JP2005210185A - 圧電振動片および圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

圧電振動片および圧電デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溝付きの振動腕を備える小型もしくは超小型の圧電振動片を、寸法精度よく製造することができるようにした、圧電振動片と圧電デバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】基部51と、この基部から平行に延びる複数の振動腕34,35とを備え、各振動腕に長さ方向に延びる溝56,57を有する圧電振動片32を、圧電材料でなる基板のウエットエッチングにより形成する製造方法であって、前記振動腕34,35の厚みtと、エッチング時間とを調整することによって、少なくとも前記振動腕にエッチング異方性により形成される異形部15を除去するようにした、圧電振動片の製造方法。
【選択図】 図6

Description

本発明は、パッケージまたはケースに収容するための圧電振動片と、この圧電振動片をパッケージやケースに収容した圧電デバイスの製造方法に関する。
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、あるいはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、自動車電話、またはページングシステム等の移動体通信機器やジャイロセンサなどの計測機器において、パッケージなどの内部に圧電振動片を収容した圧電振動子や圧電発振器等の圧電デバイスが広く使用されている。
図8は、このような圧電デバイスに使用される圧電振動片の公知の構成例を示しており(特許文献1参照)、図7は圧電振動片1の概略斜視図、図8は、図7のA−A線切断端面図である。
図において、圧電振動片1は、例えば水晶の単結晶から形成されており、幅広の基部2と、この基部から同じ方向に平行に延びる2本の振動腕3,4とを備えている。振動腕3,4には、それぞれ、表裏面に長さ方向に延びる溝5,6が形成されている。この溝5,6には、図8に示すように、互いに分離され、異極となる励振電極7,8が形成されている。溝5,6内の励振電極7,8は、それぞれ振動腕3,4の両側面に設けられた励振電極8,7と対向されるようになっている。
これにより、外部から励振電極7,8に駆動電圧が印加されることで、振動腕3,4内に効率よく電界が発生し、各振動腕3,4は、その先端部を互いに接近・離間されるように屈曲振動するようになっている。そして、このような振動に基づく振動周波数を取り出すことにより、制御用のクロック信号等の基準信号に利用されるようになっている。
この圧電振動片1の各振動腕3,4と、これら振動腕3,4の溝5,6は、ウエハ状にした圧電材料でなる基板をエッチングすることにより形成されている。すなわち、一般的には、まず、ウエハ基板をエッチングして、図7のような音叉状の外形を形成し、その後図8で説明した溝5,6をハーフエッチングすることにより形成される。
特開2002―76806
ところが、このような圧電振動片1においては、その外形エッチング工程でのウエットエッチングでは、図7に示した機械軸X、電気軸Y、光学軸Zに関して、エッチングの進行上次のようなエッチング異方性を示す。
図9は、圧電振動片1に関して、そのX−Y平面内におけるエッチングレートを示す極座標である。図において、プラスX方向で、このX軸に対して120度の方向、およびマイナス120度の方向の面内においてエッチングの進行が速く、マイナスX方向でX軸に対してプラス30度の方向、およびマイナス30度の方向の内面のエッチングの進行が遅くなる。
同様に、Y方向のエッチングの進行は、プラス30度方向およびマイナス30度方向が速くなり、プラスY方向で、Y軸に対してプラス120度方向、およびマイナス120度方向が遅くなる。
このようなエッチング進行上の異方性により、圧電振動片1では、図8の符号9で示されているように、水晶などの圧電材料のエッチング異方性によって、各振動腕の一側面に、ヒレ状に突出した異形部が形成される。
ここで、圧電振動片1が小型に、きわめて小さく形成されると、その製造工程で、ヒレ状の異形部9の形成が避けられないために、次のような不都合を生じる。
すなわち、圧電振動片1において、図7および図8に示す振動腕3,4の長さl、振動腕3の腕幅x(同寸法となる振動腕4についても同じ)とすると、その周波数fとの関係で、
