JP4552490B2 - ロボット装置及びその情動制御方法 - Google Patents

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本発明は、本能や感情といった情動をモデル化した情動モデルを有するロボット装置及びその情動制御方法に関する。
電気的又は磁気的な作用を用いて人間(生物)の動作に似た運動を行う機械装置を「ロボット」という。我が国においてロボットが普及し始めたのは、1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化等を目的としたマニピュレータや搬送ロボット等の産業用ロボット(Industrial Robot)であった。
最近では、人間のパートナーとして生活を支援する、すなわち住環境その他の日常生活上の様々な場面における人的活動を支援する実用ロボットの開発が進められている。このような実用ロボットは、産業用ロボットとは異なり、人間の生活環境の様々な局面において、個々に個性の相違した人間、又は様々な環境への適応方法を自ら学習する能力を備えている。例えば、犬、猫のように4足歩行の動物の身体メカニズムやその動作を模した「ペット型」ロボット、或いは、2足直立歩行を行う人間等の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた「人間型」又は「人間形」ロボット(Humanoid Robot)等のロボット装置は、既に実用化されつつある。これらのロボット装置は、産業用ロボットと比較して、エンターテインメント性を重視した様々な動作を行うことができるため、エンターテインメントロボットと称される場合もある。
ところで、従来、これらのロボット装置に本能や感情といった情動をモデル化した情動モデルを持たせる研究がなされている(例えば非特許文献1を参照)。
尾形哲也,菅野重樹、「情動モデルを有する自律ロボットWAMOEBA−2と人間との情緒交流」、日本機械学会論文誌C編、1999年5月、第65巻、第633号、p.1900−1906
しかしながら、従来のロボット装置では、バッテリ残量等の内部状態のみに基づいて情動が生成されていたため、同じ内部状態であれば、そのロボット装置が置かれている状況や過去の経験に関わらず同じ情動が生成されていた。一方、人間は、自らの情動或いは情動変化をそのときの状況と結び付けて記憶しており、同様の状況に直面した際にその情動が甦ってくる性質を持つが、このような性質をロボット装置において実現する試みは今までなされていなかった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本能や感情といった情動をモデル化した情動モデルを有し、過去の経験を元に自らの情動を変化させることが可能なロボット装置及びその情動制御方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明に係るロボット装置は、情動をモデル化した情動モデルを有する自律型のロボット装置において、該ロボット装置の外部状況を入力する外部状況入力手段と、該ロボット装置の内部の状況を入力する内部状況入力手段と、該ロボット装置の内部状態ベクトルを管理する内部状態管理手段と、上記外部及び内部の状況に応じた状況ベクトルと、上記内部状態ベクトルとに基づいて予想内部状態変化ベクトルを算出する連想記憶手段と、上記内部状態管理手段によって管理されている現在の内部状態ベクトルと、上記連想記憶手段によって算出された予想内部状態変化ベクトルとに基づいて、該ロボット装置の情動を生成する情動生成手段とを備えるものである。
ここで、本発明に係るロボット装置は、上記情動に応じた行動を出力する行動出力手段をさらに備えてもよい。
また、上述した目的を達成するために、本発明に係るロボット装置の情動制御方法は、情動をモデル化した情動モデルを有する自律型のロボット装置の情動制御方法において、該ロボット装置の外部の状況を入力する外部状況入力工程と、該ロボット装置の内部の状況を入力する内部状況入力工程と、連想記憶手段により、上記外部及び内部の状況に応じた状況ベクトルと、内部状態管理手段によって管理されている該ロボット装置の内部状態ベクトルとに基づいて予想内部状態変化ベクトルを算出する連想記憶工程と、ロボット装置の現在の上記内部状態ベクトルと、上記連想記憶工程にて算出された予想内部状態変化ベクトルとに基づいて、該ロボット装置の情動を生成する情動生成工程とを有するものである。
