JP4551611B2 - 光学ユニット及びこれを用いたバックライトユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、集光、拡散、法線方向側への屈折等の諸機能を有し、特に液晶表示装置のバックライトユニットに好適な光学ユニット、及びこれを用いたバックライトユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶層を背面から照らすバックライト方式が普及し、液晶層の下面側にエッジライト型(サイドライト型)、直下型等のバックライトユニットが装備されている。このエッジライト型のバックライトユニット20は、一般的には図10(a)に示すように、光源としての棒状のランプ21と、このランプ21に端部が沿うように配置される方形板状の導光板22と、この導光板22の表面側に積層される光学ユニット23とを装備している。この光学ユニット23は、透過光線に対して集光、拡散、屈折等の光学的機能を有するものであり、具体的には(1)導光板22の表面側に配設され、主に光拡散機能や集光機能を有するビーズ塗工シート24や、(2)ビーズ塗工シート24の表面側に配設され、法線方向側への屈折機能を有するプリズムシート25などの光学シートを備えている。
【0003】
このバックライトユニット20の機能を説明すると、まず、ランプ21より導光板22に入射した光線は、導光板22裏面の反射ドット又は反射シート(図示されず)及び各側面で反射され、導光板22表面から出射される。導光板22から出射した光線はビーズ塗工シート24に入射し、拡散され、表面より出射される。その後、ビーズ塗工シート24から出射された光線は、プリズムシート25に入射し、表面に形成されたプリズム部25aによって、略真上方向にピークを示す分布の光線として出射される。このように、ランプ21から出射された光線が、光学ユニット23によって拡散され、略真上方向にピークを示すように屈折され、さらに上方の図示していない液晶層全面を照明するものである。
【0004】
また図示していないが、上述の導光板22の導光特性や光学ユニット23に備える光学シートの光学的機能などを考慮し、ビーズ塗工シートやプリズムシートなどの光学シートがさらに多く配設される光学ユニット23もある。
【0005】
上記従来のビーズ塗工シート24としては、一般的には図10(b)に示すように、透明な合成樹脂製の基材層26と、この基材層26の表面に積層されかつ光拡散性を有する光学層27とを備えている(例えば特開2000−89007公報等参照)。この光学層27は、一般的にはバインダー28中に樹脂ビーズ29を有している。この樹脂ビーズ29の存在によってビーズ塗工シート24の表面にレンズ状の微細凹凸が形成される。ビーズ塗工シート24は、このレンズ状の微細凹凸や樹脂ビーズ29の界面での屈折により拡散、集光等の光学的機能が奏される。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−89007公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の光学ユニット23に備えるビーズ塗工シート24は、樹脂ビーズ29表面にバインダー28が覆うため、樹脂ビーズ29が十分に突出し難く、意図するレンズ状の微細凹凸の形成が困難であり、集光、拡散等の光学的機能の向上には一定の限界がある。そのため、従来の光学ユニット23は、比較的多くの光学シートが配設されており、バックライトユニット20の正面輝度の向上が困難である。
【0008】
また、ビーズ塗工シート24は、樹脂ビーズ29の粒子径、配合量及び塗工量を変化させることで集光等の光学的機能の制御が可能であるが、樹脂ビーズ29の均一分散ひいては均一塗工が凝集等により困難であるため、光学的機能の正確な制御は不可能である。
【0009】
さらに、上述のようにレンズ状の微細凹凸の形成が困難であるため、レンズ高さがランダムになる。そのため、光学ユニット23において、ビーズ塗工シート24は、重ね合わされる他の光学部材に対し、応力集中により傷を付けてしまうおそれがある。
【0010】