f=a・(x/l)・・・・・式1
が成立する。
式1によれば、圧電振動片1の腕幅xが、周波数に影響を与えることになるが、圧電振動片1の構成上、各振動腕3,4には、これを効率よく屈曲振動させるため、溝5,6を形成しなければならない。そして、限られた腕幅xのなかには、ヒレ状の異形部9の寸法も含まれることから、その分を差し引いた寸法のなかにハーフエッチングにより溝5,6をつくらなければならないことになる。
したがって、圧電振動片1の小型化が進むと、ヒレ状の異形部9が形成されるために、その後の工程で、きわめて小さな溝5,6を形成するためのハーフエッチング工程が、次第に困難となるだけでなく、その溝幅を小さくすると、溝底部をきれいに形成できなくなる。このため、電界効率を適切に高めることができず、さらに、各振動腕の図8の断面の左右の中心線C,Cに関して、可能なかぎり対称的な形状とすることが極端に阻害され、振動バランスも悪くなる。
この発明は、溝付きの振動腕を備える小型もしくは超小型の圧電振動片を、寸法精度よく製造することができるようにした、圧電振動片と圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的は、第1の発明によれば、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、各振動腕に長さ方向に延びる溝を有する圧電振動片を、圧電材料でなる基板のウエットエッチングにより形成する製造方法であって、前記振動腕の厚みと、エッチング時間とを調整することによって、少なくとも前記振動腕にエッチング異方性により形成される異形部を除去するようにした、圧電振動片の製造方法により、達成される。
第1の発明の構成によれば、本発明者が種々試みた結果、圧電材料の基板をエッチングして形成する圧電振動片の振動腕の厚みと、エッチング時間が、前記異形部の形成と相関することが判明した。すなわち、エッチングにより残される振動腕の厚みに対応して、エッチング時間をきめることにより、その振動腕の側面に形成される異形部がエッチング終了までにほぼ除去される。
これにより、溝付きの振動腕を備える小型もしくは超小型の圧電振動片を、寸法精度よく製造することができる。
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記振動腕の厚みをtμmとしたときに、前記エッチング時間を0.02tないし0.10t時間としたことを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、前記振動腕の厚みtとの関係で、エッチング時間を通常の従来のエッチング手法によって、0.02t時間行うと、ほぼ実用上許容できる程度に前記異形部を除去することができ、0.10t時間エッチングすると、ほぼ完全に異形部を除去することができる。また、エッチング時間が0.10t時間を超えると、エッチング作業で用いる耐蝕膜が必要以上に侵されて、形状精度に悪影響を与える場合がある。
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記エッチングにおけるエッチングレートが、毎分1μmないし3μmとしたことを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、第2の発明の条件に従いエッチングを行う場合において、エッチングレートが、毎分1μmに達しないと、前記異形部が比較的大きく残り、実用上不便である。毎分3μmを超えるエッチングレートを設定すると、エッチング作業にもちいるマスクとして用いる耐蝕膜が、その機能を十分発揮できない程度に侵されることが判明している。
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明の構成において、前記圧電材料でなる基板が水晶の結晶軸のZ軸を中心に時計回りに0度ないし2度の範囲で回転して切り出した水晶Z板を用いることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、特に、前記のような水晶Z板により作られる圧電振動片の振動腕の異形部が、好適に除去される。
