JP4547974B2 - 流量センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数層の膜からなるメンブレンが設けられた流量センサおよびその製造方法に関する。
発熱抵抗体と測温抵抗体を用いた感熱式の流量センサが、例えば、特開平06−74962号公報(特許文献1)に開示されている。感熱式の流量センサは、発熱抵抗体を被測定流体中に設置し、被測定流体によって奪われる発熱抵抗体の放熱量を測温抵抗体により検出して、被測定流体の流量を検出する。このような感熱式の流量センサにおいては、基板に薄膜部としてのメンブレンを設け、メンブレンの低熱容量を利用して、メンブレンの周りに発熱抵抗体と測温抵抗体を適宜配置することで、高い応答性を持つ流量センサとすることができる。
上記のようなメンブレンが設けられた流量センサおよびその製造方法が、例えば、特開平11−271123号公報(特許文献2)や特開2002−131106号公報(特許文献3)に開示されている。メンブレンが設けられた流量センサは、高い応答性が得られる反面、高湿環境下においてメンブレンを構成する薄膜部の膜の膨潤および応力腐食割れといった問題が起きる。これに対して、特許文献2に開示された流量センサは、メンブレンを複数層の膜で構成し、最外層の膜を耐湿性の高い窒化シリコン(SiNx)膜にして、内側に配置される酸化シリコン(SiO2)膜の膨潤を抑制する構造としている。また、特許文献3に開示された流量センサは、高湿環境下における応力腐食割れを防止するため、空気と接する最外層の膜を防水性の圧縮応力膜とし、水分の透過を防ぐことで応力腐食割れを防止する構造としている。
特開平06−74962公報 特開平11−271123号公報 特開2002−131106号公報
内燃機関の空燃比制御に用いられる流量センサにおいては、上記の高湿環境下におけるメンブレンの膨潤や応力腐食割れ以外にも、エアフィルタを通過してエアダクト内を砂等のパーティクルが飛来し、メンブレンに衝突してメンブレンを破損するといった問題が発生する。
図11(a)〜(c)は、上記の問題点を説明する図である。
図11(a)は、流量センサ90の構造とパーティクルを模式的に示した断面図である。図11(a)に示す流量センサ90は、基板91の裏面側がエッチングされて、基板91の表面に膜92a,92bからなるメンブレンMが設けられた流量センサである。メンブレンMの周りには、発熱抵抗体93と測温抵抗体94からなる流量検出部が形成されており、当該流量検出部を被測定流体である空気流に露出して、その流量を検出する。メンブレンMの厚さは、熱絶縁性を良くして感度を向上し低熱容量として応答性を良くするために薄いほうが好ましく、一般的には数μmに設定される。これに対して、パーティクルのサイズは、大きいもので数100μmにもなり、数10m/sの速度で飛来する。
図11(b)は、パーティクル衝突の際に、メンブレンMが変形する様子を模式的に示した断面図である。パーティクルが衝突すると、メンブレンMの中央部は、弾性変形して衝突エネルギーを吸収するため、傷や破損が起き難い。一方、メンブレン周縁部では、パーティクルの衝突によって表面に多数の傷が発生する。特に、メンブレン端Mtにおいては、パーティクル衝突による変形応力の集中があり、図に示した破損Bが起き易い。
図11(c)は、パーティクル衝突によって発生する傷の衝突痕密度を調べた結果である。パーティクルによる衝突痕は、メンブレン端Mtから内側の数10μmの範囲まで分布している。メンブレン端Mtに傷が導入されると、高湿環境下において応力腐食割れにより傷が進展する。また、パーティクルの衝突や空気流の圧力によって、傷の先端ではさらに応力が集中する。このため、メンブレン端Mtの強度が次第に低下し、やがて、図11(b)に示したような破損Bに到ってしまう。
そこで本発明は、複数層の膜からなるメンブレンが設けられた高感度で応答性の高い流量センサであって、パーティクルの衝突による傷や破損が起き難く、応力腐食割れによる傷の進展が抑制された流量センサ、およびその製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、基板の一方の表面に設けられた複数層の膜からなるメンブレンの周りに流量検出部が形成され、当該流量検出部を被測定流体に露出して、その流量を検出する流量センサであって、前記被測定流体の流路側にある上層膜が、プラズマCVD法により形成された窒化シリコン膜からなり前記上層膜が、前記メンブレンの膜厚方向において連続的に変化する内部応力分布を有してなり、前記メンブレンの膜厚方向の中心における内部応力が縮内部応力に設定されるようにして、前記メンブレンの全膜厚の1/2以上を占めるように形成されてなることを特徴としている。
窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と較べて、硬度が高く、非吸湿性に優れ防水性の高い膜である。窒化シリコン膜は、低圧CVD法やプラズマCVD法により形成することができるが、プラズマCVD法により形成する窒化シリコン膜は、形成条件を適宜設定することで、その内部応力を圧縮内部応力にも引張内部応力にもすることができる。また、低圧CVD法による窒化シリコン膜は、大きな引張内部応力を持ち、0.4μm以上にすると自己破壊するが、プラズマCVD法による窒化シリコン膜は、自己破壊することなく厚く形成することができる。
