・ステロイドデヒドロゲナーゼに関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、この化合物の使用。
・有害なステロイドデヒドロゲナーゼレベルに関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、この化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害するための製剤の製造における、この化合物の使用。
・ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害するための製剤の製造における、この化合物の使用。
・以下の工程を包含する方法:(a)上記式を有する1つ以上の候補化合物を用いて、ステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程;(b)この候補化合物のうちの1つ以上がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調節し得るか否かを決定する工程;および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を調節し得る1つ以上の候補化合物を選択する工程。
・以下の工程を包含する方法:(a)上記式を有する1つ以上の候補化合物を用いて、ステロイドデヒドロゲナーゼアッセイを実施する工程;(b)この候補化合物のうちの1つ以上がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害し得るか否かを決定する工程;および(c)ステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害し得る1つ以上の候補化合物を選択する工程。
・上記方法によって同定された化合物、この化合物を薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤またはアジュバントと必要に応じて混合して含有する、医薬および薬学的組成物における使用。
本発明のさらに広範な局面は、以下に規定される:
・以下の式の環系を含む化合物
Figure 0004553586
ここで、G、H、IおよびJのうちの少なくとも1つは、置換された窒素である。用語「置換された窒素」とは、H以外の基に結合した窒素を意味する。好ましくは、このNは、ヒドロカルビル基に結合している。
好ましくは、
・ここで、G、H、IおよびJの他のものは、炭素である。
・G、H、IおよびJの1つのみが、置換された窒素である。
・Hは、置換された窒素である。
・G、H、IおよびJのうちの少なくとも1つが、C=Oである。
・G、H、IおよびJのうちの2つが、C=Oである。
・GおよびIの2つが、C=Oである。
Figure 0004553586
ここで、Rは、スルファターゼ基、ホスホネート基、チオホスホネート基、スルホネート基またはスルホンアミド基のいずれか1つであり;そしてここで、Gは、Hまたは置換基である。
好ましくは、
Figure 0004553586
(いくつかの利点)
本発明の1つの主要な利点は、本発明の化合物が、STSインヒビターとして働き得ることである。
本発明の化合物の別の利点は、これらがインビボで強力であり得ることである。
本発明の化合物のいくつかは、非エストロゲン性化合物であり得る。ここで、用語「非エストロゲン性」とは、エストロゲン性活性を全くまたは実質的に示さないことを意味する。
別の利点は、これらの化合物のうちのいくつかが、ホルモン活性を示すかまたは誘導する化合物に代謝され得ないかもしれないことである。
本発明の化合物のいくつかはまた、経口で活性であり得る点で有利である。
本発明の化合物のいくつかは、癌(例えば、乳癌)および(または代替において)非悪性状態の処置のために有用であり得る(例えば、製剤が早期年齢から投与される必要があり得る場合に特に、自己免疫疾患の予防として)。
従って、本発明の化合物のいくつかは、内分泌依存性の癌の処置以外ののための治療用途(例えば、自己免疫疾患の処置)を有すると考えられる。
(ステロイドスルファターゼ)
ステロイドスルファターゼ(これは、ステロイドスルファターゼまたはステリルスルファターゼまたは短縮して「STS」と時々称される)は、いくつかの硫酸化ステロイド(例えば、エストロンスルフェート、デヒドロエピアンドロステロンスルフェートおよびコレステロールスルフェート)を加水分解する。STSは、酵素番号EC 3.1.6.2を割り当てられている。
STSは、クローニングおよび発現されている。例えば、Steinら(J.Biol.Chem.264:13865−13872(1989))およびYenら(Cell 49:443−454(1987))を参照のこと。
STSは、多数の疾患状態に関与している酵素である。
例として、研究者らは、STSの全欠損が魚鱗癬を生じることを見出した。いくらかの研究者によれば、STS欠損は、日本国において家族潜在性である。いくらかの研究者ら(Sakuraら、J Inherit Metab Dis 1997年11月;20(6):807−10)はまた、アレルギー性疾患(例えば、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、またはアトピー性皮膚炎)が、ステロイドスルファターゼ欠損に関連し得ることを報告した。
疾患状態がSTS活性の全欠損を介してもたらされることに加えて、増加したレベルのSTS活性もまた、疾患状態をもたらし得る。例として、上に示されるように、乳癌の増殖および転移におけるSTSの役割を支持する強力な証拠が存在する。
STSはまた、他の疾患状態に関与する。例として、Le Royら(Behav Genet 1999年3月;29(2):131−6は、マウスにおけるステロイドスルファターゼ濃度と発作行動の開始との間の遺伝的相関が存在し得ることを決定した。この著者らは、ステロイドの硫酸化は、複雑なネットワークの主要な移動物(mover)であり得ると結論付ける(変異誘発による攻撃に関与することが示されている遺伝子を含む)。
(STS阻害)
STS活性に関連するいくつかの疾患状態は、非活性の硫酸化したエストロンの、活性な非硫酸化エストロンへの転換に起因すると考えられる。STS活性に関連する疾患状態において、STS活性を阻害することが望ましい。
ここで、用語「阻害する」は、STSの有害な作用を減少および/または排除および/またはマスクおよび/または防止することを包含する。
(STSインヒビター)
本発明によれば、本発明の化合物は、STSインヒビターとして働き得る。
ここで、用語「インヒビター」とは、本発明の化合物に関して本明細書中において使用される場合、STS活性を阻害(例えば、STSの有害な作用を減少および/または排除および/またはマスクおよび/または防止)し得る化合物を意味する。STSインヒビターは、アンタゴニストとして働き得る。
化合物がエストロンスルファターゼ活性を阻害する能力は、インタクトなMCF−7乳癌細胞または胎盤ミクロソームのいずれかを使用して、評価され得る。さらに、動物モデルが使用され得る。適切なアッセイプロトコルについての詳細は、以下の節に提供される。他のアッセイを使用して、STS活性および従ってSTS阻害を決定し得ることが、注目されるべきである。例えば、WO−A−99/50453の教示に対して参照がなされ得る。
好ましくは、いくつかの適用について、この化合物は、スルファメート基がスルフェート基で置き換えられてスルフェート誘導体を形成する場合に、このスルフェート誘導体は、ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能であるという特徴によって、さらに特徴付けられる(すなわち、pH7.4および37℃でステロイドスルファターゼE.C.3.1.6.2と共にインキュベートされる場合)。
1つの好ましい実施形態において、この化合物のスルファメート基がスルフェート基と置き換えられてスルフェート化合物を形成する場合、このスルフェート化合物は、ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能であり、そしてpH7.4および37℃でステロイドスルファターゼE.C.3.1.6.2と共にインキュベートされる場合に、200ミリモル濃度未満、好ましくは150ミリモル濃度未満、好ましくは100ミリモル濃度未満、好ましくは75ミリモル濃度未満、好ましくは50ミリモル濃度未満のKm値を与える。
1つの好ましい実施形態において、この化合物のスルファメート基がスルフェート基と置き換えられてスルフェート化合物を形成する場合、このスルフェート化合物は、ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能であり、そしてpH7.4および37℃でステロイドスルファターゼE.C.3.1.6.2と共にインキュベートされる場合に、200マイクロモル濃度未満、好ましくは150マイクロモル濃度未満、好ましくは100マイクロモル濃度未満、好ましくは75マイクロモル濃度未満、好ましくは50マイクロモル濃度未満のKm値を与える。
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、ステロイドスルファターゼ(E.C.3.1.6.2)活性を有する酵素によって加水分解可能ではない。
いくつかの適用について、好ましくは、本発明の化合物は、所望の標的(例えば、STS)に対して、少なくとも約100倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して、少なくとも約150倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して、少なくとも約200倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して、少なくとも約250倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して、少なくとも約300倍の選択性、好ましくは、所望の標的に対して、少なくとも約350倍の選択性を有する。
本発明の化合物は、STS活性を阻害するその能力に加えて、またはその代替として、他の有利な特性を有し得ることに留意すべきである。
(ステロイドデヒドロゲナーゼ)
ステロイドデヒドロゲナーゼまたは短縮して「DH」は、2つの型(I型およびII型)からなると分類され得る。酵素(例えば、エストラジオール17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(E2HSD))のこれらの2つの型は、エストロゲンレセプターと相互作用するためのリガンドの利用可能性を調節する際に、中心的な役割を有する。I型は、エストロン(E1)を、生物学的に活性なエストロゲンであるエストラジオール(E2)に還元し、一方でE2HSD II型は、そのE1への酸化を触媒することによって、E2を不活性化させる。
(DH阻害)
DH活性に関連するいくつかの疾患状態は、不活性なエストロンの、活性なエストラジオールへの転換に起因すると考えられる。DH活性に関連する疾患状態において、DH活性を損害することが望ましい。
ここで、用語「阻害する」は、DHの有害な作用を減少および/または排除および/またはマスクおよび/または防止することを包含する。
(DHインヒビター)
本発明によれば、本発明の化合物は、DHインヒビターとして作用し得る。
ここで、用語「インヒビター」とは、本発明の化合物に関して本明細書中において使用される場合、DH活性を阻害(例えば、DHの有害な作用を減少および/または排除および/またはマスクおよび/または防止)し得る化合物を意味する。DHインヒビターは、アンタゴニストとして働き得る。
化合物がステロイドデヒドロゲナーゼ活性を阻害する能力は、E2HSD I型の活性が豊富なT47D乳癌細胞、またはII型インヒビター研究についてはMDA−MB−231細胞のいずれかを使用して、評価され得る。両方の細胞株において、産物の形成は、時間および細胞数に対して直線的である。適切なアッセイプロトコルについての詳細は、実施例の節に提供される。
本発明の化合物は、DH活性を阻害する能力に加えて、またはその代替として、他の有利な特性を有し得ることが注目されるべきである。
(スルファメート基)
1つの実施形態において、環Xは、置換基としてスルファメート基を有する。用語「スルファメート」とは、本明細書中において使用される場合、スルファミン酸のエステル、またはスルファミン酸のN置換誘導体のエステルまたはその塩が挙げられる。
がスルファメート基である場合、本発明の化合物は、スルファメート化合物と称される。
代表的に、スルファメート基は、以下の式:
(R)(R)N−S(O)(O)−O−
を有し、ここで、好ましくは、RおよびRは、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールもしくはこれらの組み合わせから選択されるか、または一緒になって、アルキレンを表し、ここで、アルキルまたはシクロアルキルもしくはアルケニルの各々は、必要に応じて、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基を含む。
置換される場合、本発明のN置換化合物は、1つまたは2つのN−アルキル置換基、N−アルケニル置換基、N−シクロアルキル置換基またはN−アリール置換基を含み得、好ましくは、最大10個の炭素原子を含むか、または各々が含む。Rおよび/またはRがアルキルである場合、好ましい値は、RおよびRが各々独立して、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)から選択されるような値である。RおよびRは、両方メチルであり得る。Rおよび/またはRがアリールである場合、代表的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。RおよびRがシクロアルキルを表す場合、代表的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。一緒に結合する場合、RおよびRは、代表的に、4〜6個の炭素原子の鎖を提供するアルキレン基を表し、このアルキレン基は、必要に応じて1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって介在され、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノまたはピペリジノ)を提供する。
アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールで置換された基の値には、置換基として、問題の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1つ以上の基を含むものが含まれる。例示的な非限定的な置換基としては、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルおよびアリールが挙げられる。
いくつかの実施形態において、スルファメート基は、基X内または基X上の1つ以上の原子に縮合(または結合)することによって、環構造を形成し得る。
いくつかの実施形態において、1つより多いスルファメート基が存在し得る。例として、2つのスルファメートが存在し得る(すなわち、ビススルファメート化合物)。これらの化合物がステロイド核に基づく場合、好ましくは、第二(またはさらなるものの少なくとも1つ)のスルファメート基は、このステロイド核の17位に位置する。これらの基は、同じである必要はない。
いくつかの好ましい実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも一方は、Hである。
いくつかのさらに好ましい実施形態において、RおよびRの各々が、Hである。
(ホスホネート基)
がホスホネート基である場合、本発明の化合物は、ホスホネート化合物と称される。
代表的に、ホスホネート基は、以下の式を有する:
(R)−P(O)(OH)−O−
ここで、好ましくは、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、もしくはアリール、またはこれらの組み合わせであり、ここで、アルキルまたはシクロアルキルまたはアルケニルあるいはその各々は、必要に応じて、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基を含む。
置換される場合、本発明のN置換化合物は、1つまたは2つのN−アルキル置換基、N−アルケニル置換基、N−シクロアルキル置換基またはN−アリール置換基を含み得、好ましくは、最大10個の炭素原子を含むか、または各々が含む。Rがアルキルである場合、Rは、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)であり得る。例として、Rは、メチルであり得る。Rがアリールである場合、代表的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。Rがシクロアルキルを表す場合、代表的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。Rはさらに、4〜6個の炭素原子の鎖を提供するアルキレン基を含み得、このアルキレン基は、必要に応じて1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって介在され、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノまたはピペリジノ)を提供する。
アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールで置換された基の値には、問題の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1つ以上の基を含む基を置換基として含むものが含まれる。例示的な非限定的な置換基としては、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルおよびアリールが挙げられる。
いくつかの実施形態において、ホスホネート基は、基X内または基X上の1つ以上の原子に縮合(または結合)することによって、環構造を形成し得る。
いくつかの実施形態において、1つより多いホスホネート基が存在し得る。例として、2つのホスホネートが存在し得る(すなわち、ビスホスホネート化合物)。これらの化合物がステロイド核に基づく場合、好ましくは、第二(またはさらなるものの少なくとも1つ)のホスホネート基は、このステロイド核の17位に位置する。これらの基は、同じである必要はない。
(チオホスホネート基)
がチオホスホネート基である場合、本発明の化合物は、チオホスホネート化合物と称される。
代表的に、チオホスホネート基は、以下の式:
(R)−P(S)(OH)−O−
を有し、ここで、好ましくは、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールもしくはこれらの組み合わせであり、ここで、アルキルまたはシクロアルキルもしくはアルケニルの各々は、必要に応じて、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基を含む。
置換される場合、本発明のN置換化合物は、1つまたは2つのN−アルキル置換基、N−アルケニル置換基、N−シクロアルキル置換基またはN−アリール置換基を含み得、好ましくは、最大10個の炭素原子を含むか、または各々が含む。Rがアルキルである場合、Rは、1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)であり得る。例として、Rは、メチルであり得る。Rがアリールである場合、代表的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。Rがシクロアルキルを表す場合、代表的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。Rはなお、4〜6個の炭素原子の鎖を提供するアルキレン基を含み得、このアルキレン基は、必要に応じて1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基によって介在され、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノまたはピペリジノ)を提供する。
アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールで置換された基の値には、置換基として、問題の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1つ以上の基を含むものが含まれる。例示的な非限定的な置換基としては、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルおよびアリールが挙げられる。
いくつかの実施形態において、チオホスホネート基は、基X内または基X上の1つ以上の原子に縮合(または結合)することによって、環構造を形成し得る。
いくつかの実施形態において、1つより多いチオホスホネート基が存在し得る。例として、2つのチオホスホネートが存在し得る(すなわち、ビスチオホスホネート化合物)。これらの化合物がステロイド核に基づく場合、好ましくは、第二(またはさらなるものの少なくとも1つ)のチオホスホネート基は、このステロイド核の17位に位置する。これらの基は、同じである必要はない。
(スルホネート基)
がスルホネート基である場合、本発明の化合物は、スルホネート化合物と称される。
代表的に、スルホネート基は、以下の式:
(R)−S(O)(O)−O−
を有し、ここで、好ましくは、Rは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルもしくはアリールまたはこれらの組み合わせであり、ここで、アルキルまたはシクロアルキルもしくはアルケニルの各々は、必要に応じて、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基を含む。
本発明のN−置換化合物は、置換したとき、1個または2個のN−アルキル置換基、N−アルケニル置換基、N−シクロアルキル置換基またはN−アリール置換基を含有し得、これらは、好ましくは、最大で10個の炭素原子を含有するか、それぞれ、含有する。Rがアルキルであるとき、Rは、1〜6個の炭素原子を含有する低級アルキル基(すなわち、メチル、エチル、プロピルなど)であり得る。例として、Rは、メチルであり得る。Rがアリールであるとき、典型的な値は、フェニルおよびトリル(PhCH;o)である。Rがシクロアルキルを表わす場合、典型的な値は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。Rは、同様に、4〜6個の炭素原子の鎖を提供するアルキレン基を含有し得、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上のヘテロ原子または基で遮断されており、例えば、5員複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジノまたはピペリジノ)を提供する。