第5の発明は、第1ないし4のいずれかの発明の構成において、前記振動腕の厚みが80μmないし120μm、腕幅が40μmないし55μmとされていることを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、この発明は、特に小型の圧電振動片に適用することが好ましく、その場合、振動腕の厚みは、ハーフエッチングにより溝を形成する上で、80μmよりも小さいと作業が困難となり、120μmを超えると、除去すべき異形部が大きくなりすぎる。腕幅が40μmを下回ると、前記溝を適切に形成することが困難となり、55μmを超えると、大きくなる周波数を所望の値にするために、振動腕の長さが極端に長くなる弊害がある。
また、上記目的は、第6の発明にあっては、基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、各振動腕に長さ方向に延びる溝を有する圧電振動片を、パッケージまたはケース内に収容した圧電デバイスの製造方法であって、前記圧電振動片の製造工程が、 前記基板をウエットエッチングすることにより外形を形成するための外形エッチング工程と、ハーフエッチングにより前記溝を形成する溝形成工程とを有しており、前記外形エッチング工程が、前記基板に耐蝕膜を形成する工程と、前記溝形成工程によりハーフエッチングで除去される溝部分を除く領域をエッチングにより除去する工程とを含んでいて、前記エッチングにより除去する工程では、前記振動腕の厚みと、エッチング時間とを調整することによって、少なくとも前記振動腕にエッチング異方性により形成される異形部を除去するようにした、圧電デバイスの製造方法により、達成される。
第6の発明の構成によれば、第1の発明について説明したのと同じ理由により、これにより、溝付きの振動腕を備える小型もしくは超小型の圧電振動片を備えた圧電デバイスを得ることができる。
図1及び図2は、本発明の圧電デバイスの第1の実施の形態を示しており、図1はその概略平面図、図2は図1のB−B線概略断面図である。
図において、圧電デバイス30は、水晶振動子を構成した例を示しており、この圧電デバイス30は、パッケージ36内に圧電振動片32を収容している。パッケージ36は、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成するようにされている。この内部空間S2が圧電振動片32を収容するための収容空間である。すなわち、図2に示されているように、この実施形態では、パッケージ36は、例えば、下から第1の積層基板61、第2の積層基板62を重ねて形成されている。
このパッケージ36の内部に圧電振動片32をマウントし、蓋体39で気密に封止するようにされている。ここで、蓋体39は、セラミック、金属、ガラスなどの材質を選択して形成されている。
蓋体39が、例えば、金属の場合には、一般に他の材料よりも強度が高い利点がある。パッケージ36との熱膨張率が近似したものが適しており、例えば、コバールなどを使用することができる。
また、蓋封止後の周波数調整を可能にするためには、蓋体39は、例えばガラスなどの光透過材料で形成される。例えば、硼珪酸ガラスなどの板体を使用することができる。
パッケージ36の内部空間S2内の図において左端部付近において、内部空間S2に露出して内側底部を構成する第1の積層基板61には、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成した電極部31,31が設けられている。この電極部31,31は、外部と接続されて、駆動電圧を供給するものである。この各電極部31,31の上に導電性接着剤43,43が塗布され、この導電性接着剤43,43の上に圧電振動片32の基部51が載置されて、導電性接着剤43,43が硬化されるようになっている。尚、導電性接着剤43,43としては、接合力を発揮する接着剤成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、シリコーン系、エポキシ系またはポリイミド系導電性接着剤等を利用することができる。
圧電振動片32は、後述する製造工程により、圧電材料として、例えば水晶をエッチングして形成されており、本実施形態の場合、圧電振動片32は、小型に形成して、必要な性能を得るために、特に図3の概略斜視図で示す形状とされている。すなわち、圧電振動片32は、パッケージ36側と固定される基部51と、この基部51を基端として、図において斜め右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕34,35を備えており、全体が音叉のような形状とされた、所謂、音叉型圧電振動片が利用されている。
圧電振動片32の各振動腕34,35には、それぞれ長さ方向に延びる長い有底の溝56,57が形成されている。この各溝56,57は、図3のC−C線切断端面図である図4に示されているように、各振動腕34,35の表裏両面に形成されている。
