以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における車載向けデジタル放送受信システム(デジタル放送受信装置)の構成を示すブロック図である。本実施形態における車載向けデジタル放送受信システムは、移動体である自動車などの車両に搭載されて使用されるもので、放送受信装置10、出力装置20、入力装置21、集音マイク22、ナビゲーション装置23、及びフロントエンド部24を含んでいる。
放送受信装置10は、フロントエンド部24により受信されるデジタル放送による番組(映像、音声)を出力装置20から出力させる放送受信機能と、ナビゲーション装置23によって取得される移動体(車両)の移動状態(速度、方向、高度)の情報をもとにナビゲーション情報(地図、音声案内など)を出力装置20から出力させるナビゲーション機能が設けられている。
放送受信装置10は、放送方式(伝送レート)が異なる複数の番組の信号が多重化されたデジタル放送、すなわち同時に送信される固定向けデジタル放送と移動体向けデジタル放送を受信することができる。デジタル放送では、テレビ番組だけでなくデータ放送や番組情報(EPG)などの番組情報を受信することができる。
出力装置20は、LCD(Liquid Crystal Display)などにより構成されるディスプレイ20a、及びスピーカ20bが含まれている。また、出力装置20には、動作状態や各種通知のためにLED(Light Emitting Diode)などにより構成されたインジケータなどが設けられる(図示せず)。
入力装置21は、キーボードや各種機能ボタン(音声読み上げボタンなど)、ディスプレイ20aの表示面と一体化して設けられるタブレットなどのポインティングデバイスが設けられる。また、赤外線通信などによるボタン操作に応じた信号を出力するリモートコントローラとして構成することもできる。
集音マイク22は、車内における音(騒音)を入力するためのもので、車内の所定の場所に設置される(図2参照)。
ナビゲーション装置23は、移動体の移動状態を示す情報を取得するもので、GPS衛星19からの信号をGPSアンテナにより受信して現在位置の緯度/経度/高度を表す位置情報を取得する。また、ナビゲーション装置23は、車両の走行速度や車両の進行方向などの情報を取得することもできる。
フロントエンド部24は、放送受信装置10からの選局制御信号に応じて、アンテナにより受信される所定のチャンネル周波数に同調して、中間周波数に変換して増幅する。また、フロントエンド部24は、デジタル放送信号を復調し、誤り検出及び訂正を行った後、復号したデータ(TS(Transport Stream))を放送受信装置10(番組情報取得部31)へ出力する。
図1に示す放送受信装置10は、CPU30、番組情報取得部31、ROM32、RAM33、記憶装置34、センサ信号入力部35、通信装置36、映像デコーダ37、音声デコーダ38、及び音声処理部39が設けられている。
CPU30は、放送受信装置10全体の制御を司るもので、ROM32に記憶されたプログラムを実行することで、デジタルテレビ放送により受信した番組(コンテンツ)の出力や、番組表データ(EPG)やデータ放送により受信したデータなどの音声による出力などを制御する。CPU30は、放送データ読み上げプログラムに従い、後述する放送データ読み上げ処理を実行して番組表データなどを音声により出力する。
番組情報取得部31は、フロントエンド部24からのデータ(TS)を入力して、記憶装置34に一時記憶させる。番組情報取得部31は、フロントエンド部24からのデータから番組情報、例えば番組表データやデータ放送により受信されたデータなどを抽出して、番組情報34aとして記憶装置34に記憶させる。なお、番組情報は、例えば文字列(テキスト)データにより表されている。
ROM32は、放送受信装置10により提供される各機能を実現するためのプログラムなどが記憶されるもので、例えばデジタルテレビ放送により受信された番組(コンテンツ)を出力するためのプログラムの他、デジタルテレビ放送により受信した番組情報を音声により出力(読み上げ)させる放送データ読み上げプログラムが含まれている。
RAM33は、各種プログラムやデータなどが一時的に記憶されるもので、番組情報取得部31を通じて入力されたデータを保存あるいは展開するためのエリアが設けられる。RAM33には、番組情報取得部31により抽出された番組情報34aが記憶される。
記憶装置34は、番組情報取得部31を通じて入力されたデジタル放送により受信されたデータや、通信装置36を通じて入力されるデータなどが記憶される。記憶装置34には、後述する放送データ読み上げ処理の対象となる番組情報34aが記憶されており、必要に応じて読み出されて音声データに変換され出力される。