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、集光等の光学的機能が格段に高く、光学的機能の制御が容易かつ確実であり、光学シートの傷付きが抑制される光学ユニット及びこれを用いて正面方向の高輝度化、輝度の均一化等の品質の向上が促進されるバックライトユニットの提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた発明は、重畳される複数の光学シートを備えており、この光学シートが複数のマイクロレンズから構成されるマイクロレンズアレイを表面に有し、当該光学シートのレンズ充填率が60%以上、マイクロレンズのレンズ高さの曲率半径に対する高さ比が5/8以上1以下、マイクロレンズのレンズ間距離の直径に対する間隔比が0以上1/2以下であり、かつ、上記複数の光学シートのマイクロレンズの直径(D)、レンズ間距離(S)又は配設パターンが相違している光学ユニットである。
【0012】
当該光学ユニットは、重畳される複数の光学シートを備え、この光学シートが優れた光学的機能を奏するマイクロレンズアレイを表面に有していることから、集光、拡散等の光学的機能が格段に向上され、かつ、その光学的機能が容易かつ確実に制御される。また、当該光学ユニットは、光学シートのマイクロレンズのレンズ高さを一定に調整することで、応力集中が抑制され、重畳される光学シートの傷付きや重ね合わされる他部材への傷付けが防止される。
【0013】
当該光学ユニットは、マイクロレンズアレイを有する上記光学シートが高い光学的機能を有するため、2枚の上記光学シートの装備で十分に集光、拡散等の光学的機能が高められる。
【0014】
当該光学ユニットにおいては、複数の光学シートのマイクロレンズの直径(D)、レンズ間距離(S)又は配設パターンが相違している。当該光学ユニットは、このように配設パターン等が相違する複数の光学シートを備えることで、モアレの発生が抑制される。
【0015】
上記光学シートのマイクロレンズの配設パターンとしてはランダムパターンが好ましい。このようにマイクロレンズがランダムパターンで配設される光学シートによれば、当該光学ユニットのモアレの発生が効果的に防止される。
【0016】
上記マイクロレンズアレイを構成する素材の屈折率としては1.3以上1.8以下が好ましい。素材の屈折率を上記範囲とすることで、集光、拡散等の光学的機能がさらに高められる。
【0017】
当該光学シートは、バインダー中にビーズが分散したスティッキング防止層を裏面に備えるとよい。当該光学ユニットは、光学シート裏面のスティッキング防止層によって、複数の光学シート間のスティッキングや、裏面側に配設される導光板等とのスティッキングが防止される。
【0018】
従って、ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、集光、拡散等の光学的機能が高い当該光学ユニットを備えると、正面方向の高輝度化、輝度の均一化等の品質が高められ、さらに光学シート枚数の低減による薄型化が促進される。
【0019】
ここで、「マイクロレンズ」とは、界面が部分球面状の微小レンズを意味し、例えば半球状凸レンズ、半球状凹レンズ等が該当する。「直径(D)」とは、マイクロレンズの基底又は開口の直径を意味する。「レンズ間距離」とは、隣り合う一対のマイクロレンズ間の最短距離を意味する。「レンズ充填率」とは、表面投影形状における単位面積当たりのマイクロレンズの面積比を意味する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳説する。図1は本発明の一実施形態に係る光学ユニットを示す模式的断面図、図2(a)及び(b)は図1の光学ユニットに備えられる光学シートを示す部分平面図及び部分断面図、図3は図1の光学ユニットを備えるバックライトユニットを示す模式的断面図、図4は図2の光学シートとは異なる形態に係る光学シートを示す部分断面図、図5は高さ比と正面輝度相対値との関係を示すグラフ、図6は間隔比と正面輝度相対値との関係を示すグラフ、図7はレンズ充填率と正面輝度相対値との関係を示すグラフ、図8及び図9は構成別の輝度分布を示すグラフである。
【0021】
図1の光学ユニット1は、光学シート2a及び光学シート2bを備えている。
これらの光学シート2a及び光学シート2bは、平行に配設され、互いに重ね合わされている。以下、光学シート2aと光学シート2bとに共通する内容は「光学シート2」として説明する。
【0022】