さらに、図3において、圧電振動片32の基部51の端部(図3では下端部)の幅方向両端付近には、引き出し電極52,53が形成されている。各引き出し電極52,53は、圧電振動片32の基部51の図示しない裏面にも同様に形成されている。
これらの各引き出し電極52,53は、上述したように図1に示されているパッケージ側の電極部31,31と導電性接着剤43,43により接続される部分である。そして、各引き出し電極52,53は、図示されているように、各振動腕34,35の溝56,57内に設けた励振電極54,55と一体に接続されている。また、各励振電極54,55は、図4に示されているように各振動腕34,35の両側面にも形成されており、例えば、振動腕34に関しては、溝56内の励振電極54と、その側面部の励振電極55は互いに異極となるようにされている。また、振動腕35に関しては、溝57内の励振電極55と、その側面部の励振電極54は互いに異極となるようにされている。
圧電振動片32の基部51と振動腕34,35との間には、基部51の幅方向に縮幅して設けた切欠き部もしくはくびれ部58,58を設けるようにしている。
これにより、基部51側への圧電振動片32の振動の漏れを防止して、CI(クリスタルインピーダンス)値を低減することができる。
しかも、圧電振動片32は、全体として、きわめて小型に形成されていて、図3において、例えば、全長ALは、1300μm程度、振動腕の長さMlが1040μm程度、腕幅W1が40μmないし55μm程度、振動腕の厚みtが80μmないし120μm程度、溝56(57)の溝幅W2が30μm程度とされている。
ここで、腕幅が40μmを下回ると、後述する工程において、溝56,57を適切に形成することが困難となり、55μmを超えると、大きくなる周波数を所望の値にするために、振動腕34,35の長さが極端に長くなる弊害がある。
本実施形態は以上のように構成されており、圧電デバイス30の圧電振動片32にあっては、図8で説明した圧電振動片1の振動腕3,4と比べると、振動腕34,35の一方の側面(右側の側面)には、僅かな突出はあるものの、振動腕3,4のような異形部9,9のようなヒレ状の突起は形成されていない。
このため、次のような利点がある。
圧電振動片32は、きわめて小さく形成されているが、振動腕34,35の腕幅W1には、異形部の寸法がふくまれないので、腕幅寸法W1を有効に利用できるため、極端に振動腕の全長Mlを長くする必要がなく、全長の点でも小型化に有利である。そして、異形部のない腕幅寸法W1全体を対象として、溝56(57)を形成できるので、極端に溝幅W2を小さくしなくてすみ、あるいは適切に形成できる最小の溝幅W2に対して、可能なかぎり小さな腕幅W1を採用することができ、圧電振動片32を小型に精度よく形成することができる。
そして、このことから、圧電デバイス30の全体も可能な限り小型化することができる。
(圧電デバイスの製造方法)
(蓋体およびパッケージの製造方法)
次に、圧電デバイス30の製造方法の実施形態を説明する。
圧電デバイス30の圧電振動片32と、パッケージ36と、蓋体39は、それぞれ別々に製造される。
蓋体39は、例えば、所定の大きさのガラス板を切断し、パッケージ36を封止するのに適合する大きさの蓋体として用意される。
パッケージ36は、上述したように、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。成形の際には、複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S2を形成する。
(圧電振動片の製造方法)
図5および図6は、本実施形態の圧電振動片32の製造方法の一例を説明するための主要な工程を示す工程図である。
尚、以下の工程では、圧電振動片32の図4に対応する箇所に関して、工程順に示し、かつ振動腕34,35については同一の工程が進行するので、振動腕34に対応する箇所だけその断面を示す。また、この工程は振動腕34の表裏面について共通なので、煩雑さを避けるため、表面についてのみ符号を付して説明する。
基板11は、圧電材料のうち、例えば、圧電振動片32を複数もしくは多数分離することができる大きさの水晶ウエハが使用される。この基板11は工程の進行により音叉型の圧電振動片32とした際には、図3に示すX軸が電気軸、Y軸が機械軸及びZ軸が光軸となるように、圧電材料、例えば水晶の単結晶から切り出されることになる。また、水晶の単結晶から切り出す際、上述のX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、Z軸を中心に時計回りに0度ないし2度の範囲で回転して切り出した水晶Z板を所定の厚みに切断研磨して得られる。