センサ信号入力部35は、放送受信装置10が搭載された自動車の状態を検知するために、自動車の各部に設けられたセンサやスイッチからの信号を入力する。センサ信号入力部35は、例えば自動車が走行することにより発生する車速パルス信号、パーキングブレーキが掛けられているか否か(オン/オフ)を示すパーキングブレーキ信号、ウインカー(左右)が点灯されているか否かを示すウインカー切替信号などを入力する。CPU30は、センサ信号入力部35を通じて入力される信号をもとに、自動車の状態を判別することができる。
通信装置36は、外部の通信網との通信を制御するもので、例えば無線通信により公衆回線網の基地局14と接続され、公衆回線網からインターネット16などのネットワークに接続することができる。放送受信装置10は、通信装置36を通じて、インターネット16に接続されたサーバとの間でデータの送受信をすることができる。例えば、通信装置36を通じて、番組表データをダウンロードすることができる。また、通信装置36を通じて電子メールを受信することもできる。
映像デコーダ37は、フロントエンド部24を通じて入力された番組のデータ(TS)を映像信号に変換して、出力装置20のディスプレイ20aにおいて表示出力させる。
音声デコーダ38は、フロントエンド部24を通じて入力された番組のデータ(TS)を音声信号に変換して、出力装置20のスピーカ20bから音声出力させる。
音声処理部39は、集音マイク22により入力された音声信号を音声データにデジタル化する。音声処理部39により入力された音声データをもとに、CPU30により音声(音圧)レベル、すなわち運転者が聞いている騒音のレベルが検出される。なお、音声データをもとに単に音声レベルを検出するだけでなく、様々な周波数成分ごとに音圧レベルを検出するようにしても良い。
図2には、集音マイク22の設置位置を示している。図2は、自動車内を簡略化して示すもので、運転者が座る座席51に設けられたヘッドレスト52に集音マイク22を設置した例を示している。図2に示すように、ヘッドレスト52に集音マイク22を設置することで、運転者が聞く音(騒音)とほぼ同じ音を集音することができる。従って、集音マイク22により集音された音のレベルを判断することで、運転者が周囲の騒音により放送受信装置10から出力された番組情報を読み上げる音声を聞き逃す可能性が高い状態にあるか否かを判別することができる。
なお、集音マイク22は、図2に示すように、ヘッドレスト52に設置するだけでなく、他の場所に設置することも可能である。
図3には、番組表データの一例を示している(1局分)。番組表データには、各チャンネルが自局で放送している番組に関する情報が含まれている。
番組表データが放送局から提供される単位としては、例えば現在放送中の番組を含む複数分の番組についてのデータ、あるいは数日分(例えば32日分など)に放送される各番組のデータなど様々である。番組情報取得部31は、デジタル放送によって受信されるデータから、各日に放送される番組毎に、それぞれの番組に関する各データを抽出して、図3に示すように分類する。
図4には、1つの番組についての番組表データの具体例を示している。図4に示すように、番組表データには、放送局名、系列局名、番組タイトル、番組ジャンル、番組詳細情報、番組開始時刻、番組終了時刻(あるいは開始時刻からの番組時間)、番組属性などが含まれている。
番組ジャンルは、例えば番組がニュース、音楽番組、アニメ、バラエティ、映画…などの何れのジャンルに分類されているかを表している。また、番組属性には、例えば音多重切り替えあり、字幕切り換えありなどの情報が含まれている。各情報は、例えば、それぞれに決められた範囲内での文字列データによって表現されている。また、番組開始時刻及び番組終了時刻は、単に数字と記号により時刻が表されている。
本実施形態では、番組情報(番組表データ)を読み上げ対象とする場合、図4に示す番組表データから予め設定されている所定の情報が抽出されるものとする。例えば、「放送局名」「番組タイトル」「番組開始時刻」のデータが抽出されて読み上げ対象として設定される。番組表データから抽出される各データが音声読み上げの出力単位として区分される。
何れのデータを読み上げ対象とするかは、予め決められていても良いし、利用者が別途設定できるようにしておき、この設定に応じて番組表データから抽出されるようにしても良い。
次に、本実施形態における放送受信装置10の動作について説明する。
図5は、本実施形態における放送データ読み上げ処理の動作を説明するためのフローチャートである。