光学シート2は、図2(a)及び(b)に示すように、基材層3と、この基材層3の表面に有するマイクロレンズアレイ4とを備えている。この光学シート2は、表面のマイクロレンズアレイ4によって優れた集光、拡散等の光学的機能を有する。
【0023】
基材層3は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されている。かかる基材層3に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル、活性エネルギー線硬化型樹脂等が挙げられる。中でも、マイクロレンズアレイ4の成形性に優れる紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂や、透明性及び強度に優れるポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、基材層3としてポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム又はポリカーボネートフィルムを用い、その上に紫外線硬化性樹脂などでマイクロレンズ5を形成することも好ましい。
【0024】
基材層3の厚み(平均厚み)は、特には限定されないが、例えば10μm以上500μm以下、好ましくは35μm以上250μm以下、特に好ましくは50μm以上188μm以下とされる。基材層3の厚みが上記範囲未満であると、バックライトユニット等において熱に曝された際にカールが発生しやすくなってしまう、取扱いが困難になる等の不都合が発生する。逆に、基材層3の厚みが上記範囲を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうことがあり、またバックライトユニットの厚みが大きくなって液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0025】
マイクロレンズアレイ4は、多数のマイクロレンズ5から構成されている。このマイクロレンズ5は、半球状に形成され、基材層3の表面に突設されている。
マイクロレンズ5は、光線を透過させる必要があるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されており、具体的には上記基材層3と同様の合成樹脂が用いられている。なお、マイクロレンズ5は、上記半球状凸レンズに限定されず、半球状凹レンズのマイクロレンズも可能である。かかる半球状凹レンズのマイクロレンズも、上記マイクロレンズ5と同様に優れた光学的機能を有する。
【0026】
基材層3及びマイクロレンズ5には、上記の合成樹脂の他、例えばフィラー、可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤等が配合されてもよい。
【0027】
マイクロレンズ5は、基材層3の表面に比較的密にかつ幾何学的に配設されている。マイクロレンズ5は、基材層3の表面において、正三角形格子パターンで配設されている。従って、マイクロレンズ5のピッチ(P)及びレンズ間距離(S)は全て一定である。この配設パターンは、マイクロレンズ5を最も密に配設することができる。なお、マイクロレンズ5の配設パターンとしては、稠密充填可能な上記正三角形格子パターンに限定されず、例えば正方形格子パターンやランダムパターンも可能である。
【0028】
マイクロレンズ5の直径(D)は、特に限定されるものではないが、10μm以上1000μm以下とされている。マイクロレンズ5の直径(D)が10μmより小さいと、回析の影響が大きくなり、光学的性能の低下や色分解が起こり易く、品質の低下を招来する。一方、マイクロレンズ5の直径(D)が1000μmを超えると、輝度ムラが生じやすく、同様に品質の低下を招来する。特に、マイクロレンズ5の直径(D)の上限としては100μmが好ましく、100μm以下の直径(D)のマイクロレンズ5により良好な光学的機能が奏される。
【0029】
マイクロレンズ5のレンズ高さ(H)の曲率半径(R)に対する高さ比(H/R)の下限としては5/8が好ましく、3/4が特に好ましい。一方、この高さ比(H/R)の上限としては1が好ましい。ここで「レンズ高さ」とは、マイクロレンズ5の基底面から最頂部までの垂直距離(マイクロレンズが凹レンズの場合はマイクロレンズの開口面から最底部までの垂直距離)を意味する。このようにマイクロレンズ5の高さ比(H/R)を上記範囲とすることで、マイクロレンズ5におけるレンズ的屈折作用が効果的に奏され、当該光学シート2の集光、拡散等の光学的機能が格段に向上される。