問題の化合物のスルファターゼ阻害活性を妨害しない1個またはそれ以上の基を置換基として含有する値内で、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールで置換される基が含まれる。代表的な非妨害置換基には、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルおよびアリールが挙げられる。
ある実施形態では、このスルホネート基は、X基中またはX基上にある1個またはそれ以上の原子と縮合(または会合)されることにより、環構造を形成し得る。
ある実施形態では、1個より多いスルホネート基が存在し得る。例として、2個のスルホネートが存在し得る(すなわち、ビス−スルホネート化合物)。もし、これらの化合物が、ステロイド核に基づいているなら、このステロイド核の17位に、好ましくは、第二(または少なくとも1個の追加)スルホネート基が位置している。これらの基は、同じである必要はない。
(スルホネート/ホスホネート/チオホスホネート/スルファメートの組合せ)
本発明のある化合物に対して、本明細書中で定義したスルホネートまたは本明細書中で定義したホスホネートまたは本明細書中で定義したチオホスホネートまたは本明細書中で定義したスルファメートのうちの1種;および本明細書中で定義したスルホネートまたは本明細書中で定義したホスホネートまたは本明細書中で定義したチオホスホネートまたは本明細書中で定義したスルファメートのうちの他種が存在し得る。例として、本発明の化合物は、1個のスルファメート基および1個のホスホネート基を含有し得る。
もし、本発明のこれらの化合物が、ステロイド核に基づいているなら、好ましくは、これらの基の他方は、このステロイド核の17位に位置している。
(ヒドロカルビル)
本明細書中で使用する「ヒドロカルビル基」との用語は、少なくともCおよびHを含有する基を意味し、必要に応じて、1個またはそれ以上の他の適切な置換基を含有し得る。このような置換基の例には、ハロ基、アルコキシ基、ニトロ基、アルキル基、環状基などが挙げられ得る。この置換基が環状基である可能性に加えて、置換基を組み合わせて環状基が形成され得る。もし、このヒドロカルビル基が、1個より多いCを含有するなら、これらの炭素は、必ずしも、互いに連結される必要はない。例えば、これらの炭素の少なくとも2個は、適切な元素または基を介して、連結され得る。それゆえ、このヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含有し得る。適切なヘテロ原子は、当業者に明らかであり、例えば、イオウ、窒素および酸素が挙げられる。ヒドロカルビル基の非限定的な例には、アシル基がある。
典型的なヒドロカルビル基は、炭化水素基である。ここで、「炭化水素」との用語は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基(この基は、直鎖、分枝または環状であり得る)またはアリール基のいずれか1個を意味する。炭化水素との用語には、また、必要に応じて置換されたこれらの基が挙げられる。もし、この炭化水素が、その上に置換基を有する分枝構造であるなら、その置換基は、炭化水素骨格上または分枝上のいずれかにあり得る;あるいは、これらの置換基は、この炭化水素骨格上および分枝上にあり得る。
(オキシヒドロカルビル)
本明細書中で使用する「オキシヒドロカルビル」基との用語は、少なくとも、C、HおよびOを含有し、必要に応じて、1個またはそれ以上の他の適切な置換基を含有し得る基を意味する。このような置換基の例には、ハロ基、アルコキシ基、ニトロ基、アルキル基、環状基などが挙げられ得る。これらの置換基が環状基である可能性に加えて、置換基の組合せは、環状基を形成し得る。もし、このオキシヒドロカルビル基が、1個より多いCを含有するなら、これらの炭素は、必ずしも、互いに結合される必要はない。例えば、これらの炭素の少なくとも2個は、適切な元素または基を介して、結合され得る。それゆえ、このオキシヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含有し得る。適切なヘテロ原子は、当業者に明らかであり、これには、例えば、イオウおよび窒素が挙げられる。
本発明の1実施形態では、このオキシヒドロカルビル基は、オキシ炭化水素基である。
本明細書中で、「オキシ炭化水素」との用語は、アルコキシ基、オキシアルケニル基、オキシアルキニル基(これらの基は、直鎖、分枝または環状であり得る)またはオキシアリール基のいずれか1種を意味する。オキシ炭化水素との用語には、また、必要に応じて置換されたこれらの基が含まれる。もし、このオキシ炭化水素が、その上に置換基を有する分枝構造であるなら、この置換は、その炭化水素骨格上または分枝上のいずれかにあり得る;あるいは、これらの置換は、この炭化水素骨格上および分枝上であり得る。
典型的には、このオキシヒドロカルビル基は、式C1〜6O(例えば、C1〜3O)である。
(癌細胞を使用してSTS活性を決定するアッセイ(プロトコル1))
(MCF−7細胞でのステロイドスルファターゼ活性の阻害)
インビトロで、無傷MCF−7ヒト乳癌細胞を使用して、ステロイドスルファターゼ活性を測定する。このホルモン依存性細胞系は、ヒト乳癌細胞の成長の制御を研究するのに、広く使用されている。それは、有意なステロイドスルファターゼ活性を有し(Maclndoeら、Endocrinology,123,1281〜1287(1988);Purohit & Reed,Int.J.Cancer,50,901〜905(1992))、米国において、American Type Culture Collection(ATCC)から、また、英国において、例えば、The Imperial Cancer Research Fundから入手できる。
細胞を、最小必須培地(MEM)(Flow Laboratories,Irvine,Scotland)(これは、20mM HEPES、5%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、非必須アミノ酸および0.075%重炭酸ナトリウムを含有する)で維持する。30回まで複製して、25cm組織培養フラスコに、上記培地を使用して、約1×10個の細胞/フラスコを播種する。細胞は、80%のコンフルーエンシーまで増殖させ、その培地は、3日ごとに交換する。
MCF−7細胞の無傷単層を、3連で25cm組織培養フラスコにて、アール平衡塩溶液(EBSS;ICN Flow,High Wycombe,U.K.)で洗浄し、そして37℃で、3〜4時間にわたって、無血清MEM(2.5ml)中にて、エストロン−3−スルファメート(11種の濃度;0;1fM;0.01pM;0.1pM;1pM;0.01nM;0.1nM;1nM;0.01mM;0.1mM;1mM)と共に、5pmol(7×10dpm)の[6,7−3H]エストロン−3−スルフェート(比活性60Ci/mmol;New England Nuclear,Boston,Mass.,U.S.A.)と共にインキュベートする。インキュベーション後、各フラスコを冷却し、その培地(1ml)を、別のチューブ(これは、[14C]エストロン(7×10dpm)(比活性97Ci/mmol;Amersham International Radiochemical Centre,Amersham,U.K.)を含む)にピペットで採取する。この混合物を、トルエン(5ml)と共に、30秒間にわたって、十分に振盪する。実験により、この処理によって、その水相から、90%を超える[14C]エストロンおよび0.1%未満の[3H]エストロン−3−スルフェートが取り出されることが明らかとなった。その有機相の一部(2ml)を取り出し、蒸発させ、その残留物の3Hおよび14C含量を、シンチレーション分光測定により、決定する。加水分解したエストロン−3−スルフェートの質量は、得られた3Hのカウント(これは、使用した培地および有機相の容量ならびに添加した[14C]エストロンの回収について、補正した)および基質の比活性から計算した。実験の各バッチは、スルファターゼ陽性ヒト胎盤(陽性対照)および細胞なしフラスコ(この基質の見かけの非酵素的加水分解を評価するために)から調製したミクロソームのインキュベーションを含む。1フラスコあたりの細胞核の数は、その細胞単層をZaponinで処理した後、Coulter Counterを使用して決定する。トリパンブルー排除法を使って、各バッチあたり1個のフラスコを使用して、細胞膜の状態および生存度を評価する(Phillips,H.J.(1973):Tissue culture and applications,[編者:Kruse,D.F.およびPatterson,M.K.];406〜408ページ;Academic Press,New York)。
ステロイドスルファターゼ活性の結果は、このインキュベーション期間(20時間)中に形成された全生成物(エストロン+エストラジオール)の平均±1標準偏差として表わされ、これは、エストロン−3−スルファメートを含有しないインキュベーションに対する低下(阻害)割合として、106個の細胞について、および統計学的有意性を示す値について、計算される。不対Student t−検定を使用して、結果の統計的な有意性を試験した。
(胎盤ミクロソームを使用してSTS活性を決定するアッセイ(プロトコル2))
(胎盤ミクロソームでのステロイドスルファターゼ活性の阻害)
正常な満期妊娠から得たスルファターゼ陽性ヒト胎盤をハサミで十分に細かく刻み、そして冷リン酸緩衝液(pH 7.4、50mM)で1回洗浄し、次いで、冷リン酸緩衝液(5ml/組織1g)に再懸濁した。Ultra−Turraxホモジナイザーを使って、氷中での2分間の冷却期間で隔てられた3回の10秒間バースト(burst)を使用して、均質化を達成する。2000gで30分間遠心分離(4℃)することにより、核および細胞の細片を除去し、その上清の一部(2ml)を20℃で保存する。これらの上清のタンパク質濃度を、Bradfordの方法(Anal.Biochem.,72,248〜254(1976))により、決定する。
100mg/mlのタンパク質濃度、20mM[6,7−3H]エストロン−3−スルフェートの基質濃度(比活性60Ci/mmol;New England Nuclear,Boston,Mass.,U.S.A.)および37℃で20分間のインキュベーション時間を使用して、インキュベーション(1ml)を実行する。必要なら、以下の8種の化合物濃度を使用する;0(すなわち、対照);0.05mM;0.1mM;0.2mM;0.4mM;0.6mM;0.8mM;1.0mM。インキュベーション後、各試料を冷却し、その培地(1ml)を、別のチューブ(これは、[14C]エストロン(7×103dpm)(比活性97Ci/mmol;Amersham International Radiochemical Centre,Amersham,U.K.)を含む)にピペットで採取した。この混合物を、トルエン(5ml)と共に、30秒間にわたって、十分に振盪する。実験により、この処理によって、その水相から、90%を超える[14C]エストロンおよび0.1%未満の[3H]エストロン−3−スルフェートが取り出されることが明らかとなった。その有機相の一部(2ml)を取り出し、蒸発させ、その残留物の3Hおよび14C含量を、シンチレーション分光測定により決定した。加水分解したエストロン−3−スルフェートの質量は、得られる3Hのカウント(これは、使用した培地および有機相の容量ならびに添加した[14C]エストロンの回収について、補正した)および基質の比活性から計算する。
(STS活性を決定する動物アッセイモデル(プロトコル3))
(インビボでのエストロンスルファターゼ活性の阻害)
本発明の化合物は、動物モデル(特に、卵巣切除したラット)を用いて研究され得る。このモデルでは、エストロゲン性の化合物は、子宮の成長を刺激する。
この化合物(5日間にわたって、10mg/kg/日)をラットに経口投与し、別の群の動物にビヒクルだけ(プロピレングリコール)を与える。さらなる群に、10μg/日の量で5日間、化合物EMATEを皮下投与した。この研究の終了時点で、肝臓組織の試料を得、以前に記述されているように(PCT/GB95/02638を参照)、基質として3Hエストロンスルフェートを使用して、エストロンスルファターゼ活性をアッセイした。
(エストロゲン性活性を決定する動物アッセイモデル(プロトコル4))
(インビボエストロゲン性の欠如)
本発明の化合物は、動物モデル(特に、卵巣切除したラット)を用いて研究され得る。このモデルでは、エストロゲン性の化合物は、子宮の成長を刺激する。
この化合物(5日間にわたって、10mg/kg/日)をラットに経口投与し、別の群の動物にビヒクルだけ(プロピレングリコール)を与えた。さらなる群に、10μg/日の量で5日間、エストロゲン性化合物EMATEを皮下投与した。この研究の終了時点で、子宮を得、秤量して、その結果を、子宮重量/全体重×100として表した。
子宮の成長に対して有意な効果がない化合物は、エストロゲン性ではない。
(STS活性を決定する生物工学アッセイ(プロトコル5))
化合物がエストロンスルファターゼ活性を阻害する性能はまた、例えば、高処理能力スクリーンにおいて、STSをコードするアミノ酸配列またはヌクレオチド配列、または活性断片、それらの誘導体、相同体または改変体を使用して、評価できる。
適切な標的(例えば、アミノ酸配列および/またはヌクレオチド配列)の任意の1個またはそれ以上は、種々の薬物スクリーニング技術のいずれかにおいて、STSを調節することができる薬剤を同定するのに使用され得る。このような試験で使用される標的は、溶液中で遊離し得るか、固体支持体に固着され得るか、細胞表面に保有され得るか、または細胞内に位置し得る。標的活性の消滅または標的と試験する薬剤との間での結合複合体の形成が、測定され得る。
本発明のアッセイは、スクリーンであり得、それにより、多数の薬剤が試験される。1局面では、本発明のアッセイ方法は、高処理能力スクリーンである。
薬物スクリーニング技術は、1984年9月13日に公開されたGeysenの欧州特許出願第84/03564号で記述された方法に基づき得る。要約すると、多数の異なる小ペプチド試験化合物を、固体基質(例えば、プラスチックピンまたはある種の他の表面)で合成する。これらのペプチド試験化合物を、適切な標的またはその断片と反応させて、洗浄する。結合した要素を、次いで、例えば、当該技術分野で周知の適切に適合させた方法により、検出する。精製した標的はまた、薬物スクリーニング技術で使用するために、プレート上に直接被覆できる。あるいは、このペプチドを捕捉して固体支持体上に固定化するために、非中和抗体が使用できる。
本発明はまた、競合薬物スクリーニングアッセイの使用も考慮しており、このアッセイでは、標的を結合できる中和抗体は、標的を結合する試験化合物と特異的に競合する。
他のスクリーニング技術は、これらの基質に対する適切な結合親和性を有する薬剤の高処理能力スクリーニング(HTS)を提供し、WO84/03564で詳細に記述された方法に基づいている。
本発明のアッセイ方法は、試験化合物の小規模スクリーニングおよび大規模スクリーニングの両方、ならびに定量アッセイで適切であると予想される。
好ましい1局面では、本発明は、STSを選択的に調節する薬剤を同定する方法に関し、これらの化合物は、式(1a)を有する。
(レポーター)
本発明のアッセイ方法(およびスクリーン)では、広範囲のレポーターが使用され得、好ましいレポーターは、(例えば、分光法により)便利に検出可能な信号を提供する。例として、レポーター遺伝子は、光吸収特性を変える反応を触媒する酵素をコードし得る。
他のプロトコルには、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)および蛍光活性化細胞選別(FACS)が挙げられる。2個の非妨害エピトープと反応性のモノクローナル抗体を利用する2部位モノクローナルベース免疫測定さえ、使用され得る。これらのアッセイおよび他のアッセイは、特に、Hampton Rら(1990,Serological Methods,A Laboratory Manual,APS Press,St Paul MN)およびMaddox DEら(1983,J Exp Med 15 8: 121 1)で記述される。
レポーター分子の例には、β−ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール、アセチルトランスフェラーゼ、グルクロニダーゼ、エキソ−グルカナーゼおよびグルコアミラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、放射標識または蛍光タグ標識ヌクレオチドは、新生(nascent)転写物に取り込むことができ、これは、次いで、オリゴヌクレオチドプローブに結合したとき、同定される。
さらに別の例として、多数の企業(例えば、Pharmacia Biotech(Piscataway,NJ),Promega(Madison,WI)およびUS Biochemical Corp(Cleveland,OH))は、アッセイ手順用の市販のキットおよびプロトコルを供給している。適切なレポーター分子または標識には、それらの放射性核種、酵素、蛍光薬剤、化学発光薬剤または色素生産薬剤、ならびに基質、補因子、インヒビター、磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示している特許には、US−A−3817837;US−A−3850752;US−A−3939350;US−A−3996345;US−A−4277437;US−A−4275149およびUS−A−4366241が挙げられる。
(宿主細胞)
本発明に関連した「宿主細胞」との用語は、本発明の薬剤用の標的を含有できる任意の細胞を含む。
それゆえ、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の標的であるかそれを発現するポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされる宿主細胞を提供する。好ましくは、当該ポリヌクレオチドは、この標的であるかまたはこの標的を発現するポリヌクレオチドを複製および発現するためのベクターで運ばれる。これらの細胞は、該ベクターと適合するように選択され、例えば、原核(例えば、細菌)細胞、真菌細胞、酵母細胞または植物細胞であり得る。
グラム陰性菌E.coliは、異種遺伝子発現のための宿主として、広く使用されている。しかしながら、その細胞の内部には、大量の異種タンパク質が蓄積する傾向にある。時には、E.coli細胞内タンパク質のバルクから所望のタンパク質を引き続いて精製することが困難であり得る。
E.coliとは対照的に、バシラス属に由来の細菌は、それらが培地にタンパク質を分泌する能力があるために、異種宿主として非常に適切である。宿主として適切な他の細菌には、ストレプトマイセス属およびシュードモナス属に由来のものがある。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの性質、および/または発現したタンパク質をさらに処理することの望ましさに依存して、真核生物宿主(例えば、酵母または他の真菌)が好まれ得る。一般に、酵母細胞は、操作し易いので、真菌細胞よりも好ましい。しかしながら、ある種のタンパク質は、酵母細胞からの分泌が少ないか、ある場合には、適切にプロセシングされない(例えば、酵母での糖鎖形成過剰)かいずれかである。これらの場合には、異なる真菌宿主生物を選択すべきである。
本発明の範囲内で適切な発現宿主の例には、真菌(例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)種(例えば、EP−A−0184438およびEP−A−0284603)およびトリコデルマ属(Trichoderma)種);細菌(例えば、バシラス属(Bacillus)種(例えば、EP−A−0134048およびEP−A−0253455で記述されたもの)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)種およびシュードモナス属(Pseudomonas)種);および酵母(例えば、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)種(例えば、EP−A−0096430およびEP−A−0301670で記述されたもの)およびサッカロミセス属(Saccharomyces)種)がある。例として、典型的な発現宿主は、Aspergillus niger、Aspergillus niger var.tubigenis、Aspergillus niger var.awamori、Aspergillus aculeatis、Aspergillus nidulans、Aspergillus orvzae、Trichoderma reesei、Bacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Kluyveromyces lactisおよびSaccharomyces cerevisiaeから選択され得る。
適切な宿主細胞(例えば、酵母宿主細胞、真菌宿主細胞および植物宿主細胞)の使用は、本発明の組換え発現産物上で最適な生物学的活性を与えるのに必要であり得るように、翻訳後修飾(例えば、ミリストイル化、グリコシル化、短縮、脂質化(lapidation)、およびチロシン、セリンまたはスレオニンリン酸化)を提供し得る。
(生物)
本発明に関連して、「生物」との用語は、本発明による標的および/またはそれから得た産物を含有できる任意の生物を含む。生物の例には、真菌、酵母または植物が挙げられ得る。
本発明に関連して、「トランスジェニック生物」との用語は、本発明による標的および/またはそれから得た産物を含有する任意の生物を含む。
(宿主細胞/宿主生物の形質転換)
先に示したように、この宿主生物は、原核生物または真核生物であり得る。適切な原核生物宿主の例には、E.coliおよびBacillus subtilisが挙げられる。原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当該技術分野でよく引証されており、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2版、1989,Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology(1995),John Wiley & Sons,Inc.を参照のこと。
原核生物宿主を使用する場合、そのヌクレオチド配列は、形質転換前に、例えば、イントロンの除去により、適切に改変される必要があり得る。