放送受信装置10は、デジタルテレビ放送により送信されている番組情報(データ放送、EPGなど)を番組情報取得部31により取得して、記憶装置34に記憶しているものとする(番組情報34a)。
ここで、入力装置21に設けられた音声読み上げボタンが押下された場合(ステップA1)、あるいは番組情報の表示要求が指示された場合(ステップA2)、CPU30は、現在、テレビ放送の受信中であり番組の視聴中であった場合(ステップA3、Yes)、番組情報の読み上げ前の準備として、音声デコーダ38により番組音声のボリュームを下げる(ステップA4)。
CPU30は、記憶装置34から読み上げ対象とする番組情報(コンテンツ)を読み出し(ステップA5)、この番組情報について繰り返し読み上げ処理を実行して、番組情報を読み上げる音声を出力させる(ステップA6)。
なお、読み上げ対象とする番組情報(コンテンツ)は、どのように指定されても良い。例えば、音声読み上げボタンが押下された場合には、その時に視聴中の番組の放送局について、現在以降に放送予定の番組表データを読み上げ対象としたり、番組情報を表示した場合には、予めユーザが設定している放送局についての番組表示データを読み上げ対象としたりするなど、任意に決めておくことができる。また、データ放送によって受信されたデータ、例えばニュースに関するテキストデータを読み上げ対象として設定しておくことで、最新のニュース(最近受信されたデータ)を読み上げ対象とすることもできる。
こうして、順次、読み上げ対象とするコンテンツを読み出し、繰り返し読み上げ処理に供する。そして、読み上げ対象とする番組情報がなくなった時点で放送データ読み上げ処理を終了する(ステップA5、No)。
次に、繰り返し読み上げ処理について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、読み上げ対象として読み出されたコンテンツ(番組情報)に読み上げ可能なデータが含まれているか否かを判別する。ここでは、例えば文字列(テキスト)データが存在している場合に読み上げ可能であると判別できるものとする。
読み上げ対象とするデータが存在する場合(ステップB1、Yes)、CPU30は、コンテンツのデータを、音声合成して出力する際の読み上げ単位に区分する(ステップB2)。
例えば、図4に示すような番組表示データの場合には、読み上げ対象とする「放送局名」「番組タイトル」「番組開始時刻」のデータをそれぞれ読み上げ単位とする。
また、データ放送により受信したニュースデータ(テキストデータ)の場合には、既存の日本語解析処理によりテキストデータを例えば単語単位に区分する。なお、単語単位に限らず、句読点による区分、文章単位の区分など、後述する再読み上げの際に読み上げられた内容を把握できる単位であれば、どのように区分されていても良い。
CPU30は、読み上げ対象とするコンテンツから読み上げ単位のデータを読み上げテーブルにセットする(ステップB3)。読み上げテーブルは、コンテンツの読み上げを読み上げ単位で制御するためのもので、読み上げ対象として読み出されたコンテンツ毎に作成されてRAM33に一時記憶される(図8、図11参照)。
読み上げテーブルには、例えば各読み上げ単位のデータ(テキスト)が設定されると共に、この読み上げ単位に対する読み上げ回数、再読み上げの要/不要を示す再読み上げフラグ(ONで再読み上げの実行を示す)などが対応付けて設定される。
CPU30は、読み上げテーブルに設定された読み上げ単位のデータに対する読み上げ回数を設定する(ステップB4)。ここでは、基本的に読み上げ回数を1回とする。なお、例えばセンサ信号入力部35から入力される車速パルス信号、あるいはパーキングブレーキ信号(OFF)によって、自動車が停車中でないと判別される場合には、繰り返し読み上げを含まない基本的な読み上げ回数を複数回(例えば2回)にするようにしても良い。すなわち、走行中であることで放送受信装置10から出力される音声が運転者にとっては、停車中よりも聞き取りにくくなるので、1つのコンテンツについて最初から複数回読み上げられるようにして、聞き逃しが無いようにすることができる(この場合、読み上げ単位のデータ毎に複数回読み上げるのではなく、全体の一連の読み上げを複数回繰り返すものとする)。
次に、CPU30は、読み上げテーブルにセットされた読み上げ単位のデータを取り出し、このデータをもとに音声合成処理を実行し、音声デコーダ38を通じてスピーカ20bからコンテンツを読み上げる音声を出力させる(ステップB5)。