図5(a)に示すように、基板11の表面(表裏面)には、スパッタリングもしくは蒸着等の手法により、マスクとして用いる耐蝕膜12とレジスト13が順次が形成される。
耐蝕膜12は、例えば、下地層としてのクロム層と、その上に被覆される金被覆層で構成される。また、レジスト13としては、例えば、ECA系、PGMEA系のポジ型レジストが好適に使用できる。
ここで、研磨後の基板(ウエハ)11の厚みは、圧電振動片32の振動腕の厚みに等しく、その厚み寸法tは、80μmないし120μmとされる。厚み寸法tは、後述するハーフエッチングにより溝を形成する上で、80μmよりも小さいと作業が困難となり、120μmを超えると、除去すべき異形部が大きくなりすぎる。
(外形形成エッチング工程)
図5(b)に示すように、レジスト13をフォトエッチングにより振動腕34の幅に対応した寸法で残す。次いで図5(c)に示すように、耐蝕膜12をレジスト13の寸法に適合するようにエッチングして、図5(d)に示すように、レジスト13を全て除去する。これにより、耐蝕膜12が振動腕34の幅寸法に残されたことになる。
次に、図5(e)に示すように、あらたに溝形成用レジスト14を全面に塗布する。続いて、図6(f)に示されているように、振動腕の中央部に溝を形成するために、溝形成用レジスト14の中央部を除去し、さらに両側の各溝形成用レジスト14a,14bの外縁は、耐蝕膜12の外縁と一致させるように、不要な溝形成用レジスト14を除去する。
次いで、図6(g)に示すように、水晶材料をウエットエッチングする。
すなわち、圧電振動片32の外形から外側の部分として露出した基板11に関して、例えば、フッ酸溶液をエッチング液として、圧電振動片の外形のエッチングを行う(エッチング工程)。このエッチング工程は、ウエットエッチングで、フッ酸溶液の濃度や種類、温度等により変化する。この実施形態では、エッチング液として、フッ酸、フッ化アンモニウムを用いて、その濃度として容量比1:1、温度65度±1度(摂氏)の条件により、所定時間でエッチング工程が完了する。
ここで、エッチング液の選択により、エッチングレートが、毎分1μmないし3μmとされる。また、エッチング時間が、前記振動腕の厚みtとの関係で、0.02t時間ないし0.10t時間とされる。
すなわち、エッチングを0.02t時間行うと、図6(g),図6(h)で示す異形部15をほとんど、あるいは実用上不便がない程度に、除去することができ、0.10t時間エッチングすると、ほぼ完全に異形部15を除去することができる。そして、エッチング時間が0.10t時間を超えると、耐蝕膜12が必要以上に食われてしまい、形状精度に悪影響を与える場合がある。
また、エッチングレートが、毎分1μmに達しないと、図8で説明した異形部が比較的大きく残り、実用上不便である。毎分3μmを超えるエッチングレートを設定すると、エッチング作業にもちいるマスクとして用いる耐蝕膜12が、その機能を十分発揮できない程度に侵されることが判明している。
(溝形成のためのハーフエッチング工程)
次に、図6(h)に示すように、溝形成用レジスト14a,14bに覆われていない耐蝕膜12をヨウ化カリウム等のエッチング液を用いてウエットエッチングにより除去する。除去し、溝を形成しない部分に耐蝕膜12a,12bとして残す。
これにより露出した基板11の露出面を図6(i)に示すように、フッ酸溶液等を用いて、振動腕の溝部と細溝の部分のハーフエッチングを行う。
この実施形態では、エッチング液として、フッ酸、フッ化アンモニウムを用いて、その濃度として容量比1:1、温度65度±1度(摂氏)の条件により、30分ないし60分程度でハーフエッチング工程が完了する。これにより、溝56が形成される。
最後に、溝形成用レジスト14a,14bと耐蝕膜12a,12bを除去することにより、図6(j)に示すように、溝56を有する振動腕34を形成することができる。
この状態は図3の圧電振動片32の電極が形成されていない状態である。
続いて、図示しないが、全面に電極を形成するための金属膜、例えば、クロムを下地として金を蒸着またはスパッタリング等の手法により形成する。この金属膜は、耐蝕膜と同じ下地層としてのクロム層と、その上に被覆される金被覆層で構成することができる。
その後フォトリソグラフィの手法により、図3で説明したような各電極を形成することにより、図3で説明した構造の圧電振動片32が完成する。