他の実施形態では、このトランスジェニック生物は、酵母であり得る。このことに関して、酵母もまた、異種遺伝子発現のためのビヒクルとして、広く使用されている。Saccharomyces cerevisiae種は、歴史上、長く工業で使用されており、これらには、異種遺伝子発現でそれを使用することが含まれる。Saccharomyces cerevisiaeにおける異種遺伝子の発現は、Goodeyら(1987,Yeast Biotechnology,D R Berryら著、401〜429ページ、Allen and Unwin,London)およびKingら(1989,Molecular and Cell Biology of Yeasts,E F WaltonおよびG T Yarronton編、107〜133ページ、Blackie,Glasgow)により概説されている。
いくつかの理由から、Saccharomyces cerevisiaeは、異種遺伝子発現によく適している。第一に、これは、ヒトに対して非病原性であり、特定のエンドトキシンを産生できない。第二に、これは、種々の目的のために何世紀にもわたり商業的な開発がなされたのに続いて、安全に使用されてきた長い歴史を持つ。これにより、広く大衆に受け入れられている。第三に、その生物に向けられた広範な商業的利用および研究の結果、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝学および生理学ならびに大規模発酵特性についての豊富な知識が得られている。
Saccharomyces cerevisiaeにおける異種遺伝子発現および遺伝子産物の分泌の原理の概説は、E Hinchcliffe E Kenny(1993,「Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes」、Yeasts,5巻、Anthony H Rose and J Stuart Harrison編、2版、Academic Press Ltd.)により与えられる。
いくつかの型の酵母ベクターが利用可能であり、これらとしては、組込みベクター(それらの維持のために、宿主ゲノムとの組換えを必要とする)および自律複製プラスミドベクターが挙げられる。
トランスジェニックSaccharomycesを調製するために、酵母中での発現のために設計された構築物にヌクレオチド配列を挿入することにより、発現構築物が調製される。異種発現に使用されるいくつかの型の構築物が開発されている。これらの構築物は、このヌクレオチド配列と融合された、酵母において活性なプロモーターを含み、通常、酵母起源のプロモーター(例えば、GAL1プロモーター)が使用される。通常、酵母起源のシグナル配列(例えば、SUC2シグナルペプチドをコードする配列)が使用される。酵母において活性なターミネーターは、この発現系を終了させる。
酵母の形質転換のために、数種の形質転換プロトコルが開発されている。例えば、本発明によるトランスジェニックSaccharomycesは、Hinnenら(1978,Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 75,1929);Beggs,J D(1978,Nature,London,275,104);およびIto,Hら(1983,J Bacteriology 153,163〜168)の教示に従って調製され得る。
形質転換された酵母細胞は、種々の選択マーカーを使用して選択される。形質転換に使用されるマーカーには、多数の栄養要求マーカー(例えば、LEU2、HIS4およびTRP1)および優性抗生物質耐性マーカー(例えば、アミノグリコシド抗生物質マーカー(例えば、G418))がある。
別の宿主生物は、植物である。遺伝子改変植物の構築における基本原理は、挿入した遺伝物質の安定な維持を得るために、その植物ゲノムに遺伝情報を挿入することである。この遺伝情報を挿入するためのいくつかの技術が存在しており、その2つの主要な原理は、遺伝情報の直接的な導入およびベクター系を使用することによる遺伝情報の導入である。一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol[1991]42:205〜225)およびChristou(Agro−Food−Industry Hi−Tech March/April 1994 17〜27)による文献に見出され得る。植物形質転換に関するさらなる教示は、EP−A−0449375に見出され得る。
従って、本発明はまた、標的であるか標的を発現するヌクレオチド配列で宿主細胞を形質転換する方法を提供する。このヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、そのコードされるタンパク質の発現に適切な条件下で培養され得る。組換え細胞により産生されるタンパク質は、その細胞の表面に提示され得る。所望の場合、当業者が理解しているように、コード配列を含む発現ベクターは、特定の原核生物細胞膜または真核生物細胞膜を通しての、これらのコード配列の分泌を導くシグナル配列を用いて設計され得る。他の組換え構築物は、このコード配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列と連結し得る(Kroll DJら(1993) DNA Cell Biol 12:441〜53)。
(改変体/ホモログ/誘導体)
本明細書中で言及した特定のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列に加えて、本発明はまた、それらの改変体、ホモログおよび誘導体の使用を包含する。本明細書中では、「相同性」との用語は、「同一性」と同等とみなされ得る。
本発明の関係では、相同配列は、少なくとも75%、85%または90%同一であり得、好ましくは、少なくとも95%または98%同一であり得るアミノ酸配列を含むと見なされる。相同性はまた、類似性(すなわち、類似の化学特性/機能を有するアミノ酸残基)の点で考慮され得るが、本発明の関係では、配列同一性の点で相同性を表現することが好ましい。
相同性比較は、目で見て実施され得るが、より通常は、容易に入手可能な配列比較プログラムの補助により実施され得る。これらの市販のコンピュータープログラムは、2つ以上の配列間の相同性%を算出し得る。
相同性%は、連続した配列に対して算出され得る。すなわち、一方の配列は、他方の配列とアラインメントされ、一方の配列中の各アミノ酸は、1残基ごとに、他方の配列中の対応するアミノ酸と直接比較される。これは、「アンギャップド」アラインメントと呼ばれている。代表的には、このようなアンギャップドアラインメントは、比較的に少数の残基にわたってのみ、実施される。
これは、非常に単純で矛盾のない方法ではあるものの、例えば、他の点では同じである一対の配列において、1個の挿入または欠失によってその後のアミノ酸残基がアラインメントから外れること(従って、潜在的に、全体的なアラインメントを実行するとき、相同性%が大きく減少する可能性があること)を考慮していない。結果的に、ほとんどの配列比較方法は、過度の全体的な相同性スコアにペナルティーを課することなく、可能な挿入および欠失を考慮する最適なアラインメントを生じるように設計されている。これは、局所的相同性を最大にするように、その配列アラインメントに「ギャップ」を挿入することにより、達成される。
しかしながら、これらのさらに複雑な方法は、そのアラインメントで起こる各ギャップに対して、「ギャップペナルティー」を割り当て、その結果、同数の同じアミノ酸に対して、可能な限り少数のギャップを有する配列アラインメント(これは、2個の比較した配列間でのより高い関連性を反映している)は、多くのギャップを有するものよりも高いスコアを達成する。代表的には、「アフィンギャップコスト(Affine gap cost)」が、使用される。これは、ギャップの存在に対して比較的高いコストを課し、またギャップにある各連続残基に対して小さいペナルティーを課する。これは、最も一般的に使用されるギャップスコアリングシステムである。高いギャップペナルティーは、もちろん、より少ないギャップを有する最適化したアラインメントを生じる。ほとんどのアラインメントプログラムは、これらのギャップペナルティーの修正が可能である。しかしながら、配列を比較するためにこのようなソフトウェアを使用する場合、そのデフォルト値を使用するのが好ましい。例えば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(以下を参照)を使用するとき、アミノ酸配列に対するデフォルトギャップペナルティーは、1ギャップに対して−12であり、また、各伸長に対して、−4である。
従って、最大相同性%の計算には、第一に、ギャップペナルティーを考慮して、最適なアラインメントを生成する必要がある。このようなアラインメントを実行するのに適切なコンピュータープログラムは、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(University of Wisconsin,U.S.A.;Devereuxら、1984,Nucleic Acids Research 12:387)である。配列比較を実行可能な他のソフトウェアの例には、BLASTパッケージ(Ausubelら、1999(同書)、18章を参照のこと)、FASTA(Atschulら、1990,J.Mol.Biol.,403〜410を参照のこと)および比較ツールのGENEWORKSパッケージソフトが挙げられるが、これらに限定されない。BLASTおよびFASTAの両方は、オフライン検索およびオンライン検索に利用できる(Ausubelら、1999(同書)、7−58〜7−60頁を参照のこと)。しかしながら、GCG Bestfitプログラムを使用するのが好ましい。
さらに有用な参考は、FEMS Microbiol Lett 1999年5月15日;174(2):247−50(およびFEMS Microbiol Lett 1999年8月1日;177(1):187−8において公開された正誤表)に見出されるものである。
最終的な相同性%は、同一性の点で測定され得るが、そのアラインメントプロセス自体は、代表的には、全てか無か(all or nothing)の対比較に基づいていない。その代わりに、目盛りを付けた類似性スコアマトリックスが一般に使用され、このマトリクスは、化学的類似性または進化距離に基づいて、各ペアでの比較に対してスコアを割り当てる。一般的に使用されるこのようなマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス(BLASTプログラムのパッケージに対するデフォルトマトリックス)である。GCG Wisconsinプログラムは、一般に、公開されたデフォルト値またはカスタムシンボル比較表(提供されている場合)のいずれかを使用する(さらなる詳細は、ユーザー取扱マニュアルを参照のこと)。GCGパッケージについては、公開されたデフォルト値を使用するのが好ましく、または他のソフトウェアの場合、デフォルトマトリックス(例えば、BLOSUM62)を使用するのが好ましい。
一旦、このソフトウェアが最適なアラインメントを生成すると、相同性%、好ましくは、配列同一性%を計算することが可能となる。このソフトウェアは、代表的には、この配列比較の一部としてこれを行い、数値結果を作成する。
これらの配列はまた、サイレントな変化を生成し、機能的に等価な物質を生じるアミノ酸残基の欠失、挿入または置換を有し得る。意図的なアミノ酸の置換は、この物質の二次的結合活性が保持されている限り、それらの残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の類似性に基づいて、行われ得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる;正に荷電したアミノ酸としては、リジンおよびアルギニンが挙げられる;そして類似の親水性値を有する非荷電の極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニンおよびチロシンが挙げられる。
保存的な置換は、例えば、以下の表に従って、行われ得る。第二列の同じ枠、好ましくは、第三列の同じ行にあるアミノ酸は、互いに置換され得る。
Figure 0004553586
(発現ベクター)
標的として使用されるかまたは標的を発現するためのヌクレオチド配列は、組換え複製可能ベクターに取り込まれ得る。このベクターは、適合性宿主細胞内で、および/または適合性宿主細胞からヌクレオチド配列を複製および発現するのに使用され得る。発現は、プロモーター/エンハンサーおよび他の発現調節シグナルを含む制御配列を使用して、制御され得る。原核生物プロモーター、および真核生物細胞内で機能するプロモーターが使用され得る。組織特異的プロモーターまたは刺激特異的プロモーターが使用され得る。キメラプロモーターもまた使用され得、これは、上記の2つ以上の異なるプロモーターに由来する配列エレメントを含む。
このヌクレオチド配列の発現による宿主組換え細胞により産生されるタンパク質は、使用する配列および/またはベクターに依存して、分泌され得るか、または細胞内に含有され得る。コード配列は、物質をコードする配列の、特定の原核生物細胞膜または真核生物細胞膜を通じた分泌を指示するシグナル配列を用いて設計され得る。
(融合タンパク質)
標的アミノ酸配列は、例えば、抽出および精製を補助するために、融合タンパク質として生成され得る。融合タンパク質パートナーの例としては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6×His、GAL4(DNA結合および/または転写活性化ドメイン)および(−ガラクトシダーゼが挙げられる。融合タンパク質配列の除去を可能にするために、その融合タンパク質パートナーと目的のタンパク質配列との間に、タンパク質分解切断部位を含ませることもまた、好都合であり得る。好ましくは、融合タンパク質は、標的の活性を妨害しない。
融合タンパク質は、本発明の物質に融合した抗原または抗原性決定基を含み得る。この実施形態では、この融合タンパク質は、天然には生じない融合タンパク質であり得、免疫系の全身刺激を与えるという意味でアジュバントとして作用し得る物質を含む。抗原または抗原性決定基は、この物質のアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかに結合され得る。
本発明の別の実施形態では、アミノ酸配列は、融合タンパク質をコードするために異種配列に連結され得る。例えば、この物質の活性に影響を与え得る薬剤についてのペプチドライブラリをスクリーニングするために、市販の抗体により認識される異種エピトープを発現するキメラ物質をコードすることが有用であり得る。
(治療)
本発明の化合物は、治療剤として(すなわち、治療用途で)使用され得る。
用語「治療」は、治癒効果、軽減効果および予防効果を含む。
この治療は、ヒトまたは動物(好ましくは、雌性の動物)に行われ得る。
(薬学的組成物)
1つの局面において、本発明は、薬学的組成物を提供する。この組成物は、本発明に従う化合物および必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤または賦形剤(それらの組合せを含む)を含有する。
この薬学的組成物は、医学および獣医学の医薬においてヒトまたは動物での使用のためであり得、代表的には、薬学的に受容可能な希釈剤、キャリアまたは賦形剤の任意の1つ以上を含む。治療用途に受容可能なキャリアまたは希釈剤は、製薬分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro編 1985)で記載されている。薬学的キャリア、賦形剤または希釈剤の選択は、意図した投与経路および標準的な製薬慣行に関連して、選択され得る。これらの薬学的組成物は、キャリア、賦形剤または希釈剤として、またはそれらに加えて、任意の適切な結合剤、滑沢剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤を含み得る。
保存剤、安定剤、色素および香料でさえ、薬学的組成物中に提供され得る。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。酸化防止剤および懸濁剤もまた、使用され得る。
異なる送達系に依存して、異なる組成物/処方の要件が存在し得る。例として、本発明の薬学的組成物は、ミニポンプを使用して、または粘膜経路により(例えば、スプレー式点鼻薬または吸入用エアロゾルまたは経口摂取可能溶液として)、または非経口的に(ここで、この組成物は、例えば、静脈内経路、筋肉内経路または皮下経路による送達のために注射可能形態で処方される)送達されるべく処方され得る。あるいは、処方物は、両方の経路により送達されるように、設計され得る。
薬剤が胃腸粘膜を通って粘膜送達されるべき場合、薬剤は、胃腸管を通過している間安定なままであり得るべきである;例えば、薬剤は、タンパク質分解に対して耐性であるべきであり、酸性pHで安定であり、そして胆汁の界面活性効果に対して耐性であるべきである。
適切な場合、これらの薬学的組成物は、吸入により、座剤またはペッサリーの形態で、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤もしくは粉剤の形態で表面に、皮膚パッチを使用することにより、賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)を含有する錠剤の形態で経口的に、またはカプセル剤もしくは卵剤(ovules)中で単独でもしくは賦形剤と混合してかのいずれかで、または香料もしくは着色剤を含有するエリキシル剤、液剤もしくは懸濁剤の形態で投与され得るか、またはそれらは、例えば、静脈内、筋肉内もしくは皮下で、非経口的に注射され得る。非経口投与のために、これらの組成物は、無菌水溶液の形態で最もよく使用され得、これは、他の物質(例えば、その溶液を血液と等張性にするのに十分な塩または単糖類)を含有し得る。頬側または舌下投与のために、これらの組成物は、従来の様式で処方され得る錠剤またはトローチ剤の形態で投与され得る。
(組合せ薬物)
本発明の化合物は、1つ以上の他の活性剤(例えば、1つ以上の他の薬学的活性剤)と併用され得る。
例として、本発明の化合物は、他のSTSインヒビターおよび/または他のインヒビター(例えば、アロマターゼインヒビター(例えば、4ヒドロキシアンドロステンジオン(4−OHA))および/またはステロイド(例えば、天然に存在するステルニューロステロイドデヒドロエピアンドロステロンスルフェート(DHEAS))およびプレグネノロンスルフェート(PS)および/または他の構造的に類似の有機化合物)と併用され得る。他のSTSインヒビターの例は、上記参考文献に見出され得る。例として、本発明で使用されるSTSインヒビターとしては、EMATE、ならびに本明細書中に示される化合物5に類似するその2−エチル17−デオキシ化合物および2−メトキシ17−デオキシ化合物のいずれかまたは両方が挙げられる。
それに加えて、またはその代わりに、本発明の化合物は、生体応答調節因子と併用され得る。
用語、生体応答調節因子(「BRM」)は、サイトカイン、免疫調節因子、成長因子、造血調節因子、コロニー刺激因子、走化因子、溶血因子および血栓溶解因子、細胞表面レセプター、リガンド、白血球接着分子、モノクローナル抗体、予防および治療ワクチン、ホルモン、細胞外マトリックス成分、フィブロネクチンなどを含む。いくつかの用途については、好ましくは、この生体応答調節因子は、サイトカインである。サイトカインの例としては、以下が挙げられる:インターロイキン(IL)、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−19;腫瘍壊死因子(TNF)、例えば、TNF−α;インターフェロンα、βおよびγ;TGF−β。いくつかの用途については、好ましくは、このサイトカインは、腫瘍壊死因子(TNF)である。いくつかの用途については、TNFは、任意の型のTNF(例えば、TNF−α、TNF−β(それらの誘導体または混合物を含む))であり得る。より好ましくは、このサイトカインは、TNF−αである。TNFに関する教示は、当該技術分野で見られ得る(例えば、WO−A−98/08870およびWO−A−98/13348)。
(投与)
代表的には、医師は、個々の被験体に最も適切な実際の投薬量を決定し、それは、特定の患者の年齢、体重および応答により変化する。以下の投薬量は、平均的な場合の例である。もちろん、それより高いまたは低い範囲が有益な個々の例に存在し得る。
本発明の組成物は、直接的な注射により、投与され得る。この組成物は、非経口投与、粘膜投与、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、眼内投与または経皮投与用のために処方され得る。薬剤は、必要に応じて、0.01〜30mg/kg体重、例えば、0.1〜10mg/kg体重、より好ましくは、0.1〜1mg/kg体重の用量で、投与され得る。
さらなる例として、本発明の薬剤は、1日1〜4回、好ましくは、1日1回または2回のレジメンに従って、投与され得る。任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルおよび投薬頻度は、変化し得、それらは、使用する特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用期間、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食生活、投与様式および投与時間、排泄の速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度および治療を受ける宿主を含む種々の因子に基づく。
代表的な送達様式(上で示したようなもの)とは別に、用語「投与される」はまた、脂質媒介トランスフェクション、リポソーム、イムノリポソーム、リポフェクチン、カチオン性表面両親媒性物質(CFA)およびそれらの組合せのような技術による送達を含む。このような送達機構の経路には、粘膜経路、鼻内経路、経口経路、非経口経路、胃腸経路、局所経路または舌下経路が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「投与される」は、粘膜経路による(例えば、スプレー式点鼻薬もしくは吸入用エアロゾルとしてまたは経口摂取可能溶液として);非経口的経路(ここで、送達は、注射可能形態(例えば、静脈内経路、筋肉内経路または皮下経路)による)による送達が挙げられるが、これらに限定されない。
従って、薬剤投与については、本発明のSTSインヒビターは、従来の薬剤処方技術および薬学的キャリア、補助剤、賦形剤、希釈剤などを利用する任意の適切な様式で、通常は非経口投与のために処方され得る。大体の有効投薬割合は、当該化合物の個々の活性に依存して、平均的な体重(70kg)の患者に対して、1〜1000mg/日、例えば、10〜900mg/日、または100〜800mg/日の範囲でさえあり得る。好ましいさらに活性が高い化合物についてのさらに通常の投薬割合は、200〜800mg/日、より好ましくは、200〜500mg/日、最も好ましくは、200〜250mg/日の範囲である。それらは、単回用量レジメン、分割用量レジメンおよび/または複数用量レジメン(これは、数日にわたって続けられる)で投与され得る。経口投与のために、それらは、単位用量あたり、100〜500mgの化合物を含有する錠剤、カプセル剤、液剤または懸濁剤で処方され得る。あるいはそして好ましくは、これらの化合物は、非経口投与のために、適切な非経口投与可能なキャリア中で処方され、これは、200〜800mg、好ましくは、200〜500mg、より好ましくは、200〜250mgの範囲の単回毎日投薬割合を提供する。しかしながら、このような有効毎日用量は、その活性成分の固有の活性および患者の体重に依存して変わり、このような変動は、医師の技術および判断の範囲内である。