一方、パーティクルがメンブレンに衝突しメンブレンが基板側に変形する場合には、上記の内部応力の他に、メンブレンの変形による変形応力が発生する。この変形応力は中立軸で零となり、具体的にはメンブレンの膜厚方向の半分(中心)の位置がほぼ中立軸となる。また、中心より被測定流体の流路側にある上層膜で引張変形応力となり、中心より基板側にある下層膜で圧縮変形応力となる。この変形応力の応力値は、メンブレン変形量に依存するが、数10MPaから数GPaで、一般的に上記した内部応力に較べて大きな値となる。
上記請求項1に記載の流量センサは、プラズマCVD法による窒化シリコン膜を、被測定流体の流路側にある上層膜として用い、該上層膜がメンブレンの膜厚方向において連続的に変化する内部応力分布を有し、メンブレンの膜厚方向の中心における内部応力圧縮内部応力に設定されるようにして、メンブレンの全膜厚の1/2以上を占めるように形成されている。これにより、パーティクルが衝突して変形応力が加わっても、メンブレン膜厚方向の中心における内部応力が圧縮内部応力設定されていることから、中心直下の部分(心よりも基板側の部分)では、圧縮応力を確保している。そのため、パーティクルが衝突するような環境下においても、発生した傷からなどから生じる応力腐食割れに対し、最悪でも膜厚方向の中心で、傷の進展を止めることができる。従って、当該流量センサを、メンブレンが設けられた高感度で応答性の高い流量センサであって、パーティクル衝突による傷の応力腐食割れによる進展が抑制され、破損が起き難い流量センサとすることができる。
また、上記流量センサにおいては、メンブレンの全膜厚の1/2以上を占める上層膜がプラズマCVD法により形成された窒化シリコン膜からなり、硬度が高く、非吸湿性に優れ防水性の高い膜であるため、パーティクル衝突による傷の発生を効果的に防止でき、該上層膜の下にある酸化シリコン膜が吸湿して膨潤したりポリシリコン(Poly−Si)等からなる抵抗体の特性が吸湿により変動したりすることを効果的に防止できる。
さらに、上記流量センサにおいては、上層膜がメンブレンの膜厚方向において連続的に変化する内部応力分布を有していることから、内部応力差で生じる剥がれを防止することができる。
請求項に記載の発明は、上記流量センサにおいて、前記上層膜が、前記流路側にある最上層において引張内部応力となるように設定されてなることを特徴としている。
当該流量センサにおいては、上層膜の流路側にある最上層引張内部応力に設定することで、窒化シリコンを厚く形成した場合にメンブレンの坐屈を効果的に抑制することができる。
請求項に記載の発明は、上記請求項2に記載の流量センサにおいて、前記化シリコン(SiNx)の窒素組成xが、前記中心から被測定流体の流路側に向かって小さくなっていることを特徴としている。
プラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜は、当該窒化シリコン(SiNx)の窒素組成xによって、その内部応力が変化する。一般的には、窒素組成xが小さくなるに従って、その内部応力が圧縮内部応力から引張内部応力に変化する。従って、このように窒化シリコン(SiNx)の窒素組成xが中心から被測定流体の流路側に向かって小さくなっている窒化シリコン膜を上層膜として用いることで、請求項に記載した、中心における圧縮内部応力から被測定流体の流路側に向かって連続的に最上層で引張内部応力に変化する上層膜を実現することができる。このように形成された窒化シリコン膜においては、内部応力差で生じるがれを防止することができる。
請求項に記載の発明は、上記流量センサにおいて、前記上層膜が、前記メンブレンの膜厚方向の一部が引張内部応力となるように設定され、かつ前記流路側にある最上層が、圧縮内部応力に設定されてなることを特徴としている。
当該流量センサのように、上層膜の一部引張内部応力となるように設定することで、上層膜を厚く形成した場合にメンブレンの坐屈を効果的に抑制することができる。一方、最上層圧縮内部応力に設定ているため、パーティクル等によって変形していないときにも、高湿環境下での応力腐食割れによる傷の進展抑制効果をより高めることができる。
請求項に記載のように、内部応力分布を有する上層膜が形成された流量センサにおいては、前記上層膜における平均内部応力、圧縮内部応力に設定されてなることが好ましい。これによれば、上記内部応力差で生じる剥がれ防止をより効果的に高めることができる。
請求項に記載の発明は、上記流量センサにおいて、前記上層膜の厚さが、1.4μm以上に設定されてなることを特徴としている。これによれば、ーティクル衝突による上層膜での貫通孔形成が抑制でき、上層膜からの水分の浸入を防止することができる
請求項に記載の発明は、上記流量センサにおいて、前記中心より基板側にある最下層の膜が、引張内部応力に設定されてなることを特徴としている。
当該流量センサにおいては、前記上層膜によって、高湿環境下での応力腐食割れによる傷の進展を止めることができる。また、パーティクル衝突による影響を受け難い最下層の膜を引張内部応力にすることで、メンブレンの坐屈を抑制することができる。このように、当該流量センサにおいては、メンブレンの膜厚方向における内部応力の分布を適宜設定することで、メンブレンの坐屈抑制とパーティクル衝突による傷や破損の抑制を、好適に両立させることができる。
請求項に記載のように、前記最下層の膜は、低圧CVD法により形成された窒化シリコン膜とすることができる。