【0030】
マイクロレンズ5のレンズ間距離(S;P−D)の直径(D)に対する間隔比(S/D)の上限としては1/2が好ましく、1/5が特に好ましい。このようにマイクロレンズ5のレンズ間距離(S)を上記上限以下とすることで、光学的機能に寄与しない平坦部が低減され、当該光学シート2の集光、拡散等の光学的機能が格段に向上される。
【0031】
マイクロレンズ5のレンズ充填率の下限としては40%が好ましく、60%が特に好ましい。このようにマイクロレンズ5のレンズ充填率を上記下限以上とすることで、マイクロレンズ5の占有面積を高め、当該光学シート2の集光、拡散等の光学的機能が格段に向上される。
【0032】
マイクロレンズアレイ4を構成する素材の屈折率の下限としては1.3が好ましく、1.45が特に好ましい。一方、この素材の屈折率の上限としては1.8が好ましく、1.6が特に好ましい。この範囲の中でも、マイクロレンズアレイ4を構成する素材の屈折率としては1.5が最も好ましい。このようにマイクロレンズアレイ4を構成する素材の屈折率を上記範囲とすることで、マイクロレンズ5におけるレンズ的屈折作用が効果的に奏され、当該光学シート2の集光、拡散等の光学的機能がさらに高められる。
【0033】
マイクロレンズ5の表面粗さ(Ra)としては、マイクロレンズ5の直径(D)が10μm以上100μm未満の場合は2μm以下が好ましく、マイクロレンズ5の直径(D)が100μm以上1000μm以下の場合は0.1μm以上10μm以下が好ましい。マイクロレンズ5の直径(D)が10μm以上100μm未満の場合、マイクロレンズの表面粗さ(Ra)が2μmを超えると、当該光学シート2の集光機能や法線方向側への屈折機能が低下するおそれがある。マイクロレンズ5の直径(D)が100μm以上1000μm以下の場合、マイクロレンズの表面粗さ(Ra)を0.1μm以上10μm以下としてマイクロレンズ5に所定の光拡散効果を付与することで、当該光学シート2の光学的機能を維持しつつ輝度ムラ等の発生が低減される。
【0034】
当該光学シート2の製造方法としては、上記構造のものが形成できれば特に限定されるものではなく、種々の方法が採用される。当該光学シート2の製造方法としては、基材層3を作成した後にマイクロレンズアレイ4を別に形成する方法と、基材層3とマイクロレンズアレイ4とを一体成形する方法とが可能であり、具体的には、
(a)マイクロレンズアレイ4の表面の反転形状を有するシート型に合成樹脂を積層し、そのシート型を剥がすこと当該光学シート2を形成する方法、
(b)マイクロレンズアレイ4の表面の反転形状を有する金型に溶融樹脂を注入する射出成型法、
(c)シート化された樹脂を再加熱して前記と同様の金型と金属板との間にはさんでプレスして形状を転写する方法、
(d)マイクロレンズアレイ4の表面の反転形状を周面に有するロール型と他のロールとのニップに溶融状態の樹脂を通し、上記形状を転写する押出しシート成形法、
(e)基材層に紫外線硬化型樹脂を塗布し、上記と同様の反転形状を有するシート型、金型又はロール型に押さえ付けて未硬化の紫外線硬化型樹脂に形状を転写し、紫外線をあてて紫外線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(f)上記と同様の反転形状を有する金型又はロール型に未硬化の紫外線硬化性樹脂を充填塗布し、基材層で押さえ付けて均し、紫外線をあてて紫外線硬化型樹脂を硬化させる方法、
(g)紫外線硬化型樹脂の代わりに電子線硬化型樹脂を使用する方法
などがある。
【0035】
上記マイクロレンズアレイ4の反転形状を有する型(モールド)の製造方法としては、例えば基材上にフォトレジスト材料により斑点状の立体パターンを形成し、この立体パターンを加熱流動化により曲面化することで、マイクロレンズアレイ模型を作製し、このマイクロレンズアレイ模型の表面に電鋳法により金属層を積層し、この金属層を剥離することで製造することができる。
【0036】
上記製造方法によれば、任意形状のマイクロレンズアレイ4が容易かつ確実に形成される。そのため、マイクロレンズアレイ4を構成するマイクロレンズ5の直径(D)、高さ比(H/R)、間隔比(S/D)、レンズ充填率等が容易かつ確実に調整され、その結果当該光学シート2の光学的機能が容易かつ確実に制御される。
