JP4548596B2 - 電路電流制限装置 - Google Patents
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Description
遮断器は、金属接点の開閉によって投入・遮断を行う。このため、故障時に電路を遮断する場合には、接点間にアークが発生し、遮断完了までに時間を要する。
そこで、スイッチ素子及び限流インピーダンス素子を遮断器に並列に接続した遮断装置や、スイッチ素子及び限流インピーダンス素子を遮断器と転流用装置との直列回路に並列に接続した遮断装置が提案されている。(特許文献1参照)
また、従来の遮断装置は、電路を投入及び遮断する機能しか有していないため、使用態様が限られている。
そこで、本願発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、電路の電流値を、簡単な構成で短時間に制御することができるとともに、種々の使用態様で使用することができる電路電流制限装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの電路電流制限装置である。
請求項1に記載の電路電流制限装置は、
異なる交流電力系統を接続する電路を流れる交流電流の電流値を制限する電路電流制限装置であって、
前記電路に直列に接続される電路電流制限手段と、電流検出手段と、第1の制御手段を備え、
前記電路電流制限手段は、第1の電流制限手段および第2の電流制限手段と、ダイオードを有し、
前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段は、第1の出力端子および第2の出力端子と、制御端子を有し、前記第1の出力端子および前記第2の出力端子から一方方向に電流を流すことが可能であるとともに、当該電流の電流制限値が前記制御端子に入力される制御信号によって決定される電流制限素子を少なくとも1つ有しており、また、前記第1の電流制限手段と前記第2の電流制限手段は、通電方向が逆方向となるように逆直列に接続されており、
前記ダイオードは、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段それぞれに、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段と通電方向が逆方向となるように逆並列に接続されており、
前記電流検出手段は、前記電路を流れる交流電流の電流値を検出し、
前記第1の制御手段は、前記電流検出手段で検出された電流検出値と通常時用電流検出値を比較し、前記電流検出値が通常時用電流設定値に達する毎に、前記電流制限素子の電流制限値を、前記電流検出値が前記通常時用電流設定値に達した際に前記電流制限素子の制御端子に入力されていた制御信号によって決定される電流制限値より低い電流制限値に設定する制御信号を前記電流制限素子の制御端子に出力する処理を実行することを特徴とする。
通常時用電流設定値としては、例えば、電路の電流値を電路の連続許容電流値(通常時制限電流値)以下にするための値が設定される。
第1の電流制限手段および第2の電流制限手段を構成する電流制限素子の数は、1個でもよいし複数個でもよい。第1の電流制限手段および第2の電流制限手段を複数個の電流制限素子で構成する場合、第1の制御手段から各電流制限素子の制御端子に共通の制御信号を出力することができる。電流制限素子としては、例えば、ゲート絶縁型バイポーラトランジスタ(IGBT)、電界効果トランジスタ(FET)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)等の半導体素子を用いることができる。ダイオードは、個々の電流制限素子に逆並列に接続してもよいし、複数個のダイオードを直列接続した直列回路を電流制限素子の直列回路に逆並列に接続してもよい。このような構成も、第1の電流制限手段および第2の電流制限手段それぞれにダイオードを並列に接続する構成に包含される。
第1の制御手段から電流制限手段の制御端子に出力する制御信号は、連続する制御信号であってもよいし、ステップ状に変化する制御信号であってもよい。
(第2発明)
本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの電路電流制限装置である。
請求項2に記載の電路電流制限装置は、請求項1に記載の電路電流制限装置であって、前記第1の制御手段は、異常発生条件が満足されているか否かを判別し、前記異常発生条件が満足されていない場合には、前記電流検出値が通常時用電流設定値に達する毎に、前記電流制限素子の電流制限値を、前記電流検出値が前記通常時用電流設定値に達した際に前記電流制限素子の制御端子に入力されていた制御信号によって決定される電流制限値より低い電流制限値に設定する制御信号を前記電流制限素子の制御端子に出力する処理を実行し、前記異常発生条件が満足された場合には、前記電流制限素子の電流制限値を、前記電流検出値が、前記通常時用電流設定値より低い異常時用電流設定値以下となる電流制限値に設定する制御信号を前記電流制限素子の制御端子に出力することを特徴とする。
「異常発生条件」としては、種々の条件を用いることができる。たとえば、地絡故障検出器等の異常検出手段から検出信号が出力されたことを異常発生条件として用いることができる。あるいは、電流検出手段で検出された電流検出値が異常検出用電流設定値に達したこと、電流検出値の増加率が設定変化率以上であることを異常発生条件として用いることもできる。
異常時用電流設定値としては、例えば、電路や電力系統に接続されている設備等の損傷を防止するための値(異常時制限電流値)が設定される。異常時用電流設定値として「0」を設定することもできる。
(第3発明)
本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの電路電流制限装置である。