(細胞周期進行)
本発明の化合物は、細胞周期進行障害の治療方法において有用であり得る。
「Molecular Cell Biology」、第3版、Lodishら、177〜181頁で議論されているように、異なる真核細胞は、極めて異なる速度で増殖し分裂し得る。例えば、酵母細胞は、120分ごとに分裂し得、ウニおよび昆虫の胚性細胞における受精卵の第一分裂は、1530分間しかかからない。なぜならば、1個の大きな既存細胞が細分されるからである。しかしながら、大部分の増殖中の植物細胞および動物細胞は、数が2倍になるのに10〜20時間かかり、一部のものは、ずっと遅い速度で複製する。成体における多くの細胞(例えば、神経細胞および横紋筋細胞)は、全く分裂しない;創傷の治癒を助ける線維芽細胞のような他のものは、要求に応じて増殖するが、そうでなければ、静止している。
さらに、分裂するあらゆる真核細胞は、2個の娘細胞に同じ遺伝物質を供与する準備ができていなければならない。真核生物でのDNA合成は、この細胞分裂周期を通して起こるのではなく、細胞分裂前のその一部に制限される。
真核DNA合成と細胞分裂との間の関係は、増殖および分裂が全て可能な哺乳動物細胞の培養において、十分に分析されている。細菌とは対照的に、真核細胞は、DNA合成においてその時間の一部しか費やさず、そしてそれは、細胞分裂(有糸分裂)の何時間も前に完了することが見出された。従って、DNA合成後および細胞分裂前に、時間のギャップが生じる;他のギャップは、分裂後および次回のDNA合成の前で起こることが見出された。この分析により、真核細胞周期は、M(有糸分裂)期、G期(第一ギャップ)、S(DNA合成)期、G期(第二ギャップ)からなり、そしてM期に戻ると結論付けられた。有糸分裂の間の期(G、SおよびG)は、総称して、間期として知られている。
組織中の多くの非分裂細胞(例えば、全ての静止線維芽細胞)は、有糸分裂の後でかつDNA合成の直前で周期を停止している;このような「休止」細胞は、細胞周期から出ていて、G状態にあるといわれる。
細胞が、細胞周期の3つの間期段階のうちの1つにある場合、蛍光活性化セルソータ(FACS)を用いて細胞の相対DNA含有量を測定することによって、細胞を同定することが可能である:G(DNA合成前)にある細胞は、規定された量xのDNAを有する;S(DNA複製)の間、細胞は、xと2xとの間を有する;そしてG(またはM)にある場合、細胞は2xのDNAを有する。
動物細胞における有糸分裂および細胞質分裂の段階は以下の通りである。
(a)間期。間期のG期は、有糸分裂の開始の直前にある。染色体DNAは、S期の間に複製されタンパク質に結合しているが、染色体は、まだ、明確な構造体には見えない。核小体は、光学顕微鏡下で可視である、唯一の核下部構造である。DNA複製前の2倍体細胞では、各々の型の2つの形態学的染色体が存在し、そしてこの細胞は、2nであるといわれる。Gでは、DNA複製後、この細胞は4nである。4コピーの各染色体DNAが存在する。この姉妹染色体は、互いに未だに分離されていないので、これらは、姉妹染色分体と呼ばれる。
b)初期前期。中心小体(各々、新たに形成された娘中心小体を有する)は、細胞の反対の局に向かって移動し始める;この染色体は、長い糸として見られ得る。核膜は、小さな小胞へと脱凝集し始める。
(c)中期前期および後期前期。染色体凝縮が完了する;各可視の染色体構造は、それらの動原体によって一緒に支持されている、2つの染色分体から構成される。各染色分体は、新たに複製された2つの娘DNA分子のうちの1つを含む。微小管紡錘体は、中心小体にまさに隣接する領域から放射状に広がり始め、これらは、それらの極により近くなるように移動する。いくつかの紡錘体線維は、極から極に到達する;大部分は、染色分体に行き、そして動原体で結合する。
(d)中期。これらの染色体は細胞の赤道に向かって移動し、赤道でこれらは赤道面に整列されるようになる。姉妹染色分体は、まだ別れていない。
(e)後期。これらの2つの姉妹染色分体は、独立した染色体に分かれる。各々は、紡錘体線維によって1つの極に連結された動原体を含み、この極に向かってこれらは移動する。従って、1コピーの各染色体は、各娘細胞に与えられる。同時に、この細胞は、極から極へと紡錘体が伸長するように伸長する。切断溝が形成され始めるにつれ、細胞質分裂が始まる。
(f)終期。新たな膜が娘核の周囲に形成される;この染色体はほどけ、そしてあまりはっきりしなくなり、核小体が再度見えるようになり、そして核膜が各娘核の周囲に形成される。細胞質分裂はほぼ完全であり、そして微小管および他の線維が脱重合するにつれ、紡錘体は消失する。有糸分裂全体を通して、各極での「娘」中心小体が、全長になるまで成長する。終期には、もともとの中心小体の各々の重複が完了し、そして新たな娘中心小体が次の間期の間に生成される。
(g)間期。細胞質分裂の完了の際に、この細胞は、細胞周期のG期に入り、そして再度この周期を回り始める。
細胞周期進行(cell cycling)が極めて重要な細胞プロセスであることが認識される。正常な細胞周期進行からの逸脱は、多数の医学的障害をもたらし得る。増大したおよび/または無制限の細胞周期進行は、癌をもたらし得る。減少した細胞周期進行は、変性状態をもたらし得る。本発明の化合物の使用は、このような障害および状態を処置する手段を提供し得る。
従って、本発明の化合物は、細胞周期進行障害(例えば、ホルモン依存性およびホルモン独立性癌を包含する、癌)の処置において使用するために適切であり得る。
さらに、本発明の化合物は、癌(例えば、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、肉腫、黒色腫、前立腺癌、膵臓癌などおよび他の固形腫瘍)の処置に適切であり得る。
いくつかの適用について、細胞周期進行は、阻害および/または妨害および/または阻止され、好ましくは、ここで、細胞周期進行が妨害および/または阻止される。1つの局面では、細胞周期進行は、G/M期において阻害および/または妨害および/または阻止され得る。1つの局面では、細胞周期進行は、不可逆的に妨害および/または阻害および/または阻止され得、好ましくは、ここで、細胞周期進行は、不可逆的に妨害および/または阻止される。
用語「不可逆的に妨害および/または阻害および/または阻止される」によって、本発明の化合物の適用後、この化合物が除去されたとき、この化合物の効果(すなわち、細胞周期進行の妨害および/または阻害および/または阻止)が依然として観察可能であることを意味する。より詳細には、用語「不可逆的に妨害および/または阻害および/または阻止される」によって、本明細書中に提示される細胞周期進行アッセイプロトコルに従ってアッセイされた場合、目的の化合物で処理された細胞が、プロトコルIの第2段階後に、コントロール細胞よりも少ない増殖を示すことを意味する。このプロトコルについての詳細を以下に示す。
従って、本発明は、以下の化合物を提供する:細胞周期進行を妨害および/または阻害および/または阻止することによって、エストロゲンレセプターポジティブ(ER+)およびERネガティブ(ER−)乳癌細胞の増殖の阻害をインビトロで引き起こす;ならびに/あるいはインタクトな(すなわち、卵巣摘出されていない)動物におけるニトロソ−メチルウレア(NMU)誘発性乳腺癌の後退、あるいは/または癌細胞における細胞周期進行の妨害および/または阻害および/または阻止を引き起こす;ならびに/あるいは細胞周期進行を妨害および/または阻害および/または阻止することによってインビボで作用するか、あるいは/または細胞周期進行アゴニストとして作用する。
(細胞周期進行アッセイ(プロトコル6))
(手順)
(第1段階)
MCF−7乳癌細胞を、10細胞/ウェルの密度でマルチウェル培養プレートに播種する。細胞を、約30%コンフルエントになるまで結合および増殖させた。この時点で以下の通りに処理する:
コントロール−処理なし;
目的の化合物(COI)20μM。
細胞を、培地/COIを3日毎に交換しながら、COIを含む増殖培地中で6日間増殖させる。この期間の最後に、Coulter細胞計数器を用いて細胞数を計数した。
(第2段階)
COIを用いた6日間にわたる細胞の処理後、細胞を10細胞/ウェルの密度で再度播種する。さらなる処理を加えない。細胞を、増殖培地の存在下で、さらに6日間にわたって増殖させ続ける。この期間の最後に、細胞数を再度計数する。
(癌細胞を用いてDH活性を決定するためのアッセイ(プロトコル7))
エストロンのエストラジオールへの転換(E1→E2,E2DH I型)およびエストラジオールのエストロンへの転換(E2→E1,E2DH II型)を、それぞれ、T47D乳癌細胞およびMDA−MB−231乳癌細胞のインタクトな細胞単層において測定した。細胞が80〜90%コンフルエントになるまで、細胞をフラスコ中で培養した。H−E1またはH−E2(6pmol、約90Ci/mmol)を、2.5m1の培地中で、種々の試験化合物の非存在下(コントロール)または種々の試験化合物(10μM)の存在下の各フラスコに添加した。基質をまた、細胞を含まないフラスコに添加し、並行してインキュベートした(ブランク)。
37℃での、30分間にわたるT47D細胞を用いたインキュベーションまたは3時間にわたるMDA細胞を用いたインキュベーションの後、2mlの培地を、それぞれ、14C−E2または14C−E1(約5000cpm)および50μgのE2またはE1を含む試験管に添加した。ステロイドを、ジエチルエーテル(4ml)を用いて水性媒体から抽出した。水相を固体二酸化炭素−メタノール混合物中で凍結した後、エーテル相を、別個の管にデカントした。エーテルを、40℃にて空気流れ下でエバポレートして乾固させた。残渣を小容量のジエチルエーテル中に溶解し、そして蛍光インジケーターを含むTLCプレートに適用した。E1およびE2を、DCM−酢酸エチル(4:1 v/v)を用いるTLCによって分離した。各インキュベーションフラスコ由来の生成物の位置を、UV光下での可視化後、TLCプレート上でマークした。マークした領域を切り出し、そしてメタノール(0.5ml)を含むシンチレーションバイアル中に配置して生成物を溶出させた。形成されたH−生成物および回収された14C−E1または14C−E2の量を、シンチレーション分光光度法の後に算出した。形成された生成物の量を、手順による喪失および各フラスコ中の細胞数と相関させた。
(癌)
示したように、本発明の化合物は、細胞周期進行障害の処置において有用であり得る。特定の細胞周期進行障害は癌である。
癌は、大部分の西洋諸国における主な死因のままである。これまでに開発された癌治療は、ホルモンの作用または合成をブロックして、ホルモン依存性腫瘍の増殖を阻害することを含んでいた。しかし、より攻撃的化学療法が、ホルモン依存性腫瘍の処置のために現在用いられている。
それゆえ、ホルモン依存性腫瘍および/またはホルモン非依存性腫瘍の抗癌処置のための薬剤の開発は、化学療法に関連したいくつかまたは全ての副作用を欠いているとはいえ、主な治療的進歩を表す。
エストロゲンが、それらの合成後に多数の水酸化および結合体化反応を受けることが公知である。近年まで、このような反応は、エストロゲンを最終的に水溶性にし、身体からのそれらの除去を増強する代謝プロセスの一部であると考えられた。いくつかのヒドロキシ代謝産物(例えば、2−ヒドロキシおよび16α−ヒドロキシ)および結合体(例えば、エストロンスルフェート、E1S)が、エストロゲンが身体中で有する複雑な作用のうちのいくつかを決定する際に重要であることが現在明らかである。
研究者らは、2−ヒドロキシル化エストロゲンおよび16−ヒドロキシル化エストロゲンの形成を、乳癌の危険性を変更する状態に関して調査した。現在、2−ヒドロキシラーゼ活性を増大させる因子が、癌の危険性の低減に関連するが、16α−水酸化を増大させる因子は、乳癌の危険性を高め得るという証拠が存在する。エストロゲン代謝産物の生物学的役割におけるさらなる関心が、2−メトキシエストラジオールが、抗有糸分裂特性を有する内因性代謝産物であるというますます増加する証拠によって、刺激されている。2−MeOE2は、カテコールエストロゲンメチルトランスフェラーゼによって2−ヒドロキシエストラジオール(2−OHE2)から形成される。カテコールエストロゲンメチルトランスフェラーゼは、身体全体に広範に分布する酵素である。
研究者らは、インビボでの2−MeOE2が、Meth A肉腫、B16黒色腫またはMDA−MB−435エストロゲンレセプターネガティブ(ER−)乳癌細胞の皮下注射によって生じた腫瘍の増殖を阻害することを示した。これはまた、内皮細胞の増殖および移動、ならびにインビトロでの脈管形成を阻害する。2−MeOE2が腫瘍増殖をインビボで阻害する能力が、腫瘍細胞増殖の直接的阻害というよりも、腫瘍誘発性脈管形成を阻害するその能力に起因し得るということが示唆された。
2−MeOE2がその潜在的抗有糸分裂効果および抗脈管形成効果を発揮する機構は、依然として解明されていない。高濃度では、これが、微小管重合を阻害し得、そしてチューブリンに対するコルヒチン結合の弱いインヒビターとして作用し得るという証拠が存在する。しかし、近年、有糸分裂をブロックする濃度では、細胞内のチューブリンフィラメントは、脱重合されるとは見出されなかったが、タキソール(taxol)処理後に見られる形態と同一の形態を有することが見出された。それゆえ、乳癌治療および卵巣乳癌(ovarian breast cancer)治療のために用いられる薬物であるタキソールと同様に、2−MeOE2が、微小管動力学を安定化することによって作用することが可能である。
2−MeOE2が癌のための新たな処置と同定されたことは重要な進歩を表すが、経口投与されたエストロゲンのバイオアベイラビリティは乏しい。さらに、これらは、肝臓を通してのそれらの最初の通過の間に、相当の代謝を受け得る。乳癌治療のためのステロイドスルファターゼインヒビターを開発する研究プログラムの一部として、エストロン−3−O−スルファメート(EMATE)は、強力な活性部位特異的インヒビターと同定された。予想外なことに、EMATEは、強力なエストロゲン特性を保有することが証明され、ラットにおけるその経口子宮栄養活性は、エストラジオールの100倍高かった。その増強されたエストロゲン性は、肝臓を通るその通過の間の不活化から保護しかつ長期間にわたるその徐放のためのレザバとして作用する赤血球(rbcs)によるその吸収から生じると考えられる。2−メトキシエストロン−3−O−スルファメートを含め、多数のA環改変アナログを合成され、そして試験した。この化合物は、ステロイドスルファターゼインヒビターとしてEMATEと同等に強力であったが、この化合物は、エストロゲン性がなかった。
本発明者らは、本発明の化合物は、癌(特に、乳癌)の処置のための手段を提供すると考える。
さらに、またはその代わりに、本発明の化合物は、癌(白血病および固形腫瘍(例えば、胸部腫瘍、子宮内膜腫瘍、前立腺腫瘍、卵巣腫瘍および膵臓腫瘍)を包含する)の増殖をブロックする際に有用であり得る。
(エストロゲンに関する治療)
本発明者らは、本発明の化合物のうちのいくつかは、(特に女性の)身体におけるエストロゲンレベルの制御において有用であり得ると考える。従って、これらの化合物のいくつかは、受精能制御手段(例えば、経口避妊用の錠剤、丸剤、液剤または菓子錠剤)を提供するので有用であり得る。あるいは、この化合物は、移植物の形態またはパッチとして存在し得る。
従って、本発明の化合物は、エストロゲンに関連したホルモン状態を処置する際に有用であり得る。
さらに、またはその代わりに、本発明の化合物は、エストロゲンに関連した状態に加えて、ホルモン状態を処置する際に有用であり得る。それゆえ、本発明の化合物はまた、ホルモン活性に影響を与え得、そしてまた免疫応答に影響を与え得る。
(神経変性疾患)
本発明者らは、本発明の化合物のいくつかは、神経変性疾患および同様の状態の処置において有用であり得ると考える。
例として、STSインヒビターは、病気(例えば、健忘症、頭部損傷、アルツハイマー病、癲癇性痴呆、初老期痴呆、外傷後痴呆、老年痴呆、脈管痴呆および発作後痴呆)に罹患している患者または他の点で記憶増強を望む個体の記憶機能を増強する際に有用であり得ると考えられる。
(TH1)
本発明者らは、本発明の化合物のいくつかは、TH1関連において有用であり得ると考える。
例として、マクロファージまたは他の抗原提示細胞内でのSTSインヒビターの存在は、感作T細胞がTH1(高IL−2、IFNγ低IL−4)応答を高める能力の低下をもたらし得ると考えられる。それゆえ、他のステロイド(例えば、グルココルチコイド)の正常な調節の影響が優勢である。
(炎症状態)
本発明者らは、本発明の化合物のいくつかが、炎症状態(例えば、自己免疫(例えば、慢性関節リウマチを包含する)、I型およびII型糖尿病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、甲状腺炎、脈管炎、潰瘍性大腸炎およびクローン病、皮膚障害(例えば、乾癬および接触皮膚炎);移植片対宿主病;湿疹;喘息および移植後の器官拒絶のうちのいずれか1つ以上に関連した状態)を処置する際に有用であり得ると考える。
例として、STSインヒビターが、免疫応答および/または炎症応答に対するDHEAまたは関連のステロイドの正常な生理学的影響を防止し得ると考えられる。
本発明の化合物は、内因性グルココルチコイド様効果を示すための医薬の製造において有用であり得る。
(その他の処置)
本発明の化合物/組成物は、他の重要な医療的意味を有し得ることもまた、理解される。
例えば、本発明の化合物または組成物は、WO−A−99/52890の全体に渡って列挙された障害の処置に有用であり得る:
さらに、またはその代わりに、本発明の化合物もしくは組成物は、WO−A−98/05635に列挙された障害の処置に有用であり得る。参照を容易にするため、リストの一部分がここで提供される:癌、炎症または炎症性疾患、皮膚障害、発熱、心血管の影響、出血、凝固および急性期応答、悪液質、節食障害、急性感染、HIV感染、ショック状態、移植片対宿主反応、自己免疫疾患、再潅流傷害、髄膜炎、偏頭痛およびアスピリン依存性抗血栓症;腫瘍の増殖、浸潤および拡散、血管新生、転移、悪性、腹水および悪性胸水;脳虚血、虚血性心疾患、変形関節炎、関節リウマチ、骨粗鬆症、喘息、多発性硬化症、神経変性症、アルツハイマー病、アステローム性動脈硬化症、脳卒中、血管炎、クローン病および潰瘍性大腸炎;歯周病、歯肉炎;乾癬、アトピー性皮膚炎、慢性潰瘍、表皮水泡症;角膜潰瘍形成(corneal ulceration)、網膜症および手術創傷治癒;鼻炎、アレルギー性結膜炎、湿疹、アナフィラキシー;再狭窄、うっ血性心不全、子宮内膜症、アテローム性動脈硬化症または内硬化症(endosclerosis)。
さらに、またはその代わりに、本発明の化合物もしくは組成物は、WO−A−98/07859に列挙された疾患の処置に有用であり得る。参照を容易にするため、リストの一部分がここで提供される:サイトカインおよび細胞増殖/分化活性;免疫抑制剤または免疫賦活剤の活性(例えばヒト免疫不全ウィルスへの感染;リンパ球増殖の調節;癌および多くの自己免疫疾患の処置ならびに移植拒絶の防止、または腫瘍免疫誘導を含む免疫不全の処置のための);造血の調節(例えば骨髄球性またはリンパ球性疾患の処置);骨、軟骨、腱、靭帯、および神経組織の成長の促進(例えば創傷治癒、火傷、潰瘍および歯周病の処置、ならびに神経変性のための);卵胞刺激ホルモンの抑制または活性化(受胎能の変調);化学走性/ケモキネシス活性(例えば傷害または感染部位への特定の細胞型の動員のための);止血活性および血栓溶解活性(例えば血友病および脳卒中の処置のための);抗炎症活性(例えば敗血性ショックまたはクローン病の処置のための);抗菌剤として;例えば代謝または行動の修飾因子;鎮痛薬として;特定の欠乏性障害の処置;例えば人間または獣医学における乾癬の処置において。
さらに、またはその代わりに、本発明の化合物は、WO−A−98/09985に列挙された障害の処置に有用であり得る。参照を容易にするため、リストの一部分がここで提供される:マクロファージ抑制および/またはT細胞抑制活性、ならびに従って、抗炎症活性;抗免疫活性、すなわち、炎症に関連しない応答を含む細胞性および/または体液性免疫応答に対する抑制作用;細胞外マトリックス成分およびフィブロネクチンに接着するマクロファージおよびT細胞の能力、ならびにT細胞におけるアップレギュレートされたfasレセプターの発現の阻害;以下を含む不必要な免疫応答ならびに炎症の阻害;関節炎(関節リウマチを含む)、過敏症に付随する炎症、アレルギー反応、喘息、全身性エリテマトーデス、膠原病およびその他の自己免疫性疾患、アテローム性動脈硬化症に付随する炎症、アテローム性動脈硬化症、アテローム硬化性心疾患、再潅流傷害、心不全、心筋梗塞、血管炎症性疾患、呼吸窮迫症候群または他の心肺疾患、消化性潰瘍に付随する炎症、潰瘍性大腸炎、および他の消化管疾患、肝繊維症、アルコール性肝硬変または他の肝疾患、甲状腺炎または他の腺性疾患、子宮体腎炎または他の腎性障害および泌尿器障害、耳炎または他の耳鼻咽喉科疾患、皮膚炎または他の皮膚疾患、歯周病または他の歯科疾患、睾丸炎または精巣上体炎、不妊、睾丸外傷または他の免疫関連精巣疾患、胎盤機能不全(placental dysfunction)、胎盤機能不全(placental insufficiency)、習慣性流産、子癇、前子癇ならびに他の免疫および/または炎症に関連する婦人科疾患、後部ブドウ膜炎、中間ブドウ膜炎、前部ブドウ膜炎、結膜炎、脈絡網膜炎、ブドウ膜強膜炎、視神経炎、眼内炎症(例えば、網膜炎または類嚢胞様黄斑水腫)、交換性眼炎、強膜炎、網膜色素変性症、変性眼底疾患の免疫成分および炎症性成分、眼外傷の炎症性成分、感染によって引き起こされた眼球炎、増殖性硝子体網膜症、急性虚血性視神経症、過度の瘢痕(例えば、緑内障の濾過操作に伴う)、眼球移植に対する免疫反応および/または炎症反応、ならびに他の免疫および炎症に関連する眼科疾患、中枢神経系(CNS)においてまたは他の任意器官においての両方で、免疫および/または炎症の抑制が有益である、自己免疫疾患または自己免疫状態または自己免疫障害に関連する炎症、パーキンソン病、パーキンソン病の処置からの合併症および/または副作用、AIDS関連痴呆複合HIV関連脳症、ドヴィック病、シドナム舞踏病、アルツハイマー病および他のCNSの変性疾患、変性状態、変性障害、脳卒中の炎症性成分、後灰白質症候群、精神医学の免疫成分および炎症性成分、骨髄炎、脳炎、亜急性硬化性前脳炎、脳脊髄瘤、急性神経障害、亜急性神経障害、慢性神経障害、ギランバレー症候群、シドナム舞踏病、重症筋無力症、偽性大脳腫瘍、ダウン症候群、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、CNSの圧迫またはCNS外傷またはCNSの感染の炎症性成分、筋萎縮症およびジストロフィーの炎症性成分、ならびに、中枢神経系および抹消神経系の免疫および炎症関連疾患、免疫および炎症関連状態または免疫および炎症関連傷害、外傷後の炎症、敗血性ショック、感染症、手術の炎症性合併症または副作用、骨髄移植または他の移植の合併症および/または副作用、体液性および/または細胞性の免疫応答の抑制もしくは阻害のため、または単球もしくはリンパ球の量を減らすことによる単球もしくは白血球の増殖性疾患(例えば白血病)の処置もしくは改善のため、角膜、骨髄、器官、レンズ、ペースメーカー、天然もしくは人工の皮膚組織のような天然もしくは人工の細胞、組織および/または器官の移植の場合の移植片拒絶の予防および/または処置のための、遺伝子治療の炎症性および/または免疫性の合併症および副作用(例えば、ウィルスキャリアでの感染、またはAIDSに関連する炎症に起因する)。