ここで、本発明に係るロボット装置の情動制御方法は、上記情動に応じた行動を出力する行動出力工程をさらに有してもよい。
このようなロボット装置及びその情動制御方法では、過去の状況に応じた状況ベクトルとそのときの内部状態変化ベクトルとを結び付けて連想記憶しておき、同様の状況に直面した際に、結び付けられた予想内部状態変化ベクトルを連想し、その状況における内部状態ベクトルと予想内部状態変化ベクトルとに基づいて情動を生成する。
本発明に係るロボット装置及びその情動制御方法によれば、過去の状況に応じた状況ベクトルとそのときの内部状態変化ベクトルとを結び付けて連想記憶しておき、同様の状況に直面した際に、結び付けられた内部状態変化ベクトルを連想し、その状況における内部状態ベクトルと予想内部状態変化ベクトルとに基づいて情動を生成するようにしているため、その状況における内部状態ベクトルが同じであったとしても、過去の経験に基づいた情動を生成することができる。これにより、ロボット装置は、該ロボット装置とインタラクションするユーザがより自然に感じられる情動表現を構築することができる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、本能や感情といった情動をモデル化した情動モデルを有する2足歩行タイプのロボット装置に適用したものである。このロボット装置は、住環境その他の日常生活上の様々な場面における人的活動を支援する実用ロボットであり、人間が行う基本的な動作を表出できるエンターテインメントロボットでもある。以下では先ず、このようなロボット装置の構成について説明し、次いで、このロボット装置の情動制御方法について詳細に説明する。
(1)ロボット装置の構成
先ず、本実施の形態におけるロボット装置の構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態におけるロボット装置1は、体幹部ユニット2の所定の位置に頭部ユニット3が連結されると共に、左右2つの腕部ユニット4R/Lと、左右2つの脚部ユニット5R/Lが連結されて構成されている(但し、R及びLの各々は、右及び左の各々を示す接尾辞である。以下において同じ。)。
このロボット装置1が具備する関節自由度構成を図2に模式的に示す。頭部ユニット3を支持する首関節は、首関節ヨー軸101と、首関節ピッチ軸102と、首関節ロール軸103という3自由度を有している。
また、上肢を構成する各々の腕部ユニット4R/Lは、肩関節ピッチ軸107と、肩関節ロール軸108と、上腕ヨー軸109と、肘関節ピッチ軸110と、前腕ヨー軸111と、手首関節ピッチ軸112と、手首関節ロール軸113と、手部114とで構成される。手部114は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由度構造体である。但し、手部114の動作は、ロボット装置1の姿勢制御や歩行制御に対する寄与や影響が少ないので、本明細書ではゼロ自由度と仮定する。したがって、各腕部ユニット4R/Lは、7自由度で構成される。
また、体幹部ユニット2は、体幹ピッチ軸104と、体幹ロール軸105と、体幹ヨー軸106という3自由度を有する。
また、下肢を構成する各々の脚部ユニット5R/Lは、股関節ヨー軸115と、股関節ピッチ軸116と、股関節ロール軸117と、膝関節ピッチ軸118と、足首関節ピッチ軸119と、足首関節ロール軸120と、足部121とで構成される。本明細書中では、股関節ピッチ軸116と股関節ロール軸117の交点は、ロボット装置1の股関節位置を定義する。人体の足部は、実際には多関節・多自由度の足底を含んだ構造体であるが、ロボット装置1の足部121は、ゼロ自由度とする。したがって、各脚部ユニット5R/Lは、6自由度で構成される。
以上を総括すれば、ロボット装置1全体としては、合計で3+7×2+3+6×2=32自由度を有することになる。但し、エンターテインメント向けのロボット装置1が必ずしも32自由度に限定される訳ではない。設計・制作上の制約条件や要求仕様等に応じて、自由度すなわち関節数を適宜増減することができることはいうまでもない。