請求項3に記載の電路電流制限装置は、請求項1または2に記載の電路電流制限装置であって、前記電路には遮断器が配置されており、前記異常時用電流設定値として、前記遮断器の遮断電流値が用いられていることを特徴とする。
「遮断器の遮断電流値」としては、例えば、遮断器の定格電流値を用いることができる。
電流制限手段によって電路を流れる交流電流を遮断することができるが、遮断器と電流制限手段の直列回路を電路に接続する構成が用いられる場合もある。本発明は、このような場合に好適に用いることができる。
(第4発明)
本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの電路電流制限装置である。
請求項4に記載の電路電流制限装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、前記電路電流制限手段は、第1の出力端子および第2の出力端子と、制御端子を有し、前記制御端子に入力される制御信号によって導通状態あるいは非導通状態となるスイッチ手段を有し、前記スイッチ手段は、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段それぞれに、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段と導通方向が同じ方向となるように並列に接続されており、また、第2の制御手段を備えており、前記第2の制御手段は、電流制限手段投入条件が満足されているか否かを判別し、前記電流制限手段投入条件が満足されていない場合には、前記スイッチ手段を導通状態とする制御信号を前記スイッチ手段の制御端子に出力し、前記電流制限手段投入条件が満足された場合には、前記スイッチ手段を非導通状態とする制御信号を前記スイッチ手段の制御端子に出力することを特徴とする。
スイッチ手段は、スイッチ素子により構成される。スイッチ手段を構成するスイッチ素子の数は、1個でもよいし複数個でもよい。第1の電流制限手段および第2の電流制限手段が複数個の電流制限素子を直列に接続した直列回路により構成されている場合には、スイッチ素子を各電流制限素子に並列に接続してもよいし、スイッチ素子を直列接続した直列回路を電流制限素子の直列回路に並列に接続してもよい。
スイッチ素子としては、導通状態における電力損失が、第1の電流制限手段および第2の電流制限手段を構成する電流制限素子の導通状態における電力損失より小さい素子、例えば、サイリスタ等の半導体素子が用いられる。
「電流制限手段投入条件」としては、少なくとも、第1の電流制限手段および第2の電流制限手段による電流制限動作が実行される時点でスイッチ手段を非導通状態とすることが可能な、適宜の条件を用いることができる。例えば、電流検出値が通常時用電流設定値に達したこと、電流検出値が異常検出用電流設定値に達したこと、電流検出値が所定値に達したこと等を所定の条件として用いることができる。
(第5発明)
本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの電路電流制限装置である。
請求項5に記載の電路電流制限装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、前記電路は、前記異なる交流電力系統を接続する複数の電路のうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
(第6発明)
本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりの電路電流制限装置である。
請求項6に記載の電路電流制限装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、前記電流制限素子としてゲート絶縁型バイポーラトランジスタが用いられていることを特徴とする。
請求項2に記載の電路電流制限装置では、電路の電流値は、通常時には通常時用電流設定値以下に制限され、異常時には異常時用電流設定値以下に制限される。すなわち、通常時には、電路の電流値が電路の連続許容電流値を越えないように、異常時には、電路や電力系統に接続されている設備等の損傷を防止するように電路の電流血が制限される。これにより、通常時における電路の電流値を制限する機能と、異常時における電路の電流値を抑制する機能を備えた電路電流制限装置を得ることができる。
請求項3に記載の電路電流制限装置を用いれば、電路の電流値が遮断器の遮断電流値以下に低下した状態で遮断器の遮断動作を実行させることができるため、遮断器による電路の遮断動作を短時間に行うことができる。
請求項4に記載の電路電流制限装置を用いれば、電流制限手段での電力損失を低減することができる。
請求項5に記載の電路電流制限装置を用いれば、異なる交流電力系統を接続している複数の電路間での電流値を制御することができる。
請求項6に記載の電路電流制限装置を用いれば、電路の電流値を簡単に、短時間で制御することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態の電路電流制限装置10を、異なる交流電力系統Aと交流電力系統Bを接続する電路Lに配設した場合の概略構成図である。交流電力系統Aには発電機Gが接続されている。
本明細書では、「交流電力系統」という用語は、発電機等の電力発電設備から各需要家に交流電力を供給するための送電系統や配電系統、配電系統から受電した交流電力を需要家内低圧回路に配電するための受電配電系統等全てを含む。
また、本発明の電路電流制限装置は、主に、異なる交流電力系統を接続する電路に配設されるが、交流電力系統中の電路に配設することもできる。
電流制限回路20は、電路Lを流れる交流電流の電流値が、電流制限値を超えないように制限する電流制限機能を備えている。この電流制限値は、制御信号によって変更可能である。
本実施の形態の電路電流制限装置10の1相分の構成を図2に示す。
なお、電路Lの交流電流が多相の場合には、図2に示す電路電流制限装置が各相に設けられる。この時、各相毎に個別に電路の電流値を制限する必要がない場合には、電流検出回路30、制御回路40、電流設定値出力回路50を各相で兼用してもよい。
