JP4548077B2 - 水晶振動片および水晶振動子の製造方法 - Google Patents
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Description
図17は、このような圧電デバイスに使用される圧電振動片の公知の構成例(特許文献1参照)を簡略化して示す概略斜視図である。
これにより、外部から励振電極に駆動電圧が印加されることで、振動腕3,4内に効率よく電界が発生し、各振動腕3,4は、図17に示すように、その先端部を互いに接近・離間されるように屈曲振動するようになっている。そして、このような振動に基づく振動周波数を取り出すことにより、制御用のクロック信号等の基準信号に利用されるようになっている。
この結果、例えば、振動腕3について見ると、長溝5の底部は傾斜しており、仮想の中心線CEに関して、左側の材料が厚く、右側の材料が薄い。
これにより、本発明では、振動バランスを改善し、CI値を低く抑えることができるようにした圧電振動片の製造方法を提供することができる。
第2の発明の構成によれば、2つの耐蝕膜を連続して形成するので、耐蝕膜の成膜工程を往復させるだけで実現できる。
図において、圧電デバイス30は、水晶振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、収容容器としてのパッケージ36内に圧電振動片32を収容している。 パッケージ36は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成するようにされている。この内部空間S2が圧電振動片32を収容するための収容空間である。
蓋体39が、例えば、金属の場合には、一般に他の材料よりも強度が高い利点がある。パッケージ36との熱膨張率が近似したものが適しており、例えば、コバールなどを使用することができる。
また、蓋封止後の周波数調整を可能にするために、蓋体39は、例えばガラスなどの光透過材料で形成される。例えば、硼珪酸ガラスなどの板体を使用することができる。
すなわち、圧電振動片32は、パッケージ36側と固定される基部51と、この基部51を基端として、図において斜め右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片が利用されている。
さらに、図3において、圧電振動片32の基部51の端部(図3では下端部)の幅方向両端付近には、引き出し電極52,53が形成されている。各引き出し電極52,53は、圧電振動片32の基部51の図示しない裏面にも同様に形成されている。
これにより、基部51側への圧電振動片32の振動の漏れを防止して、CI(クリスタルインピーダンス)値を低減することができる。
しかも、圧電振動片32は、全体として、きわめて小型に形成されていて、図3において、例えば、全長が、1300μm程度、振動腕の長さが1040μm程度、腕幅が40μmないし55μm程度とされている。
これにより、本実施形態では、振動バランスを改善し、CI値を低く抑えることができる。
(蓋体およびパッケージの製造方法)
次に、圧電デバイス30の製造方法の実施形態を説明する。
圧電デバイス30の圧電振動片32と、パッケージ36と、蓋体39は、それぞれ別々に製造される。
蓋体39は、例えば、所定の大きさのガラス板を切断し、パッケージ36を封止するのに適合する大きさの蓋体として用意される。
パッケージ36は、上述したように、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。成形の際には、複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成する。
図5ないし図10は、圧電振動片32の製造方法の第1の実施形態を示す工程図である。
尚、以下の工程では、圧電振動片32の図4に対応する箇所に関して、工程順に示し、かつ振動腕34,35については同一の工程が進行するので、振動腕34に対応する箇所だけその断面を示す。また、この工程は振動腕34の表裏面について共通なので、煩雑さを避けるため、表面についてのみ符号を付して説明する。
図5(a)に示す基板11の表面(表裏面)には、図5(b)に示すように、スパッタリングもしくは蒸着等の手法により、マスクとして用いる耐蝕膜12と17が順次が形成される。符号12で示すのが外形形成用耐蝕膜、符号17で示すのが長溝形成用耐蝕膜であるが、以下、単に「耐蝕膜12」と「耐蝕膜17」として、符号で区別する。
耐蝕膜12,17は、それぞれ、例えば、下地層としてのクロム層と、その上に被覆される金被覆層で構成される。
次に、図5(c)に示すように、耐蝕膜17の上には、レジスト13が塗布される。このレジスト13としては、例えば、ECA系、PGMEA系のポジ型レジストが好適に使用できる。続いて、図5(d)に示すように、レジスト13上に圧電振動片の外形に適合したマスク16を配置する。