一方、CPU30は、コンテンツの読み上げ(音声出力)中に集音マイク22により集音された音の音声レベル、すなわち運転者が聞いている騒音(ノイズ)のレベルが予め決められている一定値(スレッショルド)を越えているかを確認する(ステップB6)。すなわち、読み上げられた音声が運転者にとって聞き取り難い状況が発生したかを判別する。ここで、音声レベルの判別基準となる一定値は、放送受信装置10から所定値のボリュームで出力された音声が聞き取りにくくなる(聞き逃す可能性がある)レベルとして予め設定されているものとする。
なお、予め決められた一定値(スレッショルド)は、異なる値が複数用意されており、状況に応じて何れかが用いられるようにしても良い。例えば、放送受信装置10から出力される音声のボリュームの大小、出力される音声の音質(例えば男性音、女性音など)などの違いによって聞き取り難さが異なってくるため、これらの状況に応じて設定できるようにする。
図7には、集音マイク22から集音された音のレベル変化と、読み上げられている音声の内容を示している。また、図8(a)には、読み上げテーブルに設定されたデータの一例を示している。図8(a)に示す例では、3つの読み上げ単位のデータ「N○K」「午前7時」「ニュース」が設定されており、「エヌ○○ケイ ゴゼンヒチジ ニュース」の読み上げ音声が出力されるものとする。
図7に示す例では、「ゴゼンヒチジ」の読み上げ単位の音声が出力されている時に、音声レベルが一定値を越えている。CPU30は、一定値が越えていることを判別すると(ステップB7、Yes)、読み上げテーブル中の該当する読み上げ単位に対して、再度、読み上げられるように読み上げフラグをセット(ON)する(ステップB10)。図8(b)には、読み上げ単位「ゴゼンヒチジ」に対して、読み上げフラグがセットされた状態を示している。
ここで、読み上げテーブルに設定された全ての読み上げ単位についての読み上げが完了しているかを判別する(ステップB11)。すなわち、読み上げテーブルに設定された全ての読み上げ単位に対する再読み上げフラグがOFFであり、最後の読み上げ単位のデータの読み上げが完了ししているかを判別する。
図8(b)に示す読み上げテーブルの場合には、再読み上げフラグがONに設定された読み上げ単位のデータがあるため、まず当該読み上げ単位のデータについての読み上げ(音声出力)を実行する(ステップB5)。これにより、集音された音の音声レベルが一定値を越えていた時に読み上げられていた部分が、繰り返して読み上げられることになる。
再読み上げフラグがONに設定された読み上げ単位のデータの再読み上げがされると、CPU30は、この読み上げ単位に対する再読み上げフラグをOFFにする。
一方、CPU30は、音声レベルが一定値が越えていないと判別された場合(ステップB7、No)、音声レベル以外に基づいた繰り返し読み上げ条件(詳細については後述する)について確認する(ステップB8)。
ここで、繰り返し読み上げ条件に該当すると判別された場合(ステップB9、Yes)、CPU30は、前述と同様にして、読み上げテーブル中の該当する読み上げ単位に対して、再度、読み上げられるように読み上げフラグをセット(ON)する(ステップB10)。以下、同様にして、該当する読み上げ単位のデータについて再度、読み上げ音声を出力させる。
なお、音声レベルが一定値に到達せず、また繰り返し読み上げ条件に該当しない場合には、読み上げテーブルに設定された各読み上げ単位のデータについての音声を順次出力する(ステップB5→B9,B11)。図8(b)に示すように読み上げテーブルが設定されている場合には、読み上げ単位「ゴゴヒチジ」について再読み上げされた後、次の読み上げ単位「ニュース」が読み上げられる。
従って、読み上げ対象とした3つの読み上げ単位のデータ「N○K」「午前7時」「ニュース」の各データについて、実際には、図9に示すように、「エヌ○○ケイ ゴゼンヒチジ ゴゼンヒチジ ニュース」のように読み上げられる。
「ゴゼンヒチジ」の最初の読み上げ時には周囲の音が大きく聞き取りにくい状況となっていたが、繰り返し読み上げることで運転者に確実に認識させることができる。
ここで、繰り返し読み上げ条件の詳細について説明する。
繰り返し読み上げ条件としては、例えば、第1に、放送受信装置10が搭載されている自動車の状態、第2に、放送受信装置10と接続された他の装置(ここではナビゲーション装置23、出力装置20)の状態を対象とすることができる。
第1の放送受信装置10が搭載されている自動車の状態としては、例えばウインカーが操作されている場合を対象とすることができる。すなわち、ウインカーが操作されている状態とは、走行中の自動車が右折や左折、あるいは車線変更などをしようとしている時であり、運転者は運転操作に集中しなければならない状況にある。従って、放送受信装置10から出力された音声については聞き逃す可能性が高い。