電流制限回路20は、電流制限素子によって構成されている。電流制限回路20を構成する電流制限素子としては、ゲート絶縁型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor)(「IGBT」という)、ゲートターンオフサイリスタ(Gate Turn-Off Thyristor)(「GTOサイリスタ」という)、電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(「MOSFET」という)等の半導体素子を用いることができる。
本実施の形態では、電流制限素子として、MOSFETをゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタであるIGBTを用いている。IGBTは公知であるため、ここでは、詳しい構造等についての説明は省略する。
すなわち、図2に示すIGBT21、22は、正極端子であるコレクタ端子C及び負極端子であるエミッタ端子Eと、制御端子であるゲート端子Gを有しており、コレクタ端子Cからエミッタ端子Eの方向(通電方向)に電流を流すことができる。コレクタ端子C及びエミッタ端子Eを流れる電流の電流値は、ゲート端子Gに入力されるゲート電圧に応じた電流制限値を越えないように制限される。なお、コレクタ端子Cとエミッタ端子Eは、一方がIGBTの第1の出力端子、他方がIGBTの第2の出力端子を形成する。
このIGBT21と22を、エミッタ端子E同士を接続することによって、通電方向が逆方向となるように直列に接続(逆直列に接続)している。
そして、IGBT21のコレクタ端子Cを電流制限回路20の一方の出力端子20aに、IGBT22のコレクタ端子Cを電流制限回路20の他方の出力端子20bに接続している。
また、ダイオード25、26を、通電方向がIGBT21、22の通電方向と逆方向となるように、IGBT21、22それぞれに並列に接続(逆並列に接続)している。
さらに、IGBT21、22のゲート端子Gを、電流制限回路20の制御端子20c、20dに接続している。制御端子20c、20dには、制御回路40からゲート電圧(制御信号)が入力される。図2に示す電流制限回路20を用いる場合、制御回路40から制御端子20c、20d(したがって、IGBT21、22のゲート端子G)に、同じゲート電圧(制御信号)を出力することができる。
図2に示す電流制限回路20では、交流電流の極性が、出力端子20b側が正極性で出力端子20a側が負極性である時には、IGBT22とダイオード25を介してx1方向に電流が流れる。一方、交流電流の極性が、出力端子20a側が正極性で出力端子20b側が負極性である時には、IGBT21とダイオード26を介してx2方向に電流が流れる。このように、IGBT21、22の通電方向と逆極性の交流電流がダイオード25、26を流れるため、IGBT21、22の耐電圧特性が向上する。
また、出力電流がコレクタ端子からエミッタ端子の方向に流れるIGBTを用いたが、エミッタ端子からコレクタ端子の方向に流れるIGBTを用いることもできる。
交流電流の各方向に対して複数個のIGBTを用いた電流制限回路を備える第2の実施の形態の電路電流制限装置の1相分の構成を図3に示す。なお、電路Lの交流電流が多相の場合には、図3に示す電路電流制限装置が各相に設けられる。
図3において、電流検出回路30、制御回路40、電流設定値出力回路50は第1の実施の形態と同様の構成であり、電流制限回路120のみが第1の実施の形態の構成と異なっている。
すなわち、IGBT121a〜IGBT121nを、隣接するIGBTの負極端子であるエミッタ端子Eと正極端子であるコレクタ端子Cを順次接続することによって直列回路121を形成している。また、IGBT122a〜IGBT122nを、隣接するIGBTの正極端子であるコレクタ端子Cと負極端子であるエミッタ端子Eを順次接続することによって直列回路122を形成している。そして、直列回路121の一方側端部に配置されているIGBT121aの正極端子であるコレクタ端子Cを電流制限回路20の一方の出力端子120aに接続し、直列回路121の他方側端部に配置されているIGBT121nの負極端子であるエミッタ端子Eを直列回路122の一方側端部に配置されているIGBT122aの負極端子であるエミッタ端子Eに接続し、直列回路122の他方側端部に配置されているIGBT122nの正極端子であるコレクタ端子Cを電流制限回路20の他方の出力端子120bに接続することによって、通電方向が逆方向となるように直列回路121と122を直列に接続(逆直列に接続)している。
また、ダイオード125a〜125n、126a〜126nを、通電方向がIGBT121a〜121n、IGBT122a〜122nの通電方向と逆方向となるように、IGBT121a〜121n、IGBT122a〜122nそれぞれに並列に接続(逆並列に接続)している。
さらに、IGBT121a〜121n、IGBT122a〜122nのゲート端子Gを、電流制限回路120の制御端子120c1〜120cn、120d1〜120dnに接続している。制御端子120c1〜120cn、120d1〜120dnには、制御回路40からゲート電圧(制御信号)が入力される。図3に示す電流制限回路120を用いる場合には、第1の実施の形態と同様に、制御回路40から各制御端子(したがって、各IGBTのゲート端子G)に同じゲート電圧(制御信号)を出力することができる。
図3に示す電流制限回路120では、交流電流の極性が、出力端子120b側が正極性で出力端子120a側が負極性である時には、IGBT122a〜122nとダイオード125a〜125nを介してx1方向に電流が流れる。一方、交流電流の極性が、出力端子120a側が正極性で出力端子120b側が負極性である時には、IGBT121a〜121nとダイオード126a〜126nを介してx2方向に電流が流れる。
また、出力電流がコレクタ端子からエミッタ端子の方向に流れるIGBTを用いたが、エミッタ端子からコレクタ端子の方向に流れるIGBTを用いることもできる。