(スルファメート化合物調製)
本発明のスルファメート化合物は、適切なアルコールと、適切なクロリドとを反応させることにより調製され得る。例示によって、本発明のスルファメート化合物は、適切なアルコールと、式RNSOClの適切なスルファモイルクロリドと反応させることにより調製され得る。
反応を実施するための代表的条件は、以下の通りである。
水素化ナトリウムおよびスルファモイルクロリドを、0℃にて無水ジメチルホルムアミド中のアルコール攪拌溶液に添加する。その後、反応系を室温まで加温し、その後に、攪拌を、さらに24時間続ける。反応混合物を、炭酸水素ナトリウムの冷飽和溶液に注ぎ、得られた水相を、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を、無水MgSOで乾燥する。濾過後の減圧下での溶媒エバポレーションおよびトルエンとの同時エバポレーションにより、粗製残渣が得られ、これをさらに、フラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
好ましくは、そのアルコールは、適切な場合、スルファモイルクロリドとの反応前に誘導体化される。必要な場合、アルコールにおける官能基は、既知の様式にて保護され得、保護基は、反応の最後に除去され得る。
好ましくは、そのスルフェート化合物は、Pageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)の教示に従って調製される。
ホスホネート化合物は、Pageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB92/01586の教示を適切に組み合わせることによって調製され得る。
スルホネート化合物は、Pageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB92/01586の教示を適切に適合させることにより調製され得る。
チオホスホネート化合物は、Pageら(1990 Tetrahedron 46;2059−2068)およびPCT/GB91/00270の教示を適切に適合させることにより調製され得る。
好ましい調製はまた、以下の本文中に提示される。
(要旨)
まとめると、本発明は、ステロイドスルファターゼインヒビターおよび/またはステロイドデヒドロゲナーゼインヒビターとして使用するための化合物、ならびにそれについての薬学的組成物を提供する。
本発明は、ここで例示によってのみ記載される。
(実施例)
多くの化合物のE1S→E1の阻害を、研究した。阻害の程度を、本明細書中に規定されるプロトコルに従って決定した。得られたデータを、以下の表1の形態にて示す。各アッセイにおいて、Coumate 667もまた、コントロールとして実行した。この化合物の対応する阻害の程度もまた、示す。
Figure 0004553586
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本発明に従うさらなる化合物および本明細書中で参照される化合物の構造を、以下に示す。
Figure 0004553586
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本発明に従うさらなる化合物を合成し、生物学的データを、以下の研究において得た。
(さらなる研究)
STSインヒビターとHSDインヒビター(およびいくつかの局面の抗エストロゲンにおいて)の両方の特徴を併せ持つ分子もまた、開発した。アルキルアミド側鎖が、エストロゲンレセプター活性化をブロックし得る23という事実を信頼して、17β−(N−アルキルカルバモイル)側鎖および17β−(N−アルカノイル)側鎖を有するエストラジオールの3−O−スルファメート誘導体を、合成した24。そのアルキル基/アルカノイル基を、酵素に対する親和性を増大し、ステロイドの発情原性を低下するべき膜挿入領域として設計する。これらの新規分子は、HDBCの処置の潜在的治療剤であることを示す。なぜなら、ヘプチルアナログ1および2(下記)の活性は、エストロンスルファターゼの阻害に関して、発情原性であること以外は、EMATEの活性と類似していることがわかったからである。
Figure 0004553586
N−アルキルカルバモイル側鎖を有するエストロンの3−O−スルファメート−C17−誘導体の構造
STSの領域における研究により、いくつかの非常に強力なインヒビターが生成された(そのうちの1つは、臨床試験(clinique)に入っている)が、17β−HSDインヒビター設計は、なお開発のための準備がさらに整った分野である。本発明者らの知見の限りでは、16α−(ブロモプロピル)−エストラジオールは、17β−HSD 1型の最も強力なインヒビターであり、このことは、ステロイド骨格のD環が、酵素による構造認識において大きな役割を果たし得ることを示唆する。しかし、16α−(ブロモプロピル)−エストラジオールは、発情原性であり、その発情原性を減少させる試みの大部分は、失敗したか、またはその活性の減少を生じた。
アゴニスト活性がないが、抗発情性活性を保有する、強力な17β−HSD 1型インヒビターは、HDBCの処置のための新規な型の薬剤である。なぜなら、このインヒビターは、エストロゲン合成およびエストロゲン作用の二重サプレッサとして作用するからである。従って、このような薬剤を開発する試みが、非発情原性特性または抗発情原性特性の誘導を補助するいくつかの特定の改変の付加を有する3(または4)の構造的特徴に焦点を合わせ得ると提唱される。
エストロゲンレセプターについての標的分子の親和性を減少させ、薬物によって誘導されるエストロゲンアゴニスト作用(oestrogen−agonism)の機会を最小にするために、17β−ヒドロキシル機能をカルボニル基で置換することが提唱された。エストラジオールは、実際、エストロンより乳房腫瘍細胞に対して10倍高い増殖効果を有し、このことは、17β−ヒドロキシル化化合物の発情原性を示唆する33。これらの化合物の非発情性特性の最適化もまた、A環の2位にメトキシ官能基を導入することによって行われ得る。なぜなら、2−メトキシエストロゲンは、それらの親エストロゲンより発情性が低いことが公知であるからである。それらはまた、腫瘍増殖および新脈管形成を阻害し得るので、標的化合物にさらなる特性を付与し得る34
D環上の側鎖は、活性を担うので保持されなければならない一方、側鎖を誘導するストラテジーは、より大きな汎用性(versatility)を可能にしなければならず、このことは、D環自体を改変する必要性を示唆する。導入される側鎖としては、短鎖から長鎖のアルキル部分またはかさ高い疎水性置換基(酵素の活性に対するその効果は、疎水性ポケットの存在/非存在に関連し得る)が挙げられる。ブロモアルキルまたはクロロプロピル部分のような側鎖の他の型は、活性な側の求核性アミノ酸残基と潜在的に相互作用し得、不飽和が、側鎖に対して剛性を付与し得る。活性部位におけるその配向は、酵素の阻害についての決定要因であり得る。
上記にまとめたこれらの要件を達成するために、化合物5(下記)を、良好な候補として仮定した。構造的に改変されたD環があれば、これは、D環のN−イミド原子に対する側鎖の非常に容易な導入を可能にするために、エストラジオールの上記の誘導体を超える利点もまた有する17β−HSD 1型阻害に対する新規なアプローチを、提供する。これはまた、別の計画から本発明者らのグループにおいて合成されたベンジルマリアノル酸から1工程にて到達され得る35
Figure 0004553586
3−ヒドロキシ−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド、5(R=R’=H)およびその親(R=側鎖およびR’=HまたはSONH
(合成ストラテジー)
5から誘導された分子のファミリーについての構造活性関係を確立するために、効率的な合成経路が開発されなければならず、この合成経路は、D環に対する広範に種々の側鎖の容易かつ効率的な導入を可能にする。
最も論理的なアプローチ(これは、標的の合成の間に汎用性を可能にする)は、側鎖をピペリジンジオン部分に変換した後に、D環上にその側鎖の導入を考慮することである。従って、一旦そのC3位にて保護されると、化合物5は、側鎖の導入が、N−アルキル化を介して一工程にて容易に行われ得るので、標的の合成のための重要な中間体であることが提唱された。次いで、その後の脱保護およびスルファモイル化により、最終のフェノール化合物およびスルファメート誘導体を得る。重要な中間体(枠で囲った)が、エストロンから利用可能に(accessible)出発するということを支持しつつ、粗製合成経路が、スキーム1において提唱される。
Figure 0004553586
スキーム1.市販のエストロンから標的分子に到達するために提唱される合成アプローチ
P=保護基、R=側鎖、R’=HまたはSONH
(a)D環改変、保護;(b)アルキル化;(c)脱保護、スルファモイル化。
ステロイドのD環を改変するために転位の使用は、しばしば、文献中に報告されている。Jindalらは、本発明者らが研究することを決定した、16−オキシイミノエストロン6(スキーム2)のBeckmann転位を介して5のアセチル化誘導体への到達を提唱した37
Figure 0004553586
スキーム2。7の合成のための文献の方法。
試薬:(a)KOC(CH、(CHCH(CHONO;(b)AcO/ACOH、還流。
エストロンの脱保護を、無水2−メチル−プロパン−2−オール中に金属カリウムを溶解させることにより新たに調製した、カリウムtert−ブトキシドの作用の下で室温にて行った。過剰な亜硝酸イソアミルの添加により、ケトオキシム6を得、その収率は、63%であった。後者のBeckmann転位を、酢酸および無水酢酸の混合物の還流条件下で行って、7を得、収率57%で単離した。
7のD環改変構造は、十分に確立され、分光法を使用して確認した。イミド系の特徴的な振動バンドは、その化合物のIRスペクトル上に1725および1690cm−1にて示され、NH交換可能プロトンは、H NMRスペクトル上に一重項として10.64ppmにて現れた。四級炭素C17およびC18は、13C NMRスペクトル上で171.9ppmおよび178.7ppmにて特徴的な低磁場化学シフトを有した。
6のBeckmann転位は、エストロンから2工程にて中間体7を得るという利点を有する一方、全体的な収率(36%)は、かなり低かったが、文献中に報告された収率に匹敵した。従って、これにより、遙かに高い収率で7をもたらす別のストラテジーを開発することが決定された。
その後の開環および閉環を通じたD環の改変は、5の誘導体に到達する別の方法として提唱された。保護されたエストロンのD環は、実際に、ハロホルム反応を介して開環され得35、アミンで熱縮合して閉環し、エストロンのピペリジンジオンD環誘導体を得た。スキーム3は、予測される経路およびN−アルキル化によって導入される側鎖をまとめる。
Figure 0004553586
スキーム3。ベンジルマリアノル酸9を介する10〜21の合成のための別の方法。
試薬:(a)NaH/DMF、BnBr、80℃;(b)I、KOH、MeOH、次いでKOH還流;(c)尿素、180℃;(d)NaH/DMF、RX;(e)RNH、180℃;(f)Pd/C、H、MeOH/THF;(g)ClSONH/DMA。
ベンジル−エストロン8(これは、エストロンのベンジル化によって容易に調製される)と、過剰の塩基(水酸化カリウム)と、ヨウ素とを反応させることにより、メチレンケトン官能基が、ビスハロゲン化され、次いで開裂された。ジカルボン酸への完全な変換を、KOHの濃溶液中で還流することにより達成した。次いで、ベンジルマリアノル酸9(これは、75%の最適化収量で単離された)を、尿素の存在下で熱環化に供した。この縮合反応(これは、都合のよい6員環の形成をもたらす)は、短期間180℃にて試薬を加熱した場合に生じる。生じたD環改変ステロイド10を、高収率(80〜89%)にて得、中間体10合成するための全体的な収率は、55%であった。従って、さらなる工程が存在するにも拘わらず、この別の方法は、文献の方法を超えるかなりの改善を示す。
イミドは、アルキルハライドを攻撃するには非常に弱い塩基であるので、イミドは、N−アルキル化を受ける前に、最初にそれらの共役塩基に変換されなければならない。この目的のために、DMF中の水素過ナトリウムを用いて10を脱保護化し、その後、最も可能性が高いのは、種々のアルキル化薬剤とのS2反応を介して反応させた。この方法に従って、多くの側鎖を、首尾よく導入した。化合物11〜21を、75〜97%の範囲の収率および平均反応時間2時間で得た。
N−アルキル化化合物もまた、アルキルアミンの存在下でベンジルマリアノル酸が加熱される場合に、ベンジルマリアノル酸から直接利用した。誘導体21(R=ベンジル)をこのようにして合成したが、その反応物の収率は、中程度(65%)であった。従って、例外的にそのアルキルハライドが市販されていないかまたは10のN−アルキル化に対して非反応性であると考えられる場合に、BMAからの直接法が、使用されることが提唱された。
次いで、化合物11〜21のベンジルエーテルを、Pd/Cを使用する触媒的な水素付加によって切断して、一連の水素付加標的22〜32を高収率で得た。
不飽和側鎖の導入のために、別のストラテジーを開発しなければならなかった。なぜなら、スキーム3の最後の工程は、不飽和基を同時に脱ベンジル化かつ水素付加するようである水素化分解を含むからである。ベンジル保護ヒドロキシル官能基の還元のためのいくつかの選択的方法が報告されてきた38が、N−アルキル化前のtert−ブチル−ジメチルシリル基での5の保護は、簡単で効率的な代替方法である。
5のフェノール官能基の保護を、tert−ブチル−ジメチルシリルクロリドおよびイミダゾールの存在下で、中間体反応性種の形成を介して行った。生じた保護化化合物33のアリルブロミドでのアルキル化は、容易に34を生じ、これを、テトラブチルアンモニウムフルオリドで脱保護化した。この特定のアプローチ(スキーム4)(アリル部分の導入のために開発した)はまた、N−原子上の他の不飽和基に適用可能であるはずである。
Figure 0004553586
スキーム4。5のN−アリル誘導体の合成。
試薬:(a)TBDMSCI/イミダゾール、DMF;(b)NaH/DMF、CHCHCHBr;(c)TBAF/THF。
ヒドロキシル化化合物のスルファモイル化を、Okadaら39によって記載された最近の手順に従って行った。この方法において、フェノール化合物のスルファモイル化は、塩基の非存在下で、非プロトン性溶媒ジメチルアセトアミド中で行う。一般に、この方法(これは、わずかに過剰なスルファモイルクロリドのみを要する)は、NaH/DMFが使用される通常の手順よりよい収率のスルファメートを得る。DMFは、スルファモイルクロリドとの副反応(これは、DMAとは生じない)を受け得ることを提唱した。なぜなら、ホルミルプロトンの非利用可能性が原因であるからである。反応条件において塩基を排除したことが、最高収率をもたらし、おそらくDMAが中程度の塩基として働いたことがわかった。
本発明者らのグループにて開発された手順に従って、ヒドロキシル化誘導体5、22〜32および35を、DMA中の2.2当量のスルファモイルクロリドの存在下でスルファモイル化した。化合物36〜48を、主に、短時間の反応時間の後に高収率で得た。しかし、28のスルファモイル化は、最初のNaH/DMF法に従って行わなければならなかった。なぜなら、DMAが溶媒である場合に、ブロモブチル側鎖とスルファモイルクロリドとの間で、副反応が生じるからである。予測外なことに、その副生成物は、クロロブチル側鎖を有する5のスルファメートであることがわかった。この粗製物質のHPLC分析により、この副生成物が、予測された生成物43の割合と同じ割合にて形成されたことが示された。HPLC実施で5.5分および6.50分(溶出MeOH/HO 68:32)の2つの十分に分離したピークが存在するにも拘わらず、フラッシュクロマトグラフィーまたは再結晶化による両方の生成物を分離する試みは失敗に終わった。従って、これらを、分取用HPLCを使用して単離し、H NMRおよび正確な質量分析法により特徴付けした。
NaH/DMFおよび6当量のスルファモイルクロリドを使用して、反応を行った場合、反応の単一の生成物として、43を81%の収率で単離した。この反応において、スルファモイルクロリド上のフェノレートイオン(phenolate ion)の求核攻撃から生じる塩素は、HCIとして捕捉され、従って、ブロモブチル側鎖と反応できない。
最後に、5およびそのスルファメートの2−メトキシ誘導体を、2−メトキシ−エストロンから出発する、スキーム3に記載されるものと同じ反応順に従って合成した。2−メトキシ−エストロンを、本発明者らのグループにおいて開発した効率的な2工程合成に従って調製した。ここで、2位上にメトキシ基を導入することは、メトキシドアニオンによるハロゲン原子の求核性置換にかかっている。
この目的のために、2−ヨード−エストロン49を、エストロンを酢酸中の酢酸水銀およびヨウ素で処理することにより調製した40。2位での選択的ハロゲン化を、室温にて2時間以内に完了し、連続した再結晶化後の全体的な収率は、56%であった。次いで、2−ヨード−エストロンを、還流ピリジン中の塩化銅の存在下で41、大過剰の新たに調製したナトリウムメトキシドの溶液と反応させ、2−メトキシ−エストロン50を得た(収率75%)。この方法は、保護基を全く含めないという利点を有し、エストロンから2工程にて2−メトキシ−エストロンの合成について良好な全体的な収率(42%)を得る。
ベンジル化の後、生じた化合物51は、ハロ形成反応に供した。メタノール中で51の溶解性が制限されていることにより、52の合成について、乏しい最適化されていない収率18%がもたらされた。尿素の存在下での環閉環は、59%の収率で53を与え、その後の脱保護によれい、最終生成物54を得た。54のスルファモイル化は、大過剰のスルファモイルクロリドとともに、NaH/DMFを使用して行わなければならなかった。なぜなら、反応をDMA中で行った場合、反応性の欠如が認められたからである。これは、3位の立体障害に起因し得、これは、2位のメトキシ基の存在から生じる。
Figure 0004553586
スキーム5。5およびそのスルファメートの2−メトキシ誘導体の合成。
試薬:(a)Hg(OAc),I、AcOH/THF;(b)CuCl/ピリジン、NaOMe、還流;(c)KOC(CH/DMF、BnBr;(d)I、KOH、MeOH、次いでKOH還流;(e)尿素、180℃;(f)Pd/C、H、MeOH/THF;(g)ClSONH/DMA。
(結果および考察)
化合物36、37、39、41、45および47のスルファターゼ活性のインビトロ阻害データを、以下に示す。残りの化合物は、STSインヒビターであることがわかった。本明細書中に記載の化合物の各々はまた、HSDを阻害することがわかった。
化合物36、37、39、41、45および47が、エストロンスルファターゼ活性を阻害する能力を、ヒト胎盤ミクロソーム中で試験した。種々の濃度のインヒビターありまたはなしでの[H]−エストロンの胎盤ミクロソームとのインキュベーション、その後のトルエンへの抽出による生成物の単離は、表2に示す結果を与えた。比較目的で、異なるアッセイにおけるEMATEの活性もまた、含めた。IC50値(これを使用して、これらのD環改変ステロイドの阻害性能力を比較した)もまた計算した。
Figure 0004553586
表2.種々のD環改変ステロイドによる、ヒト胎盤ステロイドスルファターゼの阻害についての、異なる濃度およびIC50値での%阻害。
試験した異なる化合物のうち、ピペリジンジオンD環の窒素原子上に、プロピル、ベンジルおよび2−メチルプロピル部分を有するステロイドは最も強力であり、IC50は、1nM〜3nMの間である。従って、それらは、EMATEより強力であり、特に、化合物45は、18倍より強力である。化合物36(これは、N−原子での置換がない)および化合物37(N−メチル誘導体)は、39ほど強力ではなかった。しかし、それらのIC50値、それぞれ20nMおよび12nMは、それらの能力が、EMATEの能力と類似していることを示唆する。予測外なことに、化合物41(その側鎖は、n−ペンチル部分である)は、有効性において劇的な減少を示し、IC50値は、150nMであった。有効性におけるこの喪失は、かなり急激であり、このことは、その酵素が、疎水性N−置換基の長さに付随するのではなく、そのサイズの変化に非常に感受性であることを示唆する。
直鎖状アルキル側鎖について得た異なるデータから、制限された構造−活性関係のグラフを描いた(図2−種々の側鎖の長さ 対 ステロイドスルファターゼによって触媒されるエストロンスルフェートのエストロンへの変換の阻害についての構造−活性関係)。ここで各化合物のIC50は、側鎖中の炭素原子の数の関数としてプロットされる。化合物41と化合物36、37および39の群との間の活性の差異には下線を伏す。
41について観察された活性の喪失は、むしろ予測外である。なぜなら、STSの強力なステロイドインヒビターの大部分が、41と同様に、EMATEの誘導体であり、かさ高い疎水性側鎖を含むからである。最近の例の大部分は、17β−アルキルアミド側鎖を有するエストラジオールの3−O−スルファメート誘導体(1および2)であり、その活性は、アルキル基が、ヘプチル部分であった場合に最適であることが分かった。これらの有効性は、EMATEの有効性と類似して、17β−置換基の配向に対応する酵素活性部位中の疎水性ポケットの存在に下線が付される。
従って、41によるSTSのより弱い阻害は、D環(6員)のN−原子に位置したその側鎖の配向が、酵素の活性部位との親和性の減少を誘導するために、1または2(5員D環)の17β−側鎖の配向とは十分異なることを示唆する。17β−置換基についての酵素活性部位中に疎水性ポケットが存在する一方、6員環のN−位置の周りの活性部位の位相は、かさ高い置換基に対してより制限があり得ることが提唱され得る。この過程を確証するために、分子モデリングは、好まれるツールである。
D環および側鎖における原子の配向を解明するために、ならびに可能な将来的な分子モデリング研究のためのデータを集めるために、非常に強力なエストロン誘導体39の結晶構造を決定した。アセトン/ヘキサン中でのゆっくりとした再結晶化から得た結晶(約寸法0.20×0.17×0.08mm)を、データ収集のために使用した。