低圧CVD法により形成された窒化シリコン膜は、一般的に引張内部応力を持つ膜となるが、プラズマCVD法による窒化シリコン膜と較べて、緻密な膜にすることができる。この低圧CVD法により形成された窒化シリコン膜を、パーティクル衝突による影響を受け難い最下層の膜とすることで、メンブレンの坐屈を抑制すると共に、高い防水性を確保することができる。
請求項に記載の発明は、前記メンブレンにおける平均内部応力が、引張内部応力に設定されてなることを特徴としている。これにより、メンブレンの坐屈をより確実に抑制することができる。
請求項1に記載のように、前述した流量センサは、前記被測定流体が空気であり、車載用の空気流量センサとして用いられる場合に好適である。
内燃機関の空燃比制御に用いられる車載用の空気流量センサでは、エアフィルタを通過してエアダクト内を砂等のパーティクルが飛来するため、メンブレンへのパーティクル衝突が起きる。また、高湿環境下のように、メンブレンの膨潤や応力腐食割れに対して過酷な環境下で使用される。前述した流量センサは、複数層の膜からなるメンブレンが設けられた高感度で応答性の高い流量センサであって、パーティクルの衝突による傷や破損が起き難く、応力腐食割れが抑制された流量センサとなっている。このため、上記のようなメンブレンに対して過酷な環境下で使用される、車載用の空気流量センサに好適である。
請求項11〜に記載の発明は、上記流量センサの製造方法に関する発明である。
請求項11に記載の発明は、基板の一方の表面に設けられた複数層の膜からなるメンブレンの周りに流量検出部が形成され、当該流量検出部を被測定流体に露出してその流量を検出する流量センサにおいて、前記被測定流体の流路側にある上層膜が、前記メンブレンの膜厚方向において連続的に変化する内部応力分布を有してなり、前記メンブレンの膜厚方向の中心における内部応力が圧縮内部応力に設定されるようにして、前記メンブレンの全膜厚の1/2以上を占めるように形成されてなる流量センサの製造方法であって、前記上層膜を、プラズマCVD法による窒化シリコン膜で形成することを特徴としている。これによって、上記請求項1に記載の流量センサを製造することができる。尚、得られる流量センサの効果については上記したとおりであり、その説明は省略する。
上記製造方法においては、例えば請求項1に記載のように前記窒化シリコン膜のプラズマCVDにおいて、成膜時のプラズマ発生のための高周波電力を変化させて、前記窒化シリコン膜の内部応力を、圧縮内部応力から引張内部応力、もしくは引張内部応力から圧縮内部応力に変化させることができる。また、請求項1に記載のように膜後の前記窒化シリコン膜を熱処理することにより、前記窒化シリコン膜の内部応力を、圧縮内部応力と引張内部応力の間に渡って分布させるようにしてもよい
これらの製造方法によって得られる流量センサの効果については上記したとおりであり、その説明は省略する。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図に基づいて説明する。
最初に、図1〜3を用いて、感熱式流量センサによる被測定流体の流量測定原理を説明する。
図1は、車載用の空気流量センサ10の構成を示す模式的な上面図である。図2は、図1に示す流量センサ10の取付け状態を示した図である。図3(a)は、図1におけるA−A断面を模式的に示した斜視図であり、図3(b)は、順流時と逆流時の各ヒータにおける放熱量を模式的に示した図である。
図1およびに図3(a)示す流量センサ10は、基板11の一方の表面に、膜12からなるメンブレンMが設けられた感熱式の流量センサである。図1に示すように、メンブレンMの周りには、一対のヒータHa,Hbと一対の温度計Ka,Kbからなる流量検出部(図1の二点鎖線で囲った部分)が形成されている。ヒータHa,Hbと温度計Ka,Kbは、白金(Pt)、ニッケル−クロム合金(NiCr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、炭化シリコン(SiC)、窒化タンタル(TaN)、ポリシリコン、単結晶シリコン等の膜で形成される。流量センサ10は、図2に示すように、流量検出部を流量検出装置100における空気の流路80に露出して、被測定流体である空気の流量を測定する。
流量センサ10において、メンブレンMを構成する膜12は基板11に比べて非常に薄く形成されているため、メンブレンMの熱容量は低く抑えられ、メンブレンMでは基板11との熱的な絶縁が確保される。メンブレンM上には、空気流の上流側と下流側において、発熱抵抗体からなる一対のヒータHa,Hbが形成されている。また、ヒータHa,Hbを挟むようにして、空気流の上流側と下流側において、測温抵抗体からなる一対の温度計Ka,Kbが、メンブレンMの周りの基板11上に形成されている。
ヒータHa,Hbは、温度計Ka,Kbにより測定される環境温度に対して、200℃高い温度に制御される。ヒータHa,Hbは、電流の供給によって発熱する発熱体としての機能に加えて、自身の抵抗温度係数による抵抗の変化に基づいて、自身の温度をも感知する機能を有している。図3(b)示すように、空気流によって上流側のヒータHaと下流側のヒータHbに放熱量の差ΔWが発生すると、上流側のヒータHaと上流側温度計Kaの温度差、および下流側のヒータHbと下流側温度計Kbの温度差に基づき、各ヒータHa,Hbに供給される電流量が制御される。この制御電流値を計算処理して、被測定流体である空気の流量と流れの向きを測定する。