また、ダイオード125a〜125n、126a〜126をIGBT121a〜121n、122a〜122nそれぞれに逆並列に接続したが、ダイオード125a〜125nを直列に接続した直列回路(以下、「直列回路125」という)とダイオード126a〜126nを直列に接続した直列回路(以下、直列回路「126」という)を直列回路121と122にそれぞれ逆並列に接続することもできる。
また、複数のIGBTを並列に接続した並列回路を用いることもできる。
まず、IGBTの電圧−電流特性を図4に示す。
なお、複数のIGBTを直列あるいは並列に接続した場合の電圧−電流特性は、電流値や電圧値が異なるだけで、図4と同じ特性を示す。
図4の横軸は、IGBTの出力電流(コレクタ端子C及びエミッタ端子Eを流れる電流)(A)を示し、縦軸は、IGBTのエミッタ−コレクタ間電圧(エミッタ端子Eとコレクタ端子Cの間の出力端子間電圧)(V)を示している。また、図4には、IGBTのゲート端子Gにそれぞれ[0V](VGE=0V)、[8V](VGE=8V)、[10V](VGE=10V)、[20V](VGE=20V)のゲート電圧VGE(ゲート端子Gとエミッタ端子Eとの間の電圧)を供給した場合の特性曲線が示されている。
図4から理解できるように、IGBTのゲート端子Gにゲート電圧[20V](VGE=20V)を供給した場合には、IGBTの出力電流は、[0A]〜[1800A]の範囲内では流れるが[1800A]以上は流れない。
また、IGBTのゲート端子Gにゲート電圧[10V](VGE=10V)を供給した場合には、IGBTの出力電流は、[0A]〜[1500A]の範囲内では流れるが[1500A]以上は流れない。
また、IGBTのゲート端子Gにゲート電圧[8V](VGE=8V)を供給した場合には、IGBTの出力電流は、[0A]〜[300A]の範囲内では流れるが[300A]以上は流れない。
なお、IGBTのゲート端子Gにゲート電圧[0V](VGE=0V)を供給した場合には、IGBTの出力電流は[0A]である。
このように、IGBTは、出力電流の電流値がゲート電圧に対応する電流制限値を越えると、電流値に応じてエミッターコレクタ間電圧(出力端子間電圧)が増加し、出力電流の電流値が電流制限値を越えないように制限作動する。
制御回路40は、電流検出回路30で検出された電流検出値Mと電流設定値出力回路50の電流設定値S1に基づいて、電流制限回路20(詳しくは、電流制限回路20を構成する各IGBT21、22のゲート端子G)に出力するゲート電圧(制御信号)を決定する。
電流設定値S1としては、通常時用電流設定値や異常時用電流設定値が設定される。通常時用電流設定値としては、例えば、通常時における、電路Lの連続許容電流値に対応する値が設定される。異常時用電流設定値としては、例えば、異常時において、電路や交流電力系統に接続されている設備の損傷を防止するための値が設定される。
そして、制御回路40は、電流検出値Mと電流設定値S1を比較し、電流検出値Mが電流設定値S1に達しているか否かを判別する。
電流検出値Mが電流設定値S1を越えていない場合には、現在出力しているゲート電圧(制御信号)をそのまま出力する。
一方、電流検出値Mが電流設定値S1を越えた場合には、電流検出値Mが電流設定値S1以下となるように、ゲート電圧(制御信号)を決定して電流制限回路20の制御端子に出力する。例えば、電流制限回路20の電流制限値が、現在出力しているゲート電圧に対応する電流制限値より小さくなるように、現在出力しているゲート電圧より小さいゲート電圧を決定して出力する。なお、ゲート電圧を変更しても、電流検出値Mが電流設定値S1を越える場合には、さらに小さいゲート電圧を決定して出力する。
以上のようにして、制御回路40は、電流検出回路30で検出される電路Lの電流検出値Mが電流設定値出力回路50から出力される電流設定値S1以下になるように、電流制限回路20のゲート端子に出力するゲート電圧(制御端子に出力する制御信号)を調整して電流制限回路20の電流制限値を低下させる。
電流設定値出力回路50としては、例えば、制御回路40がアクセス可能な記憶回路が用いられる。勿論、電流設定値を通信線等を介して外部から入力することもできる。
また、電流設定値S1が本発明の「電流設定値」に対応し、IGBT21、22(あるいはIGBT121a〜121n、122a〜122n)が本発明の「電流制限素子」に対応する。
ここで、異なる交流電力系統を接続する電路の電流値が増加する要因としては、各交流電力系統における電力需給バランスが崩れている場合や、故障による故障電流が流れている場合が考えられる。
各交流電力系統の需給バランスの崩れによって電路の電流値が増加している場合には、その電路の電流値が、通常時における制限電流値(例えば、連続許容電流値)を越えないように制御する必要がある。ここで、電路の電流値が制限電流値を越えないように制御する方法としては、その電路の電流値を抑制し、余裕のある電路に電流を迂回させる方法を用いることができる。
また、電路に故障電流が流れている場合には、早急に電路の電流値を減少させ、電路を実質的に遮断し(好ましくは、電流ゼロ点で電路を遮断し)、故障による設備への影響を最小限に抑制する必要がある。
なお、図5は、本実施の形態を通常時における電流制御に用いた場合の電路電流(電路Lの電流値)の変化状態(通常時の電流制御曲線)と、本実施の形態を異常時における電流制御に用いた場合の電路電流の変化状態(異常時の電流制御曲線)を表したグラフである。
いま、通常時における電路Lの電流値を、電路Lの連続許容電流値1500Aに制限する場合について説明する。この場合、電流設定値出力回路50には、電流設定値S1として通常時用電流設定値1500Aが設定される。
また、図5に示すように、制御回路40は、電流制限回路20の制御端子(電流制限回路20を構成するIGBT21、22のゲート端子G)に、電流制限値1800Aに対応するゲート電圧(制御信号)VGE=20Vを出力しているものとする。