上述したようなロボット装置1が持つ各自由度は、実際にはアクチュエータを用いて実装される。外観上で余分な膨らみを排してヒトの自然体形状に近似させること、2足歩行という不安定構造体に対して姿勢制御を行うことなどの要請から、アクチュエータは小型且つ軽量であることが好ましい。
図3には、ロボット装置1の制御システム構成を模式的に示している。図3に示すように、制御システムは、ユーザ入力などに動的に反応して情緒判断や感情表現を司る思考制御モジュール200と、アクチュエータ350の駆動などロボット装置1の全身協調運動を制御する運動制御モジュール300とで構成される。
思考制御モジュール200は、情緒判断や感情表現に関する演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)211や、RAM(Random Access Memory)212、ROM(Read Only Memory)213、及び外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライブなど)214で構成され、モジュール内で自己完結した処理を行うことができる独立駆動型の情報処理装置である。
この思考制御モジュール200は、画像入力装置251から入力される画像データや音声入力装置252から入力される音声データなど、外界からの刺激などに従って、ロボット装置1の現在の感情や意思を決定する。ここで、画像入力装置251は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラを左右に1つずつ備えており、また、音声入力装置252は、例えばマイクロホンを複数備えている。また、思考制御モジュール200は、スピーカを備える音声出力装置253を介して、音声を出力することができる。
また、思考制御モジュール200は、意思決定に基づいた動作又は行動シーケンス、すなわち四肢の運動を実行するように、運動制御モジュール300に対して指令を発行する。
一方の運動制御モジュール300は、ロボット装置1の全身協調運動を制御するCPU311や、RAM312、ROM313、及び外部記憶装置(ハード・ディスク・ドライブなど)314で構成され、モジュール内で自己完結した処理を行うことができる独立駆動型の情報処理装置である。外部記憶装置314には、例えば、オフラインで算出された歩行パターンや目標とするZMP軌道、その他の行動計画を蓄積することができる。ここで、ZMPとは、歩行中の床反力によるモーメントがゼロとなる床面上の点のことであり、また、ZMP軌道とは、例えばロボット装置1の歩行動作期間中にZMPが動く軌跡を意味する。なお、ZMPの概念並びにZMPを歩行ロボットの安定度判別規範に適用する点については、Miomir Vukobratovic 著“LEGGED LOCOMOTION ROBOTS”(加藤一郎外著『歩行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社))に記載されている。
運動制御モジュール300には、図2に示したロボット装置1の全身に分散するそれぞれの関節自由度を実現するアクチュエータ350、体幹部ユニット2の姿勢や傾斜を計測する姿勢センサ351、左右の足底の離床又は着床を検出する接地確認センサ352,353、バッテリなどの電源を管理する電源制御装置354などの各種の装置が、バス・インターフェース(I/F)301経由で接続されている。ここで、姿勢センサ351は、例えば加速度センサとジャイロ・センサの組み合わせによって構成され、接地確認センサ352,353は、近接センサ又はマイクロ・スイッチなどで構成される。
思考制御モジュール200と運動制御モジュール300とは、共通のプラットフォーム上で構築され、両者間はバス・インターフェース201,301を介して相互接続されている。