CPU30は、センサ信号入力部35を通じて入力されるウインカー切替信号が入力されているかを確認し(ステップB8)、右あるいは左側のウインカーが操作されていることが検出できた場合には、繰り返し読み上げ条件に該当するものとする(ステップB9、Yes)。CPU30は、この時の読み上げ対象としていた読み上げ単位に対して再読み上げフラグをセットする(ステップB10)。
こうした運転操作が複雑な状況にある場合に、同じ読み上げ単位のデータを繰り返して読み上げることで、運転者に確実に読み上げた内容を認識させることができる。
また、複雑な運転操作をしている場合には、繰り返し読み上げられることを運転者が認識していれば、読み上げられる音声に集中しないで運転操作に集中することができるので、安全を確保することができる。
なお、ここではウインカー操作のみを対象としているが、その他の自動車に搭載された機能の操作中には同様にして繰り返し読み上げ条件に該当するものと判別できるようにしても良い。
第2の放送受信装置10と接続された他の装置の状態としては、例えばナビゲーション機能によりナビゲーション装置23から出力される音声案内を出力する場合や、出力装置20においてディスプレイ20aの表示を停止する場合などを対象とすることができる。
すなわち、ナビゲーション装置23から音声案内の出力要求があった場合には、放送受信装置10は、この音声案内を音声デコーダ38を通じて出力装置20(スピーカ20b)から出力させるが、この時、番組情報の読み上げ中であれば音声を重畳させて出力するか、あるいは番組情報を読み上げる音声の出力を停止させる。従って、ナビゲーション装置23による音声案内が出力されている時には、放送受信装置10から出力される番組情報の音声を聞き逃す可能性が高い、あるいは聞けなくなってしまう。
また、ディスプレイ20aの表示を停止している場合(例えばナビゲーション機能による画面表示のみでテレビ番組の表示を行わない場合を含む)、すなわち音声のみが出力可能な状態にある場合には、音声による確認しかできないため、読み上げ対象とするコンテンツを繰り返して読み上げる。
なお、前述した繰り返し読み上げ条件の何れを対象とするかは、ユーザが別途選択できるようにしておくものとする。この場合、複数の条件から任意の数の条件を設定できるようにしても良い。何れの条件も選択しないことで、音声レベルに基づいてのみ音声出力を制御するようにできる。
なお、前述した説明では、コンテンツの読み上げ中に集音された音声レベルが一定値を越えた場合に、この一定値を越えた時に出力されていた読み上げ単位のデータを繰り返し読み上げるようにしているが、一定値を越えている期間が所定値を越えて続く場合には、前述と異なる音声の出力制御をすることもできる。
図10には、集音マイク22から集音された音のレベル変化(音声レベルが一定値を越える期間が所定時間継続している場合)と、読み上げられている音声の内容を示している。また、図11(a)には、読み上げテーブルに設定されたデータの一例を示している(図8(a)と同じ)。
図10に示す例では、「ゴゼンヒチジ」の読み上げ単位の音声が出力されている時から所定時間以上、音声レベルが一定値を越えた状態が継続している。CPU30は、一定値が越えている期間が所定時間継続していることを判別すると(ステップB7、Yes)、例えば読み上げテーブル中の起点となる読み上げ単位(読み上げテーブルに設定された先頭)から複数の読み上げ単位に対して、再度、読み上げられるように読み上げフラグをセット(ON)する(ステップB10)。図11(b)には、読み上げ単位「エヌ○○ケイ」「ゴゼンヒチジ」のそれぞれに対して、読み上げフラグがセットされた状態を示している。
ここで、読み上げテーブルに設定された全ての読み上げ単位についての読み上げが完了しているかを判別する(ステップB11)。
図11(b)に示す読み上げテーブルの場合には、再読み上げフラグがONに設定された読み上げ単位のデータがあるため、まず当該読み上げ単位のデータについての読み上げ(音声出力)を実行する(ステップB5)。この場合、先頭の読み上げ単位のデータから再び読み上げられることになる。これにより、集音された音の音声レベルが一定値を越えていた期間が所定時間継続している場合には、起点となる読み上げ単位から繰り返して読み上げられることになる。従って、出力された音声が聞き取れない期間が長い場合には、再度、初めから読み上げられることで、読み上げられた一連の内容を確実に把握することができるようになる。