41の非対称性単位のORTEPプロットを、使用される表示スキームと共に以下に示す。スルファメート基(4つの環全て)、および改変D環の重要な特徴が、はっきりと見える。予測されるように、そのD環は、半分の鎖コンホメーションの中にある。なぜなら、そのイミド官能基は、同じ平面(plan)に原子C13、C17、NおよびC1’、ならびにC15、C16、NおよびC1’の位置を含むからである。
Figure 0004553586
41のX線結晶構造のORTEPプロット。楕円体は、そのxx%確率レベルにて示される。
EMATEのX線結晶構造のORTEPプロットと比較する場合42、EMATEのそのC17β−配向および41の6員環のN−アルキル配向は異なり、従って、STSの活性部位の異なる領域と相互作用していることは明らかである。
45によるSTSの良好な阻害、および47によるわずかな程度の阻害は、ペンチル部分に調和的であるようではないとしても、活性部位中の疎水性結合領域の存在を示すようである。しかし、ベンジル基(およびベンジル関連基)は、より疎水性であり、かつ直鎖状のヘプチル側鎖より、合計7つの炭素であまり立体的に制限されないことが既知である。このことは、全て疎水性置換基を有する化合物45または47と、41との間の有効性の差異を説明し得る。45について見いだされたより高い活性はまた、活性部位のアミノ酸残基の中に水素結合供与体が存在することを示唆する。
しかし、さらなる生物学的結果は、これまでのところ、得られたデータを十分に解釈する必要がある。化合物38、40および42(それぞれ、エチル誘導体、ブチル誘導体およびヘキシル誘導体)の活性は、活性部位の位相に関して、これまで得られたIC50値の解釈を可能にし得る有用なデータを示す。
当面、41の結晶構造パラメーターは、コンピューター補助分子モデリングにより、タンパク質を含むこの型の分子の相互作用を調査し、新たな強力な分子の設計を補助するにあたって有用である。
(まとめ)
乳癌は、欧州および北米において非常に重要な疾患である。英国では、任意の他の型の癌より、多くの人々が乳癌により亡くなっている。ホルモン依存性乳癌は、閉経後の女性においてこれらの症例の約2/3を示す;これは、腫瘍が、それらの増殖および発生のためにエストロゲンに依存している乳癌の型に対応する。
内分泌治療(ここで、エストロゲン循環レベルが、エストロゲン生合成における1つまたはいくつかの酵素的経路を阻害する薬物の使用を介して制御される)は、HDBCについての応答である。異なる標的が考慮され得、研究の大部分が、抗エストロゲンおよびアロマターゼインヒビターについて行われてきた。酵素ステロイドスルファターゼおよび17β−HSD 1型は、後に強力な標的として浮かび上がってきた。
いくつかの強力なインヒビターが、STSについて開発されてきた一方で、17β−HSD 1型は、それほど興味が持たれておらず、ごくわずかな分子が報告されているに過ぎない。EMATEのD環誘導体が、17β−HSD 1型の強力なインヒビターであるという事実を信頼して、本発明者らは、減少した発情原性を有するEMATEのアナログの設計および合成を開始した。これは、D環がピペリジンジオン部分であり、かつそのN−原子が種々の側鎖を有する、一連の化合物をもたらした。
STSに対する生物学的試験(これは、乳癌細胞に対して行った)によって、プロピル側鎖またはピコリル側鎖を有する誘導体の非常に高い活性が明らかになった。IC50は1nMであり、それらは、EMATEよりも遙かに強力である。
(実験)
(1−一般的方法)
全ての化学物質は、Aldrich Chemical Co.(Gillingham,Dorset,UK)かまたはLancaster Synthesis(Morecambe,Lancashire,U.K.)のいずれかから購入した。全てのA.R.等級の有機溶媒は、Fisons plc(Loughborough,U.K.)により供与していただいた。全てのN−アルキル化反応およびスルファモイル化反応に使用したそれぞれ無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)は、Aldrichから購入し、そして使用後はNの陽圧下で保存した。塩化スルファモイルをApelおよびBerger48の方法の適応により調製し、そしてWooらにより記載されるようにトルエン中に溶液として保存した。適切な容量のこの溶液を、真空中で使用直前に新たに濃縮した。
E1SおよびE1は、Sigma Chemical Co.(Poole,U.K.)から購入した。[6,7−H]E1S(比活性、50Ci/mmol)および[4−14C]E1(比活性、52mCi/mmol)は、New England Nuclear(Boston,MA)から購入した。[6,7−H]E1(比活性、97Ci/mmol)は、Amersham International Radiochemical Centre(Amersham,U.K.)から購入した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)を、予めコーティングされたプレート(Merck TLCアルミニウムシート シリカゲル60 F254、品目番号5554)上で実施した。生成物および出発物質(SM)を、UV光による可視化またはリンモリブデン酸のメタノール溶液での処理に続く加熱のいずれかによって検出した。フラッシュカラムクロマトグラフィーをシリカゲル(Sorbsil C60)上で実施した。IRスペクトルは、Perkin−Elmer Spectrum RXI FT−IRを用いてKBr板として決定し、そしてピーク位置をcm−1で表現した。H NMRおよびDEPT編集13C NMRを、JMN−GX 400 NMR分光計により記録し、そして化学シフトを、内部基準としたテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm、δ)により報告した。以下の略号を使用し、H NMRスペクトルおよび13C NMRスペクトルにおける共鳴を記載する:br、ブロード;s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項および組み合わせ(例えば、dd、二重の二重項)。AB系(δおよびδ)についての化学シフトは、各二重項の中間およびJABまたはJBAとして標識された対応する結合定数を採用することによって概算した。例として、δおよびδを、化合物21について付属書類2に示された以下の式について計算した。HPLC分析を、Waters996PDA検出器を備えたWaters Millenium32器機により実施した。トレースを、2mL/分でメタノール/水勾配で溶出したWaters Radialpack C18、8×100mmカラムについて記録した。質量分析は、Mass Spectrometry Service Center、University of Bathにおいて記録した。FAB−MSを、マトリックスとしてm−ニトロベンジルアルコール(NBA)を用いて行い、そして元素分析は、Microanalysis Service、University of Bathにより実施した。融点を、Reichert−Jung Thermo Galen Koflerブロックを用いて決定し、未補正である。39のX線結晶学的研究を、Department of Chemistry、University of BathにいらっしゃるM.Mahon博士により行っていただいた。
(1−1−生物学的アッセイ)
全てのアッセイは、Department of Endocrinology and Metabolic Medicine,Imperial College School of Medicine,St.Mary’s Hospital,Londonにおいて、A.Purohit博士およびM.Reed教授により、そして協力していただき実施した。
ステロイドスルファターゼ活性を阻害するように合成された化合物の能力は、胎盤ミクロソーム調製物を用いて試験した。胎盤ミクロソーム(100000g画分)を、正常妊娠期49からの陽性−陽性ヒト胎盤から調製した。エストロンスルファターゼの阻害についてのIC50を決定するために、活性を、非標識基質14により20μMまで調節した[H]E1S(4×10dpm)を用い、インヒビター(0.05〜1.0μM)の存在下において測定した。胎盤ミクロソーム(125μgのタンパク質/mL)と共に基質±インヒビターを30分間インキュベートした後に、形成された生成物を、[4−14C]E1を用い、トルエン(4mL)で抽出することによって混合物から単離し、手順による損失をモニタリングした。
(1−2−塩化スルファモイルの調製)
ギ酸(6mL,150mmol)を、150mLの新たに蒸留したトルエン中のクロロスルフォニルイソシアネート(25g、150mmol)の撹拌溶液にN雰囲気下、0℃で滴下した。得られた白色懸濁物を室温でN下で一晩撹拌し、そして不溶物を、カニューレを用い、N下で溶液から濾過した。濾液を真空下で濃縮し、明褐色の粗塩化スルファモイルを得た。次いで、塩化スルファモイルの基準溶液(約0.70M)を、粗結晶性生成物を新たに蒸留したトルエン中に溶解させることによって調製し、N下の冷蔵庫中で保存した。反応に先立って、ギ酸をホウ素無水物と共に一晩撹拌し、N下で新たに蒸留した。
(1−3−アルキル化についての一般的方法)
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、1.2当量)を、無水DMF(15mL)中の10の撹拌溶液に、0℃、N雰囲気下で添加した。水素発生が終了した後に、目的の(parent)アルキル化剤(2当量)を添加した。この反応混合物を室温で撹拌し、そして水(50mL)に注いだ。得られた溶液を酢酸エチル(50mL)へと抽出させた。ブライン(4×25mL)によりさらに十分に洗浄した後に、有機相を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして真空下で蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画によって、目的の化合物11〜21を得た。
(1−4−水素化分解についての一般的方法)
Pd−C(10%)をMeOH/THE中の10〜21の溶液に添加し、そして得られた懸濁液を、水素を充填した風船を用いて室温で水素化処理した。濾過による支持触媒の除去および濾液の蒸発の後、得られた生成物を部分的に(分析用サンプル)または完全に精製し、目的の化合物5および22〜32を得た。
(1−5−スルファモイル化についての一般的方法)
0℃のN雰囲気下にあるDMA中の塩化スルファモイル(2.2当量)の撹拌溶液に、5、22〜32および35を添加した。この反応混合物をN下で、室温まで温かくなる時間で撹拌した。次いで、それを冷ブライン(15mL)に注ぎ、得られた溶液を酢酸エチル(2×20mL)により抽出した。有機相を合わせてブライン(6×20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過しそして減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーによって分画および/または再結晶した。
(2−合成)
(2−1−D環改変ステロイド部分の合成)
(16−オキシイミノ−エストロン6)
金属カリウム(80mg、2.05mmol)を2mLのtert−ブタノールに溶解させることによって新たに調製した、N雰囲気下のカリウムtert−ブトキシドの撹拌溶液に、エストロン(200mg、740mmol)を添加した。次いで、この反応混合物をN下において室温で1時間撹拌し、そして亜硝酸イソアミル(180μmol、1.34mmol)を滴下した。得られた深赤色の混合物を一晩撹拌し、次いで、水(20mL)へ注いだ。得られた溶液をエーテル(2×20mL)により抽出し、そして水層を氷酢酸(10mL)で酸性化し、明黄色の沈殿物を得た。これを2時間分離したままにし、その後、固体を濾過した(140mg、63%):
Figure 0004553586
(3−アセトキシ−16−オキシイミノ−エストロン)
4.5mLの氷酢酸および7.5mLの酢酸無水物の混合液中の6(150mg、501mmol)の懸濁液を加熱し、N雰囲気下で20時間還流した。次いで、溶媒混合物を減圧下で除去し、そして水を添加した。NaOH水溶液により塩基性化させた後、得られた溶液を、酢酸エチル(2×20mL)により抽出した。有機層を分離し、水(2×15mL)、次いでブライン(2×15mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして減圧下で濃縮した。溶出液としてクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画により、明黄色固体として7を得た(97mg、57%):
Figure 0004553586
Figure 0004553586
C−13シグナルは、溶媒ピークに隠れている。
(エストロン3−ベンジルエーテル(8))
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、0.68g、20.34mmol)を、0℃N雰囲気下で、無水DMF(50mL)中のE1(5.0g、18.49mmol)の撹拌溶液に添加した。得られた混合物をさらに15分間撹拌した後に、臭化ベンジル(2.42mL、20.34mmol)を添加し、そして反応混合物を80℃で4時間加熱した。残っている過剰な水酸化ナトリウムを、反応混合物を氷/水へ注ぐことによってクエンチした。分離した有機画分を酢酸エチル(150mL)へ抽出し、そして水(4×50mL)でさらに十分に洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして真空中で蒸発させた。得られた淡黄色の残渣をイソプロピルアルコールから再結晶し、白色薄片状結晶として8を得た(4.73g、71%):
Figure 0004553586
(3−ベンジル−マリアノル酸(9))
95mLのMeOH中のヨウ素(7.6g、29.94mmol)の溶液ならびに27mLの水および61mLのMeOH中のKOH(13.7g)の溶液を、MeOH(1L)中のエストロン3−ベンジルエーテル(8)(3.8g、10.54mmol)の撹拌溶液に交互に滴下したところ、混合物の色は橙色/褐色のままである。45分間にわたって滴下し、得られた明黄色の溶液を、N2雰囲気下、室温で一晩撹拌し、澄んだ明黄色の溶液を得た。次いで、混合物を真空中で濃縮し、水(800mL)へ注いだ。5M HClで酸性化した後、有機画分をエーテル(600mL)へ抽出し、そしてエーテル層をチオ硫酸ナトリウム水溶液(4×100mL)、次いで水(4×100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして真空下で蒸発させた。次いで、得られた黄色フォーム(4.54g)をMeOH/HO(1:2、228mL)中のKOH(7.6g)の溶液に溶解し、加熱して4時間還流させた。得られた橙色混合物を水(800mL)に注ぎ、そして5M HClで酸性化した後に、有機画分を酢酸エチル(300mL)へ抽出した。ブライン(4×200mL)でさらに十分に洗浄した後に、有機層を乾燥し(MgSO)、濾過しそして真空中で蒸発させ、黄色残渣を得た(4.32g)。これをCHCl/ヘキサン5:3から再結晶化し、クリーム状の粉末として9を得た(2.291g、53%)。生成物のさらなる回収を、CHCl/ヘキサン5:3からの再結晶化の際の母液の残渣から得た(全体収量75%):
Figure 0004553586
(3−ベンジルオキシ−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(10))
3−ベンジル−マリアノル酸(9)(3.25g、7.96mmol)および尿素(3.25g、54.11mmol)をN雰囲気下で45分間、180℃で加熱した。次いで、得られた褐色残渣を粉砕し、そしてアセトン(200mL)を加え、褐色の懸濁液を得た。この混合物を約100mLまで濃縮し、シリカゲルを加え、そして溶媒を除去し、均一なベージュ色の粉末を得た。この粉末を湿潤充填(クロロホルム)フラッシュクロマトグラフィーカラムへ移した。クロロホルム/アセトン(96:4)で溶出して、白色残渣として10を得た(2.75g、89%):
Figure 0004553586
HPLCおよびCHN分析について、サンプルをEtOHから再結晶化し、無色の針状結晶を得た。HPLC(メタノール/水,85:15;λmax=278.1nm)Rt=8.15分,100%。実測値:C,76.90;H,6.99;N,3.73。C2527NO理論値:C,77.09;H,6.99;N,3.60。
(2−2−N−アルキル化を介するD環に対する種々の側鎖の導入)
(3−ベンジルオキシ−N−メチル−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(11))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)に従って、10(500mg、1.28mmol)をNaH(62mg、1.54mmol)を処理し、次のヨウ化メチル(160μL、2.57mmol)との反応は、45分以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画により、白色残渣として11を得た(432mg、83%):
Figure 0004553586
HPLCおよびCHN分析について、サンプルをEtOHから再結晶化し、無色結晶を得た。HPLC(メタノール/水、90:10;λmax=278.1nm)Rt=3.93分,100%。実測値:C,77.30:H,7.22:N,3.48。C2629NO理論値:C,77.39:H,7.24:N,3.47。
(3−ベンジルオキシ−N−エチル−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)トリエン−16,17−イミド(12))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)に従って、10(500mg、1.28mmol)をNaH(62mg、1.54mmol)により処理し、次のヨウ化エチル(205μL、2.57mmol)との反応は、1時間以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画により、白色残渣として12を得た(502mg、94%):
Figure 0004553586
HPLCおよびCHN分析について、サンプルをEtOHから再結晶化し、白色結晶を得た。HPLC(メタノール/水、85:15;λmax=278.1nm)Rt=8.15分,100%。実測値:C,:H,:N,C2731NO理論値:C,77.67:H,7.48:N,3.35。
(3−ベンジルオキシ−N−プロピル−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(13))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)に従って、10(500mg、1.28mmol)をNaH(62mg、1.54mmol)により処理し、そして次のヨウ化プロピル(250μL、2.57mmol)との反応は、2時間以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画により、白色残渣として13を得た(524mg、94%):
Figure 0004553586
HPLCおよびCHN分析について、サンプルをEtOHから再結晶化し、白色結晶を得た。HPLC(メタノール/水、90:10;λmax=278.1nm)Rt=5.50分,100%。実測値:C,77.60:H,7.68:N,3.26。C2833NO理論値:C,77.93:H,7.71:N,3.25。
(3−ベンジルオキシ−N−ブチル−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(14))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)に従って、10(500mg、1.28mmol)をNaH(62mg、1.54mmol)により処理し、そして次の臭化ブタン(276μL、2.57mmol)との反応は、4時間以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画により、白色残渣として14を得た(513mg、90%):
Figure 0004553586
HPLCおよびCHN分析について、サンプルをEtOHから再結晶化し、白色針状結晶を得た。HPLC(メタノール/水、85:15;λmax=278.1nm)Rt=8.15分,100%。実測値:C,77.80:H,7.89:N,3.13。C2935NO理論値:C,78.17:H,7.92:N,3.14。(僅かにずれている)。
(3−ベンジルオキシ−N−ペンチル−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(15))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)に従って、10(500mg、1.28mmol)をNaH(62mg、1.54mmol)により処理し、そして次の臭化ペンチル(318μL、2.57mmol)との反応は、5時間以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画により、白色残渣として15を得た(550mg、93%):
Figure 0004553586
HPLCおよびCHN分析について、サンプルをEtOHから再結晶化し、無色の針状結晶を得た。HPLC(メタノール/水、92:8;λmax=276.9nm)Rt=6.46分,97.7%。実測値:C,78.20:H,8.08:N,3.01。C3037NO理論値:C,78.40:H,8.11:N,3.05。
(3−ベンジルオキシ−N−ヘキシル−16,17−seco−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(16))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)従って、10(500mg、1.28mmol)をNaH(62mg、1.54mmol)により処理し、そして次の臭化ヘキシル(360μL、2.57mmol)との反応は、1.5時間以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の分画により、白色残渣として16を得た(575mg、94%):
Figure 0004553586
HPLCおよびCHN分析について、サンプルをEtOHから再結晶し、白色の針状結晶を得た。HPLC(メタノール/水、85:15;λmax=278.1nm)Rt=8.15分,100%。実測値:C,78.10:H,8.16:N,2.98。C3139NO理論値:C,78.61:H,8.30:N,2.96。(僅かにずれている)。