運動制御モジュール300では、思考制御モジュール200から指示された行動を体現すべく、各アクチュエータ350による全身協調運動を制御する。すなわち、CPU311は、思考制御モジュール200から指示された行動に応じた動作パターンを外部記憶装置314から取り出し、又は内部的に動作パターンを生成する。そして、CPU311は、指定された動作パターンに従って、足部運動、ZMP軌道、体幹運動、上肢運動、腰部水平位置及び高さなどを設定すると共に、これらの設定内容に従った動作を指示する指令値を各アクチュエータ350に転送する。
また、CPU311は、姿勢センサ351の出力信号によりロボット装置1の体幹部ユニット2の姿勢や傾きを検出すると共に、各接地確認センサ352,353の出力信号により各脚部ユニット5R/Lが遊脚又は立脚の何れの状態であるかを検出することによって、ロボット装置1の全身協調運動を適応的に制御することができる。
また、CPU311は、ZMP位置が常にZMP安定領域の中心に向かうように、ロボット装置1の姿勢や動作を制御する。
さらに、運動制御モジュール300は、思考制御モジュール200において決定された意思通りの行動がどの程度発現されたか、すなわち処理の状況を、思考制御モジュール200に返すようになっている。
このようにしてロボット装置1は、制御プログラムに基づいて自己及び周囲の状況を判断し、自律的に行動することができる。
(2)ロボット装置の情動制御方法
次に、上述したロボット装置1の情動制御方法について説明する。このロボット装置1は、本能や感情といった情動をモデル化した情動モデルを有し、過去の経験を元に自らの情動を変化させることが可能とされる。
ロボット装置1が有する情動制御システムの機能ブロック構成を図4に示す。図4に示す情動制御システムにおいて、カメラ画像入力器10は、図3の画像入力装置251に相当し、入力された画像を顔・人物認識器11及び物体認識器12に供給する。顔・人物認識器11は、この画像から人物の顔を検出し、人物IDを割り当てて内部状態モデル部14及び連想記憶部15に供給する。一方、物体認識器12は、画像から予め学習済みの物体を検出し、物体IDを割り当てて内部状態モデル部14及び連想記憶部15に供給する。
内部センサ入力器13は、各時点でのバッテリ残量やロボット装置1の各関節角等を検出し、検出結果を内部状態モデル部14に供給する。
内部状態モデル部14は、ISM(Internal State Model)とも称され、自己のセンサ情報を内部状態ベクトルに換算して保持している。内部状態ベクトルの例としては、「空腹」、「満腹」、「痛み」、「快適」、「疲労」、「睡眠」、「運動」、「好奇心」の8次元ベクトルが挙げられ、これらの値に基づいてロボット装置1の行動制御が行われる。本実施の形態では、一例として、顔・人物認識器11、物体認識器12及び内部センサ入力器13から供給された値を入力とし、それに対する内部状態値を0〜100にマッピングするものとする。なお、この内部状態モデル部14は、例えばバッテリ残量が小さくなればそれに比例して「空腹」の内部状態値が大きくなり「満腹」の内部状態値が小さくなるように予め設計される。内部状態モデル部14は、各時点における内部状態ベクトルを連想記憶部15、情動生成器16及び行動選択器17に供給すると共に、各時点における内部状態変化ベクトルを連想記憶部15に供給する。
連想記憶部15は、DIA(Delta Internal-value Associator)とも称され、人物ID及び物体ID等の外部センサ入力や、内部センサ入力部13からのバッテリ残量等の内部センサ入力からなる多次元ベクトルである状況ベクトルと内部状態変化ベクトルとを結び付けて連想記憶する。この連想記憶は、ロボット装置1の過去の経験を通じて学習されており、学習後に任意の状況ベクトルを連想記憶部15に与えると、それまでの経験から各内部状態値の予想変化量を算出することができ、予想内部状態変化ベクトルとして出力することができる。