次に、流量センサ10のメンブレンMにおける応力について説明する。
流量センサ10のメンブレンMを構成する図3(a)示す膜12は、成膜後の通常状態において、内部応力が印加された状態にある。このメンブレンMにパーティクルが衝突すると、膜12には、前記内部応力に加えてメンブレンMが変形することによる変形応力が印加される。
図4は、流量センサ10にパーティクルが衝突した際、メンブレン端Mtに印加される変形応力を、流量センサ10の断面図に重ねて示した図である。
パーティクルがメンブレンMに衝突して、メンブレンMが基板11側に変形すると、上記の内部応力の他に、図4に太い点線で示した変形応力が発生する。この変形応力は中立軸で零となり、具体的にはメンブレンの膜厚方向の半分(中心)の位置がほぼ中立軸となる。中心より空気の流路側にある上層膜で引張変形応力となり、中心より基板11側にある下層膜で圧縮変形応力となる。この変形応力の応力値は、メンブレン変形量に依存するが、数10MPaから数GPaで、一般的に上記した成膜後の通常状態において常に印加されている内部応力に較べて大きな値となる。
図5(a)は、本発明の流量センサの一例を示す模式的な断面図である。
図5(a)に示す流量センサ20は、シリコン(Si)からなる基板21の一方の表面に、複数層の膜22a〜22dからなるメンブレンMが設けられた、車載用の空気流量センサである。メンブレンMの周りには、図1に示した一対のヒータHa,Hbと一対の温度計Ka,Kbからなる流量検出部が形成されており、当該流量検出部を被測定流体である空気に露出して、その流量を検出する。尚、図5(a)においては、上記ヒータHa,Hbおよび温度計Ka,Kbを、高濃度にドープされたポリシリコン(Poly−Si)からなる抵抗体23で代表して示してある。また、図5(a)における符号25は、抵抗体23に接続するアルミニウム(Al)電極である。
メンブレンMを構成する複数層の膜22a〜22dは、基板21側の最下層にある符号22aの膜は、熱反応を用いた低圧CVD法により形成された窒化シリコン膜(LP−SiN)で、厚さが0.3μmである。窒化シリコン膜(LP−SiN)22aは、後述するように、メンブレンMの坐屈防止のため、引張内部応力を確保する膜である。2層目にある符号22bの膜は、プラズマCVD法により形成された酸化シリコン膜(P−SiO)で、厚さが0.2μmである。酸化シリコン膜(P−SiO)22bは、ポリシリコン(Poly−Si)からなる抵抗体23との密着性確保するための膜である。3層目にある符号22cの膜は、BPSG(Boron-doped Phospho-Silicate Glass)膜で、厚さが0.8μmである。BPSG膜22cは、熱処理によって流動化し、ポリシリコン(Poly−Si)からなる抵抗体23の存在による段差を軽減する。空気の流路側の最上層にある符号22dの膜は、プラズマCVD法により形成された窒化シリコン膜(P−SiN)で、厚さが2.0μmである。窒化シリコン膜(P−SiN)22dは、防水性を確保すると共に、後述するように、パーティクル衝突による傷の発生防止と応力腐食割れによる傷の進展を抑制するための膜である。以上のメンブレンMを構成する複数層の膜22a〜22dの全膜厚は、3.3μmである。尚、図5(a)において、基板21の裏面側にある符号27の膜は、メンブレンを形成するに必要な膜で窒化シリコン膜である。図6(a)〜(e)は、図5(a)に示す流量センサ20の製造方法を示す工程別断面図である。
最初に、図6(a)に示すように、シリコン基板21を準備し、基板21の両面に、低圧CVD法により窒化シリコン膜22a,26を形成する。その後、窒化シリコン膜22a上に、プラズマCVD法により酸化シリコン膜22bを形成する。
次に、図6(b)に示すように、基板21の両面にポリシリコン膜23,23rを堆積する。次に、主面側のポリシリコン膜23に、リン(P)を高濃度でイオン注入し、活性化のための熱処理を行う。次に、ポリシリコン膜23を図1に示すヒータHa,Hbおよび温度計Ka,Kbの形状にパターニングして抵抗体23とし、表面を熱酸化する。
次に、図6(c)に示すように、ポリシリコン膜23上にBPSG膜22cを堆積し、900〜1000℃で熱処理(リフロー)して、平坦化する。その後、エッチングにより抵抗体23に接続するためのコンタクトホールEaを形成する。
次に、図6(d)に示すように、アルミニウム膜25と堆積し、電極形状にパターニングした後、熱処理する。
次に、基板21の主面側の全面に、プラズマCVD法により窒化シリコン膜22dを厚く形成する。後で詳述するように、窒化シリコン膜22dの成膜にあたっては、その内部応力を所望の値に設定するために、プラズマ発生のための高周波電力(RFパワー)が適宜制御される。
次に、図6(e)に示すように、窒化シリコン膜22dをエッチングして電極25に接続するためのコンタクトホールEbを形成する。次に、基板21の裏面側の研削および研磨をおこない、窒化シリコン26及びポリシリコン23rを除去した後に、裏面側のみに窒化シリコン膜27を形成する。
次に、基板21の裏面側にエッチングのためのマスク成膜を行い、所定の形状にパターニングした後、基板21の裏面側から窒化シリコン膜22aに到達するまで、異方性エッチングする。これによって、基板21の主面側にメンブレンMが形成される。