【0037】
当該光学ユニット1は、優れた集光、拡散等の光学的機能を有する2枚の光学シート2を備えることで、集光、拡散等の光学的機能が飛躍的に高められる。また、当該光学ユニット1は、光学シート2のマイクロレンズ5の直径(D)、高さ比(H/R)、間隔比(S/D)、レンズ充填率等を調整することで、光学的機能が容易かつ確実に制御される。さらに、当該光学ユニット1は、光学シート2のマイクロレンズ5の高さ(D)を一定に調整することで、応力集中が抑制され、重畳される光学シート2の傷付きや重ねられる他部材への傷付けが防止される。
【0038】
当該光学ユニット1は、光学シート2aと光学シート2bのマイクロレンズ5の直径(D)、レンズ間距離(S)又は配設パターンが相違するとよい。直径(D)、レンズ間距離(S)、配設パターン等が同一の光学シート2aと光学シート2bとを重畳するとモアレが発生しやすいが、このように配設パターン等が相違する光学シート2a及び光学シート2bを備えることで、光学ユニット1はモアレの発生が抑制される。
【0039】
また、光学シート2のマイクロレンズ5の配設パターンとしてはランダムパターンが好ましい。このようにマイクロレンズ5がランダムパターンで配設される光学シート2を備えることで、当該光学ユニット1はモアレの発生が効果的に防止される。
【0040】
図3に示すエッジライト型バックライトユニットは、導光板7と、この導光板7の対偶辺に配設される一対の線状ランプ8とを備えており、この導光板7の表面側に当該光学ユニット1が重ねて配設されている。ランプ8から発せられ、導光板7表面から出射される光線は法線方向に対して所定角度傾斜した比較的強いピークを有しているが、このように高い集光機能、光拡散機能、法線方向側への変角機能等を有する当該光学ユニット1により、当該バックライトユニットの正面輝度が格段に高められる。従って、当該バックライトユニットによれば、従来必要であった複数枚の光学シート(ビーズ塗工シート等)の低減化が図られ、バックライトユニットの薄型化、輝度向上及びコスト低減が促進される。なお、エッジライト型バックライトユニットは、4本、6本等のランプ8が装備されることもある。
【0041】
図4の光学シート11は、基材層3と、この基材層3の表面に有するマイクロレンズアレイ4と、基材層3の裏面に積層されるスティッキング防止層12とを備えている。この基材層3及びマイクロレンズアレイ4は、上記図1の光学シート2と同様であるため、同一番号を付して説明を省略する。
【0042】
スティッキング防止層12は、バインダー13と、このバインダー13中に分散するビーズ14とから構成されている。このバインダー13は、基材ポリマーを含むポリマー組成物を硬化させることで形成される。このバインダー13によって、基材層3の裏面にビーズ14が略等密度に配置固定される。なお、このスティッキング防止層12の厚み(ビーズ14を除いたバインダー13部分の厚み)は特には限定されないが、例えば1μm以上10μm以下程度とされている。
【0043】
上記基材ポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、紫外線硬化型樹脂等が挙げられ、これらのポリマーを1種又は2種以上混合して使用することができる。特に、上記基材ポリマーとしては、加工性が高く、塗工等の手段で容易にスティッキング防止層12を形成することができるポリオールが好ましい。また、バインダー13に用いられる基材ポリマーは光線を透過させる必要があるので透明とされており、特に無色透明が好ましい。
【0044】
上記ポリオールとしては、例えば(a)水酸基過剰の条件で得られるポリエステルポリオールと、(b)水酸基含有不飽和単量体を含む単量体成分を重合して得られ、かつ、(メタ)アクリル単位等を有するアクリルポリオールとが好ましい。かかるポリエステルポリオール又はアクリルポリオールを基材ポリマーとするバインダー13は耐候性が高く、スティッキング防止層12の黄変等を抑制することができる。なお、このポリエステルポリオールとアクリルポリオールのいずれか一方を使用してもよく、両方を使用してもよい。
【0045】
なお、バインダー13を形成するためのポリマー組成物は、基材ポリマー以外に、例えば微小無機充填剤、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等が適宜配合されてもよい。