簡単のため、状況ベクトルとして人物ID及び物体IDからなる2次元ベクトルを考えた場合、連想記憶部15は、例えば図5に示すように、入力層30のニューロン数が2、出力層32のニューロン数が8、中間層31のニューロン数がn(例えばn=100)である3層型ニューラルネットワークによって実現することができる。入力層30には、状況ベクトルである人物ID及び物体IDがデータξk(k=1,2)として入力されている。中間層31は、入力層30から供給されたデータξkを所定の重み値Wkjに基づいて結合し、この中間層31のニューロンを通して出力層32にデータυj(j=1,・・・,n)を出力する。出力層32は、中間層31から供給されたデータυjを所定の重み値Wijに基づいて結合し、8次元の予想内部状態変化ベクトルとしてのデータoi(i=1,・・・,8)を出力する。また、出力層32には、教師信号となる内部状態変化ベクトルが内部状態モデル部14から与えられ、バックプロパゲーション法に従って重み値Wkj,Wijが更新される。なお、重み値Wkj,Wijは、状況ベクトルと該状況ベクトルによる実際の内部状態変化ベクトルとのデータ対が与えられる毎に更新される。
なお、連想記憶部15の学習に際しては、単時点におけるデータ対のみを用いるのではなく、連想記憶部15の内部或いは外部の記憶装置を用いて過去所定期間に亘るデータ対を保持しておき、これらを全てニューラルネットワークの入力として用いることも可能である。このように、より時間的な幅を持ったデータ対を用いることにより、学習時間は長くなるものの、アプリケーションとしての実環境下におけるロバスト性が増す。
情動生成器16は、EMG(EMotion Generator)とも称され、自己保存評価値(Self Crisis Value)と予想自己保存評価値(Self Crisis Expectation Value)とに基づいて情動を生成する。前者の値は、内部状態モデル部14の内部状態値から予めデザインされた関数によって算出される。例えば、「空腹」の内部状態値が大きければその分だけ自己の保存状態は悪いといったことがパラメータ化されて自己保存評価値が算出される。また、情動生成器16には、連想記憶部15から予想内部状態変化ベクトルが供給されており、内部状態モデル部14から供給される現在の内部状態ベクトルと組み合わせて評価(例えば単純に両者の和を算出)することにより、予想自己保存評価値が算出される。そして、情動生成器16は、この2つの値を用いて基本6情動(「喜び」、「悲しみ」、「怒り」、「驚き」、「嫌悪」、「恐れ」)の値を算出する。例えば、自己保存評価値が正の場合には「嫌悪」の値を+10としたり、自己保存評価値が増加している場合(予想自己保存評価値と比較して判断)には「恐れ」の値を+10としたりすることができる。各情動は、個別に並列して算出される。なお、このような情動の算出機構は、心理学的な仮説や知見(例えば、文献「戸田正直著,高田洋一郎補稿、『感情:人を動かしている適応プログラム』、1992年、認知科学選書、東京大学出版会」を参照)に基づくものである。
行動選択器17は、顔・人物認識器11及び物体認識器12から供給された人物ID及び物体IDや、内部状態モデル部14から供給された内部状態ベクトル、情動生成器16から供給された各情動の値に基づいて適切な行動を選択し、対応するアクチュエータ18を駆動する。この行動選択器17には、任意の行動選択アーキテクチャが使用可能であり、例えばSBL(Situated Behavior Layer)(例えば、「星野由紀子,高木剛,Ugo Diprofio,藤田雅博、『パーソナルロボットにおける行動モジュールを用いた行動制御アーキテクチャ』、2003年、日本ロボット学会 第21回学術講演会」を参照)等を用いることができる。この行動選択器17により、例えば空腹時には摂食行動を行うといった行動戦略が実現される。
以下、このような情動制御システムを有するロボット装置1が、ユーザに腕を捻られた過去の経験を元に情動を変化させる例について、上述した図4及び図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6のフローチャートにおいて、ステップS1〜S3は、腕を捻られたときの状況ベクトルと内部状態変化ベクトルとを結び付けて連想記憶する工程を示し、ステップS6,S7は、その記憶を元に、同様の状況に直面した際に情動を変化させる工程を示す。
先ずステップS1において、ユーザがロボット装置1の視界内に入り、ある物体をロボット装置1に見せる。このとき、ロボット装置1では、カメラ画像入力器10を通じてユーザの顔及び物体の画像が入力され、顔・人物認識器11及び物体認識器12からそれぞれ人物ID及び物体IDが出力される。