続いて、図7(b)に示すように、感光したレジスト14を除去し、図7(c)に示すように、耐蝕膜17に、上記案内溝に対応した開口17aを形成するようにエッチングを行う。次いで、図7(d)に示すように、レジスト14を全て剥離する。
次に、図8(b)に示すように、レジスト19上に、マスク18を配置する。マスク18は、振動腕に形成すべき長溝の溝幅に対応した開口18aを有する。この状態で、露光・現像する。
図8(c)では、感光したレジスト19を剥離する。この状態で、長溝を除く圧電振動片32(図3参照)の外形が露出する。レジスト19の開口19aの内側である長溝の位置には耐蝕膜17、12が残っている。
尚、図8(d)では、耐蝕膜12の内側までエッチングされているが、これは比較的長時間のエッチングによりサイドエッチングが進行した結果である。このようなサイドエッチングを見込んで、耐蝕膜12の寸法は予め定められる。
図9(a)に示すように、レジスト開口19aから露出した耐蝕膜17をエッチングにより除去する。この際に、図8(d)に示すように耐蝕膜17には開口17aがあるので、この開口17aから侵入したエッチングが、上記耐蝕膜17のエッチングと同時にその下の耐蝕膜12の該当個所をエッチングするので、耐蝕膜12には開口12aが形成される。
すなわち、上記したフッ酸溶液などによりエッチングを行うと、このエッチャントは、耐蝕膜12の開口12aから入り込んで、基板11に接触し、基板11に深さ方向に切れ込む溝11aを形成する。この溝11aは、基板11のエッチング異方性に基づいて、エッチングにより厚く材料が残る領域に形成される。この場合、溝11aは図3の長溝56の長手方向に沿って延びる形態に形成される。
すなわち、フッ酸溶液などによりエッチングを行うと、基板11の上下の主面だけでなく、上記案内用の溝11aにもエッチング液が入り込む状態でエッチングが進行する。この結果、エッチング異方性により材料が厚く残ってしまう領域についても、エッチング液との接触面積が増大することから、そうでない領域とほぼ同様のスピードでエッチングが進行する。
この結果、図9(d)に示すように、形成される長溝56の底部は従来よりも平坦なものにすることができる。
続いて、図10(a)に示すように、レジスト19と、耐蝕膜12,17を全て除去する。
この状態は図3の圧電振動片32の電極が形成されていない状態である。
続いて、図示しないが、全面に電極を形成するための金属膜、例えば、クロムを下地として金を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。この金属膜は、耐蝕膜と同じ下地層としてのクロム層と、その上に被覆される金被覆層で構成することができる。
その後フォトリソグラフィの手法により、図3で説明したような各電極を形成することにより、図3で説明した構造の圧電振動片32が完成する。
以上説明したように、この実施形態の製造方法によれば、圧電材料のウエハ状の基板11などを用いて、所謂音叉型の圧電振動片をウエットエッチングにより形成する場合に、特にその振動腕34に設ける長溝56をエッチングする際において、エッチングにより圧電材料が他の領域と比べて厚く残る箇所について、細幅で先行するエッチングを行うようにしている。
しかも、本実施形態では、図5で説明したように、基板11に2つの耐蝕膜12,17を連続して形成している。すなわち、同じ成膜工程を往復するだけで、必要とされる2つ耐蝕膜を形成することができ、効率が良い。
図11ないし図16は、圧電振動片32の製造方法の第2の実施形態を示す工程図である。これらの図で第1の実施形態と同種の材料もしくは部材には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
図11(a)に示す基板11の表面(表裏面)には、図11(b)に示すように、スパッタリングもしくは蒸着等の手法により、マスクとして用いる耐蝕膜12が形成される。
次に、図11(c)に示すように、耐蝕膜12の上には、レジスト13が塗布される。続いて、図11(d)に示すように、レジスト13上に圧電振動片の外形に適合したマスク16を配置する。
続いて、後の工程で振動腕の中央部に長溝を形成する準備として、図13(b)に示すように、レジスト14の上に、マスク15を配置する。このマスク15には、開口15aが形成されている。この状態で露光・現像する。
続いて、図13(c)に示すように、感光したレジスト14を除去し、図13(d)に示すように、耐蝕膜17に、上記案内溝に対応した開口17aを形成するようにエッチングを行う。同時に、レジスト14から露出した耐蝕膜17も除去する。次いで、図14(a)に示すように、レジスト14を全て剥離する。