また、後の図8(a),(b)で詳述するように、必要な場合には、最後に400〜450℃で10〜20時間の熱処理を行い、窒化シリコン膜22dの内部応力を適宜設定すると共に、内部応力を安定化させる。尚、この熱処理は、メンブレンMの形成前に行ってもよい。
以上で、図5(a)に示す流量センサ20が完成する。
図5(b)は、本発明ではないが参考とする図で、図5(a)に示す流量センサ20における、メンブレンMを構成する複数層の膜22a〜22dの内部応力分布を示す図である。
最下層の窒化シリコン膜(LP−SiN)22aは、一般的に、約1200MPaの大きな引張内部応力を持っている。酸化シリコン膜(P−SiO)22bとBPSG膜22cのSiO2系の膜は、一般的に、−150MPa程度の圧縮内部応力を持っている。後述するように、メンブレンMの坐屈を確実に防止するためには、メンブレンM全体の平均内部応力を、50MPa程度の弱い引張内部応力に設定することが好ましい。このため、最上層の窒化シリコン膜(P−SiN)22dは、−30MPa程度の弱い圧縮内部応力に設定する。
流量センサ20において、メンブレンMの膜厚方向の中心より空気の流路側にある上層膜は、プラズマCVD法により形成された厚さ2.0μmの窒化シリコン膜(P−SiN)22dからなっている。言い替えれば、最上層にある窒化シリコン膜(P−SiN)22dが、メンブレンMの全膜厚の1/2以上を占めている。この窒化シリコン膜(P−SiN)22dは、図5(b)に示すように、一定の圧縮内部応力に設定されている。
窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜と較べて、硬度が高く、非吸湿性に優れ防水性の高い膜である。窒化シリコン膜は、低圧CVD法やプラズマCVD法により形成することができる。低圧CVD法による窒化シリコン膜(LP−SiN)22aは、図5(b)に示すように大きな引張内部応力を持ち、0.4μm以上にすると自己破壊する。これに対して、プラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)22dは、後述するように、形成条件を適宜設定することで、その内部応力を圧縮内部応力にも引張内部応力にもすることができる。そのため、応力を過度の引張応力とすることなく適宜設定することで、厚く形成しても自己破壊することがない。
空気流に露出する最上層の膜を、硬度が高く防水性に優れ、圧縮内部応力に設定された窒化シリコン膜(P−SiN)22dとすることで、パーティクルの衝突による傷や破損が起き難く、応力腐食割れによる傷の進展が抑制された流量センサとすることができる。
図7(a),(b)は、最上層の膜の材質を変えて、パーティクルの衝突による傷の発生状況を調べた結果である。図7(a)は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜のそれぞれの膜について、バーティクル衝突で生じる傷が膜を貫通した密度(貫通孔密度)と膜厚との関係を調べた結果である。図7(b)は、プラズマCVD法と低圧CVD法のそれぞれの窒化シリコン膜について、形成時に発生する膜厚とピンホール密度を調べた結果である。
パーティクルの衝突による傷の発生は膜の硬度に依存すると考えられ、図7(a)に示すように、硬度の高い窒化シリコン膜では、硬度の低い酸化シリコン膜に較べて、貫通孔の形成が抑制されている。特に、内燃機関に用いられる空気流量センサにおいては、パーティクルのほとんどが砂(酸化シリコン)である。従って、酸化シリコンよりも硬い膜を最上層に用いることで、パーティクル衝突による傷の発生を抑制することができる。酸化シリコン(SiO)より硬い材質の膜としては、窒化シリコン(SiN)以外に、酸化アルミニウム(Al)や炭化シリコン(SiC)等を利用することができる。特に、汎用の半導体製造プロセスとの整合性を考慮すると、窒化シリコン(SiN)が好適である。尚、窒化シリコン(SiN)は、酸化シリコン(SiO)に較べて防水性の面でも優れている。
図7(a)の結果から、硬度の高い窒化シリコン膜は、厚さを0.7μm以上に設定することで、パーティクル衝突による貫通孔の形成を防止することができる。一方、プラズマCVD法で形成した膜は成膜時に僅かながらピンホールが存在する。図7(b)の結果から、そのピンホール密度は膜厚に依存し、0.7μm以上であるとピンホールは存在しなくなることがわかっている。そのピンホールが存在する所に、パーティクルが衝突し傷が入った場合、ダストによる傷で膜を貫通していなくても、ピンホールを通して水分が浸入してしまう。そのため、パーティクルが衝突してもピンホールと一致させない1.4μm以上の厚さに窒化シリコン膜を形成することが必要である。図5(a),(b)に示す流量センサ20においては、最上層の窒化シリコン膜(P−SiN)22dの厚さが2.0μmあるため、パーティクルが衝突しても、ピンホールを通して下地のBPSG膜22cに達する傷が入ることはない。従って、BPSG膜22cや酸化シリコン膜(P−SiO)22bが吸湿して膨潤したり、ポリシリコン(Poly−Si)からなる抵抗体23の特性が吸湿により変動したりすることもない。
一方、パーティクルが衝突して最上層の膜に一旦傷が発生してしまうと、高湿環境下において、傷の先端が応力腐食割れによって進展していく。応力腐食割れによる傷の進展は、引張応力が印加されている膜で促進され、圧縮応力が印加されている膜で抑制される。