【0046】
ビーズ14の材料としては、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫化バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、透明性が高く、光線の透過を阻害しないアクリル樹脂が好ましく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。
【0047】
ビーズ14の平均粒子径の下限としては1μm、特に2μm、さらに特に5μmが好ましく、この平均粒子径の上限としては50μm、特に20μm、さらに特に15μmが好ましい。ビーズ14の平均粒子径が上記下限より小さいと、ビーズ14によって形成されるスティッキング防止層12の裏面の凸部が小さくなり、十分なスティッキング防止効果が得られないおそれがある。逆に、ビーズ14の平均粒子径が上記上限を越えると、光学シート11の厚さが増大し、かつ、裏面側に重ね合わされる他の光学部材に傷を付けるおそれがある。
【0048】
このビーズ14の配合量は比較的少量とされ、ビーズ14は互いに離間してバインダー13中に分散し、ビーズ14の多くはその下端がバインダー13からごく少量突出している。そのため、この光学シート11を導光板等と積層すると、突出したビーズ14の下端が導光板等の表面に当接し、光学シート11の裏面の全面が導光板等と当接することがない。これにより、光学シート11と導光板等とのスティッキングが防止され、液晶表示装置の画面の輝度ムラが抑えられる。
【0049】
当該スティッキング防止層12の形成方法としては、例えば(a)バインダー13を構成するポリマー組成物にビーズ14を混合することでスティッキング防止層用塗工液を製造する工程と、(b)このスティッキング防止層用塗工液を基材層3の裏面に塗工することでスティッキング防止層12を積層する工程とを有する。
【0050】
次に、シミュレーションにより、当該光学シートにおいて高さ比(H/R)、間隔比(S/D)及びレンズ充填率を変化させた場合に正面輝度がどのように変化するかを示す。このシミュレーションにおける輝度の解析は、モンテカルロ法を用いたノンシーケンシャル光線追跡で行う。得られる正面輝度相対値は、各パラメーターを変化させた場合の相対的な正面輝度を示すものである。
【0051】
高さ比(H/R)と正面輝度相対値との関係を下記表1及び図5のグラフに示す。この表1及び図5のグラフは、高さ比(H/R)が5/8以上で正面輝度相対値が高くなり、高さ比(H/R)が3/4以上で特に高くなることを示している。また、高さ比(H/R)が1に近づくほど正面輝度相対値の増加量が低下している。
【0052】
【表1】
【0053】
間隔比(S/D)と正面輝度相対値との関係を下記表2及び図6のグラフに示す。この表2及び図6のグラフは、間隔比(S/D)が1/2以下で正面輝度相対値が高くなり、間隔比(S/D)が1/5以下で特に高くなることを示している。
【0054】
【表2】
【0055】
レンズ充填率と正面輝度相対値との関係を下記表3及び図7のグラフに示す。
この表3及び図7のグラフは、レンズ充填率が40%以上で正面輝度相対値が正面輝度相対値が高くなり、レンズ充填率が60%以上でより高くなり、レンズ充填率が75%以上で特に高くなることを示している。
【0056】
【表3】
【0057】
最後に、エッジライト型バックライトユニットにおいて、ランプの条件を固定し、光学ユニットの構成を変えて、輝度分布がどのように変化するかをシミュレーションにより明示する。このシミュレーションにおける輝度の解析も、モンテカルロ法を用いたノンシーケンシャル光線追跡で行う。
【0058】
図8には、導光板のみの場合、導光板表面に1枚の上記光学シート(マイクロレンズシート)が重畳される場合、及び導光板表面に2枚の上記光学シートが重畳される場合(当該光学ユニットを備える場合)の輝度分布を示す。この図8から解るように、導光板のみの場合は法線方向から75°付近にピークを有する輝度分布となり、導光板表面に1枚のマイクロレンズシートが重畳される場合は法線方向から30°〜45°にピークを有する輝度分布となる。これに対して、導光板表面に当該光学ユニットを備える場合には法線方向(正面方向)周辺に高いピークを有し、正面輝度が格段に向上している。