この状態で、電路Lの電流値が増加し、時点x1において、電流検出回路30で検出される電流検出値Mが電流設定値S1=1500Aに達すると、制御回路40は、電路Lの電流値が1500A以下となるようにゲート電圧(制御信号)を決定する。
この場合、制御回路40は、図4に示すIGBTの電圧−電流特性図から、電流制限値1500Aに対応するゲート電圧VGE=10Vを決定する。
ゲート電圧VGE=10Vを決定した状態で、電路Lの電流検出値Mが再度電流設定値S1に達すると、さらに小さいゲート電圧が決定される。
以上のようにして、電路Lの電流値が通常時用電流設定値S1を越えないようにIGBTのゲート電圧(制御信号)を調整することによって、通常時の電流制御が行われる。
いま、電路Lの電流値が1700Aに達すると異常が発生したものと判断し、電路Lの電流値を300Aに減少させる場合について説明する。この場合、電流設定値出力回路50には、電流設定値S1として異常時用電流設定値300Aが設定される。
また、前記と同様に、制御回路40は、電流制限回路20の制御端子に、電流制限値1800Aに対応するゲート電圧VGE=20Vを出力しているものとする。
この状態で、故障が発生し、時点x2において、電流検出回路30で検出される電流検出値Mが電流設定値S1=1700Aに達すると、制御回路40は、電路Lの電流値が300A以下となるようにゲート電圧(制御信号)を決定する。
この場合、制御回路40は、図4に示すIGBTの電圧−電流特性図から、電流制限値300Aに対応するゲート電圧VGE=8Vを決定する。これにより、電路Lの電流値は、ゲート電圧VGB=8Vに対応する制限電流値300Aに抑制(限流)される。
図5では、電路Lの電流値を300Aに抑制した後、制御回路40からゲート電圧VGE=0Vを電流制限回路20の制御端子に出力している。これにより、電路Lの電流値は、0Aに抑制(限流)される。
以上のようにして、異常時における電路Lの電流制御が行われる。
なお、電流設定値S1を「0」Aに設定することにより、時点x2で、制御回路40からゲート電圧VGE=0Vを電流制限回路20の制御端子に出力することもできる。
また、電流設定値を変更することによって、通常時の電流制御や異常時の電流制御等の種々の態様で使用することができる。
また、第1及び第2の実施の形態では、ゲート電圧(制御信号)をステップ状に変化させたが、連続的に変化させてもよい。
通常時の電流制御及び異常時の電流制御を行うように構成した第3の実施の形態の電路電流制御装置の1相分の回路を図6により説明する。
第3の実施の形態の電路電流制限装置210は、第1及び第2の実施の形態と同様に、異なる電力系統Aと電力系統Bを接続する電路Lに配設されている。
電路電流制限装置210は、電流制限回路220、電流検出回路230、制御回路240、第1の電流設定値出力回路250、第2の電流設定値出力回路260等により構成されている。なお、図6では、電路Lに遮断器200が設けられている。
本実施の形態は、遮断器が配設されている既設の電路に好適に用いることができる。
第1の電流設定値出力回路250、第2の電流設定値出力回路260は、それぞれ第1の電流設定値S5、第2の電流設定値S6を出力する。第1の電流設定値S5は、通常時用電流設定値であり、例えば、通常時における電路Lの連続許容電流値に対応する値が設定される。第2の電流設定値S6は、異常時用電流設定値であり、異常発生時における電路Lの電流値が設定される。本実施の形態では、第2の電流設定値S6として遮断器200の遮断電流値(定格電流値)を用いている。
制御回路240は、通常時には、電流検出回路230で検出された電路Lの電流検出値Mが、第1の電流設定値S5以下となるように電流制限回路220の制御端子に出力するゲート電圧(制御信号)を決定する。また、異常発生時には、電流検出回路230で検出された電路Lの電流検出値Mが、第2の電流設定値S6以下となるように電流制限回路220の制御端子に出力するゲート電圧(制御信号)を決定する。
なお、本実施の形態では、制御回路240は、電流検出値Mが異常検出用電流設定値以下であれば異常が発生していないと判別(通常状態であると判別)し、電流検出値Mが異常検出用電流設定値を越えれば異常が発生していることを判別する。
また、第1の電流設定値S5が本発明の「通常時用電流設定値」に対応し、第2の電流設定値S6が本発明の「異常時用電流設定値」に対応する。
制御回路240は、電流検出値Mが異常検出用電流設定値(通常、第1の電流設定値S5より大きい)以下の場合には、異常が発生していないことを判別する。
この状態において、電流検出値Mが第1の電流設定値S5(図5では、電流設定値S1)を越えると、制御回路240は、電流検出値Mが第1の電流設定値S5以下となるように電流制限回路120のゲート電圧を決定する。この場合の動作は、前述した通常時の電流制御と同様である。
ここで、第2の電流設定値S6として、遮断器200の遮断電流値に対応する異常時用電流設定値=300Aが設定され、制御回路240は、電路Lの電流検出値Mが異常検出用電流設定値を越えると、線路Lの電流値が、遮断器200の遮断電流値に対応する第2の電流設定値S6以下となるように電流制限回路220の制御端子に出力するゲート電圧(制御信号)を決定するものとする。
また、前記と同様に、制御回路240は、電流制限回路220の制御端子に、電流制限値1800Aに対応するゲート電圧を出しているものとする。すなわち、電流制限回路220を構成するIGBTのゲート端子Gに、ゲート電圧VGE=20Vが供給されているものとする。
この場合、図4で示す電圧−電流特性図から、電流制限値300Aに対応するゲート電圧VGE=8Vを決定する。
勿論、ゲート電圧VGE=8Vを決定しても、電路Lの電流検出値Mが第2の電流設定値S6=300A以下にならない場合には、さらに小さいゲート電圧を決定する。
そして、制御回路240は、電流検出値Mが第2の電流設定値S6=300Aに達した後、遮断器200に遮断動作指示信号を出力するとともに、電流検出値M(電流瞬時値)が「0」となった時点でゲート電圧VGB=0Vに設定し、これを維持する。これにより、電路Lの電流値(瞬時値)は、「0」となった時点以降、「0」に保持される。