したがって、図3のように完成した圧電振動片32は、図1及び図2に示すように、パッケージ36の内部に、導電性接着剤43を利用して接合される。その後で、このパッケージ36にロウ材(例えば、低融点ガラス)を用いて蓋体39を接合することで、圧電デバイス30を完成することができる。
以上により、溝付きの振動腕34,35を備える小型もしくは超小型の圧電振動片32を備えた圧電デバイス30を得ることができる。
本発明は上述の実施形態に限定されない。各実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、水晶振動子、水晶発振器、ジャイロ、角度センサ等の名称にかかわらず、全ての圧電振動片とこれを利用した圧電デバイスに適用することができる。
また、上述の実施形態では、パッケージにセラミックを使用した箱状のものを利用しているが、このような形態に限らず、金属製のシリンダー状のケース等のパッケージと同等のものに圧電振動片を収容するものであれば、いかなるパッケージやケースを伴うものについても本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法により得られる圧電デバイスの概略平面図。 図1の圧電デバイスのB−Bにおける概略断面図。 図1の圧電デバイスに使用される圧電振動片の概略斜視図。 図3の圧電振動片のC−C線切断端面図。 図3の圧電振動片の製造工程の一例を示す工程図。 図3の圧電振動片の製造工程の一例を示す工程図。 従来の圧電振動片の概略斜視図。 図7のA−A線切断端面図。 図7の圧電振動片のエッチング工程におけるエッチング異方性を説明するための図。
符号の説明
30・・・圧電デバイス、36・・・パッケージ、32・・・圧電振動片、34,35・・・振動腕、51・・・基部、54,55・・・励振電極、56,57・・・溝

Claims (6)

  1. 基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、各振動腕に長さ方向に延びる溝を有する圧電振動片を、圧電材料でなる基板のウエットエッチングにより形成する製造方法であって、
    前記振動腕の厚みと、エッチング時間とを調整することによって、少なくとも前記振動腕にエッチング異方性により形成される異形部を除去するようにした
    ことを特徴とする、圧電振動片の製造方法。
  2. 前記振動腕の厚みをtμmとしたときに、前記エッチング時間を0.02tないし0.10t時間としたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片の製造方法。
  3. 前記エッチングにおけるエッチングレートが、毎分1μmないし3μmとしたことを特徴とする請求項2に記載の圧電振動片の製造方法。
  4. 前記圧電材料でなる基板が水晶の結晶軸のZ軸を中心に時計回りに0度ないし2度の範囲で回転して切り出した水晶Z板を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
  5. 前記振動腕の厚みが80μmないし120μm、腕幅が40μmないし55μmとされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
  6. 基部と、この基部から平行に延びる複数の振動腕とを備え、各振動腕に長さ方向に延びる溝を有する圧電振動片を、パッケージまたはケース内に収容した圧電デバイスの製造方法であって、
    前記圧電振動片の製造工程が、
    前記基板をウエットエッチングすることにより外形を形成するための外形エッチング工程と、
    ハーフエッチングにより前記溝を形成する溝形成工程と
    を有しており、
    前記外形エッチング工程が、
    前記基板に耐蝕膜を形成する工程と、
    前記溝形成工程によりハーフエッチングで除去される溝部分を除く領域をエッチングにより除去する工程と
    を含んでいて、
    前記エッチングにより除去する工程では、
    前記振動腕の厚みと、エッチング時間とを調整することによって、少なくとも前記振動腕にエッチング異方性により形成される異形部を除去するようにした
    ことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
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