【0059】
図9には、導光板のみの場合、導光板表面に2枚の上記光学シートが重畳される場合(当該光学ユニットを備える場合)、及び導光板表面に2枚のビーズ塗工シート(従来の拡散シート)が重畳される場合の輝度分布を示す。この図9から解るように、導光板表面に当該光学ユニットを備える場合は、導光板表面に2枚のビーズ塗工シートが重畳される場合と比較して、法線方向周辺に高いピークを有し、正面輝度が42%程度向上している。
【0060】
なお、本発明の光学ユニット及びバックライトユニットは、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、表面にマイクロレンズアレイを有する3枚以上の光学シートを備えることも可能である。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光学ユニットによれば、集光等の光学的機能が格段に高く、その光学的機能の制御が容易かつ確実であり、光学シートの傷付きや他部材への傷付けが抑制される。また、当該光学ユニットを用いたバックライトユニットによれば、正面方向の高輝度化、輝度の均一化等の品質の向上が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る光学ユニットを示す模式的断面図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、図1の光学ユニットに備えられる光学シートを示す部分平面図及び部分断面図である。
【図3】図3は、図1の光学ユニットを備えるバックライトユニットを示す模式的断面図である。
【図4】図4は、図2の光学シートとは異なる形態に係る光学シートを示す部分断面図である。
【図5】図5は、高さ比と正面輝度相対値との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、間隔比と正面輝度相対値との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、レンズ充填率と正面輝度相対値との関係を示すグラフである。
【図8】図8は、構成別の輝度分布(1)を示すグラフである。
【図9】図9は、構成別の輝度分布(2)を示すグラフである。
【図10】図10(a)は、従来の一般的なエッジライト型バックライトユニットを示す模式的斜視図である。図10(b)は、従来のビーズ塗工シートを示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 光学ユニット
2(2a、2b) 光学シート
3 基材層
4 マイクロレンズアレイ
5 マイクロレンズ
7 導光板
8 ランプ
11 光学シート
12 スティッキング防止層
13 バインダー
14 ビーズ
Claims (6)
- 重畳される複数の光学シートを備えており、
この光学シートが、複数のマイクロレンズから構成されるマイクロレンズアレイを表面に有し、
当該光学シートのレンズ充填率が60%以上、マイクロレンズのレンズ高さの曲率半径に対する高さ比が5/8以上1以下、マイクロレンズのレンズ間距離の直径に対する間隔比が0以上1/2以下であり、
かつ、上記複数の光学シートのマイクロレンズの直径(D)、レンズ間距離(S)又は配設パターンが相違している光学ユニット。 - 2枚の上記光学シートを備えている請求項1に記載の光学ユニット。
- 上記光学シートのマイクロレンズの配設パターンがランダムパターンである請求項1又は請求項2に記載の光学ユニット。
- 上記マイクロレンズアレイを構成する素材の屈折率が1.3以上1.8以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の光学ユニット。
- 上記光学シートが、バインダー中にビーズが分散したスティッキング防止層を裏面に備えている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学ユニット。
- ランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光学ユニットを備えていることを特徴とする液晶表示装置用のバックライトユニット。
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