(3−ベンジルオキシ−N−ブロモブチル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(17))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)に従って、10(500mg、1.28mmol)を、NaH(62mg、1.54mmol)で処理し、引き続く1,4−ジブロモブタン(310μL、2.57mmol)との反応を、1.5時間以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の画分から、白色残渣として17(569mg、84%)を得た:
Figure 0004553586
Figure 0004553586
HPLC分析およびCHN分析のために、サンプルをEtOHから再結晶化して、白色結晶を得た。HPLC(メタノール/水、90:10;λmax=278.1nm)Rt=6.04分、99.7%。実測値:C、66.30;H、6.51;N、2.56。C2934BrNO理論値:C、66.41;H、6.53;N、2.67。
(3−ベンジルオキシ−N−シクロプロピルメチル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(18))
アルキル化条件(VI−1−3を参照のこと)に従って、10(500mg、1.28mmol)を、NaH(62mg、1.54mmol)で処理し、引き続くブロモメチル−シクロプロパン(246μL、2.57mmol)との反応を、3時間以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の画分から、白色残渣として18(536mg、94%)を得た:
Figure 0004553586
HPLC分析およびCHN分析のために、サンプルを、EtOHから再結晶化して、白色結晶を得た。HPLC(メタノール/水、85:15;λmax=278.1nm)Rt=8.15分、100%。実測値:C、78.30;H、7.47;N、3.18。C2933NO理論値:C、78.52;H、7.50;N、3.16。
(3−ベンジルオキシ−N−(3−ピコリル)−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(19))
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、31mg、770μmol)を、10(250mg、642μmol)の無水DMF(10mL)攪拌溶液に、N雰囲気下で室温にて加えた。水素の発生が停止した後、3−(ブロモメチル)ピリジンヒドロブロミド(325mg、1.28mmol)を加え、深橙色の混合物を得た。これを室温にて2時間攪拌し、次いでさらなる2当量の水酸化ナトリウム(52mg、1.28mmol)を、この混合物に加えた。これを、室温にて一晩攪拌し、そして水(40mL)に注いだ。得られた暗赤色の混合物を、酢酸エチル(40mL)に抽出した。さらに徹底的にブライン(4×20mL)で洗浄した後、その有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして減圧下でエバポレートした。溶出液としてクロロホルム/アセトン(9:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の画分から、白色残渣として19を得た。これを、クロロホルム/アセトン(95:5)を用いる二次フラッシュクロマトグラフィーによってさらに精製した。白色粉末(230mg、75%)を得た:
Figure 0004553586
HPLC分析およびCHN分析のために、サンプルをEtOHから再結晶化して、無色針状結晶を得た。HPLC(メタノール/水、90:10;λmax=259.2nm)Rt=3.90分、100%。実測値:C、77.00;H、6.75;N、5.73。C3233理論値:C、77.47;H、6.71;N、5.83。
(3−ベンジルオキシ−N−tert−ブチル−ベンジル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(20))
アルキル化条件(VI−1−3を参照)に従って、10(500mg、1.28mmol)を、NaH(62mg、1.54mmol)で処理し、そして引く続く1−ブロモメチル−4−tert−ブチル−ベンゼン(472μL、2.57mmol)との反応を、30分以内に完了した。溶出液としてクロロホルムを用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られる粗生成物の画分から、画色残渣として20(667mg、97%)を得た:
Figure 0004553586
HPLC分析およびCHN分析のために、サンプルをEtOHから再結晶し、白色針状結晶を得た。HPLC(メタノール/水、90:10;λmax=259.2nm)Rt=3.90分、100%。実測値:C,;H,;N,。C2935NO理論値:C、80.71;H、7.71;N、2.61。
(3−ベンジルオキシ−N−ベンジル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(21))
3−ベンジル−マリアノル酸(9)(500mg、1.22mmol)を、ベンジルアミン(6.25mL、57.22mmol)とともに攪拌し、そしてNの雰囲気下にて3時間、180℃にて加熱した。冷却した後、得られた褐色混合物を、水(250mL)に注ぎ、HCl 5Mで酸性化し、そして有機画分を、酢酸エチル(50mL)で抽出した。さらに徹底的に水(1×25mL)、次いでブライン(3×25mL)で洗浄し、その有機層を、乾燥し(MgSO)、濾過しそして減圧下でエバポレートした。溶出液としてクロロホルム/ヘキサン(8/2)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の画分から、クリーム色粉末として21(385mg、65%)を得た:
Figure 0004553586
Figure 0004553586
HPLC分析およびCHN分析のために、サンプルをMeOHから再結晶化して、無色針状結晶を得た。HPLC(メタノール/水、90:10;λmax=220.0nm)Rt=5.83分、99.0%。実測値:C、80.10;H、6.91;N、2.94。C3233NO理論値:C、80.14;H、6.94;N、2.92。
(2−3−前駆体の脱保護)
(3−ヒドロキシ−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(5)(STX 187))
水素添加条件(1−4を参照)に従って、10(350mg、899μmol)およびPd−C(10%、100mg)のMeOH/THF 1:1(50mL)懸濁液に5時間水素添加して、白色固体として5(246mg、91%)を得た。分析用サンプルを、CHCl/ヘキサン 2:1から再結晶化して、白色結晶を得た:
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−メチル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(22)(STX 188))
水素添加条件(VI−1−4を参照)に従って、11(400mg、992μmol)およびPd−C(10%、200mg)のMeOH/THF 2:1(30mL)懸濁液に2時間水素添加して、白色固体として22(253mg、81%)を得た。分析用サンプルを、酢酸エチルから再結晶化して、白色結晶を得た:
Figure 0004553586
C−13シグナルは、溶媒ピークの下に隠れる。
(3−ヒドロキシ−N−エチル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(23)(STX 275))
水素添加条件(VI−1−5を参照)に従って、12(470mg、1.33mmol)およびPd−C(10%、200mg)のMeOH/THF 2:1(30mL)懸濁液に4.5時間水素添加して、白色粉末として23(183mg、50%)を得た。これを、アセトン中で洗浄して、白色粉末(121mg、33%)を得た:
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−プロピル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(24)(STX 189))
水素添加条件(VI−1−5を参照)に従って、13(400mg、927μmol)およびPd−C(10%、100mg)のMeOH/THF 2:1(30mL)懸濁液に3時間水素添加して、白色固体として24(256mg、81%)を得た。分析用サンプルをメタノールから再結晶化して、無色の結晶を得た:
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−ブチル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(25)(STX 277))
水素添加条件(VI−1−5を参照)に従って、14(480mg、1.08mmol)およびPd−C(10%、200mg)のMeOH/THF 2:1(30mL)懸濁液に2時間水素添加して、白色固体として25(361mg、94%)を得た。これを、メタノールから再結晶化して、無色針状結晶(193mg、50%)を得、この生成物のさらなる生成(crop)(49mg)を、メタノールからの再結晶の際の母液の残渣から得た(全収率63%):
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−ペンチル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(26)(STX 190))
水素添加条件(VI−1−5を参照)に従って、15(520mg、1.13mmol)およびPd−C(10%、100mg)のMeOH/THF 2:1(30mL)懸濁液に3時間水素添加し、白色固体として26(347mg、83%)を得た。分析用サンプルをメタノールから再結晶化して、白色結晶を得た:
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−ヘキシル−16,17−セコ−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(27)(STX 276))
水素添加条件(VI−1−5を参照)に従って、16(540mg、1.14mmol)およびPd−C(10%、200mg)のMeOH/THF 2:1(45mL)懸濁液に3時間水素添加して、白色固体として27(384mg、88%)を得た。これをメタノールから再結晶化して、白色結晶(218mg、50%)を得、そしてこの生成物のさらなる生成(45mg)を、メタノールからの再結晶の際の母液の残渣から得た(全収率60%):
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−ブロモブチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(28)(STX235))
水素添加条件(VI−1−5参照)に従って、MeOH/THF2:1(30mL)中の17(210mg,381μmol)およびPd−C(10%,100mg)の懸濁液を、2時間水素添加し、白色固体(146mg、84%)として、28を得た。これを、メタノールから再結晶し、白色結晶(98mg,57%)を得た:
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−シクロプロピルメチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(29)(STX278))
水素添加条件(VI−1−5参照)に従って、MeOH/THF2:1(45mL)中の18(500mg,1.13mmol)およびPd−C(10%,200mg)の懸濁液を、2.5時間水素添加し、白色固体(356mg,89%)として29を得た。これをメタノールから再結晶し、無色結晶(181mg,45%)を得、さらなるクロップの生成物(73mg)を、メタノールからの再結晶の際の母液の残りから得た。(全収率64%):
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−(3−ピコリル)−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(30)(STX234))
水素添加条件(VI−1−5参照)に従って、MeOH/THF2:1(30mL)中の19(190mg,395μmol)およびPd−C(10%,100mg)の懸濁液を、20時間水素添加し、クリーム状固体(141mg,91%)として、30を得た。分析サンプルを、酢酸メチルから沈殿させ、白色粉末を得た:
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−tert−ブチル−ベンジル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(31)(STX279))
水素添加条件(VI−1−5参照)に従って、MeOH/THF2:1(30mL)中の20(620mg,1.16mmol)およびPd−C(10%,200mg)の懸濁液を、5時間水素添加し、クリーム状固体(550mg)として31を得た。これを、メタノールから再結晶し、白色フレーク状結晶(417mg,81%)を得、さらなるクロップの生成物(31mg)を、メタノールからの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率87%):
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−ベンジル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(32)(STX233))
水素添加条件(VI−1−5参照)に従って,MeOH/THF2:1(30mL)中の21(230mg,479μmol)およびPd−C(10%,100mg)の懸濁液を、2時間水素添加し、白色固体(170mg,91%)として32を得た。これを沸騰MeOHで洗浄し、白色沈殿物(122mg,65%)を得た:
Figure 0004553586
溶媒ピーク下に隠れた1本の二重線。
(2−4−N−アリル誘導体の合成)
(3−tert−ブチル−ジメチルシリル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(33))
DMF(20mL)中の5(350mg,1.17mmol)の撹拌溶液に、室温、N下で、イミダゾール(96mg、1.40mmol)およびtert−ブチル−ジメチルシリルクロリド(194mg,1.29mmol)を加えた。この反応混合物を室温、N下で2時間撹拌し、別の2当量のイミダゾールおよびTBDMSClを加え、室温でさらに2時間後、反応の完了を可能にした。次いで、この混合物を水(150mL)に注入し、得られた溶液を酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機層を分離し、HO(4×80mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた白色固体をEtOH/HOから再結晶し、白色結晶(336mg、70%)として33を得、さらなるクロップの生成物(40mg)を、EtOH/HOからの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率78%):
Figure 0004553586
(3−tert−ブチル−ジメチルシリル−N−アリル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(34))
アルキル化条件(VI−1−3参照)に従って、33(300mg、725μmol)をNaH(35mg、870μmol)で処理し、アリルブロミド(126μL、1.45mmol)との後の反応を、7時間内に完了した。溶出液としてのクロロホルムを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって得られる粗生成物の画分化により、34をクリーム状オイル(302mg、92%)として得た:
Figure 0004553586
(3−ヒドロキシ−N−アリル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(35)(STX274))
テトラブチルアンモニウムフルオリド水和物(183mg,701μmol)を、室温、N雰囲気下で、無水DMF(10mL)中の34(265mg、584μmol)の撹拌溶液に加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌し、別の1.2当量のTBAFを加え、反応の完了を可能にした。5時間後、この混合物を水(40mL)に注入し、形成した白色沈殿物をろ過し、洗浄し、空気乾燥し、白色粉末(172mg、87%)を得た。酢酸エチルからの再結晶によって得られる粗生成物の精製は、35を白色結晶(101mg、51%)として得、さらなるクロップの生成物(13mg)を、酢酸エチルからの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率58%):
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(2−5−スルファモイル化した親化合物の合成)
(3−スルファモイル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(36)(STX211))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、1mL DMA中で5(100mg,334μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、4時間後、粗生成物36(94mg)を得た。これを、沸騰アセトンで洗浄し、不溶の白色固体を濾過した(56mg,44%)。
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−メチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(37)(STX212))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、1mL DMAで22(100mg,319μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、3時間後、粗生成物37(102mg)を得た。これを、クロロホルムから再結晶し、白色結晶(60mg、48%)として37を得、さらなるクロップの生成物(24mg)を、クロロホルムからの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率67%):
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−エチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(38)(STX281))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、1mL DMA中で23(70mg,214μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、1.5時間後、粗生成物38(86mg)を得た。これを、酢酸エチル/ヘキサン1:2から再結晶し、クリーム状結晶(72mg、83%)として38を得た。
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−プロピル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(39)(STX213))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、1mL DMA中で24(100mg,293μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、6時間後、粗生成物39(156mg)を得た。溶出液としてのクロロホルム/アセトン(95:5)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られる粗生成物の画分化は、白色残渣として39(107mg、87%)を得た。分析サンプルを、アセトン/ヘキサン(1:2)から再結晶し、白色結晶を得た:
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−ブチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(40)(STX283))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、1mL DMA中で25(90mg,253μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、1.5時間後、粗生成物40(109mg)を得た。得られた粗生成物をアセトン/ヘキサン1:2から再結晶し、白色結晶として40(67mg、61%)を得、さらなるクロップの生成物(11mg)を、アセトン/ヘキサン1:2からの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率71%):
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−ペンチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(41)(STX214))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、1mL DMA中で26(100mg,271μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、3.5時間後、粗生成物41(120mg)を得た。溶出液としてクロロホルム/アセトン(95:5)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られた粗生成物の画分を、白色泡状物(111mg、92%)として41を得た。分析サンプルを酢酸エチル/ヘキサン(1:2)から再結晶し、白色結晶を得た。