図5(b)で示したように、流量センサ20においては、メンブレンMの中心より空気の流路側にある上層膜は、一定の圧縮内部応力を持つ窒化シリコン膜(P−SiN)22dとなっている。従って、流量センサ20では高湿環境下における応力腐食割れによる傷の進展が抑制され、パーティクルの衝突による破損が起き難い流量センサとすることができる。
尚、図4で説明したように、パーティクルが衝突すると内部応力の他に変形応力が発生し、この変形応力は、中心より空気の流路側にある上層膜で引張変形応力となり、中心より基板側にある下層膜で圧縮変形応力となる。また、変形応力の応力値は、一般的に内部応力に較べて大きな値となる。従って、応力腐食割れによる傷の進展抑制には、図5(a),(b)に示す流量センサ20のように、メンブレンMの膜厚方向における中心(変形中心)における内部応力が、圧縮内部応力に設定されていることが重要である。
中心における内部応力を圧縮内部応力に設定することで、パーティクルが衝突して変形応力が加わっても、メンブレン膜厚方向の中心に配置されている窒化シリコン膜が圧縮内部応力で設定されていることから、中心直下の部分(膜厚方向の中心に配置されているP-SiN膜における中心よりも基板側の部分)では、圧縮応力を確保している。そのため、パーティクルが衝突するような環境下においても、発生した傷からなどから生じる応力腐食割れに対し、必ず膜厚方向の中心で、傷の進展を止めることができる。さらに、メンブレンMの膜厚方向における中心だけでなく、図5(b)に示すように空気の流路側にある上層膜の全体を圧縮内部応力に設定した流量センサ20においては、パーティクル衝突が少ない又は無い場合においても、効果的に高湿環境下での応力腐食を防止することができる。このようにして、図5(a),(b)に示す流量センサ20は、メンブレンMが設けられた高感度で応答性の高い流量センサであって、パーティクルの衝突があっても応力腐食割れを抑制でき、破損が起き難い流量センサとすることができる。
前記したように、プラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)は、形成条件を適宜設定することで、その内部応力を圧縮内部応力にも引張内部応力にもすることができる。具体的には、次の方法により、所望の内部応力分布を実現することができる。
第1の方法は、プラズマ発生のための高周波電力(RFパワー)を変えて成膜する方法で、大きなRFパワーで成膜すると圧縮内部応力膜となり、小さなRFパワーで成膜すると引張内部応力膜となる。プラズマCVD法により形成された窒化シリコン膜(P−SiN)においては、一般的に、大きなRFパワーで成膜した圧縮内部応力膜では、窒化シリコン(SiNx)の窒素組成xが大きくなり、小さなRFパワーで成膜した引張内部応力膜では、窒素組成xが小さくなることが知られている。尚、成膜時にRFパワーを連続して変えていけば、後述する内部応力が連続的に変化する膜を形成することができる。
第2の方法は、プラズマCVD法により成膜した窒化シリコン膜(P−SiN)を、比較的低温で熱処理する方法である。
図8(a),(b)はその一例で、プラズマCVD法によってシリコン(Si)基板上に窒化シリコン膜(P−SiN)を成膜し、膜厚方向の内部応力分布を調べた結果である。図8(a)は、成膜した直後と熱処理後の内部応力分布を調べた結果であり、図8(b)は、熱処理時間と平均内部応力の関係を調べた結果である。
図8(a)に示すように、シリコン(Si)基板上に形成したプラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)は、成膜直後には、一定の圧縮内部応力の膜となっているが、熱処理後には、基板側の圧縮内部応力から表面側の引張内部応力まで連続的に変化する膜となる。これは、成膜中に取り込まれた水素等の脱ガスによる密度変化と推察される。また、図8(b)に示すように、熱処理時間を長くすると、より水素等の脱ガス量が多くなるため、平均内部応力は引張側に移行する。
図9(a)〜(c)は、上層膜における内部応力が図5(a),(b)の流量センサ20と異なる、別の流量センサの例である。図9(a)〜(c)に示す流量センサ30〜32は、下層膜の一部となっている中心に配置された窒化シリコン膜及び中心より被測定流体の流路側にある上層膜の内部応力のみが異なっている。
図9(a)は、本発明ではないが参考とする流量センサ30の図である。
図9(a)に示す流量センサ30の上層膜は、プラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)22eで、上記したRFパワーの大きさを成膜途中で変更することにより、中心において圧縮内部応力、流路側で引張内部応力となるように設定さしたものである。例えば、3.5μmの窒化シリコン膜(P−SiN)22eを形成する場合(図5(a)において窒化シリコン膜22dの膜厚のみを変更のため図示せず)、400WのRFパワーで1.5μm成膜(−150MPaの圧縮内部応力膜)し、続いて350WのRFパワーで2.0μm成膜(+95MPaの引張内部応力膜)する。得られた窒化シリコン膜(P−SiN)22eの全体としての平均内部応力は、−10MPa圧縮応力となる。
図9(b),(c)は、本発明に係る流量センサ31,32の図である。