次に、図14(c)に示すように、レジスト19上に、マスク18を配置する。マスク18は、振動腕に形成すべき長溝の溝幅に対応した開口18aを有する。この状態で、露光・現像する。
図14(d)では、感光したレジスト19を剥離する。この状態で、長溝を除く圧電振動片32(図3参照)の外形が露出する。レジスト19の開口19aの内側である長溝の位置には耐蝕膜17,12が残っている。
続いて、図15(a)に示すように、圧電振動片32の外形から外側の部分として露出した基板11に関して、圧電振動片の外形のエッチングを行う。
図15(b)に示すように、レジスト開口19aから露出した耐蝕膜17をエッチングにより除去する。この際に、耐蝕膜17には開口17aがあるので、この開口17aから侵入したエッチング液が、上記耐蝕膜17のエッチングと同時にその下の耐蝕膜12の該当個所をエッチングするので、耐蝕膜12には開口12aが形成される。
この状態で、図15(c)に示すように、先行するエッチングを行う。
すなわち、上記したフッ酸溶液などによりエッチングを行うと、このエッチャントは、耐蝕膜12の開口12aから入り込んで、基板11に溝11aを形成する。
この結果、図16(a)に示すように、形成される長溝56の底部は従来よりも平坦なものにすることができる。
以降の工程は図示されているように、第1の実施形態と同じである。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、水晶振動子、水晶発振器、ジャイロセンサ、角度センサ等の名称にかかわらず、全ての圧電振動片とこれを利用した圧電デバイスに適用することができる。
また、上述の実施形態では、パッケージにセラミックを使用した箱状のものを利用しているが、このような形態に限らず、金属製のシリンダー状のケース等のパッケージと同等の収容容器に圧電振動片を収容するものであれば、いかなるパッケージやケースを伴うものについても本発明を適用することができる。
Claims (4)
- 水晶の単結晶材料で形成した基部と、この基部と一体に形成され、かつ前記基部から平行に延びる複数の振動腕と、前記各振動腕の表裏面に水晶の単結晶材料の機械軸に沿った方向に延びる有底の長溝とを備えた水晶振動片をエッチングにより形成する製造方法であって、
前記長溝をウエットエッチングして形成するに際して、前記長溝の長手方向に沿った壁面のうち面の向きが電気軸のプラス方向である壁面に寄った箇所に前記長溝よりも幅が細い細幅で先行するエッチングを行い、
次いで、前記長溝を形成するためのウエットエッチングをする
ことを特徴とする水晶振動片の製造方法。
- 前記水晶の単結晶材料に、前記水晶振動片の外形を形成するための外形形成用耐蝕膜と、前記外形形成用耐蝕膜上に前記長溝を形成するための長溝形成用耐蝕膜とを積層して成膜し、
前記長溝形成用耐蝕膜の外周形状が前記長溝の溝幅に適合するよう前記長溝形成用耐蝕膜をパターニングする工程と、
前記外形形成用耐蝕膜を前記水晶振動片の外形に適合するようにパターンニングし、前記長溝形成用耐蝕膜を前記細幅に適合するようにパターンニングする工程と、
前記長溝の溝幅に適合するように前記長溝形成用耐蝕膜の内面を除去し、前記細幅に適合するように前記外形形成用耐蝕膜の一部を除去するようにパターニングする工程と、を含む請求項1に記載の水晶振動片の製造方法。
- 前記水晶の単結晶材料に第1の耐蝕膜を成膜した後で、この第1の耐蝕膜を前記水晶振動片の外形に適合するようにパターニングし、前記パターニング後の前記第1の耐蝕膜の上に第2の耐蝕膜を成膜する工程と、
前記細幅に適合するように前記第2の耐蝕膜の一部を除去するようにパターニングする工程と、前記長溝の溝幅に適合するように前記第2の耐蝕膜の内面を除去し、前記細幅に適合するように前記第1の耐蝕膜の一部を除去するようにパターニングする工程と、を含む請求項1に記載の水晶振動片の製造方法。
- 収容容器内に水晶振動片を収容した水晶振動子の製造方法であって、
エッチングにより、音叉型水晶振動片の外形を形成する外形形成工程と、
水晶基板に前記音叉型水晶振動片の振動腕の表裏面に水晶の単結晶材料の機械軸に沿った方向に延びる有底の長溝をウエットエッチングにより形成する溝形成工程と、
前記長溝内に駆動電極を形成する電極形成工程と
を含んでおり、
前記長溝をウエットエッチングして形成するに際して、前記長溝の長手方向に沿った側壁面のうち面の向きが電気軸のプラス方向である壁面に寄った箇所に前記長溝よりも幅が細い細幅で先行するエッチングを行い、
次いで、前記長溝を形成するためのウエットエッチングをする
ことを特徴とする水晶振動子の製造方法。
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