この場合、読み上げ対象とした3つの読み上げ単位のデータ「N○K」「午前7時」「ニュース」の各データについて、実際には、図12に示すように、「エヌ○○ケイ ゴゼンヒチジ エヌ○○ケイ ゴゼンヒチジ ニュース」のように読み上げられる。
なお、図7に示すように、瞬間的に音声レベルが一定値を越えた場合においても、図11(b)に示すように、その時の読み上げ単位だけでなく、複数の読み上げ単位に対して再読み上げフラグをセットして、繰り返し読み上げられるようにしても良い。
なお、コンテンツ(番組情報)を再読み上げする場合に、音声種別を最初に読み上げた時の音声種別と変えることによって、より読み上げられた内容を認識されやくすることもできる。音声種別としては、例えばボリューム、再生速度、音質などがある。
例えば、再読み上げ時にはボリュームを大きくして音声出力する、また再生速度を遅くすることで聞き取りやすくする、また通常では男性による音声であるものを女性の音声に変更するといったことが可能である。
また、音質を変更する場合には、集音マイク22から集音された音の音声データをもとに、周囲の騒音の周波数帯を検出し、この周波数帯に対して聞き取りやすくなる音質を選択して音声合成できるようにしても良い。これにより、状況に合わせた聞き取り易い音声により再読み上げを実行することかできる。
また、前述した説明では、音声レベルが一定値を越えた時、あるいは繰り返し読み上げ条件に該当する場合に、その時に読み上げられていた読み上げ単位のデータを再度繰り返して読み上げるものとしているが、例えば音声レベルが一定値を越えた時、あるいは繰り返し読み上げ条件に該当する場合には、読み上げを一時停止させるようにしても良い。この場合、読み上げを一時停止させた状況が解消された時点で読み上げを再開させる。読み上げの再開時には、一時停止された読み上げ単位から再開するようにしても良いし、起点となる最初の読み上げ単位から再開するようにしても良い。
また、前述した説明では、放送受信装置10は、自動車に設けられた各種センサからの信号をセンサ信号入力部35を通じて入力することで、自動車の動作状況を判別しているが、ナビゲーション装置23により検出される自動車の状態(速度など)をもとに音声出力を制御することもできる。
また、前述した説明では、デジタルテレビ放送により受信した番組表データ(EPG)やニュースなどのデータを読み上げの対象としているが、他の経路により受信(入力)されたデータを読み上げ対象として、前述と同様の放送データ読み上げ処理を実行するようにしても良い。例えば、放送受信装置10は、通信装置36を介して外部のネットワークと接続することができるため、インターネット16を介して図示せぬサーバが提供している各種のテキストデータを主としたコンテンツ(番組表データを含む)をダウンロードしたり、あるいは電子メール(添付されたテキストデータファイルを含む)を受信することができる。放送受信装置10は、こうしたテレビ放送以外の経路で受信したテキストデータを記憶装置34に記憶し、前述した番組情報34aと同様にして読み上げ処理を実行すれば良い。
さらに、放送受信装置10に搭載された記憶媒体(ROM32や記憶装置34)に記憶されたデータ、入力装置21から利用者の操作により入力されたデータ、またナビゲーション装置23などの他の装置から入力されたデータなどを読み上げの対象とすることも可能である。
また、前述した各実施形態において記載した処理は、コンピュータに実行させることのできる放送データ読み上げプログラムとして、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記録媒体に書き込んで各種装置に提供することができる。また、通信媒体により伝送して各種装置に提供することも可能である。放送受信装置10に搭載されるコンピュータは、記録媒体に記録された放送データ読み上げプログラムを読み込み、またはデジタルテレビ放送、あるいは通信装置36により通信媒体を介して放送データ読み上げプログラムを受信し、このプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
10…放送受信装置、14…基地局、16…インターネット、17…通信タワー、19…GPS衛星、20…出力装置、20a…ディスプレイ、20b…スピーカ、21…入力装置、22…集音マイク、23…ナビゲーション装置、24…フロントエンド部、30…CPU、31…番組情報取得部、32…ROM、33…RAM、34…記憶装置、34a…番組情報、35…センサ信号入力部、36…通信装置、37…映像デコーダ、38…音声デコーダ、39…音声処理部、50…自動車、51…座席、52…ヘッドレスト。