ここで、遮断器200は、遮断動作指示信号を出力してから遮断動作を行うまで遅れ時間があり、この遅れ時間の間に、制御回路240によって電流制限回路220のゲート電圧が「0」に設定、維持される。このため、遮断器200が遮断動作を行う時点では、電路Lの電流値は「0」に抑制(限流)されており、遮断器200は、短時間で電路Lを遮断する。なお、ゲート電圧を0Vに設定した後に遮断動作指示信号を出力してもよい。
これにより、通常時における電路Lの電流制御と、異常時における電路Lの電流制御(限流制御)を1つの電路電流制限装置によって行うことができる。
また、遮断器200は省略することもできる。この場合には、制御回路240は、異常発生時に、例えば、電流検出値Mが「0」となるように、電流制限回路220の制御端子に出力するゲート電圧(制御信号)を決定する。
そこで、電流制限回路の電力損失を低減することができる第4の実施の形態を図7により説明する。
第4の実施の形態の電路電流制限装置310は、第1及び第2の実施の形態と同様に、異なる電力系統Aと電力系統Bを接続する電路Lに配設されている。
電路電流制限装置310は、電流制限回路320、電流検出回路330、第1の制御回路340、電流設定値出力回路350、スイッチ回路360、第2の制御回路370等により構成されている。スイッチ回路360は、電流制限回路320に並列に接続されている。
電流制限回路320は、第1あるいは第2の実施の形態と同様に、IGBTにより構成されている。電流検出回路330は、電路Lの電流値を検出し、電流検出値Mを第1の制御回路340に出力する。
電流設定値出力回路350は、電流設定値S1を出力する。電流設定値S1としては、第1あるいは第2の実施の形態と同様に、通常時用電流設定値あるいは異常時用電流設定値を設定することができる。
第1の制御回路340は、電流検出回路330で検出された電路Lの電流検出値Mが電流設定値S1以下となるように、電流制限回路320の制御端子に出力するゲート電圧(制御信号)を決定する。なお、制御回路340は、第1あるいは第2の実施の形態の制御回路40や第3の実施の形態の制御回路240と同様の構成とすることができる。
第2の制御回路370は、電流制限回路投入条件が満足されていない時には、スイッチ回路360を導通状態とする制御信号をスイッチ回路360の制御端子に出力する。一方、電流制限回路投入条件が満足されている場合には、スイッチ回路360を非導通状態とする制御信号をスイッチ回路360の制御端子に出力する。
電流制限回路投入条件としては、電流制限回路320による電路Lの電流値の制限動作に影響を与えないようにスイッチ回路360を非導通状態にすることが可能な種々の条件を用いることができる。
例えば、電流設定値S1として通常時用電流設定値が設定されている場合には、電流検出回路330で検出された電流検出値Mが通常時用電流設定値に達したことを電流制限回路投入条件として用いることができる。
また、電流設定値S1として異常時用電流設定値が設定されている場合には、電流検出回路330で検出された電流検出値Mが異常検出用電流設定値を越えたこと、故障検出回路から故障検出信号が出力されたこと等を電流制限回路投入条件として用いることができる。なお、異常発生時における、電流制限回路320による電路Lの電流値の抑制(限流)を迅速に行えるようにするために、電流検出回路330で検出された電流検出値Mが、異常検出用電流設定値より小さい電流設定値を越えたことを電流制限回路投入条件として用いるのが好ましい。
また、電流設定値として、通常時用電流設定値と異常時用電流設定値が設定されている場合には、電流検出回路330で検出された電流検出値Mが通常時用電流設定値を越えたことを電流制限回路投入条件として用いることができる。
電流制限回路320は、第2の実施の形態と同様に、n個(nは任意の正の整数)のIGBT321a〜321nを直列に接続した直列回路(以下、直列回路「321」という)と、n個のIGBT322a〜322nを直列に接続した直列回路(以下、直列回路「322」という)を逆直列に接続するとともに、耐電圧用のダイオード325a〜325n、326a〜326nをIGBT321a〜321n、322a〜322nに逆並列に接続することによって構成されている。そして、IGBT321aのコレクタ端子Cが電流制限回路の一方の出力端子320aに接続され、IGBT322nのコレクタ端子Cが電流制限回路320の他方の出力端子320bに接続され、IGBT321a〜321n、322a〜322nのゲート端子は電流制限回路320の制御端子320c1〜320cn、320d1〜320dnに接続されている。
スイッチ素子としては、導通時の電力損失が電流制限回路320を構成する電流制限素子に比べて小さいものを用いる。
本実施の形態では、スイッチ素子としてサイリスタを用いている。サイリスタの出力端子間電圧(サイリスタの導通時における、正極端子であるアノード端子と負極端子であるカソード端子の間の抵抗による電圧降下)は、図4の破線で示すように、IGBTに比べて小さい。このため、サイリスタの導通時における電力損失も小さい。
本実施の形態では、図8に示すように、スイッチ回路360は、n個のサイリスタ361a〜361nを直列に接続した直列回路(以下、直列回路「361」という)と、n個のサイリスタ362a〜362nを直列に接続した直列回路(以下、直列回路「362」という)により構成されている。そして、直列回路361は、電流制限回路320の直列回路321に、通電方向が同じ方向となるように並列に接続され、直列回路362は、電流制限回路320の直列回路322に並列に、通電方向が同じ方向となるように並列に接続されている。また、サイリスタ361a〜361n、362a〜362nの各ゲート端子は、電流制限回路320の制御端子320e1〜320en、320f1〜320fnに接続されている。第2の制御回路370は、制御端子320e1〜320en、320f1〜320fn、したがって、サイリスタ361a〜361n、362a〜362nの各ゲート端子に制御信号を出力する。