次にステップS2において、ユーザがロボット装置1の腕を捻る。このとき、ロボット装置1では、腕の間接角が変化したことが内部センサ入力器13から内部状態モデル部14へと伝わり、予め設定された関数に従って「痛み」の内部状態値が例えば30だけ増加する。また、内部状態モデル部14では、実際の内部状態変化ベクトルが計算される。この場合、「痛み」の変化量のみが30であり他は0である。また、情動生成器16は、情動を例えば「恐れ」に変化させる。そして、ロボット装置1は、行動選択器17及びアクチュエータ18を介して、身体を震わす等の「恐れ」の情動に応じた行動を表出する。なお、この行動表出は、予めプログラマが設定しておく。
続いてステップS3において、人物ID、物体ID、内部状態変化ベクトルが連想記憶部15に送られ、上述したようにバックプロパゲーション法を用いて連想記憶が学習される。
続いてステップS4において、ユーザがロボット装置1の視界から出て、ステップS5において、ロボット装置1の情動がニュートラルに戻る。なお、情動生成器16は、何も起こらないと時間と共にニュートラルに近づくように設計されているものとする。
次にステップS6において、再びユーザがロボット装置1の視界内に入る。このとき、ロボット装置1では、カメラ画像入力器10を通じてユーザの顔及び物体の画像が入力され、顔・人物認識器11及び物体認識器12からそれぞれ人物ID及び物体IDが出力される。そして、連想記憶部15は、この人物ID及び物体IDから予想内部状態変化ベクトルを算出する。この予想内部状態変化ベクトルは、その時点での内部状態ベクトルと共に情動生成部16に送られる。なお、上述の例では、ユーザが物体を見せるものとしたが、物体を見せない場合であっても、その状況に応じた予想内部状態変化ベクトルを算出可能である。
続いてステップS7において、ロボット装置1が情動を変化させ、変化した情動に応じた行動を行う。このとき、ロボット装置1では、情動生成器16において、予想内部状態変化ベクトルと内部状態ベクトルとに基づいて情動の値が算出される。この結果、ロボット装置1では、ステップS2のように腕を捻られていないにも拘わらず「恐れ」の値が増加する。そして、ロボット装置1は、行動選択器17及びアクチュエータ18を介して、「恐れ」の情動に応じた行動を表出する。
以上、1回のループについて説明したが、実際には以上のステップが何回も繰り返され、その経験を元に連想記憶部15の連想記憶が徐々に学習されていくことになる。
このように、本実施の形態におけるロボット装置1及びその情動制御方法によれば、過去の経験(状況)とそのときの内部状態変化ベクトルとを連想記憶し、同様の状況に直面した際には結び付けられた内部状態変化ベクトルを連想し、その状況における内部状態ベクトルと予想内部状態変化ベクトルとに基づいて情動を生成するようにしているため、その状況における内部状態ベクトルが同じ値であったとしても、過去の経験に基づいた情動を生成することができる。これにより、ロボット装置1は、該ロボット装置1とインタラクションするユーザがより自然に感じられる情動表現を構築することができる。
また、本実施の形態では、連想記憶にニューラルネットワークを用いているため、その学習汎化性能により、未学習の状況ベクトルに対しても、それまでの学習から推測された値を算出することができる。これにより、有限の学習サンプルであっても、それ以上の数の状況に対して予想内部状態変化ベクトルを算出することが可能となる。
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
例えば、上述の実施の形態では、状況ベクトルのうち外部センサ入力として人物ID及び物体IDを用いるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、音声認識に基づく単語IDや生のセンサデータ等のその他の外部センサ入力を含む多次元ベクトルを用いることが可能である。