図9(b)に示す流量センサ31の上層膜は、プラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)22fで、成膜時のRFパワーを次第に小さくし、中心における圧縮内部応力から流路側における引張内部応力まで、上層に向かって一定の変化率で連続的に変化するように設定したものである。
図9(c)に示す流量センサ32の上層膜は、プラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)22gで、図8(a)に示した成膜後の熱処理により、中心における圧縮内部応力から流路側における引張内部応力まで、上層に向かって連続的に変化するように設定したものである。
図9(b),(c)に示す流量センサ31,32においては、窒化シリコン膜(P−SiN)22f,22gの内部応力が中心から流路側に向かって連続的に変化するように設定されているため、膜間の内部応力差で生じる膜剥がれを防止することができる。この膜間での膜剥がれは、一般的に膜厚が厚い、又は内部応力が大きいほど生じやすく、また引張内部応力膜の方が圧縮応力膜よりも剥がれやすいことが知られている。
図9(a)〜(c)に示す流量センサ30〜32においては、いずれも、メンブレンの膜厚方向における中心(変形中心)が圧縮内部応力に設定されることで、少なくともこの中心において、高湿環境下での応力腐食割れによる傷の進展を止めることができる。窒化シリコン膜(P−SiN)22e〜22gにおける平均内部応力が、圧縮内部応力に設定されることで厚く形成しても窒化シリコン膜が下地BPSG膜から膜剥がれするのを効果的に防止することができる。
図9(a)〜(c)の流量センサ30〜32において、膜中心部分は圧縮応力膜を持つP−SiN膜で形成されているが、流路側にある最上層の膜表面は、いずれも、引張内部応力となるよう設定されている。このように形成することで、上記膜剥がれを防止するとともにメンブレンが坐屈せずにP−SiN膜を厚く形成することができる。また、メンブレンの坐屈抑制に関しては、中心より基板側にある最下層の窒化シリコン膜(LP−SiN)22bが、坐屈抑制に大きく寄与する。最下層の膜はパーティクル衝突による影響を受け難く、これを大きな引張内部応力有する低圧CVD法により形成された窒化シリコン膜(LP−SiN)22bとすることで、メンブレンの坐屈抑制に大きく寄与することができる。
図10(a),(b)は、上層膜における内部応力が上記の流量センサ20,30〜32と異なる、別の流量センサの例である。
図10(a),(b)に示す流量センサ40,41も、中心より被測定流体の流路側にある上層膜の内部応力のみが異なっている。図10(a)は、本発明ではないが参考とする流量センサ40の図である。図10(a)に示す流量センサ40の上層膜は、プラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)22hで、図9(a)に示す上層膜のRFパワーを形成途中で再び変更して、流路側の最上層を圧縮内部応力となるように設定したものである。図10(b)は、本発明に係る流量センサ41の図である。図10(b)に示す流量センサ41の上層膜は、プラズマCVD法による窒化シリコン膜(P−SiN)22iで、成膜時のRFパワーを図9(b)で示したように次第に小さくした後、再びRFパワーを次第に大きくし、流路側の最上層を圧縮内部応力となるように設定したものである。流量センサ40,41のように、最上層の膜を圧縮内部応力に設定することで、パーティクル衝突による最初の傷の発生とその進展を抑制することができる。最上層の膜を圧縮内部応力に設定した場合には、パーティクル衝突が無い場合においても、応力腐食割れによる強度劣化を抑制することができる。
以上の流量センサの例で示したように、本発明の流量センサにおいては、被測定流体の流路側にある上層膜ラズマCVD法による窒化シリコン膜とし、メンブレンの膜厚方向における内部応力の分布を、メンブレンの膜厚方向の中心における内部応力が縮内部応力に設定されるようにして、連続的に変化する内部応力分布を有するように適宜設定する。これにより、メンブレンの坐屈抑制とパーティクル衝突による傷や破損の抑制を、好適に両立させることができる。
上記流量センサは、基板の一方の表面に複数層の膜からなるメンブレンが設けられた高感度で応答性の高い流量センサであり、種々の用途に用いることができるが、特に、被測定流体が空気であり、車載用の空気流量センサとして用いられる場合に好適である。
内燃機関の空燃比制御に用いられる車載用の空気流量センサでは、エアフィルタを通過してエアダクト内を砂等のパーティクルが飛来するため、メンブレンへのパーティクル衝突が起きる。また、高湿環境下のように、メンブレンの膨潤や応力腐食割れに対して過酷な環境下で使用される。上記した流量センサは、パーティクルの衝突による傷や破損が起き難く、応力腐食割れが抑制された流量センサとなっている。このため、上記のようなメンブレンに対して過酷な環境下で使用される、車載用の空気量センサに特に適する。