図8に示す回路構成では、サイリスタ361a〜361n、362a〜362nが、ゲート端子に第2の制御回路370から制御信号が入力されて導通状態となると、電路Lの電流の大部分はサイリスタ361a〜361n、362a〜362nとダイオード325a〜325n、326a〜326nを介して流れる。すなわち、交流電流の極性が、出力端子320b側が正極性で出力端子320a側が負極性である時には、サイリスタ362a〜362nとダイオード325a〜325nを介してy1方向に電流が流れる。一方、交流電流の極性が、出力端子320a側が正極性で出力端子320b側が負極性である時には、サイリスタ361a〜361nとダイオード326a〜326nを介してy2方向に電流が流れる。
これにより、IGBT321a〜321n、322a〜322nの電力損失、したがって、電流制限回路320の電力損失を低減することができる。
なお、サイリスタ361a〜361n、362a〜362nのゲート端子への第2の制御回路370からの制御信号の入力が停止すると、サイリスタ361a〜361n、362a〜362nは、逆電圧が印加された時点で非導通状態となる。この場合には、IGBT321a〜321n、322a〜322nとダイオード325a〜325n、326a〜326nを介して、前述したように、x1方向あるいはx2方向に電流が流れる。
また、第2の制御回路370から、サイリスタ320e1〜320en及び320f1〜320fnのゲート端子に同じ制御信号を出力するように構成したが、第2の制御回路370から、サイリスタ320e1〜320enのゲート端子とサイリスタ320f1〜320fnのゲート端子に別個の制御信号を出力するように構成することもできる。このような構成を用いた場合には、よりきめ細かな制御を行うことができる。
一方、電流制限回路320による電路Lの電流値の制御が必要な時(電流制限回路投入条件が満足されている時)には、スイッチ回路(具体的には、電流制限素子に並列に接続されているスイッチ素子)を非導通状態とすることにより、電流制限回路320による電流制限動作を実行させることができる。
なお、第1の制御回路340と第2の制御回路370は、別々の制御回路により構成してもよいし、同じ制御回路により構成してもよい。
また、第2の制御回路370によってスイッチ回路360を導通状態に制御している時には、第1の制御回路340から電流制限回路320の制御端子へのゲート電圧の出力を停止させてもよいが、電流制限回路320の動作時間を短縮するという観点からは、第1の制御回路340を動作させ、第1の制御回路から電流制限回路の制御端子へのゲート電圧の出力を実行させておくのが好ましい。
例えば、図9に示すように、異なる2つの交流電力系統Aと交流電力系統Bを第1の電路L1と第2の電路L2で接続し、電路L1に電路電流制限装置を配設する。
電路電流制御装置は、前述したように、電路L1の電流値が電流設定値(例えば、通常時用電流設置値)を越えると、電路L1の電流値が電流設定値以下となるように電流制限回路の制御端子に出力するゲート電圧(制御信号)を決定する。この場合、電路L1で制限された電流は、他の電路L2に迂回される。
なお、交流電力系統Aと交流電力系統Bを接続する電路は3本以上であってもよい。この場合、電路電流制限装置は、少なくとも1つの電路に配設されていればよい。
例えば、第1〜第4の実施の形態で説明した各実施の形態の特徴は、単独で用いてもよいし、適宜の方法で組み合わせて用いてもよい。
また、電流制限回路を構成する電流制限素子は、IGBT、MOSFET、GTOに限定されず、種々の電流制限素子を用いることができる。
また、耐電圧用のダイオードやスイッチ素子を電流制限素子に接続する接続態様としては、種々の接続態様を用いることができる。
また、交流電流に対応させるために2個の電流制限素子を逆直列に接続する態様あるいは複数個の電流制限素子を直列に接続した2つの直列回路を逆直列に接続する接続態様を用いたが、これ以外の種々の接続態様を用いることができる。例えば、2個の電流制限素子を逆並列に接続する態様、複数個の電流制限素子を直列に接続した2つの直列回路あるいは複数個の電流制限素子を並列に接続した2つの並列回路を逆並列に接続する接続態様を用いることができる。この場合、前述したダイオードを省略することができる。
また、スイッチ回路を構成するスイッチ素子としては、サイリスタに限定されず、種々のスイッチ素子を用いることができる。
また、通常時の電流制御方法や異常時の電流制御方法は、実施の形態で説明した方法に限定されず、種々の制御方法を用いることができる。
また、通常時における電路の電流を制御する構成について説明したが、実施の形態で説明した電路の電流を制御する構成に、電路の電圧を取り込む構成あるいは電路の電圧を設定する構成を設けることにより、電路の潮流を制御する潮流制御装置として構成することができる。
また、本発明の電路電流制限装置は、交流電力系統内の負荷に配設することもできる。
例えば、「(態様1)請求項1〜7のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、前記電流制限手段は、第1及び第2の出力端子と制御端子を有し、第1及び第2の出力端子から一方方向に電流を流すことが可能な電流制限素子を少なくとも1つ有する第1及び第2の電流制限手段が逆直列に接続されているとともに、前記第1及び第2の電流制限手段にダイオードが逆並列に接続されることによって構成されている、ことを特徴とする電路電流制限装置。」として構成することができる。
第1及び第2の電流制限手段は、例えば、複数の電流制限素子を直列に接続した直列回路あるいは並列に接続した並列回路により構成することができる。
また、電流制限手段は、例えば、第1及び第2の電流制限手段を、通電方向が逆方向となるように直列に接続する(逆直列に接続する)ことによって構成することができる。