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−ヘキシル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(42)(STX282))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、2.5mL DMA中で27(130mg,339μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、2時間後、粗生成物42(157mg)を得た。得られた粗生成物を、溶出液としてクロロホルム/アセトン(9:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、白色泡状物(127mg、81%)を得た。これを酢酸エチル/ヘキサン1:2から再結晶し、無色結晶(77mg、49%)として、42を得た:
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−ブロモブチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(43)(STX286))
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液,14mg,359μmol)を、0℃でN雰囲気下で、無水DMF(2mL)中の28(130mg、299μmol)の撹拌溶液に加えた。水素の発生がなくなった後、塩化スルファモイル(6当量)を加えた。次いで、この反応混合物を、N下で2時間(この時間は、室温まで温まる時間である)撹拌した。この混合物をブライン(30mL)に注入し、得られた溶液を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。この有機層を分離し、ブライン(5×25mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして減圧下で濃縮した。溶出液としてクロロホルム/アセトン(9:1)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって得られる粗生成物(188mg)の画分化により、白色泡状物(154mg、100%)として、43を与えた。これを、酢酸エチル/ヘキサン1:2から再結晶し、白色結晶(113mg、73%)を得、さらなるクロップの生成物(12mg)を、酢酸エチル/ヘキサン1:2からの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率81%):
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−シクロプロピルメチル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(44)(STX284))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って,1mL DMA中で29(100mg,283μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、1.5時間後、粗生成物44(127mg)を得た。これをアセトン/ヘキサン1:2から再結晶し、白色結晶(84mg、69%)として44を得、さらなるクロップの生成物(28mg)を、アセトン/ヘキサン1:2からの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率92%)
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−(3−ピコリル)−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(45)(STX237))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、0.5mLのDMA中で30(55mg,154μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、2時間後、粗生成物45(50mg)を得た。得られた粗生成物を、溶出液としてクロロホルム/アセトン(7:3)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、白色粉末(27mg、41%)として45を与えた。これを沸騰アセトンで洗浄し、白色沈殿物を濾過した(10mg、15%):
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−tert−ブチル−ベンジル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(46)(STX285))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、2mLのDMA中で31(200mg,449μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、6.5時間後、粗生成物46(235mg)を得た。これを、酢酸エチル/ヘキサン1:2から再結晶し、46を白色結晶(199mg、85%)として得た:
Figure 0004553586
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−ベンジル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(47)(STX236))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、1.5mLのDMA中で32(150mg,385μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、3時間後、粗生成物47(205mg)を得た。得られた粗生成物を、溶出液としてクロロホルム/アセトン(9:1)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、白色粉末(151mg、84%)として47を得た。これをアセトン/ヘキサン1:2から再結晶し、白色結晶(133mg、74%)を得た:
Figure 0004553586
(3−スルファモイル−N−アリル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(48)(STX280))
スルファモイル化条件(VI−1−5参照)に従って、2mLのDMA中で35(150mg,345μmol)を塩化スルファモイルと反応させ、3時間後、粗生成物48(85mg)を得た。得られた粗生成物を、溶出液としてクロロホルム/アセトン(9:1)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、白色泡状物(85mg、99%)として48を得た。これをアセトン/ヘキサン1:2から再結晶し、白色結晶(75mg、87%)を得た:
Figure 0004553586
溶媒ピーク下に隠れた1本の二重線。
(2−6−スルファモイル化した親化合物の合成)
(2−ヨード−エストロン(49)
55℃まで加温した酢酸(570mL)およびテトラヒドロフラン(280mL)の混合物中のエストロン(oestrone)(10g、36.98mmol)の撹拌溶液に、酢酸水銀(5.89g、18.49mmol)を加えた。15分後、ヨウ素(8.70g、34.37mmol)を加え、透明橙色溶液を得、これを室温で2時間撹拌した。次いで、この得られた希黄色混合物を減圧下で濃縮し、ヨウ化カリウムの溶液(5%水溶液、300mL)を加えた。この有機画分を酢酸エチル(2×300mL)で抽出し、チオ硫酸ナトリウム水溶液(3×200mL)およびブライン(1×200mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、真空下でエバポレートした。酢酸からまず再結晶して得られた粗褐色固体は、青色固体(6.42g、44%)として49を得、さらなるクロップの生成物(3.00g)をエタノールからの再結晶の際の母液の残りから得た(全「粗」収率64%)。両方のクロップをさらにエタノールから再結晶し、希灰色のフレーク状結晶(8.20g、全収率56%)を得た。
Figure 0004553586
(2−メトキシ−エストロン(50))
2−ヨードエストロン49(4g,10.09mmol)および塩化銅(452mg,3.365mmol)を、室温、N雰囲気下、無水ピリジン(35mL)中で、30分間撹拌した。次いで、新たに調製したナトリウムメトキシド(0.101mol、19.7mL)の5.1M溶液を、この混合物に加え、青色溶液をN下で45分間還流した。冷却後、得られた橙色溶液を氷中に注ぎ、5M HClで酸性化した。この有機層を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×200mL)およびブライン(2×200mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下でエバポレートした。得られた粗生成物を、溶出液として酢酸エチル/ヘキサン(3:17〜5:15)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、クリーム状残渣(2.58g、78%)として50を得た:
Figure 0004553586
(2−メトキシ−3−ベンジルオキシ−エストロン(51))
0℃、N雰囲気下で、DMF(20mL)中の50(1.91g,6.36mmol)の撹拌溶液に、tert−ブトキシドカリウム(1.07g、9.54mmol)を何回かにわけて加えた。得られた橙色懸濁液をN下で二時間(これは、室温に温まる時間である)撹拌した。次いで、臭化ベンジル(1.13mL、9.54mmol)を加え、この混合物を室温で、N下で二時間撹拌した。この得られた橙色溶液を水(50mL)に注ぎ、有機画分を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、水(2×50mL)、ブライン(2×50mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下でエバポレートした。得られた粗生成物を、エタノールから再結晶し、希橙色粉末(2.3g)として51を得た。これをさらにエタノールから再結晶しクリーム状粉末(1.52g、61%)を得、そしてさらなるクロップの生成物(0.29g)を、エタノールからの再結晶の際の母液の残りから得た(全収率73%):
Figure 0004553586
(2−メトキシ−3−ベンジルオキシ−マリアノル酸(marrianolic acid)(52))
これは、ベンジルマリアノル酸9の様式と同じ様式で調製した。35mLのMeOH中のヨウ素(2.81g、11.07mmol)の溶液および10mLの水中のKOH(5.05g)の溶液および22mLのMeOHを、MeOH(700mL)中の2−メトキシ−3−ベンジルオキシ−エストロン(51)(1.52g,3.89mmol)の撹拌溶液に交互に滴下した。次いで、この得られた粗橙色泡状物(1.80g)をMeOH/HO(1:2、84mL)中のKOH(2.8g)の溶液に溶解し、温めて4時間還流した。得られた橙色残渣(4.32g)を溶出液としてクロロホルム/メタノール(95:5)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、52を橙色残渣(311mg、18%)として得た:
Figure 0004553586
(2−メトキシ−3−ベンジルオキシ−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(53))
これは、180℃における2−メトキシ−3−ベンジルオキシ−マリアノル酸(52)(300mg、684mmol)と尿素(300mg、4.99mmol)との反応によって、10の様式と同様の様式で調製した。得られた粗生成物を、溶出液としてクロロホルム/アセトン(95:5)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、53を希黄色粉末(170mg、59%)として得た:
Figure 0004553586
(2−メトキシ−3−ヒドロキシ−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(54)(STX325))
水素化条件(VI−1−4を参照)に従って、MeOH/THF2:1(15mL)中の53(150mg、357μmol)およびPd−C(10%、80mg)の懸濁液を4時間水素化し、54を希黄色粉末(115mg、97%)として得た。分析サンプルをメタノールから再結晶し、白色結晶を得た:
Figure 0004553586
(2−メトキシ−3−スルファモイル−16,17−seco−estra−1,3,5(10)−トリエン−16,17−イミド(55)(STX326))
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、8mg、200μmol)を、0℃、N雰囲気下で、無水DMF(1mL)中の54(55mg、167μmol)の撹拌溶液に加えた。水素の発生がなくなった後、塩化スルファモイル(6当量)を加えた。次いで、この反応混合物をN下で一晩(これは、室温まで温まる時間である)撹拌した。この混合物をブライン(20mL)に注ぎ、得られた溶液を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。有機層を分離し、ブライン(4×20mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を溶出液としてクロロホルム/アセトン(8:2)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって画分化し、白色泡状物(30mg、48%)として55を得た。これを、アセトン/ヘキサン1:2から再結晶し、白色結晶(23mg、37%)を得た:
Figure 0004553586
上記の明細書中で言及した全ての刊行物および特許および特許出願は、本明細書中で参考として援用される。
本発明の種々の改変および変更は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい実施形態と組み合わせて記載されてきたが、請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、化学、生物学または関連の分野における当業者に自明である、本発明を実施するために記載された様式の種々の改変は、前述の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
(略語)
Å オングストローム
Ac アセチル
Acc MS 正確な質量分析
Adiol アンドロステンジオール
Adione アンドロステンジオン
AG アミノグルテチミド(aminogluthethimide)
aq 水溶液
Ar アリール
arom 芳香族
BMA 3−ベンジル−マリアノル酸
Bn ベンジル
br ブロード
℃ 摂氏度
13C NMR カーボンNMR
ca およそ
cm センチメートル
COUMATE 4−メチルクマリン−7−O−スルファメート
δ 化学シフト(ppm)
d 二重線
dd 二重線の二重線
DHEA デヒドロエピアンドロステロン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
E1 エステロン
E2 エストラジオール
EMATE エストロン−3−O−スルファメート
ER エストロゲンレセプター
eq 当量
FAB 高速原子衝撃
g グラム
h 時間
hER ヒトエストロゲンレセプター
1H NMR プロトンNMR
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
17β−HSD 17β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ
Hz ヘルツ
IC50 50%阻害を引き起こす濃度
IR 赤外
J カップリング定数(Hz)
λmax 最大吸収波長
lit. 参考文献
μ マイクロ
m 多重線
M モル/リットル
m−NBA メタ−ニトロベンジルアルコール
m−RNA メッセンジャーリボ核酸
MHz メガヘルツ
min 分
mmol ミリモル
mol モル
mp 融点
MS 質量分析
M/Z 質量/電荷比
MADPH ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート
nM ナノモル
NMR 核磁気共鳴
ppm 100万分の1部
保持因子
r.t. 室温
S.D. 標準偏差
Pd−C パラジウム−炭素
TBAF テトラブチルアンモニウムフロリド
TBDMS tert−ブチル−ジメチルシリル
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMS テトラメチルシラン
ν シグナルの振動数(Hz)
vs 対
Figure 0004553586
Figure 0004553586
Figure 0004553586
Figure 0004553586
Figure 0004553586
記載なし 記載なし 記載なし

Claims (21)

  1. 式XII
    Figure 0004553586
    を有する化合物であって、
    ここで、Gは、H、OH、C〜C10アルキル、C〜C10ハロアルキル、−(CH1〜10−アリール、−(CH1〜10−シクロアルキルおよびC〜C10アルケンから選択され;
    ここで、Rは、式
    Figure 0004553586
    のスルファメート基であり、
    ここで、RおよびRは、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニルおよびアリールまたはこれらの組み合わせから独立して選択されるか、あるいは一緒になって、アルキレンを示し、ここで、各アルキルまたはシクロアルキルまたはアルケニルは、必要に応じて、1つ以上のヘテロ原子またはヘテロ基を含み;
    該環系は、ヒドロキシ、アルキル、アルキニル、またはハロゲンから選択される1つ以上の置換基により必要に応じて置換されている、化合物。
  2. 前記環系が、ヒドロキシ;メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびその他のペンチルアイソマー、ならびにn−ヘキシルおよびその他のヘキシルアイソマーから選択される(C〜C)アルキル;メトキシ、エトキシ、およびプロポキシから選択される(C〜C)アルコキシ;エチニル;またはフルオロから選択される1つ以上の置換基で必要に応じて置換されている、請求項1に記載の化合物。

  3. Figure 0004553586
    を有する、請求項1に記載の化合物であって、
    ここで、ヒドロカルビルは、C〜C10アルキル、C〜C10ハロアルキル、−(CH1〜10−アリール、−(CH1〜10−シクロアルキル、およびC〜C10アルケンから選択される、化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物であって、Gまたはヒドロカルビル基が、必要に応じて置換されたアルキル基である、化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物であって、Gまたはヒドロカルビル基が、C〜Cアルキル基およびC〜Cアルキル基から選択されるC〜C10アルキル基から選択される、化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物であって、Gまたはヒドロカルビル基が、C〜C10ハロアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C10ブロモアルキル基、C〜Cブロモアルキル基およびC〜Cブロモアルキル基から選択される、化合物。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物であって、Gまたはヒドロカルビル基が、−(CH1〜10−アリール、−(CH1〜10−Ph、(CH1〜10−Ph−C1〜10アルキル、−(CH1〜5−Ph、(CH1〜5−Ph−C1〜5アルキル、−(CH1〜3−Ph、(CH1〜3−Ph−C1〜3アルキル、−CH−Phおよび−CH−Ph−C(CHから選択される、化合物。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物であって、Gまたはヒドロカルビル基が、−(CH1〜10−シクロアルキル、−(CH1〜10−C3〜10シクロアルキル、−(CH1〜7−C3〜7シクロアルキル、−(CH1〜5−C3〜5シクロアルキル、−(CH1〜3−C3〜5シクロアルキルおよび−CH−Cシクロアルキルから選択される、化合物。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物であって、Gまたはヒドロカルビル基がアルケン基である、化合物。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物であって、Gまたはヒドロカルビル基が、C〜C10アルケン基、C〜Cアルケン基、C〜Cアルケン基から選択される、化合物。
  11. 請求項1または2に記載の化合物であって、GがHである、化合物。
  12. およびRの少なくとも1つがHである、請求項1に記載の化合物。
  13. およびRがHである、請求項12に記載の化合物。

  14. Figure 0004553586
    である、請求項1に記載の化合物。
  15. 薬学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤またはアジュバントと必要に応じて混合された、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物を含む、薬学的組成物。
  16. ステロイドスルファターゼ(STS)に関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  17. 有害なSTSレベルに関連する状態または疾患の治療において使用するための医薬の製造における、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  18. ステロイドスルファターゼ(STS)活性を阻害するための薬剤を製造する際の、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物の使用。
  19. ステロイドスルファターゼ(STS)に関連する状態または疾患の治療において使用するための組成物であって、請求項1に記載の化合物を含む、組成物。
  20. 有害なSTSレベルに関連する状態または疾患の治療において使用するための組成物であって、請求項1に記載の化合物を含む、組成物。
  21. ステロイドスルファターゼ(STS)活性を阻害するための組成物であって、請求項1に記載の化合物を含む、組成物。
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