車載用の空気流量センサの構成を示す模式的な上面図である。 図1に示す流量センサの取付け状態を示した図である。 (a)は、図1におけるA−A断面を模式的に示した斜視図であり、(b)は、順流時と逆流時の各ヒータにおける放熱量を模式的に示した図である。 パーティクルが衝突した際、メンブレン端に印加される変形応力を、流量センサの断面図に重ねて示した図である。 (a)は、本発明の流量センサの一例を示す模式的な断面図である。(b)は、本発明ではないが参考とする図で、(a)の流量センサにおける、メンブレンMを構成する複数層の膜の内部応力分布を示す図である。 (a)〜(e)は、図5(a)に示す流量センサの製造方法を示す工程別断面図である。 (a)は、最上層の膜の材質を変えて、パーティクルの衝突による傷の発生状況を調べた結果である。(b)は成膜の違いによる膜のピンホール密度の状況を調べた結果である。 (a),(b)は、プラズマCVD法によってシリコン基板上に窒化シリコン膜を成膜し、その内部応力分布を調べた結果である。 (a)〜(c)は、上層膜における内部応力が異なる、別の流量センサの例である。(a)は、本発明ではないが参考とする流量センサ30の図である。(b),(c)は、本発明に係る流量センサ31,32の図である。 (a),(b)は、上層膜における内部応力が異なる、別の流量センサの例である。(a)は、本発明ではないが参考とする流量センサ40の図である。(b)は、本発明に係る流量センサ41の図である。 (a)〜(c)は、従来の流量センサにおける問題点を説明する図である。
符号の説明
20,30〜32,40,41,90 流量センサ
21,91 基板
M メンブレン
22a 窒化シリコン膜(LP−SiN)
22b 酸化シリコン膜(P−SiO
22c BPSG膜
22d〜22i 窒化シリコン膜(P−SiN)
23 ポリシリコン(Poly−Si)からなる抵抗体

Claims (13)

  1. 基板の一方の表面に設けられた複数層の膜からなるメンブレンの周りに流量検出部が形成され、
    当該流量検出部を被測定流体に露出して、その流量を検出する流量センサであって、
    前記被測定流体の流路側にある上層膜が、プラズマCVD法により形成された窒化シリコン膜からなり
    前記上層膜が、前記メンブレンの膜厚方向において連続的に変化する内部応力分布を有してなり、
    前記メンブレンの膜厚方向の中心における内部応力が縮内部応力に設定されるようにして、前記メンブレンの全膜厚の1/2以上を占めるように形成されてなることを特徴とする流量センサ。
  2. 前記上層膜が、前記流路側にある最上層において引張内部応力となるように設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の流量センサ。
  3. 前記窒化シリコン(SiNx)膜の窒素組成xが、前記流路側に向かって連続的に小さくなっていることを特徴とする請求項2に記載の流量センサ。
  4. 前記上層膜が、前記メンブレンの膜厚方向の一部が引張内部応力となるように設定され、かつ前記流路側にある最上層が、圧縮内部応力に設定されてなることを特徴とする請求項に記載の流量センサ。
  5. 前記上層膜における平均内部応力が、圧縮内部応力に設定されてなることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の流量センサ。
  6. 前記上層膜の厚さが、1.4μm以上に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の流量センサ。
  7. 前記中心より基板側にある最下層の膜が、引張内部応力に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の流量センサ。
  8. 前記最下層の膜が、低圧CVD法により形成された窒化シリコン膜であることを特徴とする請求項7に記載の流量センサ。
  9. 前記メンブレンにおける平均内部応力が、引張内部応力に設定されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の流量センサ。
  10. 前記被測定流体が、空気であり、
    前記流量センサが、車載用の空気流量センサであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の流量センサ。
  11. 基板の一方の表面に設けられた複数層の膜からなるメンブレンの周りに流量検出部が形成され、当該流量検出部を被測定流体に露出してその流量を検出する流量センサにおいて、
    前記被測定流体の流路側にある上層膜が、前記メンブレンの膜厚方向において連続的に変化する内部応力分布を有してなり、前記メンブレンの膜厚方向の中心における内部応力が圧縮内部応力に設定されるようにして、前記メンブレンの全膜厚の1/2以上を占めるように形成されてなる流量センサの製造方法であって、
    前記上層膜を、プラズマCVD法による窒化シリコン膜で形成することを特徴とする量センサの製造方法
  12. 前記窒化シリコン膜のプラズマCVDにおいて、成膜時のプラズマ発生のための高周波電力を変化させて、
    前記窒化シリコン膜の内部応力を、圧縮内部応力から引張内部応力、もしくは引張内部応力から圧縮内部応力に変化させることを特徴とする請求項11に記載の流量センサの製造方法
  13. 成膜後の前記窒化シリコン膜を熱処理することにより、
    前記窒化シリコン膜の内部応力を、圧縮内部応力と引張内部応力の間に渡って分布させることを特徴とする請求項11または12に記載の流量センサの製造方法
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