ダイオードは、個々の電流制限素子に並列に接続してもよい。このような構成も、第1及び第2の電流制限手段にダイオードを並列に接続する構成に包含される。
態様1の電路電流制限装置を用いれば、電流制限素子の耐電圧特性を高めることができる。
あるいは、「(態様2)請求項1〜7のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、前記電流制限手段は、第1及び第2の出力端子と制御端子を有し、第1及び第2の出力端子から一方方向に電流を流すことが可能な電流制限素子を少なくとも1つ有する第1及び第2の電流制限手段が逆並列に接続されることによって構成されている、ことを特徴とする電路電流制限装置。」として構成することができる。
この場合、耐電圧用のダイオードを省略するのが好ましい。
態様2の電路電流制限装置を用いれば、回路構成が簡単である。
20、120、220、320 電流制限回路
21、22、121a〜121n、122a〜122n、321a〜321n、322a〜322n IGBT(ゲート絶縁型バイポーラトランジスタ)(電流制限素子)
25、26、125a〜125n、126a〜126n、325a〜325n、326a〜326n ダイオード
30、230、330 電流検出回路
40、240、340、370制御回路
50、250、260、350 電流設定値出力回路
200 遮断器
360 スイッチ回路
361a〜361n、362a〜362n サイリスタ(スイッチ素子)
Claims (6)
- 異なる交流電力系統を接続する電路を流れる交流電流の電流値を制限する電路電流制限装置であって、
前記電路に直列に接続される電路電流制限手段と、電流検出手段と、第1の制御手段を備え、
前記電路電流制限手段は、第1の電流制限手段および第2の電流制限手段と、ダイオードを有し、
前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段は、第1の出力端子および第2の出力端子と、制御端子を有し、前記第1の出力端子および前記第2の出力端子から一方方向に電流を流すことが可能であるとともに、当該電流の電流制限値が前記制御端子に入力される制御信号によって決定される電流制限素子を少なくとも1つ有しており、また、前記第1の電流制限手段と前記第2の電流制限手段は、通電方向が逆方向となるように逆直列に接続されており、
前記ダイオードは、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段それぞれに、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段と通電方向が逆方向となるように逆並列に接続されており、
前記電流検出手段は、前記電路を流れる交流電流の電流値を検出し、
前記第1の制御手段は、前記電流検出手段で検出された電流検出値と通常時用電流検出値を比較し、前記電流検出値が通常時用電流設定値に達する毎に、前記電流制限素子の電流制限値を、前記電流検出値が前記通常時用電流設定値に達した際に前記電流制限素子の制御端子に入力されていた制御信号によって決定される電流制限値より低い電流制限値に設定する制御信号を前記電流制限素子の制御端子に出力する処理を実行する
ことを特徴とする電路電流制限装置。 - 請求項1に記載の電路電流制限装置であって、前記第1の制御手段は、異常発生条件が満足されているか否かを判別し、前記異常発生条件が満足されていない場合には、前記電流検出値が通常時用電流設定値に達する毎に、前記電流制限素子の電流制限値を、前記電流検出値が前記通常時用電流設定値に達した際に前記電流制限素子の制御端子に入力されていた制御信号によって決定される電流制限値より低い電流制限値に設定する制御信号を前記電流制限素子の制御端子に出力する処理を実行し、前記異常発生条件が満足された場合には、前記電流制限素子の電流制限値を、前記電流検出値が、前記通常時用電流設定値より低い異常時用電流設定値以下となる電流制限値に設定する制御信号を前記電流制限素子の制御端子に出力することを特徴とする電路電流制限装置。
- 請求項1または2に記載の電路電流制限装置であって、前記電路には遮断器が配置されており、前記異常時用電流設定値として、前記遮断器の遮断電流値が用いられていることを特徴とする電路電流制限装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、
前記電路電流制限手段は、第1の出力端子および第2の出力端子と、制御端子を有し、前記制御端子に入力される制御信号によって導通状態あるいは非導通状態となるスイッチ手段を有し、前記スイッチ手段は、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段それぞれに、前記第1の電流制限手段および前記第2の電流制限手段と導通方向が同じ方向となるように並列に接続されており、
また、第2の制御手段を備えており、
前記第2の制御手段は、電流制限手段投入条件が満足されているか否かを判別し、前記電流制限手段投入条件が満足されていない場合には、前記スイッチ手段を導通状態とする制御信号を前記スイッチ手段の制御端子に出力し、前記電流制限手段投入条件が満足された場合には、前記スイッチ手段を非導通状態とする制御信号を前記スイッチ手段の制御端子に出力することを特徴とする電路電流制限装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、前記電路は、前記異なる交流電力系統を接続する複数の電路のうちの少なくとも1つであることを特徴とする電路電流制限装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の電路電流制限装置であって、前記電流制限素子としてゲート絶縁型バイポーラトランジスタが用いられていることを特徴とする電路電流制限装置。
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