本実施の形態におけるロボット装置の外観を示す斜視図である。 同ロボット装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。 同ロボット装置の制御ユニットの構成を詳細に示すブロック図である。 同ロボット装置が有する情動制御システムの機能ブロック構成を示す図である。 同情動制御システムの連想記憶部を構成するニューラルネットワークの一例を示す図である。 同ロボット装置が過去にユーザに腕を捻られた経験に基づいて情動を変化させる例を説明するフローチャートである。
符号の説明
1 ロボット装置、10 カメラ画像入力器、11 顔・人物認識器、12 物体認識器、13 内部センサ入力器、14 内部状態モデル部、15 連想記憶部、16 情動生成器、17 行動選択器、18 アクチュエータ、30 入力層、31 中間層、32 出力層

Claims (12)

  1. 情動をモデル化した情動モデルを有する自律型のロボット装置において、
    該ロボット装置の外部状況を入力する外部状況入力手段と、
    該ロボット装置の内部の状況を入力する内部状況入力手段と、
    該ロボット装置の内部状態ベクトルを管理する内部状態管理手段と、
    上記外部及び内部の状況に応じた状況ベクトルと、上記内部状態ベクトルとに基づいて予想内部状態変化ベクトルを算出する連想記憶手段と、
    上記内部状態管理手段によって管理されている現在の内部状態ベクトルと、上記連想記憶手段によって算出された予想内部状態変化ベクトルとに基づいて、該ロボット装置の情動を生成する情動生成手段と
    を備えロボット装置。
  2. 上記情動に応じた行動を出力する行動出力手段をさらに備え請求項1記載のロボット装置。
  3. 上記連想記憶手段は、該ロボット装置の外部又は内部の状況とそのときの実際の内部状態変化ベクトルとに基づいて学習されたものであ請求項1記載のロボット装置。
  4. 上記連想記憶手段は、上記状況ベクトルを入力とし上記予想内部状態変化ベクトルを出力とするニューラルネットワークであ請求項3記載のロボット装置。
  5. 上記連想記憶手段は、上記状況ベクトルと該状況ベクトルによる実際の内部状態変化ベクトルとのデータ対が得られる毎に、該データ対を用いて学習されたものであ請求項4記載のロボット装置。
  6. 上記連想記憶手段は、上記状況ベクトルと該状況ベクトルによる実際の内部状態変化ベクトルとのデータ対が得られる毎に、過去所定期間に亘って得られたデータ対を用いて学習されたものであ請求項4記載のロボット装置。
  7. 情動をモデル化した情動モデルを有する自律型のロボット装置の情動制御方法において、
    該ロボット装置の外部の状況を入力する外部状況入力工程と、
    該ロボット装置の内部の状況を入力する内部状況入力工程と、
    連想記憶手段により、上記外部及び内部の状況に応じた状況ベクトルと、内部状態管理手段によって管理されている該ロボット装置の内部状態ベクトルとに基づいて予想内部状態変化ベクトルを算出する連想記憶工程と、
    ロボット装置の現在の上記内部状態ベクトルと、上記連想記憶工程にて算出された予想内部状態変化ベクトルとに基づいて、該ロボット装置の情動を生成する情動生成工程と
    を有すロボット装置の情動制御方法。
  8. 上記情動に応じた行動を出力する行動出力工程をさらに有す請求項7記載のロボット装置の情動制御方法。
  9. 上記連想記憶手段は、該ロボット装置の外部又は内部の状況とそのときの実際の内部状態変化ベクトルとに基づいて学習されたものであ請求項7記載のロボット装置の情動制御方法。
  10. 上記連想記憶手段は、上記状況ベクトルを入力とし上記予想内部状態変化ベクトルを出力とするニューラルネットワークであ請求項9記載のロボット装置の情動制御方法。
  11. 上記連想記憶手段は、上記状況ベクトルと該状況ベクトルによる実際の内部状態変化ベクトルとのデータ対が得られる毎に、該データ対を用いて学習されたものであ請求項10記載のロボット装置の情動制御方法。
  12. 上記連想記憶手段は、上記状況ベクトルと該状況ベクトルによる実際の内部状態変化ベクトルとのデータ対が得られる毎に、過去所定期間に亘って得られたデータ対を用いて学習されたものであ請求項10記載のロボット装置の情動制御方法。
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